説明

パルス変調型光検出装置及び電子機器

【課題】外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供する。
【解決手段】パルス変調型光検出装置50は、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期するか否かを判定し、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないと判定したとき、判定レベルSthを、増幅パルス信号S5に応じた値に設定する判定レベル調整部200を備える。これにより、パルス光L2が発光されている期間sect_1において、判定レベルSthを、外乱光の影響が考慮された判定レベルとすることが出来るので、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置50を提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子からパルス変調された光を発光し物体の有無を検出するパルス変調型検出装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機及びプリンタ等のFA及びOA機器、並びにゲーム機といったアミューズメント機器等の電子機器では、所定通路において記録紙、コイン及び玉等の物体の有無を検出する事が必要となる場合がある。このような物体の有無の検出には、物体に対して非接触型であるという理由から、光を用いて物体の有無を検出する光検出装置が好適に使用されている。
【0003】
図13は、従来の100のブロック図である。パルス変調型光検出装置100は、定電圧回路101、電源端子102、GND端子103、発振回路104、同期タイミング回路105、発光素子駆動回路106、発光素子107、受光素子108、アンプ109、コンパレータ110、信号処理回路111、出力回路112、出力端子113、及び、電源115を備えている。負荷114は、一端が、電源端子102に接続され、他端が、出力端子113に接続される。パルス変調型光検出装置100の動作について、以下に説明する。
【0004】
電源115のプラス端子は、電源端子102を介して、定電圧回路101の入力端子に接続されている。電源115のマイナス端子は、GND端子103を介して、定電圧回路101のGND端子に接続されている。これにより、定電圧回路101は、電源115を用いて定電圧Vを生成し、パルス変調型光検出装置100が備える各回路に、定電圧Vを供給する。
【0005】
パルス変調型光検出装置100では、発振回路104で生成された基本クロック(CLK)信号S101が、同期タイミング回路105にて同期タイミングパルス信号S102に変調される。発光素子駆動回路106は、同期タイミング回路105から発光素子駆動回路106に伝送される同期タイミングパルス信号S102がHiであるときに、発光素子107へ、発光パルス信号S103を出力する。発光素子107は、発光素子駆動回路106から入力された発光パルス信号S103に基づいて、パルス変調されたパルス光L2を、所定の位置へ向かって投射する。
【0006】
パルス変調型光検出装置100が、発光素子107及び受光素子108から+X方向に距離a離れた上記所定の位置を、+Y方向に通過する物体Bの有無を検出する場合を考える。パルス光L2は、発光素子107から上記所定の位置へ投射される。
【0007】
まず、物体Bが、上記所定の位置を通過する前は、パルス光L2が物体Bにより反射していないので、パルス光L2の反射光は、受光素子108には入射していない。
【0008】
次に、物体Bが上記所定の位置を通過して、パルス光L2を横切る時、パルス光L2は物体Bにより反射され、反射光L3は、受光素子108に入射する。
【0009】
このように、物体Bからの反射光L3を受光しているか否かにより、上記所定の位置を通過する物体Bの有無を検出するパルス変調型光検出装置100は、反射型パルス変調型光検出装置と称される。
【0010】
従って、周囲に外乱光等がなければ、受光素子108に入射する反射光L3は、パルス光L2を横切る物体Bの有無により、その有無が切り替わることになる。そして、受光素子108へ入射された反射光L3を、受光素子108により光電変換して、受光パルス信号S104を得る。
【0011】
受光パルス信号S104は、アンプ109で、電流電圧変換及び増幅を行われて増幅パルス信号S105となる。コンパレータ110の一方の入力端子(例えばプラス端子)に入力される増幅パルス信号S105は、コンパレータ110の他方の入力端子(例えばマイナス端子)に入力される判定レベルSthと比較され、波形を整形され、コンパレータ出力パルス信号S106として出力される。
【0012】
即ち、コンパレータ110は、受光パルス信号S104を増幅して生成された増幅パルス信号S105が、予め設定された判定レベルSthを超えたタイミングで、コンパレータ出力パルス信号S106を出力する。
【0013】
コンパレータ出力パルス信号S106は、信号処理回路111において同期タイミングパルス信号S102と比較される。これにより、受光素子108に入射する反射光L3が、発光素子107から上記所定の位置へ投射されるパルス光L2と同期した光であることを確認された上で、コンパレータ出力パルス信号S106に信号処理が施される。信号処理後のコンパレータ出力パルス信号S106は、信号処理回路出力信号S107として、出力回路112へ出力される。信号処理回路出力信号S107のレベルは、上記所定の位置を通過する物体Bの有無に応じて、HiまたはLowとなる。例えば、信号処理回路出力信号S107は、物体Bが上記所定の位置を通過する場合にHiになり、物体Bが上記所定の位置を通過しない場合にLowになる。
【0014】
一方、同期タイミングパルスと同期していない外乱光も、受光素子108により光電変換されて、受光パルス信号S104’として出力される。受光パルス信号S104’は、アンプ109によって電流電圧変換及び増幅が行われて、増幅パルス信号S105’となる。
【0015】
コンパレータ110の一方の入力端子に入力される増幅パルス信号S105’が、上記判定レベルSthを超える場合には、コンパレータ出力パルス信号S106’が、コンパレータ110から信号処理回路111へ出力される。
【0016】
信号処理回路111は、コンパレータ出力パルス信号S106’と、同期タイミングパルス信号S102とを比較する。これにより、信号処理回路111は、コンパレータ出力パルス信号S106’が、同期タイミングパルス信号S102と同期していない(非同期)と判定したうえで、物体の有無を検出する処理の中止を行い、外乱光による誤動作を防止する。物体の有無を検出する処理の中止は、コンパレータ出力パルス信号S106’の信号処理を中止することや、信号処理回路出力信号S107の固定化すること等により行われる。
【0017】
図13の従来のパルス変調型光検出装置100と同様に、誤動作を防止するセンサとして、特許文献1には、ノイズパルスが周期的に現れしかもその発生タイミングがサンプリ
ングタイミングと重なるような状況下にあっても、有効に機能する誤動作防止対策を組み込まれた放射パルス介在型センサが開示されている。
【0018】
また、図13の従来のパルス変調型光検出装置100と同様に、所望の信号成分ではないノイズ成分への対策を施したものとして、特許文献2には、信号に含まれるノイズ成分を抑圧する光電センサが開示されている。
【0019】
また、図13の従来のパルス変調型光検出装置100と同様のパルス変調型光検出装置として、特許文献3には、消費電流を低減したパルス変調型光検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−368595号公報(2002年12月20日公開)
【特許文献2】特開2007−40720号公報(2007年2月15日公開)
【特許文献3】特開2007−129364号公報(2007年5月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述したように、従来のパルス変調型光検出装置100は、同期タイミングパルス信号S102と同期する光のみを処理し、同期タイミングパルス信号S102と同期していない光は処理しないことにより、外乱光による誤動作を防止している。
【0022】
しかしながら、図13のパルス変調型光検出装置100において、被検出対象でない物体からの微小な反射光と外乱光とが共に存在し、これらの光が混在して受光素子108へ入力された場合に、誤動作が生じる可能性がある。
【0023】
上記誤動作の概念を、図14及び図15に示す。図14は、図13の従来のパルス変調型光検出装置100を筐体120に収めた電子機器121の一部を示すブロック図である。図15は、従来のパルス変調型光検出装置100を備える電子機器121における、正常動作時及び誤動作時の各波形を示す波形図である。
【0024】
通常、被検出対象である物体が無い場合には、受光素子108への光の入射は無い。よって、アンプ109は増幅パルス信号S105を出力せず、コンパレータ110はコンパレータ出力パルス信号S106を出力しない。
【0025】
ここで、検出されるべき物体B以外からの微小な反射光L3’、例えばパルス変調型光検出装置100内での反射光(迷光成分も含まれる)や、パルス変調型光検出装置100が設置される電子機器121の筐体120等からによる反射光が存在する場合を考える。この場合、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングで、判定レベルSthに達しないような反射光L3’が、受光素子108に入射する。
【0026】
さらに、外乱光L3’’、例えばインバータ蛍光灯122の光が、受光素子108へ入力した場合を考える。この場合、筐体120等からによる反射光L3’に外乱光L3’’が重畳された重畳光L3’+L3’’が、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングで、判定レベルSthを超える。このため、コンパレータ110は、同期タイミングパルス信号S102がHiになるタイミングでコンパレータ出力パルス信号S106’を生成し、被検出対象が無いにも関わらず、物体有りと誤って判定される誤動作を生じることとなる。
【0027】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明のパルス変調型光検出装置は、上記課題を解決するために、基準となるクロック信号を変調したパルス信号に同期したパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を含む外光を受光し、該受光した外光に応じた電流信号を生成する受光素子と、上記電流信号を電流電圧変換した電圧信号と所定の第1基準値とを比較するとともに、上記電圧信号が上記第1基準値より高いとき、上記所定の空間を通過する上記被検出対象が有ることを検出し、上記電圧信号が上記第1基準値以下のとき、上記所定の空間を通過する上記被検出対象が無いことを検出する検出手段とを備えるパルス変調型光検出装置であって、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記第1基準値を、上記電圧信号に応じた値に設定する基準値設定手段を備えることを特徴とする。
【0029】
上記発明によれば、上記基準値設定手段は、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記第1基準値を、上記電圧信号に応じた値に設定する。
【0030】
これにより、上記パルス光が発光されている期間において、上記第1基準値を、上記パルス信号と同期していない光(外乱光)の影響が考慮された基準値とすることが出来るので、上記検出手段は、外乱光の影響が考慮された調整後の基準値を用いて、上記所定空間を通過する上記被検出対象の有無を検出することが出来る。
【0031】
従って、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0032】
上記パルス変調型光検出装置では、上記基準値設定手段は、さらに、上記電圧信号を入力とし、上記電圧信号が所定の第2基準値より高いとき、上記電圧信号が所定の第2基準値より高いことを示す第1信号を出力するともに、上記電圧信号が上記第2基準値以下のとき、上記電圧信号が所定の第2基準値以下であることを示す第2信号を出力する第1比較手段と、上記パルス光が発光されるときのみ、上記第1比較手段が出力した信号を導通させる信号切替手段と、上記信号切替手段が導通させた信号が上記第1信号であるとき、上記第1基準値を第1所定値だけ増加させ、上記信号切替手段が導通させた信号が上記第2信号であるとき、上記第1基準値を増加させない基準値増加手段とを備えてもよい。
【0033】
上記基準値増加手段により、上記第1基準値を第1所定値だけ増加させることができるので、上記第1基準値を外乱光の影響が考慮された判定レベルとすることが出来る。
【0034】
従って、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0035】
上記パルス変調型光検出装置では、上記基準値設定手段は、さらに、上記電圧信号の最大値を保持する最大値保持手段を備え、上記パルス光が発光されるとき、上記第1基準値を、上記最大値保持手段が保持する最大値に応じた第2所定値だけ増加させてもよい。
上記第2所定値は、上記最大値に応じて線形的に変化するので、上記第1基準値を精度よく調整することが可能となる。
【0036】
上記パルス変調型光検出装置では、上記基準値設定手段は、上記電圧信号を積分するとともに、該積分した電圧信号を上記第1比較手段に出力する積分手段をさらに備えてもよい。
【0037】
これにより、上記電圧信号が、周期的なノイズが増幅されて生成された信号である場合は、上記積分手段の出力信号のレベルは、時間が経過するにつれて上昇するので、突発的な単発の外乱光には反応せず、インバータ光のような周期的な外乱光のみを検出できる。
【0038】
上記パルス変調型光検出装置では、上記積分手段は、さらに、一端が、上記積分手段の出力に接続され、他端が、電気的に接地される容量と、上記電圧信号、および、任意に設定された基準電圧を入力とし、上記電圧信号と上記基準電圧との比較結果に応じたデジタル信号を出力する第2比較手段であるコンパレータと、上記電圧信号が上記基準電圧よりも大きい場合に上記容量を充電する第1の電流源と、上記電圧信号が上記基準電圧以下である場合に上記容量を放電する、上記第1の電流源より電流値が小さい第2の電流源とを備えてもよい。
【0039】
第2比較手段にコンパレータを用いてデジタル出力することで、上記積分回路の出力信号の振幅は、上記基準電圧と同程度の振幅となり、上記外乱光増幅信号の振幅よりも大きい振幅となる。
【0040】
上記容量の容量値は、上記積分回路の出力信号の振幅に依存し、上記積分回路の出力信号の振幅が大きいほど小さく出来る。上記第2比較手段の反転入力端子に上記基準電圧を入力して、上記積分回路の出力信号の振幅を、上記基準電圧と同程度の振幅とすることにより、上記容量値をより小さく出来る。上記容量値が小さいほど上記容量の面積を小さく出来るので、上記パルス変調型光検出装置のコストを低減することが出来る。
【0041】
上記いずれかのパルス変調型光検出装置では、上記検出手段は、さらに、上記電圧信号と上記第1基準値とを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、上記比較結果信号は、上記電圧信号と上記第1基準値との大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、上記パルス光が発光されている期間に、上記比較結果信号に複数のパルスが生成されたとき、誤検出したものと判定してもよい。
【0042】
上記いずれかのパルス変調型光検出装置では、上記所定の空間を通過する上記被検出対象の有無を検出するときに、外乱光が存在しない場合には、上記パルス光が発光されている期間に単発のパルスが発生する。このため、上記電圧信号と上記第1基準値とを比較して生成される信号に、複数のパルスが含まれていれば、上記パルス光が発光されている期間に外乱光によって誤検出したものと上記検出手段が判定し、上記所定の空間を通過する上記被検出対象の有無を検出する動作を中止することで、外乱光による誤動作を防止することが可能となる。
【0043】
上記いずれかのパルス変調型光検出装置では、上記検出手段は、さらに、上記電圧信号と上記第1基準値とを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、上記比較結果信号は、上記電圧信号と上記第1基準値との大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、上記パルス光が発光されている期間に、上記比較結果信号の値が切り替わったとき、誤検出したものと判定してもよい。
【0044】
上記いずれかのパルス変調型光検出装置では、外乱光が存在しない状態では、上記パルス光が発光されている期間が終了した後に所定の遅延時間が経過すると、上記増幅信号と上記判定レベルとを比較して生成される信号のレベルが切り替わる。
【0045】
よって、上記パルス光が発光されている期間に、上記比較結果信号の値が切り替われば、上記パルス光が発光されている期間に外乱光によって誤検出したものと上記検出手段が判定し、上記所定の空間を通過する上記被検出対象の有無を検出する動作を中止することで、外乱光による誤動作を防止することが可能となる。
【0046】
本発明の電子機器は、上記いずれかのパルス変調型光検出装置を備えているので、外乱光による誤動作を防止することが出来る。
【発明の効果】
【0047】
本発明のパルス変調型光検出装置は、以上のように、電圧信号とパルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、第1基準値を、上記電圧信号に応じた値に設定する基準値設定手段を備えるものである。
【0048】
それゆえ、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係るパルス変調型光検出装置の動作を説明するための波形図である。
【図4】本発明の他の実施例に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図5】本発明の他の実施例に係るパルス変調型光検出装置の動作を説明するための波形図である。
【図6】本発明のさらに別の実施例に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図7】本発明のさらに別の実施例に係るパルス変調型光検出装置の動作を説明するための波形図である。
【図8】本発明の変形例に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図9】本発明の変形例に係るパルス変調型光検出装置の動作を説明するための波形図である。
【図10】本発明のさらに別の実施例に係るパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図11】本発明のさらに別の実施例に係るパルス変調型光検出装置の動作を説明するための波形図である。
【図12】本発明の実施形態に係るパルス変調型光検出装置における誤動作の対策の概念を説明する波形図である。
【図13】従来のパルス変調型光検出装置のブロック図である。
【図14】図13の従来のパルス変調型光検出装置を筐体に収めた電子機器の一部を示すブロック図である。
【図15】パルス変調型光検出装置を備える電子機器における、正常動作時及び誤動作時の各波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の一実施形態について図1〜図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、図12の波形図を用いて、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置における誤動作の対策の概念を説明する。
【0051】
〔誤動作の対策〕
図12は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置における誤動作の対策の概念を説明する波形図である。なお、図12では、本実施形態における参照符号を適宜用いている。また、反射光L3’及び外乱光L3’’はそれぞれ、〔発明が解決しようとする課題〕に記載した光である。なお外乱光とは、後述する同期タイミングパルス信号S2と同期していない光である。
【0052】
まず、第1の対策では、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1(パルス光が発光されている期間)以外の期間sect_2(パルス光が発光されていない期間)において、新たな外乱光判定レベルSthNを用いて、外乱光の有無を判定する。外乱光有りと判定された場合には、期間sect_1において、判定レベルSthを一定値シフトして判定レベルSth’とする。これにより、判定レベルSthを、外乱光の影響が考慮された判定レベルSth’とすることが出来るので、コンパレータ10は、外乱光の影響が考慮された調整後の判定レベルSth’を用いて、物体Bの有無を検出することが出来る。
【0053】
従って、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0054】
次に、第2の対策では、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1以外の期間sect_2において、外乱光のレベルを計測する。そして、計測された外乱光のレベルに応じて、期間sect_1において、判定レベルSthをシフトして判定レベルSth’とする。これにより、第1の対策と同様に、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0055】
次に、第3の対策では、信号処理回路11において、期間sect_1におけるコンパレータ出力パルス信号S6(比較結果信号)のパルスの数を数える。本来、期間sect_1においては単発であるはずの、コンパレータ出力パルス信号S6のパルスが、複数発生した場合に、外乱光による誤動作が生じていると判定する。
【0056】
ここで、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の基本構成について、図1に基づいて説明する。
【0057】
〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕
図1は、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50のブロック図である。パルス変調型光検出装置50は、定電圧回路1、電源端子2、GND端子3、発振回路4、同期タイミング回路5、発光素子駆動回路6、発光素子7、受光素子8、アンプ9、コンパレータ10(検出手段)、信号処理回路11(検出手段)、出力回路12、出力端子13、電源15、及び、判定レベル調整部200(基準値設定手段)を備えている。負荷14は、一端が、電源端子2に接続され、他端が、出力端子13に接続される。まずは、パルス変調型光検出装置50の、判定レベル調整部200を除く部分の動作について、以下に説明する。
【0058】
電源15のプラス端子は、電源端子2を介して、定電圧回路1の入力端子に接続されている。電源15のマイナス端子は、GND端子3を介して、定電圧回路1のGND端子に接続されている。これにより、定電圧回路1は、電源15を用いて定電圧Vを生成し、パルス変調型光検出装置50が備える各回路に、定電圧Vを供給する。
【0059】
パルス変調型光検出装置50では、発振回路4で生成された基本クロック(CLK)信号S1(基準となるクロック信号)が、同期タイミング回路5にて同期タイミングパルス信号S2(パルス信号)に変調される。発光素子駆動回路6は、同期タイミング回路5から発光素子駆動回路6に伝送される同期タイミングパルス信号S2がHiであるとき(期間sect_1と称する)に、発光素子7へ、発光パルス信号S3を出力する。発光素子7は、発光素子駆動回路6から入力された発光パルス信号S3に基づいて、パルス変調されたパルス光L2を、所定の位置へ向かって投射する。
【0060】
パルス変調型光検出装置50が、発光素子7及び受光素子8から+X方向に距離a離れた上記所定の位置を、+Y方向に通過する物体B(所定の空間を通過する被検出対象)の有無を検出する場合を考える。パルス光L2は、発光素子7から上記所定の位置へ投射される。
【0061】
まず、物体Bが、上記所定の位置を通過する前は、パルス光L2が物体Bにより反射していないので、パルス光L2の反射光は、受光素子8には入射していない。
【0062】
次に、物体Bが上記所定の位置を通過して、パルス光L2を横切る時、パルス光L2は物体Bにより反射され、反射光L3は、受光素子8に入射する。
【0063】
このように、物体Bからの反射光L3を受光しているか否かにより、上記所定の位置を通過する物体Bの有無を検出するパルス変調型光検出装置50は、反射型パルス変調型光検出装置と称される。
【0064】
従って、周囲に外乱光等がなければ、受光素子8に入射する反射光L3は、パルス光L2を横切る物体Bの有無により、その有無が切り替わることになる。そして、受光素子8へ入射された反射光L3を、受光素子8により光電変換して、電流信号である受光パルス信号S4(電流信号)を得る。
【0065】
受光パルス信号S4は、アンプ9で、電流電圧変換及び増幅を行われて、電圧信号である増幅パルス信号S5(電圧信号)となる。コンパレータ10の一方の入力端子(例えばプラス端子)に入力される増幅パルス信号S5は、コンパレータ10の他方の入力端子(例えばマイナス端子)に入力される判定レベルSth(所定の第1基準値)と比較され、波形を整形され、コンパレータ出力パルス信号S6として出力される。
【0066】
即ち、コンパレータ10は、受光パルス信号S4を増幅して生成された増幅パルス信号S5が、予め設定された判定レベルSthを超えたタイミングで、コンパレータ出力パルス信号S6を出力する。
【0067】
コンパレータ出力パルス信号S6は、信号処理回路11において同期タイミングパルス信号S2と比較される。これにより、受光素子8に入射する反射光L3が、発光素子7から上記所定の位置へ投射されるパルス光L2と同期した光であることを確認された上で、コンパレータ出力パルス信号S6に信号処理が施される。信号処理後のコンパレータ出力パルス信号S6は、信号処理回路出力信号S7として、出力回路12へ出力される。信号処理回路出力信号S7のレベルは、上記所定の位置を通過する物体Bの有無に応じて、HiまたはLowとなる。例えば、信号処理回路出力信号S7は、物体Bが上記所定の位置を通過する場合にHiになり、物体Bが上記所定の位置を通過しない場合にLowになる。
【0068】
一方、同期タイミングパルスと同期していない外乱光も、受光素子8により光電変換されて、受光パルス信号S4’として出力される。受光パルス信号S4’は、アンプ9によって電流電圧変換及び増幅が行われて、増幅パルス信号S5’となる。
【0069】
コンパレータ10の一方の入力端子に入力される増幅パルス信号S5’が、上記判定レベルSthを超える場合には、コンパレータ出力パルス信号S6’が、コンパレータ10から信号処理回路111へ出力される。
【0070】
信号処理回路11は、コンパレータ出力パルス信号S6’と、同期タイミングパルス信号S2とを比較する。これにより、信号処理回路11は、コンパレータ出力パルス信号S6’が、同期タイミングパルス信号S2と同期していない(非同期)と判定したうえで、物体の有無を検出する処理の中止を行い、外乱光による誤動作を防止する。物体の有無を検出する処理の中止は、コンパレータ出力パルス信号S6’の信号処理を中止することや、信号処理回路出力信号S7の固定化すること等により行われる。
【0071】
(判定レベル調整部200)
上述したように、本実施例1のパルス変調型光検出装置50には、図13の従来のパルス変調型光検出装置100には設けられていない判定レベル調整部200が追加されている。
【0072】
判定レベル調整部200は、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期するか否かを判定し、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないと判定したとき、判定レベルSthを、増幅パルス信号S5に応じた判定レベルSth’に設定する。
【0073】
これにより、パルス光L2が発光されている期間sect_1において、判定レベルSthを、外乱光の影響が考慮された判定レベルSth’とすることが出来るので、上記検出手段は、外乱光の影響が考慮された調整後の判定レベルSth’を用いて、上記所定空間を通過する物体Bの有無を検出することが出来る。
【0074】
従って、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0075】
判定レベル調整部200には、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが入力される。次に、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1以外の期間sect_2における増幅パルス信号S5の計測結果に応じて、判定レベル調整信号S200により、判定レベルSthを調整する。
【0076】
尚、同期タイミングパルス信号S2とは別の他の信号により、期間sect_2を特定できるのであれば、同期タイミングパルス信号S2の代わりに、上記他の信号を用いることが出来る。さらに、増幅パルス信号S5以外の信号、例えば、受光パルス信号S4やコンパレータ出力パルス信号S6等の信号により、外乱光のレベルを計測できるのであれば、増幅パルス信号S5の代わりに、受光パルス信号S4やコンパレータ出力パルス信号S6等の信号を用いることも可能である。
【0077】
以上のように、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50は、基本クロック信号S1を変調した同期タイミングパルス信号S2に同期したパルス光L2を、所定の空間に発光する発光素子7と、上記所定の空間を通過する物体Bにより反射されたパルス光L3を含む外光を受光し、該受光した外光に応じた受光パルス信号S4を生成する受光素子8と、受光パルス信号S4を電流電圧変換した増幅パルス信号S5と判定レベルSthとを比較するとともに、増幅パルス信号S5が判定レベルSthより高いとき、上記所定の空間を通過する物体Bが有ることを検出し、増幅パルス信号S5が判定レベルSth以下のとき、上記所定の空間を通過する物体Bが無いことを検出する、コンパレータ10及び信号処理回路11とを備えるパルス変調型光検出装置であって、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期するか否かを判定し、増幅パルス信号S5と同期タイミングパルス信号S2とが同期していないと判定したとき、判定レベルSthを、増幅パルス信号S5に応じた値に設定する判定レベル調整部200を備える。
【0078】
〔パルス変調型光検出装置の実施例1〕
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の実施例1について、図2及び図3に基づいて説明する。なお、本実施例1において説明すること以外の構成は、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕と同じである。また、説明の便宜上、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図2は、本実施例1に係るパルス変調型光検出装置51のブロック図である。図3は、本実施例1に係るパルス変調型光検出装置51の動作を説明するための波形図である。
【0080】
パルス変調型光検出装置51は、図1のパルス変調型光検出装置50の判定レベル調整部200について、より詳細に記載したパルス変調型光検出装置である。
【0081】
図2の判定レベル調整部200は、コンパレータ201(第1比較手段)と、記憶部202(記憶手段)と、スイッチSW203(信号切替手段)とは、スイッチSW116(基準値増加手段)と、判定レベルシフト電圧Sth2(第1所定値)を出力する電源とを備えている。
【0082】
コンパレータ201は、増幅パルス信号S5と外乱光判定レベルSthN(所定の第2基準値)とを比較し、S5>SthNの条件を充足する時にノイズ検知信号S201(図3ではHi)を出力する。
【0083】
記憶部202は、ノイズ検知信号S201が一度でも出力されれば、これを記憶し、ノイズ判定信号S202(判定レベル調整信号S200に相当)を出力して保持する(図3ではHi)。スイッチSW203は、同期タイミングパルス信号S2によりON・OFFを制御され、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1の間はONする。これにより、スイッチSW116は、ノイズ判定信号S202によりON・OFFを制御される。
【0084】
期間sect_1においてノイズ判定信号S202が出力されていれば(図3に示すようにHiであれば)、スイッチSW116はOFFする。これにより、判定レベルを、Sthから、Sth’=Sth+Sth2に変更(シフト)する。
【0085】
尚、期間sect_1においてノイズ検知信号S201が出力されていなければ(Lowであれば)、及び、期間sect_2では、スイッチSW116はONしている。従って、コンパレータ10の他方の入力端子における判定レベルは、Sthとなる。
【0086】
期間sect_1が終了すると、同期タイミングパルス信号S2により記憶部202がリセットされて、記憶部202は、ノイズ判定信号S202の出力を中止する(図3では、リセットによりノイズ判定信号S202がLowとなっている)。また、期間sect_1が終了しているので、スイッチSW203はOFFされるとともに、スイッチSW116はONされる。
【0087】
尚、増幅パルス信号S5と外乱光判定レベルSthNとを比較して期間sect_1で判定レベルSthを調整可能であれば、判定レベル調整部200、スイッチSW116、及び判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源の構成は、本実施例1の構成に限らない。
【0088】
以上のように、本実施例1に係るパルス変調型光検出装置51では、判定レベル調整手段200は、さらに、増幅パルス信号S5を入力とし、増幅パルス信号S5が外乱光判定レベルSthNより高いとき、増幅パルス信号S5が外乱光判定レベルSthNより高いことを示す第1信号を出力するともに、増幅パルス信号S5が外乱光判定レベルSthN以下のとき、増幅パルス信号S5が外乱光判定レベルSthN以下であることを示す第2信号を出力するコンパレータ201と、パルス光L2が発光されるときのみ、コンパレータ201が出力した信号を導通させるスイッチSW203と、スイッチSW203が導通させた信号が上記第1信号であるとき、判定レベルSthを判定レベルシフト電圧Sth2だけ増加させ、スイッチSW203が導通させた信号が上記第2信号であるとき、判定レベルSthを増加させない基準値増加手段とを備える。
【0089】
上記基準値増加手段により、判定レベルSthを判定レベルシフト電圧Sth2だけ増加させることができるので、判定レベルSthを外乱光の影響が考慮された判定レベルSth’とすることが出来る。
【0090】
従って、外乱光による誤動作を防止するパルス変調型光検出装置を提供することが出来る。
【0091】
〔パルス変調型光検出装置の実施例2〕
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の実施例2について、図4及び図5に基づいて説明する。なお、本実施例2において説明すること以外の構成は、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕及び上記実施例1と同じである。また、説明の便宜上、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕及び上記実施例1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
図4は、本実施例2に係るパルス変調型光検出装置52のブロック図である。図5は、本実施例2に係るパルス変調型光検出装置52の動作を説明するための波形図である。
【0093】
図4の判定レベル調整部200は、ピークホールド回路203(最大値保持手段)である。ピークホールド回路203は、アンプ204、ダイオード205、容量206、基準電圧Vrefを出力する電源207、スイッチSW206,SW207,SW208、及び、可変判定レベルシフト電圧Sth2’(第2所定値)を出力する電源を備えている。
【0094】
スイッチSW206は、期間sect_2では、後述する一定時間Tを除いてONする。スイッチSW206のON・OFFは、同期タイミング回路5から出力されるピークホールド制御信号S250により制御される。ピークホールド回路203は、期間sect_2において、増幅パルス信号S5のピーク電圧をホールドする。
【0095】
ピークホールドされた電圧は、ピークホールド電圧信号S203(判定レベル調整信号S200に相当)として出力され、期間sect_1においてスイッチSW208がONする。これにより、可変判定レベルシフト電圧Sth2’を出力する電源が、ピークホールド電圧信号S203により制御されて、判定レベルが、Sthから、Sth’=Sth+Sth2’に変更(シフト)される。
【0096】
この時、可変判定レベルシフト電圧Sth2’は、ピークホールド電圧信号S203、即ち、外乱光のピーク値に対して線形的に変化する。これにより、判定レベルSth’を、実施例1のパルス変調型光検出装置51よりも精度よく調整することが可能となる。
【0097】
また、期間sect_1が終了すれば、スイッチSW208はOFFして、可変判定レベルシフト電圧Sth2’は0となり、判定レベルは、Sth’からSthになる。
【0098】
これとともに、期間sect_1の終了後に、同期タイミング回路5から出力される容量放電信号S251により、スイッチSW207を一定時間TだけONさせる。これにより、容量206を放電してピークホールド電圧信号S203をLowにする。
【0099】
一定時間Tは、期間sect_2に含まれるが、スイッチSW206は、一定時間Tにおいては、期間sect_1と同様に、OFFを保持する。容量206の放電終了後にスイッチSW207がOFFし、スイッチSW206がONになり次第、ピークホールド回路203は、増幅パルス信号S5のピーク電圧のホールドを再開する。
【0100】
尚、外乱光のピーク値を取得して、可変判定レベルシフト電圧Sth2’を制御可能であれば、判定レベル調整部200、及び可変判定レベルシフト電圧Sth2’を出力する電源の構成は、本実施例2の構成に限らない。
【0101】
以上のように、本実施例2に係るパルス変調型光検出装置52では、判定レベル調整手段200は、さらに、増幅パルス信号S5の最大値を保持するピークホールド回路203を備え、パルス光L2が発光されるとき、判定レベルSthを、ピークホールド回路203が保持する最大値に応じた可変判定レベルシフト電圧Sth2’だけ増加させてもよい。可変判定レベルシフト電圧Sth2’は、上記ピーク値に応じて線形的に変化するので、判定レベルを精度よく調整することが可能となる。
【0102】
〔パルス変調型光検出装置の実施例3〕
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の実施例3について、図6及び図7に基づいて説明する。なお、本実施例3において説明すること以外の構成は、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕及び上記実施例1,2と同じである。また、説明の便宜上、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕及び上記実施例1,2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
図6は、本実施例3に係るパルス変調型光検出装置53のブロック図である。図7は、本実施例3に係るパルス変調型光検出装置53の動作を説明するための波形図である。
【0104】
図6の判定レベル調整部200は、積分回路208(積分手段)と、コンパレータ201と、記憶部210と、外乱光判定レベルSthNを出力する電源と、スイッチSW209とスイッチSW116と、判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源と、を備えている。
【0105】
また、積分回路208は、アンプ211、電流源212,213(第1の電流源、第2の電流源)、容量214、及びスイッチSW210をさらに有している。
【0106】
積分回路208は、増幅パルス信号S5を積分して出力する。この時、アンプ211の非反転入力端子(+)には、増幅パルス信号S5が入力され、アンプ211の反転入力端子(−)には、積分回路出力信号S204が入力される。これにより、S5>S204の場合は、電流源212が容量214を充電し、S5<S204の場合は、電流源213が容量214を放電する。
【0107】
ここで、電流源212の電流値は、電流源213の電流値よりも大きく設定されており、増幅パルス信号S5が、周期的なノイズが増幅されて生成された信号である場合は、積分回路出力信号S204のレベルは、時間が経過するにつれて上昇する。
【0108】
コンパレータ201は、積分回路出力信号S204と外乱光判定レベルSthNとを比較し、ノイズ検知信号S205を出力する(図7ではHiである)。
【0109】
記憶部210は、ノイズ検知信号S205が一度でも出力されれば、これを記憶し、ノイズ判定信号S206(判定レベル調整信号S200に相当)を出力し保持する(図7ではHi)。スイッチSW209は、同期タイミングパルス信号S2によりON・OFFを制御され、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1の間はONする。これにより、スイッチSW116は、ノイズ判定信号S206によりON・OFFを制御される。
【0110】
期間sect_1においてノイズ検知信号S205が出力されていれば(図7に示すようにHiであれば)、スイッチSW116はOFFする。これにより、判定レベルを、Sthから、Sth’=Sth+Sth2に変更(シフト)する。
【0111】
尚、期間sect_1においてノイズ検知信号S205が出力されていなければ(Lowであれば)、及び、期間sect_2では、スイッチSW116はONしている。従って、コンパレータ10の他方の入力端子における判定レベルは、Sthとなる。
【0112】
期間sect_1が終了すると、同期タイミングパルス信号S2により記憶部210がリセットされて、記憶部210は、ノイズ判定信号S206の出力を中止する(図7では、リセットによりノイズ判定信号S206がLowとなっている)。また、期間sect_1が終了しているので、スイッチSW209はOFFされるとともに、スイッチSW116はONされる。
【0113】
また、期間sect_1の終了後に、同期タイミング回路5から出力される容量放電信号S252により、スイッチSW210を一定時間T’だけONさせる。これにより、容量214を放電して積分回路出力信号S204をLowする。容量214の放電後に、スイッチSW210がOFFになり次第、積分回路208は、積分動作を再開する。
【0114】
本実施例3に係るパルス変調型光検出装置53は、積分回路208を用いているので、実施例1に係るパルス変調型光検出装置51に対して、以下の利点を有している。即ち、突発的な単発の外乱光には反応せず、インバータ光のような周期的な外乱光のみを検出できるという利点を有している。
【0115】
尚、増幅パルス信号S5を積分して、外乱光判定レベルSthNとを比較することにより、期間sect_1で判定レベルSthを調整可能であれば、判定レベル調整部200、スイッチSW116、及び判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源の構成は、本実施例3の構成に限らない。
【0116】
以上のように、本実施例3に係るパルス変調型光検出装置53では、判定レベル調整部200は、増幅パルス信号S5を積分するとともに、該積分した増幅パルス信号S5をコンパレータ201に出力する積分回路208をさらに備えてもよい。
【0117】
(実施例3の変形例)
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の実施例3の変形例について、図8及び図9に基づいて説明する。
【0118】
図8は、本変形例に係るパルス変調型光検出装置54のブロック図である。図9は、本変形例に係るパルス変調型光検出装置54の動作を説明するための波形図である。
【0119】
図8の判定レベル調整部200は、積分回路208と、可変判定レベルシフト電圧Sth2’を出力する電源とを備えている。
【0120】
そして、積分回路208は、アンプ211、電流源212,213、容量214、及びスイッチSW210,SW211をさらに有している。
【0121】
積分回路208は、増幅パルス信号S5を積分して出力する。この時、アンプ211の非反転入力端子(+)には、増幅パルス信号S5が入力され、アンプ211の反転入力端子(−)には、積分回路出力信号S204が入力される。これにより、S5>S204の場合は、電流源212が容量214を充電し、S5<S204の場合は、電流源213が容量214を放電する。
【0122】
ここで、電流源212の電流値は、電流源213の電流値よりも高く設定されており、増幅パルス信号S5が、周期的なノイズが増幅されて生成された信号である場合は、積分回路出力信号S204のレベルは、時間が経過するにつれて上昇する。
【0123】
また、期間sect_1においてスイッチSW211がONする。これにより、判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源が、積分回路出力信号S204(判定レベル調整信号S200に相当)により制御されて、判定レベルが、Sthから、Sth’=Sth+Sth2’に変更(シフト)される。
【0124】
この時、可変判定レベルシフト電圧Sth2’は、積分回路出力信号S204に対して線形的に変化する。これにより、実施例3のパルス変調型光検出装置53よりも精度よく判定レベルを調整することが可能となる。
【0125】
また、期間sect_1が終了すれば、スイッチSW211はOFFして、可変判定レベルシフト電圧Sth2’は0となり、判定レベルは、Sth’からSthになる。
【0126】
また、期間sect_1の終了後に、同期タイミング回路5から出力される容量放電信号S252により、スイッチSW210を一定時間T’だけONさせる。これにより、容量214を放電して積分回路出力信号S204をLowする。容量214の放電後に、スイッチSW210がOFFになり次第、積分回路208は、積分動作を再開する。
【0127】
本変形例に係るパルス変調型光検出装置54は、積分回路208を用いているので、実施例2に係るパルス変調型光検出装置52に対して、以下の利点を有している。即ち、突発的な単発の外乱光には反応せず、インバータ光のような周期的な外乱光のみを検出できるという利点を有している。
【0128】
尚、増幅パルス信号S5を積分して、その積分値に応じて期間sect_1で判定レベルSthを調整可能であれば、判定レベル調整部200、及び可変判定レベルシフト電圧Sth2’を出力する電源の構成は、本変形例の構成に限らない。
【0129】
〔容量214〕
ここで、図8及び図10の容量214について考える。代表的な外乱光であるインバータ蛍光灯のノイズの周波数は、50kHz程度である。また、通常、外乱光を受光素子8で受光した際の受光パルス信号S4は微小であるため、受光パルス信号S4を増幅した増幅パルス信号S5も微小な信号となる。
【0130】
例えば、増幅パルス信号S5が、振幅10mVpp、周波数50kHzの信号である場合を考える。この場合、増幅パルス信号S5を複数回、例えば3回積分してピーク値が10mVの積分回路出力信号S204を得るためには、電流源212電流値を1uAとすると、下記容量値C214が必要となる。
C214=1uA×(1/50kHz/2×3)/10mV=3nF (1)
ICチップ等において容量値3nFの容量214を形成すると、ICチップが非常に大面積となり、コスト面で不利となる。
【0131】
〔パルス変調型光検出装置の実施例4〕
上記〔容量214〕における問題点を解消する実施例である、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置の実施例4について、図10及び図11に基づいて説明する。なお、本実施例4において説明すること以外の構成は、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕、上記実施例1〜3、及び上記変形例と同じである。また、説明の便宜上、上記〔パルス変調型光検出装置の基本構成〕、上記実施例1〜3、及び上記変形例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0132】
図10は、本実施例4に係るパルス変調型光検出装置55のブロック図である。図11は、本実施例4に係るパルス変調型光検出装置55の動作を説明するための波形図である。
【0133】
図10の判定レベル調整部200は、積分回路208と、コンパレータ201と、外乱光判定レベルSthNを出力する電源と、スイッチSW212と、スイッチSW116と、判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源とを備えている。
【0134】
また、積分回路208は、コンパレータ215(第2比較手段)、電流源212,213、容量214、スイッチSW210、及び基準電圧Vrefを出力する電源216をさらに有している。
【0135】
コンパレータ215は、一方の入力端子(例えばプラス端子)に入力される増幅パルス信号S5と、他方の入力端子(例えばマイナス端子)に入力される電源216の基準電圧Vrefとを比較する。増幅パルス信号S5が基準電圧Vrefよりも高い場合は、電流源212が容量214を充電し、増幅パルス信号S5が基準電圧Vrefよりも低い場合は、電流源213が容量214を放電する。
【0136】
ここで、電流源212の電流値は、電流源213の電流値よりも高く設定されており、増幅パルス信号S5が、周期的なノイズが増幅されて生成された信号である場合は、積分回路出力信号S204のレベルは、時間が経過するにつれて上昇する。
【0137】
実施例3に係るパルス変調型光検出装置53では、一方の入力端子に増幅パルス信号S5が入力され、他方の入力端子に積分回路出力信号S204が入力されたアナログアンプとして動作する。このため、実施例3における積分回路出力信号S204の振幅は、増幅パルス信号S5と同程度の振幅となる。
【0138】
これに対して、本実施例4に係るパルス変調型光検出装置54では、一方の入力端子に増幅パルス信号S5が入力され、他方の入力端子に電源216の基準電圧Vrefが入力されるコンパレータとして動作する。コンパレータ215を用いてデジタル出力することで、本実施例4における積分回路出力信号S204の振幅は、コンパレータ215に供給される電源電圧と同じ振幅となる。
【0139】
コンパレータ215に供給される電源電圧を、例えば3Vと設定すると、容量214の容量値C214は、上記(1)式の10mVを3Vに置き換えて
C214=1uA×(1/50kHz/2×3)/3V=10pF (2)
となる。
【0140】
従って、容量値C214を非常に小さく出来るので、上記〔容量214〕で述べたICチップの面積についての問題点を解消することが出来る。
【0141】
積分回路出力信号S204は、コンパレータ201で外乱光判定レベルSthNと比較され、S204>SthNの条件を充足する時に、コンパレータ201からノイズ判定信号S207(判定レベル調整信号S200に相当)を出力する(図11ではHiとなる)。
【0142】
スイッチSW212は、同期タイミングパルス信号S2によりON・OFFを制御され、同期タイミングパルス信号S2がHiである期間sect_1の間はONする。これにより、スイッチSW116は、ノイズ判定信号S207によりON・OFFを制御される。
【0143】
期間sect_1においてノイズ判定信号S207が出力されていれば(図11に示すようにHiであれば)、スイッチSW116はOFFする。これにより、判定レベルを、Sthから、Sth’=Sth+Sth2に変更(シフト)する。
【0144】
また、期間sect_1の終了後に、同期タイミング回路5から出力される容量放電信号S252により、スイッチSW210を一定時間T’だけONさせる。これにより、容量214を放電して積分回路出力信号S204をLowする。容量214の放電後に、スイッチSW210がOFFになり次第、積分回路208は、積分動作を再開する。
【0145】
本実施例4に係るパルス変調型光検出装置55は、積分回路208を用いているので、実施例2に係るパルス変調型光検出装置52に対して、以下の利点を有している。即ち、突発的な単発の外乱光には反応せず、インバータ光のような周期的な外乱光のみを検出できるという利点を有している。
【0146】
尚、増幅パルス信号S5と電源216の基準電圧Vrefとを比較して得られるデジタル信号を積分して、その積分値を外乱光判定レベルSthNと比較することにより、判定レベルSthを調整可能であれば、判定レベル調整部200、コンパレータ201、スイッチSW212,SW116、及び判定レベルシフト電圧Sth2を出力する電源の構成は、本変形例の構成に限らない。
【0147】
以上のように、本実施例4に係るパルス変調型光検出装置55では、積分回路208は、さらに、一端が、積分回路208の出力に接続され、他端が、電気的に接地される容量214と、増幅パルス信号S5、および、任意に設定された基準電圧Vrefを入力とし、増幅パルス信号S5と基準電圧Vrefとの比較結果に応じたデジタル信号を出力するコンパレータ215と、増幅パルス信号S5とが基準電圧Vrefよりも大きい場合に容量214を充電する電流源212と、増幅パルス信号S5とが基準電圧Vref以下である場合に容量214を放電する、電流源212より電流値が小さい電流源213とを備えてもよい。
【0148】
尚、実施例1〜4及び実施例3の変形例において、同期タイミングパルス信号S2とは別の他の信号により、期間sect_2を特定できるのであれば、同期タイミングパルス信号S2の代わりに、上記他の信号を用いることが出来る。さらに、増幅パルス信号S5以外の信号、例えば、受光パルス信号S4やコンパレータ出力パルス信号S6等の信号により、外乱光のレベルを計測できるのであれば、増幅パルス信号S5の代わりに、受光パルス信号S4やコンパレータ出力パルス信号S6等の信号を用いることも可能である。
【0149】
〔外乱光の特定〕
図15の波形図を見ても明らかなように、同期タイミングパルス信号S102がHiである期間(本実施形態の期間sect_1に相当する)が、外乱光L3’’による増幅パルス信号の周期よりも非常に長い場合は、L3’+L3’’による増幅パルス信号において、複数のパルスが発生する。
【0150】
ここで、上記複数のパルス全てが判定レベルSthを超えれば、コンパレータ出力パルス信号S106’においても複数のパルスが発生する。
【0151】
図15は、従来のパルス変調型光検出装置に関する図面であるが、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50〜55において、図15のコンパレータ出力パルス信号S106’と同様のコンパレータ出力パルス信号S6’が生成された場合は、以下に示す検出手段の処理により、誤動作を防止する。
【0152】
本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50〜55において、上記検出手段は、さらに、増幅パルス信号S5と判定レベルSthとを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、上記比較結果信号は、増幅パルス信号S5と判定レベルSthとの大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、パルス光L2が発光されている期間sect_1に、上記比較結果信号に複数のパルスが生成されたとき、誤検出したものと判定してもよい。上記所定の空間を通過する物体Bの有無を検出するときに、外乱光が存在しない場合には、パルス光L2が発光されている期間sect_1では、単発のパルスが発生する。このため、信号処理回路11において期間sect_1における、コンパレータ出力パルス信号S6のパルスの数をカウントし、単発か複数かを判定する。これにより、パルス光L2が発光されている期間sect_1に外乱光によって誤検出したものと上記検出手段が判定し、上記所定の空間を通過する上記被検出対象の有無を検出する動作を中止することで、外乱光による誤動作を防止することが可能となる。
【0153】
さらに、信号処理回路11が、外乱光の存在時に物体Bを検出する動作を中止することで、外乱光による誤動作を防止することが可能となる。
【0154】
さらに、外乱光が存在しない状態では、期間sect_1が終了した後(パルス光L2が消失した後)に、遅延時間αが経過すると、コンパレータ出力パルス信号S6のパルスは消失する(比較結果信号の値が切り替わる)。ここで、遅延時間αは、同期タイミングパルス信号S2が発光素子駆動回路6に入力されてから、コンパレータ出力パルス信号S6が出力されるまでに要する時間である。このため、コンパレータ出力パルス信号S6のパルスの消失は、期間sect_1では発生しない。
【0155】
一方、図15のコンパレータ出力パルス信号S106’では、同期タイミングパルス信号S102がHiである期間において、パルスの消失が発生する(パルスがHiからLowへ切り替わる箇所が存在する)ことが分かる。
【0156】
ここで、本実施形態に係るパルス変調型光検出装置50〜55において、上記検出手段は、さらに、増幅パルス信号S5と判定レベルSthとを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、上記比較結果信号は、増幅パルス信号S5と判定レベルSthとの大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、パルス光L2が発光されている期間sect_1に、上記比較結果信号の値が切り替わったとき、誤検出したものと判定してもよい。上記検出手段は、期間sect_1において、上記比較結果信号の値が切り替われば(即ち、期間sect_1においてコンパレータ出力パルス信号S6のパルスの消失が発生した場合には)、パルス光L2が発光されている期間sect_1に外乱光によって誤検出したものと上記検出手段が判定し、上記所定の空間を通過する物体Bを検出する動作を中止する。こうすることで、外乱光による誤動作を防止することが可能となる。
【0157】
〔電子機器〕
本発明の電子機器は、パルス変調型光検出装置50〜55のいずれか1つを備えているので、外乱光による誤動作を防止することが出来る。
【0158】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明のパルス変調型光検出装置は、外乱光による誤動作を防止することができるので、複写機及びプリンタ等のFA及びOA機器、並びにゲーム機といったアミューズメント機器等の電子機器に好適に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0160】
50〜55 パルス変調型光検出装置
1 定電圧回路
2 電源端子
3 GND端子
4 発振回路
5 同期タイミング回路
6 発光素子駆動回路
7 発光素子
8 受光素子
9 アンプ
10 コンパレータ(検出手段)
11 信号処理回路(検出手段)
12 出力回路
13 出力端子
14 負荷
15 電源
200 判定レベル調整部(基準値設定手段)
201 コンパレータ
202 記憶部
203 ピークホールド回路(最大値保持手段)
204 アンプ
205 ダイオード
206 容量
207 電源
208 積分回路(積分手段)
210 記憶部
211 アンプ
212 電流源(第1の電流源)
213 電流源(第2の電流源)
214 容量
215 コンパレータ(第2比較手段)
216 電源
B 物体(被検出対象)
S1 基本クロック信号
S2 同期タイミングパルス信号
S3 発光パルス信号
S4 受光パルス信号(電流信号)
S5 増幅パルス信号(電圧信号)
S5’ 増幅パルス信号
S6 コンパレータ出力パルス信号
S7 信号処理回路出力信号
S250 ピークホールド制御信号
S251,S252 容量放電信号
SW116 スイッチ(基準値増加手段)
SW206〜SW212 スイッチ
SW203 スイッチ(信号切替手段)
Sth 判定レベル(所定の第1基準値)
Sth’ 判定レベル
Sth2 判定レベルシフト電圧(第1所定値)
Sth2’ 可変判定レベルシフト電圧(第2所定値)
SthN 外乱光判定レベル(所定の第2基準値)
sect_1 期間
sect_2 期間(パルス光L2が発光されている期間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準となるクロック信号を変調したパルス信号に同期したパルス光を、所定の空間に発光する発光素子と、
上記所定の空間を通過する被検出対象により反射された上記パルス光を含む外光を受光し、該受光した外光に応じた電流信号を生成する受光素子と、
上記電流信号を電流電圧変換した電圧信号と所定の第1基準値とを比較するとともに、上記電圧信号が上記第1基準値より高いとき、上記所定の空間を通過する上記被検出対象が有ることを検出し、上記電圧信号が上記第1基準値以下のとき、上記所定の空間を通過する上記被検出対象が無いことを検出する検出手段とを備えるパルス変調型光検出装置であって、
上記電圧信号と上記パルス信号とが同期するか否かを判定し、上記電圧信号と上記パルス信号とが同期していないと判定したとき、上記第1基準値を、上記電圧信号に応じた値に設定する基準値設定手段を備えることを特徴とするパルス変調型光検出装置。
【請求項2】
上記基準値設定手段は、さらに、
上記電圧信号を入力とし、上記電圧信号が所定の第2基準値より高いとき、上記電圧信号が所定の第2基準値より高いことを示す第1信号を出力するともに、上記電圧信号が上記第2基準値以下のとき、上記電圧信号が所定の第2基準値以下であることを示す第2信号を出力する第1比較手段と、
上記パルス光が発光されるときのみ、上記第1比較手段が出力した信号を導通させる信号切替手段と、
上記信号切替手段が導通させた信号が上記第1信号であるとき、上記第1基準値を第1所定値だけ増加させ、上記信号切替手段が導通させた信号が上記第2信号であるとき、上記第1基準値を増加させない基準値増加手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項3】
上記基準値設定手段は、さらに、
上記電圧信号の最大値を保持する最大値保持手段を備え、
上記パルス光が発光されるとき、上記第1基準値を、上記最大値保持手段が保持する最大値に応じた第2所定値だけ増加させることを特徴とする請求項1に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項4】
上記基準値設定手段は、上記電圧信号を積分するとともに、該積分した電圧信号を上記第1比較手段に出力する積分手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項5】
上記積分手段は、さらに、
一端が、上記積分手段の出力に接続され、他端が、電気的に接地される容量と、
上記電圧信号、および、任意に設定された基準電圧を入力とし、上記電圧信号と上記基準電圧との比較結果に応じたデジタル信号を出力する第2比較手段であるコンパレータと、
上記電圧信号が上記基準電圧よりも大きい場合に上記容量を充電する第1の電流源と、
上記電圧信号が上記基準電圧以下である場合に上記容量を放電する、上記第1の電流源より電流値が小さい第2の電流源とを備えることを特徴とする請求項4に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項6】
上記検出手段は、さらに、上記電圧信号と上記第1基準値とを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、
上記比較結果信号は、上記電圧信号と上記第1基準値との大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、
上記パルス光が発光されている期間に、上記比較結果信号に複数のパルスが生成されたとき、誤検出したものと判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項7】
上記検出手段は、さらに、上記電圧信号と上記第1基準値とを比較した結果を示す比較結果信号を生成するものであって、
上記比較結果信号は、上記電圧信号と上記第1基準値との大小関係に応じて値が切り替えられるものであり、
上記パルス光が発光されている期間に、上記比較結果信号の値が切り替わったとき、誤検出したものと判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパルス変調型光検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のパルス変調型光検出装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−44527(P2012−44527A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185167(P2010−185167)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】