説明

パッケージングされた電子デバイス及びその製作方法

【課題】 電子デバイスのパッケージを薄型化する。
【解決手段】 金属、プラスチック、シリコン等の基板200上に電気接続部202、204、206が形成され、電気接続部204の上にLED等の電子デバイス208が接着剤218等によって固定される。ワイヤボンド210、212が接続された後、固定剤214が供給され、固化して電子デバイス208が電気接続部204に固定される。基板200は、機械的、あるいは化学的な方法によって除去され、電気接続部202、204、206は固定剤214の一面で露出した状態となり、パッケージの接続部を構成する。パッケージの製造プロセス中で必要であった基板200が最終的に除去されることで、パッケージ全体としての高さが減じられて薄型化が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージの薄型化を実現可能な、電子デバイスのパッケージ方法およびそのパッケージ方法で製作された電子デバイスパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は多くのモバイルデバイス(携帯電話、PDA、デジタルカメラ等)に利用されている。また、LEDは液晶ディスプレイ(LCD)及びキーパッドのバックライト、又は状態表示に用いられることも多い。
【0003】
図12は、プリント回路基板(PCB)1202を含むチップ型LEDパッケージ1200を描いたものである。基板1202には、反対面のそれぞれに電気的接続部のペア(接続部対)1204/1206、1208/1210が設けられている。一方の接続部対1204、1206は(例えば導電性接着剤1214及びワイヤボンド1216を通じて)LED1212へと結合している。他方の接続部対1208、1210はパッケージの接続部としての役割を持っており、一対のバイア1218、1220という手段を介して第一の接続部対1204、1206へと結合している。透明封止材(例えば透明エポキシ1222)は、LED1212及びワイヤボンド1216を損傷から守る役割を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDパッケージ1200の厚さ(即ち高さ)は、基板1202及び封止材1222の厚さが最も大きな要因ではあるが、その基板1202及び封止材1222と、接続部1204/1206、1208/1210の厚さの合計により決まるものである。基板1202の厚さには、プロセス中の取り扱いを考慮した制約がある(例えば基板1202の厚さを、取り扱い中、及び処理中に容易に破損し得る薄さにすることはできない)。封止材1222の厚さは、LED1212及びワイヤボンド1216の高さにより制約される。
【0005】
現在入手可能なLEDパッケージは0.35mmと薄いものであるが、より小型のモバイルデバイスへのLEDパッケージの利用が進むにつれ、その薄型化への要求は絶えない。また、他種の電子デバイスパッケージ(レーザーダイオード及びマイクロプロセッサ・パッケージ等)の薄型化への要求も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施例においては、電子デバイスをパッケージングする為の方法は、電子デバイスを基板上の電気接続部へ電気的に接続することと、電子デバイスを電気接続部へ固定する為に固定剤を設ける(供給する)ことと、そして基板の少なくとも一部分を除去することにより、電気接続部をパッケージの接続部として露出させることとを含んでいる。
【0007】
他の実施例においては、パッケージングされた電子デバイスは、電子デバイスと、電子デバイスに電気的に接続する電気接続部と、そして電子デバイスを電気接続部へと固定する為の固定剤とを具備するものである。
【0008】
更に他の実施例においては、パッケージングされた電子デバイスは、電子デバイスと、基板上に形成され、電子デバイスに電気的に接続される電気接続部と、そして電子デバイスを電気接続部へ固定する為の固定剤とを具備したものである。基板の少なくとも一部分を除去することにより、電気接続部がパッケージの接続部として露出される。
【0009】
他の実施例も開示する。
【0010】
本発明を説明する為の実施例を図に示した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】電子デバイスをパッケージングする為の方法の一例を説明したフローチャートである。
【図2A】図1の方法の一応用例を示す図である。
【図2B】図1の方法の一応用例を示す図である。
【図2C】図1の方法の一応用例を示す図である。
【図2D】図1の方法の一応用例を示す図である。
【図3】図2Dに示したパッケージングされたデバイスの変更形態を描いたものであり、除去された基板の一部がパッケージに付着した状態で残されている。
【図4】図2Dに示したパッケージングされたデバイスの更なる変更形態を描いたものであり、電子デバイスを1つ以上の電気接続部へと固定する固定剤の、最初に電気接続部をその上に形成した基板に沿った一部分が除去されている。
【図5】補強リブが形成された電気接続部を持つ、パッケージングされた電子デバイスを描いた図である。
【図6】スロットが形成された形状の電気接続部を持つ、パッケージングされた電子デバイスを描いた図である。
【図7】リフレクタカップが形成された電気接続部を持つ、パッケージングされた電子デバイスを描いた図である。
【図8】パッケージングされたフリップチップを描いた図である。
【図9】図2D及び図7に示したデバイスの他の態様を描いた図である。
【図10】図2D及び図7に示したデバイスの他の態様を描いた図である。
【図11】図2Dに示したデバイスの別のワイヤボンド配置を描いた図である。
【図12】パッケージ基板を有する、パッケージングされたデバイスを描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は電子デバイスをパッケージングする為の方法100の一例を示すものである。その方法100によれば、電子デバイスが基板上の電気接続部へと電気的に接続される(102)。次に電子デバイスを電気接続部へと固定する為に固定剤が設けられる(104)。その後、電気接続部をパッケージ接続部として露出する為に、基板の少なくとも一部分が除去される(106)。
【0013】
方法100の一応用例を図2A〜図2Dに描いた。一例として、基板200上には3つの電気接続部202、204、206(トレース又はパッド等)が設けられている(図2A参照)。電子デバイス208はそれらの電気接続部のうちの1つである接続部204の上に(接着剤218等により)搭載されており、電子デバイス208と他の電気接続部202、206を結合する為にワイヤボンド210、212が使われている(図2B参照)。次に電子デバイス208を電気接続部202〜206へと固定する為に、固定剤214が設けられる(図2C参照)。図示したように、固定剤214はワイヤボンド210、212も同様に固定する、また更には、電子デバイス208、ワイヤボンド210、212及び電子接続部202〜206の一部又は全体を封止するものとすることが出来る。固定剤214の形成後、基板200が除去されることにより、電子接続部202〜206が薄型パッケージ電子デバイス216上のパッケージ接続部として露出されるものである(図2D参照)。
【0014】
基板は有機物及び無機物を含むどのような形式のものであっても良い。例えば、基板200は半導体基板(シリコン又はガリウム砒素等)、ラミネート基板(ガラスエポキシ・ラミネート又はフェノール樹脂ラミネート等)、プラスチック複合材基板(Amodel(登録商標)ポリフタルアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等)、ポリマー基板又は金属基板(銅又はスチール等)とすることが出来る。パッケージの一部分を構成し、また、パッケージの合計厚を最小にするために薄いことが望まれる基板と違って、基板200の厚さは、基板が取り扱われる、又は操作されるプロセス中に十分な強度を提供し得るものであれば、いずれの厚さであっても良い。即ち、基板200の厚さは、取り扱い時に損傷を受けやすい厚さにまで薄くする必要が無いのである。
【0015】
基板200の組成に応じ、基板を固定剤214、電子デバイス208及び電気接続部202〜206から化学的及び/又は機械的手段を含む様々な手段により除去することが出来る。例えば、基板200はウエット又はドライ化学エッチング処理により除去することが出来る。ウエット化学エッチング処理には、基板200の組成に応じて酸性、アルカリ性又は中性のエッチング溶剤でさえも利用することが出来る。或いは、基板200はプラズマエッチング処理により除去することも可能である。基板200を除去する為の機械的手段としては、ラッピング(基板200を荒い面又は硬い粒子を用いて摩滅により除去する等)が含まれる。更に他の手段として、加熱により、又はレーザー等からの放射により基板200を除去することも出来る。
【0016】
ある場合においては、図2Dに示したように基板200を全て除去することが出来る。他の場合においては、電気接続部202〜206を基板200中に部分的に埋め込み、これらの接続部202〜206が露出された後も基板200の一部を固定剤214に接着したまま残すことも出来る(図3参照)。更に他の場合においては、エッチング等の基板除去手段とした結果、基板200の除去に加えて固定剤214の一部も除去される(図4参照)。しかしながら、固定剤214は基板200の除去に用いられる手段からの影響を受けない(又は少なくとも耐性を持つ)ものであることが望ましい。
【0017】
基板200上への電気接続部202〜206の形成は、無電解めっき、電解めっき、クラッディング処理、めっき及びエッチング処理、スパッタリング、又は蒸着を含むいずれの方法を使用しても良い。一部の場合においては、接続部202〜206は、例えば銅、ニッケル、金、銀、チタン、プラチナ、ゲルマニウム、スズ及び/又はタングステン層等を1つ以上含む金属層の積層物とすることも出来る。例えば、銅、ニッケル及び金の層、又は銅、ニッケル及び銀の層で形成された接続部が有用である。或いは、2種類以上の金属を混合し、単一の接続層として形成することも可能である。
【0018】
電気接続部202〜206の厚さは均一にしても変化させても良い。多くのアプリケーションにおいては、厚さを1〜100μmとした接続部が有用である。図5〜図7は、不均一な厚さの電気接続部を含む様々な薄型パッケージ電子デバイス500、600、700を描いたものである。図5においては、電気接続部502、504の一部分には、薄型パッケージ・デバイス500に更なる強度と剛性を提供する補強リブを形成する補強層506、508が設けられている。しかしながら接続部502、504が電子デバイス208の高さよりも低ければ、接続部502、504を厚くしたとしてもパッケージングされたデバイス500の厚さまで増大させることは無い。
【0019】
図6に示したスロット又はリブを設けた形状をした電気接続部602、604は、接続部602、604の固定剤214への接着性を高めており、これによって接続部602、604が固定剤214から剥離又は分離してしまう可能性が低減されている。図5に示した接続部502、504の不均一な厚さも、接続部502、504の固定剤214への接着性を高めるものであることは言うまでもない。
【0020】
図7においては、電子デバイス208は発光ダイオード(LED)であり、電気接続部702、704、706のうちの1つには、LEDが放射した光を反射させる為のリフレクタカップを構成する陥没部708が作られている。
【0021】
薄型パッケージ電子デバイスの他の実施例においては、電気接続部の外形は他の形状をしていても良い。
【0022】
ここで図2A〜図2Dに戻るが、電気接続部202〜206は、交互に電気接続機能又はヒートシンク機能を提供するものであっても良い。電子デバイス208を接続部のうちの1つ204へと搭載する場合、デバイス208をはんだ、共晶又は導電性接着剤218を用いて実装することが出来る。或いは、電子デバイス208ははんだ、共晶、導電性接着剤又は非導電性接着剤を用いて基板200へと直接的に実装することも出来る。
【0023】
電子デバイス208は、1つ以上のいずれの半導体デバイスの形態をしていても良く、その中にはLED、レーザーダイオード、フォトダイオード、マイクロプロセッサ、抵抗器、キャパシタ、又はインダクタが含まれる。デバイス208がLED、レーザーダイオード又はフォトダイオードであった場合、固定剤214は好適な光学特性(透光性又は透明性)を持っていなければならない。いずれの場合においても、固定剤214は例えばその温度特性、絶縁性及び/又は構造特性(例えば強度又は剛性)等に基づいて選択することが出来る。
【0024】
一例として、図2Dに示した電子デバイス208はLEDダイである。図8は、フリップチップ800を一対の電気接続部802、804へと搭載したものを示している。フリップチップはその電気接続部802、804への接続を、ボンディングワイヤを要さずに実施出来ることから有用である。はんだバンプ、めっきバンプ、金スタンプ・バンプ(金バンプ)、導電性接着剤バンプ、又は他のバンプ806、808を単にリフローするだけでフリップチップ800を接続部802、804へと結合することが出来るのである。デバイス208とは対照的に、デバイス800は固定剤214の厚さ削減を実現することが出来る(ワイヤボンド210、212の封止が不要となる為等)。
【0025】
図9及び図10に示したデバイス900及び1000は、図2D及び図7に示したデバイス216、700を単一ワイヤボンド212としたものを示すものであり、一方で図11のデバイス1100はワイヤボンド210の配置を変えたものを示している。パッケージングするデバイスの種類、そしてそのアプリケーションに応じ、デバイスに設ける電気接続部はより多くても少なくても良く、ワイヤボンドの数及び配置も様々に変化させることが出来る。
【0026】
留意すべきは、上述した薄型パッケージ電子デバイスがパッケージ基板1202、基板接続部1208、1210、又はデバイスからパッケージへの接続部間接続(バイア)1218、1220(図12のパッケージ1200に示したようなもの)を含んでいないという点である。代わりに電子デバイス208は、介在の役を担う基板1202が無い状態でパッケージ接続部202〜206へと接続されているのである。
【0027】
上述したパッケージ基板1202を含まない電子デバイスとした結果、これらを他のパッケージングされた電子デバイスよりも薄く作ることが出来る。例えば、電子デバイス208がLEDダイである場合、0.3mm未満のパッケージ厚に到達することが出来る。更なる利点としては熱経路の短縮が挙げることが出来るが、これは電子デバイス208からの、より効率的な伝熱を可能とするものである。
【0028】
本発明の種々の例示的実施形態を以下に列挙する。
1.電子デバイスをパッケージングする方法であって、
前記電子デバイスを基板上の電気接続部へ電気的に接続することと、
前記電子デバイスを前記電気接続部に固定する為に固定剤を供給することと、
前記電気接続部をパッケージの接続部として露出させる為に前記基板の少なくとも一部分を除去することと
を有することを特徴とする方法。
2.前記電子デバイスが発光ダイオードであることを特徴とする1項に記載の方法。
3.前記固定剤が透明であることを特徴とする1項又は2項に記載の方法。
4.前記基板上に前記電気接続部を形成することを更に有し、前記電気接続部が不均一な厚さに形成されるものであることを特徴とする1項に記載の方法。
5.前記電気接続部がリフレクタカップを備えるように形成され、前記電子デバイスを前記リフレクタカップ中に搭載することを更に有することを特徴とする4項に記載の方法。
6.前記電気接続部の、前記固定剤が供給される側の面にスロットが設けられることを特徴とする4項に記載の方法。
7.前記基板が、半導体、ポリマー、プラスチック複合材、及び金属を含むグループから選択された材料で形成されることを特徴とする1項に記載の方法。
8.前記基板が機械的な処理により少なくとも部分的に除去されることを特徴とする1項に記載の方法。
9.前記基板が化学的な処理により少なくとも部分的に除去されることを特徴とする1項に記載の方法。
10.電子デバイスと、
前記電子デバイスに電気的に接続される電気接続部と、
前記電子デバイスを前記電気接続部へ固定する固定剤と
を具備し、
前記固定剤が前記電子デバイスのパッケージを提供するものであり、
前記電気接続部が前記固定剤中に埋め込まれ、前記固定剤の一面において露出している
ことを特徴とする、パッケージングされた電子デバイス。
【符号の説明】
【0029】
200、1202:基板
202、204、206、502、504、602、604、702、704、706、802、804、1204、1206、1208、1210:電気接続部
208:電子デバイス
214:固定剤
708:リフレクタカップ
1212:LED
1218、1220:バイア
1222:透明封止剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスをパッケージングする方法であって、
前記電子デバイスを基板上の電気接続部へ電気的に接続することと、
前記電子デバイスを前記電気接続部に固定する為に固定剤を供給することと、
前記電気接続部をパッケージの接続部として露出させる為に前記基板の少なくとも一部分を除去することと
を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−16819(P2013−16819A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180460(P2012−180460)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2005−353136(P2005−353136)の分割
【原出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(506200186)アバゴ・テクノロジーズ・イーシービーユー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (154)
【Fターム(参考)】