説明

パッケージキャリアおよびその製造方法

【課題】熱を効率良く放散することのできるパッケージキャリアの製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁カバーを提供する。絶縁カバーは、互いに向かい合う内表面および外表面と、複数の開口と、収容空間とを有する。絶縁カバーの外表面にパターン化金属層を形成する。パターン化金属層の上に表面処理層を形成する。絶縁層の収容空間内に放熱素子を形成し、絶縁層に構造的に接続する。放熱素子の表面に導熱層を形成し、絶縁カバーの開口によって導熱層の一部を露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造およびその製造方法に関するものであり、特に、パッケージキャリアおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップパッケージは、チップに適切な信号および熱伝送経路を提供して、チップ構造を保護するものである。従来のワイヤボンディング(wire bonding)技術を適用する時は、通常、チップのキャリア(carrier)としてリードフレーム(leadframe)を使用する。チップの接触密度が次第に高くなるにつれて、リードフレームは接触密度をそれ以上高めることができなくなるため、好ましい接触密度を達成することのできるパッケージ構造で置き換えることができる。また、チップは、金属導線またはバンプ(bump)等の導電媒体によって、パッケージ構造に実装される。
【0003】
最も一般的な発光ダイオード(light emitting diode, LED)パッケージ構造では、LEDチップを使用する前にLEDチップを実装する必要があり、LEDチップは、発光する時に大量の熱を生成する。熱が放散されずにLEDパッケージ構造内に蓄積され続けると、LEDパッケージ構造の温度が次第に上昇するため、LEDチップが熱くなり過ぎて、輝度減退や、寿命の短縮、さらには永久的に損傷する可能性もある。そのため、通常、既存のLEDパッケージ構造にヒートシンク(heat sink)を設置して、LEDチップの熱を放散させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパッケージ構造は、複数のパターン化導電層と少なくとも1つの絶縁層で構成される。絶縁層は、2つの隣接したパターン化導電層の間に配置され、電気絶縁を行う。ヒートシンクは、接着層を介してパッケージ構造の底面に固定される。ほとんどの場合、LEDチップは、パッケージ構造に電気接続され、LEDチップによって生成された熱は、パターン化導電層および絶縁層からヒートシンクに伝導される。しかし、接着層および絶縁層の熱伝導率は良くないため、LEDチップによって生成された熱が絶縁層および接着層を介してヒートシンクに伝導された時に、熱抵抗(thermal resistance)が増加して、熱の放散が十分に行われない。そのため、LEDチップによって生成された熱をどのようにして効率良く外部環境に放散するかが、この分野における研究者および設計者の重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、発熱素子を保持したパッケージキャリアを提供する。
【0006】
本発明は、さらに、パッケージキャリアの製造方法を提供する。この方法を適用することによって、上述したパッケージキャリアを形成することができる。
【0007】
本発明のある実施形態中、パッケージキャリアの製造方法は、以下のステップを含む。絶縁カバーを提供する。絶縁カバーは、互いに向かい合う内表面および外表面と、複数の開口と、収容空間とを有する。絶縁カバーの外表面にパターン化金属層を形成する。パターン化金属層の上に表面処理層を形成する。絶縁カバーの収容空間内に放熱素子を形成する。放熱素子は、絶縁カバーに構造的に接続される。放熱素子の表面に導熱層を形成し、絶縁カバーの開口が導熱層の一部を露出する。
【0008】
本発明のある実施形態中、絶縁カバーは、複数の触媒粒子を含み、パターン化金属層を形成する方法は、触媒粒子の一部を活性化して、パターン化金属層を形成することを含む。
【0009】
本発明のある実施形態中、パターン化金属層を形成する方法は、電気めっきを含む。
【0010】
本発明のある実施形態中、絶縁カバーを形成する方法は、射出成形を含む。
【0011】
本発明のある実施形態中、放熱素子は、ヒートシンクまたはヒートパイプを含む。
【0012】
本発明のある実施形態中、導熱層の材料は、銅、金または銀を含む。
【0013】
本発明のある実施形態中、少なくとも1つの発熱素子を搬送するパッケージキャリアを提供する。パッケージキャリアは、絶縁カバーと、パターン化金属層と、表面処理層と、放熱素子と、導熱層とを含む。絶縁カバーは、互いに向かい合う内表面および外表面と、複数の開口と、収容空間とを有する。パターン化金属層は、絶縁カバーの外表面に配置される。表面処理層は、パターン化金属層の上に配置される。放熱素子は、絶縁カバーの収容空間内に配置され、絶縁カバーに構造的に接続される。導熱層は、放熱素子の表面に配置され、導熱層の一部は、放熱素子と絶縁カバーの間に設置される。絶縁カバーの開口は、導熱層の一部を露出し、少なくとも1つの発熱素子は、開口のうち対応する開口によって露出した部分の導熱層に配置される。
【0014】
本発明のある実施形態中、放熱素子は、ヒートシンクまたはヒートパイプを含む。
【0015】
本発明のある実施形態中、導熱層の材料は、銅、金または銀を含む。
【0016】
本発明のある実施形態中、絶縁カバーは、複数の触媒粒子を含む。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のパッケージキャリアは、絶縁カバーの収容空間内に放熱素子を配置して、絶縁カバーの開口が導熱層の一部を露出する。そのため、発熱素子をパッケージキャリアに配置した時、発熱素子によって生成された熱は、導熱層と放熱素子を介して直接外部環境に急速に伝送される。このようにして、本発明のパッケージキャリアは、発熱素子によって生成された熱を効果的に放散させることができ、発熱素子の効率と寿命の両方を向上させることができる。さらに、本発明のパッケージキャリアの周辺に発熱素子を配置することによって、三次元多面体の発光効果を達成することができる。
【0018】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明の実施形態に係るパケージキャリアの製造方法を示した概略的断面図である。
【図1B】本発明の実施形態に係るパケージキャリアの製造方法を示した概略的断面図である。
【図1C】本発明の実施形態に係るパケージキャリアの製造方法を示した概略的断面図である。
【図1D】本発明の実施形態に係るパケージキャリアの製造方法を示した概略的断面図である。
【図1E】本発明の実施形態に係るパッケージキャリアを示した概略的断面図である。
【図2】図1Dのパッケージキャリアが発熱素子を保持している状態を示した概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1A〜図1Dは、本発明の実施形態に係るパケージキャリアの製造方法を示した概略的断面図である。図1Aを参照すると、本実施形態のパッケージキャリアの製造方法は、まず、絶縁カバー110を提供する。絶縁カバー110は、互いに向かい合う内表面112および外表面114と、収容空間116と、複数の開口118とを有する。絶縁カバー110は、例えば、「n」や

の文字のような形状をしており、絶縁カバー110は、さらに、複数のロック部119を有する。注意すべきこととして、本発明の別の実施形態において、絶縁カバー110は、ロック部119を備えていなくてもよい。また、絶縁カバー110は、例えば、射出成形(injection molding)によって形成される。
【0021】
図1Bを参照すると、絶縁カバー110の外表面114の一部にパターン化金属層120を形成する。ここで、パターン化金属層120は、例えば、化学めっき法やスパッタリング等の電気めっきによって生成される。図示していない別の実施形態において、絶縁カバーが複数の触媒粒子を含む場合、絶縁カバーの外表面をレーザー光線で照射することによって、触媒粒子の一部を活性化し、パターン化金属層を形成してもよい。
【0022】
図1Cを参照すると、パターン化金属層120の上に表面処理層130を形成する。表面処理層130は、パターン化金属層120を完全に覆い、表面処理層130の形成方法は、電気めっきを含む。ここで、表面処理層130は、例えば、ニッケル層、金層、またはニッケル−金複合層で構成される。
【0023】
図1Dを参照すると、絶縁カバー110の収容空間116内に放熱素子140aを形成し、絶縁カバー110に構造的に接続する。ここで、放熱素子140aは、例えば、絶縁カバー110にロックされたロック部119を介して、絶縁カバー110に固定される。もちろん、図示していない別の実施形態において、放熱素子140aと絶縁カバー110をスクリュー、接着剤、低温溶融または電気めっきによって接続してもよいが、本発明はこれらに限定されない。ここまでで、パッケージキャリア100の製造が実質的に完了する。
【0024】
さらに詳しく説明すると、本実施形態の放熱素子140aの表面には導熱層150が既に形成され、絶縁カバー110の開口118が導熱層150の一部を露出する。放熱素子140aは、突出部142と、突出部142に接続された複数のフィン144とを含み、突出部142は、収容空間116内に配置される。ここで、前記導熱層150の材料は、銅、金または銀を含む。ここでの放熱素子140aは、突出部142とフィン144によって構成されるが、言及すべきこととして、放熱素子140aの種類は、本実施形態において限定されない。図示していない別の実施形態において、放熱素子は、フィンを有さないヒートシンクであってもよい。あるいは、図1Eに示すように、パッケージキャリア100bの放熱素子140bは、ヒートパイプであってもよい。つまり、本実施形態の放熱素子140aの種類は単なる例であって、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
図1Dに示すように、本実施形態のパッケージキャリア100は、構造的に、絶縁カバー110と、パターン化金属層120と、表面処理層130と、放熱素子140aと、導熱層150とを含む。絶縁カバー110は、互いに向かい合う内表面112および外表面114と、収容空間116と、開口118と、ロック部119とを有する。パターン化金属層120は、絶縁カバー110の外表面114に配置される。表面処理層130は、パターン化金属層120の上に配置される。放熱素子140aは、絶縁カバー110の収容空間116内に配置され、絶縁カバー110に構造的に接続される。導熱層150は、放熱素子140aの表面に配置され、導熱層150の一部は、放熱素子140aと絶縁カバー110の間に設置される。絶縁カバー110の開口118は、導熱層150の一部を露出する。
【0026】
図2は、図1Dのパッケージキャリアが発熱素子を保持している状態を示した概略的断面図である。図2を参照すると、本実施形態のパッケージキャリア100は、少なくとも1つの発熱素子10を保持するのに適する。図2において、5つの発熱素子10を概略的に示す。発熱素子10は、対応する開口118によって露出した部分の導熱層150の上に配置される。また、発熱素子10は、例えば、電気チップまたは光電素子でもよいが、本発明はこれらに限定されない。例えば、電気チップは、IC(integrated circuit)チップであってもよく、例えば、チップモジュール(chip module)またはグラフィックチップ(graphic chip)やメモリチップ(memory chip)等を含むチップであってもよい。光電素子は、例えば、LED、レーザーダイオード、または気体放電光源である。本実施形態において、発熱素子10は、例えば、LEDである。
【0027】
特に、発熱素子10(例えば、LED)は、複数のボンディングワイヤ20を介して、パターン化金属層120の上の表面処理層130に電気接続されてもよい。また、発熱素子10、ボンディングワイヤ20およびパッケージキャリア100の一部を成形コンパウンド(molding compound)30で封入することによって、発熱素子10、ボンディングワイヤ20およびパッケージキャリア100の間の電気接続を確保してもよい。本実施形態の発熱素子10は、開口118によって露出した導熱層150の一部に配置されるため、発熱素子10は、パッケージキャリア100の周辺に構成されてもよい。このようにして、三次元多面体の発光効果を達成することができるため、つまり、パッケージキャリアは、前面と側面の発光効果を達成することができる。
【0028】
さらに、放熱素子140aは、絶縁カバー110の収容空間116内に配置され、絶縁カバー110の開口118は、導熱層150の一部を露出する。そのため、発熱素子10をパッケージキャリア100の導熱層150の一部に配置した時、発熱素子10によって生成された熱は、導熱層150と放熱素子140aを介して直接外部環境に急速に伝送される。このようにして、本実施形態のパッケージキャリア100は、発熱素子10によって生成された熱を効果的に放散させることができ、放熱素子10の効率と寿命の両方を向上させることができる。
【0029】
また、絶縁カバー110は、放熱素子140aの上に配置される。そのため、発熱素子10(すなわち、LED)がボンディングワイヤ20を介してパターン化金属層120の上の表面処理層130に電気接続された時、絶縁カバー110がパターン化金属層120の上の表面処理層130を絶縁カバー110の下にある導熱層150から電気的に絶縁することによって、短絡現象を防ぐことができる。
【0030】
以上のように、本発明のパッケージキャリアは、絶縁カバーの収容空間内に放熱素子を配置して、絶縁カバーの開口が導熱層の一部を露出する。そのため、発熱素子をパッケージキャリアに配置した時、発熱素子によって生成された熱は、導熱層と放熱素子を介して直接外部環境に急速に伝送される。このようにして、本発明のパッケージキャリアは、発熱素子によって生成された熱を効果的に放散させることができ、放熱素子の効率と寿命の両方を向上させることができる。さらに、本発明のパッケージキャリアの周辺に発熱素子を配置することによって、三次元多面体の発光効果を達成することができる。つまり、パッケージキャリアは、前面と側面の発光効果を達成することができるため、幅広く応用することが可能になる。
【0031】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、パッケージキャリアおよびその製造方法に関するものである。このパッケージキャリアの製造方法は、LEDチップ等の発熱素子をパッケージするために使用することができる。
【0033】
10 発熱素子
20 ボンディングワイヤ
30 成形コンパウンド
100、100b パッケージキャリア
110 絶縁カバー
112 内表面
114 外表面
116 収容空間
118 開口
119 ロック部
120 パターン化金属層
130 表面処理層
140a、140b 放熱素子
142 突出部
144 フィン
150 導熱層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合う内表面および外表面と、複数の開口と、収容空間とを有する絶縁カバーを提供することと、
前記絶縁カバーの前記外表面にパターン化金属層を形成することと、
前記パターン化金属層の上に表面処理層を形成することと、
前記絶縁カバーの前記収容空間内に放熱素子を形成し、前記絶縁カバーに構造的に接続することと、
を含み、
前記放熱素子の表面に導熱層を形成して、前記絶縁カバーの前記開口が前記導熱層の一部を露出するパッケージキャリアの製造方法。
【請求項2】
前記絶縁カバーが、複数の触媒粒子を含み、前記パターン化金属層を形成する方法が、前記触媒粒子の一部を活性化して、前記パターン化金属層を形成することを含む請求項1記載のパッケージキャリアの製造方法。
【請求項3】
前記パターン化金属層を形成する方法が、電気めっきを含む請求項1記載のパッケージキャリアの製造方法。
【請求項4】
前記絶縁カバーを形成する方法が、射出成形を含む請求項1記載のパッケージキャリアの製造方法。
【請求項5】
前記放熱素子が、ヒートシンクまたはヒートパイプを含む請求項1記載のパッケージキャリアの製造方法。
【請求項6】
前記導熱層の材料が、銅、金または銀を含む請求項1記載のパッケージキャリアの製造方法。
【請求項7】
少なくとも1つの発熱素子を保持するパッケージキャリアであって、
互いに向かい合う内表面および外表面と、複数の開口と、収容空間とを有する絶縁カバーと、
前記絶縁カバーの前記外表面に配置されたパターン化金属層と、
前記パターン化金属層の上に配置された表面処理層と、
前記絶縁カバーの前記収容空間内に配置され、前記絶縁カバーに構造的に接続された放熱素子と、
前記放熱素子の表面に配置された導熱層と、
を含み、
前記導熱層の一部が、前記放熱素子と前記絶縁カバーの間に設置され、
前記絶縁カバーの前記開口が、前記導熱層の一部を露出し、
前記少なくとも1つの発熱素子が、前記開口のうち対応する開口によって露出した前記部分の前記導熱層に配置されたパッケージキャリア。
【請求項8】
前記放熱素子が、ヒートシンクまたはヒートパイプを含む請求項7記載のパッケージキャリア。
【請求項9】
前記導熱層の材料が、銅、金または銀を含む請求項7記載のパッケージキャリア。
【請求項10】
前記絶縁カバーが、複数の触媒粒子を含む請求項7記載のパッケージキャリア。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−235090(P2012−235090A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−42238(P2012−42238)
【出願日】平成24年2月28日(2012.2.28)
【出願人】(599110599)旭徳科技股▲ふん▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】