説明

パルス幅変調回路およびスイッチングアンプ

【課題】 オーディオ信号の振幅が負側に過大になったときのパルス幅変調信号の応答性を安定させる。
【解決手段】 パルス幅変調回路10は、クロック生成回路11と、差動増幅回路12と、第1充電電流生成回路13と、第2充電電流生成回路14と、スイッチSW1〜SW4と、コンデンサC1,C2と、第1放電用定電流回路15と、第2放電用定電流回路16と、第1パルス生成回路17と、第2パルス生成回路18と、パルス合成回路19と、充電開始電圧維持回路20とを備える。充電開始電圧維持回路20は、コンデンサC1、C2の電圧が定電流Idによる放電動作によって電圧Vaよりも低下しようとするときに、電源電圧をコンデンサC1、C2に供給することによって、コンデンサC1、C2の充電開始電圧がVaよりも低下することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス幅変調回路およびスイッチングアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ信号をその振幅に応じてデューティ比が変化するパルス幅変調信号に変換するパルス幅変調回路が提案されている。図14はパルス幅変調回路を示す回路図であり、図15,図16は、パルス幅変調回路の各信号の電圧波形を示すタイミングチャートである。
【0003】
パルス幅変調回路51は、基準クロック生成回路54と、デッドタイム生成回路55と、立下りエッジ検出回路56と、充電電流生成回路57と、放電用の定電流源58と、電流バイパス回路59と、スイッチSW11〜SW14と、コンデンサC11,C12と、第1,第2RSフリップフロップ回路60,61と、NAND回路からなる信号出力回路62とによって構成されている。
【0004】
パルス幅変調回路51では、充電電流生成回路57によってオーディオ信号eSからコンデンサC11,C12を充電するための電流信号Ij(以下、「充電電流Ij」という。)が生成され、基準クロック生成回路54によって基準クロックMCLKが生成される。
【0005】
充電電流IjはIj=Ic±Δiで表される。−Vccと抵抗R11,R12とによってオペアンプ63の出力端のバイアス電圧が決定され、Ic(>0)は、当該バイアス電圧と、抵抗R14、トランジスタQ11及び電圧64とによって決定される。また、±Δiはオーディオ信号eS(交流電圧信号)を電圧−電流変換した電流分である。
【0006】
デッドタイム生成回路55によって基準クロックMCLKに基づき、コンデンサC11の充電動作を制御する第1切換信号φ1と第2コンデンサC12の充電動作を制御する第2切換信号φ2とが生成される(図15(b),(c)参照)。第1RSフリップフロップ回路60によってコンデンサC11の放電動作を制御する第3切換信号φ3が生成され(図15(f)参照)、第2RSフリップフロップ回路61によって第2コンデンサC12の放電動作を制御する第4切換信号φ4が生成される。
【0007】
コンデンサC11は、スイッチSW11によって第1切換信号φ1のオン期間(ハイレベルの期間)にだけ充電電流生成回路57からの充電電流Ij(=Ic±Δi)が供給されることにより充電される。この充電により、コンデンサC11は第1切換信号φ1のオン期間に電圧Vaからオーディオ信号eSの振幅Eに応じた電圧Vc(以下、「充電終了電圧Vc」という。)まで上昇する(図15(b),(e)参照)。なお、図15(e)では、電圧波形L1では、充電終了電圧VcはVmとなっており、電圧波形L2,L3では、充電終了電圧VcはVccとなっている。
【0008】
第1切換信号φ1のオフ期間(ローレベルの期間)では、立下りエッジ検出回路56による第1切換信号φ1の立下り(ローレベル反転)を検出した第1セット信号set1(一瞬ローレベルに下がる信号)が第1RSフリップフロップ回路60のセット端子に入力されると、第1RSフリップフロップ回路60の一方の出力端子から出力される第3切換信号φ3がハイレベルに反転し、スイッチSW13によって定電流源58からの一定の電流Id(以下、「放電電流Id」という。)がコンデンサC11に供給され、これによりコンデンサC11の放電が開始される(図15(d),(e),(f)参照)。
【0009】
放電開始後にコンデンサC11の電圧が充電終了電圧Vcから所定の閾値電圧Vth(第1RSフリップフロップ回路60におけるハイレベルとローレベルを分ける閾値電圧)に低下すると、その電圧が第1リセット信号res1として第1RSフリップフロップ回路60に入力され、第3切換信号φ3がローレベルに反転し、スイッチSW13によって定電流源58が電気的に切り離される。第3切換信号φ3がローレベルに反転してもスイッチSW13が実際にオフ動作するまでに僅かのタイムラグがあるので、このタイムラグの間にコンデンサC11の電圧は閾値電圧Vthより僅かに低い電圧Vaに低下する。この電圧Vaは第1切換信号φ1のオフ期間(放電期間)が終了するまで保持され(図15(e),(f)参照)、次の充電期間における充電開始時の電圧となる。
【0010】
従って、電圧Vaは、第1切換信号φ1の各オン期間(充電期間)における充電開始時の電圧(以下、「充電開始電圧Va」という。)となり、コンデンサC11をオーディオ信号eSの振幅Eに応じた充電終了電圧Vcに上昇させる際の基準電圧となっている。
【0011】
第1RSフリップフロップ回路60の他方の出力端子から出力される出力rsout1は、第1セット信号set1が入力されると、ローレベルに反転し、その後、第1リセット信号res1が入力されると、ハイレベルに反転する。すなわち、第1RSフリップフロップ回路60の他方の出力端子からは、放電期間毎にコンデンサC11の放電時間(充電終了電圧Vcから閾値電圧Vthに低下するまでの時間)と同一のパルス幅を有するパルス信号からなる出力rsout1が出力される(図15(g)参照)。
【0012】
コンデンサC12についてもコンデンサC11と同様の充放電制御が行われ、第2RSフリップフロップ回路61の他方の出力端子から、放電期間毎にコンデンサC12の放電時間(充電終了電圧Vcから閾値電圧Vthに低下するまでの時間)と同一のパルス幅を有するパルス信号からなる出力rsout2が出力される。
【0013】
コンデンサC12の充放電動作は第2切換信号φ2に基づいて制御されるので、その充放電期間はコンデンサC11の充放電期間に対して基準クロックMCLKの半周期分だけずれている。従って、出力rsout1のパルス信号と出力rsout2のパルス信号は基準クロックMCLKの半周期毎に交互に生成される。
【0014】
信号出力回路62から出力rsout1と出力rsout2を合成したパルス幅変調信号PWMoutが出力される(図15(h)参照)。
【0015】
図15(e)に示す実線L1は、コンデンサC11の充放電波形であってオーディオ信号eSが無信号(Δi=0)の場合の波形を示している。オーディオ信号eSが無信号(Δi=0)の場合は、コンデンサC11は直流バイアス電流Icによって充電されるが、この直流バイアス電流Icは、充電終了電圧Vcが第1RSフリップフロップ回路60の電源電圧Vccと閾値電圧Vthの中点の電位Vm(≒(Vcc−Vth)/2、以下、「中点電圧Vm」という。)になるように設定されている。
【0016】
オーディオ信号eSの振幅Eが正の場合(Ij=Ic+Δiの場合)には、その振幅Eの大きさに応じて実線L1よりも充電波形の傾きが急となり、オーディオ信号eSの振幅Eが所定のレベル(このレベルを「+Es」とする。)以上に過大になると、一点鎖線L2や二点鎖線L3に示すように、充電終了電圧Vcはほぼ第1RSフリップフロップ回路60の電源電圧+Vcc(正確には電源電圧+Vcc+NAND回路の入力端に組み込まれている保護ダイオードの順方向電圧)にクリップされ続けるので、固定される。従って、オーディオ信号eSの正側の振幅Eが過大になっているときには、その振幅Eの大きさに関係なく、パルス幅変調信号PWMoutのパルス幅は固定される。
【0017】
一方、オーディオ信号eSの振幅Eが負の場合(Ij=Ic−Δiの場合)には、その振幅Eの大きさに応じて実線L1よりも充電波形の傾きが緩やかとなり、オーディオ信号eSの振幅Eが所定のレベル(このレベルを「−Es」とする。)以上に過大になると、充電電流Ijは「0」にクリップされるので、その充放電波形は、図16の(e)に示すようになる。
【0018】
この場合は、コンデンサC11及び第2コンデンサC12の電圧が各充電期間に閾値電圧Vth以上に上昇しないので、各放電期間に放電時間に相当するパルス幅のパルス信号を有する出力rsout1及び出力rsout2が生成されず、パルス幅変調信号PWMoutはパルス信号にはならず、図16の(h)に示すように、ローレベルに固定されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2008−206128号
【特許文献2】特開2009−141408号
【特許文献3】特開2010−273326号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
パルス幅変調回路51におけるパルス幅変調信号PWMoutの生成方法では、各放電期間におけるコンデンサC11,C12の放電時間をオーディオ信号eSの振幅Eに対応させることを基本としているが、その放電時間は、コンデンサC11,C12の充電開始電圧Vaを基準とした充電終了電圧Vcによって決定されるので、各充電期間における充電開始電圧Vaは、振幅Eがクリップされる場合も含めてオーディオ信号eSの振幅Eがどのように変化しても安定していることが重要である。
【0021】
しかし、オーディオ信号eSの振幅EがE<−Esの範囲まで負側に過大になると、充電電流Ijがほぼ0にまで低下するので、このような状態が続いているときには、図16の(e)に示されるように、コンデンサC11及びコンデンサC12は、各充電期間で充電開始電圧Vaから閾値電圧Vth以上に充電されなくなる。このため、上記したように、各充電期間に続く放電期間で放電時間が生じないことになり、パルス幅変調信号PWMoutのレベルはローレベルのままで変化しないことになる(図16の(h)の波形参照)。
【0022】
パルス幅変調信号PWMoutのレベルがローレベルに固定されている状態ではそのパルス幅変調信号PWMoutを再生した音に歪が生じることになるが、パルス幅変調信号PWMoutの波形自体は振幅Eが−Esにクリップされたオーディオ信号eSを反映したものであるので、その現象は上記のパルス幅変調信号PWMoutの生成方法に特有の問題ではないが、各充電期間にコンデンサC11,C12の電圧が閾値電圧Vth以上に上昇しなくなることは充電開始電圧Vaを不安定にさせるので、上記のパルス幅変調信号PWMoutの生成方法では重要な問題である。
【0023】
すなわち、図16の期間T1において、オーディオ信号eSが負側に過大な状態(eS<−Esの状態)で、充電電流Ijがほぼ0であると、コンデンサC11は充電されず、充電終了時まで充電開始電圧Vaに保持されることになる。そして、第1切換信号φ1の立下がりタイミングで第1セット信号set1により第3切換信号φ3が瞬時的にオンになるので、そのオン期間だけスイッチSW3がオンになり、コンデンサC11の蓄積電荷が放電されてコンデンサC11の電圧は充電開始電圧Vaより僅かに低下することになる。
【0024】
期間T1に続く期間T2と期間T3では、実質的に放電動作も充電動作も行われないので、コンデンサC11の電圧は充電開始電圧Vaより僅かに低下した電圧Va’に保持され、この電圧Va’が期間T3に続く期間T4における充電開始電圧となる。そして、期間T4においては、期間T1と同様の動作が再現されることによりコンデンサC11の電圧が電圧Va’より僅かに低い電圧に低下され、以下、同様の現象が繰り返されてコンデンサC11の充電開始電圧は最初の充電開始電圧Vaから段階的に低下していくことになる。上記の現象は、コンデンサC12についても同様で、コンデンサC12の充電開始電圧も最初の充電開始電圧Vaから段階的に低下していくことになる。
【0025】
コンデンサC11,C12の充電開始電圧Vaはそれぞれ第1切換信号φ1と第2切換信号φ2の1周期毎に段階的に低下するので、オーディオ信号eSの振幅Eが負側に過大な状態(E<−Esの状態)が数周期乃至数十周期に亘って続くと、コンデンサC11,C12の充電開始電圧Vaからの低下量が大きくなり、オーディオ信号eSの振幅Eが負側に過大な状態(E<−Esの状態)から正常な状態(−Es<E<0の状態)に復帰しても、そのときの充電電流Ij(=Ic−Δi)によっては、充電期間にコンデンサC11及びコンデンサC12の電圧が充電開始電圧(<Va)から閾値電圧Vth以上に上昇しないことがある。
【0026】
例えば、図17に示すように、オーディオ信号eSが負側に過大な状態の振幅E(E<−Esの状態)から正常な状態(−Es<E<0の状態)に復帰したときのコンデンサC11の充電開始電圧がVa1(<Va)に低下していたとき、充電期間TAでコンデンサC11が充電開始電圧Vaから充電電流Ijで充電されれば、一点鎖線の波形で示されるように、充電終了電圧Vcが閾値電圧Vthよりも高くなるのに、実線で示されるように、充電開始が電圧Va1から充電されるので、充電終了電圧Vcは閾値電圧Vthに達しない場合、放電期間TBで放電時間tが得られず、パルス幅変調信号PWMoutはローレベルに保持されたままとなる。
【0027】
また、コンデンサC11の充電開始電圧Vaは、放電期間TBにVa1からVa2(Va1<Va2<Vth)に変化し、次の充電期間TCでコンデンサC11が電圧Va2から充電電流Ijで充電され、充電終了電圧Vcが閾値電圧Vthを超えたとしても、放電期間TDに検出される放電時間t’は正しい放電時間t”より短くなり、その放電時間t’に基づいて生成されたパルス幅変調信号PWMoutのパルスはオーディオ信号eSの振幅Eに対応したものにはならない。
【0028】
すなわち、充電開始電圧Vaが段階的に低下することにより、オーディオ信号eSの振幅Eが負側に過大な状態(E<−Esの状態)から正常な状態(−Es<E<0の状態)に復帰したタイミングにおけるパルス幅変調信号PWMoutの応答性が、少なくともTA〜TDの期間(基準クロックMCLKの2周期分)は遅れ、再生音の歪んだ状態がそのタイムラグの期間まで継続するという不都合が生じる。
【0029】
この問題を解決するために本出願人は、特開2009−141408号で、充電電流生成回路において、オーディオ信号eSを電圧−電流変換した電流(Ic±Δi)に補助電流Iminを加算した電流Ijを生成し、オーディオ信号の振幅が負側に過大になると、その電流IjはImin以下にならないように制限するパルス幅変調回路を提案した。しかし、このパルス幅変調回路によると、常に、ダイオードD1等の非線形素子を経由して信号電流が流れることになり、高精度なパルス幅変調ができない(その結果オーディオ信号の音質が劣化する)という問題がある。
【0030】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、入力信号が負側に過大になった場合でも、正常な状態に復帰したときに直ちに正常なパルス幅変調信号を出力することができ、かつ、信号経路に直列に非線形素子を挿入する必要がないパルス幅変調回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の好ましい実施形態によるパルス幅変調回路は、基準クロックの一方レベルの期間に充電動作を実行させるための第1の制御信号と、前記基準クロックの他方レベルの期間に充電動作を実行させるための第2の制御信号とを生成する充電制御信号生成部と、前記第1の制御信号により充電動作が実行された一方レベルの期間に続く他方レベルの期間に、前記充電動作で蓄積された電荷の放電動作を実行させるための第3の制御信号と、前記第2の制御信号により充電動作が実行された他方レベルの期間に続く一方レベルの期間に前記充電動作で蓄積された電荷の放電動作を実行させるための第4の制御信号とを生成する放電制御信号生成部と、前記第1の制御信号に応じて入力信号のレベルに基づいて生成される充電電流により第1コンデンサを充電する充電動作と、前記第3の制御信号に応じて前記第1コンデンサの蓄積電荷を一定の放電電流で放電する放電動作とを実行し、前記放電動作を実行している各期間に前記第1コンデンサが放電開始時のレベルから基準レベルに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第1のパルス信号を生成する第1のパルス信号生成部と、前記第2の制御信号に応じて前記充電電流により第2コンデンサを充電する充電動作と、前記第4の制御信号に応じて前記第2コンデンサの蓄積電荷を前記放電電流で放電する放電動作とを実行し、前記放電動作を実行している各期間に前記第2コンデンサが放電開始時のレベルから前記基準レベルに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第2のパルス信号を生成する第2のパルス信号生成部と、前記第1のパルス信号生成部で生成される第1のパルス信号と前記第2のパルス信号生成部で生成される第2のパルス信号とを合成し、各パルスのパルス幅が前記入力信号のレベルに応じて変化するパルス幅変調信号を出力するパルス信号合成部と、前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えるときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給することにより、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサの電圧を所定電圧に維持させる電圧維持部とを備える。
【0032】
好ましい実施形態においては、前記電圧維持部が、前記電圧を供給する電圧源と、カソードが前記第1コンデンサに接続され、アノードが前記電圧源に接続された第1ダイオードと、カソードが前記第2コンデンサに接続され、アノードが前記電圧源に接続された第2ダイオードとを含む。
【0033】
好ましい実施形態においては、前記電圧源が、一端が第1電源に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第1抵抗と、一端が第2電源に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第2抵抗と、一端が前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点に接続され、他端が前記第2電源に接続された第3コンデンサとを含む。
【0034】
好ましい実施形態においては、前記電圧源の電圧から前記第1ダイオードの両端電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定され、前記電圧源の電圧から前記第2ダイオードの両端電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定されている。
【0035】
好ましい実施形態においては、前記電圧維持部が、前記電圧を供給する電圧源と、第1端子が前記第1コンデンサに接続され、第2端子と制御端子とが前記電圧源に接続された第1トランジスタと、第1端子が前記第2コンデンサに接続され、第2端子と制御端子とが前記電圧源に接続された第2トランジスタとを含む。
【0036】
好ましい実施形態においては、前記電圧源が、一端が第1電源に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第1抵抗と、一端が第2電源に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第2抵抗と、一端が前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点に接続され、他端が前記第2電源に接続された第3コンデンサとを含む。
【0037】
好ましい実施形態においては、前記電圧源の電圧から、前記第1トランジスタの制御端子−第1端子間電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定され、前記電圧源の電圧から、前記第2トランジスタの制御端子−第1端子間電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定されている。
【0038】
好ましい実施形態においては、前記電圧維持部が、前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えるときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給し、前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えないときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給しないように、前記電圧源の電圧値を変化させる。
【0039】
好ましい実施形態においては、前記電圧源が、前記第1のパルス信号生成部によって生成される前記第1のパルス信号が供給され、前記第1のパルス信号がハイレベルのときに前記第1のパルス信号の電圧によって充電され、前記第1のパルス信号がローレベルのときに前記第1のパルス信号の電圧によって充電された電圧が放電される第3コンデンサを含み、前記電圧源の電圧値には前記第1のパルス信号の電圧によって充電された前記第3コンデンサの充電電圧が加算されることにより前記電圧源の電圧値を変化させる。
【0040】
好ましい実施形態においては、前記電圧源が、一端が所定電位に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第1抵抗と、一端が前記第1抵抗の他端に接続され、他端が前記所定電位に接続された第3コンデンサと、一端が前記第1コンデンサの一端に接続された第2抵抗と、カソードが前記第2抵抗の他端に接続され、アノードには前記第1のパルス信号が供給される第3ダイオードとを含む。
【0041】
好ましい実施形態においては、前記電圧源が、一端が所定電位に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第1抵抗と、一端が前記第1抵抗の他端に接続され、他端が前記所定電位に接続された第3コンデンサと、一端が前記第1コンデンサの一端に接続された第2抵抗と、カソードが前記第2抵抗の他端に接続され、アノードには前記第1のパルス信号が供給される第3ダイオードとを含む。
【発明の効果】
【0042】
本発明は上記構成を有することによって、入力信号が負側に過大になった場合でも、正常な状態に復帰したときに直ちに正常なパルス幅変調信号を出力することができ、かつ、信号経路に非線形素子を挿入する必要がないパルス幅変調回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のスイッチングアンプを示す構成図である。
【図2】本発明のパルス幅変調回路を示すブロック図である。
【図3】本発明のパルス幅変調回路の要部を示す回路図である。
【図4】オーディオ信号の振幅が正常な範囲で変動している場合のタイムチャートである。
【図5】オーディオ信号(交流電圧信号)と出力電流との関係を示す図である。
【図6A】充電開始電圧維持回路20を示す回路図である。
【図6B】充電開始電圧維持回路20を示す回路図である。
【図7】パルス生成回路およびパルス合成回路を示す回路図である。
【図8】パルス幅変調動作を示す図である。
【図9】オーディオ信号の振幅が正側の過大な範囲で変動している場合のタイムチャートである。
【図10】オーディオ信号の振幅が負側の過大な範囲で変動している場合のタイムチャートである。
【図11A】充電開始電圧維持回路20’を示す回路図である。
【図11B】充電開始電圧維持回路20’を示す回路図である。
【図12】充電開始電圧維持回路20’の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図13】コンデンサC51の充電電圧を示す波形図である。
【図14】従来のパルス幅変調回路を示す回路図である。
【図15】図14に示すパルス幅変調回路における各信号の電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図16】図14に示すパルス幅変調回路における各信号の電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図17】オーディオ信号が負側に過大な状態から正常な状態に復帰したときのコンデンサの電圧の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、本発明のパルス幅変調回路が適用されるスイッチングアンプを示す構成図である。スイッチングアンプは、オーディオ信号発生源AUに接続されたパルス幅変調回路1と、スイッチング回路2と、ローパスフィルタ3と、正負の電源電圧+EB,−EBを供給する第1電源4及び第2電源5とを備えている。ローパスフィルタ3の出力には、負荷RLとしてのスピーカーが接続されている。
【0045】
パルス幅変調回路1は、オーディオ信号発生源AUから出力された入力信号としてのオーディオ信号eSをパルス幅変調信号PWMoutに変換して出力する。パルス幅変調回路1から出力されたパルス幅変調信号PWMoutは、スイッチング回路2に入力される。
【0046】
スイッチング回路2は、パルス幅変調信号PWMoutによってオン、オフ動作が制御されるスイッチ素子SW−Aと、パルス幅変調信号PWMoutの位相を反転させるインバータ2aと、インバータ2aから出力される位相が反転されたパルス幅変調信号PWMout’によってオン、オフ動作が制御されるスイッチ素子SW−Bと、スイッチ素子SW−A,SW−Bの両端にそれぞれ接続された逆電流防止用ダイオードD−A,D−Bとを備えている。
【0047】
スイッチング回路2では、第1電源4及び第2電源5から正負の電源電圧+EB,−EBがそれぞれスイッチ素子SW−Aとスイッチ素子SW−Bとを介して負荷RLに供給されるが、スイッチ素子SW−Aとスイッチ素子SW−Bは、パルス幅変調信号PWMoutとパルス幅変調信号PWMout’とによってそれぞれ交互にオン、オフ動作が行われるので、ローパスフィルタ3及び負荷RLには電源電圧+EBと電源電圧−EBとが交互に供給される。すなわち、負荷RLには、ローパスフィルタ3を介して+EBと−EBとの間でレベルが変化し、パルス幅変調信号PWMoutと同一のデューティ比を有する矩形波電圧が供給される。
【0048】
ローパスフィルタ3は、コイルL0及びコンデンサC0によるLC回路によって構成されている。ローパスフィルタ3は、スイッチング回路2から入力される矩形波電圧の高周波成分を除去する。ローパスフィルタ3からはパルス幅変調信号PWMoutを復調した交流電圧信号(オーディオ信号eSとほぼ同一波形の交流電圧信号)が出力され、この交流電圧信号が負荷RLに供給されることによりオーディオ信号eSが音声として出力される。
【0049】
図2は、パルス幅変調回路10のブロック構成図である。図3は、パルス幅変調回路10に含まれる充放電動作に関する回路(図2の一点鎖線で囲まれた回路参照)の回路図である。
【0050】
パルス幅変調回路10は、図2に示すように、クロック生成回路11と、差動増幅回路12と、第1充電電流生成回路13と、第2充電電流生成回路14と、スイッチSW1〜SW4と、コンデンサC1,C2と、第1放電用定電流回路15と、第2放電用定電流回路16と、第1パルス生成回路17と、第2パルス生成回路18と、パルス合成回路19と、充電開始電圧維持回路20とを備える。なお、パルス幅変調回路10の動作を示す図4のタイミングチャートを随時参照する。
【0051】
クロック生成回路11は、基準クロック信号MCLK(図4(a)参照)を生成し、その基準クロック信号MCLKから第1制御信号φ1と第2制御信号φ2とを生成する。基準クロック信号MCLKは、デューティ比がほぼ50%のクロック信号であり、第1及び第2制御信号φ1,φ2の基準信号となるものである。第1及び第2制御信号φ1,φ2は、コンデンサC1,C2に充電動作を行なわせるためにスイッチSW1,SW2のオン、オフ動作を制御する信号である。第2制御信号φ2は、第1制御信号φ1に対して逆位相の関係を有する。クロック生成回路11は、第1制御信号φ1をスイッチSW1に出力し、第2制御信号φ2をスイッチSW2に出力する。
【0052】
クロック生成回路11は、第1及び第2制御信号φ1,φ2から第1及び第2セット信号set1,set2を生成する。第1セット信号set1は、図4(d)に示すように、第1制御信号φ1のローレベルからハイレベルに反転する際の立上りエッジを検出した信号であり、第2セット信号set2は、図4(e)に示すように、第2制御信号φ2のローレベルからハイレベルに反転する際の立上りエッジを検出した信号である。第1セット信号set1は、R−Sラッチ回路によって構成される第1パルス生成回路17にセット信号として入力され、第2セット信号set2は、R−Sラッチ回路によって構成される第2パルス生成回路18にセット信号として入力される。
【0053】
差動増幅回路12は、オーディオ信号発生源AUからパルス幅変調回路10に供給されるオーディオ信号eSの接地電位を基準とした振幅を増幅して出力する回路である。差動増幅回路12は、2つのトランジスタのエミッタを相互に接続し、両トランジスタのコレクタをそれぞれ抵抗を介して正の電源(電源電圧+V)に接続し、両トランジスタのエミッタを定電流回路を介して負の電源(電源電圧−V)に接続した回路である。差動増幅回路12では、一方のトランジスタのベースにオーディオ信号eSを入力し、他方のトランジスタのベースを接地電位に接続することによって両トランジスタのコレクタの間にオーディオ信号eSの接地電位を基準とした差電圧(オーディオ信号eSの振幅)を増幅した電圧が出力される。この差電圧は、第1及び第2充電電流生成回路13,14に出力される。
【0054】
第1及び第2充電電流生成回路13,14は、差動増幅回路12から出力される電圧をその電圧の変化に比例して変化する電流に変換する回路である。第1充電電流生成回路13と第2充電電流生成回路14とは同一の回路構成である。第1充電電流生成回路13は、コンデンサC1に接続されており、電圧−電流変換した電流をコンデンサC1に供給することでコンデンサC1を充電する。従って、第1充電電流生成回路13は、コンデンサC1を充電するための充電電流を生成する。第2充電電流生成回路14は、コンデンサC2に接続されており、電圧−電流変換した電流をコンデンサC2に供給することでコンデンサC2を充電する。従って、第2充電電流生成回路14は、コンデンサC2を充電するための充電電流を生成する。
【0055】
第1及び第2充電電流生成回路13,14における変換コンダクタンスをGmとすると、オーディオ信号eSが第1及び第2充電電流生成回路13,14で変換される電流Δiは、Δi=Gm・eSで表すことができる。また、第1及び第2充電電流生成回路13,14におけるバイアス電流をIcとすると、2コンデンサC1,C2の充電電流は、Ic+Gm・eS=Ic+Δiで表すことができる。
【0056】
スイッチSW1は、第1充電電流生成回路13に電源電圧+Vを供給するか否か、すなわち、第1充電電流生成回路13を動作させてコンデンサC1を充電するか否かを制御する回路であり、スイッチSW2は、第2充電電流生成回路14に電源電圧+Vを供給するか否か、すなわち、第2充電電流生成回路14を動作させてコンデンサC2を充電するか否かを制御する回路である。スイッチSW1とスイッチW2とは同一の回路構成である。スイッチSW1,SW2は、クロック生成回路11から出力される第1及び第2制御信号φ1,φ2に基づいてオン、オフ動作される。スイッチSW1は、第1制御信号φ1がローレベルの状態でオン動作し、ハイレベルの状態でオフ動作する。また、スイッチSW2は、第2制御信号φ2がローレベルの状態でオン動作し、ハイレベルの状態でオフ動作する。
【0057】
第1放電用定電流回路15は、充電電流(Ic+Δi)で充電されたコンデンサC1の蓄積電荷を放電させるための回路であり、第2放電用定電流回路15は、充電電流(Ic+Δi)で充電されたコンデンサC2の蓄積電荷を放電させるための回路である。第1放電用定電流回路15は、コンデンサC1に接続されており、一定の放電電流IdでコンデンサC1に蓄積された電荷を引き込むことにより、コンデンサC1の蓄積電荷を放電させる。一方、第2放電用定電流回路16は、コンデンサC2に接続されており、一定の放電電流IdによってコンデンサC2に蓄積された電荷を引き込むことにより、コンデンサC2の蓄積電荷を放電させる。
【0058】
スイッチSW3は、第1放電用定電流回路15に電源電圧−Vを供給するか否か、すなわち、第1放電用定電流回路15を動作させてコンデンサC1を放電するか否かを制御する回路であり、スイッチSW4は、第2放電用定電流回路16に電源電圧−Vを供給するか否か、すなわち、第2放電用定電流回路16を動作させてコンデンサC2を放電するか否かを制御する回路である。スイッチSW3とスイッチW4とは同一の回路構成である。スイッチSW3,SW4は、第1及び第2パルス生成回路17,18からそれぞれ出力される第3及び第4制御信号φ3,φ4に基づいてオン、オフ動作される。スイッチSW3は、第3制御信号φ3がハイレベルの状態でオン動作し、ローレベルの状態でオフ動作する。また、スイッチSW4は、第4制御信号φ4がハイレベルの状態でオン動作し、ローレベルの状態でオフ動作する。
【0059】
コンデンサC1,C2は、オーディオ信号eSの振幅を時間に変換するための素子である。オーディオ信号eSの振幅は、コンデンサC1,C2をオーディオ信号eSの振幅に比例した充電電流(Ic+Δi)で一定時間(基準クロック信号MCLKの周期Tの1/2の時間)だけ充電した後その蓄積電荷を一定の放電電流Idで放電し、その放電時間をパルス幅とするパルスを生成することによって時間に変換される。
【0060】
第1パルス生成回路17は、コンデンサC1の両端電圧が放電開始時の電圧レベルから所定の閾値電圧(基準レベル)Vthに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第1パルス信号rsout1(図4(j)参照)と、スイッチSW3のオン・オフ動作を制御する第3制御信号φ3(図4(h)参照)を生成する回路である。なお、本実施形態では、後述するように第1パルス生成回路17及び第2パルス生成回路18はNAND回路を用いたR−Sラッチ回路で構成されるので、閾値電圧VthはNAND回路の閾値電圧となる。
【0061】
第1パルス信号rsout1は、パルス合成回路19に出力され、第3制御信号φ3はスイッチSW3に出力される。第2パルス生成回路18は、コンデンサC2の両端電圧が放電開始時の電圧レベルから上記の閾値電圧Vthに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第2パルス信号rsout2(図4(k)参照)と、スイッチSW4のオン・オフ動作を制御する第4制御信号φ4(図4(i)参照)を生成する回路である。第2パルス信号rsout2は、パルス合成回路19に出力され、第4制御信号φ4はスイッチSW4に出力される。
【0062】
パルス合成回路19は、第1及び第2パルス生成回路17,18から出力される第1及び第2パルス信号rsout1,rsout2を合成し、PWM変調信号PWMout(図4(l)参照)として出力する回路である。
【0063】
充電開始電圧維持回路20は、オーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合に、コンデンサC1、C2の充電開始電圧が定電流Idによる放電動作によってVaよりも低下することを防止し、コンデンサC1、C2の充電開始電圧をVaに維持する。充電開始電圧維持回路20を設ける理由を説明する。図5は、入力されるオーディオ信号eSと充電電流生成回路からの出力電流IS(充電電流)との関係を示す図である。
【0064】
図5(b)に示すように、充電電流生成回路から出力される電流ISは、0以上の範囲でオーディオ信号eSの振幅±Eに応じて変化する。オーディオ信号eSの正側の振幅+Eが過大(図5(a)の+E≧+Esの部分参照)であっても電流ISは、図5(b)に示すように、オーディオ信号eSの振幅+Eに応じて変化する電流Ic+Δi=Ic+Gm・Eとなるが、オーディオ信号eSの負側の振幅−Eが過大(図5(a)の−E≦−Esの部分参照)では、電流ISは、「0」にクリップされる((イ)の部分参照)。
【0065】
従って、オーディオ信号eSの振幅±Eが図5(a)の電圧範囲A(−Es以上の範囲)で変動している場合は、オーディオ信号eSの振幅±Eに応じて変化する電流IS(=Ic±Δi=Ic±Gm・E)が出力される。一方、オーディオ信号eSの振幅−Eが図5(a)の電圧範囲B(−Es以下の範囲)で変動している場合は、その変動に関係なく電流は出力されない。
【0066】
オーディオ信号eSの正側の振幅+Eが過大で、コンデンサC1,C2の充電電流IjがIP以上になってもコンデンサC1,C2の充電波形は、コンデンサC1の充電終了電圧Vcは、ほぼ第1,第2RSフリップフロップ回路17,18の電源電圧+Vccにクリップされる。
【0067】
オーディオ信号eSの負側の振幅−Eが−E<−Esの範囲で変動している場合には、充電電流Ijは「0」になるので、例えば、充電期間に充電電流生成回路13がコンデンサC1に接続されても実質的に充電は行われず、コンデンサC1の電圧は充電開始電圧Vaから上昇しない。そして、この状態が基準クロックMCLKの数周期乃至数十周期に亘って続くと、コンデンサC1の充電開始電圧が段階的に低下するという問題が生じる。コンデンサC2についても同様である。
【0068】
充電開始電圧Vaが段階的に低下する理由は、例えば、コンデンサC1の場合、以下の動作が行われるからである。すなわち、コンデンサC1は、各充電期間における充電電流Ijが「0」となることにより各充電期間に実質的に電荷が蓄積されず(コンデンサC1の電圧が上昇せず)、その充電終了電圧Vcは、充電開始電圧Vaと同一となる。充電開始電圧は閾値電圧Vthよりも小さいから、後述する第1RSフリップフロップ回路17の第1リセット信号res1が入力される入力端子はローレベルとなっている。この状態で充電期間の終了時(放電開始時)に第1RSフリップフロップ回路17に第1セット信号set1が入力されると、第1RSフリップフロップ回路17の両入力端子は同時に一瞬ローレベル(不定状態)となり、第1フリップフロップ回路17から出力される第3切換信号φ3が瞬時的にハイレベルとなる。これによりコンデンサC1の蓄積電荷が放電電流Idで瞬時的に放電され、コンデンサC1の電圧が微小ながら低下するからである。コンデンサC2についても同様である。
【0069】
この問題を解決するために、充電開始電圧維持回路20は、コンデンサC1、C2の電圧が定電流Idによる放電動作によって電圧Vaよりも低下しようとするときに、電源電圧をコンデンサC1、C2に供給することによって、コンデンサC1、C2の充電開始電圧がVaよりも低下することを防止する。図2,図3に示すように、充電開始電圧維持回路20は、ダイオードD51、D52と、電圧源Vxとを有する。
【0070】
充電開始電圧維持回路20の詳細回路を図6Aに示す。充電開始電圧維持回路20は、ダイオードD51、D52と、抵抗R51、R52と、コンデンサC51と、電源+Vcc、−Vccとを有する。抵抗R51、R52と、コンデンサC51と、電源+Vcc、−Vccとは、電圧源Vxを構成する。ダイオードD51のカソードは、コンデンサC1に接続され、そのアノードは、抵抗R51とR52とコンデンサC51との接続点に接続されている。ダイオードD52のカソードは、コンデンサC2に接続され、そのアノードは、抵抗R51とR52とコンデンサC51との接続点に接続されている。抵抗R51は電源+Vccに接続され、抵抗R52およびコンデンサC51は電源−Vccに接続されている。
【0071】
上記構成によって、コンデンサC1の電圧が定電流Idによって、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1からダイオードD51の両端電圧Vd51を減算した電圧値よりも低下しようとすると、電圧源VxからコンデンサC1に電圧が供給される(電流が流れる)ことによって、コンデンサC1の電圧の低下が防止される。同様に、コンデンサC2の電圧が定電流Idによって、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1からダイオードD52の両端電圧Vd52を減算した電圧値よりも低下しようとすると、電圧源VxからコンデンサC2に電圧が供給される(電流が流れる)ことによって、コンデンサC2の電圧の低下が防止される。つまり、電圧V1からダイオードD51の両端電圧Vd51(またはダイオードD52の両端電圧Vd52)を減算した電圧値がVaになるように、充電開始電圧維持回路20の各素子(抵抗、コンデンサ、ダイオード等)の値が設定されている。
【0072】
図6Bは他の実施形態による充電開始電圧維持回路20の詳細回路を示す。図6Bでは、ダイオードD51、D52の代わりに、トランジスタQ51、Q52が設けられている。トランジスタQ51は、エミッタがコンデンサC1に接続され、ベースが抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点に接続され、コレクタが抵抗R51と電源+Vccとの間に接続されている。トランジスタQ52は、エミッタがコンデンサC2に接続され、ベースが抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点に接続され、コレクタが抵抗R51と電源+Vccとの間に接続されている。
【0073】
上記構成によって、コンデンサC1の電圧が定電流Idによって、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1からトランジスタQ51のベース−エミッタ間電圧Vbe51を減算した電圧値よりも低下しようとすると、電圧源VxからコンデンサC1に電圧が供給される(電流が流れる)ことによって、コンデンサC1の電圧の低下が防止される。同様に、コンデンサC2の電圧が定電流Idによって、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1からトランジスタQ52のベース−エミッタ間電圧Vbe52を減算した電圧値よりも低下しようとすると、電圧源VxからコンデンサC2に電圧が供給される(電流が流れる)ことによって、コンデンサC2の電圧の低下が防止される。つまり、電圧V1からトランジスタQ51のベース−エミッタ間電圧Vbe51(またはトランジスタQ52のベース−エミッタ間電圧Vbe52)を減算した電圧値がVaになるように、充電開始電圧維持回路20の各素子(抵抗、コンデンサ、トランジスタ等)の値が設定されている。
【0074】
次に、図3を参照して充放電動作に関する回路(図2の一点鎖線で囲まれた回路参照)の詳細について説明する。なお、図2と同一機能を果たす回路には同一の符号を付している。
【0075】
差動増幅回路12は、npn型トランジスタQ1とnpn型トランジスタQ2とを有する。トランジスタQ1のエミッタとトランジスタQ2のエミッタとは、それぞれ抵抗R3と抵抗R4を介して定電流回路に接続され、トランジスタQ1のコレクタとトランジスタQ2のコレクタとは、それぞれ抵抗R1と抵抗R2を介して正の電源(電源電圧+V)に接続されている。
【0076】
トランジスタQ1のベースには、カップリングコンデンサCaを介してオーディオ信号eSが入力され、トランジスタQ2のベースは、接地電位に接続されている。
【0077】
定電流回路は、npn型トランジスタQ3と、抵抗R6と、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)D1とを有する。トランジスタQ3は、エミッタが抵抗R6を介して負の電源(電源電圧−V)に接続され、ベースが抵抗R11を介して正の電源(電源電圧+V)に接続され、コレクタが抵抗R3とR4とに接続されている。ツェナーダイオードD1は、トランジスタQ3のベースと負の電源との間に接続されている。トランジスタQ3のベース電圧がツェナーダイオードD1のツェナ電圧Vzになるので、トランジスタQ3のコレクタには(Vz−Vbe)/R6(VbeはトランジスタQ3のベース−エミッタ間の電圧)の定電流Idが流れる。
【0078】
第1充電電流生成回路13は、pnp型トランジスタQ4と、トランジスタQ4のエミッタに接続された電流制限用の抵抗R7とを含む。第2充電電流生成回路14は、pnp型トランジスタQ5と、トランジスタQ5のエミッタに接続された電流制限用の抵抗R8とを含む。スイッチSW1、SW2は、それぞれ、pnp型トランジスタを含む。スイッチSW1と第1充電電流生成回路13とは直列に接続され、スイッチSW2と第2充電電流生成回路14とは直列に接続されている。また、スイッチSW1のエミッタとスイッチSW2のエミッタとは共に正の電源(電源電圧+V)に接続されている。トランジスタQ4のコレクタはコンデンサC1に接続され、トランジスタQ5のコレクタはコンデンサC2に接続されている。
【0079】
トランジスタQ4、Q5のベースにはトランジスタQ1のコレクタが接続され、差動増幅回路12からオーディオ信号esの接地電位を基準とした振幅が入力される。また、スイッチSW1のベースにはクロック生成回路11から第1制御信号φ1が入力され、スイッチSW2のベースにはクロック生成回路11から第2制御信号φ2が入力される。
【0080】
第1放電用定電流回路15と第2放電用定電流回路16は、差動増幅回路12内の定電流回路と同一の回路で構成されている。スイッチSW3とスイッチSW4とは、npn型トランジスタを含む。第1放電用定電流回路15と第3スイッチSW3とは直列に接続され、第2放電用定電流回路16と第4スイッチSW4とは直列に接続されている。第1放電用定電流回路15と第2放電用定電流回路16とは、npn型トランジスタ、エミッタ抵抗及びツェナーダイオードを用いた定電流回路であるが、第1及び第2放電用定電流回路15,16のnpn型トランジスタのベース電圧を与えるツェナーダイオードは、差動増幅回路12内の定電流回路のツェナーダイオードD1が共用されている。
【0081】
従って、第1放電用定電流回路15を構成するトランジスタQ6のコレクタはコンデンサC1に接続され、トランジスタQ6のエミッタは抵抗R9を介してスイッチSW3のコレクタに接続されている。また、第2放電用定電流回路16を構成するトランジスタQ7のコレクタはコンデンサC2に接続され、トランジスタQ7のエミッタは抵抗R10を介してスイッチSW4のコレクタに接続されている。トランジスタQ6及びトランジスタQ7のベースは、ツェナーダイオードD1のカソードに接続されている。
【0082】
また、スイッチSW3及びスイッチSW4のエミッタは負の電源(電源電圧−V)に接続され、スイッチSW3のベースには第1パルス生成回路17から出力される第3制御信号φ3が入力され、第4スイッチSW4のベースには第2パルス生成回路18から出力される第4制御信号φ4が入力される。
【0083】
図3の回路では、第1制御信号φ1がローレベルになると、スイッチSW1がオンになり、第1充電電流生成回路13に正の電源(+V)が接続され、第1充電電流生成回路13内のトランジスタQ4が動作する。トランジスタQ4のベースには差動増幅回路12から接地電位に対するオーディオ信号eSの差電圧、すなわち、オーディオ信号eSの振幅値が入力されるので、トランジスタQ4のコレクタにはオーディオ信号eの振幅値に比例した充電電流(Ic+Δi)が流れ、コンデンサC1が第1制御信号φ1のローレベルの期間にこの充電電流(Ic+Δi)によって充電される(図4(b),(f)のT1,T3期間の波形参照)。
【0084】
同様に、第2制御信号φ2がローレベルになると、スイッチSW2がオンになり、第2充電電流生成回路14に正の電源(+V)が接続され、第2充電電流生成回路14内のトランジスタQ5が動作する。トランジスタQ5のベースにも差動増幅回路12から接地電位に対するオーディオ信号eSの差電圧が入力されるので、トランジスタQ5のコレクタにはオーディオ信号eの振幅値に比例した充電電流(Ic+Δi)が流れ、コンデンサC2が第2制御信号φ2のローレベルの期間にこの充電電流(Ic+Δi)によって充電される(図4(c),(g)のT2,T4期間の波形参照)。
【0085】
また、第3制御信号φ3がハイレベルになると、スイッチSW3がオンになり、第1放電用定電流回路15に負の電源(−V)が接続され、第1放電用定電流回路15内のトランジスタQ6が一定の電流Idを引き込む動作を行なう。これにより、コンデンサC1の蓄積電荷が定電流Idで放電される(図4(f),(h)のT2,T4期間の波形参照)。
【0086】
同様に、第4制御信号φ4がハイレベルになると、スイッチSW4がオンになり、第2放電用定電流回路16に負の電源(−V)が接続され、第2放電用定電流回路16内のトランジスタQ7が一定の電流Idを引き込む動作を行なう。これにより、コンデンサC2の蓄積電荷が定電流Idで放電される(図4(g),(i)のT1,T3期間の波形参照)。
【0087】
第1パルス生成回路17は、図7に示すように、2個のNAND回路を用いた周知のR−Sラッチ回路で構成されている。第1パルス生成回路17の第2NAND回路N2の入力端子はS(set)信号の入力端子であり、第1NAND回路N1の入力端子はR(reset)信号の入力端子である。また、第1NAND回路N1の出力端子は/Q信号の出力端子であり、第2NAND回路N2の出力端子はQ信号の出力端子である。
【0088】
第1パルス生成回路17の第1NAND回路N1の入力端子にはコンデンサC1の両端電圧が第1リセット信号res1として入力され、第2NAND回路N2の入力端子にはクロック生成回路11から出力される第1セット信号set1が入力される。また、第1NAND回路N1の出力端子から出力されるパルス信号はPWM変調信号PWMoutを生成するための第1パルス信号rsout1としてパルス合成回路19に入力され、第2NAND回路N2の出力端子から出力されるパルス信号は第3制御信号φ3としてスイッチSW3のベースに入力される。
【0089】
図7に示すR−Sラッチ回路では、(S,R)=(ハイ,ロー)で(Q,/Q)=(ハイ,ロー)の論理となり、(S,R)=(ロー,ハイ)で(Q,/Q)=(ロー,ハイ)の論理となる。図4(d),(h)に示されるように、第1制御信号φ1が立ち上がるタイミングで第1セット信号set1は一瞬ローレベルになり、コンデンサC1の両端電圧(第1リセット信号res1)はハイレベルとなるので、第1パルス信号rsout1はローレベルとなり、第3制御信号φ3はハイレベルとなる(図4(f)(j)参照)。第3制御信号φ3がハイレベルになると、コンデンサC1の放電が開始されるが、コンデンサC1の両端電圧が第1NAND回路N1の閾値電圧Vthより高い間は第1パルス信号rsout1がローレベルに保持され、閾値電圧Vthに達すると、第1セット信号set1はハイレベルになり、第1リセット信号res1はローレベルとなるので、そのタイミングで第1パルス信号rsout1はハイレベルとなり、第3制御信号φ3はローレベルとなる(図4(f)(j)参照)。
【0090】
第2パルス生成回路18も第1パルス生成回路17と同様に、2個のNAND回路を用いた周知のR−Sラッチ回路で構成されている。図7に示すように、第2パルス生成回路18の第3NAND回路N3の入力端子にはコンデンサC2の両端電圧が第2リセット信号res2として入力され、第4NAND回路N4の入力端子にはクロック生成回路11から出力される第2セット信号set2が入力される。また、第3NAND回路N3の出力端子から出力されるパルス信号はPWM変調信号PWMoutを生成するための第2パルス信号rsout2としてパルス合成回路19に入力され、第4NAND回路N4の出力端子から出力されるパルス信号は第4制御信号φ4としてスイッチSW3のベースに入力される。
【0091】
図4(e),(i)に示されるように、第2制御信号φ2が立ち上がるタイミングで第2セット信号set2は一瞬ローレベルになり、コンデンサC2の両端電圧(第2リセット信号res2)はハイレベルとなるので、第2パルス信号rsout2はローレベルとなり、第4制御信号φ4はハイレベルとなる(図4(g)(k)参照)。第4制御信号φ4がハイレベルになると、コンデンサC2の放電が開始されるが、コンデンサC2の両端電圧が第3NAND回路N3の閾値電圧Vthより高い間は第2パルス信号rsout2がローレベルに保持され、閾値電圧Vthに達すると、第2セット信号set2はハイレベルになり、第2リセット信号res2はローレベルとなるので、そのタイミングで第2パルス信号rsout2はハイレベルとなり、第4制御信号φ4はローレベルとなる(図4(g)(k)参照)。
【0092】
パルス合成回路19は、図7に示すように、第5NAND回路N5によって構成され、第1パルス生成回路17から出力される第1パルス信号rsout1と、第2パルス生成回路18から出力される第2パルス信号rsout2との否定論理積を演算することによりパルス幅変調信号PWMoutを生成する(図4(l)参照)。
【0093】
次に、パルス幅変調回路10におけるパルス幅変調動作について、図8を参照して説明する。なお、コンデンサC1とコンデンサC2で同様のパルス幅変調動作が行なわれるので、ここではコンデンサC1におけるパルス幅変調動作について説明する。
【0094】
第1制御信号φ1がローレベルになると、スイッチSW1がオンになり、第1充電電流生成回路13が充電電流(Ic+Δi)の生成動作を行なう。第1制御信号φ1がローレベルの期間では第3制御信号φ3がローレベルであるので、スイッチSW3がオフ状態となっており(図4(b)(h)参照)、第1放電用定電流回路15は動作していない。従って、コンデンサC1には第1充電電流生成回路13で生成された充電電流(Ic+Δi)のみが流れ込み、これによりコンデンサC1が充電される。この充電動作は、第1制御信号φ1がローになっている期間(図8ではT1の期間)に行なわれる。
【0095】
期間T1におけるコンデンサC1の両端電圧(図3のA点の電圧)は、充電開始電圧Vaから充電電流(Ic+G・eS)の大きさに比例した傾きで上昇する。充電電流(Ic+G・eS)はオーディオ信号eSの正負の方向及び振幅の大きさに依存し、eS>0で振幅|eS|が大きいほど、期間T1の終了時の充電電圧は高くなり、eS<0で振幅|eS|が大きいほど、期間T1の終了時の充電電圧は低くなる。なお、図8では、期間T1はオーディオ信号eSの振幅変動に対して非常に短く、期間T1ではオーディオ信号eSの振幅変動は殆どなく一定であるとしてコンデンサC1の充電電圧をほぼ直線的に上昇させている。
【0096】
図8の電圧波形S0は、eS=0のとき(オーディオ信号eSが無信号のとき)の波形を示し、電圧波形S1は、eS>0のときの波形を示し、電圧波形S2は、eS<0のときの波形を示している。
【0097】
第1制御信号φ1がハイレベルになると同時に第3制御信号φ3がハイレベルになると、スイッチSW1がオフなると同時にスイッチSW3がオンになり、第1充電電流生成回路13が動作を停止し、第1放電用定電流回路15が定電流Idの引き込み動作を行なう。従って、コンデンサC1に蓄積された電荷が定電流Idで第1放電用定電流回路15に引き込まれ、これによりコンデンサC1の蓄積電荷が放電される。この放電動作は、コンデンサC1の電圧が充電開始電圧Vaに低下するまで行なわれる。
【0098】
コンデンサC1の電圧が閾値電圧Vthに低下すると、第3制御信号φ3がローレベルに反転し、スイッチSW3がオフになるので、第1放電用定電流回路15の定電流Idによる引き込み動作が停止する。しかし、第3制御信号φ3がローレベルに反転してもスイッチSW3が実際にオフするまで僅かのタイムラグがあるので、このタイムラグの間にコンデンサC1の電圧はVaまで低下する。コンデンサC1の電圧がVaに低下してから次に第1制御信号φ1がローレベルになるまでの期間は、コンデンサC1に充電電流も放電電流も流れない状態となる。従って、コンデンサC1の電圧は第1制御信号φ1がローレベルになるまでVaに保持される(図8の時間t1k,t0k,t2k参照)。
【0099】
放電時間Thは、充電電圧Vjに比例する。すなわち、充電電圧Vjが高いほど、放電時間Thは長くなる。図8において、時間t1は、オーディオ信号eS>0のときの放電時間を示し、時間t0は、オーディオ信号eS=0のときの放電時間を示し、時間t2は、オーディオ信号eS<0のときの放電時間を示し、t2<t0<t1の関係になっている。
【0100】
充電電圧Vjの高さは、オーディオ信号eSの振幅|eS|に比例するから、放電時間Thもオーディオ信号eSの振幅|eS|に比例することになる。すなわち、コンデンサC1の放電時間Thは、オーディオ信号eSの振幅|eS|により変調された時間を示す。上記のパルス幅変調動作は、コンデンサC2についても同様である。
【0101】
本実施形態のパルス幅変調回路10では、図4に示すように、基準クロック信号MCLKの周期Tのハイレベル期間でコンデンサC2によりオーディオ信号eSをパルス幅変調したパルスを生成し、それに続くローレベル期間でコンデンサC1によりオーディオ信号eSをパルス幅変調したパルスを生成するので、両パルスをパルス合成回路19で合成することにより基準クロック信号MCLKの周期Tを有するパルス幅変調信号PWMoutを生成している。
【0102】
次に、パルス幅変調回路10の動作を、図4を参照して説明する。図4は、オーディオ信号eSが正常な範囲(−Es〜+Es)で変動している場合のタイムチャートである。基準クロック信号MCLKが最初にハイレベルになる期間から2周期分のハイレベルとローレベルの期間に対してそれぞれ第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、第4期間T4と言うことにする。
【0103】
第1期間T1では、クロック生成回路11からの第1制御信号φ1がローレベル(第2制御信号φ2がハイレベル)であるので(図4(b)参照)、スイッチSW1がオン状態(スイッチSW2はオフ状態)となり、コンデンサC1に第1充電電流生成回路13が接続される。従って、第1期間T1では第1充電電流生成回路13からコンデンサC1に充電電流(Ic+Δi)が流れ込み、これによりコンデンサC1が充電される(図4(f)参照)。この充電動作は、第1期間T1が終了するまで行なわれる。
【0104】
第1期間T1が終了し、第1制御信号φ1がローレベルからハイレベルに反転すると、スイッチSW1がオフ状態になる。スイッチSW1のオフ状態は第2期間T2の間、継続する。クロック生成回路11では、第1制御信号φ1の反転時の立上りを検出し、第1パルス生成回路17に瞬間的にローレベルに変化する第1セット信号set1を出力する(図4(d)の最初のローレベル変化参照)。
【0105】
第1パルス生成回路17では、第2期間T2の開始時に第1セット信号set1(ローレベル)が入力されると、第2NAND回路N2の出力がローレベルからハイレベルに反転する(図4(h)参照)。第2NAND回路N2の出力は、第3制御信号φ3としてスイッチSW3に入力されるので、スイッチSW3がオン状態となり、コンデンサC1に第1放電用定電流回路15が接続され、これにより、コンデンサC1は定電流Idで放電される(図4(f)参照)。
【0106】
また、第1パルス生成回路17では、第2期間T2の開始時に第1セット信号set1(ローレベル)が入力されると、第1NAND回路N1の出力をハイレベルからローレベルに反転する(図4(j)参照)。第1NAND回路N1の出力は、第1パルス信号rsout1としてパルス合成回路19に入力される。
【0107】
パルス合成回路19に第1NAND回路N1のローレベル出力が入力された時にはパルス合成回路19の第5NAND回路N5に第2パルス生成回路18から入力される第2パルス信号rsout2はハイレベルのため、パルス合成回路19からは第1パルス信号rsout1のレベルを反転したパルス(ハイレベルのパルス)が出力される(図4(l)の2つ目のパルス参照)。
【0108】
第2期間T2においては、コンデンサC1が定電流Idで放電されるので、コンデンサC1の両端電圧が低下する。第1パルス生成回路17ではコンデンサC1の両端電圧が第1NAND回路N1に入力されているが、コンデンサC1の両端電圧が閾値電圧Vthに低下すると、その時の電圧がローレベルの第1リセット信号res1として第1パルス生成回路17に入力されることになる。第1パルス生成回路17に第1リセット信号res1が入力されると、第1パルス信号rsout1は、ローレベルからハイレベルに反転する(図4(j)参照)。
【0109】
一方、第2期間T2では、クロック生成回路11からの第2制御信号φ2がローレベル(第1制御信号φ1がハイレベル)であるので(図4(c)参照)、スイッチSW2がオン状態(スイッチSW1はオフ状態)となり、コンデンサC2に第2充電電流生成回路14が接続される。従って、第2期間T2では第2充電電流生成回路14からコンデンサC2に充電電流(Ic+Δi)が流れ込み、これによりコンデンサC2が充電される(図4(g)参照)。この充電動作は、第2期間T2が終了するまで行なわれる。
【0110】
第2期間T2が終了し、第2制御信号φ2がローレベルからハイレベルに反転すると、スイッチSW2がオフ状態になる。スイッチSW2のオフ状態は第3期間T3の間、継続する。クロック生成回路11では、第2制御信号φ2の反転時の立上りを検出し、第2パルス生成回路18に瞬間的にローレベルに変化する第2セット信号set2を出力する(図4(e)参照)。
【0111】
第2パルス生成回路18では、第3期間T3の開始時に第2セット信号set2(ローレベル)が入力されると、第4NAND回路N4の出力がローレベルからハイレベルに反転する(図4(i)参照)。第4NAND回路N4の出力は、第4制御信号φ4としてスイッチSW4に入力されるので、スイッチSW4がオン状態となり、コンデンサC2に第2放電用定電流回路16が接続され、これにより、コンデンサC2は定電流Idで放電される(図4(g)参照)。
【0112】
また、第2パルス生成回路18では、第3期間T3の開始時に第2セット信号set2(ローレベル)が入力されると、第3NAND回路N3の出力をハイレベルからローレベルに反転する(図4(k)参照)。第3NAND回路N3の出力は、第2パルス信号rsout2としてパルス合成回路19に入力される。
【0113】
パルス合成回路19に第3NAND回路N3のローレベル出力が入力された時にはパルス合成回路19の第5NAND回路N5に第1パルス生成回路17から入力される第1パルス信号rsout1はハイレベルのため、パルス合成回路19からは第2パルス信号rsout2のレベルを反転したパルス(ハイレベルのパルス)が出力される(図4(l)の3つ目のパルス参照)。
【0114】
以下、第3期間以降では第1期間T1及び第2期間T2と同様の動作が繰返される。従って、パルス合成回路19からは基準クロック信号MCLKの半周期毎に第1パルス信号rsout1と第2パルス信号rout2のレベルを反転したパルスが交互に出力される。
【0115】
オーディオ信号eSの振幅が正常範囲(−Es〜+Esの範囲)で変動している場合は、コンデンサC1,C2は、充電期間に必ず閾値電圧Vthよりも高い充電終了電圧Vcに上昇する。従って、放電期間に移行しても、コンデンサC1,C2の電圧は正常に充電開始電圧Vaとなり、放電停止後のコンデンサC1,C2の電圧は必ず充電開始電圧Vaに保持されるので、充電期間におけるコンデンサC1,C2の充電開始電圧はVaに安定する(図4の(f),(g)参照)。
【0116】
図9は、オーディオ信号eSの振幅が正側の過大な範囲(+Es以上の範囲)で変動している場合のタイムチャートを示している。オーディオ信号eSの振幅が正側の過大な範囲(+Es以上の範囲)で変動している場合のパルス幅変調信号PWMoutの生成プロセスは、基本的に上記のオーディオ信号eSの振幅が正常範囲(−Es〜+Esの範囲)で変動している場合と変わらないので、詳細な説明は省略し、相違点のみを説明する。
【0117】
オーディオ信号eSの振幅が正常範囲(−Es〜+Esの範囲)で変動している場合は、充電電流Ijがオーディオ信号eSの振幅に応じて変化するので、図4の(f),(g)に示すコンデンサC1,C2の電圧波形は、オーディオ信号eSの振幅に応じて変化する。具体的には、充電期間にコンデンサC1,C2が上昇する充電終了電圧Vcは、オーディオ信号eSの振幅に応じてVth(>0)〜Vccの範囲で変化するので、例えば、コンデンサC1の電圧波形は、一点鎖線N1で示す電圧波形と点線N2で示す波形で挟まれた範囲内で変化する。コンデンサC2の電圧波形についても同様である。
【0118】
一方、オーディオ信号eSの振幅が正側の過大な範囲(+Es以上の範囲)で変動している場合は、コンデンサC1,C2の充電終了電圧Vcが第1,第2RSフリップフロップ回路17,18の電源電圧+Vccにクリップされるので、コンデンサC1,C2の放電時の波形は、図9の(f),(g)に示すように、図4の(f),(g)の一点鎖線N1で示す電圧波形の放電時の波形と同一の波形となる。
【0119】
オーディオ信号eSの振幅が正側の過大な範囲(+Es以上の範囲)で変動している場合も、オーディオ信号eSの振幅が正常範囲(−Es〜+Esの範囲)で変動している場合と同様に、コンデンサC1,C2は、充電期間に必ず閾値電圧Vthよりも高い充電終了電圧Vcに上昇し、放電期間に移行しても、コンデンサC1,C2の電圧は正常に充電開始電圧Vaとなる。従って、放電停止後のコンデンサC1,C2の電圧は必ず充電開始電圧Vaに保持されるので、充電期間におけるコンデンサC1,C2の充電開始電圧はVaに安定する(図9の(f),(g)参照)。
【0120】
図10は、オーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合のタイムチャートを示している。オーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合のパルス幅変調信号PWMoutの生成プロセスも、基本的に上記のオーディオ信号eSの振幅が正常範囲(−Es〜+Esの範囲)で変動している場合と変わらないので、詳細な説明は省略し、相違点のみを説明する。
【0121】
オーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合は、充電電流が0にクリップされるので、充電期間においてもコンデンサC1の電圧は増加しない。その後の放電期間において、コンデンサC1に第1放電用定電流回路15が接続されるので、コンデンサC1は定電流Idで放電されようとする。しかし、放電動作によってコンデンサC1の電圧がVaよりも低下しようとすると、充電開始電圧維持回路20の電圧源Vxからの電圧がコンデンサ1に直ぐに供給されるので、コンデンサC1に第1放電用定電流回路15が接続されているにもかかわらず、コンデンサC1の電圧はVaよりも低下しない。すなわち、オーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合、コンデンサC1の電圧は、充電開始電圧Vaを維持した状態が継続する。なお、コンデンサC2についても同様である。(図10の(f)、(g)参照)。
【0122】
従って、図14の回路のようなオーディオ信号eSの振幅が負側の過大な範囲(−Es以下の範囲)で変動している場合にコンデンサの電圧がVaよりも低い電圧に段階的に低下していき、その結果オーディオ信号eSの振幅が正常範囲に戻ったときに、正常なパルス幅変調信号を出力するまでに時間がかかるという問題が解決される。つまり、充電開始電圧がVaに維持されることによって、オーディオ信号eSの振幅が正常範囲に戻ったときに、直ぐに正常なパルス幅変調信号を出力することができる。
【0123】
以上のように、本実施形態によると、入力信号が負側に過大になった場合でも、正常な状態に復帰したときに直ちに正常なパルス幅変調信号を出力することができる。さらに、本実施形態によると、ダイオードD51,D52等の非線形素子を信号経路に直列に接続していないので、音声信号が常に非線形動作することがなくなり、信号品質(例えば音質)が劣化することを防止できる。なお、各トランジスタ、電源電圧、基準クロック、制御信号およびパルス幅変調信号などの極性は設計の都合により、適宜変更することができ、上記の構成のみに限定されるものではない。
【0124】
次に本発明の別の好ましい実施形態を説明する。図6A、図6Bに示す充電開始電圧維持回路20には以下の問題が存在する。コンデンサC1の電圧が、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1からダイオードD51の両端電圧Vd51(図6BではトランジスタQ51のベース−エミッタ間に存在するダイオード成分の両端電圧)を減算した電圧(すなわち電圧Va)よりも低下しようとすると、電圧源VxからコンデンサC1に電圧が供給される(電流が流れる)。しかし、ダイオード(またはトランジスタのベース−エミッタ間に存在するダイオード)は、その特性上、カソード電位に対するアノード電位が所定電圧(例えば0.6V)になるまで全く電流が流れずに所定電圧になってはじめて電流が流れるのではなく、カソード電位に対するアノード電位が所定電圧(例えば0.6V)になるまでの間も多少の電流がアノードからカソードに向かって流れる。
【0125】
従って、本来であればコンデンサC1(C2も同様)の電圧が電圧Vaよりも低下しようとしたときに初めて電圧源VxからコンデンサC1に電流が流れるべきところ、コンデンサC1の電圧が電圧Vaよりも若干大きいときにも、電圧源VxからコンデンサC1に電流が流れてしまい、コンデンサC1を充電してしまう。つまり、入力信号が負側に過大ではなく正常な状態のときにも、電圧源VxによってコンデンサC1を充電してしまい、その結果、出力されるPWM信号がオーディオ信号を正確にパルス幅変調したものではなくなり、出力される信号に歪みが発生してしまう。これは、オーディオ信号とは無関係な電流をコンデンサC1に供給してしまうことで、コンデンC1の充電終了電圧が通常よりも増加してしまう、放電時にコンデンサC1の電圧が閾値電圧Vthに達するまでの時間が通常よりも長くなってしまうことに起因する。
【0126】
この問題を解決するために、本実施形態の充電開始電圧維持回路は、入力信号が負側に過大である(つまり、負側の振幅が所定のレベルを超える)ときには電圧源VxからコンデンサC1、C2に電圧を供給すると共に、入力信号が負側に過大でない(つまり、負側の振幅が所定のレベルを超えない)ときには電圧源VxからコンデンサC1、C2に電圧を供給しないように、電圧源Vxの電圧値を適宜切り換える。詳細には、第1パルス信号rsout1が、入力信号が負側に過大である場合にはハイレベルの期間が非常に長くローレベルの期間が非常に短くなり、入力信号が負側に過大でない場合にはハイレベルの期間がそれほど長くなくローレベルの期間がそれほど短くないので、この第1パルス信号rsout1を利用する。実際には、第1パルス信号rsout1が電圧源VxのコンデンサC51に供給され、第1パルス信号rsout1がハイレベルのときに第1パルス信号rsout1の電圧によってコンデンサC51を充電し、第1パルス信号rsout1がローレベルのときにコンデンサC51が放電され、電圧源Vxの電圧値には第1パルス信号rsout1の電圧によって充電されたコンデンサC51の充電電圧が加算される。つまり、第1パルス信号rsout1によるコンデンサC51の充放電によって、電圧源Vxの電圧が切り換えられる(増減する)。
【0127】
図11A、図11Bは、本例の充電開始電圧維持回路20’を示す。図11Aの充電開始電圧維持回路20’は、図6Aの充電開始電圧維持回路20と比較し、抵抗R53とダイオードD53とをさらに有する。図11Bの充電開始電圧維持回路20’は、図6Bの充電開始電圧維持回路20と比較し、抵抗R53とダイオードD53とをさらに有する。以下、図11Aを例に説明するが、図11Bの場合も同様である。
【0128】
抵抗R53とダイオードD53とは、電圧源Vxの一部を構成する。抵抗R53は、一端が抵抗R51、R52、コンデンサC51の接続点に接続され、他端がダイオードD53のカソードに接続されている。ダイオードD53は、アノードが図7の第1NAND回路N1の出力に接続され、第1パルス信号rsout1が供給されている。
【0129】
抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1は、第1パルス信号rsout1の電圧が電圧V1に加算されない場合に、コンデンサC1に電圧を供給しないような電圧に設定されており、すなわち、電圧Vaよりも小さな電圧値に設定されている。なお、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1は、第1パルス信号rsout1の電圧が電圧V1に加算されない場合に−Vcc(例えば0V)に設定されていてもよく、その場合、抵抗R51が削除(開放)される。
【0130】
以下、本例の動作を説明する。図13はコンデンサC51の電圧変化を示す波形図である。図13に示すように、第1パルス信号rsout1がハイレベルであるとき、第1パルス信号rsout1の電圧はダイオードD53、抵抗R53を介してコンデンサC51に供給され、コンデンサC51を充電する。第1パルス信号rsout1がローレベルであるとき、第1パルス信号rsout1の電圧はダイオードD53によって遮断されるので、コンデンサC51には供給されない。従って、第1パルス信号rsout1がローレベルであるとき、第1パルス信号rsout1の電圧によって充電されたコンデンサC51の電圧は、抵抗R52を介して電源−Vccに放電される。
【0131】
例えば、図4(f)の実線に示すように、入力信号が負側に過大(およびそれに近い状態)ではない場合、図4(j)に示すように、第1パルス信号rsout1はハイレベルの期間がそれほど長くなく、ローレベルの期間が十分に存在する。従って、第1パルス信号rsout1がハイレベルのときに第1パルス信号rsout1の電圧によってコンデンサC51を充電するが、その充電電圧を加えた電源Vxの電圧V1がコンデンサC1、C2に電圧を供給する電圧に達する迄に、第1パルス信号rsout1がローレベルに反転してしまい、コンデンサC51の電圧が放電される。その結果、抵抗R51と抵抗R52とコンデンサC51との接続点における電圧V1には、第1パルス信号rsout1の電圧が加算されたとしても、電圧源Vxの電圧はコンデンサC1、C2に電圧を供給しない。従って、電圧源VxからコンデンサC1、C2に電圧が供給されないので、コンデンサC1、C2に入力信号以外の余計な電流が流れ込むことがなく、出力信号に歪みが生じることが防止される。
【0132】
一方、図12(e)に示すように入力信号が負側に過大(およびそれに近い状態)である場合、図12(g)に示すように、第1パルス信号rsout1は、ハイレベルの期間が非常に長くなり、ローレベルの期間が非常に短くなる(あるいはローレベルの期間が無くなる)。従って、第1パルス信号rsout1がハイレベルであるときに第1パルス信号rsout1の電圧によってコンデンサC51を長い期間充電し、その充電電圧を加えた電源Vxの電圧V1がコンデンサC1、C2に電圧を供給する電圧に達する。従って、入力信号が負側に過大(およびそれに近い状態)である場合には、電圧源VxからコンデンサC1に電圧が供給され、コンデンサC1の電圧が電圧Vaより低下しようとする際に、電圧源Vxからの電圧によってコンデンサC1を充電することができ、コンデンサC1の電圧がVaよりも低下することを防止でき、電圧Vaに維持できる。
【0133】
なお、第1パルス信号rsout1の変調度(ハイレベルの期間/(ハイレベルの期間+ローレベルの期間))をm(例えば0.9)に決定し、変調度がm以上の場合に電圧源VxからコンデンサC1、C2に電圧が供給され、変調度がm未満の場合に電圧源VxからコンデンサC1、C2に電圧が供給されないように、抵抗R52、R53、コンデンサC51の各値を設定するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、例えばオーディオアンプに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0135】
1 パルス幅変調回路
2 スイッチング回路
3 ローパスフィルタ回路
4 第1電源
5 第2電源
11 クロック生成回路
12 差動増幅回路
13 第1充電電流生成回路
14 第2充電電流生成回路
15 第1放電用定電流回路
16 第2放電用定電流回路
17 第1パルス生成回路
18 第2パルス生成回路
19 パルス合成回路
20 充電開始電圧維持回路
AU オーディオ発生源
C1 コンデンサ
C2 コンデンサ
eS オーディオ信号
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
SW3 スイッチ
SW4 スイッチ
T1 第1期間
T2 第2期間
T3 第3期間
T4 第3期間
φ1 第1制御信号
φ2 第2制御信号
φ3 第3制御信号
φ4 第4制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックの一方レベルの期間に充電動作を実行させるための第1の制御信号と、前記基準クロックの他方レベルの期間に充電動作を実行させるための第2の制御信号とを生成する充電制御信号生成部と、
前記第1の制御信号により充電動作が実行された一方レベルの期間に続く他方レベルの期間に、前記充電動作で蓄積された電荷の放電動作を実行させるための第3の制御信号と、前記第2の制御信号により充電動作が実行された他方レベルの期間に続く一方レベルの期間に前記充電動作で蓄積された電荷の放電動作を実行させるための第4の制御信号とを生成する放電制御信号生成部と、
前記第1の制御信号に応じて入力信号のレベルに基づいて生成される充電電流により第1コンデンサを充電する充電動作と、前記第3の制御信号に応じて前記第1コンデンサの蓄積電荷を一定の放電電流で放電する放電動作とを実行し、前記放電動作を実行している各期間に前記第1コンデンサが放電開始時のレベルから基準レベルに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第1のパルス信号を生成する第1のパルス信号生成部と、
前記第2の制御信号に応じて前記充電電流により第2コンデンサを充電する充電動作と、前記第4の制御信号に応じて前記第2コンデンサの蓄積電荷を前記放電電流で放電する放電動作とを実行し、前記放電動作を実行している各期間に前記第2コンデンサが放電開始時のレベルから前記基準レベルに変化するまでの放電時間をパルス幅とする第2のパルス信号を生成する第2のパルス信号生成部と、
前記第1のパルス信号生成部で生成される第1のパルス信号と前記第2のパルス信号生成部で生成される第2のパルス信号とを合成し、各パルスのパルス幅が前記入力信号のレベルに応じて変化するパルス幅変調信号を出力するパルス信号合成部と、
前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えるときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給することにより、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサの電圧を所定電圧に維持させる電圧維持部とを備える、パルス幅変調回路。
【請求項2】
前記電圧維持部が、
前記電圧を供給する電圧源と、
カソードが前記第1コンデンサに接続され、アノードが前記電圧源に接続された第1ダイオードと、
カソードが前記第2コンデンサに接続され、アノードが前記電圧源に接続された第2ダイオードとを含む、請求項1に記載のパルス幅変調回路。
【請求項3】
前記電圧源が、
一端が第1電源に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第1抵抗と、
一端が第2電源に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第2抵抗と、
一端が前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点に接続され、他端が前記第2電源に接続された第3コンデンサとを含む、請求項2に記載のパルス幅変調回路。
【請求項4】
前記電圧源の電圧から前記第1ダイオードの両端電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定され、
前記電圧源の電圧から前記第2ダイオードの両端電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定されている、請求項2または3に記載のパルス幅変調回路。
【請求項5】
前記電圧維持部が、
前記電圧を供給する電圧源と、
第1端子が前記第1コンデンサに接続され、第2端子と制御端子とが前記電圧源に接続された第1トランジスタと、
第1端子が前記第2コンデンサに接続され、第2端子と制御端子とが前記電圧源に接続された第2トランジスタとを含む、請求項1に記載のパルス幅変調回路。
【請求項6】
前記電圧源が、
一端が第1電源に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第1抵抗と、
一端が第2電源に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第2抵抗と、
一端が前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点に接続され、他端が前記第2電源に接続された第3コンデンサとを含む、請求項5に記載のパルス幅変調回路。
【請求項7】
前記電圧源の電圧から、前記第1トランジスタの制御端子−第1端子間電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定され、
前記電圧源の電圧から、前記第2トランジスタの制御端子−第1端子間電圧を減算した電圧が、前記所定電圧に設定されている、請求項5または6に記載のパルス幅変調回路。
【請求項8】
前記電圧維持部が、前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えるときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給し、前記入力信号の負側の振幅が所定のレベルを超えないときに、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサに電圧を供給しないように、前記電圧源の電圧値を変化させる、請求項2または5に記載のパルス幅変調回路。
【請求項9】
前記電圧源が、前記第1のパルス信号生成部によって生成される前記第1のパルス信号が供給され、前記第1のパルス信号がハイレベルのときに前記第1のパルス信号の電圧によって充電され、前記第1のパルス信号がローレベルのときに前記第1のパルス信号の電圧によって充電された電圧が放電される第3コンデンサを含み、前記電圧源の電圧値には前記第1のパルス信号の電圧によって充電された前記第3コンデンサの充電電圧が加算されことにより前記電圧源の電圧値を変化させる、請求項8に記載のパルス幅変調回路。
【請求項10】
前記電圧源が、
一端が所定電位に接続され、他端が前記第1ダイオードのアノードと、前記第2ダイオードのアノードとに接続された第1抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端に接続され、他端が前記所定電位に接続された第3コンデンサと、
一端が前記第1コンデンサの一端に接続された第2抵抗と、
カソードが前記第2抵抗の他端に接続され、アノードには前記第1のパルス信号が供給される第3ダイオードとを含む、請求項2に記載のパルス幅変調回路。
【請求項11】
前記電圧源が、
一端が所定電位に接続され、他端が前記第1トランジスタの制御端子と、前記第2トランジスタの制御端子とに接続された第1抵抗と、
一端が前記第1抵抗の他端に接続され、他端が前記所定電位に接続された第3コンデンサと、
一端が前記第1コンデンサの一端に接続された第2抵抗と、
カソードが前記第2抵抗の他端に接続され、アノードには前記第1のパルス信号が供給される第3ダイオードとを含む、請求項5に記載のパルス幅変調回路。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のパルス幅変調回路を備える、スイッチングアンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−217118(P2012−217118A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108933(P2011−108933)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】