説明

パトローネ型固体撮像装置

【課題】 パトローネ型固体撮像装置のバッテリ電源の消耗を抑制する。
【解決手段】 バッテリ電源25からの電力供給を受けて動作する制御部33と、制御部33からの電源投入指令があったときバッテリ電源25の電力を画像処理等を行う電子回路に供給するスイッチ51bと、パトローネ型の筐体とは別体に構成され制御部33に無線を介して接続されるカメラ用アタッチメントであって、フィルムカメラのレリーズボタンに重ねて装着されレリーズボタンと一体に押下されるボタンと、該ボタンに対する接触を感知するセンサと、該接触が感知されたとき検知信号を無線発信して制御部33に伝え電源投入指令をスイッチ51bに出力させる無線発信手段とを有するカメラ用アタッチメントとを設ける。これにより、撮影していないときは節電モードとなるため、バッテリの消耗が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銀塩フィルムカメラに装着してデジタル画像を撮像するパトローネ型固体撮像装置に係り、特に、バッテリの省電力を図り長時間のデジタル画像の撮像を可能にするパトローネ型固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のパトローネ型固体撮像装置の斜視図であり、下記の特許文献1,2,3に開示されている。従来のパトローネ型固体撮像装置1は、銀塩フィルムを収納するパトローネから10cm程度の所定長さのフィルムを引き出した形状の筐体2を備え、この筐体2のフィルム対応部分3に固体撮像素子4を取り付け、パトローネ対応部分5に電子回路やバッテリ電源を収納する構成になっている。
【0003】
そして、図8に示す様に、フィルムカメラ5の裏蓋6を開けて、固体撮像素子4がレンズ7方向に向くようにパトローネ型固体撮像装置1をフィルムカメラ5内に装着し、裏蓋6を閉じる。
【0004】
フィルムカメラ5のレリーズボタン8を半押ししてS1スイッチが投入されると、フィルムカメラ5のオートフォーカス機能や露出機能が動作してフォーカスレンズ位置や絞り開口量、シャッター速度が決定され、レリーズボタン8を全押ししてS2スイッチが投入されると、シャッターが切られる。これにより、レンズ7を通して撮像された被写体画像が固体撮像素子4に結像され、固体撮像素子4からデジタル画像データが電子回路内のメモリに取り込まれる。
【0005】
【特許文献1】特開平9―98326号公報
【特許文献2】特開2000―184250号公報
【特許文献3】特開2003―234932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のパトローネ型固体撮像装置は、筐体2に設けられた電源スイッチを投入してカメラ5内に収納される関係で、常時電源オン状態となる。このため、カメラ5で撮影を行わない間もバッテリ電源を消費し、長時間にわたるデジタル画像の撮像に不向きであるという問題がある。また、カメラ5の裏蓋6を一々開けて電源スイッチをオンオフすればバッテリ電源を長時間保つことができるが、それではシャッターチャンスを逃すことになってしまう。
【0007】
本発明の目的は、バッテリ電源を長時間保つことができ、しかもシャッターチャンスを逃すことがないパトローネ型固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパトローネ型固体撮像装置は、パトローネからフィルムを所定長さ引き出した形状の筐体を備え、前記フィルムに対応する箇所に固体撮像素子を搭載し、前記パトローネに対応する箇所に前記固体撮像素子を駆動すると共に該固体撮像素子から読み出したデータを処理する電子回路及びバッテリ電源を収納して構成され、フィルムカメラにフィルムの代わりに装着してデジタル画像を撮影するパトローネ型固体撮像装置において、前記バッテリ電源からの電力供給を受けて動作する制御部と、該制御部からの電源投入指令があったとき前記バッテリ電源の電力を前記電子回路に供給するスイッチ手段と、前記筐体とは別体に構成され前記制御部に無線を介して接続されるカメラ用アタッチメントであって、前記フィルムカメラのレリーズボタンに重ねて装着され該レリーズボタンと一体に押下されるボタンと、該ボタンに対する接触を感知するセンサと、該接触が感知されたとき検知信号を無線発信して前記制御部に伝え前記電源投入指令を前記スイッチ手段に出力させる無線発信手段とを有するカメラ用アタッチメントとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが撮影しようとしてレリーズボタンを押下しようとする動作によってバッテリ電源が投入され、撮影動作を止めると自動的に節電モードに入るため、バッテリの消耗を抑制することができ、デジタル画像の撮影を長時間に亘って行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置を装着した銀塩フィルムカメラの説明図である。本実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置10は、図8と同様にフィルムカメラ11内に裏蓋12を開けて装着されるが、本実施形態では更に、フィルムカメラ11のレリーズボタン13が設けられた部分に着脱自在に嵌合することができるカメラ用アタッチメント15を設ける。このカメラ用アタッチメント15には、レリーズボタン13を覆いレリーズボタン13と一体に押下することができるボタン16が設けられている。
【0012】
図2は、カメラ用アタッチメント15の内部回路を示す図である。このカメラ用アタッチメント15は、ボタン16にユーザの指がタッチしたことを感知するタッチセンサ17と、ボタン16にタッチされていることをタッチセンサ17が感知したとき所定周波数で発振する発振回路(無線発信手段)18と、発振回路18の出力を無線により出力するアンテナ19と、発振回路18やタッチセンサ17に電力を供給するボタン電池20とを備える。
【0013】
図3は、本実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置10の正面斜視図である。このパトローネ型固体撮像装置10の筐体21のフィルム対応部分22には固体撮像素子23が取り付けられており、パトローネ対応部分24には、交換可能なバッテリ電源25と、電子回路26とが収納されている。
【0014】
図4は、図3に示すパトローネ型固体撮像装置10の背面斜視図である。パトローネ型固体撮像装置10の背面部分の所定箇所には、電源投入用の押しボタン30と、アンテナ31とが設けられている。この所定箇所は、フィルムカメラ11にフィルム確認用の窓が設けられている場合にはこの窓に対面する箇所が好ましく、押しボタン30が押され押しボタン30自身を発光させたときこれを窓から容易に確認可能となる。
【0015】
図5は、図3,図4に示すパトローネ型固体撮像装置10の機能構成ブロック図(図3に示す電子回路26の機能構成を含む。)である。本実施形態のパトローネ型固体撮像装置10は、パトローネ型固体撮像装置10の全体を統括制御するCPU33と、固体撮像素子23の駆動をCPU(制御部)33からの指示により制御する撮像素子駆動部35と、固体撮像素子23の出力データを取り込んでCPU33からの指示により信号処理するアナログ信号処理部36と、アナログ信号処理部36から出力される画像データをデジタルデータに変換するA/D変換器37とを備える。
【0016】
パトローネ型固体撮像装置10の電気制御系は、フレームメモリ41に接続されたメモリ制御部42と、A/D変換器37から出力されるデジタルの画像データを取り込んでガンマ補正やRGB/YC変換等の画像処理を行うデジタル信号処理部43と、撮像画像をJPEG画像に圧縮したり圧縮画像を伸張したりする圧縮伸張処理部44と、撮像画像データを積算してホワイトバランスのゲインを調整させる積算部45と、JPEG画像データ等の撮像画像データを保存する記録媒体46及びこの記録媒体46を制御するメモリ制御部47と、アンテナ31に接続され外部との間で無線通信を行う無線インタフェース48と、これらを相互に接続する制御バス49及びデータバス50を備える。
【0017】
パトローネ型固体撮像装置10の電源回路51は図3に示すバッテリ25を電力源とし、開閉スイッチ51aを介してCPU33及び無線インタフェース48に電力を供給すると共に、開閉スイッチ51bを介してパトローネ型固体撮像装置10を構成する各処理部(CPU33と無線インタフェース48を除く。)に電力を供給する構成になっている。
【0018】
そして、スイッチ51aは、図4に示す押しボタンスイッチ30がユーザにより押下されたとき閉成され、CPU33と無線インタフェース48とに電力供給がなされる。また、スイッチ51bは、CPU33からの電源投入指令により開閉制御される。
【0019】
次に、上述した構成のパトローネ型固体撮像装置10の動作を、図6の電源制御処理手順を示すフローチャートを参照して説明する。
【0020】
ユーザがパトローネ型固体撮像装置10を使用するために、パトローネ型固体撮像装置10を図1のフィルムカメラ11内に装着するとき、押しボタン30を押下してから装着する。これにより、図5の開閉スイッチ51aが閉成され、CPU33と無線インタフェース48だけに電力が供給される。即ち、節電モードのもとで、図6の電源制御プログラムが起動する。そして、ユーザは、カメラ用アタッチメント15をフィルムカメラ11のレリーズボタン13部分に嵌合装着する。
【0021】
ユーザがデジタル画像を撮像しようとしてボタン16に触れると、これをタッチセンサ17が感知し、「タッチ有り」を示す無線信号がアタッチメント15のアンテナ19から発信される。図5のCPU33は、図6のステップS1で「タッチ有り」の信号受信を待機しており、CPU33が無線インタフェース48を介してアンテナ31から「タッチ有り」の信号を受信したとき、ステップS2に進み、図5に示すスイッチ51bを閉成する。これにより、パトローネ型固体撮像装置10の全機能が動作可能状態となる。
【0022】
その後に、ユーザはデジタル画像の撮像動作を行うが、この撮像動作は、図6の処理とは関係なく行われる。撮像動作は、通常のフィルムカメラの撮影と同様に行われる。即ち、ユーザがボタン16を半押しすると、その下のレリーズボタン13のS1スイッチが投入される。これにより、フィルムカメラ11のオートフォーカス機能や露出機能等が動作してフォーカスレンズ位置の調整や絞り開口量の制御が行われ、また、フィルムカメラ11に搭載されている図示しないCPU(勿論、CPU33とは異なる)がシャッター速度を決定する。
【0023】
ユーザがボタン16を全押しすると、その下のレリーズボタン13のS2スイッチが投入され、フィルムカメラ11のシャッタが上記のシャッター速度で切られる。即ち、フォーカルプレーンシャッタを搭載しているカメラであれば、フォーカルプレーンシャッタの前幕と後幕とが走行し、レンズシャッタを搭載しているカメラであれば、レンズシャッタの開閉が行われる。尚、勿論、シャッター速度や絞り開口量の制御、ピント調整等をマニュアル操作することも可能である。
【0024】
これにより、固体撮像素子23の受光面に被写体画像が結像し、固体撮像素子23から、撮像画像のデータが、通常のデジタルカメラと同様に読み出され、記録媒体46に格納される。
【0025】
図6の電源制御プログラムは、デジタル画像の撮影中であってもアタッチメント15からの「タッチ有り」信号が受信できなくなるのを待機しており(ステップS3)、「タッチ有り」信号が受信できなくなったときはステップS4に進み、スイッチ51bを開放する。これにより再び節電モードに入ってCPU33と無線インタフェース48にのみ電力が供給され、バッテリ25の消費が抑制される。
【0026】
尚、図6に示す実施形態では、ユーザがボタン16から指を離したとき直ちにスイッチ51bが開放され指を接触させたときスイッチ51bを閉成する構成としたが、指の接触、離間を検出する度に一々電源がオンオフされるのを避けるために、ソフトタイマなどを設け、指を離してから所定時間、例えば1分間は電源がオン状態に保たれるようにしてもよい。
【0027】
以上述べた様に、本実施形態によれば、撮影動作に入るときにバッテリ電源が投入されて全駆動モードに入り、撮影動作に入らないときは節電モードに入るため、バッテリ電源25の消耗を抑制でき、長時間の撮影が可能となる。
【0028】
また、本実施形態のパトローネ型固体撮像装置10は、フィルムカメラ11側を何ら改造する必要がないため、フィルムカメラ11を銀塩フィルムカメラとして使用するときは、単にパトローネ型固体撮像装置10をカメラ11から取り外し、代わりに銀塩フィルムを装着するだけで、フィルムカメラとして使用可能である。
【0029】
即ち、本実施形態のパトローネ型固体撮像装置は、既存のフィルムカメラが持つ高価で高機能なレンズや堅牢なカメラボディをそのまま利用できると共に、固体撮像素子の製造技術が進歩して固体撮像素子の高画素化が更に進んだ場合には、新しい固体撮像素子を搭載したパトローネ型固体撮像装置をフィルムの様に交換して使用するだけで、ユーザは技術進歩の恩恵を安価に享受可能となる。
【0030】
尚、上述した実施形態では、撮像画像データを記録媒体46に格納しただけであり、パトローネ型固体撮像装置10をカメラ11から取り出しパソコン等にUSBケーブル等で接続して外部に撮像画像データを読み出すことを前提としたが、例えば特許文献3に記載されている様に、無線インタフェース48を利用して外部の携帯端末装置に画像データを伝送し、携帯端末装置の表示画面に撮像画像データを表示させる様にしても良いことはいうまでもない。
【0031】
また、上記の携帯端末装置から無線インタフェース48を通してCPU33に指令を送り、固体撮像素子23の感度切替や動画撮影や静止画撮影等の撮影モードの切替、ホワイトバランス補正の切替など、通常のデジタルカメラに搭載されている諸機能を行う構成を付加することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るパトローネ型固体撮像装置は、既存のフィルムカメラを何ら改造することなくそのレンズやカメラボディを利用可能となり、しかも、バッテリ電源の消費が抑制され長時間の使用が可能になるため、既存のレンズ付きデジタルカメラに代わるカメラとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置を装着したフィルムカメラの背面斜視図である。
【図2】図2は、図1に示すカメラ用アタッチメントの構成回路図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置の正面斜視図である。
【図4】図3に示すパトローネ型固体撮像装置の背面斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパトローネ型固体撮像装置の機能ブロック図である。
【図6】図5に示すCPUが実行する電源制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】従来のパトローネ型固体撮像装置の正面斜視図である。
【図8】図7に示すパトローネ型固体撮像装置の背面斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10 パトローネ型固体撮像装置
11 フィルムカメラ
12 裏蓋
13 レリーズボタン
15 カメラ用アタッチメント
16 ボタン
17 タッチセンサ
18 発振回路(無線発信手段)
19,31 アンテナ
20 ボタン電池
21 筐体
23 固体撮像素子
25 バッテリ電源
30 電源投入用の押しボタン
33 CPU
48 無線インタフェース
51 電源回路
51a,51b 開閉スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パトローネからフィルムを所定長さ引き出した形状の筐体を備え、前記フィルムに対応する箇所に固体撮像素子を搭載し、前記パトローネに対応する箇所に前記固体撮像素子を駆動すると共に該固体撮像素子から読み出したデータを処理する電子回路及びバッテリ電源を収納して構成され、フィルムカメラにフィルムの代わりに装着してデジタル画像を撮影するパトローネ型固体撮像装置において、前記バッテリ電源からの電力供給を受けて動作する制御部と、該制御部からの電源投入指令があったとき前記バッテリ電源の電力を前記電子回路に供給するスイッチ手段と、前記筐体とは別体に構成され前記制御部に無線を介して接続されるカメラ用アタッチメントであって、前記フィルムカメラのレリーズボタンに重ねて装着され該レリーズボタンと一体に押下されるボタンと、該ボタンに対する接触を感知するセンサと、該接触が感知されたとき検知信号を無線発信して前記制御部に伝え前記電源投入指令を前記スイッチ手段に出力させる無線発信手段とを有するカメラ用アタッチメントとを備えることを特徴とするパトローネ型固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−243118(P2006−243118A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55605(P2005−55605)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】