説明

ヒスタミンH3受容体阻害剤、製造及び治療的使用

本発明は、ヒスタミン−H3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストの活性を有する新規な化合物を提供する。特に、本発明は、式Iの化合物又はその薬理学的に許容できる塩、その化合物を含む医薬組成物、これらの化合物及び組成物を使用する治療の方法、並びに中間体及びこれらの化合物を製造する方法を提供する。本発明は、肥満症、認知障害、睡眠発作、及び他のヒスタミンH3受容体に関連する疾患を治療するための化合物及び医薬組成物を使用する方法を提供する。


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2004年10月18日に出願された米国特許仮出願第60/619,785号に記載の利点を主張する。
【0002】
本発明は、新規な複素芳香族アリール化合物及び医薬組成物としてのこれらの化合物の使用に関し、更には化合物を含む医薬組成物、これらの化合物及び組成物を使用する治療の方法、並びに、中間体及びこれらの化合物を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒスタミンH3受容体は、比較的にニューロン特異的であり、ヒスタミンを含む多数のモノアミンの放出を阻害する。ヒスタミンH3受容体は、中枢及び抹消神経系の双方に位置するシナプス前自己受容体及びヘテロ受容体である。ヒスタミンH3受容体は、ヒスタミン並びに例えばセロトニン及びアセチルコリンのような他の神経伝達物質の放出を制御する。ヒスタミンH3受容体により仲介される応答の例が存在する。最近のエビデンスにより、H3受容体は、インビトロ及びインビボにて、固有の、構成的な活性を示す(即ち、アゴニストの不在下で活性である)ことが示唆されている。この活性は、インバースアゴニストとして作用する化合物により阻害することができる。従って、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、脳内でH3受容体により制御される神経伝達物質の放出を増大させることが期待できる。それに対して、ヒスタミンH3受容体アゴニストは、ヒスタミン生合成の阻害、並びにヒスタミン及び例えばセロトニン及びアセチルコリン等の他の神経伝達物質の放出の阻害を招く。これらの発見は、ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト、及びアンタゴニストが、ニューロンの活性、及びヒスタミンH3受容体を発現し得る他の細胞の活性の重要なメディエータであることを示唆している。ヒスタミンH3受容体の逆作動又は選択的拮抗は、脳内のヒスタミン及び他のモノアミンの濃度を上昇させ、例えば食物消費のような活動を阻害すると共に、非特異的な末梢的結果を最小限にする。この機構を介して、H3Rのアゴニスト又はアンタゴニストは、覚醒の延長、認知機能の改善、食物摂取の低下、及び前庭反射の正常化を引き起こす。従って、ヒスタミンH3受容体は、アルツハイマー病、気分及び注意力の調整、認知欠損、肥満症、めまい、統合失調症、てんかん、睡眠障害、睡眠発作及び動揺病の新しい治療法のための重要なターゲットである。
【0004】
ヒスタミンは、4種の受容体サブタイプ、H1R、H2R、H3R、及び新たに確認されたGPRv53と指定された受容体[(Oda T.等,J.Biol.Chem.275(47):36781−6(2000)]を介してその活性を仲介する。この受容体の別名は、PORT3又はH4Rである。H1R、H2R及びH3Rに関しては比較的選択性を有するリガンドが開発されているが、H3RをH4Rから区別できる特異的リガンドは殆ど開発されていない。H4Rは、人の白血球中に高いレベルで発見される、広く分布した受容体である。H3R受容体の拮抗をターゲットとした場合、GPRv53受容体の活性化又は阻害は望ましくない副作用を生じる場合がある。H4R受容体の確認は、ヒスタミン生物学を根本的に変化させており、この問題はヒスタミンH3受容体アンタゴニストの開発において考慮する必要がある。
【0005】
数種のヒスタミンH3受容体アンタゴニストが生成されており、これらは概ね4(5)位が置換されたイミダゾール環を有する点で、ヒスタミンと類似している(Ganellin等,Ars Pharmaceutica,1995,36:3,455−468)。このような構造を有するアンタゴニスト及びアゴニストに関する様々な特許及び特許出願には、欧州特許第197840号明細書、欧州特許第494010号明細書、国際公開第97/29092号パンフレット、国際公開第96/38141号パンフレット、及び国際公開第96/38142号パンフレットがある。これらのイミダゾール含有化合物は、血液脳関門の通過が乏しく、チトクロムP−450タンパクと相互作用し、また肝臓毒性及び眼毒性を有するという欠点がある。最近、ヒスタミンH3受容体の他のイミダゾール及び非イミダゾールリガンドが開示されている。本発明の化合物は、当該技術分野にて開示されている化合物とは異なる構造を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニスト又はアンタゴニストとして作用してH3受容体の活性を調節し、H3受容体の調節により利益を受け得る疾病を治療する代替的な又は改良された医薬を使用した、改良された治療法が今もなお必要とされている。本発明は、新規なクラスの複素芳香族アリール化合物が、ヒスタミンH3受容体と高い親和性、選択的且つ強力な活性を有するという発見に基づき、このような貢献を当該技術に提供するものである。本発明は独特の構造、及びその活性において他の化合物と異なっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式I:
【化1】

(I)
[式中、
R1は、独立して−HETであり、HET環の各炭素原子がR2で任意に一置換され、HETの各窒素原子が、R3で任意に一置換され、但し、前記窒素原子が隣接する環原子に二重結合により連結されず、
R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−CN、−C(O)R7、−C(O)OR7、−CO(O)Li、−C(O)(C3−C5)シクロアルキル、−C(O)NR7R8、−OCF3、−OR7、−NO2、−NR7R8、−NR9SO2R7、−NR9C(O)R7、−NR9CO2R7、−NR9C(O)NR7R8、−SR7、−SO2R7、−SO2CF3、−SO2NR7R8、−S(O)R7、−フェニル−R9、−C(H)=NO−R7、−ピリジニル、−HET−R9、又は−(C1−C7)アルキル−NHC(O)R7(但し、1以下のR2は、−HET−R9、−フェニル−R9、又は−ピリジニル)であり、
R3は、各々独立して、−H、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−フェニル、−ベンジル、−SO2R7、−C(O)R7、−C(O)NR7R8、又は−C(O)OR7であり、
R4及びR5は、独立して−H、−OH、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−OR7であり、
R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−NH2、−NR7R8、−OH、又は−OR7であり、
R7及びR8は、各々独立して、−H、又は−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、R7及びR8は、それらが付着する原子と結合して3〜7員環を形成でき、
R9は、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である]
によって構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩である。
【0008】
本発明は、ヒスタミンH3受容体に対する選択的で高い親和性を示し、従ってヒスタミンH3受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用な化合物を提供する。別の態様において、本発明はヒスタミンH3受容体の選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有用であるが、GPRv53に対しては殆ど又は全く結合親和性を有さない化合物を提供する。更に、本発明は、神経系疾患の治療方法であって、該治療を必要とする患者に対して、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。本発明は更に、肥満症又は認知障害の治療方法であって、該治療を必要とする患者に対して、有効量の式Iの化合物を投与することを含む方法を提供する。また更に別の一態様では、本発明は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストを含有する医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願明細書において、化合物、組成物、及び方法の説明に使用する一般的な用語は、通常の意味を有する。本願明細書全体を通して、以下の用語は指定した意味を有する。
【0010】
用語「GPRv53」は、Oda等(前出)に記載されているような最近確認された新規なヒスタミン受容体を意味する。この受容体の別名は、PORT3又はH4Rである。
【0011】
用語「H3R」は、ヒスタミンを含む多数のモノアミンの放出を阻害するヒスタミンH3受容体を意味する。用語「H1R」は、ヒスタミンH1受容体サブタイプを意味する。用語「H2R」は、ヒスタミンH2受容体サブタイプを意味する。
【0012】
用語「H3Rアンタゴニスト」は、アゴニストR−(−)αメチルヒスタミンに応答したホルスコリン刺激によるcAMP産生を遮断する能力を有する化合物として定義する。用語「H3Rインバースアゴニスト」は、H3Rの構成的活性を阻害する能力を有する本発明の化合物として定義する。用語「選択的H3Rアンタゴニスト又は逆作動薬」は、GPRv53ヒスタミン受容体との親和性より大きなH3ヒスタミン受容体との親和性を有する本発明の化合物を意味する。
【0013】
本明細書の式において、一般的な化学用語は、他に示されない限り、それらの通常の意味を有する。例えば、「(C1−C3)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル等の1〜3個の炭素原子であり、1〜3個のハロゲンで任意に置換され、「(C1−C4)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル等の4個の炭素原子であり、1〜4個のハロゲンで任意に置換され、並びに、「(C1−C7)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル等の1〜7個の炭素原子であり、1〜3個のハロゲンで任意に置換される。本願明細書で定義されるように「アルキル」は、分枝又は異性体の形状を含む。
【0014】
「(C3−C5)シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子を有する環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、及びシクロペンチル等を意味する。
【0015】
用語「HET」は、含まれる5個の原子のうち1〜4個は同一又は異なり、N、O、又はSから選択されるヘテロ原子で、安定した芳香族複素環である。「HET」の複素環は、安定した構造が得られる環における式IのR1位に付着される。代表的な「HET」環は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、チエニル、チオフェニル、などを含む。5員複素環の更なる具体例は、以下に記され、更に、本願明細書に記載される調製及び実施例の節において記載される。
【0016】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0017】
本願明細書で使用される場合、「任意に置換される」という用語は、対象となる基が、特定した1又は複数の置換基で置換される、或いは、置換されないという意味である。対象となる基が1又は複数の置換基で置換される場合、置換基は同一でも異なっていてもよい。更に、「独立して」、「独立して〜である」、及び「〜から独立して選択される」が用いられる場合、対象とする基が同一又は異なっていてもよいと理解される。本願明細書において定義された用語のいくつかは、構造式において2回以上現れてもよく、その各用語は、互いに独立して定義される。
【0018】
用語「患者」は、ヒト及び非ヒト動物(例えば、伴侶動物(イヌ、及び、ネコなど)及び家畜動物)を含む。家畜動物は、食物生産のために飼育される動物である。ウシ、雄牛、雌牛、食用牛、ヒツジ、バッファロ、バイソン、ヤギ、及びレイヨウのような反芻類又は「反芻」動物は、家畜の例である。家畜の他の例は、豚、及び例えば鶏、家鴨、七面鳥及び鵞鳥のような鳥類(家禽類)を含む。家畜の更なる他の例は、水産養殖で飼育される魚、貝及び甲殻類を含む。ワニ、水牛、及び走鳥類(例えば、エミュー、レア、又はダチョウ)等、食糧生産における珍しい動物も含まれる。治療される患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
【0019】
本願明細書に使用されているように、用語「治療」「処置」及び「治療する」は、それらが一般に認知されている意味、即ち本願明細書に記載する疾患、障害、又は病的状態の進行又は重症度を予防、制止、阻害、緩和、改善、遅延、停止、又は逆行するように患者の管理又は治療することであり、症状又は複雑化の緩和又は軽減、或いは、疾患、障害、症状の治療又は除去を含む。
【0020】
「組成物」は医薬組成物を意味し、式Iの活性成分(1又は複数)と、担体を構成する不活性成分(1又は複数)とを含有する医薬製品を包含することを意図する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物及び薬理学的に許容できる担体を混合して形成された任意の組成物を包含する。
【0021】
用語「単位剤形」は、ヒト被験者及び非ヒト動物のための単位用量に適した、物理的に分離した単位を意味し、各単位は適切な医薬担体に関連して所望の治療効果を出すように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0022】
用語「適切な溶媒」はあらゆる溶媒又はこれらの混合物に言及し、所望の反応をもたらす媒体が得られる反応物を可溶化する反応において不活発である。
【0023】
本明細書の製造及び実施例で使用されている用語及び略語は、別に示さない限り、それらの通常の意味を有する。例えば、本願明細書において使用されるように、用語及びその意味を以下に示す。「eq」は当量を指し、「N」は規定又は規定度を指し、「M」はモル又はモル濃度を指し、「g」はグラム(1又は複数)を指し、「mg」はミリグラムを指し、「L」はリットルを指し、「mL」はミリリットルを指し、「μL」はマイクロリットルを指し、「mol」はモルを指し、「mmol」はミリモルを指し、「psi」は1平方インチ当たりのポンドを指し、「min」は分を指し、「h」又は「hr」は時間を指し、「℃」は摂氏温度を指し、「TLC」は薄層クロマトグラフィを指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィを指し、「Rf」は保持因子を指し、「Rt」は保持時間を指し、「SCXクロマトグラフィー」は強陽イオン交換クロマトグラフィーを指し、「δ」はテトラメチルシランから低磁場側での百万分率を指し、「MS」は質量分析法を指し、観測質量は別に示さない限り(M+1)を示す。「MS(FD)」は、フィールドディソープション質量分析法に言及し、「MS(IS)」はイオンスプレー質量分析法に言及し、「MS(FIA)」はフローインジェクション分析質量分析法に言及し、「MS(FAB)」は高速原子衝撃質量分析に言及し、「MS(EI)」は質量分析計に言及し、「MS(ES)」は電子スプレー質量分析法に言及し、「UV」は、紫外線分光法に言及し、「1H NMR」は、プロトン核磁気共鳴分光法に言及する。更に、「IR」は赤外分光法を指し、IRスペクトルについて列挙した吸収極大は、関心の吸収極大のみであり、観測された全吸収極大ではない。「RT」は、室温に言及する。
【0024】
「Boc」又は「BOC」は、t−ブチルカルバメートを指す。「HOBt」は、1−ヒドロベンゾトリアゾールである。
【0025】
「PS−トリスアミン」は、トリス−(2−アミノエチル)アミンポリスチレンである。「PS−カルボジイミド」又は「PS−CDI」は、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレンである。「PS−DIEA」は、N,N−(ジイソプロピル)アミノメチルポリスチレン(1%無機帯電防止剤)である。「PS−DMAP」は、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジンである。「EDC」は、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩である。「HATU」は、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N−N−N’−N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである。「TBTU」は、1H−ベンゾトリアゾリウム、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−,テトラフルオロホウ酸塩(1−),3−オキシドO−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩である。「THF」は、テトラヒドロフランである。「DMF」は、ジメチルホルムアミドである。「エタノール」は、エチルアルコール又はエタノールである。「EtOAc」は、酢酸エチルである。「DIEA」は、ジイソプロピルエチルアミンである。「メタノール」は、メチルアルコール又はメタノールである。「DCC」は、ジシクロヘキシルカルボジイミドである。「DME」は、エチレングリコールジメチルエーテルである。「DEAD」は、アゾジカルボン酸ジエチルである。「DIAD」は、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートである。
【0026】
一実施形態において、本発明は、上記にて詳細に説明したような式Iの化合物を提供する。本発明の全化合物が有用であるが、特定の化合物は特に興味深く、また好ましい。
【0027】
好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、R6のうち一方は−Hであり、他方は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
【0028】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、R6のうち一方は−Hであり、他方は−CH3である。
【0029】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
R1は独立して、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

、又は、
【化35】

であり、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2は各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−CN、−C(O)R7、−C(O)OR7、−CO(O)Li、−C(O)(C3−C5)シクロアルキル、−C(O)NR7R8、−OCF3、−OR7、−NO2、−NR7R8、−NR9SO2R7、−NR9C(O)R7、−NR9CO2R7、−NR9C(O)NR7R8、−SR7、−SO2R7、−SO2CF3、−SO2NR7R8、又は−S(O)R7であり、
R3は、各々独立して、−H、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−SO2R7、−C(O)R7、−C(O)NR7R8、又は−C(O)OR7であり、
R4及びR5は、独立して−H、−OH、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−OR9であり、
R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−NH2、−NR7R8、−OH、又は−OR7であり、
R7及びR8は、各々独立して、−H、又は−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、R7及びR8は、それらが付着する原子と結合して4〜6員環を形成でき、
R9は、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
【0030】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
【0031】
R1は、独立して、
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

、又は、
【化69】

であり、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−CNであり、
R3は、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、
R4及びR5は、独立して、−H又は−ハロゲンであり、
R6のうち一方は−Hであり、他方は独立して、−H、−ハロゲン、又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
【0032】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
【0033】
R1は、独立して、
【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

、又は、
【化75】

であり、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−CNであり、
R3は、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、
R4及びR5は、各々独立して、−H又は−ハロゲンであり、
R6のうち一方は−Hであり、他方は独立して、−H、−ハロゲン、又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
【0034】
別の好ましい実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
【0035】
R1は、独立して、
【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

、又は、
【化81】

であり、
R2は、各々独立して、−H、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−CNであり、
R4は、独立して−水素又は−ハロゲン、及び、R5は独立して−ハロゲンであり、
R6のうち一方は、水素であり、他方は独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
【0036】
別の実施形態において、本発明は、式Iで構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
【0037】
R1は、独立して、
【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

、又は、
【化87】

であり、
R2は、−H、−CH3、−CF3、又は−CNであり、
R4は、−水素又は−Fであり、
R5は、−水素又は−Fであり、
R6のうち一方は−Hであり、他方は独立して、−H又は−CH3である。
【0038】
以下に好ましい実施形態のいくつかの更なるグループを列挙する。各列挙は、他の列挙と組み合わせて、好ましい実施形態の更なるグループを形成し得ることが理解されよう。従って、好ましい実施形態において、本発明は、上記の実施例の式で構造的に示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を提供し、
R1は、
【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

及び、
【化99】

からなる群から選択され、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。
2.R1は、
【化100】

及び、
【化101】

からなる群から選択され、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。
3.R1は、
【化102】

及び、
【化103】

からなる群から選択され、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。
4.R1は、
【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

【化111】

及び、
【化112】

からなる群から選択され、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。
5.R1は、
【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

及び、
【化119】

からなる群から選択され、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。
6.R2は、水素、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、及び−CNからなる群から選択される。
7.R2は、水素、−CH3、−CF3、及び−CNからなる群か選択される。
8.R4は、水素又は−ハロゲンである。
9.R4は、水素又は−Fである。
10.R5は、水素又は−ハロゲンである。
11.R5は、−水素又は−Fである。
12.R4は、−水素であり、R5は、−水素又は−ハロゲンである。
13.R4は−水素であり、R5は−水素又は−Fである。
14.R6は、水素又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である。
15.R6は、水素又は−CH3である。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、式IIによって構造的に示される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩を提供する:
【0040】
【化120】

(II)
[式中、
R1は、独立して、
【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

【化125】

【化126】

【化127】

【化128】

【化129】

【化130】

【化131】

【化132】

【化133】

【化134】

【化135】

【化136】

【化137】

【化138】

【化139】

【化140】

【化141】

【化142】

【化143】

【化144】

【化145】

【化146】

【化147】

【化148】

【化149】

であり、
ジグザグラインに示される結合は、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示す。R2は各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−CN、−C(O)R7、−C(O)OR7、−CO(O)Li、−C(O)(C3−C5)シクロアルキル、−C(O)NR7R8、−OCF3、−OR7、−NO2、−NR7R8、−NR9SO2R7、−NR9C(O)R7、−NR9CO2R7、−NR9C(O)NR7R8、−SR7、−SO2R7、−SO2CF3、−SO2NR7R8、−S(O)R7であり、
R3は、各々独立して、−H、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−フェニル、−ベンジル、−SO2R7、−C(O)R7、−C(O)NR7R8、−C(O)OR7であり、
R4及びR5は、各々独立して−H、−OH、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−OR9であり、
R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−NH2、−NR7R8、−OH、−OR7であり、
R7及びR8は、各々独立して、−H、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、R7及びR8は、それらが付着する原子と結合して3〜7員環を形成してもよく、
R9は、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である]。
【0041】
好ましい実施形態において、本発明は、式X1〜X20で構造的に表される化合物、及び薬学的に許容できる塩を提供する:
【0042】
【表1】









【0043】
ヒスタミンH3受容体との相互作用のため、本発明の化合物はヒスタミンH3受容体との相互作用が有益である幅広い症状及び疾患の治療に有用である。従って、本発明の化合物は、例えば中枢神経系、末梢神経系、心血管系、肺系、胃腸系及び内分泌系の疾病又は症状の予防、治療及び/又は緩和に用途を有し得ると共に、現在の治療に関連した望ましくない副作用の1又は複数を軽減及び/又は除去する。これらの疾病又は症状には、例えば肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知能力の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、めまい等を含むがこれらに限定されない神経系疾患、並びに例えば急性心筋梗塞のような心血管疾患、例えば皮膚癌、甲状腺髄様癌及び黒色腫のような癌、例えば喘息のような呼吸器疾患、胃腸疾患、炎症、及び感染性ショック、糖尿病、2型糖尿病、インシュリン抵抗性症候群、メタボリック症候群、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群等のヒスタミンH3受容体の調節に反応するものが含まれる。
【0044】
本発明はまた、式I又は式IIの化合物、及び薬理学的に許容できる担体を含有する医薬組成物を提供する。式I又は式IIの医薬製剤は、式I又は式IIの化合物であるヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストと細胞を接触させることによって、細胞中のヒスタミンレベルを選択的に上昇させるか、又は細胞によって放出されるヒスタミンを選択的に増加させる方法を提供することができる。従って、本発明の方法は、式I又は式IIの化合物の予防的及び治療的投与を包含する。
【0045】
本発明は、更に、ヒスタミン受容体GPRv53に対する結合親和性を殆ど又は全くないことを特徴とする式I又は式IIのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。
【0046】
従って、式I又は式IIの医薬製剤は、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知機能の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、めまい等の治療又は予防に有用であり、該治療又は予防は、そのような治療又は予防を必要とする被験者に対して、治療的有効量の式I又は式IIの化合物を投与することを含む。
【0047】
更に、式I又は式IIの医薬製剤は、ヒスタミンH3受容体の活性の調節が、摂食障害の治療又は予防に有利な効果を奏する疾患又は疾病の治療又は予防に有用であり、該治療又は予防は、そのような治療又は予防を必要とする対象に対して、有効量の式I又は式IIの化合物を投与することを含む。また別の態様において、本発明は、ヒスタミンH3受容体に関連した神経系疾患及び他の疾患の治療に有用な化合物、医薬組成物、及び方法を提供する。
【0048】
更に、本発明は、ヒスタミンH3受容体の阻害、哺乳類においてヒスタミンH3受容体により仲介される細胞応答の阻害、哺乳類においてH3受容体により調節される神経伝達物質の放出の増大、ヒスタミンH3受容体の過剰活性化から生じる疾病の治療、並びに、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知能力の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、及びめまいを含むがこれらに限定されない、哺乳類における神経系疾患の治療に使用される式I若しくは式IIの化合物、又はその薬理学的な塩、又は式I若しくは式IIの化合物若しくはその薬理学的な塩、及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物に関する。従って、本発明の使用及び方法は、式I又は式IIの化合物の予防的及び治療的な投与を包含する。
【0049】
本発明は更に、ヒスタミンH3受容体の阻害、哺乳類においてヒスタミンH3受容体により仲介される細胞応答の阻害、哺乳類の脳内においてH3受容体により調節される神経伝達物質の放出の増大、ヒスタミンH3受容体の過剰活性化から生じる疾病の治療、哺乳類における認知障害の治療、並びに肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、例えばアルツハイマー病及び注意欠陥多動性障害のような痴呆症及び認知障害、双極性障害、認知能力の向上、精神疾患における認知欠損、記憶欠損、学習障害、痴呆症、軽度認知機能障害、偏頭痛、気分及び注意力の変化、動揺病、睡眠発作、神経原性炎症、強迫性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作、例えば睡眠発作のような睡眠障害、例えばメニエール病のような前庭機能障害、偏頭痛、動揺病、疼痛、薬物乱用、鬱病、てんかん、時差ぼけ、覚醒、トゥーレット症候群、及びめまいを含むがこれらに限定されない、哺乳類における神経系疾患の治療のための医薬品の製造における式I若しくは式IIの化合物、又はその薬理学的な塩、又は式I若しくはIIの化合物若しくはその薬理学的な塩、及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物の使用に関する。
【0050】
本発明は更に、哺乳類においてヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法、哺乳類においてヒスタミンH3受容体の活性を阻害する方法、哺乳類においてヒスタミンH3受容体により仲介される細胞応答を阻害する方法、哺乳類の脳内においてH3受容体により調節される神経伝達物質の放出を増大させる方法、哺乳類における認知障害の治療方法、肥満症、認知障害、注意力欠如障害、記憶障害、学習、痴呆症、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害、パーキンソン病、統合失調症、鬱病、てんかん、及び発作又はてんかん性発作を含むがこれらに限定されない、哺乳類における神経系疾患の治療方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に対して、ヒスタミンH3受容体阻害量の式I若しくは式IIの化合物、又はその薬理学的に許容できる塩、又は式I若しくは式IIの化合物若しくはその薬理学的な塩、及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0051】
本発明は更に、哺乳類においてヒスタミンH3受容体の過剰な活性化より生じる症状を治療する方法であって、そのような治療を必要とする哺乳類に対して、ヒスタミンH3受容体阻害量の式I若しくは式IIの化合物、又はその薬理学的な塩、及び薬理学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。また、式I又は式IIの化合物の医薬組成物は、ヒスタミンH3受容体の活性の調節が有利な効果を奏する疾患又は疾病の治療又は予防に有用である。本発明は更に、ヒスタミンH1R、H2R、又はH4R受容体に対する親和性と比較して、ヒスタミンH3受容体に対して高い親和性を有することを特徴とする式I若しくは式IIのアンタゴニスト又はインバースアゴニストを提供する。更に、本発明の実施形態は、本願明細書に記載されている方法並びにヒスタミンH3受容体に結合してPET撮像に有用なポジトロン断層撮影法(PET)のリガンドを形成する、当該技術分野にて周知の方法による本願明細書で列挙される化合物例の合成を含む。
【0052】
本発明は、本発明の化合物の互変異性体、エナンチオマー、及び他の立体異性体を含む。このように、当業者に周知のように、特定のアリールは互変異性体形態で存在し得る。このような変形は、本発明の範囲に含まれるものとする。本願明細書で使用されるように、式I又は式IIの化合物の引用は、エナンチオマー並びにラセミ混合物及びそれらの薬理学的な塩も含むことを意味するものと理解されたい。
【0053】
本願明細書で使用されるように、用語「立体異性体」は、同一の原子から構成され、同一の結合で結合されているが、異なる三次元構造を有する化合物を指す。三次元構造は、立体配置と称される。本願明細書で使用されるように、用語「エナンチオマー」は、分子が互いに重ね合わせることができない鏡像体である2つの立体異性体を指す。用語「キラル中心」は、異なる4個の基が結合した炭素原子を指す。本願明細書で使用されるように、用語「ジアステレオマー」は、エナンチオマーではない立体異性体を指す。また、1つのキラル中心においてのみ異なる立体配置を有する2つのジアステレオマーは、本願明細書にて「エピマー」と称する。用語「ラセミ体(racemate)、」「ラセミ混合物」又は「ラセミ体(racemic modification)」は、同じ割合のエナンチオマーからなる混合物を指す。
【0054】
本願明細書で使用される用語「エナンチオマー濃縮」は、一方のエナンチオマーの量を他方と比較して増大させることを意味する。達成されるエナンチオマー濃縮を表現する便利な方法は、方程式:
ee=(E1−E2)×100/(E1+E2
であり、式中、E1は、第1のエナンチオマーの量であり、E2は第2のエナンチオマーの量である。従って、例えばラセミ混合物中に存在する2種のエナンチオマーの最初の比が50:50から最終の比が70:30をとなるように十分なエナンチオマー濃縮を行なう場合、第1のエナンチオマーに関するeeは40%である。しかしながら、最終の比が90:10である場合、第1のエナンチオマーに関するeeは80%である。90%を越えるeeが好ましく、95%を越えるeeが最も好ましく、また99%を越えるeeが特に最も好ましい。エナンチオマー濃縮は、例えばキラルカラムを用いたガス又は高速液体クロマトグラフィーのような標準的な手順を用いて、当業者により容易に測定される。エナンチオマー対の分離に必須である適切なキラルカラム、溶離液、及び条件の選択は、当業者の知識の範囲内にある。更に、式I又は式IIの化合物の特定の立体異性体及びエナンチオマーは、例えばJ.Jacques等、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley及びSons,Inc.,1981、並びにE.L.Eliel及びS.H.Wilen,「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)、及び1998年4月29日に発行された欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されている当業者周知の技術及び工程を用いて製造することができる。分解法の例には、再結晶法やキラルクロマトグラフィーが含まれる。
【0055】
本発明の化合物のいくつかは1又は複数のキラル中心を有し、多様な立体異性体にて存在し得る。これらキラル中心を原因として、本発明の化合物はラセミ体、エナンチオマーの混合物、及び個々のエナンチオマーとして、またジアステレオマー及びジアステレオマーの混合物としても存在する。これらラセミ体、エナンチオマー、及びジアステレオマーの全部は本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
用語「R」及び「S」は、有機化学にて通常使用されているように、本願明細書ではキラル中心の特定の立体配置を示すものとして使用する。用語「R」(rectus)は、最も優先度の低い基に向かう結合に沿って見た場合、基の優先度が時計回り(優先度の最も高いものから、2番目に低いものへ)であるキラル中心の立体配置を指す。用語「S」(sinister)は、最も優先度の低い基に向かう結合に沿って見た場合、基の優先度が反時計回り(優先度の最も高いものから、2番目に低いものへ)であるキラル中心の立体配置を指す。基の優先度は、その原子番号に基づく(原子番号が減少する順)。優先度の部分的なリスト、及び立体化学についての説明は、「Nomenclature of Organic Compounds:Principles及びPractice」,(J.H.Fletcher等、eds.,1974),103〜120ページに記載されている。
【0057】
記号
【化150】

は、頁の平面から前方に突き出る結合を指す。記号
【化151】

は、頁の平面から後方に突き出る結合を指す。記号
【化152】

は、立体化学が規定されない結合を指す。
【0058】
一般に、用語「薬理学的な」は、形容詞として使用される場合、生体にとって実質的に無毒であることを意味する。例えば、本願明細書で使用されるように、用語「薬理学的な塩」は、生体にとって実質的に無毒な式I又は式IIの化合物の塩を指す。例えばBerge、S.M、Bighley、L.D.、及びMonkhouse、D.C.,「PharmaceuticalSalts」J.Pharm.Sci.,66:1、1977を参照されたい。典型的な薬理学的な塩には、式I又は式IIの化合物を無機酸或いは有機酸又は無機塩基或いは有機塩基と反応させることにより製造される塩が含まれる。このような塩は各々、酸付加塩又は塩基付加塩として周知である。これら薬理学的な塩は、それらが誘導される化合物と比較して高い溶解性を有し、従って、液剤又は乳剤としての製剤に適している場合が多い。
【0059】
用語「酸付加塩」は、式I又は式IIの化合物を無機酸又は有機酸と反応させることにより製造される式I又は式IIの化合物の塩を指す。薬理学的な酸付加塩の例としては、例えばBerge,S.M,Bighley,L.D.、及びMonkhouse,D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照されたい。本発明の化合物は本来塩基性であり得るため、多数の無機酸及び有機酸のいずれとも反応して、薬理学的な酸付加塩を形成する。
【0060】
本発明の薬理学的な酸付加塩は、一般に、式I又は式IIの化合物を、等モル又は過剰量の酸と反応させることにより形成される。反応物質は、一般的に、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、等の共溶媒中で混合される。塩は通常、約1時間〜約10日以内に溶液から析出され、濾過又は従来の他の方法により単離される。
【0061】
酸付加塩の形成に通常使用される酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等のような無機酸、並びに例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等の有機酸である。従って、そのような薬理学的に許容できる塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩等がある。
【0062】
用語「塩基付加塩」は、式I又式IIの化合物を無機又は有機塩基と反応させることにより製造される、式I又は式IIの化合物の塩を指す。薬理学的な塩基付加塩の例としては、例えばBerge,S.M、Bighley,L.D.、及びMonkhouse,D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1,1977を参照されたい。本発明は、式I又は式IIの化合物の薬理学的な塩基付加塩も意図する。当業者は、式I又は式IIの化合物のいくつかは本来酸性であるため、多数の無機及び有機塩基のいずれとも反応して薬理学的な塩基付加塩を形成することが理解されるであろう。薬理学的な塩基付加塩の例には、式I又は式IIの化合物のアンモニウム塩、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、メチルアミノ塩、ジエチルアミノ塩、エチレンジアミノ塩、シクロヘキシルアミノ塩、及びエタノールアミノ塩等がある。
【0063】
式I又は式IIの化合物は、ジアステレオマー混合物として存在する場合、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はそれらの混合物等の適切な溶媒から分別再結晶することにより、エナンチオマーのジアステレオ異性体対に分離することができる。このように得られたエナンチオマー対は、例えば分割剤として光学活性酸を使用する従来の手段により、個々の立体異性体に分離される。代替的に、式I又は式IIの化合物のいずれかのエナンチオマーは、周知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質又は試薬を使用する立体特異的な合成、又はエナンチオ選択的な合成によって得られる。
【0064】
当業者により様々な手順に従って、式I又は式IIの化合物を製造することができ、そのいくつかは以下に示す手順及びスキームにて説明する。式I又は式IIの化合物の製造に必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物、及び置換された部分の相対的な障害性に依存する。試薬又は出発物質は当業者により容易に入手可能であり、商業的に入手が不可能なものについては、当該技術分野で通常使用されている標準的な手順、かつ、以下に示す手順及びスキームに従って、当業者によって容易に合成される。
【0065】
以下の製造及び実施例は、本発明の実施形態をより詳細に説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。当業者にとって、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、様々な変更を為し得ることが認識されよう。明細書中に言及する全刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の水準を表すものである。
【0066】
実施例において特定して記載されるように、本発明の化合物は形成される。更なる、多くの化合物は、後述する一般スキームを使用して調製される。特に明記しない限り、全ての変数は、本願明細書で定義される通りであり、本願明細書で同様に位置づけられる。また、代替的な合成法は、有効であり、当業者に公知である。
【0067】
一般的調製
スキームA
【化153】

スキームAで、Ra及びRa'は各々独立しているが、F、Cl、CF3、アルキルに制限されず、かつ、二基置換の化合物を含むことができ、
bは、H又は対応するカルボン酸塩であり、
c及びRc'は、各々独立して、アルキル、アミノ、ヒドロキシであるが、これに限定されず、Hetは、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾール、ピロール、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン及びトリアゾールに限定されないが、これらを含む5員複素芳香族環である。スキームA、工程1において、アリールカルボン酸又は酸のリチウム、ナトリウム又はカリウム塩(ここでRbはH、Li、Na又はKであり得る)を文献にて周知の多数の異なる方法を用いて、対応するアミドに転換する。これらの方法は、Klausner&Bodansky,Synthesis,1972,9,453−463によるペプチド合成におけるカップリング試薬についての概要の記載に見られる。
【0068】
例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、又は対応するリチウム塩若しくはナトリウム塩を、適切な有機溶媒、例えばジクロロメタン、DMF又はそれらの混合物中に懸濁させる。適切なアミドカップリング試薬、即ちEDC、DCC、TBTU等を室温で加え、続いてHOBt、HATU等を添加する。ジイソプロピルエチルアミン及び適切なアミン、この場合(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを混合物に添加する。この混合物を室温で8〜48時間撹拌する。水を加えて反応をクエンチする。得られた混合物を、周知の技術によって抽出、濃縮及び精製してもよい。
【0069】
代替的に、塩化チオニル又は塩化オキザリル及び数滴のDMFを用いて、対応する酸又はその塩から対応する酸塩化物を形成することができ、これを適切なアミンで処理して所望のアミドを得る。
【0070】
スキーム1、工程2において、例えばDMF、アセトン、THF又はCH2Cl2のような適切な溶媒中で、例えばCs2CO3、K2CO3、又はトリエチルアミン等の適切な塩基と共に、アルキルブロミド、クロライド、ヨージド、メシラート、トシラート等を用いて、フェノールをアルキル化してエーテルに変換する。アルキル化は、室温で、又は加熱しながら行われる。
【0071】
例えば、(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(ここでRa、Ra'=H)、及びCs2CO3をDMF中に懸濁させ、5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリルを添加する。混合物を室温で24〜48時間撹拌する。水性処理後、粗材料を周知の技術により精製し得る。
【0072】
代替的に、例えばTHF又はCH2Cl2のような適切な溶媒中で、ミツノブ(Mitsunobu)反応又は関連した反応により、アルキルアルコールと、例えばDEAD、DIAD等のカップリング試薬とをトリフェニルホスフィンと共に使用して、エーテルを形成してもよい。反応を水でクエンチして、得られた混合物を、当該技術分野にて周知の技術に従って抽出、濃縮、及び精製し得る。
【0073】
スキームB
【化154】

スキームBにおけるRa、Ra'、Rb、Rc、Rc'、及びArは、本願明細書で定義される。Rdは、メチル、エチル、ベンジル、又はブチルエステルでありえる。スキームB(工程1)において、カルボン酸エステルを、スキームA(工程2)に記載した方法によりアルキル化する。
【0074】
アセトン中の2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリル、及びK2CO3を5時間加熱還流する。混合物を室温に冷却し、濾過する。溶媒を除去してエーテルを得て、更に周知の技術により精製してもよく、又は場合により精製せずに使用してもよい。
【0075】
更に、例えばTHF又はCH2Cl2のような適切な溶媒中で、ミツノブ(Mitsunobu)反応又は関連した反応により、アルキルアルコールと、例えばDEAD、DIAD等のカップリング試薬とをトリフェニルホスフィンと共に使用して、ベンジルエーテルを形成してもよい。反応を水でクエンチして、得られた混合物を、当該技術分野にて周知の技術に従って抽出、濃縮、及び精製してもよい。
【0076】
例えば、THFのような適切な溶媒中の2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、フルフリルアルコール、及び、トリフェニルホスフィンの混合物にDIADを添加する。その混合物を室温で一晩撹拌し、EtOAcと水に分離する。得られた混合物を、周知の技術によって抽出、濃縮及び精製してもよい。
【0077】
スキームB、工程2において、標準的な条件を用いて、得られたエステル(Re=メチル、エチル、ベンジル等)をけん化して、対応するカルボン酸、又は該酸のリチウム、ナトリウム又はカリウム塩(Rbは、H、Li、Na又はKであり得る)を得てもよい。例えば、ジオキサン中の2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−安息香酸メチルエステルの混合物を、水酸化リチウム一水和物のH2O溶液に添加する。混合物を室温で24〜48時間撹拌する。溶媒を真空下で除去して粗リチウム塩を得て、これを更に精製することなく使用することができる。
【0078】
スキームB、工程3において、酸又は対応するリチウム塩、ナトリウム塩若しくはカリウム塩(Rb=H、Li、Na、K)を、スキームA(工程1)に記載した方法により、ピロリジニルメチルピロリジンアミドに変換する。
【0079】
中間体調整1
(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化155】

手順A:
4−ヒドロキシ安息香酸(13.5g,97.9mmol)をジクロロメタン(400mL)中に懸濁させる。EDC(20.0g,104.3mmol)及びHOBt(14.1g,104.3mmol)を、室温にてこの順序で添加する。DIEA(28.4mL、163mmol)及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(10.0g,65.2mmol)を混合物に添加する。その混合物を室温で一晩撹拌する。混合物に水及び酢酸エチルを添加する。生成物は水溶性であり、多数回の有機洗浄を必要とする。混合した有機層をNa2SO4上で乾燥し、蒸発させる。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(傾斜:100%CH2Cl2〜MeOH/CH2Cl2中10%2M NH3)により精製して、所望の生成物(52%)を得る。
MS(ES+):m/e 275;1H−NMR(CDCl3):7.29(bm, 2H), 6.76(d, 2H), 4.50(m, 1H), 3.52(m, 2H), 2.90(bm, 1H), 2.70(bm, 4H), 2.04(bm, 1H), 1.95(bm, 2H), 1.67(bm, 6H)
【0080】
中間体調整2
2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジン
【化156】

(S)BOCプロリン(CAS 15761−39−4)及び2−(R)−メチル−ピロリジンヒドロクロライド(CAS 135324−85−5)を、手順Aに実質的に類似した方法で結合させ、2(S)−(2(R)−メチル−ピロリジン−1−カルボニル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを得る。この物質をトリフルオロ酢酸(10当量)に加えながら、ジクロロメタン中で5〜10℃で撹拌して脱保護し、次いで室温で18時間撹拌する。反応物を濃縮し、H2Oに溶解する。K2CO3でpH8−9に調整し、水性層をCH2Cl2で数回抽出する。抽出物を一緒にし、乾燥(Na2SO4)して、真空濃縮し、(2(R)−メチル−ピロリジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル−メタノンを得た。1M水素化リチウムアルミニウム/THF溶液(3当量)を等容積のTHFで希釈して、N2下で(2(R)−メチル−ピロリジン−1−イル)−ピロリジン−2−イル−メタノンのTHF溶液を滴下しながら撹拌して、反応物を穏やかに発熱させた。反応物を40℃で45分、次いで室温で18時間撹拌する。反応物を氷浴内で冷却し、反応温度を15℃未満に保持しながらH2O(3当量)、4NNaOH(3当量)、次いでH2O(9当量)でクエンチする。反応物を一晩撹拌して濾過し、沈殿をTHFで3回洗浄する。濾液と洗浄液を一緒にし、濃縮して2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを得る。
MS(ES+)m/e 169.3(M + H)+
中間体をそのまま使用するか、又はSCXクロマトグラフィー若しくは蒸留により精製する。
【0081】
中間体調整3
(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化157】

標記化合物は、手順Aに実質的に類似した方法で、2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸及び2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンから調製する。
MS(ES+)m/e 307.3
【0082】
中間体調製4
(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化158】

標記化合物は、手順Aに実質的に類似した方法で、2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸[CAS 65145−13−3]及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンから調製する。
MS(ES+)m/e 293.1
【実施例】
【0083】
実施例1
5−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル
【化159】

手順B:
DMF(5mL)中(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(145mg,0.53mmol)、Cs2CO3(0.34g,1.06mmol)、及び5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリル[CAS 134135−41−4](0.13g,0.64mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。この混合物をEtOAc及びH2O間に分割した。水相をEtOAcで(2回)抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(40g SiO2,20%(MeOH/CH2Cl2中10% 2M NH3)/80% CH2Cl2〜70%(MeOH/CH2Cl2中10% 2M NH3)/30% CH2Cl2で溶離)で精製する。
MS(ES+)m/e 396.3
【0084】
実施例2
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−メタノン
【化160】

手順C:
DMF(5mL)中(4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン(190mg,0.69mmol)、Cs2CO3(0.45g,1.4mmol)、ヨウ化カリウム(166mg,1mmol)、及び4−(クロロメチル)チアゾール塩酸塩[CAS 7709−58−2](0.17g,1.0mmol)の混合物を、室温で一晩撹拌した。この混合物をEtOAc及びH2O間に分割した。水相をEtOAcで(2回)抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。粗生成物をフラッシュフラッシュクロマトグラフィー(40g SiO2,20%(MeOH/CH2Cl2中10% 2M NH3)/80% CH2Cl2〜70%(MeOH/CH2Cl2中10% 2M NH3)/30% CH2Cl2で溶離)で精製する。
MS(ES+)m/e 372.3
【0085】
中間体調製5
2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−安息香酸メチルエステル(KM4−A05784−053)
【化161】

手順D:
アセトン(30mL)中の2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5](1.0g,5.9mmol)4−(クロロメチル)チアゾール塩酸塩[CAS 7709−58−2](1.3g,7.7mmol)、炭酸カリウム(2.55g,20.6mmol)及び、ヨウ化カリウム(0.98g,5.9mmol)の混合物を、一晩加熱還流する。混合物を室温に冷却し、濾過し、乾燥濃縮する。残渣をEtOAcと水に分離する。水相をEtOAc(2×)で抽出し、混合した油相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮する。残渣を、フラッシュクロマトグラフィで精製(120g SiO2,勾配100% CH2Cl2〜50%(MeOH/90% CH2Cl2)/50% CH2Cl2中10% 2M NH3 )し、0.49gの標記化合物を得る。
MS(ES+)m/e 268.0
【0086】
実施例3
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化162】

手順E:
ジオキサン(20mL)中の2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−安息香酸メチルエステル(0.49g,1.8mmol)の混合物に、水酸化リチウム一水和物(91mg,2.2mmol)の水(5mL)溶液を加えた。その混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を真空下で除去して粗リチウム塩を得て、これを精製することなく使用する。
【0087】
CH2Cl2(10mL)及びDMF(10mL)中の2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−安息香酸リチウム塩(1.8mmol)の混合物に、EDC(0.41g,2.2mmol)、HOBt(0.29g,2.2mmol)、及びDIEA(0.66ml,3.6mmol)を加えた。数分後、(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジン(0.35mL,2.2mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を水及び酢酸エチル間に分割し、水相を酢酸エチルで(2回)抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)し、蒸発させた。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(40g SiO2,20%(MeOH/CH2Cl2中10% 2M NH3)/80% CH2Cl2〜70%(MeOH/CH2Cl21中10% 2M NH3)/30% CH2Cl2で溶離)で精製して0.15gの標記化合物を得る。
MS(ES+)m/e 390.2
【0088】
中間体調製6
2−フルオロ−4−(フラン−2−イルメトキシ)−安息香酸メチルエステル
【化163】

手順F:
2−フルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5](0.25g,1.5mmol)及び、フルフリルアルコール(0.19mL、2.2mmol)の混合物に、トリフェニルホスフィン(0.58mmol,2.2mmol)及び、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.43mL、2.2mmol)を添加する。その混合物を室温で一晩撹拌し、EtOAcと水に分離する。この混合物をEtOAc及びH2Oに分離した。水相をEtOAcで(2回)抽出した。混合した油相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)して真空濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(40gSiO2,ヘキサン〜30% EtOAc/hexaneで溶離)で精製する。
MS(ES+)m/e 251.3
【0089】
実施例4
[4−(フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化164】

標記化合物を、2−フルオロ−4−(フラン−2−イルメトキシ)−安息香酸メチルエステルから、手順Eと実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 373.3
【0090】
実施例5
5−[3−フルオロ−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル
【化165】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン及び5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリル[CAS 134135−41−4]を用いて、手順Bに実質的に類似した方法で調整する。
MS(ES+)m/e 414.2
【0091】
実施例6
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化166】

標記化合物を、2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル[CAS 194938−88−0]、4−(クロロメチル)チアゾール塩酸塩[CAS 7709−58−2]、及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 408.3
【0092】
実施例7
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2(S)−(2−(R)メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化167】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、4−(クロロメチル)チアゾール塩酸塩[CAS 7709−58−2]、及び2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 404.2
【0093】
実施例8
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化168】

標記化合物を、2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 194938−88−0]、4−(クロロメチル)チアゾール塩酸塩[CAS 7709−58−2]、及び2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 422.2
【0094】
実施例9
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化169】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、4−クロロメチル−2−メチルチアゾール塩酸塩[CAS 39238−07−8]、及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 404.2
【0095】
実施例10
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化170】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、3−クロロメチル−チオフェン[CAS 2746−23−8]、及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 389.2
【0096】
実施例11
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化171】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、3−クロロメチル−チオフェン[CAS 2746−23−8]、及び2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 403.3
【0097】
実施例12
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン
【化172】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、2−クロロメチル−チオフェン[CAS 765−50−4]、及び(S)(+)−1−(2−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 389.2
【0098】
実施例13
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化173】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、2−クロロメチル−チオフェン[CAS 2746−23−8],2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 403.3
【0099】
実施例14
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル
【化174】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、5−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリル[CAS 134135−41−4],2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 428.3
【0100】
実施例15
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【化175】

標記化合物を、2−フルオロ−4−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル[CAS 197507−22−5]、4−クロロメチル−2−メチルチアゾール塩酸塩[CAS 39238−07−8],2−(R)−メチル−1−(2−(S)−ピロリジニルメチル)ピロリジンを用いて、手順D及びEに実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 418.2
【0101】
実施例16
4−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル
【化176】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン及び4−ブロモメチル−チオフェン−2−カルボニトリル[CAS 186552−07−8]から、手順Cと実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 428.3
【0102】
実施例17
[2−フルオロ−4−([1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノントリフルオロアセテート塩
【化177】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン及び3−(クロロメチル)−1,2,4−オキサジアゾール[CAS 51791−12−9]から、手順Dと実質的に類似した方法で調製する。粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより抽出して、所望の生成物をトリフルオロ酢酸塩として得る。
MS(ES+)m/e 389.2
【0103】
実施例18
[2−フルオロ−4−(5−メチル−イソオキサゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノントリフルオロアセテート塩
【化178】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン及び3−(クロロメチル)−5−メチルイソキサゾール[CAS 35166−37−1]から、手順Dと実質的に類似した方法で調製する。粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより抽出して、所望の生成物をトリフルオロ酢酸塩として得る。
MS(ES+)m/e 402.2
【0104】
実施例19
[2−フルオロ−4−(5−トリフルオロメチル−フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノントリフルオロ酢酸塩
【化179】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン及び2−(ブロモメチル)−5−(トリフルオロメチル)フラン[CAS 17515−77−4]から、手順Cと実質的に類似した方法で調製する。粗生成物を逆相クロマトグラフィーにより抽出して、所望の生成物をトリフルオロ酢酸塩として得る。
MS(ES+)m/e 455.3
【0105】
実施例20
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−3−カルボニトリル
【化180】

標記化合物を、(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン及び5−(ブロモメチル)3−チオフェンカルボニトリル[CAS 186552−10−3]から、手順Cと実質的に類似した方法で調製する。
MS(ES+)m/e 428.3
【0106】
本発明の薬理学的な塩は、一般に式I又は式IIの化合物を、等モル又は過剰量の酸又は塩基と反応させて形成される。反応物質は一般に、共溶媒、例えば酸付加塩の場合、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン等、塩基付加塩の場合、水、アルコール、若しくは例えばジクロロメタンのようなクロロ化溶媒中で混合される。塩は通常、約1時間〜約10日以内に溶液から析出され、濾過又は従来の他の方法により単離される。
【0107】
薬理学的な酸付加塩の形成に通常使用される酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等の無機酸、並びに例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、酢酸等の有機酸である。好ましい薬理学的な酸付加塩は、例えば塩酸、臭化水素酸及び硫酸のような鉱酸と共に形成された塩、並びに例えばマレイン酸、酒石酸、及びメタンスルホン酸のような有機酸と共に形成された塩である。
【0108】
薬理学的な塩基付加塩の形成に通常使用される塩基は、例えばアンモニウム又はアルカリ若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等の無機塩基である。従って、本発明の塩を製造するに有用な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が含まれる。カリウム塩及びナトリウム塩の形態が特に好ましい。
【0109】
スキーム、製造及び手順の反応を実施する最適時間は、従来のクロマトグラフ技術により反応の進行を監視することによって決定される。更に、本発明の反応は、例えばアルゴン又は窒素のような不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その溶媒が進行中の反応に対して不活性であり、反応物を十分に溶解して所望の反応を達成させる限り、一般的に重要ではない。化合物は、続く反応に使用する前に単離及び精製することが好ましい。数種の化合物は、その形成中に反応溶液から結晶化する場合があり、その後濾過により収集するか、又は反応溶媒を抽出、蒸発若しくはデカンテーションにより除去する。式I又は式IIの中間体及び最終生成物は、所望であれば、例えば再結晶化、又は例えばシリカゲル若しくはアルミナ等の固体支持体上のクロマトグラフィーのような通常の技術を用いて、更に精製してもよい。
【0110】
当業者は全ての置換基が全ての反応条件に適合するものではないことを理解するであろう。これらの化合物は、合成中、都合のよい時点で周知の方法により保護又は修飾される。
【0111】
式I又は式IIの化合物は、投与前に単位剤形に製剤化されることが好ましい。従って、本発明の更なる別の実施形態は、式I又は式IIの化合物と、1又は複数の薬理学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物である。
【0112】
本発明の医薬組成物は、周知かつ容易に入手可能な成分を使用して、周知の手順により製造される。化合物は、経口投与されることが好ましい。
【0113】
医薬製剤は、単位剤形にあることが好ましい。この形態にて、製剤は、適切な量、例えば所望の目的を達成するための有効量の活性成分を含有する、適切な量の単位用量に更に分割される。一般に、製剤の単位用量中に含まれる本発明の活性組成物の量は、特定の用途に従って、約0.01mg〜約1,000mg、好ましくは約0.01〜約950mg、より好ましくは約0.01〜約500mg、一般には約1〜約250mgの間で変化又は調整される。使用される実際の用量は、患者の年齢、性別、体重及び治療する症状の重篤さに応じて変更することができる。そのような技術は、当業者に周知である。一般的には、活性成分を含有するヒト用の経口剤形は、一日に1回又は2回投与される。
【0114】
式I又は式IIの化合物は、ヒスタミンH3受容体のアンタゴニスト又はインバースアゴニストとして有効であり、従ってH3受容体の活性を阻害する。より詳細には、これら化合物は、ヒスタミンH3受容体の選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストである。選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストとして、式I又は式IIの化合物は、肥満症及び他の摂食に関連した疾患、並びに認知障害を含むがこれらに限定されない、ヒスタミンH3受容体の不活性化に応答する疾病、疾患、又は症状の治療に有用である。H3Rの選択的アンタゴニスト又はインバースアゴニストは、脳のヒスタミンレベル及びおそらく他のモノアミンのレベルを上昇させる結果、食物消費を阻害すると共に抹消的結果を最小限にすると仮定される。多数のH3Rアンタゴニストが公知であるが、肥満症又は認知障害の満足すべき薬として証明されているものは全く存在しない。ヒスタミンがエネルギー恒常性に重要な役割を果たしているとの証拠が益々増大している。視床下部内で神経伝達物質として作用するヒスタミンは、食欲を阻害した。ヒスタミンは、多数の細胞型で見られるほぼ普遍的なアミンであり、Gタンパク共役受容体(GPCR)のファミリーと共役する。このファミリーは、それによりヒスタミンが受容体の分布に基づいて異なる細胞応答を誘導することができる機構を提供する。H1R及びH2Rの両方は幅広く分布している。H3Rは、主として脳内、特に視床及び尾状核内に発現する。H3Rは、脳の摂食中枢内にて高密度で発現することが発見された。最近、新規なヒスタミン受容体GPRv53が確認されている。GPRv53は、末梢白血球中に高いレベルで見出されているが、脳内において、ある研究者は低いレベルでのみ確認されているが、他の研究者は確認することができない。しかしながら、H3R周辺で開始された薬物発見のいずれの取り組みにおいても、GPRv53及び他のサブタイプを考慮する必要がある。
【0115】
本発明の化合物は、[3H]αメチルヒスタミンをリガンドとして使用するH3R結合アッセイに基づいた、競合的阻害シンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて容易に評価され得る。HEKを含むがこれに限定されない安定な細胞株を、H3RをコードするcDNAでトランスフェクトして、結合アッセイに使用する膜を調製することができる。このヒスタミン受容体サブタイプに関する技術を、以下(ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製)に説明する。
【0116】
(ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製)に説明されているように単離された膜を、[35S]GTPχS機能アッセイに使用した。[35S]GTPχSの膜に対する結合は、アゴニスト活性を示す。式I又は式IIの本発明の化合物について、アゴニストの存在下で結合阻害能を試験した。また、同一のトランスフェクト細胞株を、H3Rアゴニストがホルスコリン−活性化cAMP合成を阻害するcAMPアッセイにおいて使用した。式I又は式IIの化合物について、アゴニストの存在下でホルスコリン刺激cAMP合成を行なう能力を試験した。
【0117】
ヒスタミン受容体サブタイプ膜の調製
A.H1R膜の調製
ヒトヒスタミン1受容体(H1R)のcDNAを、CMVプロモーター(pcDNA3.1(+)、Invitogen)を含む哺乳類の発現ベクター内にクローン化し、FuGENEトランスフェクション試薬(Roche Diagnostics社)を使用してHEK293細胞内にトランスフェクトした。G418(500μ/ml)を使用してトランスフェクト細胞を選択した。選択に耐えたコロニーを増殖させ、放射性リガンド結合アッセイに基づくシンチレーション近接アッセイ(SPA)を用いて、96−ウエル皿内で増殖した細胞に対するヒスタミン結合を試験した。即ち、個々の選択されたクローンを発現している細胞を、ウエルに25,000細胞にて播種し、48時間増殖させることにより(37℃、5%CO2)、96−ウエル皿(クリアボトムプレート(Costar)、#3632)内でコンフルエントな単層として増殖させた。増殖培地を除去し、ウエルをPBS(−Ca2+又はMg2+)で2回濯いだ。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び0.8nM3H−ピリラミン(Net−594、NEN)を含有するSPA反応内(1ウエル当たり総容積=200μl)で細胞をアッセイした。アステミゾール(10μM、Sigma#A6424)を適切なウエルに加えて、非特異的結合を測定した。プレートをFasCalでカバーし、室温で120分間インキュベートした。インキュベートの後、プレートを1,000rpm(800g以下)にて室温で10分間、遠心分離した。プレートをWallac Trilux 1450 マイクロベータシンチレーションカウンター内で計数した。結合が陽性の数個のクローンを選択し、単一のクローン(H1R40)を用いて、結合試験のための膜を調製した。約10gの細胞ペレットを30mlアッセイバッファに再懸濁させ、ボルテックスにより混合し、(4℃で40,000g)10分間遠心分離した。ペレットの再懸濁、ボルテックス、及び遠心分離は、更に2回繰り返した。最終的な細胞ペレットを30mlに再懸濁し、ポリトロン組織ホモジナイザーでホモジナイズした。Coomassie Plusプロテインアッセイ試薬(Pierce)を用いてタンパク質を決定した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウエルにつき5μgのタンパク質を使用した。
【0118】
B.H2R膜の調製
上述したようにヒトヒスタミン2受容体のcDNAをクローン化、発現及びHEK293細胞内にトランスフェクトした。細胞に結合しているヒスタミンを、上述したSPAによりアッセイした。全結合のために、50mMトリス−HCl(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び6.2nM3H−チオチジン(Net−688、NEN)を含有するSPA反応内(1ウエル当たり総容量=200μl)で細胞をアッセイした。シメチジン(10μM、Sigma#C4522)を適切なウエルに加えて、非特異的結合を測定した。
【0119】
結合が陽性のいくつかのクローンを選択し、単一のクローン(H2R10)を用いて、結合試験用の膜を調製した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウエルにつき5μgのタンパク質を使用した。
【0120】
C.H3R膜の調製
ヒトヒスタミン3受容体のcDNAを、上記の(A H1R膜の調製)に説明したようにクローン化、及び発現させた。G418(500μ/mL)を使用してトランスフェクト細胞を選択し、増殖させ、上述したSPAによりヒスタミン結合を試験した。全結合のために、50mMトリス−HCL(アッセイバッファ)、pH7.6、1mg小麦胚芽レクチンSPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech、#RPNQ0001)、及び1nM(3H)−n−α−メチルヒスタミン(NEN、NET1027)を含有する、上述したSPA反応内(ウエル当たり総容量=200μl)で細胞をアッセイした。チオペリミドを加えて、非特異的結合を測定した。結合が陽性のいくつかのクローンを選択し、単一のクローン(H3R8)を用いて、本願明細書で記述される結合試験のために膜を調製した。SPA受容体−結合アッセイにて、1ウエルにつき5μgのタンパク質を使用した。
【0121】
D.GPRv53膜の調製
人GPRv53受容体のcDNAを、上記の(A H1R膜の調製)に説明したようにクローン化し、発現させた。トランスフェクト細胞を選択し、ヒスタミン結合を試験し、選択した。HEK293 GPRv5350細胞を、5%FBS及び500ug/mlG418で補充したDMEM/F12(Gibco)内でコンフルエントまで増殖させ、DelbeccoのPBS(Gibco)で洗浄し、スクレーピングにより回収した。全細胞をポリトロン組織ホモジナイザーより結合バッファ、50mMトリスpH7.5中でホモジナイズした。細胞溶解物50ugを、96ウエル皿内において、結合バッファ中で3nM(3H)ヒスタミン及び化合物と共に室温で2時間インキュベートした。Atomtecセルハーベスターを用いて、グラスファイバーフィルター(Perkin Elmer)を介して溶解物を濾過した。融解するシンチレーターシート(Perkin Elmer)を用いて、フィルターをWallac Trilux1450 マイクロベータシンチレーションカウンターにおいて5分間計数した。
【0122】
薬理学的な結果
cAMP ELISA
上述したように調製したHEK293 H3R8細胞を50,000細胞/ウエルの密度にて播種し、5%FBS及び500ug/ml G418で補充したDMEM/F12(Gibco)中で一晩増殖させた。翌日、組織培地を除去し、4mM 3−イソブチル1−メチルキサンチン(Sigma)を含有する50μl細胞培地で代替して、室温で20分間インキュベートした。50μlの細胞培地にアンタゴニストを加えて、室温で20分間インキュベートした。次に、1×10-10〜1×10-5Mの用量応答におけるR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl細胞培地中にてウエルに加え、室温で5分間インキュベートした。次いで、20μMホルスコリン(Sigma)を含有する50μlの細胞培地を各ウエルに加え、室温で20分間インキュベートした。組織培地を除去し、細胞を0.1MHClに溶解し、cAMPをELISA(Assay Designs、Inc.)により測定した。
【0123】
[35S]GTPγ[S]結合アッセイ
アゴニスト存在下でのH3R膜に対する[35S]GTPγ[S]結合の阻害に関して、選択された化合物のアンタゴニスト活性を試験した。96−ウエルのプレート(Costar)内で、200ulの最終容積の20mMのHEPES、100mMのNaCl、5mMのMgCl2及び10uMのGDP、pH7.4中にて室温でアッセイを実施した。H3R8を発現しているHEK293細胞株(20ug/ウエル)から単離した膜及びGDPを、50μl容積のアッセイバッファ中にて各ウエルに加えた。次いで、アンタゴニストを50μl容積のアッセイバッファ中にてウエルへ加え、室温で15分間インキュベートした。次いで、用量応答1×10-10〜1×10-5M又は100nMの固定濃度のいずれかのアゴニストR(−)αメチルヒスタミン(RBI)を50μl容積のアッセイバッファ中にてウエルに加え、室温で5分間インキュベートした。200pMの最終濃度のGTPγ[35S]を50μl容積のアッセイバッファ中にて各ウエルに加えた後、20mg/ml WGAを被覆したSPAビーズ(Amersham)50μlを加えた。プレートをWallac Trilux 1450 マイクロベータシンチレーションカウンター内で1分間計数した。放射性リガンドの受容体に対する特異的結合を50%より大きく阻害した化合物を連続的に希釈してK[i](nM)を決定した。
【0124】
実施例に記載した全化合物は、H3R結合アッセイにおいて、1μMを越えるH3受容体に対する親和性を示した。本発明の好ましい化合物は、H3受容体に対して200nMを越える親和性を示した。本発明の最も好ましい化合物は、H3受容体に対して20nMを越える親和性を示した。指定した化合物についての結果を以下に示す。
【0125】
【表2】

【0126】
前記の説明から、当業者は、本発明の基本的特性を確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な使用及び症状に適合するように、本発明の様々な改変及び修正することができる。このように、他の実施形態も請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(I)
[式中、
R1は、独立して−HETであり、HET環の各炭素原子がR2で任意に一置換され、HETの各窒素原子が、R3で任意に一置換され、但し、前記窒素原子が隣接する環原子に二重結合により連結せず、
R2は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−CN、−C(O)R7、−C(O)OR7、−CO(O)Li、−C(O)(C3−C5)シクロアルキル、−C(O)NR7R8、−OCF3、−OR7、−NO2、−NR7R8、−NR9SO2R7、−NR9C(O)R7、−NR9CO2R7、−NR9C(O)NR7R8、−SR7、−SO2R7、−SO2CF3、−SO2NR7R8、−S(O)R7、−フェニル−R9、−C(H)=NO−R7、−ピリジニル、−HET−R9、又は−(C1−C7)アルキル−NHC(O)R7(但し、1以下のR2は、−HET−R9、−フェニル−R9、又は−ピリジニル)であり、
R3は、各々独立して、−H、−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−フェニル、−ベンジル、−SO2R7、−C(O)R7、−C(O)NR7R8、又は−C(O)OR7であり、
R4及びR5は、独立して−H、−OH、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−OR9であり、
R6は、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−NH2、−NR7R8、−OH、又は−OR7であり、
R7及びR8は、各々独立して、−H、又は−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、R7及びR8は、それらが付着する原子と結合して3〜7員環を形成でき、
R9は、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である]
で構造的に表される化合物、又はその薬理学的に許容できる塩。
【請求項2】
R1が、独立して、
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

又は、
【化35】


であり、
ジグザグラインに示される結合が、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2が各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−CN、−C(O)R7、−C(O)OR7、−CO(O)Li、−C(O)(C3−C5)シクロアルキル、_C(O)NR7R8、−OCF3、−OR7、−NO2、−NR7R8、−NR9SO2R7、−NR9C(O)R7、−NR9CO2R7、−NR9C(O)NR7R8、−SR7、−SO2R7、−SO2CF3、−SO2NR7R8、又は−S(O)R7であり、
R3が、各々独立して、−H、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−SO2R7、−C(O)R7、−C(O)NR7R8、又は−C(O)OR7であり、
R4及びR5が、独立して−H、−OH、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−OR9であり、
R6が、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、−NH2、−NR7R8、−OH、又は−OR7であり、
R7及びR8が、各々独立して、−H又は−(C1−C7)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、R7及びR8は、それらが付着する原子と結合して4〜6員環を形成でき、
R9が、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が、独立して、
【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

、又は、
【化69】


であり、
ジグザグラインに示される結合が、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2が、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−CNであり、
R3が、各々独立して、−H又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)であり、
R4及びR5が、各々独立して、−H又は−ハロゲンであり、
R6のうち一方が−Hであり、他方が独立して、−H、−ハロゲン、又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R1が、独立して、
【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

、又は、
【化75】

であり、
ジグザグラインに示される結合が、式IにおけるR1によって示される位置への付着位置を示し、
R2が、各々独立して、−H、−ハロゲン、−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)、又は−CNであり、
R4及びR5が、独立して、−H又は−ハロゲンであり、
R6のうち一方が−Hであり、他方が独立して、−H、−ハロゲン、又は−(C1−C3)アルキル(1〜3個のハロゲンで任意に置換される)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1が、独立して、
【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】


、又は、
【化81】


であり、
R2が、−H、−CH3、−CF3、又は−CNであり、
R4が、−水素又は−Fであり、
R5が、−水素又は−Fであり、
R6のうち一方が−Hであり、他方が−H又は−CH3である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R4及びR5が−Hである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R4がハロゲンであり、R5が−Hである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R6のうち一方が−Hであり、他方が−CH3である、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
式X1からX20からなる群より選択される、請求項1記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩:
【表1】








【請求項10】
5−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル、
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
5−[3−フルオロ−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2(S)−(2−(R)メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
4−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2−フルオロ−4−([1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(5−メチル−イソオキサゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(5−トリフルオロメチル−フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−5−[4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル、
(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−[4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[4−(フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
5−[3−フルオロ−4−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−フェノキシメチル]−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2(S)−(2−(R)メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2,6−ジフルオロ−4−(チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−(2−(S)−ピロリジン−1−イルメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン、
[2−フルオロ−4−(チオフェン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2−フルオロ−4−(2−メチル−チアゾール−4−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
4−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−2−カルボニトリル、
[2−フルオロ−4−([1,2,4]オキサジアゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(5−メチル−イソオキサゾール−3−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、
[2−フルオロ−4−(5−トリフルオロメチル−フラン−2−イルメトキシ)−フェニル]−[2−(S)(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン、及び
5−{3−フルオロ−4−[2−(S)−(2−(R)−メチル−ピロリジン−1−イルメチル)−ピロリジン−1−カルボニル]−フェノキシメチル}−チオフェン−3−カルボニトリルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬理学的に許容できる塩もしくは溶媒和物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物と薬理学的に許容できる担体とを含む医薬組成物。
【請求項12】
哺乳類においてヒスタミンH3受容体を阻害する方法であって、その必要がある哺乳類に、ヒスタミンH3受容体阻害量の請求項1〜10のいずれかに記載の式Iの化合物又はその塩を投与することを含む方法。
【請求項13】
神経系障害を治療する方法であって、その必要がある哺乳類に、有効量の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項14】
アンタゴニスト又はインバースアゴニストが請求項11に記載の医薬組成物である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
肥満症を治療する方法であって、その必要がある哺乳類に、有効量の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項16】
アンタゴニストが請求項11に記載の医薬組成物である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ヒスタミンH3受容体の阻害が有利な効果を有する障害又は疾病を治療又は予防する方法であって、その必要がある哺乳類に、有効量の請求項1〜10のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項18】
神経系障害の治療において使用される請求項1〜10のいずれかに記載の式Iの化合物又はその塩。
【請求項19】
神経系障害の治療用医薬を製造するための、請求項1〜11のいずれかに記載の式Iの化合物又はその塩の使用。

【公表番号】特表2008−516952(P2008−516952A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536740(P2007−536740)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/036023
【国際公開番号】WO2006/044228
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】