説明

パッド型スラスト軸受、液中モータ、及び縦型液中モータポンプ

【課題】潤滑液体の漏洩を防止しやすい構造で、始動トルクを低減するためのリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受、該パッド型スラスト軸受を用いた液中モータ、縦型液中モータポンプを提供すること。
【解決手段】軸受パッド4表面に潤滑液を加圧供給するリフトポンプ12を備えたパッド型スラスト軸受であって、リフトポンプ12の羽根車12aをスラスト軸受の軸受ハウジング10内に設けた。また、リフトポンプ12は、モータハウジング22の一部が軸受ハウジング10に挿入された状態で結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械に用いられるパッド型スラスト軸受に関するものであって、特に、始動時のトルクを軽減したパッド型スラスト軸受、該パッド型スラスト軸受を備えた液中モータ、及び縦型液中モータポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パッド型スラスト軸受は、回転軸に作用する軸方向スラスト荷重を円盤状の軸受ディスクを介して、静止面上に配置された複数の軸受パッドで支持する構造ものである。軸受パッドは負荷容量を大ならしめるため、キングスベリー型(ティルティングパッド型)に代表されるような揺動可能な構造で静止側から支持されている。
【0003】
図1は、従来のパッド型軸受の断面構造を示す図である。軸受負荷は、回転軸(主軸)6に設けられた軸受ディスク5の回転により軸受パッド4を構成する上部軸受パッド2及び下部軸受パッド3と軸受ディスク5との間で生じる動圧作用で支持される。通常、軸受パッド4は上下両方向のスラスト荷重を支持することができるように、軸受ディスク5の上側に設けた上部軸受パッド2と下側に設けた下部軸受パッド3からなる。上部軸受パッド2及び下部軸受パッド3はそれぞれ複数枚の軸受パッドからなり、ディスク5と軸受上カバー1aと軸受下カバー1bからなる軸受カバー1内に収納され一体型となっている。10は軸受ハウジングである。
【0004】
回転軸6が回転して軸受ディスク5が回転すると、揺動自在の上部軸受パッド2、及び下部軸受パッド3が僅かに傾き、ディスク5との隙間に動圧効果による潤滑液皮膜が形成され、ディスク5と上部軸受パッド2、下部軸受パッド3は固体接触することなく流体潤滑状態で大荷重を支持することができる。
【0005】
回転機械が静止状態で回転軸が回転していない場合は、動圧効果が生じずディスク5と軸受パッド4の間は潤滑液膜が形成されない。潤滑液体が粘性の比較的高い油の場合、軸受ディスク5や上部軸受パッド2や下部軸受パッド3の面に存在する僅かの凹凸部に油が残存する。このとき、静止状態で上下部軸受パッド2、3の面に作用する荷重が低負荷であれば、軸受はかじりつきを生じることなく境界摩擦潤滑で始動可能な場合もある。しかし、上下部軸受パッド2、3の面に作用する荷重が小さくない場合は、固体摩擦潤滑となってかじり付きが生じやすい。特に、粘性の低い水等の境界潤滑効果が極めて低い潤滑液体が使用されている場合は、始動時に固体摩擦潤滑となりやすく、かじり付きが生じやすい。
【0006】
縦型回転機械のスラスト軸受には回転体の自重が作用するため、始動時には摩擦係数の大きい境界摩擦潤滑又は固体摩擦潤滑状態となる。このため、流体潤滑となる回転機械の定常運転時と比較すると、10〜100倍のトルクが始動時に必要となる。
【0007】
このような縦型回転機械のスラスト軸受に作用する始動トルクを軽減するため、図2に示すように、軸受パッド4に外部から潤滑液を加圧注入するリフトポンプ8を設けることがある。図2に示す例では、リフトポンプ8は貯液タンク9内の潤滑液を昇圧して、下部軸受パッド3に設けられた小孔に注入する。また、特許文献1や2に記載された形態では、潤滑液は軸受ハウジング内から配管を介してリフトポンプ吸込部に導かれ、リフトポンプで加圧された潤滑液がフレキシブルチューブ等を通して上下部軸受パッド部に導かれ、軸受パッドの中心に設けられた小孔から軸受隙間部(ディスクと軸受パッドとの間の隙間)に圧入される。
【0008】
潤滑液の圧力は、軸受ディスク5が下部軸受パッド3から浮上するよう調整される。潤滑液体の流量Q、圧力ΔP(軸受パッド入口圧力P1−出口圧力P2)、軸受隙間h、潤滑液体の粘性係数μ、パッドを近似的に円形とした場合の半径r2、中心小孔の半径をr1とすると、凡そ以下の関係がある(機械工学便覧)。
Q=π・h3・ΔP/{6・μloge(r2/r1)}
より、軸受パッドに作用する圧力反力Wpは、
Wp=∫r2r1{P1−Q/(πh3/6μloge(r/r1))}・2πr・dr
回転体に作用する荷重Wgがパッド部圧力反力Wpと等しくなる時、回転体は浮揚し、始動が容易になる。回転体が始動し、軸受部に動圧が生じた後は流体潤滑が実現できるので、リフトポンプからの潤滑剤の圧入は不要となる。
【0009】
始動時の軸受ハウジング10内の圧力Phが高い場合、図2に示すような外部設置のリフトポンプ8を用いると、吐出圧力は、Pp=ΔP+Phとなる。Ph>ΔPの場合は、リフトポンプ8の吐出圧力の大半は軸受ハウジング10内の圧力に抗するために消費され、軸受浮揚には僅かしか用いられない。この場合、リフトポンプ8吐出圧力は軸受浮揚のための圧力ΔPと比較して大きくなるため、吐出圧力の僅かな超過で軸受ディスク5は上部軸受パッド2側に押し付けられてしまう。従って、リフトポンプ8の圧力制御を厳密に行われなければならない。
【0010】
また、始動時の軸受ハウジング10内の圧力Phが高い場合、リフトポンプ8と軸受ハウジング10を接続する圧力配管も高圧に耐えられる設計にしなければならないし、回転機械本体の振動や圧力変化、温度変化などで配管継手部から内部液体が漏洩する可能性が高まる。特に、回転機械本体が無漏洩性の縦型シールレスモータポンプである場合は、リフトポンプ8や圧力配管についても無漏洩性を確保しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭60−065908号公報
【特許文献2】特開平07−027140号公報細
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の技術では、始動時の軸受ハウジング10内の圧力Phが高い場合のリフトポンプ8の圧力制御を厳密に行わなければならないという要請、リフトポンプ8と軸受ハウジング10部を接続する圧力配管の高耐圧性、無漏洩性、特に、回転機械本体が無漏洩性の縦型シールレスモータポンプである場合のリフトポンプ8や圧力配管の無漏洩性の確保に十分応えるものではなかった。
【0013】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、潤滑液体の漏洩を防止しやすい構造で、始動トルクを低減するためのリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受、該パッド型スラスト軸受を用いた液中モータ、及び縦型液中モータポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、パッド表面に潤滑液を加圧供給するリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受であって、リフトポンプの羽根車が、スラスト軸受の軸受ハウジング内に設けられたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記パッド型スラスト軸受において、リフトポンプは、リフトポンプを駆動するモータのモータハウジングの一部が軸受ハウジングに挿入された状態で結合されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記パッド型スラスト軸受において、リフトポンプは、シールレスモータポンプであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記パッド型スラスト軸受において、シールレス型リフトポンプを、軸受ハウジング外部から一体で取り外し可能な構造としたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、パッド表面に潤滑液を加圧供給するリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受であって、リフトポンプを構成するシールレスモータポンプのモータハウジングが、スラスト軸受の軸受ハウジングとの間に潤滑液のシール面を形成するように、スラスト軸受に結合されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上記パッド型スラスト軸受を備えたことを特徴とする縦型液中モータにある。
【0020】
また、本発明は、上記縦型液中モータを備えたことを特徴とする縦型液中モータポンプにある。
【0021】
また、本発明は、上記パッド型スラスト軸受において、潤滑液が水であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記縦型液中モータにおいて、パッド型スラスト軸受の潤滑液が水であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、リフトポンプの羽根車を、スラスト軸受の軸受ハウジング内に設けたので、潤滑液体が高圧になる場合でも、潤滑液体の漏洩を防止することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来のティルティングパッド型スラスト軸受の断面構造を示す図である。
【図2】従来の外部リフトポンプを備えたティルティングパッド型スラスト軸受の断面構造を示す図である。
【図3】注液孔を有する軸受パッドの平面構造を示す図である。
【図4】本発明に係る内蔵型リフトポンプを有するティルティングパッド型スラスト軸受の断面構造を示す図である。
【図5】本発明に係る内蔵型リフトポンプを有するティルティングパッド型スラスト軸受を用いた縦型液中モータホンプの断面構造を示す図である。
【図6】自在継手の断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図4は本発明に係るパッド型スラスト軸受の断面構造を示す図である。本パッド型スラスト軸受は内蔵シールレスモータ(ステータ鉄心及び巻線がキャンで覆われたキャンドモータ)型リフトポンプを備え、これを軸受ハウジング10と一体化した構造である。
【0026】
軸受上カバー1aと軸受下カバー1bからなる軸受カバー1内に回転機械の回転軸(主軸)6に固定された軸受ディスク5を挟むように上部軸受パッド2と下部軸受パッド3が設置されている。上部軸受パッド2は複数の軸受パッドからなり、それぞれが軸受上カバー1aにティルト機構7を介して支持されている。同様に下部軸受パッド3は複数の軸受パッドからなり、それぞれが軸受下カバー1bにティルト機構7を介して支持されている。
【0027】
図3は下部軸受パッド3を上方から見た上面図である。図示するように、下部軸受パッド3は複数個(図では8個)の軸受パッド11が軸受下カバー1bの上に円周状上に配置され、それぞれの軸受バッド11の中心部には軸受リフト用潤滑油が流出する液圧流出孔11aが開口している。また、それぞれの軸受パッド11の下面には軸受リフト用潤滑油を導入する液圧導入孔11bが開口している。
【0028】
軸受上カバー1aは略円筒形状をしており、上部中央には主軸6が貫通する貫通穴1eが形成された上部壁1cを有している。該上部壁1cの下面に各軸受バッド11を支持するティルト機構7が設けられている。上部壁1cの周縁から側壁1dが下方に延び、軸受下カバー1bと結合されている。側壁1dには複数個の穴1fが設けられている。
【0029】
また、下部軸受パッド3の軸受パッド11の液圧導入孔11bに対応する位置に、軸受下カバー1bを貫通する貫通孔1gが設けられている。軸受下カバー1bの下面には潤滑液流路カバー17が取り付けられる。該潤滑液流路カバー17の中央部にはリフトポンプ12が差し込まれる穴17aが設けられ、軸受下カバー1bの下面との間に円盤状の潤滑液流路18を形成している。潤滑液流路カバー17は脚19によって軸受ハウジング10と結合される。なお、スラスト軸受への荷重はこの脚19を介して軸受ハウジング10で支えられるため、軸受カバー1と軸受ハウジング10とを結合する脚を別途設けるなどして、補強してもよい。
【0030】
リフトポンプ12は、モータ部Mとポンプ部Pから構成されている。モータ部Mはキャンドモータ12cを備え、リフトポンプ12はシールレスモータポンプとして構成されている。リフトポンプ12の回転軸20の上端には、遠心式の羽根車12aが、吸込側が下になるように固定される。羽根車12aとキャンドモータ12cとの間には、潤滑液吸込流路が形成された上部ポンプケーシング部材21aと下部ポンプケーシング部材21bからなるポンプケーシング21がモータハウジング22に固定される。ポンプケーシング21は、潤滑液流路カバー17の中央部の穴17aに差し込まれ、その穴17aを塞ぐ上部ポンプケーシング部材21aと、モータハウジング22に固定される下部ポンプケーシング部材21bとが潤滑液吸込流路18を挟んで、接合部24で接合され一体となっている。ポンプケーシング21上面には吐出側ガイドベーン23を設けても良い。また、接合部は潤滑液吸込流路18における吸込側ガイドベーンとして形成しても良い。
【0031】
リフトポンプ12の回転軸20はキャンドモータ12c内で、ラジアル軸受25、26とスラスト軸受27に支えられている。モータハウジング22には環状のリフトポンプ取付用フランジ22aが設けられており、リフトポンプ12は軸受ハウジング10の下部に設けられた穴10aに差し込まれた状態で、軸受ハウジング10に締結固定される。
【0032】
下部軸受パッド3の各軸受パッド11の液圧導入孔11bと、それに対応する軸受下カバー1bの貫通孔1gとは、自在継手16によって連通されている。自在継手16は、図6に示すように両端に一部が球形の頭部を有する円筒管型とし、下部軸受パッド3の各軸受パッド11の液圧導入孔11bと軸受下カバー1bに設けられた貫通孔1gに挿入され、加圧潤滑液をシールできるよう、該球形頭部にOリング28を装着した構成になっている。このため下部軸受パッド3の各軸受パッド11及び軸受下カバー1bは、自在継手16に対して、継手軸方向、軸直角方向の変位が許容される。そして、潤滑液のシールを確実にしつつ、主軸回6の回転時の軸受ディスク5の複雑な動きを抑制しないようになっている。
【0033】
なお、下部軸受パッド3の各軸受パッド11の液圧導入孔11bと、軸受下カバー1bの貫通孔1gとの接続は自在継手16にかぎられず、フレキシブルチューブ等で接続しても良い。
【0034】
リフトポンプ12が回転すると、潤滑液は軸受ハウジング10内から吸い込まれ、羽根車11aを介して下部軸受パッド3の各軸受パッド11の液圧導入孔11bに導かれ、軸受ディスク5を浮揚せしめた後、再び軸受ハウジング10内に流出する。
【0035】
リフトポンプ12の羽根車12aが、軸受ハウジング10内に位置して吸込流路、吐出流路も軸受ハウジング10内に配置されるため、軸受ハウジング10外に潤滑液配管を無くすことができ、回転機械本体の振動、圧力、温度変動などによる漏洩の危険性が無くなる。
【0036】
リフトポンプ12の羽根車12a、ポンプケーシング21(ポンプケーシング上部材21a、及びポンプケーシング下部材21bとからなる)、及びモータハウジング22の軸受ハウジング10に挿入される部分の外径は、いずれも軸受ハウジング10底面に設けられた穴の外径よりも小さい。したがって、リフトポンプ12は、軸受ハウジング10の底部から軸受下カバー1b部に一体として挿入、取り出しすることができる。耐圧接続箇所は、リフトポンプ12のモータケーシング22に設けられたフランジ22a部分と軸受ハウジングと10の間のシール面のみとすることができ、また、リフトポンプ12自体をシールレスポンプとして構成したため、潤滑液が高圧となる場合でも漏洩の可能性を低減することができる。
【0037】
なお、リフトポンプ12はキャンドモータポンプではなく、モータコイル導線を耐水コーティングした、いわゆるポリ巻構造のモータポンプでもよい。
【0038】
図5は、スラスト軸受に、図4に示すパッド型スラスト軸受を用いたシールレスの縦型液中モータポンプの断面構造を示す図である。本縦型液中モータポンプは図示するように、ポンプ部Pとモータ部Mとからなり、モータ部Mのモータケーシング41の底面に図4に示すパッド型スラスト軸受30の軸受ハウジング10を固定した構成である。縦型液中モータポンプのモータ部Mは、モータケーシング41内にステータ鉄心42にステータ巻線43を装着したステータ44を嵌挿固定し、該ステータ44をキャン45で覆った構成のキャンドモータである。
【0039】
ステータ44の中央部には回転軸40に固定されてロータ48が配置され、該回転軸40の下端部には、パッド型スラスト軸受30の軸受ディスク5が固定され、回転軸40はスラスト方向をパッド型スラスト軸受30に支持され、ラジアル方向をモータケーシング41内に配置されたラジアル軸受46、47で支持されている。また、ポンプ部Pはポンプケーシング51内に回転軸40の上端に固定されたポンプ羽根車52が配置された構成である。
【0040】
上記のように構成された液中モータポンプでは、パッド型スラスト軸受30には、液中モータのロータ48、ポンプ羽根車52、回転軸40等の重量が作用するため、潤滑液膜の形成されていないポンプ始動時には、軸受部は固体摩擦が生じ、軸受がかじりつく場合があるが、ここではリフトポンプ12により軸受ディスク5を浮揚させた後に始動すれば、軸受のかじりつきの恐れはなくなる。
【0041】
このような構造の液中モータポンプは、例えば原子炉冷却水循環ポンプのように、内圧力が70〜160barと高圧で内部液体の漏洩が許容されない大型シールレスモータポンプに用いることができる。例えば、加圧水型原子炉の一次冷却材ポンプとして出力5500kw級の大型シールレスポンプを採用しようとすると、同ポンプのスラスト軸受には約12トンの回転体静止重量が作用する。水中軸受を直径約900mmのパッド型スラスト軸受とすると、外部加圧ポンプ式のリフトポンプ8(図2参照)で軸受ディスクを浮揚させる場合、リフトポンプ8の所用揚程は内部圧力に抗する分を加味して約164bar必要となる。
【0042】
この場合、回転体の浮揚制御に要する圧力は4barと見積もることができ、これより10%、つまり、0.4bar高くなるだけで回転体は上部軸受パッド2a側に移動して固着してしまう。即ち、外部リフトポンプ8の場合その吐出圧力の設定許容値を164barに対して0.25%の精度で制御しないと安定した浮揚を維持できない。一方、本実施形態のように、リフトポンプ12を軸受ハウジング10内に内蔵する場合は揚程は回転体浮揚に要するだけの4barで良いため、動力は約1/41となり、設定精度も0.4bar、即ち10%程度の精度で回転体を十分安定に浮上維持できる。
【0043】
また、本実施形態例では、リフトポンプ12と軸受ハウジング10とを結合するにあたって、周囲雰囲気との境界をなす耐圧シール部はリフトポンプ12のモータハウジングと軸受ハウジング10との装着部だけとなるため、内部液体の漏洩に対する信頼性は、軸受ハウジング10外に配管を設置する場合と比較して高くすることができる。また、メンテナンス時もリフトポンプ12を軸受ハウジング10から一体でとり外すだけで良く、短時間で作業が可能である。リフトポンプ12にも本体ポンプと同形式の小型シールレスモータポンプを用いることにより、ポンプ全体として本体に求められるのと同等の高い信頼性を確保できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、リフトポンプの羽根車をスラスト軸受の軸受ハウジング内に設けたので、潤滑液体が高圧になる場合でも、潤滑液体の漏洩を防止することができるパッド型スラスト軸受、及びスラスト軸受に該パッド型スラスト軸受を備えた液中モータ、及び縦型液中モータポンプを提供することに利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 軸受カバー
2 上部軸受パッド
3 下部軸受パッド
4 軸受パッド
5 軸受ディスク
6 回転軸
7 ティルト機構
8 リフトポンプ
9 貯液タンク
10 軸受ハウジング
11 軸受パッド
12 リフトポンプ
16 自在継手
17 潤滑液流路カバー
18 潤滑液流路
19 脚
20 回転軸
21 ポンプケーシング
22 モータハウジング
23 吐出側ガイドベーン
24 接合部
25 ラジアル軸受
26 ラジアル軸受
27 スラスト軸受
28 Oリング
30 パッド型スラスト軸受
40 回転軸
41 モータケーシング
42 ステータ鉄心
43 ステータ巻線
44 ステータ
45 キャン
46 ラジアル軸受
47 ラジアル軸受
48 ロータ
52 ポンプ羽根車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド表面に潤滑液を加圧供給するリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受であって、
前記リフトポンプの羽根車が、前記スラスト軸受の軸受ハウジング内に設けられたことを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項2】
請求項1記載のパッド型スラスト軸受において、
前記リフトポンプは、前記リフトポンプを駆動するモータのモータハウジングの一部が前記軸受ハウジングに挿入された状態で結合されていることを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項3】
請求項1又は2記載のパッド型スラスト軸受において、
前記リフトポンプは、シールレスモータポンプであることを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項4】
請求項3記載のパッド型スラスト軸受において、
前記シールレス型リフトポンプを、軸受ハウジング外部から一体で取り外し可能な構造としたことを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項5】
パッド表面に潤滑液を加圧供給するリフトポンプを備えたパッド型スラスト軸受であって、
前記リフトポンプを構成するシールレスモータポンプのモータハウジングが、前記スラスト軸受の軸受ハウジングとの間に前記潤滑液のシール面を形成するように結合されることを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに1項記載のパッド型スラスト軸受を備えたことを特徴とする縦型液中モータ。
【請求項7】
請求項6記載の縦型液中モータを備えたことを特徴とする縦型液中モータポンプ。
【請求項8】
請求項5記載のパッド型スラスト軸受において、
前記潤滑液が水であることを特徴とするパッド型スラスト軸受。
【請求項9】
請求項6記載の縦型液中モータにおいて、
前記パッド型スラスト軸受の潤滑液が水であることを特徴とする縦型液中モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−169424(P2011−169424A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35090(P2010−35090)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】