説明

パネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造

【課題】建築用パネルの端部を見栄え良く納め得るとともに、施工性に優れたパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造を提供する。
【解決手段】下地材2に取付けられる建築用パネル30の一端部31に沿って配設されるパネル端部納め用部材1であって、前記建築用パネルの一端部の端面32に対面して配される立ち上がり壁部13と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部から幅方向かつ前記建築用パネルが配される側に向けて突設され、該一端部の端面近傍表面に当接される弾性片部15と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向基端部から前記弾性片部と同方向に向けて延設され、前記下地材に取付け固定される固定片部11とを備えており、前記固定片部には、前記立ち上がり壁部側に向けて登るように傾斜した傾斜部16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅等の建物の壁や天井等に取付け施工される建築用パネルの端部には、該端部を被覆する見切り縁部材や、隣接する建築用パネルの端部間に介在されて、端部間の隙間を塞ぐ目地部材等のパネル端部納め用部材が配設されている。
このようなパネル端部納め用部材は、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボード、あるいは胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等の下地材に、並列配置されて取付けられる複数枚の内装パネルや外装パネル、天井パネル等の建築用パネルの一端部に沿って該下地材に取付け固定される。
【0003】
従来のパネル端部納め用部材としては、例えば、下記特許文献1には、内装材や外装材等の乾式壁材の端部をカバーしたり、張り始めたり、あるいは軒天井、窓回りの納めに使用する端部材が提案されている。
上記特許文献1には、水平面状に形成され、下地材に固定される固定面と、該固定面の先端を上方に突出させた側面と、該側面の先端を固定面と略平行に突出させたカバー面とによって断面形状が略コ字状に形成され、該コ字状の空間に、上記したような建築用パネルの端部を嵌め入れる構造とした端部材が提案されている。
【0004】
また、上記特許文献1には、他の態様として、上記同様の固定面、上記同様の側面、及び該側面に設けられた嵌合凹部を有した敷目板と、該敷目板の嵌合凹部に嵌め入れられる係止突片を有したカバー材とからなり、該敷目板の固定面に建築用パネルの端部裏面を当接させ、カバー材の係止突片を上記嵌合凹部に嵌め入れて、該端部表面をカバーする構造とした端部材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−13647号公報(図3、図7及び図8等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来の一般的な端部材では、以下のような問題があった。
前者の断面形状が略コ字状とされた端部材では、建築用パネルの厚さ寸法の僅かな大小等により、該端部を上記コ字状空間へ嵌め入れ難くなり、該端部が傷付いたり、或いは、該端部材のカバー面と建築用パネルの端部表面との間に隙間が生じたりする問題があった。
一方、後者のカバー材と受け部材とからなる端部材にすれば、上記したような嵌め入れの際に生じる恐れのある該端部の傷つきや、該端部との隙間等の発生は、ある程度は改善されるが、建築用パネルの端部の裏面と表面とを別部材にて保持する構造となるため、該建築用パネルを施工する際に、カバー材を嵌め入れるまでは、該端部の保持がなされず、施工性の観点から改善が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、建築用パネルの端部を見栄え良く納め得るとともに、施工性に優れたパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係るパネル端部納め用部材は、下地材に取付けられる建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材であって、前記建築用パネルの一端部の端面に対面して配される立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部から幅方向かつ前記建築用パネルが配される側に向けて突設され、該一端部の端面近傍表面に当接される弾性片部と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向基端部から前記弾性片部と同方向に向けて延設され、前記下地材に取付け固定される固定片部とを備えており、前記固定片部には、前記立ち上がり壁部側に向けて登るように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材においては、前記弾性片部を、前記建築用パネルが配される側の側端部から前記一端部の端面近傍表面側に向けて折り曲げ形成されるとともに、該端面近傍表面に当接される折り曲げ片部を含んだものとしてもよい。
【0010】
本発明に係る前記いずれかのパネル端部納め用部材においては、前記弾性片部の表面を覆い、該弾性片部に当接されるカバー部材を更に備えた構成とし、該カバー部材及び前記立ち上がり壁部の一方に、係合凹部を設け、他方に、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部を設けるようにしてもよい。
上記カバー部材を備えた前記パネル端部納め用部材においては、前記弾性片部と、前記カバー部材とを、前記建築用パネルが配される側のそれぞれの側端面が略整合した位置に配されるように形成してもよい。
【0011】
また、前記目的を達成するために、本発明に係る建築用パネルの端部納め構造は、前記いずれかのパネル端部納め用部材を用いて前記建築用パネルの一端部を納める建築用パネルの端部納め構造であって、前記建築用パネルの一端部の端面を、前記立ち上がり壁部に対面させるとともに、該一端部の端面近傍裏面を、前記下地材に固定された前記固定片部の傾斜部に当接させて、該一端部の端面近傍表面を、前記弾性片部に押し付けるようにして該一端部を保持する構造とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材は、立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部から幅方向かつ前記建築用パネルが配される側に向けて突設され、該一端部の端面近傍表面に当接される弾性片部を備えている。従って、該建築用パネルを下地材に取付け施工する際には、上記固定片部を下地材に固定し、該固定片部、立ち上がり壁部、及び弾性片部によって囲まれた空間に、建築用パネルの一端部を挿し入れることで、該一端部の表面には、上記弾性片部が当接されるので、該弾性片部によって、上記建築用パネルの一端部を保持させることができる。これにより、建築用パネルの施工性を向上させることができる。
【0013】
また、上記固定片部には、前記立ち上がり壁部側に向けて登るように傾斜した傾斜部が設けられているので、上記のように、建築用パネルの一端部を挿し入れる際に、該固定片部の傾斜部の傾斜面に該一端部の裏面を沿わせるようにして挿し入れることで、該一端部の表面が上記弾性片部に向けて押し付けられるようにして当接する。これにより、該一端部と、上記弾性片部との間に隙間等が生じることを低減でき、該一端部を見栄え良く納めることができる。
さらに、上記弾性片部は、弾性を有しているので、上記のように建築用パネルの一端部が挿し入れられる際に、該一端部の表面が傷付けられるようなことも低減できる。また、該建築用パネルの厚さ寸法に多少の大小等があった場合にも、該弾性片部の弾性変形を伴って該一端部を挿し入れることができる。
すなわち、上記固定片部の傾斜部の傾斜面に沿わせて建築用パネルの一端部を挿し入れることで、該一端部が弾性片部側に向けて押し付けられるようにして納められるので、該固定片部に設けられた傾斜部の高低差と、弾性片部の弾性とによって該建築用パネルの厚さ寸法の大小を吸収できるとともに、該一端部との隙間の発生や該一端部の傷付き等を効果的に低減でき、かつ、施工性に優れたものとなる。
【0014】
さらにまた、上記のように、建築用パネルの一端部を挿し入れた際には、上記固定片部に設けられた傾斜部によって、該建築用パネルの裏面と上記下地材との間には、該固定片部の幅方向外方側部(立ち上がり壁部とは異なる方の側部)の厚みよりも大きな隙間が形成される。これにより、例えば、建築用パネルの他端部の裏面と、下地材との間に、別のパネル端部納め用部材の固定片部を挿し込む際に、挿し込み易くなる。従って、施工性を向上させることができる。
【0015】
本発明に係る前記パネル端部納め用部材において、前記弾性片部を、前記建築用パネルが配される側の側端部から前記一端部の端面近傍表面側に向けて折り曲げ形成されるとともに、該端面近傍表面に当接される折り曲げ片部を含んだものとすれば、例えば、該弾性片部の建築用パネル側の面が平らに形成されているものと比べて、該建築用パネル表面と弾性片部の折り曲げ片部との当接が確実になされ、建築用パネル表面と該弾性片部の折り曲げ片部との間に浮きや隙間等が生じることを低減できる。
【0016】
本発明に係る前記いずれかのパネル端部納め用部材において、前記弾性片部の表面を覆い、該弾性片部に当接されるカバー部材を更に備えた構成とし、該カバー部材及び前記立ち上がり壁部の一方に、係合凹部を設け、他方に、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部を設けるようにすれば、上記弾性片部には、上記カバー部材が当接されるので、該弾性片部を該カバー部材によって補強することができる。
これにより、例えば、弾性片部を含んだ下地材に固定される部材を、合成樹脂製からなるものとし、上記カバー部材を金属製からなるものとした場合には、該固定される部材が合成樹脂製であることから、その弾性片部によって、上記したように建築用パネルの端部を挿し込む際に、その端面近傍表面の傷付きを、より効果的に防止できるとともに、該弾性片部には、金属製のカバー部材が当接されて強固に補強されるので、建築用パネルの端部を強固に保持することができる。
さらに、上記下地材に固定される部材の立ち上がり壁部へのカバー部材の組み付けは、上記係合凹部に上記係合凸部を嵌め入れることによって組み付けられるので、施工性が阻害されるようなこともない。
【0017】
上記カバー部材を備えた前記パネル端部納め用部材において、前記弾性片部と、前記カバー部材とを、前記建築用パネルが配される側のそれぞれの側端面が略整合した位置に配されるように形成すれば、例えば、上記弾性片部の建築用パネル内方側への出幅が上記カバー部材よりも小さいものでは、該カバー部材と建築用パネルの表面との間の空間に、ゴミ等が溜まり易くなるが、そのようなことを防止できる。
【0018】
本発明に係る前記建築用パネルの端部納め構造によれば、上記いずれかのパネル端部納め用部材を用いて建築用パネルの一端部を納めるようにしているので、施工性を向上させることができるとともに、該一端部を見栄え良く納めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)、(b)は、いずれも本発明に係るパネル端部納め用部材の一実施形態を模式的に示す概略断面図である。
【図2】同パネル端部納め用部材を用いて、壁面に施工された建築用パネルの施工状態の一例を示す概略平面図である。
【図3】同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの端部納め構造の一例を示し、図2におけるX1−X1線矢視概略断面図である。
【図4】(a)は、図2におけるY−Y線矢視概略断面図、(b)は、図2におけるX2−X2線矢視概略断面図である。
【図5】(a)、(b)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの施工手順の一例を説明するための説明図であり、それぞれ図2におけるZ部に対応させた概略分解平面図である。
【図6】(a)、(b)は、いずれも同パネル端部納め用部材を用いた建築用パネルの施工手順の一例を説明するための説明図であり、それぞれ図2におけるZ部に対応させた概略分解平面図である。
【図7】(a)、(b)は、いずれも本発明に係るパネル端部納め用部材の他の実施形態を模式的に示す概略分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1〜図6は、第1実施形態に係るパネル端部納め用部材、及びこれを用いた建築用パネルの端部納め構造について説明するための説明図である。
尚、以下の実施形態では、パネル端部納め用部材等を壁面に対して取付けた例を示しており、それに応じて縦、横の方向を示しているが、天井面に対してパネル端部納め用部材等を取付けた場合には、その方向は限定されない。
【0021】
本実施形態に係るパネル端部納め用部材1は、図2に示すように、下地材としての壁面材2に対して、縦横のそれぞれに複数枚の矩形状の建築用パネル30,・・・を並列させて取付け施工された複数枚からなる建築用パネル30の集合体の最外周端部の四周に沿ってそれぞれ配設される見切り縁材1とされている。
尚、見切り縁材1が取付け固定される下地材としては、図2に示すような壁面材2に限られず、図2に示す天井材3としてもよい。このように、壁面材2や天井材3を下地材とする場合には、例えば、壁クロスや壁紙等が貼着された壁仕上げ面や天井仕上げ面等を下地材として把握してもよく、或いは、壁クロスや壁紙等が貼着されている場合には、それらを剥離して、石膏ボードや合板捨張下地等の下地ボードを露出させてそれらを下地材として把握してもよい。または、新築時等においては、壁クロスや壁紙等が貼着される前の下地ボードを下地材として把握してもよい。若しくは、胴縁や受け桟、天井野縁等の下地桟等を下地材として把握してもよい。
また、内壁や天井に限らず、外壁(不図示)に本実施形態に係る見切り縁材1を施工するようにしてもよい。
【0022】
上記見切り縁材1は、大略的に、図1に示すように、釘やタッカー、ステイプル、木ねじ等の固定止具ts(図5(a)参照)によって壁面材2に固定される見切り受け部材10と、該見切り受け部材10をカバーし、該見切り受け部材10に対して着脱自在に取付けられる見切りカバー部材20とを備えている。
上記見切り受け部材10は、上記壁面材2に取付け固定される平板状に形成された第1固定片部11及び第2固定片部12と、これら固定片部11,12から立ち上がるように、壁面材2に対して垂直となる方向(建築用パネル30の厚さ方向)に沿って立設された立ち上がり壁部13と、該立ち上がり壁部13の立ち上がり方向先端部(手前側端部)から基端部側(壁面材2側)に向けて凹設された係合凹溝14と、該立ち上がり壁部13の上記先端部から幅方向かつ建築用パネル30が配される側に向けて突設され、建築用パネル30の端面近傍表面33に当接される弾性片部15とを備えている。
【0023】
上記第1固定片部11及び第2固定片部12は、上記立ち上がり壁部13の基端部から幅方向両側に向けて延設されており、一方の比較的、幅広に形成された第1固定片部11が、建築用パネル30の端部31側に配置され、他方の比較的、幅狭に形成された第2固定片部12が外方側(建築用パネルが配される側とは異なる側)に配置される。
これら第1固定片部11及び第2固定片部12のうちの少なくともいずれか一方に、木ねじ等の固定止具tsが捻じ込まれ(或いは打ち込まれ)、見切り受け部材10が壁面材2に対して取付け固定される。
【0024】
上記第1固定片部11は、上記立ち上がり壁部13からの幅方向への出幅が、上記弾性片部15の出幅よりも大きく形成されており、本実施形態では、その幅方向における途中部位から上記立ち上がり壁部13側に向けて登るように傾斜した傾斜部16が形成されている。
本実施形態では、該傾斜部16は、当該第1固定片部11の幅方向における上記弾性片部15の出幅と略同程度の出幅とされた部位を始端とし、上記立ち上がり壁部13側を終端として、該立ち上がり壁部13側に向けて登り勾配の傾斜面とされている。
尚、上記傾斜部16の始端は、上記部位に限られず、第1固定片部11の幅方向内方側(建築用パネルが配される側)の側端部を始端としたり、或いは、上記弾性片部15の出幅よりも外方側の部位を始端としたりしてもよい。
【0025】
上記傾斜部16の傾斜角度(傾き)や終端と始端との高低差は、適宜、設定可能であるが、例えば、建築用パネル30の厚さ寸法の成形誤差或いは許容誤差等を考慮して、設定するようにしてもよい。
例えば、建築用パネル30の厚さ寸法の許容限界寸法(最大許容寸法及び最小許容寸法)が設定されているような場合においては、上記弾性片部15の内方側端部の部位における上記第1固定片部11(傾斜部16も含む)の表面から該弾性片部15の裏面(本実施形態のように、折り曲げ片部15bを有している場合には、該折り曲げ片部15bの下地材側端部)までの高さ寸法を、上記最大許容寸法よりも大きくなるようにし、かつ、上記弾性片部15の外方側端部の部位における上記第1固定片部11(傾斜部16も含む)の表面から該弾性片部15の裏面(上記同様、折り曲げ片部15bの下地材側端部)までの高さ寸法を、上記最小許容寸法よりも小さくなるようにしてもよい。
このような傾斜部16の傾斜角度や高低差は、上記した例に限られず、建築用パネル30の厚さ寸法の大小のバラツキや弾性片部15の形状等に応じて、適宜、設定可能であり、後記するようにコ字状空間に、建築用パネル30の端部31を挿し入れる際に、その入口側でスムーズに挿し入れが可能で、かつ、該端部31の端面32を立ち上がり壁部13に当接乃至は近接対面させた際に、弾性片部15(折り曲げ片部15bも含む)が端部近傍表面33に当接し得るように設定するようにしてもよい。
【0026】
上記立ち上がり壁部13は、壁面材2に取付け施工される建築用パネル30の端部31の端面32に対面して配される対面部を有し、該対面部は、基端側(壁面材2側)の基端側対面部13aよりも先端側の先端側対面部13bが外方側に位置するように形成されており、これにより、該対面部に段状の切欠を形成している。すなわち、該立ち上がり壁部13の基端側対面部13aに、建築用パネル30の端面32が当接して配された場合に、上記先端側対面部13bには、該端面32が当接せず、該端面32と先端側対面部13bとの間に、僅かな空間が形成されるよう、上記段状の切欠を形成している。この段状の切欠が、後記する見切りカバー部材20の係合突条23が上記係合凹溝14に嵌め入れられる際における立ち上がり壁部13の対面部の弾性変形を伴った幅方向(建築用パネル30の端面32方向)への変形を許容するための逃げ凹所として機能する。
【0027】
上記係合凹溝14は、当該見切り受け部材10の長手方向の全長に亘って凹設されており、その開口縁近傍の両内側面に、該凹溝の幅を狭めるようにして突出された係止凸部を長手方向の全長に亘って有している。この係合凹溝14の係止凸部に後記する係合突条23が着脱自在に係止される。
上記弾性片部15は、上記立ち上がり壁部13の先端部から内方側に向けて突出するように形成されている。また、該弾性片部15は、その内方側端部に、建築用パネル30の端面近傍表面33側に向けて折り曲げ形成されるとともに、該端面近傍表面33に当接される折り曲げ片部15bを有している。換言すれば、該弾性片部15の基端側(立ち上がり壁部13側)の裏面には、上記端面近傍表面33が当接しない部位が存在し、該弾性片部15の基端側裏面の一部と、該端面近傍表面33との間に空隙が形成される構造とされている。
【0028】
上記折り曲げ片部15bは、後記するように、建築用パネル30の端部31が嵌め入れられる際に、スムーズにその嵌め入れがなされるよう、その下地材側端部が、丸みを帯びた形状とされている。
また、上記弾性片部15は、図1に示すように、その内方側端面15aと、後記する見切りカバー部材20の弾性片カバー部22の内方側端面22aとが、略整合した位置に配されるように、立ち上がり壁部13からの出幅が設定されている。この弾性片部15の上記出幅は、後記するように建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工する際に、建築用パネル30を仮保持し得る程度の出幅とすることが好ましい。
【0029】
上記見切り受け部材10は、本実施形態では、上記第1固定片部11と、上記立ち上がり壁部13と、上記弾性片部15とによって、断面形状が略コ字状とされており、該コ字状の開放空間に、建築用パネル30の端部31が嵌め込まれて、収容される構造とされている。
また、上記見切り受け部材10は、本実施形態では、ポリプロピレンや、ABS、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、PPS等の合成樹脂材料から押出成形や射出成形、切削加工等によって一体的に成形され、長尺に形成されている。
また、上記見切り受け部材10を、異材質成形(二色成形)等によって、その折り曲げ片部15b(或いは、弾性片部15全体)を、例えば、比較的、軟質の合成樹脂材料からなるものとし、該見切り受け部材10の他の部位を、比較的、硬質の合成樹脂材料からなるものとしてもよい。
【0030】
尚、見切り受け部材10としては、上記のような合成樹脂製に限られず、アルミニウムやステンレス等の金属材料から押出成形やプレス成形あるいは切削加工等によって一体的に成形した金属製のものとしてもよく、その場合には、少なくとも、上記弾性片部15に相当する部位を弾性変形可能な構成とすればよい。
また、上記見切り受け部材10の第1固定片部11(傾斜部16を含む)及び第2固定片部12の厚さは、1.0mm程度〜5.0mm程度の薄板状とすることが好ましい。これにより、建築用パネル30を、例えば、より強固に取付け施工するために、壁面材2に対して接着剤で接着するような場合においても、接着剤の塗布量を低減できるとともに接着剤の塗布工程も簡易なものとなる。
【0031】
上記見切りカバー部材20は、断面形状が略L字状とされて、その一辺部が建築用パネル30の表面と略平行に形成された表面カバー部21とされ、その他辺部が上記壁面材2に対して垂直方向に沿って形成された端面カバー部24とされている。すなわち、上記表面カバー部21は、建築用パネル30の表面に対して略平行に配設され、上記端面カバー部24は、建築用パネル30の端面32に対して略平行に配設される。
上記表面カバー部21の内方側の側端部部位が上記見切り受け部材10の弾性片部15の表面を覆い、該弾性片部15の表面に当接して配置される弾性片カバー部22を構成する。
この弾性片カバー部22の内方側端面22aは、上記したように、上記見切り受け部材10の弾性片部15の内方側端面15aと略整合した位置に配されるよう形成されている。
【0032】
上記表面カバー部21の裏面側部位には、壁面材2側に向けて係合突条23が突設されており、該係合突条23は、当該見切りカバー部材20の長手方向の全長に亘って形成されている。
該係合突条23の下端部(壁面材2側の端部)近傍には、幅方向両側に向けて突出された係止凸部が長手方向の全長に亘って形成されている。この係合突条23の係止凸部が、上記係合凹溝14に該係合突条23を嵌め入れた際に、該係合凹溝14の係止凸部に係止して、当該見切りカバー部材20が、上記見切り受け部材10に係合保持される。
本実施形態では、これら係合突条23と、係合凹溝14とは、上記壁面材2に対して略垂直となる方向に沿って係合される構造とされるとともに、上記見切りカバー部材20が上記見切り受け部材10に対して着脱自在となるよう形成されている。
【0033】
上記端面カバー部24の内方側面には、後記する固定金具7(図3及び図6参照)の押さえ片9によって係止される係止受け片25が内方側に向けて突設されている。
当該見切りカバー部材20と、上記見切り受け部材10との係合がなされた状態では、上記端面カバー部24は、該見切り受け部材10の外方側側部の略全体を覆い隠すように形成されており、また、上記表面カバー部21は、上記見切り受け部材10の第2固定片部12及び立ち上がり壁部13の手前側の略全体を覆い隠すように形成されている。
また、上記見切りカバー部材20は、本実施形態では、アルミニウムやステンレス等の金属材料から押出成形やプレス成形あるいは切削加工等によって一体的に成形され、上記見切り受け部材10と同様、長尺に形成されている。
【0034】
上記のように、見切りカバー部材20を金属製のものとすることで、当該見切り縁材1の表面側に露出する部位の高級感(素材感)を高めることができ、美観性に優れたものとなる。
また、本実施形態では、該見切りカバー部材20を金属製のものとし、上記見切り受け部材10を合成樹脂製のものとしているので、これらを係合させる際、すなわち、上記係合突条23を係合凹溝14に嵌め入れる際に、スムーズに嵌め入れることができ、施工時にスムーズに組み付けることができる。
さらに、合成樹脂製の見切り受け部材10の弾性片部15を、金属製の見切りカバー部材20の弾性片カバー部22によって効果的に補強することができ、建築用パネル30の端部31を強固に保持できる。
さらにまた、上記見切りカバー部材20は、上記見切り受け部材10に対して着脱自在に係合保持される構造とされているので、例えば、見切りカバー部材20を模様替え等のために交換したり、或いは、廃棄等したりする際に、容易に脱離させることができる。
尚、見切りカバー部材20としては、上記のような金属製に限られず、上記したような合成樹脂製としてもよい。
【0035】
次に、上記構成とされた本実施形態に係る見切り縁材1を用いて壁面材2に取付け施工された建築用パネル30の施工状態及び該建築用パネル30の端部納め構造の一例、並びに上記見切り縁材1を用いた建築用パネル30の施工手順の一例について説明する。
本例では、図2に示すように、複数枚(図例では12枚)の建築用パネル30を縦横にそれぞれ並列配置して、壁面材2に対して部分的に取付け施工した例を示している。また、これら建築用パネル30のそれぞれ隣接する端部間には、後記する横目地部材4と、縦目地部材5とが配設されており、これら横目地部材4と縦目地部材5とによって格子状に目地を形成するようにしている。
また、縦横にそれぞれ並列配置された複数枚からなる建築用パネル30の集合体の最外周端部に沿って、四周に上記見切り縁材1が配設されている(図3も参照)。
また、これら見切り縁材1の長手方向の各端部が近接された各コーナー部には、コーナーキャップ6が該コーナー部を覆うように、それぞれ取付けられている(図3も参照)。
【0036】
上記建築用パネル30のそれぞれは、矩形状の板状体からなり、例えば、木質系材料や上記同様の合成樹脂系材料、窯業系材料、上記同様の金属系材料等から形成されたものとしてもよい。
上記木質系材料としては、無垢の木材を板状に加工したものや、集成材や合板、LVL(単板積層材)、パーティクルボード、或いは、インシュレーションボードやMDF(Medium Density Fiberboard、中質繊維板、中密度繊維板とも言う)等の木質繊維板、或いはこれらを積層し組み合わせた複合材料などを板状に加工したもの、若しくは、これらを基材として、突き板や合成樹脂シート等の表面化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものが挙げられる。
上記窯業系材料としては、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料等が挙げられる。
上記合成樹脂系材料、窯業系材料及び金属系材料は、それぞれ、上記木質系材料と同様、これらを基材として、更に突き板や樹脂シート等の化粧シート材を更に貼着したものや、該基材の表面に化粧塗装を施したものとしてもよい。
【0037】
また、上記建築用パネル30としては、種々の機能性が付与された機能性パネルとしてもよい。機能性パネルとしては、例えば、調湿パネルや吸音パネル、防音パネル、防汚パネル、抗菌パネル等が挙げられる。
あるいは照明装置を内蔵した照明パネルや、棚板を手前側に向けてパネルに突設した棚板パネル、前面開口箱形状の収納箱をパネルに付設した収納パネルとしてもよい。これら照明装置や棚板、収納箱は、パネルに対して着脱可能に設けるようにしてもよい。あるいは、棚板や収納箱をパネルと一体成形するようにしてもよい。
【0038】
上記のように、建築用パネル30を内装用の機能性パネルとした場合には、施工箇所や施工範囲(施工枚数)を適宜、選択・変更することで、例えば、調湿パネルを施工する場合には、室内の調湿機能が適切となるように調整できたり、吸音パネルを施工する場合には、室内の音響効果が適切となるように調整できたりする。
また、上記した種々の建築用パネル30自体を下地材(壁面材2や天井材3等)に対して着脱可能とする構成としてもよい。すなわち、接着剤等で接着せずに、下地材側、及び建築用パネル30の裏面側にそれぞれ係合部を設けて、容易に着脱できるようにしてもよい。後記するように、これら複数枚の建築用パネル30の端部31は、上記見切り縁材1、後記する横目地部材4及び縦目地部材5によって、強固に保持されているので、接着剤等で接着しない場合にも、下地材から不用意に脱離するようなことがなく、また、これら見切り縁材1、後記する横目地部材4及び縦目地部材5から脱離させることで、建築用パネル30を容易に交換することができる。
【0039】
尚、建築用パネル30の形状は、図例のような略正方形状に限らず、長方形状のものとしてもよい。
また、建築用パネル30の大きさは、施工箇所等に応じて適宜、設定可能であり、一辺が100mm〜500mm程度の比較的小モジュールのもの、一辺が500mm〜900mm程度の中モジュールのもの、あるいは、一辺が900mm〜1800mm程度の比較的大モジュールのものとしてもよい。
【0040】
上記横目地部材4は、図2に示すように、横方向に沿って並設された複数枚の建築用パネル30の上下端部間、すなわち、上下に隣接する建築用パネル30の端部間に配設されている。
また、該横目地部材4は、図4(a)に示すように、壁面材2に固定される固定片部4hや隣接する建築用パネル30,30の各端面に対面して配される立ち上がり壁部4f等を有した目地受け部材4eと、該立ち上がり壁部4fに形成された係合凹溝4gに嵌め込まれる係合突条4cを有したカバー目地部材4aとを備えている。この目地受け部材4eの幅方向両側に形成された上記固定片部4h,4hには、傾斜部が設けられている。この傾斜部は、上記見切り受け部材10の傾斜部16を含む第1固定片部11の厚みによって形成される建築用パネル30の裏面と壁面材2との間の隙間を吸収するためのスペーサー部材として機能するとともに、後記するように建築用パネル30の裏面と壁面材2との間の空間に、固定片部4hを挿し入れる際に、その挿し入れがスムーズとなるように設けられている。
該カバー目地部材4aの基部4bの手前側端部には、幅方向両側に向けて突出された鍔部4d,4dが設けられており、該鍔部4d,4dが建築用パネル30の端面近傍表面に当接して、該端部の保持がなされている。
【0041】
上記カバー目地部材4aは、当該カバー目地部材4aの係合突条4cを、上記目地受け部材4eの係合凹溝4gに嵌め入れて、該目地受け部材4eに着脱自在に係合保持される。
また、該横目地部材4(本例では、カバー目地部材4a)は、横方向に並列配置された複数枚の建築用パネル30の集合体の横方向の略全長に亘って配設されており、その長手方向の両端部には、建築用パネル30の集合体の外周端部(左右端部)31,31にそれぞれ配設された上記見切り縁材1の見切りカバー部材20,20の弾性片カバー部22,22が配設され、該弾性片カバー部22,22が抜け止めとして機能する(図3も参照)。
【0042】
上記縦目地部材5は、図2に示すように、左右に隣接する建築用パネル30の端部間に配設されており、上記横目地部材4と同様、図4(b)に示すように、立ち上がり壁部5f、係合凹溝5g及び傾斜部が設けられた固定片部5hを有した目地受け部材5eと、係合突条5cを有したカバー目地部材5aとを備えている。
上記カバー目地部材5aは、上記横目地部材4と同様、当該カバー目地部材5aの係合突条5cを、上記目地受け部材5eの係合凹溝5gに嵌め入れて、該目地受け部材5eに着脱自在に係合保持される。
この縦目地部材5のカバー目地部材5aは、その長さが各建築用パネル30の縦方向の一辺に合わせて形成されている。すなわち、上記横目地部材4のカバー目地部材4aとは異なり、縦方向に分断されて配設されている。
上記カバー目地部材5aの基部5bの手前側端部には、幅方向両側に向けて突出された鍔部5d,5dが設けられており、該鍔部5d,5dが、上記横目地部材4と同様、建築用パネル30の端面近傍表面に当接して、該端部の保持がなされている。
【0043】
上記横目地部材4のカバー目地部材4aの基部4b、及び上記縦目地部材5のカバー目地部材5aの基部5bの建築用パネル30の表面から突出した部位(目地突出部)は、上記各鍔部4d,4d,5d,5dを含み、それぞれ長手方向中心線から幅方向外方に向けて傾斜するように形成された凸湾曲面形状とされている。上記各鍔部のうち、横目地部材4の両鍔部4d,4dの幅方向端面はそれぞれ略平端面とされている。
本例では、上記横目地部材4の目地突出部の突出度が、図4(a)に示すように、上記縦目地部材5の目地突出部よりも大きくなるよう形成されており、該縦目地部材5のカバー目地部材5aの長手方向端部における目地突出部の端面が、上記横目地部材4の両鍔部4d,4dの幅方向端面に当接して配置され、該カバー目地部材5aの長手方向端部の端面が露出しない構造とされている。
【0044】
上記のような構造とすることで、交差するように設けられた横目地部材4と縦目地部材5との交差部において、縦目地部材5の長手方向端部が露出せず、見栄えが良い。また、該端部が露出しないので、例えば、シャープエッジ状部位が露出せず、衣服等が引っ掛かるようなことがない。また、各目地部材4,5の目地突出部は、丸みを帯びた形状とされているので、見栄えが良く、また、手触り(肌触り)も良い。
【0045】
上記のように、縦横にそれぞれ並列配置された複数枚からなる建築用パネル30の集合体の最外周端部には、図2及び図3に示すように、上記見切り縁材1が配設されている。
上記見切り受け部材10は、該集合体の外周端部の四辺に沿って、各コーナー部に向けて配設されるとともに、壁面材2に対して固定されている。これら見切り受け部材10は、各建築用パネル30のそれぞれ縦方向の一辺、及び横方向の一辺に合わせた長さに分断されて、上記集合体の左右端部及び上下端部に沿って配設されている。
また、該見切り受け部材10の係合凹溝14に係合突条23を嵌め入れて、上記見切りカバー部材20が取付けられている。これら見切りカバー部材20は、上記集合体の左右端部及び上下端部のそれぞれの長さに合わせて形成されている。
【0046】
すなわち、図3に示すように、本実施形態に係る見切り縁材1を用いた建築用パネルの端部納め構造は、建築用パネル30の端部31の端面32を、見切り受け部材10の立ち上がり壁部13に当接乃至は近接対面させるとともに、該端部31の端面近傍裏面を、壁面材2に固定された第1固定片部11の傾斜部16に当接させて、該端部31の端面近傍表面33を、上記見切り受け部材10の弾性片部15に押し付けるようにして該端部31を保持する構造としている。さらに、上記見切り受け部材10には、弾性片部15の表面を覆い、該弾性片部15に当接された上記見切りカバー部材20が取付けられ、該弾性片部15の補強がなされている。
【0047】
上記各コーナー部に向けてそれぞれ配設された見切りカバー部材20の係止受け片25の各端部には、図3(図6(b)も参照)に示すように、固定金具7の押さえ片9が係止されており、該見切りカバー部材20は、該固定金具7によって壁面材2に対して固定保持されている。
上記固定金具7は、見切りカバー部材20を壁面材2に対して固定する機能を有するものであれば、どのようなものでもよいが、本例では、図3及び図6に示すように、ねじBが挿通される挿通孔8aが開設され、壁面材2に当接して固定される固定基部8と、該固定基部8から手前側に向けて屈曲形成されるとともに、該固定基部8からL字状に延びるように設けられた一対の押さえ片9,9とを有し、平面視して略L字状に形成された固定金具7とされている。すなわち、上記一対の押さえ片9,9は、上記見切りカバー部材20の上記係止受け片25の手前側面に当接して係止し得るように、上記固定基部8から手前側に向けて段差を形成するように屈曲形成されている。
上記のような一対の押さえ片9,9を有した固定金具7とすることで、上記コーナー部において近接して配置された各見切りカバー部材20,20の長手方向の各端部を、一つの固定金具7によって、壁面材2に対して固定することができる。
すなわち、本例では、図示を省略しているが、各コーナー部に配された四つの固定金具7によって、四周に配された各見切りカバー部材20の各端部を固定保持する態様としている。
【0048】
また、図2に示すように、上記のように固定金具7によって固定保持された各見切りカバー部材20の各端部を連結させるようにして、コーナーキャップ6が各コーナー部に配設されており、上記見切り縁材1の両端部、上記固定金具7及び各コーナー部を覆い隠す構造としている。
上記コーナーキャップ6は、図3及び図6(b)に示すように、前板部と、該前板部の外側二辺からそれぞれ後方側(壁面材2側)に向けて垂設された側板部とから構成されており、上記見切りカバー部材20の外方側側面に接着等されて、縦方向及び横方向に沿って配設された見切りカバー部材20,20の上記コーナー部をカバーしている。尚、該コーナーキャップ6は、接着剤等で接着せずに、例えば、上記固定金具7や見切りカバー部材20等に係合部を設けるとともに、該係合部に対応させた係合部をコーナーキャップ6の内方側に設けて、着脱自在に上記コーナー部に取付け固定される構成としてもよい。
【0049】
上記各部材を用いて、建築用パネル30を壁面材2に対して取付け施工する際には、まず、図5(a)に示すように、上記建築用パネル30の集合体の四周の端部に沿ってそれぞれ配設される見切り縁材1のうちの床側端部及び左側端部に沿って配設される見切り縁材1の各見切り受け部材10を、壁面材2に固定する(図2も参照)。
すなわち、各見切り受け部材10の第1固定片部11,11に対して木ねじ等の固定止具tsを捻じ込んで(釘等の場合は打ち込んで)、壁面材2に各見切り受け部材10,10を固着させる。この際、見切り受け部材10は、上記したように合成樹脂製であるとともに、各固定片部11,12は、比較的、薄板状とされているので、上記固定止具tsを、所望する位置の適所に止着させることができ、施工性が良い。
【0050】
次いで、図5(b)に示すように、これら見切り受け部材10,10の上記コ字状空間に、最床側かつ最左方側に取付け施工する建築用パネル30の床側端部31及び左側端部31を挿し入れるようにしてそれぞれ嵌め入れる。
この際、図1(a)の二点鎖線で示すように、建築用パネル30の裏面を第1固定片部11に当接させ、該第1固定片部11に沿わせるようにして、上記コ字状空間に、該端部31を挿し入れ、その端面32を立ち上がり壁部13に当接乃至は近接対面させる。この第1固定片部11には、上記したように、傾斜部16が設けられているので、該建築用パネル30の端部31は、上記のように、コ字状空間に挿し入れられる際に、該傾斜部16の傾斜面に沿って手前側に向けて壁面材2に対して浮き上げられるようにして、挿し入れられ、その端面近傍表面33に、上記弾性片部15の折り曲げ片部15bが当接乃至は弾接する。
【0051】
このように、本実施形態では、見切り受け部材10に、上記弾性片部15と、傾斜部16を有した第1固定片部11とを設けているので、例えば、図1(b)に示すように、図1(a)に示す建築用パネル30よりも厚さ寸法の大きい建築用パネル30Aの端部31が、上記のようにコ字状空間に挿し入れられる際にも、そのコ字状空間の入口側では、スムーズに挿し入れが可能となり、その端面32を立ち上がり壁部13に当接乃至は近接対面させるように、挿し入れた際には、上記傾斜部16に沿う移動と、上記弾性片部15の弾性変形とを伴って、スムーズな挿し入れが可能となる。
尚、図1(a)、(b)では、見切りカバー部材20を取付けた状態を示しているが、後記するように、建築用パネル30の端部31を上記コ字状空間に嵌め入れた後に、見切りカバー部材20の取付けを行うようにしてもよい。
【0052】
上記した状態では、当該建築用パネル30の床側端面近傍表面33及び左側端面近傍表面33には、各見切り受け部材10,10の弾性片部15,15がそれぞれ当接して、該建築用パネル30が仮保持された状態となる。
次いで、詳細な説明は、省略するが、当該建築用パネル30の右側端部に沿って、上記縦目地部材5(図4(b)参照)の目地受け部材5eを壁面材2に固着させる。この際、上記したように、見切り受け部材10の第1固定片部11には、傾斜部16が設けられているので、該建築用パネル30の裏面と壁面材2との間には、目地受け部材5eの固定片部5hの幅方向外方側端部の厚みよりも大きな空間が形成されているので、該目地受け部材5eの固定片部5hを該空間にスムーズに挿し入れることができる。このような効果は、他の見切り縁材1の見切りカバー部材10の第1固定片部11を挿し入れる際、及び横目地部材4の目地受け部材4eの固定片部4hを挿し入れる際も同様である。
【0053】
上記のように縦目地部材5の目地受け部材5eを壁面材2に固着させ、最床側かつ中央の建築用パネル30の床側端部を上記同様、床側端部に沿って配設された見切り受け部材10のコ字状空間に嵌め入れ、縦目地部材5のカバー目地部材5aを目地受け部材5eに取付ける(図4(b)参照)。さらに、同様にして、縦目地部材5及び最床側かつ最右方側の建築用パネル30を取付け施工する。この状態では、最床側の3枚の建築用パネル30が仮施工された状態となり、さらに、これら3枚の建築用パネル30の天井側端部に沿って、上記横目地部材4(図4(a)参照)の目地受け部材4e及びカバー目地部材4aを壁面材2に取付け固定する。以下、同様にして、建築用パネル30並びに隣接する建築用パネル30の端部間に上記縦目地部材5及び上記横目地部材4を取付け施工する。
【0054】
次いで、上記建築用パネル30の集合体の四周の端部に沿ってそれぞれ配設される見切り縁材1のうちの天井側端部及び右側端部に沿って配設される見切り縁材1の各見切り受け部材10を、壁面材2に固定する(図2も参照)。
この際、各見切り受け部材10,10の各第1固定片部11,11を、上記建築用パネル30の集合体の天井側端部及び右側端部のそれぞれ裏面と壁面材2との間に、上記したように挿し込むようにして配設し、各第2固定片部12,12に対して上記同様の固定止具tsを止着させるようにしてもよい。このように、第2固定片部12,12に対して固定止具tsを止着させた場合にも、該第2固定片部12,12は、上記したように見切りカバー部材20によって覆い隠されるので、美観性を阻害することがない。
【0055】
次いで、図6(a)に示すように、上記のように壁面材2に対して取付け固定された各見切り受け部材10の係合凹溝14に、各見切りカバー部材20の係合突条23を嵌め入れ、各見切り受け部材10に、各見切りカバー部材20を取付ける。
この状態では、上記したように、各見切り受け部材10の外表面は、弾性片部15の内方側端面15aを除いて、上記見切りカバー部材20に覆い隠されて、露出せず、これら複数枚からなる建築用パネル30の集合体の四周端部の美観性を向上させることができる。
【0056】
次いで、図6(b)に示すように、上記各見切りカバー部材20の端面カバー部24の内方側面に設けられた上記係止受け片25に、上記固定金具7の一対の押さえ片9,9をそれぞれ当接、係止させて、該固定金具7を壁面材2に対して固定することで、該見切りカバー部材20を壁面材2に対して固定する(図3も参照)。
次いで、上記のように各コーナー部において近接して配置された各見切りカバー部材20,20の上記各端部に、これら各端部、上記固定金具7及び各コーナー部を覆うように、上記コーナーキャップ6を取付ける。
以上のようにして、各部材を壁面材2に対して取付け施工して、図2に示すように、複数枚の建築用パネル30が壁面材2に取付け施工される。
尚、上記ねじBは、例えば、ビスや釘等の固定止具でも良いが、本実施形態のように、壁面材2を下地材とした場合には、ボードアンカー(ボードファスナー)タイプのものとしてもよい。この場合は、例えば、壁面材2に開設した穴部に、ボードアンカーを挿入し、ねじを締め付けた後、ねじを脱離させ、固定金具7をボードアンカーにセットして、ねじを締め付けることで、固定金具7を壁面材2に対して固定するようにしてもよい。
また、上記施工手順は、一例に過ぎず、各部材の機能を阻害しない限りにおいて、別手順でなされるようにしてもよい。
【0057】
上記のように施工された建築用パネル30を、交換等したい場合には、例えば、上記コーナーキャップ6を見切りカバー部材20から脱離させ、次いで、上記固定金具7を壁面材2から脱離させて、見切りカバー部材20を見切り受け部材10から脱離させる。そして、上記横目地部材4及び縦目地部材5の各カバー目地部材4a,5aを、各目地受け部材4e,5eから脱離させることで、各建築用パネル30を容易に脱離させることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係る見切り縁材1を用いた建築用パネルの端部納め構造によれば、上記見切り縁材1の見切り受け部材10の第1固定片部11を壁面材2に固定し、上記コ字状空間に、建築用パネル30の端部31を挿し入れることで、該端部31の端面近傍表面33には、上記弾性片部15が当接されるので、該弾性片部15によって、上記建築用パネル30の端部31を仮保持させることができ、建築用パネル30の施工性を向上させることができる。
また、上記第1固定片部11には、上記傾斜部16が設けられているので、上記のように、建築用パネル30の端部31を挿し入れる際に、該第1固定片部11の傾斜部16の傾斜面に該端部31の裏面を沿わせるようにして挿し入れることで、該端部31の端面近傍表面33が上記弾性片部15に向けて押し付けられるようにして当接する。これにより、該端部31と、上記弾性片部15との間に隙間等が生じることを低減でき、該端部31を見栄え良く納めることができる。
【0059】
さらに、上記弾性片部15は、弾性を有しているので、上記のように建築用パネル30の端部31が挿し入れられる際に、該端部31の端面近傍表面33が傷付けられるようなことも低減できる。また、該建築用パネル30の厚さ寸法に多少の大小等があった場合にも、該弾性片部15の弾性変形を伴って該端部31を挿し入れることができる。
すなわち、図1に基づいて説明したように、上記第1固定片部11の傾斜部16の傾斜面に沿わせて建築用パネル30の端部31を挿し入れることで、該端部31が弾性片部15側に向けて押し付けられるようにして納められるので、該第1固定片部11に設けられた傾斜部16の高低差と、弾性片部15の弾性とによって該建築用パネル30の厚さ寸法の大小を吸収できるとともに、該端部31との隙間の発生や該端部31の傷付き等を効果的に低減でき、かつ、施工性に優れたものとなる。
【0060】
さらにまた、本実施形態では、上記見切り受け部材10の弾性片部15と、上記見切りカバー部材20の弾性片カバー部22とを、これらの内方側端面15a,22aが略整合した位置に配されるように形成しているので、例えば、上記弾性片部15の建築用パネル内方側への出幅が上記弾性片カバー部22よりも小さいものでは、該弾性片カバー部と建築用パネルの表面との間の空間に、ゴミ等が溜まり易くなるが、そのようなことを防止できる。
また、本実施形態では、上記見切り受け部材10の弾性片部15は、その内方側端部に、上記建築用パネル30の端面近傍表面33側に向けて折り曲げ形成されるとともに、該端面近傍表面33に当接される折り曲げ片部15bを有しているので、例えば、該弾性片部の建築用パネル側の面が平らに形成されているものと比べて、該建築用パネル表面との当接が確実になされ、建築用パネル30の端面近傍表面33と該弾性片部15の折り曲げ片部15bとの間に浮きや隙間等が生じることを低減できる。
【0061】
さらに、本実施形態では、上記見切り受け部材10の弾性片部15は、上記のように金属製の見切りカバー部材20の弾性片カバー部22によって、強固に補強されるので、建築用パネル30の端部31を、これら見切り受け部材10と見切りカバー部材20とによって強固に保持することができる。さらにまた、上記見切り受け部材10への見切りカバー部材20の組み付けは、上記係合凹溝14に上記係合突条23を嵌め入れることによって組み付けられるので、施工性が阻害されるようなこともない。
さらにまた、本実施形態では、上記見切り受け部材10の立ち上がり壁部13における上記建築用パネル30の端部31の端面32に対面される対面部の先端側部位に、上記のように段状の切欠を形成している。従って、見切り受け部材10の立ち上がり壁部13の上記基端側対面部13aに、上記建築用パネル30の端部端面32を当接させて施工した際に、上記段状の切欠が、上記見切りカバー部材20の係合突条23を上記係合凹溝14に嵌め入れる際における該立ち上がり壁部13の建築用パネル端面方向への弾性変形を許容する逃げ凹所として機能する。これにより、該見切り受け部材10の係合凹溝14への見切りカバー部材20の係合突条23の嵌め入れが、スムーズになされ、見切り受け部材10と見切りカバー部材20との組み付け性を阻害することがない。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように各見切りカバー部材20は、その長手方向の両端部が、上記固定金具7によって、壁面材2に対して固定される構造とされているので、建築用パネル30の端部31を、より強固に保持できる。すなわち、本実施形態に係る建築用パネルの端部納め構造によれば、合成樹脂製の見切り受け部材10と、金属製の見切りカバー部材20とによって、建築用パネル30の端部31を保持できるとともに、その金属製の見切りカバー部材20を、壁面材2に対して固定することで、該端部31がより強固に保持される。
さらに、本実施形態のように、複数枚の建築用パネル30を、縦横に並列して配置し、上下に隣接した端部間に、上記横目地部材4を介在させ、その鍔部4dによって、各建築用パネル30の上下端部の表面を保持する構造とするとともに、該横目地部材4の長手方向の両端部は、上記見切りカバー部材20の弾性片カバー部22によって上記のように抜け止めがなされているので、建築用パネル30の集合体の四周端部のみならず、各建築用パネル30の各端部の脱離も防止することができる。
【0063】
尚、上記建築用パネルの端部納め構造では、上記見切り縁材1を、壁面材2に対して部分的に施工された複数枚の建築用パネル30からなる集合体の最外周端部に沿って、四周にそれぞれ配設する例を示しているが、縦及び/又は横に並設された複数枚の建築用パネルの少なくとも一端部に沿って配設するようにしてもよい。例えば、縦、横のうち一方向に沿って長尺とされた一枚の建築用パネルを、他方向に沿って複数枚、取付け施工するような態様において、その少なくとも一端部に沿って本実施形態に係る見切り縁材1を取付け施工するような態様としてもよい。
また、上記建築用パネルの端部納め構造では、見切り縁材の両端部を、固定金具7によって、壁面材2に対して固定保持する態様を例示しているが、このような固定金具7を設けないようにしてもよい。
【0064】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図7に基づいて説明する。
図7(a)は、第2実施形態に係るパネル端部納め用部材について説明するための説明図、図7(b)は、第3実施形態に係るパネル端部納め用部材について説明するための説明図である。
尚、以下の各実施形態においても、パネル端部納め用部材として、見切り縁材を例示しており、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符合を付して、その説明を省略あるいは簡略に説明する。
また、以下の各実施形態に係る見切り縁材を上記第1実施形態で説明した建築用パネルの端部納め構造に適用してもよい。
【0065】
第2実施形態に係る見切り縁材1Aは、図7(a)に示すように、壁面材2に対して、取付け施工された状態では、上記第1実施形態と外観上、略同様であり、上記同様、大略的に見切りカバー部材20Aと、見切り受け部材10Aとを備えている。
上記見切りカバー部材20Aは、端面カバー部24の内方側面に設けられた係止受け片25Aの形設箇所が、上記第1実施形態とは異なる。すなわち、上記第1実施形態に係る見切りカバー部材20では、該係止受け片25を、端面カバー部24の壁面材2側端部から見切り受け部材20の第2固定片部12の厚み程度、浮かせたような部位に設けた例を示している。
本実施形態では、見切りカバー部材20Aの端面カバー部24の内方側面の中ほどの部位に、係止受け片25Aを設けている。このように係止受け片25Aの形設箇所は、どのような部位としてもよく、これに応じて、上記固定金具7の押さえ片9を形成するようにすればよい。
【0066】
上記見切り受け部材10Aは、弾性片部15Aの折り曲げ片部15bA並びに第1固定片部11A及びその傾斜部16Aの構成が上記第1実施形態とは異なる。
すなわち、該弾性片部15Aの折り曲げ片部15bAは、その壁面材2側の端部が、壁面材2側かつ立ち上がり壁部13側に向けて傾斜するようにC面取り加工が施された傾斜面とされている。これにより、上記したように建築用パネル30の端部31をコ字状空間に挿し入れる際に、スムーズに挿し入れることができる。
【0067】
また、上記傾斜部16Aは、本実施形態では、立ち上がり壁部13側の基端部位にまで形成されておらず、上記第1固定片部11Aには、該傾斜部16Aの終端から立ち上がり壁部13に向けて平坦面とされた平面部17が更に設けられている。換言すれば、立ち上がり壁部13から第1固定片部11Aの厚みが比較的、厚く形成された平面部17が内方側に向けて形成され、該平面部17に連成するようにして傾斜部16Aが内方側に向けて下り勾配となるように形成されている。
このように、立ち上がり壁部13側に、傾斜部16Aの終端と同高さとされた平面部17を設けることにより、上記第1実施形態と比べて、建築用パネル30の端部31を、より安定して保持することができる。
また、上記構成とされた本実施形態に係る見切り縁材1Aによれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
第3実施形態に係る見切り縁材1Bは、図7(b)に示すように、壁面材2に対して、取付け施工された状態では、上記第1実施形態及び第2実施形態と外観上、略同様であり、上記同様、大略的に見切りカバー部材20Bと、見切り受け部材10Bとを備えている。
上記見切りカバー部材20Bは、端面カバー部24の内方側面に上記したような係止受け片を設けていない点が、上記第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。
すなわち、本実施形態では、見切りカバー部材20Bの表面カバー部21を、係止受け片25Bとして兼用している。
【0069】
上記見切り受け部材10Bは、弾性片部15Bの折り曲げ片部15bB並びに第1固定片部11B及びその傾斜部16Bの構成が上記第1実施形態及び第2実施形態とは異なる。
すなわち、該弾性片部15Bの折り曲げ片部15bBは、その壁面材2側の端部が、壁面材2側かつ立ち上がり壁部13側に向けて傾斜するようにR面取り加工が施された凸湾曲傾斜面とされている。これにより、上記第2実施形態と同様、建築用パネル30の端部31をコ字状空間に挿し入れる際に、スムーズに挿し入れることができる。
【0070】
上記傾斜部16Bは、本実施形態では、上記第2実施形態と同様、立ち上がり壁部13側の基端部位にまで形成されておらず、上記第1固定片部11Bには、該傾斜部16Bの終端から立ち上がり壁部13に向けて平坦面とされた平面部17が更に設けられている。
また、該傾斜部16Bは、上記第1実施形態及び第2実施形態のような平坦な傾斜面とされておらず、凹湾曲面形状とされている。
上記構成とされた本実施形態に係る見切り縁材1Bによれば、上記第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
尚、上記各実施形態では、見切りカバー部材が見切り受け部材に対して着脱自在に係合保持される構造とした例を示しているが、着脱不能あるいは容易に着脱できない構造としてもよい。或いは、見切り縁材を、例えば、一部材で形成したものとしてもよい。すなわち、見切りカバー部材を設けずに、見切り受け部材をパネル端部納め用部材として把握するようにしてもよい。この場合には、上記係合凹溝や第2固定片部を設けずに、少なくとも上記立ち上がり壁部と、第1固定片部と、弾性片部とによってパネル端部納め用部材を構成するようにしてもよい。
また、上記見切り受け部材の係合凹溝及び該係合凹溝に嵌め入れられる上記見切りカバー部材の係合突条の形状は、図例のような凹溝状及び突条とされたものに限られず、例えば、上記見切り受け部材及び上記見切りカバー部材の一方の適所に形成した凹部と、他方に形成され、該凹部に嵌め入れられる凸部とされたものとしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、これら係合突条と係合凹溝との係合方向が壁面材2に対して略垂直となる方向に沿って係合される構造とされたものを例示しているが、壁面材2の面と平行な方向に沿って係合される構造としてもよい。
【0072】
さらにまた、上記各実施形態では、見切り受け部材の弾性片部を、その内方側端部に折り曲げ片部を有した態様を例示しているが、折り曲げ片部を設けずに、弾性片部の裏面を略平らに形成したものとしてもよい。
また、上記各実施形態では、見切りカバー部材の弾性片カバー部の内方側端面と、見切り受け部材の弾性片部の内方側端面とを略整合した位置となるように形成した例を示しているが、例えば、見切りカバー部材の弾性片カバー部の内方側端面が、見切り受け部材の弾性片部の内方側端面よりも建築用パネルの内方側となる位置に配されるように形成するようにしてもよい。これによれば、見切り受け部材の弾性片部を、見切りカバー部材の弾性片カバー部によって、確実に覆い隠すことができる。
さらに、上記各実施形態では、見切り受け部材の立ち上がり壁部の上記対面部に、段状の切欠を形成した態様を例示しているが、該対面部を略平らな面としてもよい。
【0073】
さらにまた、上記各実施形態では、パネル端部納め用部材として、見切り縁材を例示しているが、例えば、隣接するパネル間に介在される上記したような横目地部材4及び縦目地部材5に本発明を適用するようにしてもよい。このように本発明に係るパネル端部納め用部材を、目地部材に適用した場合には、上記弾性片部を、目地受け部材の立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部の幅方向両側に突出させて形成し、また、それに合わせてカバー目地部材を形成するようにすればよい。このような態様では、上記した各目地部材の目地受け部材の両側に形成された各固定片部及び各傾斜部を、上記見切り縁材の第1固定片部及び該第1固定片部に形成された傾斜部と同様の機能を有するものとして把握するようにすればよい。
また、このように目地部材をパネル端部納め用部材として把握した場合には、その長手方向の両端部を下地材に対して固定するための固定部材を、上記した見切りカバー部材として把握したり、従来公知の他の見切り縁材を固定部材として把握したりしてもよい。或いは、別途、固定部材を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1A,1B 見切り縁材(パネル端部納め用部材)
2 壁面材(下地材)
3 天井材(下地材)
11,11A,11B 第1固定片部(固定片部)
13 立ち上がり壁部
14 係合凹溝(係合凹部)
15,15A,15B 弾性片部
15a 弾性片部の内方側端面(建築用パネルが配される側の側端面)
15b,15bA,15bB 弾性片部の折り曲げ片部
16,16A,16B 固定片部の傾斜部
20,20A,20B 見切りカバー部材(カバー部材)
22 弾性片カバー部
22a 弾性片カバー部の内方側端面(建築用パネルが配される側の側端面)
23 係合突条(係合凸部)
30 建築用パネル
31 建築用パネルの端部
32 建築用パネルの端部の端面
33 建築用パネルの端面近傍表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地材に取付けられる建築用パネルの一端部に沿って配設されるパネル端部納め用部材であって、
前記建築用パネルの一端部の端面に対面して配される立ち上がり壁部と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向先端部から幅方向かつ前記建築用パネルが配される側に向けて突設され、該一端部の端面近傍表面に当接される弾性片部と、該立ち上がり壁部の立ち上がり方向基端部から前記弾性片部と同方向に向けて延設され、前記下地材に取付け固定される固定片部とを備えており、
前記固定片部には、前記立ち上がり壁部側に向けて登るように傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記弾性片部は、前記建築用パネルが配される側の側端部から前記一端部の端面近傍表面側に向けて折り曲げ形成されるとともに、該端面近傍表面に当接される折り曲げ片部を含んでいることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記弾性片部の表面を覆い、該弾性片部に当接されるカバー部材を更に備え、
該カバー部材及び前記立ち上がり壁部の一方には、係合凹部が設けられ、他方には、該係合凹部に嵌め入れられる係合凸部が設けられていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項4】
請求項3において、
前記弾性片部と、前記カバー部材とは、前記建築用パネルが配される側のそれぞれの側端面が略整合した位置に配されるように形成されていることを特徴とするパネル端部納め用部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載されたパネル端部納め用部材を用いて前記建築用パネルの一端部を納める建築用パネルの端部納め構造であって、
前記建築用パネルの一端部の端面を、前記立ち上がり壁部に対面させるとともに、該一端部の端面近傍裏面を、前記下地材に固定された前記固定片部の傾斜部に当接させて、該一端部の端面近傍表面を、前記弾性片部に押し付けるようにして該一端部を保持する構造とされていることを特徴とする建築用パネルの端部納め構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−196300(P2010−196300A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40289(P2009−40289)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】