説明

パラメータ抽出方法及び回路動作検証方法並びに当該パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体

【課題】物理的な意味を有するモデル式におけるパラメータ素子のパラメータ抽出方法において、実測値と計算値の一致の度合いを包括的、且つ定量的に評価することを課題とする。
【解決手段】コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、前記コンピュータが、前記入力されたパラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を有し、前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値で評価する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパラメータを有する素子のパラメータ抽出方法及び前記パラメータ抽出方法を用いて抽出した素子パラメータを使用する回路動作検証方法並びに当該パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体に関する。特に半導体回路の設計にあたり、半導体素子のモデル式を利用して回路構成素子の動作を表現するパラメータを与えた上で、設計した回路の動作を検証する半導体回路シミュレーションにおける素子パラメータ抽出方法及び回路動作検証方法並びに当該パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に回路シミュレーション(回路動作検証ともいう)とは、回路接続情報、素子パラメータ、解析条件、出力条件など回路シミュレーションに必要な諸条件を直接入力し、あるいは入力された情報を直接あるいは間接的に使用して回路の動作を検証するものである。
【0003】
上記入力情報において、素子パラメータとは、素子の入力および出力にあたる物理量の相関を数学的に表現するモデル式に含まれるパラメータである。例えば、モデルとしては半導体素子であるMOSFETのBSIM3モデルなどが挙げられる。
【0004】
素子パラメータを使用する代わりに、デバイスシミュレーション装置にて素子の動作を再現する方法を用いて回路シミュレーションを行うこともできる。しかしながら、デバイスシミュレーション装置を回路シミュレーション装置と併用する場合、解析精度が高くなる代わりに解析規模が大きくなり、さらには解析速度が低くならざるを得ず、現実的でないために、デバイスシミュレーション装置が用いられることは少ない。
【0005】
よって、大規模回路のシミュレーションを行う場合は通常、回路を構成する素子の動作をモデル式とその素子パラメータで表現し、モデル式と素子パラメータの情報を回路シミュレーション装置で処理して回路シミュレーションを行うことになる。この場合、モデル式と素子パラメータから再現した素子特性が、実際に回路を構成する素子の特性と良く一致していなければ、回路シミュレーションの結果と実際に作成した回路の解析結果が合わなくなる。
【0006】
そこで、モデル式で表現した特性と実際の素子特性の一致を定量的に評価するために、評価式がいくつか存在する。実際に作成した素子の物理的測定から得た入力出力応答を実測値(以下measともいう。)、与えられたモデル式とその素子パラメータから算出した入出力応答を計算値(以下simともいう。)とすると、個々の実測値に対する計算値との差を評価することができる。個々の実測値と計算値の差は、入力値が等しい実測値と計算値同士の出力値の差と言い換えることができる。
【0007】
個々の実測値と計算値の差ではなく、実測値全体と計算値全体の差を評価する事も出来る。通常実測値と計算値の差は、実測値と計算値の差の平均誤差、平均二乗誤差で評価されるものである(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。個々の実測値に番号を振り、i番目の実測値と入力値が等しい計算値も同様にi番目とし、その出力値の差をerror(i)と表記すると、平均誤差は(数1)で評価することができる。
【0008】
【数1】

【0009】
また、平均2乗誤差は、(数2)で評価することができる。
【0010】
【数2】

【0011】
なお、(数1)、(数2)において、Nは実測データの数で、計算データの数とも等しいものとする。
【特許文献1】特開平8−29255号公報
【特許文献2】特開2001−35930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の通り、素子特性の個々の実測値と計算値の一致を評価する式と素子特性の実測値と計算値の全体的な一致を評価する式があるが、これらの式を使用した場合、見た目での実測値と計算値の全体的な一致具合と上記(数1)、(数2)で定量的に評価した一致具合が必ずしも合わないことがあった。
【0013】
以下に具体例として、実測値と計算値の差(以下、個々のデータの差か全体的な差にかかわらず、誤差ともいう。)の見積もりについて、図面及びフローチャートを交えて説明を行う。
【0014】
図9は従来の誤差の評価方法のフローチャートである。まず、実測値と計算値の差である誤差の評価を行う式を選択する(ステップS901)。
【0015】
次に各データ点での誤差を記憶する(ステップS902)。ここでの記憶とは次のステップにおいて、平均誤差、または平均二乗誤差を計算するための一時的な記憶である。
【0016】
次に記憶した各データ点での誤差を用いて平均誤差、平均二乗誤差を算出する(ステップS903)。
【0017】
ステップS903で算出した平均誤差、及び平均二乗誤差を出力して、実測値と計算値の差である誤差の評価を完了する(ステップS904)。
【0018】
図10は、TFT(薄膜トランジスタ:Thin Film Transistor、以下TFTともいう)のゲート電圧−ドレイン電流特性について、実測値と計算値を示したものである。図10において、実測値は丸点のプロットで表される曲線、計算値1は罰点で表される曲線、計算値2は三角点で表される曲線でそれぞれ示す。図10に関して、実測値と計算値の誤差は、計算値と実測値の差を実測値で除算したものとして、(数1)の平均誤差と(数2)の平均二乗誤差を示すと表1のようになる。
【0019】
【表1】

【0020】
図10において、見た目では、計算値その1もその2も実測値から同様に離れているように見える。しかしながら、実測値と計算値の包括的、且つ定量的な評価式である(数1)の平均誤差あるいは(数2)の平均2乗誤差で実測値と計算値の誤差の評価を行うと、両者の差は数万倍の差が出てくる。
【0021】
平均誤差と平均二乗誤差における差の開きは、実測値と計算値の差を実測値で除算することに伴う。実測値と計算値の差を実測値で除算することは、実測値と計算値の差の割合(%)で評価することができ、より正確な評価を行うことができる。しかしながら、実測値が小さければ小さいほど実測値と計算値の差は増幅されるので、差が同じなら実測値が小さいほど実測値と計算値の差を実測値で割った結果は大きくなる。つまり、実測値全体の中で、相対的に小さい値の方が平均誤差や平均2乗誤差への寄与が大きくなる。実測値が指数関数的に変化する場合、相対的に小さな実測値の平均誤差や平均2乗誤差への寄与は特に大きい。
【0022】
例えば、トランジスタのしきい値電圧の立ち上がり付近では、図11に示すように、計算値が実測値に対して数万倍になっており、実測値と計算値の差は、大きな差として評価されてしまっていた。なお、図11は、TFTのゲート電圧−ドレイン電流特性について、縦軸に対数をとって、実測値と計算値を示したものであり、実質的に図10と同じである。
【0023】
しかしながら、素子パラメータの抽出においては、実測値と計算値ができるだけよく一致するようにしてから、計算値から逆に求められる素子パラメータを抽出する必要があった。そのようにしなければ、回路シミュレーションの正確さも期待することが出来なかった。よって、グラフ上で実測値と計算値の一致を確認するか、上に挙げた平均誤差あるいは平均2乗誤差(MSE)で一致を確認する必要があった。
【0024】
故に、見た目での実測値と計算値の一致の程度と、平均誤差あるいは平均2乗誤差での実測値と計算値の誤差の評価において、求めた実測値と計算値の一致の程度に隔たりがあることは、課題となる。
【0025】
本発明は前述の課題に鑑み、物理的な意味を有するモデル式におけるパラメータ素子のパラメータ抽出方法において、平均誤差あるいは平均2乗誤差で実測値と計算値の誤差の評価を行うことに代わるものである。すなわち、新たなパラメータ素子のパラメータ抽出方法及び抽出したパラメータを使用した回路動作検証方法並びに当該パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体を提供するものである。
【0026】
本発明は前述の課題に鑑み、平均誤差あるいは平均2乗誤差で実測値と計算値の誤差の評価を行うことに代わるパラメータ抽出方法及び抽出したパラメータを使用した回路動作検証方法並びに当該パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明のパラメータ抽出方法の一は、コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を有し、前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値で評価する構成とする。
【0028】
また別の本発明のパラメータ抽出方法の一は、コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を有し、前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、実測値における複数個のデータでの隣接する2点と、前記実測値の2点に対応する前記計算値での2点に囲まれる面積に相当する数値を見積もることで、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値を求め、評価する構成とする。
【0029】
また本発明のパラメータ抽出方法において、前記実測値は、入力物理量に対する出力物理量の応答を示した2次元のグラフとして表記されるものであってもよい。
【0030】
また本発明のパラメータ抽出方法において、前記計算値は、前記モデル式を構成する前記パラメータが具体的な数値として入力されることにより、前記実測値を表記した2次元のグラフ上に表記されるものであってもよい。
【0031】
また本発明のパラメータ抽出方法において前記モデル式は、半導体素子のパラメータを有するモデル式であるものであってもよい。
【0032】
また本発明の回路動作検証方法の一は、前記パラメータが前記モデル式または前記モデル式を表す文字と数字の組み合わせと共にネットリストに記述され、回路計算が行われる構成とする。
【0033】
また本発明の前記パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体の一は、コンピュータに、前記コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を実行させるためのプログラムを記憶し、前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値で評価する構成とする。
【0034】
また本発明の前記パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを具備する記憶媒体の一は、コンピュータに、前記コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を実行させるためのプログラムを記憶し、前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値における前記複数個のデータでの隣接する2点と、前記実測値の2点に対応する前記計算値での2点に囲まれる面積に相当する数値を見積もることで、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値を求め、評価する構成とする。
【0035】
また本発明の記憶媒体において、前記実測値は、入力物理量に対する出力物理量の応答を示した2次元のグラフとして表記されるものであってもよい。
【0036】
また本発明の記憶媒体において、前記計算値は、前記モデル式を構成する前記パラメータが具体的な数値として入力されることにより、前記実測値を表記した2次元のグラフ上に表記されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によって、見た目での実測値と計算値の一致の評価と同様な評価を定量的に行うことができる。さらに、実測値と計算値の誤差の指標を無駄に大きくすることなく、しかもグラフの見た目と指標の数値が良い対応を示すようにすることができ、効率よく精度が高いパラメータ抽出を行うことが出来るようになる。そのため、自動的にパラメータの抽出を行ったときに、グラフを見ることなしに実測値と計算値の一致の程度を知ることができる。
【0038】
また、従来、実測値と計算値の一致の程度をグラフにして保存していき、一致の程度を視覚的に確認していた。しかしながら本発明によって、大量の実測データから自動的にパラメータの抽出を行う場合、結果を全てグラフ化する必要が減り、記憶装置の記憶領域を節約し、管理すべきデータが減ることで人の手間を減らすことができる。
【0039】
また、実測値と計算値の一致の程度が見た目との整合性良く定量値として扱えるので、計算値と実測値の見た目での判断とは異なり、実測値と計算値の一致の程度をコンピュータに判断させることができる。そのため、コンピュータ自身による処理を追加する場合に本発明を役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
【0041】
本実施の形態では、本発明におけるパラメータ抽出方法及びパラメータ抽出方法のフローチャート、並びに本発明を用いた回路シミュレーションのフローチャートについて説明する。
【0042】
図1に本発明を用いた回路シミュレーションのフローチャート図を示す。
【0043】
図1について説明する。ここでは半導体集積回路におけるMOSFETの回路シミュレーションについて説明する。図1において、まず、ユーザ(使用者)により、実デバイスの選定と実デバイスにおける素子特性の測定を行い、実デバイスの入出力応答を表す複数個のデータをコンピュータの記憶部に入力する(ステップS101)。なお実デバイスとしては、トランジスタや配線抵抗などの情報が挙げられる。また、測定された素子の物理的な特性の値を実測値という。
【0044】
なおここでいう実デバイスは、半導体素子等の物理的特性を有し、入力物理量に対する出力物理量の応答を示すものであればよい。半導体素子においては、トランジスタなどの能動素子であれば例えばMOSFET、TFT,SOIトランジスタ、バイポーラトランジスタ等の素子、受動素子であれば抵抗、容量素子などの受動素子であってもよい。
【0045】
なお、ここでいう素子の物理的な特性とは、種々の物理現象を利用した現実の素子において、入力の信号以外の全ての条件を固定した上で測定した入力信号値および出力信号値の相関のことをいう。つまり厳密には、物理的な特性を表す個々の出力信号の測定値を実測値と言う。つまり実測値は、2次元のグラフとして表記されるものである。
【0046】
次いで、ステップS101で、記憶部に入力された実デバイスの入出力応答のデータに応じて、ユーザは、実デバイスの入出力応答のデータに対応するモデル式の選択を行う(ステップS102)。ステップS102において、モデル式の選択は、例えば半導体素子におけるMOSFETであれば、例えばカルフォルニアバークレー校(UCB)の開発したBSIM3モデルであってもよいし、既存の他のモデル式であってもよい。モデル式においては、半導体素子のモデル式は、素子パラメータを含む式で表され、各パラメータを求めることで実デバイスに近似した特性の仮想デバイスとしてシミュレーションを行うことができる。なお、回路シミュレーションにおいては、半導体の分野で主に用いられる、UCBが開発したSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)を用いればよい。
【0047】
なお本実施の形態において、モデル式の選択は、RPI polysiliconモデルを選択するものとして説明する。ユーザは、実デバイスの選定等の条件によりモデル式を選択すればよい。例えば、MOSFETのモデル式であれば、ユーザは、LEVEL1、LEVEL2、LEVEL3、BSIM1、BSIM2、BSIM3等から選択すればよい。TFTのモデル式であれば、ユーザは、RPI polysilicon TFT Model、RPI amorphous TFT Model等から選択すればよい。SOIであれば、ユーザは、UFSOI Model等から選択すればよい。
【0048】
ユーザによる実デバイスの入出力応答のデータの入力、及びコンピュータによるモデル式の選択を行うと、次にコンピュータによる本発明を用いたパラメータの抽出をおこなう(ステップS103)。各パラメータの抽出方法については後で詳述する。
【0049】
モデル式における抽出された各パラメータを用いて、ハードウェア記述言語(HDL)によって半導体集積回路の機能設計または仕様記述を行った後、HDLで記述された機能を実現するべくセルライブラリに格納されたセルの接続関係を規定するネットリストを生成する(ステップS104;このステップを論理合成という)。
【0050】
論理合成においてはセルライブラリに格納された各セルのタイミング情報及び論理情報を主として参照し、所望の機能が実現されるように、且つ、タイミング情報から算出される遅延時間が所定の基準を満たすようにセルの選択及び接続がなされ、回路シミュレーションを行うことができる(ステップS105)。
【0051】
次に図2に本発明を用いたパラメータ抽出方法のフローチャート図を示す。
【0052】
図2について説明する。ここでは半導体集積回路におけるトランジスタのパラメータ抽出方法について説明する。なおパラメータ抽出前にユーザにより、入力された実デバイスの入出力応答のデータに応じ(図1;ステップS101)、物理的な意味を有するモデル式の中から実デバイスの入出力応答のデータに対応するモデル式の選択が行われている(図1;ステップS102)。モデル式については、上述したモデル式、ここではBSIM3を選択されるものとして説明する。
【0053】
図2に示す本発明のパラメータ抽出方法のフローチャート図においては、まずコンピュータによりモデル式を構成するパラメータへ数値入力が行われる(ステップS201)。パラメータの数値入力については、例えばトランジスタであれば、トランジスタのしきい値電圧等の物理的な意味を有するパラメータへの数値入力である。パラメータへの数値入力方法については、モデル式によって異なり、適宜選択して入力される。勿論ユーザにより、各パラメータの条件の制約や入力をおこなってもよい。このようにユーザによる各パラメータの条件を制約することにより、より正確なパラメータの計算を行うことができ、より高速の計算処理を行うことが可能となる。
【0054】
また、上記ステップS201の前後においては、実測値の入出力応答のデータが、記憶部より読み出される。実測値は、実デバイスの半導体素子等の物理的特性を示し、入力物理量に対する出力物理量の応答を示すものであるが、数値化され、予めコンピュータの記憶部に格納されている。なお実測値の入出力応答のデータの記憶部からの出力は、コンピュータによる処理またはユーザによる処理のどちらでもよい。
【0055】
また、上記ステップS201の前後においては、ユーザにより、計算値と実測値の誤差の許容範囲を入力する。誤差の許容範囲については、できる限り小さいことが好ましいが、適宜回路シミュレーションにおける仕様によって設定すればよい。
【0056】
次にステップS201でコンピュータにより入力されたパラメータの数値を基に計算値を算出する(ステップS202)。
【0057】
なお本明細書で言う計算値とは、素子が従う物理法則に則って素子の特性を表現するモデル式を構成するパラメータが具体的な数値として入力されることにより算出されるものをいう。つまり上述のモデル式はパラメータが入力されることにより、計算値として、前記実測値のグラフに対応した2次元のグラフとして表記できるものである。
【0058】
次にステップS202で算出された計算値と、実測値との一致の度合いの指標として、コンピュータは、計算値と実測値の差(誤差)を評価する(ステップS203)。コンピュータによる計算値と実測値の評価については後で詳述する。
【0059】
次に前記ステップS203で見積もられた計算値と実測値の差が、ユーザにより入力された誤差の許容範囲内にあるかどうかを判定する(ステップS204)。計算値と実測値との差がユーザにより入力された誤差の許容範囲外であれば、コンピュータは、前記ステップS201に戻って、パラメータの数値入力を再度おこなう。
【0060】
前記ステップS204において、前記ステップS203で見積もられた計算値と実測値の差が、ユーザにより入力された誤差の許容範囲内であれば、パラメータの数値の見積もりが終了したとみなされ、パラメータの抽出が完了する(ステップS205)。
【0061】
なお本明細書においては、計算値が実測値に近づくようパラメータを変化させる操作をフィッティングと呼ぶ。この場合、コンピュータが自動的にパラメータを変化させる動作を特に自動フィッティングともいう。また、計算値と実測値の差が誤差の許容範囲内であるとき、フィッティングが終了したと見なし、各パラメータの値を出力することをパラメータ抽出と呼ぶ。
【0062】
ステップS205におけるパラメータと、ステップS203で見積もられた計算値と実測値の誤差とを共に出力してもよい。
【0063】
次に本発明のパラメータ抽出方法における計算値と実測値の評価について、以下で図3のフロ−チャート及び数式を交えて説明する。
【0064】
TFTの電気特性としては、ゲート電圧をスイープしてドレイン電流値を測定したドレイン電流とゲート電圧の特性(ID−VG特性)と、ドレイン電圧をスイープしてドレイン電流値を測定したドレイン電流とドレイン電圧の特性(ID−VD特性)とがある。
【0065】
ID−VG特性は、ドレイン電圧を一定に保ったままゲート電圧を微小量かつ一定量変化させながら、ドレイン電流値を測定し、その結果をグラフ上にプロットすることで表現することが出来る。ID−VD特性は、ゲート電圧を一定に保ったままドレイン電圧を微少量かつ一定量変化させながら、ドレイン電流値を測定し、その結果をグラフ上にプロットすることで表現することが出来る。
【0066】
ID−VG特性やID−VD特性は各ゲート電圧あるいは各ドレイン電圧におけるドレイン電流値の有限個の点からなる集合であり、個々の点に番号を付けることは可能である。
【0067】
ここで実測値と計算値の誤差の評価を開始する。i番目の実測値および計算値をそれぞれmeas(i)、sim(i)とし、(数3)にて実測値の曲線(実測値の連結線ともいう)と計算値の曲線(計算値の連結線ともいう)に挟まれた面積に相当する数値(以下、単に面積という)を評価する。このステップは図3のフローチャートにおけるステップS301に対応する。
【0068】
【数3】

【0069】
また、前述の図3におけるS301は、図4でいえば、領域401、領域402の面積により、計算値と実測値の評価をおこなうことともいえる。換言すれば、実測値のデータにおける隣接する2点と、前記実測値のデータに対応する計算値のデータにおける2点の計4点で囲まれる面積を見積もり、その総和を取ることで、前述の領域401、402の面積を求めて、評価をおこなう。つまり、実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれた面積に相当する数値を評価することである。ただし、i番目の実測値は、入力電圧の観点から、i−1番目の実測値とi+1番目の実測値との中間に位置するものとする。
【0070】
(数3)において、Nはデータの個数、intervalはi番目のデータとi+1番目のデータのx方向の間隔で、図4で示したID−VG特性の例でいえば、ゲート電圧ステップ幅にあたる。そして、i−1は1より大きく、i+1はデータの個数Nを超えないものとし、これに反する場合は面積を評価できないので考えないものとする。また、δは実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれた面積を過大評価することを避けるためのパラメータであり、i番目とi+1番目で実測値と計算値の大小関係が逆転したときには0.5を代入し、それ以外のときには1を代入する。
【0071】
図4で示したID−VG特性の例において、(数3)で実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれる面積を計算すると、以下のようになる。
【0072】
実測値の曲線と計算値その1の曲線に挟まれる面積:
【0073】
S1 = 0.00110
【0074】
実測値の曲線と計算値その2の曲線に挟まれる面積:
【0075】
S2 = 0.000899
【0076】
なお、上記S1、S2で求めた面積を図示すると、図4における領域401がS1に対応し、図4における領域402がS2に対応するといえる。
【0077】
これによって従来数万倍になっていた誤差の指標が、数倍以下に抑えられた。しかし、このままだと、実測値や計算値の絶対値によって面積は大きくも小さくもなるため、実測値の大きさを基準とした指標に修正することを考える。まず実測値の曲線と、ドレイン電流Id=0で挟まれる部分の面積に相当する数値をSmeasとしてSmaesを求める(ステップS302)。なお、図3におけるS301、S302の順は特に限定されない。また、Smeasは図5における領域501に対応する面積である。
【0078】
そして、S1、S2をSmeasで除算した結果をパーセンテージで表し、それぞれS1’、S2’とおくと、(数4)、(数5)で表される。なお、このステップは図3におけるステップS303に対応する。
【0079】
【数4】

【0080】
【数5】

【0081】
(数4)、(数5)からわかるように、実測値および計算値の絶対値の大小によらず、実測値の曲線と計算値の曲線の一致の程度を見積もることができる。これらのパーセンテージは小さければ小さいほど実測値の曲線と計算値の曲線の一致が良いことを表す。そして、計算値と実測値の誤差の指標として一致の程度を評価し、結果が出力される(図3におけるステップS304)
【0082】
またさらに本実施の形態の構成においては、さらに実測値と計算値の差を小さくすることができる。
【0083】
半導体素子であるMOSFETやTFTなどの素子の動作領域にはオフ領域があり、この領域ではスイッチとしてのトランジスタはオフしている状態である。そのとき、リーク電流と呼ばれる非常に弱い電流が流れることが知られている。
【0084】
オフ領域におけるドレイン電流値は非常に小さく、測定限界に近いことがあり、そのときにはドレイン電流の測定値がふらつくことがある。そのようなふらつきはモデルで表現することが出来ないため、実測値と計算値の一致が良くない部分がどうしても出てくる。そのような時にはオフ領域以外の誤差だけ評価し、その誤差をなるべく小さくするようにすることがフィッティングを行う上で重要である。そのため、半導体素子における実測値と計算値の差を見積もる場合においては、オフ領域を除いて誤差を評価できるようにする。
【0085】
ゲート電圧−ドレイン電流特性を片対数プロットにすると、オフ領域とサブスレッショルド領域の境界で勾配が0に非常に近くなるので、ドレイン電流値が大きい方から小さい方にログスケールで勾配を調べていき、0または指定値以下になったときのデータ番号を記憶する。例えば、その番号がmとする。1番目のデータがオフ領域にある場合は、
【0086】
【数6】

【0087】
1番目のデータがオン領域にある場合は、
【0088】
【数7】

【0089】
の形で実測値と計算値の一致の程度を評価できるようにする。
【0090】
以上の手順を踏むことによって、計算値が実測値を上回ろうと下回ろうと正確に実測値の曲線と計算値の曲線との一致の程度を数量化することが出来る。従来は誤差の指標とグラフを見た目での平均的な誤差に隔たりがあったため、誤差の指標はほとんど使用することなく、結局グラフで実測値の曲線と計算値の曲線の一致の程度を確認していた。しかしながら、本発明の誤差の指標を用いれば、グラフでの確認を省くことが出来、グラフを確認する手間、グラフを記憶するためのメモリを節約することができる。
【0091】
なお、本実施の形態は、本明細書中の他の実施の形態の記載とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
【0092】
本実施の形態においては、実施の形態1で示したパラメータの抽出方法において、より計算値と実測値の一致の精度を上げる構成について述べる。
【0093】
次に本発明のパラメータ抽出方法における計算値と実測値の評価について、以下でフロ−チャート及び数式を交えて説明する。
【0094】
TFTの電気特性としては、ゲート電圧をスイープしてドレイン電流値を測定したドレイン電流とゲート電圧の特性(ID−VG特性)と、ドレイン電圧をスイープしてドレイン電流値を測定したドレイン電流とドレイン電圧の特性(ID−VD特性)とがある。
【0095】
ID−VG特性は、ドレイン電圧を一定に保ったままゲート電圧を微小量かつ一定量変化させながら、ドレイン電流値を測定し、その結果をグラフ上にプロットすることで表現することが出来る。ID−VD特性は、ゲート電圧を一定に保ったままドレイン電圧を微少量かつ一定量変化させながら、ドレイン電流値を測定し、その結果をグラフ上にプロットすることで表現することが出来る。本実施の形態においてはドレイン電流のプロットについて、対数をとったいわゆる片対数プロットで実測値と計算値の一致の程度の指標である誤差を見積もる。
【0096】
ID−VG特性やID−VD特性は各ゲート電圧あるいは各ドレイン電圧におけるドレイン電流値の有限個の点からなる集合であり、個々の点に番号を付けることは可能である。
【0097】
ここで実測値と計算値の誤差の評価を開始する。i番目の実測値および計算値をそれぞれmeas(i)、sim(i)とし、(数8)にて実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれた面積を評価する。このステップは図6のフローチャートにおけるステップS601に対応する。
【0098】
【数8】

【0099】
また、前述の図6におけるS601は、図7でいえば、領域701、領域702の面積により、計算値と実測値の評価をおこなうことともいえる。換言すれば、実測値のデータにおける隣接する2点と、前記実測値のデータに対応する計算値のデータにおける2点の計4点で囲まれる面積を見積もり、その総和を取ることで、前述の領域701、702の面積を求めて、評価をおこなう。実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれた面積を評価することである。ただし、i番目の実測値は、入力電圧の観点から、i−1番目の実測値とi+1番目の実測値との中間に位置するものとする。
【0100】
(数8)において、Nはデータの個数、intervalはi番目のデータとi+1番目のデータのx方向の間隔で、図7で示したID−VG特性の例でいえば、ゲート電圧ステップ幅にあたる。そして、i−1は1より大きく、i+1はデータの個数Nを超えないものとし、これに反する場合は面積を評価できないので考えないものとする。また、δは実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれた面積を過大評価することを避けるためのパラメータであり、i番目とi+1番目で実測値と計算値の大小関係が逆転したときには0.5を代入し、それ以外のときには1を代入する。
【0101】
図7で示したID−VG特性の例において、(数8)で実測値の曲線と計算値の曲線に挟まれる面積を計算すると、以下のようになる。
【0102】
実測値の曲線と計算値その1の曲線に挟まれる面積:
【0103】
S1 = 7.45
【0104】
実測値の曲線と計算値その2の曲線に挟まれる面積:
【0105】
S2 = 11.6
【0106】
なお、上記S1、S2で求めた面積を図示すると、図7における領域701がS1に対応し、図7における領域702がS2に対応するといえる。
【0107】
これによって従来数万倍になっていた誤差の指標が、数倍以下に抑えられた。しかし、このままだと、実測値や計算値の絶対値によって面積は大きくも小さくもなるため、実測値の大きさを基準とした指標に修正することを考える。まず実測値の曲線と、ドレイン電流Id=0で挟まれる部分の面積をSmeasとしてSmeasを求める(ステップS602)。なお、図6におけるS601、S602の順は特に限定されない。また、Smeasは図8における領域801に対応する面積である。
【0108】
そして、S1、S2をSmeasで除算した結果をパーセンテージで表し、それぞれS1’、S2’とおくと、(数9)、(数10)で表される。なお、このステップは図6におけるステップS603に対応する。
【0109】
【数9】

【0110】
【数10】

【0111】
(数9)、(数10)からわかるように、実測値および計算値の絶対値の大小によらず、実測値の曲線と計算値の曲線の一致の程度を見積もることができる。これらのパーセンテージは小さければ小さいほど実測値の曲線と計算値の曲線の一致が良いことを表す。そして、計算値と実測値の誤差の指標として、結果が出力される(図6におけるステップS604)
【0112】
以上の手順を踏むことによって、計算値が実測値を上回ろうと下回ろうと正確に実測値の曲線と計算値の曲線との一致の程度を数量化することが出来る。従来は誤差の指標とグラフを見た目での平均的な誤差に隔たりがあったため、誤差の指標はほとんど使用することなく、結局グラフで実測値の曲線と計算値の曲線の一致の程度を確認していた。しかしながら、本発明の誤差の指標を用いれば、グラフでの確認を省くことが出来、グラフを確認する手間、グラフを記憶するためのメモリを節約することができる。
【0113】
なお、本実施の形態は、本明細書中の他の実施の形態のいかなる記載とも自由に組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0114】
本実施例においては、本発明のパラメータ抽出方法をプログラムとして記憶し、コンピュータに実行させることのできる記憶媒体について説明する。
【0115】
本発明の記憶媒体は、上記実施の形態で示したパラメータ抽出方法を、コンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムとして記憶することができる。例えば、磁気ディスク、ハードディスク、CDROM、メモリカード、光磁気ディスク等の記憶媒体に記憶してコンピュータに読み取らせることで使用することができる。本発明の記憶媒体は、パラメータ抽出方法を実行させるためのプログラムを有している。このため、コンピュータに記憶されたプログラムを読み取らせることができる。
【0116】
なお、本実施例は、上述した実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。そのため、回路シミュレーションにおけるパラメータ抽出において、計算値が実測値を上回ろうと下回ろうと正確に実測値の曲線と計算値の曲線との一致の程度を数量化することが出来る。従来は誤差の指標とグラフを見た目での平均的な誤差に隔たりがあったため、誤差の指標はほとんど使用することなく、結局グラフで実測値の曲線と計算値の曲線の一致の程度を確認していた。しかしながら、本発明の誤差の指標を用いれば、グラフでの確認を省くことが出来、グラフを確認する手間、グラフを記憶するためのメモリを節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのフローチャート図。
【図2】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのフローチャート図。
【図3】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのフローチャート図。
【図4】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【図5】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【図6】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのフローチャート図。
【図7】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【図8】本発明のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【図9】従来のパラメータ抽出方法を説明するためのフローチャート図。
【図10】従来のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【図11】従来のパラメータ抽出方法を説明するためのID−VG特性図。
【符号の説明】
【0118】
S101 ステップ
S102 ステップ
S103 ステップ
S104 ステップ
S105 ステップ
S201 ステップ
S202 ステップ
S203 ステップ
S204 ステップ
S205 ステップ
S301 ステップ
S302 ステップ
S303 ステップ
S304 ステップ
401 領域
402 領域
501 領域
S601 ステップ
S602 ステップ
S603 ステップ
S604 ステップ
701 領域
702 領域
801 領域
S901 ステップ
S902 ステップ
S903 ステップ
S904 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、
前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、
前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を有し、
前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値で評価することを特徴とするパラメータ抽出方法。
【請求項2】
コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、
前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、
前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を有し、
前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、実測値における複数個のデータでの隣接する2点と、前記実測値の2点に対応する前記計算値での2点に囲まれる面積に相当する数値を見積もることで、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値を求め、評価することを特徴とするパラメータ抽出方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記実測値は、入力物理量に対する出力物理量の応答を示した2次元のグラフとして表記されるものであることを特徴とするパラメータ抽出方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、前記計算値は、前記モデル式を構成する前記パラメータが具体的な数値として入力されることにより、前記実測値を表記した2次元のグラフ上に表記されるものであることを特徴とするパラメータ抽出方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記モデル式は、半導体素子のパラメータを有するモデル式であることを特徴とするパラメータ抽出方法。
【請求項6】
請求項5における前記パラメータが前記モデル式または前記モデル式を表す文字と数字の組み合わせと共にネットリストに記述され、回路計算が行われることを特徴とする回路動作検証方法。
【請求項7】
コンピュータに、
前記コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、
前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、
前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を実行させるためのプログラムを記憶し、
前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値で評価することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項8】
コンピュータに、
前記コンピュータが、モデル式を構成するパラメータの数値を入力するステップと、
前記コンピュータが、前記パラメータの数値を前記モデル式に入力し計算値を算出するステップと、
前記コンピュータが、実デバイスの入出力応答を実測値とし、前記実測値と前記計算値の間の一致の度合いの評価を行うステップと、を実行させるためのプログラムを記憶し、
前記実測値と前記計算値の一致の度合いは、前記実測値における前記複数個のデータでの隣接する2点と、前記実測値の2点に対応する前記計算値での2点に囲まれる面積に相当する数値を見積もることで、前記実測値の連結線と前記計算値の連結線に挟まれた部分の面積に相当する数値を求め、評価することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項9】
請求項7または8において、前記実測値は、入力物理量に対する出力物理量の応答を示した2次元のグラフとして表記されるものであることを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一において、前記計算値は、前記モデル式を構成する前記パラメータが具体的な数値として入力されることにより、前記実測値を表記した2次元のグラフ上に表記されるものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−200290(P2007−200290A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340954(P2006−340954)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】