説明

パラメータ表示装置及びプログラム

【課題】 明るい環境だけでなく暗い環境下においても、複数の発光素子による点灯パターンからパラメータ値を読み取ることができる表示装置の提供。
【解決手段】 第1又は第2の発光モードの切換えに応じて、表示部を構成する複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転する。第2モード時における点灯パターンは、第1モード時における点灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンに比べて、点灯状態にある発光素子の数を多くして消灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンとし、こうした点灯パターンは暗い環境下において消灯状態にある発光素子の相対的な位置が直感的に分かりやすい。したがって、発光状態にある発光素子からパラメータ値を読み取る第1モードではパラメータ値を読み取ることが困難な暗い環境下においても、ユーザは第2モードに切り換えるだけで、消灯状態にある発光素子からパラメータ値を把握することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の発光素子による点灯パターンにより、ユーザに対してパラメータ値を提示するパラメータ表示装置及びプログラムに関する。特に、明るい環境及び暗い環境どちらの環境下においても、複数の発光素子による点灯パターンから、ユーザが直感的にパラメータ値を読み取ることが簡単にできるようにしたパラメータ表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示器を構成する複数の発光素子による点灯パターンにより、所定パラメータにおける現在の設定値をユーザに対して提示するパラメータ表示装置が知られている。こうした装置に関連するものとしては、例えば下記に示す特許文献1に記載されている発明がその一例である。この特許文献1に記載の装置では、音程(オクターブ)や演奏速度(テンポ)等の所定パラメータに関し、一列に並べられた複数の発光素子のうち点灯状態にある発光素子の組み合わせ(つまりは点灯パターン)により、現時点において設定されているそれらのパラメータ値をユーザに対して提示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11-338482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような従来知られた装置を周囲が明るい環境下で使用する場合には、ユーザが一列に並べられた複数の発光素子の互いの位置関係の把握に加えて、各発光素子の近傍に印刷等により明示されているパラメータ値確認用の補助的な指標(例えば、所定の数値等が記載されている)を目視することができることから、パラメータ値を読み取るのは容易である。しかし、従来知られた装置を例えばコンサート会場やイベントホールなどの周囲が暗い環境下で使用する場合には、前記パラメータ値確認用の指標が見えにくくなりユーザが指標を目視しがたい。そうした場合、ユーザは一列に並べられた複数の発光素子のうち点灯している発光素子における互いの位置関係(点灯位置関係)のみでパラメータ値を推測するしかないが、暗い環境下では点灯している発光素子が相対的にどの位置にあるものかが非常にわかりづらいために、適切にパラメータ値を読み取ることは容易でない。そこで、明るい環境下だけでなく暗い環境下においても、複数の発光素子それぞれの相対的な位置がわかりやすく、複数の発光素子による点灯パターンからユーザが直感的にパラメータ値を読み取ることができるものがあれば便利であるが、そうしたものは未だ提案されていない。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、明るい環境下においては勿論のこと暗い環境下においても、複数の発光素子による点灯パターンから、ユーザが直感的にパラメータ値を読み取ることが簡単にできるようにしたパラメータ表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るパラメータ表示装置は、複数の発光素子を有する表示部と、前記表示部に含まれる複数の発光素子それぞれに対して点灯又は消灯制御を行う表示制御手段と、パラメータ値を取得するパラメータ取得手段と、前記取得したパラメータ値に対応し、前記複数の発光素子のうち1又は2以上の発光素子を点灯するように前記表示制御手段に対して指示する指示手段と、前記複数の発光素子の発光モードとして第1又は第2のいずれかのモードに切り換えるモード切り換え手段と、前記発光モードの切り換えに応じて、前記複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転するよう前記表示制御手段に対して指示する反転指示手段とを具えてなり、前記第1モードの場合には複数の発光素子のうち点灯している発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示し、前記第2モードの場合には点灯していない発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示することを特徴とする。
【0006】
この発明によると、表示部を構成する複数の発光素子の点灯及び消灯制御に関し、第1又は第2の発光モードの切換えに応じて前記複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転するように制御することができるようにした。この際に、第1モードの場合には複数の発光素子のうち点灯している発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示し、第2モードの場合には点灯していない発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示する。特に第2モード時における点灯パターンは、第1モード時における点灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンに比べて、点灯状態にある発光素子の数を多くして消灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンであり、こうした点灯パターンは特に暗い環境下において消灯状態にある発光素子の相対的な位置が直感的に分かりやすい。したがって、発光状態にある発光素子からパラメータ値を読み取る第1モードではパラメータ値を読み取ることが困難な暗い環境下にある場合においても、ユーザは第2モードに切り換えるといった簡単な操作を行うだけで、消灯状態にある発光素子からパラメータ値を把握することができるようになる。
【0007】
本発明は、装置の発明として構成し、実施することができるのみならず、方法の発明として構成し実施することができる。また、本発明は、コンピュータまたはDSP等のプロセッサのプログラムの形態で実施することができるし、そのようなプログラムを記憶した記憶媒体の形態で実施することもできる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、発光モードの切り換えに応じて、表示部を構成する複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転するようにしたことから、明るい環境及び暗い環境どちらの環境下においても、ユーザは複数の発光素子による点灯パターンから直感的にパラメータ値を読み取ることが簡単にできるようになる、という効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明に係るパラメータ表示装置を適用した電子楽器の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。本実施例に示す電子楽器は、マイクロプロセッサユニット(CPU)1、リードオンリメモリ(ROM)2、ランダムアクセスメモリ(RAM)3からなるマイクロコンピュータによって制御される。CPU1は、この電子楽器全体の動作を制御する。このCPU1に対して、通信バス1D(例えばデータ及びアドレスバス)を介してROM2、RAM3、記憶装置4、検出回路5,6、表示回路7、音源・効果回路8、通信インタフェース(I/F)9がそれぞれ接続されている。ROM2は、CPU1により実行あるいは参照される各種制御プログラムや各種データ等を格納する。RAM3は、CPU1が所定のプログラムを実行する際に発生する各種データなどを一時的に記憶するワーキングメモリとして、あるいは現在実行中のプログラムやそれに関連するデータを一時的に記憶するメモリ等として使用される。RAM3の所定のアドレス領域がそれぞれの機能に割り当てられ、レジスタやフラグ、テーブル、メモリなどとして利用される。
【0011】
記憶装置4は、各種データやCPU1が実行する各種制御プログラム等を記憶する。この実施例においては、例えば設定操作子6Aの操作に応じて適宜に決定される音程(オクターブ)や演奏速度(テンポ)あるいは音量(ゲイン)等の各パラメータ値、所定のパラメータ値に対応付けて表示器7Aの点灯パターン(詳しくは後述する図5参照)を規定した公知の「パターンテーブル」(図示せず)などを記憶する。なお、上述したROM2に制御プログラムが記憶されていない場合、この記憶装置4(例えばハードディスク)に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM3に読み込むことにより、ROM2に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU1にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。なお、記憶装置4はハードディスク(HD)に限られず、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD‐ROM・CD‐RAM)、光磁気ディスク(MO)、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)等の着脱自在な様々な形態の外部記憶媒体を利用する記憶装置であればどのようなものであってもよい。あるいは、フラッシュメモリなどの半導体メモリであってもよい。
【0012】
演奏操作子5Aは、楽音の音高を選択するための複数の鍵を備えた例えば鍵盤等のようなものであり、各鍵に対応してキースイッチを有しており、この演奏操作子5A(鍵盤等)はユーザ自身の手弾きによるマニュアル演奏に使用することができるのは勿論のこと、各種パラメータを設定する手段などとして使用することもできる。検出回路5は、演奏操作子5Aの各鍵の押圧及び離鍵を検出することによって検出出力を生じる。設定操作子(スイッチ等)6Aは、例えば音程(オクターブ)や演奏速度(テンポ)あるいは音量(ゲイン)等の各種パラメータの設定値を設定するパラメータ設定ボタン、表示器7Aにおけるパラメータ値の表示モードとして「ノーマルモード」又は「リバースモード」のいずれかに切り換えるモード切換スイッチ、さらにはMIDI等の自動演奏データを選択する選択スイッチや自動演奏の開始を指示する自動演奏スイッチ等、各種の操作子を含んで構成される。勿論、設定操作子6Aは上記した以外にも音色、効果等を選択・設定・制御するための数値データ入力用のテンキーや文字データ入力用のキーボードなどの各種操作子を含んでいてもよい。検出回路6は、上記設定操作子6Aの操作状態を検出し、その操作状態に応じたスイッチ情報等をデータ及びアドレスバス1Dを介してCPU1に出力する。
【0013】
表示回路7は所定のパラメータに関し、上記パラメータ設定ボタンの操作に応じて設定されるパラメータ値を表示器7Aに表示する。表示器7Aは、例えばLED等の複数の発光素子から構成される。ここで、表示器7Aの構成の一実施例を図2に示す。
【0014】
図2に示す表示器7Aは、発光素子を模して印刷されたセンター位置確認用の指標Dの両脇に、それぞれ2つずつ計4つの発光素子(LED等)L1〜L4を横一列に並んで配置してなるものである。つまり、該指標Dの印刷箇所には発光素子を配置しない。これらの発光素子L1〜L4及びセンター位置確認用の指標Dの近傍(この例ではそれぞれの下部)には、センター位置確認用の指標Dに「±0」が付されるようにして、左から順に「−2」〜「+2」までの数値が印刷等により付されている。この印刷された数値は、パラメータ値設定用兼パラメータ値確認用の補助的な指標である。また、この実施例においてはパラメータ値を設定する設定操作子6Aとして、「−」及び「+」表示が表面に付された2つのパラメータ設定ボタンが表示器7Aの近傍(この例では下部)に配置されている。これらの2つのパラメータ設定ボタンは単なるボタンとして機能するだけでなく、それぞれがパラメータ値設定用兼パラメータ値確認用の補助的な指標を兼ねている。すなわち、「−」表示が付された左側のパラメータ設定ボタンの横幅が「−2」,「−1」の指標を含む幅に、「+」表示が付された右側のパラメータ設定ボタンの横幅が「+1」,「+2」の指標を含む幅にそれぞれ形成されており、パラメータ設定ボタンの「−」及び「+」表示と各発光素子L1〜L4とを照らしあわせることだけでも、ユーザがパラメータ値を読み取ることができるようにしている(ただし、ユーザが前記各指標を読み取ることができる明るい環境下で本電子楽器を用いる場合)。
【0015】
他方、本電子楽器を暗い環境下で用いる場合には、ユーザは前記各指標を読み取ることができないので、こうした指標に頼ることなく表示器7Aにおける発光素子L1〜L4の点灯パターンのみを参照して、ユーザが直感的にパラメータ値を読み取ることができるようにしている。言い換えれば、本発明に係るパラメータ表示装置においては、暗い環境下にあってもユーザがパラメータ値を直感的に読み取ることが可能なように、暗い環境下では明るい環境下とは異なる点灯パターンで各発光素子L1〜L4を点灯(点滅)及び消灯する。こうした環境毎に異なる点灯パターンについては後述する(図5参照)。
【0016】
図1の説明に戻って、音源・効果回路7は複数のチャンネルで楽音信号の同時発生が可能であり、通信バス1Dを経由して与えられた、ユーザによる演奏操作子5Aのマニュアル操作に応じて発生される、あるいは記憶装置4に記憶されている自動演奏データの再生に応じて発生される各種演奏情報を入力し、これらの演奏情報に基づいて楽音信号を発生する。また、発生した楽音信号に対して効果を付与することもできる。音源・効果回路8から発生される楽音信号は、アンプやスピーカなどを含むサウンドシステム8Aから発音される。この音源・効果回路8とサウンドシステム8Aの構成には、従来のいかなる構成を用いてもよい。例えば、音源・効果回路8はFM、PCM、物理モデル、フォルマント合成等の各種楽音合成方式のいずれを採用してもよく、また専用のハードウェアで構成してもよいし、CPU1によるソフトウェア処理で構成してもよい。
【0017】
通信インタフェース(I/F)9は、図示を省略した外部機器と当該電子楽器との間でMIDI形式の演奏データを送受信するMIDI入出力インタフェース、MIDI以外のデータや制御プログラムなどの各種情報を送受信するデータ入出力インタフェースとしての機能を備えた、例えばRS-232C、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、IEEE1394(アイトリプルイー1394)、ブルートゥース(商標)、赤外線送受信器等のインタフェースである。あるいは、LAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の有線あるいは無線の通信ネットワークを介して、電子楽器とネットワーク上の外部機器(例えば、サーバ装置)とを接続することができ、電子楽器とサーバ装置との間でMIDIデータや各種情報などを送受信することができるネットワークインタフェースであってもよい。こうした通信インタフェース9は、有線あるいは無線のものいずれかでなく双方を具えていてよい。
【0018】
なお、演奏操作子5Aは鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器や管楽器、あるいは打楽器等どのようなタイプの形態でもよい。また、演奏操作子5Aや表示器7Aあるいは音源・効果回路8などを1つの装置本体に内蔵したものに限らず、それぞれが別々に構成され、通信インタフェースや各種ネットワーク等の通信手段を用いて各装置を接続するように構成されたものであってもよいことは言うまでもない。さらに、本発明に係るパラメータ表示装置を適用する装置は上記したような電子楽器の形態に限らず、ミキサーやシーケンサ、パーソナルコンピュータ、カラオケ装置やゲーム装置、携帯電話等の携帯型通信端末、自動演奏ピアノなど、どのような形態の装置・機器に適用してもよい。携帯型通信端末に適用した場合、端末のみで所定の機能が完結している場合に限らず、機能の一部をサーバ側に持たせ、端末とサーバとからなるシステム全体として所定の機能を実現するようにしてもよい。
【0019】
次に、図1に示した電子楽器が実行する具体的な処理について、図3〜図4を用いて説明する。図3は、当該電子楽器が実行する「メイン処理」の一実施例を示すフローチャートである。当該処理は、電子楽器本体の電源オンに応じてCPU1が実行開始する処理である。
【0020】
ステップS1は、初期化処理を実行する。初期化処理としては、レジスタのクリアや表示モード及びパラメータ値の初期設定、さらには前記表示モード及びパラメータ値に従う表示器7Aの初期表示制御等がある。具体的には、例えば本体の電源オフ時において設定されていた前回終了時の表示モード及びパラメータ値を記憶装置4から読み出して自動的に機器設定する。勿論、表示モードやパラメータ値を予め決められたデフォルト値(例えば表示モードをノーマルモード、パラメータ値を「0」)に従って初期設定するようにしてもよい。さらに、初期設定された表示モードとパラメータ値とに基づいて、表示器7Aの点灯パターンを決定し、該決定した点灯パターンでパラメータ値を表示するよう表示回路7に指示する。点灯パターンの決定方法としては、例えば表示モード毎に記憶装置4に記憶されているデータであって、表示器7Aを構成する複数の発光素子毎の点灯/消灯/点滅状態(点灯パターン)をパラメータ値に応じて規定した「パターンテーブル」を参照する方法、あるいは表示モード及びパラメータ値に従って発光素子毎に点灯/消灯/点滅状態のいずれかを決定する所定の処理プログラムを実行する方法等、パラメータ値毎に異なる点灯パターンを決定するものであればどのような方法を採用してもよい。表示回路7は、前記指示に従い表示器7Aに含まれる複数の発光素子を制御して、該当の点灯パターンでパラメータ値を初期表示する。
【0021】
ステップS2は、「演奏操作子処理」を実行する。この「演奏操作子処理」は、演奏操作子5Aの操作に応じた公知の楽音制御を行う。例えば、演奏操作子5Aが押鍵又は離鍵操作された場合には、操作された鍵に予め対応付けられているノートナンバを含むノートイベント(ノートオン又はノートオフ)データを生成し、これに基づき楽音を発音又は消音する制御を行う。ステップS3は、「パラメータ設定処理」を実行する。この処理については後述する(図4参照)。ステップS4は、その他の処理を実行する。その他の処理としては、例えば自動演奏データを選択し再生する処理、あるいは楽音発生の際に用いる音色や効果等を選択・設定・制御する処理などがある。
【0022】
図4は、「パラメータ設定処理」(図3のステップS3参照)の一実施例を示すフローチャートである。ステップS11は、ユーザによるモード切換スイッチ等の操作に応じて表示モードがノーマルモードからリバースモードへ、あるいはリバースモードからノーマルモードへと切り換えられたか否かを判定する。表示モードが切り換えられたと判定した場合には(ステップS11のYES)、表示モードをノーマルモード又はリバースモードの何れかに切り換えて機器設定すると共に、表示器7Aの現状の点灯パターンを反転するよう表示回路7に指示する(ステップS12)。すなわち、表示器7Aにおける現在の各発光素子の表示態様(点灯パターン)を全て反転するように、つまり点灯状態にある発光素子については消灯する一方で、消灯状態にある発光素子については点灯するように、表示回路7に対して指示する。ただし、点滅状態にある発光素子についてはそのまま点滅状態を保持するよう、表示回路7に指示してよい。表示回路7は、該指示に従い表示器7Aの現状の点灯パターンを反転する。
【0023】
ステップS13は、ユーザのよるパラメータ設定ボタン等の操作に応じて、表示器7Aにおいて表示中のパラメータ値が変更されたか否かを判定する。パラメータ値が変更されたと判定した場合には(ステップS13のYES)、ユーザによる操作に応じてRAM3や記憶手段4に記憶された該当のパラメータ値と、設定済みの表示モードとに基づき、表示器7Aの点灯パターンを決定する(ステップS14)。点灯パターンの決定方法は、上記したように「パターンテーブル」を参照する方法、所定の処理プログラムを実行する方法等、どのような方法を採用してもよい。ステップS15は、前記決定された点灯パターンに従って、表示器7Aを構成する各発光素子のそれぞれを点灯/消灯/点滅駆動するよう表示回路7に指示する。表示回路7は、該指示に従い各発光素子のそれぞれを点灯/消灯/点滅駆動する。こうして、表示器7Aの表示態様を変更する。
【0024】
ここで、ノーマルモード及びリバースモード時における表示器7Aの具体的な点灯パターンを図5に示す。図5は、ノーマルモード及びリバースモード時における表示器7Aの具体的な表示態様の一例を示す概念図である。この図5では、左側にノーマルモード時における表示器7Aの表示態様を、右側にリバースモード時における表示器7Aの表示態様をそれぞれ示している。
【0025】
まず、ノーマルモード時における表示器7Aの表示態様について説明する。図5(a)は、パラメータ値が「−3」(又は−3未満)であるときの表示を示している。ノーマルモードの場合には、図2において斜線を付した左端の発光素子L1のみが点滅し、その他の発光素子L2〜L4は消灯している。ここで、この実施例では、パラメータ値が所定値以上又は以下となった場合に両端の発光素子L1又はL4のいずれかを点滅させることにより、ユーザに対してパラメータ値が所定範囲を超えて設定されていることを提示するものを示している。つまり、パラメータ値が所定範囲(この例では「−2」〜「+2」)以外である場合に両端の発光素子L1又はL4のいずれかを点滅させることにより、ユーザに対して所定範囲を超えていることを提示するようにしている。
【0026】
図5(b)は、パラメータ値が「−2」であるときの表示を示している。この場合、左端の発光素子L1のみが点灯し、その他の発光素子L2〜L4は消灯している。図5(c)は、パラメータ値が「−1」であるときの表示を示している。この場合、発光素子L2のみが点灯し、その他の発光素子L1,L3,L4は消灯している。図5(d)は、パラメータ値が「±0」であるときの表示を示している。この場合、全ての発光素子L1〜L4は消灯している。図5(e)は、パラメータ値が「+1」であるときの表示を示している。この場合、発光素子L3のみが点灯し、その他の発光素子L1,L2,L4は消灯している。図5(f)は、パラメータ値が「+2」であるときの表示を示している。この場合、発光素子L4のみが点灯し、その他の発光素子L1〜L3は消灯している。図5(g)は、パラメータ値が「+3」(又は+3より大きい)であるときの表示を示している。この場合、右端の発光素子L4のみが点滅し、その他の発光素子L1〜L3は消灯している。こうしたノーマルモード時における表示器7Aの点灯パターンは従来知られた表示態様であって、発光状態にある1つの発光素子L1〜L4いずれかの相対的位置(及び図2に示す各指標)から、ユーザはパラメータ値を読み取るものであることが理解できる。すなわち、明るい環境下にある場合には、発光素子が点灯(点滅)された状態にあれば、ユーザは該点灯した発光素子に付された数値及びパラメータ設定ボタンの「+」「−」表示等の各指標(図2参照)を明確に視認することができ、点灯している発光素子とパラメータ値との対応関係をすぐさま把握することができるようになっている。
【0027】
次に、リバースモード時における表示器7Aの表示態様について説明する。リバースモードの場合には、上記ノーマルモード時における各発光素子L1〜L4の点灯パターンを反転したパターンとなる。図5(a)の場合、左端の発光素子L1を除いた発光素子L2〜L4が点灯し、左端の発光素子L1のみが点滅している。ただし、リバースモードの場合であっても、パラメータ値が所定範囲以外である場合には両端の発光素子L1又はL4のいずれかを点滅させることにより、ユーザに対して所定範囲を超えていることを提示することには、ノーマルモードと何ら変わらない。
【0028】
図5(b)の場合、発光素子L2〜L4が点灯し、左端の発光素子L1のみが消灯している。図5(c)の場合、発光素子L1,L3,L4が点灯し、発光素子L1のみが消灯している。図5(d)の場合、全ての発光素子L1〜L4が点灯している。図5(e)の場合、発光素子L1,L2,L4が点灯し、発光素子L3のみが消灯している。図5(f)の場合、発光素子L1〜L3が点灯し、右端の発光素子L4のみが消灯している。図5(g)の場合、右端の発光素子L4を除いた発光素子L1〜L3が点灯し、右端の発光素子L4のみが点滅している。こうしたリバースモード時における表示器7Aの表示態様(点灯パターン)においては、消灯状態にある1つの発光素子L1〜L4いずれかの相対的位置からのみ、ユーザはパラメータ値を読み取るものであることが理解できる。すなわち、暗い環境下にある場合には、発光素子が点灯された状態であったとしても、ユーザは該発光素子に付された各指標を明確に視認することができず、明るい環境下と異なり点灯されている発光素子だけではパラメータ値との対応関係をすぐさま把握することができない。そこで、暗い環境下で使用する場合には、表示モードをリバースモードに設定し、ノーマルモード時における表示器7Aの点灯パターンを反転表示する。
【0029】
以上のように、表示モードを切り換えるといった簡単な操作を行うだけで、表示器7Aの点灯パターンを適宜に反転表示し、該表示器7Aの点灯パターンからユーザがパラメータ値を読み取ることができるようにした。特にリバースモード時における点灯パターンは、ノーマルモード時における点灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンに比べて、点灯状態にある発光素子の数を多くして消灯状態にある発光素子を際立たせる点灯パターンであるといえ、こうした点灯パターンは特に暗い環境下において消灯状態にある発光素子(非発光素子)の相対的な位置が直感的に分かりやすい。したがって、発光状態にある発光素子からパラメータ値を読み取るノーマルモードではパラメータ値を読み取ることが困難な暗い環境下にある場合においても、ユーザは表示モードをリバースモードに切り換えるだけで、消灯状態にある発光素子から容易にパラメータ値を把握することができるようになる。
【0030】
なお、表示器7Aは、複数の発光素子のうちいずれか1つの点灯又は消灯状態からパラメータ値を読み取らせるものに限らず、複数の発光素子の点灯又は消灯状態の組み合わせからパラメータ値を読み取らせることによって、ユーザに対してパラメータ値を提示するようにしたものであってもよい。
なお、表示器7Aとしては、複数の発光素子L1〜L4を横配列したものに限らず縦配列にしたものであってもよい。また、表示器7Aを構成する発光素子の個数や発光素子の種類は上記したものに限らない。特に、発光素子の種類としてはLEDに限らず、暗い環境下において自己発光によりユーザが点灯又は消灯状態を認識することができるものであればどのようなものであってもよい。
なお、表示器7Aは複数のパラメータ値を同時に表示できるようになっていてよい。また、表示器7Aにパラメータ値を表示するパラメータをユーザが適宜に設定できてよいことは言うまでもない。
【0031】
なお、表示モードの切り換えはユーザによる手動のものに限らず、当該機器を設置した周囲の環境の明るさを検知することに応じて自動的に表示モードを切り換えるようにしてもよい。
なお、パラメータ値は該電子楽器に接続された外部機器(例えば他の電子楽器)や、記憶媒体から取得するようにしてもよい。また、自動演奏データを読み込んで、該自動演奏データ内に定義されているパラメータ値を取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明に係るパラメータ表示装置を適用した電子楽器の全体構成の一実施例を示したハード構成ブロック図である。
【図2】表示器のハード構成の一実施例を示す概念図である。
【図3】メイン処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図4】パラメータ設定処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】ノーマルモード及びリバースモード時における表示器における具体的な表示態様の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0033】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…記憶装置、5,6…検出回路、5A…演奏操作子、6A…設定操作子、7…表示回路、7A…表示器、8…音源・効果回路、8A…サウンドシステム、9…通信インタフェース、1D…通信バス、L1〜L4…発光素子、D…センター表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有する表示部と、
前記表示部に含まれる複数の発光素子それぞれに対して点灯又は消灯制御を行う表示制御手段と、
パラメータ値を取得するパラメータ取得手段と、
前記取得したパラメータ値に対応し、前記複数の発光素子のうち1又は2以上の発光素子を点灯するように前記表示制御手段に対して指示する指示手段と、
前記複数の発光素子の発光モードとして第1又は第2のいずれかのモードに切り換えるモード切り換え手段と、
前記発光モードの切り換えに応じて、前記複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転するよう前記表示制御手段に対して指示する反転指示手段と
を具えてなり、
前記第1モードの場合には複数の発光素子のうち点灯している発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示し、前記第2モードの場合には点灯していない発光素子の相対的な位置によりパラメータ値を提示することを特徴とするパラメータ表示装置。
【請求項2】
コンピュータに、
パラメータ値を取得する手順と、
前記取得したパラメータ値に対応し、所定の表示部に含まれる複数の発光素子のうち1又は2以上の発光素子を点灯するように指示する手順と、
前記複数の発光素子の発光モードとして第1又は第2のいずれかのモードに切り換える手順と、
前記発光モードの切り換えに応じて、前記複数の発光素子の点灯又は消灯状態を全て反転するよう指示する手順と、
前記各指示に従って、前記表示部に含まれる複数の発光素子それぞれに対して点灯又は消灯制御を行う手順と
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−63712(P2009−63712A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229976(P2007−229976)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】