説明

ヒストンデアセチラーゼおよびチューブリンデアセチラーゼ阻害剤

新規の治療剤及びそれらの合成のための効率的な方法を開発する必要性に鑑み、本発明は、新規のヒストンデアセチラーゼ阻害剤、チューブリンデアセチラーゼ阻害剤及び/又はアグリソーム阻害剤並びにそれらの医薬的に許容可能な塩及び誘導体を提供する。本発明の化合物は2つのクラス−“isorubacin”クラス及び“isoisotubacin”クラス−に分類され、これらはすべて1,3−ジオキサンコアを含む。更に、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ活性、チューブリンデアセチラーゼ活性及び/又はアグリソームによって調節される障害(例えば、増殖性疾患、癌、炎症性疾患、原虫感染、蛋白質分解障害、蛋白質沈着障害など)を処置する方法を提供し、該方法は、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。本発明は、本発明の化合物を調製する方法も提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法§119(e)のもと、2006年5月3日に出願された米国仮特許出願USSN60/797,211号(これは、参考として本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
政府の支援
本明細書に記載の研究は、National Institute of Health(370 31215 017490 614101 0001 00000;370 31215 133800 341450 0402 44046)からの助成金によって一部支援された。米国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
特定の生物学的機能に作用する有機小分子の同定は、生物学及び医学に影響を及ぼす取り組みである。このような分子は治療剤及び生物学的機能のプローブとして有用である。小分子を用いて小分子が結合する生体分子の機能を変化させることができる、新興の遺伝生化学分野からのわずか一例において、これらの分子は、化学的蛋白質ノックアウトとして作用し、これにより、蛋白質機能の喪失を引き起こすことにより、シグナル変換経路を解明するのに有用となっている(非特許文献1;非特許文献2)。加えて、これらの小分子と特定の生物学的標的との相互作用及びそれらの特定の生物学的機能(例えば、遺伝子転写)に作用する能力により、当該小分子は新規治療法の開発の候補物質としての機能も果たしうる。小分子の1つの重要なクラスである天然産物は、天然から得られる小分子であり、生物学及び医学の発展に重要な役割を果たしており、医薬的先導物質、薬剤(Newmanら、Nat.Prod.Rep.2000,17,215−234)及び細胞生物学を研究するための強力な試薬(Schreiber,S.L.Chem.and Eng.News 1992(October 26),22−32)として機能している。
【0004】
近年の対象とする生物学的標的の1つがヒストンデアセチラーゼである(例えば、癌の治療に対するヒストンデアセチラーゼの阻害剤の使用の考察:Marksら、Nature Reviews Cancer 2001,1,194;Johnstoneら、Nature Reviews Drug Discovery 2002,1,287を参照)。リシン残基のアセチル化及び脱アセチル化による蛋白質の翻訳後修飾は、それらの細胞機能を調節するのに重要な役割を果たす。HDACはヒストン蛋白質のN−アセチル−リシン残基の脱アセチル化及び他の転写調節因子を通じて遺伝子発現を調節する亜鉛ヒドロラーゼである(Hassigら、Curr.Opin.Chem.Biol.1997,1,300−308)。HDACは細胞の形態及び分化を制御する細胞経路に関与し、HDAC阻害剤は他の方法では難治性の癌を処置するのに有効であることが示されている(Warrellら、J.Natl.Cancer Inst.1998,90,1621−1625)。現時点で、補因子としてZnを用いる11個のヒトHDACが同定されており(非特許文献3;非特許文献4、非特許文献5;非特許文献6、非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)これらのメンバーは3つのクラス(クラスI、クラスII及びクラスIV)に分類される。補因子としてNADを用いる7個のHDACが更に同定されている。現時点まで任意の特定のクラス又はこのファミリーの個々のメンバーを選択的に標的とする小分子は公知ではない((例えば、オルソログ選択的HDAC阻害剤が報告されている:(a)非特許文献10;(b)非特許文献11)。
【非特許文献1】Schreiberら、J.Am.Chem.Soc.,1990,112,5583
【非特許文献2】Mitchison,Chem.and Biol.,1994,1,3
【非特許文献3】Tauntonら、Science 1996,272,408−411
【非特許文献4】Yangら、J.Biol.Chem.1997,272,28001−28007
【非特許文献5】Grozingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1999,96,4868−4873
【非特許文献6】Kaoら、Genes Dev.2000,14,55−66
【非特許文献7】Huら、J.Biol.Chem.2000,275,15254−15264
【非特許文献8】Zhouら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2001,98,10572−10577
【非特許文献9】Venterら、Science 2001,291,1304−1351
【非特許文献10】Meinkeら、J.Med.Chem.2000,14,4919−4922
【非特許文献11】Meinkeら、Curr.Med.Chem.2001,8,211−235
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(発明の概要)
構造的に多様なHDAC及びチューブリンデアセチラーゼ(TDAC)阻害剤、特に、効力のある阻害剤並びに/或いは特定のクラスのHDAC若しくはTDAC及び個々のHDACとTDACの選択的阻害剤を調製する必要性が未だ存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、新規のヒストンデアセチラーゼ及びチューブリンデアセチラーゼ阻害剤並びにこれらの化合物を調製し、且つ使用する方法を提供する。これらの化合物は、特に、癌のような増殖性疾患、炎症性疾患、感染症、蛋白質分解障害及びアルツハイマー病のような蛋白質沈着障害の処置に有用である。一部の化合物は、特に、HDACの1つのクラス又はメンバーを特異的に阻害するのに有用である。他の化合物は、特に、チューブリンデアセチラーゼ(TDAC)の1つのクラス又はメンバーを特異的に阻害するのに有用である。更に別の化合物はアグリソームによる蛋白質の分解を阻害するのに有用である。
【0007】
本発明は、1,3−ジオキサンコア構造を有するHDAC及びTDACの新規阻害剤を提供する。本発明の化合物は基本的に2つのクラスに分類され、各クラスでは該化合物の1,3−ジオキサンコアは配向が異なる。即ち、該1,3−ジオキサンコアはtubacin誘導体と比べて各クラスにおいて120°回転しており、以下の構造に示される通りである(図1も参照)。本発明の化合物は、
【0008】
【化64】

(式中、
は、環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−SR;−SOR;−SO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;そして、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の化合物並びにそれらの医薬的に許容可能な塩及び誘導体である。一般的に、Rは金属キレート官能基(例えば、ヒドロキシアミド酸、チオール、カルボン酸(carboxlic acids)、オルト−アミノアニリドなど)を含む。該金属キレート基はデアセチラーゼ酵素の活性部位Zn+2イオンに結合すると考えられる。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロ脂肪族部分である(例えば、任意に置換されうる、ヘテロアリール環に置換されるヘテロ脂肪族部分)。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換芳香族環系である(例えば、置換又は非置換フェニル)。
【0009】
式:
【0010】
【化65】

の化合物、即ち、tubacin誘導体は、2006年3月22日に申請された米国特許出願USSN 11/386,959;2005年3月22日に申請されたUSSN 60/664,470;2001年5月9日に申請されたUSSN 60/289,850;2002年5月9日に申請されたUSSN 10/144,316;及び2003年7月17日に申請されたUSSN 10/621,276に述べられており、これらの各々は参照して本明細書に組み込まれる。これらの化合物は、特に、HDAC6のようなHDACの阻害に、また、アグリソームによる蛋白質の分解に役割を果たすことが周知のHDAC6を阻害することによる多発性骨髄腫の処置にも有用であることが見出されている。
【0011】
式:
【0012】
【化66】

のクラスの本発明の化合物は“isotubacin”クラスの化合物である。これらの化合物の1,3−ジオキサンコアは“tubacin”クラスの化合物と比べて反時計回りに120°回転している。このクラスの化合物も、癌(例えば、多発性骨髄腫、乳癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、急性骨髄性白血病)、蛋白質分解障害(例えば、多発性骨髄腫、神経変性障害)、蛋白質沈着障害(例えば、神経変性障害(neurogenerative disorders))、感染症及び増殖性疾患(例えば、糖尿病性網膜症、炎症性疾患、血管新生)の処置に有用である。これらの化合物を含む医薬組成物及びキットも本発明によって提供される。一部の実施形態では、このクラスの化合物は、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫、乳癌及び前立腺癌の処置に有用である。本発明の化合物の医薬組成物は、通常、癌の処置時に投与される他の化学療法剤又は他の薬剤も含みうる(例えば、抗悪心剤、鎮痛薬、栄養補給剤など)。本発明は、“isotubacin”クラスの化合物を調製する合成法も提供する。
【0013】
式:
【0014】
【化67】

のクラスの本発明の化合物は“isoisotubacin”クラスの化合物である。このクラスの化合物の1,3−ジオキサンコアは“tubacin”クラスの化合物と比べて時計回りに120°回転している。このクラスの化合物も、癌(例えば、多発性骨髄腫、乳癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、急性骨髄性白血病)、蛋白質分解障害(例えば、神経変性障害、多発性骨髄腫)、蛋白質沈着障害(例えば、神経変性障害)、感染症及び増殖性疾患(例えば、糖尿病性網膜症、炎症性疾患、血管新生)の処置に有用である。これらの化合物を含む医薬組成物及びキットも含まれる。一部の実施形態では、このクラスの化合物は、多発性骨髄腫、白血病、リンパ腫、乳癌及び前立腺癌の処置に有用である。本発明の化合物の医薬組成物は、通常、癌の処置時に投与される他の化学療法剤又は他の薬剤も含みうる(例えば、抗悪心剤、鎮痛薬、栄養補給剤など)。本発明は、“isoisotubacin”クラスの化合物を調製する合成法も提供する。
【0015】
本発明の化合物は生物学的機能を探査するツールとしても有用である(例えば、アグリソームによる蛋白質の分解;ヒストンデアセチラーゼの阻害、チューブリンデアセチラーゼの阻害)。例えば、該化合物は蛋白質分解経路又は蛋白質の機能に対するアセチル化の作用を理解するため、野生型細胞又は改変細胞に投与されうる。一部の実施形態では、該化合物は特定のヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する。該化合物は細胞周期を解明するのにも用いられうる。
【0016】
別の態様では、本発明は、患者又は生体試料におけるヒストンデアセチラーゼ活性、チューブリンデアセチラーゼ活性又はアグリソーム活性を阻害する方法を提供し、該方法は、有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を患者に投与し、或いは生体試料に接触させるステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(定義)
本発明の一部の化合物及び特定の官能基の定義についても、更に詳細に以下に述べられる。本発明の目的上、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、内表紙の元素周期表、CAS版に従って識別され、一般に、特異的な官能基は同書に記載されているように定義される。加えて、有機化学の一般原則並びに特異的な官能性部分及び反応性が、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999に述べられており、この内容全体が参照して本明細書に組み込まれる。更に、本明細書で述べるような合成法では種々の保護基を用いることが当業者には理解されるであろう。
【0018】
本明細書で述べるような化合物が任意の数の置換基又は官能性部分で置換されうることが理解されるであろう。一般に、「任意に」という語句が先行しているか、していないかに関わらず、「置換される」という用語及び本発明の式に含まれる置換基は、任意の構造における水素ラジカルを特定の置換基のラジカルに置換することを指す。任意の構造における2つ以上の位置が特定の基から選択される2個以上の置換基に置換されうる場合、該置換基はすべての位置にて同一であり、或いは異なりうる。本明細書で用いられるように、「置換される」という用語は有機化合物のあらゆる許容置換基を含むように意図される。広義の態様では、該許容置換基は、有機化合物の非環状及び環状、分岐状及び非分岐状、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族置換基を含む。本発明の目的上、窒素のようなヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書で述べる有機化合物の水素置換基及び/又は任意の許容置換基を有しうる。更に、本発明は、有機化合物の許容置換基によって決して限定されるものではない。本発明により想定される置換基及び可変要素の組合せは、例えば、癌を含むが癌に限定されない増殖性疾患の処置に有用な安定化合物の形成をもたらすものが好ましい。本明細書で用いられるような「安定」という用語は、製造を可能とするのに十分な安定性を有するとともに、検出されるのに十分な時間、好ましくは、本明細書で詳述される目的に対して有用であるのに十分な時間、化合物の一体性を維持する化合物を指すことが好ましい。
【0019】
本明細書で用いられるような「アシル」という用語は、カルボニル含有官能基、例えば、−C(=O)R’を指し、式中、R’は、脂肪族、脂環式(alycyclic)、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、(脂肪族)アリール、(ヘテロ脂肪族)アリール、ヘテロ脂肪族(アリール)又はヘテロ脂肪族(ヘテロアリール)部分であり、それによって、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール又はヘテロアリール部分の各々は置換され、又は置換されず、或いは官能基を含む(例えば、カルボン酸、エステル又はアミド官能基を形成する)置換(例えば、水素又は脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール若しくはヘテロアリール部分)酸素又は窒素である。
【0020】
本明細書で用いられるような「脂肪族」という用語は、飽和及び不飽和、直鎖状(即ち、非分岐状)又は分岐状脂肪族炭化水素を含み、これらは任意に1つ又はそれ以上の官能基に置換される。当業者には理解されるように、本明細書では「脂肪族」は、限定されないが、アルキル、アルケニル、アルキニル部分を含むものとする。従って、本明細書で用いられるように、「アルキル」という用語は直鎖状及び分岐状アルキル基を含む。同様の規則が、「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の一般的用語に適用される。更に、本明細書で用いられるように、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などの用語は置換及び非置換基を包含する。一部の実施形態では、本明細書で用いられるように、「低級アルキル」は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基(置換、非置換、分岐状又は非分岐状)を示すのに用いられる。
【0021】
一部の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。一部の他の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は1〜4個の炭素原子を含む。従って、例示的な脂肪族基は、限定されないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル部分などを含み、これらもまた1つ又はそれ以上の置換基を有しうる。アルケニル基は、限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどを含む。代表的なアルキニル基は、限定されないが、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどを含む。
【0022】
本明細書で用いられるような「脂環式」という用語は、脂肪族及び環式化合物の性質を合わせ持つ化合物を指し、限定されないが、環式若しくは多環式脂肪族炭化水素及び架橋シクロアルキル化合物を含み、これらは任意に1つ又はそれ以上の官能基に置換される。当業者には理解されるように、本明細書では「脂環式」は、限定されないが、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル部分を含むものとし、これらは任意に1つ又はそれ以上の官能基に置換される。従って、例示的な脂環式基は、限定されないが、例えば、シクロプロピル、−CH−シクロプロピル、シクロブチル、−CH−シクロブチル、シクロペンチル、−CH−シクロペンチル−n、シクロヘキシル、−CH−シクロヘキシル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキサニルエチル、norborbyl部分などを含み、これらもまた1つ又はそれ以上の置換基を有しうる。
【0023】
本明細書で用いられるような「アルコキシ」(若しくは「アルキルオキシ」)又は「チオアルキル」という用語は、酸素原子又は硫黄原子を介して親分子部分に結合した前述のようなアルキル基を指す。一部の実施形態では、該アルキル基は1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。一部の他の実施形態では、該アルキル基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、該アルキル基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、該アルキル基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルコキシの例には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシ及びn−ヘキソキシが含まれる。チオアルキルの例には、限定されないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオなどが含まれる。
【0024】
「アルキルアミノ」という用語は−NHR’構造を有する基を指し、R’は本明細書で定義されるようなアルキルである。「アミノアルキル」という用語はNHR’−構造を有する基を指し、R’は本明細書で定義されるようなアルキルである。一部の実施形態では、該アルキル基は1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。一部の他の実施形態では、該アルキル基は1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、本発明において用いられるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、該アルキル基は1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。更に別の実施形態では、該アルキル基は1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。アルキルアミノの例には、限定されないが、メチルアミノ、エチルアミノ、イソ−プロピルアミノなどが含まれる。
【0025】
本発明の化合物の上述の脂肪族(及び他の)部分の置換基の一部の例には、限定されないが、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rが含まれ、式中、Rの各出現は独立して、限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール又はアルキルへテロアリールを含み、上記及び本明細書で述べるいずれの脂肪族、ヘテロ脂肪族、アルキルアリール又はアルキルへテロアリール置換基も置換され、又は置換されず、分岐状又は非分岐状、環状又は非環状でよく、上記及び本明細書で述べるいずれのアリール又はヘテロアリール置換基も置換され、或いは置換されなくてよい。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。
【0026】
一般的に、本明細書で用いられるような「アリール」という用語は、各々が置換され、或いは置換されなくてよい、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する、安定した単環又は多環式不飽和部分を指す。一部の実施形態では、「アリール」という用語は、各環原子において環平面に垂直なp軌道を有するとともに、環内のパイ電子数が(4n+2)(式中、nは整数である)であるヒュッケル則を満たす平面環を指す。これらの芳香族性の基準の1つ又はすべてを満たさない単環又は多環式不飽和部分は、本明細書で「非芳香族」と定義され、「脂環式」という用語に包含される。
【0027】
一般的に、本明細書で用いられるような「ヘテロアリール」という用語は、各々が置換され、或いは置換されなくてよい、好ましくは3〜14個の炭素原子を有するとともに、環内にO,S及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を(即ち、環炭素原子の代わりに)含む、安定した単環又は多環式不飽和部分を指す。一部の実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、各環原子において環平面に垂直なp軌道を有し、且つ環内のパイ電子数が(4n+2)(式中、nは整数である)であるヒュッケル則を満たす平面環を指す。
【0028】
本明細書で定義されるようなアリール及びヘテロアリール部分がアルキル又はヘテロアルキル部分を介して結合され、従って、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール及び−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分も含みうることも理解されるであろう。従って、本明細書で用いられるように、「アリール又はヘテロアリール部分」並びに「アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール及び−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール」という語句は互換できる。置換基は、限定されないが、前述の任意の置換基、即ち、脂肪族部分について述べた置換基又は本明細書で開示されるような他の部分に対する置換基を含み、安定化合物の形成をもたらす。
【0029】
本明細書で用いられるような「アリール」という用語は、当該技術分野における一般的な用語の意味と有意に異なることはなく、少なくとも1つの芳香族環を含む不飽和環状部分を指す。一部の実施形態では、「アリール」は、1つ又は2つの芳香族環を有する単環又は二環炭素環系を指し、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含む。
【0030】
本明細書で用いられるような「ヘテロアリール」という用語は、当該技術分野における一般的な用語の意味と有意に異なることはなく、1個の環原子がS,O及びNから選択され、0,1又は2個の環原子が独立してS,O及びNから選択される追加のヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である、5〜10個の環原子を有する環状芳香族ラジカルを指し、該ラジカルは任意の環原子、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどを介して分子の残余部に結合される。
【0031】
アリール及びヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は置換せず、或いは置換することができ、置換は1つ又はそれ以上の水素原子を独立して1つ又はそれ以上の次の任意の部分に置換することを含み、該部分は、限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O)R;−S(O);−NR(CO)Rを含み、式中、Rの各出現は独立して、限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、ヘテロアルキルアリール又はヘテロアルキルヘテロアリールを含み、上記及び本明細書で述べるいずれの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリール又はアルキルへテロアリール置換基も置換され、又は置換されず、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和でよく、上記及び本明細書で述べるいずれの芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール又は−(アルキル)ヘテロアリール置換基も置換され、或いは置換されなくてよいことが理解されるであろう。加えて、共に取り上げられる任意の隣接する2つの基が4,5,6又は7員の置換又は非置換、脂環式又は複素環式部分を表しうることが理解されるであろう。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。
【0032】
本明細書で用いられるような「シクロアルキル」という用語は、特に、3〜7個、好ましくは3〜10個の炭素原子を有する基を指す。好適なシクロアルキルは、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含み、これらは、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族又は複素環式部分の場合のように、限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rを含む置換基に任意に置換されてよく、式中、Rの各出現は独立して、限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、ヘテロアルキルアリール又はヘテロアルキルヘテロアリールを含み、上記及び本明細書で述べるいずれの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリール又はアルキルへテロアリール置換基も置換され、又は置換されず、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和でよく、上記及び本明細書で述べるいずれの芳香族、ヘテロ芳香族、アリール又はヘテロアリール置換基も置換され、或いは置換されなくてよい。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。
【0033】
本明細書で用いられるような「ヘテロ脂肪族」という用語は、主鎖の1つ又はそれ以上の炭素原子がヘテロ原子に置換された脂肪族部分を指す。従って、ヘテロ脂肪族基は、例えば、炭素原子の代わりに1つ又はそれ以上の酸素、硫黄、窒素、リン又はシリコン原子を含む脂肪族鎖を指す。ヘテロ脂肪族部分は直鎖状又は分岐状並びに飽和又は不飽和でよい。一部の実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、1つ又はそれ以上の部分との1つ又はそれ以上の水素原子の独立した置換によって置換され、該部分は、限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rを含み、式中、Rの各出現は独立して、限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、ヘテロアルキルアリール又はヘテロアルキルヘテロアリールを含み、上記及び本明細書で述べるいずれの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリール又はアルキルへテロアリール置換基も置換され、又は置換されず、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和でよく、上記及び本明細書で述べるいずれの芳香族、ヘテロ芳香族、アリール又はヘテロアリール置換基も置換され、或いは置換されなくてよい。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。
【0034】
本明細書で用いられるような「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」又は「複素環式」という用語は、ヘテロ脂肪族及び環式化合物の性質を合わせ持つ化合物を指し、限定されないが、5〜16個の原子を有する、飽和又は不飽和、単環又は多環状環系を含み、少なくとも1つの環原子がO,S又はNから選択されるヘテロ原子であり(窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されうる)、該環系は本明細書で定義されるような1つ又はそれ以上の官能基に任意に置換される。一部の実施形態では、「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」又は「複素環式」という用語は、非芳香族5,6若しくは7員環又は多環式基を指し、(i)各5員環は0〜2つの二重結合を有し、各6員環は0〜2つの二重結合を有し、各7員環は0〜3つの二重結合を有し、(ii)該窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されてよく、(iii)該窒素ヘテロ原子は任意に四級化されてよく、(iv)上記いずれの複素環もアリール又はヘテロアリール環に縮合されうる。代表的な複素環は、限定されないが、フラニル、チオフラニル、ピラニル、ピロリル、チエニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソキサゾリジニル、ジオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、ジチアゾリル、ジチアゾリジニル、テトラヒドロフリル及びそれらのベンゾ縮合誘導体のような複素環を含む。一部の実施形態では、「置換複素環又はヘテロシクロアルキル若しくは複素環式」基が用いられ、本明細書で用いられるように、限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rとの1,2又は3個の水素原子の独立した置換によって置換される、上述のような複素環又はヘテロシクロアルキル若しくは複素環式基を指し、式中、Rの各出現は独立して、限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、ヘテロアルキルアリール又はヘテロアルキルヘテロアリールを含み、上記及び本明細書で述べるいずれの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリール又はアルキルへテロアリール置換基も置換され、又は置換されず、分岐状又は非分岐状、飽和又は不飽和でよく、上記及び本明細書で述べるいずれの芳香族、ヘテロ芳香族、アリール又はヘテロアリール置換基も置換され、或いは置換されなくてよい。更なる例又は一般的に適用可能な置換基は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。
【0035】
加えて、上記及び本明細書で述べるいずれの脂環式又は複素環式部分も、それらに縮合したアリール又はヘテロアリール部分を含みうることが理解されるであろう。一般的に適用可能な置換基の更なる例は、本明細書で述べる実施例において示される具体的な実施形態によって示される。本明細書で用いられるような「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を指す。
【0036】
本明細書で用いられるような「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を指す。
【0037】
「ハロアルキル」という用語は、1,2又は3個のハロゲン原子が結合した、上述のようなアルキル基を示し、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロメチルなどのような基により例示される。
【0038】
本明細書で用いられるような「アミノ」という用語は、第一級(−NH)、第二級(−NHR)、第三級(−NR)又は第四級(−N)アミンを指し、式中、R,R及びRは独立して、本明細書で定義されるような脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール又はへテロアリール部分である。アミノ基の例には、限定されないが、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミノカルボニル、メチルエチルアミノ、イソプロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミノ及びプロピルアミノが含まれる。
【0039】
本明細書で用いられるような「アルキリデン」という用語は、炭素及び水素原子のみからなる、置換又は非置換、直鎖状又は分岐状飽和二価基を指し、1〜n個の炭素原子を有し、該基の両端に自由原子価“−”を有する。一部の実施形態では、アルキリデン部分は1〜6個の炭素原子を有する。
【0040】
本明細書で用いられるような「アルケニリデン」という用語は、炭素及び水素原子のみからなる、置換又は非置換、直鎖状又は分岐状不飽和二価基を指し、2〜n個の炭素原子を有し、該基の両端に自由原子価“−”を有し、該不飽和は二重結合としてのみ存在し、二重結合は鎖の第一炭素と分子の残余部との間に存在しうる。一部の実施形態では、アルケニリデン部分は2〜6個の炭素原子を有する。
【0041】
本明細書で用いられるような「アルキニリデン」という用語は、炭素及び水素原子のみからなる、置換又は非置換、直鎖状又は分岐状不飽和二価基を指し、2〜n個の炭素原子を有し、該基の両端に自由原子価“−”を有し、該不飽和は三重又は二重結合としてのみ存在し、三重又は二重結合は鎖の第一炭素と分子の残余部との間に存在しうる。一部の実施形態では、アルキニリデン部分は2〜6個の炭素原子を有する。
【0042】
別様に示さない限り、本明細書で用いられるように、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「アルキリデン」、「アルケニリデン」、−(アルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)アリール、−(ヘテロアルキル)ヘテロアリールなどの用語は、置換及び非置換並びに直鎖状及び分岐状基を包含する。同様に、「脂肪族」、「ヘテロ脂肪族」などの用語は、置換及び非置換、飽和及び不飽和並びに直鎖状及び分岐状基を包含する。同様に、「シクロアルキル」、「複素環」、「複素環式」などの用語は、置換及び非置換並びに飽和及び不飽和基を包含する。加えて、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「芳香族」、「ヘテロ芳香族」、「アリール」、「ヘテロアリール」などの用語は置換及び非置換基を包含する。
【0043】
本明細書で用いられるような「医薬的に許容可能な誘導体」という語句は、そのような化合物の任意の医薬的に許容可能な塩、エステル又はそのようなエステルの塩、或いは患者への投与後、本明細書で別記されるような化合物又はその代謝物若しくは残基を(直接又は間接的に)付与することができる、他の任意の付加物又は誘導体を示す。従って、医薬的に許容可能な誘導体は、特に、プロドラッグを含む。プロドラッグは化合物の誘導体であり、通常、有意に低下した薬理活性を有し、付加部分を含み、in vivoにて除去を受けやすく、薬理活性種として親分子を生じさせる。プロドラッグの一例は、in vivoにて開裂されて対象化合物を生じさせるエステルである。種々の化合物のプロドラッグ並びに親化合物を誘導体化してプロドラッグを生成するための材料及び方法は公知であり、本発明に適用されうる。医薬的に許容可能な誘導体は「リバースプロドラッグ(reverse pro−drugs)」も含む。リバースプロドラッグ(reverse pro−drugs)は、吸収後、活性化されるというよりもむしろ不活性化される。例えば、本明細書で考察するように、本発明の多くのエステル含有化合物は生物活性を示すが、ある種の生理的環境、例えば、エステラーゼ活性を有する血液、リンパ球、血清、細胞外流体などに曝されると不活性化される。また、リバースプロドラッグ(reverse pro−drugs)及びプロドラッグの生物活性は、化合物に官能基を付加することによって変更され得、これは酵素によって触媒されうる。酵素触媒酸化還元反応を含む酸化還元反応も含まれる。一部の例示的な医薬組成物及び医薬的に許容可能な誘導体は、本明細書で以下に更に詳細に考察される。
【0044】
本明細書で用いられる「保護基」という用語は、多官能化合物における別の反応部位において反応が選択的に行われるように、特定の官能基部分、例えば、O,S又はNが一時的にブロックされることをいう。好ましい実施形態では、保護基は高収率で選択的に反応し、企図される反応に対して安定した保護基材を付与し、保護基は他の官能基を浸襲しない、容易に得られる、好ましくは非毒性試薬によって、高収率で選択的に除去されねばならず、保護基は容易に分離可能な誘導体を形成し(より好ましくは、新たな立体中心を生成せずに)、且つ保護基は更なる反応部位を回避するため、最小限の付加官能性を有する。本明細書で詳述されるように、酸素、硫黄、窒素及び炭素保護基が用いられうる。例えば、一部の実施形態では、本明細書で詳述されるように、特定の例示的な酸素保護基が用いられる。これらの酸素保護基は、限定されないが、メチルエーテル、置換メチルエーテル(例えば、数例を挙げると、MOM(メトキシメチルエーテル)、MTM(メチルチオメチルエーテル)、BOM(ベンジルオキシメチルエーテル)、PMBA又はMPM(p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル))、置換エチルエーテル、置換ベンジルエーテル、シリルエーテル(例えば、数例を挙げると、TMS(トリメチルシリルエーテル)、TES(トリエチルシリルエーテル)、TIPS(トリイソプロピルシリルエーテル)、TBDMS(t−ブチルジメチルシリルエーテル)、トリベンジルシリルエーテル、TBDPS(t−ブチルジフェニルシリルエーテル))、エステル(例えば、数例を挙げると、アセテート、ホルマート、ベンゾアート(Bz)、トリフルオロアセテート、ジクロロアセテート)、カルボナート、環状アセタール及びケタールを含む。一部の他の例示的な実施形態では、窒素保護基が用いられる。これらの窒素保護基は、限定されないが、数例を挙げると、カルバマート(例えば、数例を挙げると、メチル、エチル及び置換エチルカルバマート(例えば、Troc)を含む)アミド、環状イミド誘導体、N−アルキル及びN−アリールアミン、イミン誘導体並びにエナミン誘導体を含む。一部の他の例示的な保護基が本明細書で詳述されるが、本発明は、これらの保護基に限定されるものではなく、むしろ、上記基準を用いて種々の追加の等価な保護基が容易に特定され、本発明において用いられうることが理解されるであろう。加えて、様々な保護基が、“Protective Groups in Organic Synthesis”第三版、Greene,T.W.及びWuts,P.G.(編)、John Wiley & Sons,New York:1999に述べられており、この内容全体は参照して本明細書に組み込まれる。
【0045】
本明細書で用いられるような「固形支持体」という用語は、剛体又は半剛性面を有する材料を指す。そのような材料は、微小ビーズ、ペレット、ディスク、チップ、ディッシュ、多穴プレート、ガラススライド、ウエハーなどの形態をとることが好ましいが、他の形体も用いられうる。一部の実施形態では、基材の少なくとも一面は実質的に平坦である。「面」という用語は、固体基材上の概して二次元の如何なる構造をも指し、面であることが途絶えることなく、段、隆起、ねじれ、張り出しなどを有しうる。
【0046】
本明細書で用いられるような「ポリマー支持体」という用語は、アミノ酸又は他の化学的部分がポリマー支持体の官能基との反応によって共有結合されうる可溶性又は不溶性ポリマーを指す。多くの好適なポリマー支持体が公知であり、ポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのような可溶性ポリマー並びにポリスチレン樹脂のような不溶性ポリマーを含む。好適なポリマー支持体は下述のような官能基を含む。ポリマー支持体は、ポリマー又はポリマー支持化合物が使用条件下で可溶性である場合に「可溶性」と称される。しかし、一般的に、可溶性ポリマーは一定条件下で不溶性にすることができる。従って、ポリマー支持体はある条件下では可溶性であり、別の条件下では不溶性となりうる。
【0047】
本明細書で用いられるような「リンカー」という用語は、本発明の化合物の合成を促進するため、対象化合物を固形支持体に結合するのに用いられる化学的部分を指し、或いはリンカーは化合物の一部分を化合物の別の部分に結合しうる。リンカーは共有結合を含むことが好ましい。例示的なリンカーは本明細書で述べられる。当該技術分野において公知の他のリンカーも、本発明の化合物の合成に用いることができることが理解されるであろう。
【0048】
本明細書で用いられるような「化合物」又は「化学化合物」という用語は、有機金属化合物、有機化合物、金属、遷移金属錯体及び小分子を含みうる。一部の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチドは化合物の定義から除外される。他の好ましい実施形態では、ポリヌクレオチド及びペプチドが化合物の定義から除外される。特に好ましい実施形態では、化合物という用語は小分子(例えば、非ペプチド性及び非オリゴマー性が好ましい)を指し、ペプチド、ポリヌクレオチド、遷移金属錯体、金属及び有機金属化合物を除外する。
【0049】
「小分子」:本明細書で用いられるように、「小分子」という用語は、実験室で合成され、或いは天然に見出される、非ペプチド性、非オリゴマー性有機化合物を指す。本明細書で用いられるような小分子は「天然産物様」の化合物を指しうるが、「小分子」という用語は「天然産物様」化合物に限定されない。典型的には、比較的、小分子は数個の炭素−炭素結合を含み、且つ1500未満の分子量を有することを特徴とするが、この特徴付けは本発明を目的として限定されるものではない。天然に生じる「小分子」の例には、限定されないが、タキソール、ダイネミシン及びラパマイシンが含まれる。実験室で合成される「小分子」の例には、限定されないが、Tanら(“Stereoselective Synthesis of over Two Million Compounds Having Structural Features Both Reminiscent of Natural Products and Compatible with Miniaturized Cell−Based Assays”J.Am.Chem.Soc.120:8565,1998;参照して本明細書に組み込まれる)に報告されている化合物が含まれる。一部の他の好ましい実施形態では、天然産物様小分子が用いられる。
【0050】
「天然産物様化合物」:本明細書で用いられるように、「天然産物様化合物」という用語は、進化を通じて自然が選択した複合天然産物に類似する化合物を指す。通常、これらの化合物は、1つの構造内に1つ又はそれ以上の立体中心、高密度及び多様性の官能基並びに原子の多様な選択性を含む。本明細書では、官能基の多様性は、数例を挙げると、化合物に存在する官能基の位相、電荷、大きさ、親水性、疎水性及び反応性を変化させることと定義することができる。本明細書で用いられるような「高密度の官能基」という用語は、好ましくは3つ若しくはそれ以上の潜在性又は活性を示す多様な官能基部分を含む任意の分子を明示するのに用いられうることが好ましい。更に、これらの構造特性は、特定の生物学的受容体と特異的に相互作用しうるという点において、本発明の化合物に対して機能上、複合天然産物を想起させ得、従って、また、機能的に天然産物様となりうる。
「金属キレータ」:本明細書で用いられるように、「金属キレータ」という用語は、金属イオンと錯体(即ち、キレート)を形成することが可能な任意の分子又は部分を指す。一部の例示的な実施形態では、金属キレータは、溶液中で金属イオンに「結合」し、化学/酵素反応における使用を不可とさせる任意の分子又は部分を指す。一部の実施形態では、該溶液は生理学的条件下での水性環境を含む。金属イオンの例には、限定されないが、Ca2+,Fe3+,Zn2+,Naなどが含まれる。一部の実施形態では、金属キレータはHDACの活性部位に見出されるZn2+と結合する。一部の実施形態では、金属イオンを沈殿させる部分の分子(molecules of moieties)は金属キレータとみなされない。
【0051】
本明細書で用いられるように、「生体試料」という用語は、限定されずに、細胞培養物又はその抽出物;動物(例えば、哺乳動物)から得られる生検材料又はその抽出物;並びに血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液若しくは他の体液試料又はそれらの抽出物を含む。例えば、「生体試料」という用語は、単細胞微生物(例えば、細菌及び酵母)及び多細胞生物(例えば、植物及び動物、例えば、脊椎動物又は哺乳動物、特に、健常な、又は外見上健常なヒト被験者或いは診断され、又は検討される病状若しくは疾患に罹患したヒト患者)を含む任意の生存生物から得られ、排泄され、或いは分泌される任意の固体又は流体試料を指す。生体試料は任意の形態でよく、固形材料、例えば、組織、細胞、細胞ペレット、細胞抽出物、細胞ホモジネート又は細胞分画;或いは生検又は生体液を含む。生体液は任意の部位から得てよく(例えば、血液、唾液(又は口腔細胞を含むうがい薬))、涙液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、羊水、腹水及び胸水又はそれら由来の細胞、房水又は硝子体液又は任意の分泌液)、漏出液、浸出液(例えば、膿瘍或いは他の任意の感染及び炎症部位から得られる流体)又は関節(例えば、正常関節又は関節リウマチ、変形性関節症、痛風若しくは敗血症性関節炎のような疾患に冒された関節)から得られる流体でよい。生体試料は任意の器官又は組織(生検又は剖検試料を含む)から得ることができ、或いは細胞(初代細胞又は培養細胞に関わらず)又は任意の細胞、組織若しくは器官によって調整された培地を含みうる。生体試料は組織の切片、例えば、組織学的目的のために採取された凍結切片も含みうる。生体試料は、細胞又は組織ホモジネートの部分的或いは完全な分画によって生成される蛋白質、脂質、炭水化物及び核酸を含む生体分子の混合物も含みうる。試料はヒト被験者から採取されることが好ましいが、生体試料は任意の動物、植物、細菌、ウイルス、酵母などから採取されうる。本明細書で用いられるような「動物」という用語は、任意の発達段階にあるヒト及び非ヒト動物を指し、例えば、哺乳動物、鳥、爬虫動物、両生動物、魚、虫及び単細胞を含む。細胞培養物及び生組織試料は複数の動物であるとみなされる。一部の例示的な実施形態では、非ヒト動物は哺乳動物である(例えば、齧歯動物、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類動物又はブタ)。動物はトランスジェニック動物又はヒトクローンでもよい。所望とあれば、生体試料は予備分離技法を含む予備プロセシングを受けてもよい。
【0052】
上述のように、ヒストンデアセチラーゼ及びチューブリンヒストンデアセチラーゼ及びアグリソームの新規阻害剤の開発の必要性が未だ存在している。特に、既知のHDAC及びTDAC阻害剤よりも効力があり、且つ/或いはそれらの特定の標的により特異的な阻害剤である。HDACファミリーの特定のクラス又はメンバーに特異的なHDAC阻害剤は、増殖性疾患及び蛋白質沈着障害の処置並びにHDACの検討において特に有用であろう。また、HDAC対TDAC及びその逆に対して特異的な阻害剤は疾患を処置し、生物学的経路を探索するのに有用である。本発明は、新規化合物、それらの合成法、それらの医薬組成物並びに癌、増殖性疾患、蛋白質分解障害及び蛋白質沈着障害を処置するためのこれらの化合物の使用法を提供する。
【0053】
(本発明の化合物)
上述のように、本発明は、種々の疾患の処置に有用な化合物を提供する。一部の実施形態では、本発明の化合物はヒストン又はチューブリンデアセチラーゼの阻害剤として有用であり、従って、抗癌剤として有用であり、故に、腫瘍細胞死をもたらし、或いは腫瘍細胞の増殖を抑制することにより、癌の処置に有用となりうる。一部の例示的な実施形態では、本発明の抗癌剤は、限定されないが、数例を挙げると、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌並びに胃癌を含む、癌及び他の増殖性疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、本発明の抗癌剤は白血病細胞及び黒色腫細胞に対して活性を示し、従って、白血病(例えば、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性及びリンパ芽球性白血病)及び悪性黒色腫の処置に有用である。一部の実施形態では、該化合物は多発性骨髄腫の処置に有用である。加えて、本発明の化合物は原虫感染の処置にも有用である。本発明の化合物は、異常な蛋白質異化に関連する疾患、例えば、蛋白質分解障害、ミスフォールド蛋白質に関連する疾患及び蛋白質沈着障害の処置にも有用である。一部の実施形態では、該化合物は、蛋白質沈着障害、ウィルソン病、脊髄小脳失調、プリオン病、パーキンソン病、ハンチントン病、家族性(familian)筋萎縮性側索硬化症、アミロイドーシス、アルツハイマー病、アレキサンダー病(Alexander’s deases)、アルコール性肝疾患、嚢胞性線維症、ピック病及びレビー小体認知症の処置に有用である。一部の例示的な実施形態では、本発明の化合物はヒストン脱アセチル化活性に関連する障害に有用である。一部の例示的な実施形態では、本発明の化合物はチューブリン脱アセチル化活性に関連する障害に有用である。他の例示的な実施形態では、本発明の化合物はアグリソーム活性に関連する障害に有用である。一部の実施形態では、該化合物、特に、エステル部分を含む化合物は、皮膚疾患を処置するのに有用である。本発明の一部の化合物を用いて処置されうる例示的な皮膚疾患は、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、乾癬、脱毛、皮膚炎などを含む。
【0054】
本発明の化合物は上述及び本明細書記載の化合物を含み、本明細書で明示される種々のクラス、サブクラス、亜属及び種によって部分的に示される。本発明は、化合物、例えば、該方法において有用な化合物、本発明の医薬組成物、キット及び包装組成物を提供する。本発明の化合物は、ヒストンデアセチラーゼ、チューブリンデアセチラーゼ又はアグリソームの阻害剤である。典型的には、本発明の化合物は1,3−ジオキサンコア構造に基づいている。
【0055】
本発明の例示的なクラスの化合物は、式:
【0056】
【化68】

(式中、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;そして、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の化合物並びにそれらの医薬的に許容可能な塩及び誘導体である。一部の実施形態では、Rは金属キレート官能基(例えば、ヒドロキシアミド酸、チオール、カルボン酸(carboxlic acids)、オルト−アミノアニリドなど)を含む。
【0057】
当業者には理解されるであろうように、tubacin及びその誘導体の1,3−ジオキサンコアと比べて、該2つのクラスの化合物の各々では、1,3−ジオキサンコアは120°回転している。
【0058】
本発明は、isotubacinクラスの化合物も提供する。これらの化合物は、式:
【0059】
【化69】

の化合物である。このクラスの化合物を調製する一般的合成スキームが図2に示されている。図3はisotubacinの合成を示す合成スキームである。
【0060】
一部の実施形態では、この第二のクラスの化合物は図示されるような立体化学を有する、以下の式:
【0061】
【化70】

の1つである。
【0062】
一部の実施形態では、Rは置換フェニル環である。一部の特定の実施形態では、Rは、式:
【0063】
【化71】

のRであり、式中、R’は、
【0064】
【化72】

である(式中、YはNH又はOである;Lはリンカー部分である;また、Aはヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む)。
【0065】
一部の実施形態では、Rは、式:
【0066】
【化73】

のRである。
【0067】
他の実施形態では、Rは、式:
【0068】
【化74】

のRである。一部の実施形態では、YはNHである。別の実施形態では、YはOである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分;置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分;置換又は非置換アリール部分;置換又は非置換ヘテロアリール部分である。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分である。一部の実施形態では、LはC−C20アルキリデンであり、好ましくは、C−C12アルキリデン、更に好ましくは、C−Cアルキリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルケニリデンであり、好ましくは、C−C12アルケニリデン、更に好ましくは、C−Cアルケニリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルキニリデンであり、好ましくは、C−C12アルキニリデン、更に好ましくは、C−Cアルキニリデンである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分である。一部の実施形態では、Lは環状環系を含み、該環は、アリール、ヘテロアリール、非芳香族炭素環又は非芳香族複素環でよい。更に別の実施形態では、Lは置換又は非置換ヘテロアリール部分を含む。一部の特定の実施形態では、Lはフェニル環を含む。一部の実施形態では、Lは複数のフェニル環を含む(例えば、1,2,3又は4個のフェニル環)。
【0069】
一部の実施形態では、Lは、
【0070】
【化75】

である(式中、nは1〜4を含む整数であり、好ましくは、1〜3を含む;更に好ましくは、1又は2;また、Rは、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHR;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。一部の実施形態では、Lは、
【0071】
【化76】

である。
【0072】
一部の実施形態では、Lは、
【0073】
【化77】

である。
【0074】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状アルキル鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0075】
【化78】

である。他の実施形態では、Lは、
【0076】
【化79】

である。一部の他の実施形態では、Lは、
【0077】
【化80】

である。他の実施形態では、Lは、
【0078】
【化81】

である。更に別の実施形態では、Lは、
【0079】
【化82】

である。
【0080】
一部の実施形態では、Lは、置換、非環状脂肪族鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0081】
【化83】

である。
【0082】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状ヘテロ脂肪族鎖である。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0083】
【化84】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0084】
【化85】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0085】
【化86】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、R’は、水素、C−C脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール又はアシルである)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0086】
【化87】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の実施形態では、Aは金属キレート官能基を含む。例えば、AはZn2+キレート基を含む。一部の実施形態では、Aは、
【0087】
【化88】

からなる群より選択される官能基を含む。一部の実施形態では、Aは、ヒドロキサム酸
【0088】
【化89】

又はその塩を含む。他の実施形態では、Aは、式:
【0089】
【化90】

を含む。一部の特定の実施形態では、Aは、式:
【0090】
【化91】

を含む。他の実施形態では、Aはカルボン酸(−COH)を含む。他の実施形態では、Aは、o−アミノアニリド
【0091】
【化92】

を含む。他の実施形態では、Aは、o−ヒドロキシアニリド
【0092】
【化93】

を含む。更に別の実施形態では、Aはチオール(−SH)を含む。一部の実施形態では、R’は、
【0093】
【化94】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R’は、
【0094】
【化95】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R’は、
【0095】
【化96】

である。他の特定の実施形態では、R’は、
【0096】
【化97】

である。
【0097】
一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、Rはヒドロキシル又は保護ヒドロキシル基である。一部の実施形態では、Rはアルコキシである。更に別の実施形態では、Rは、低級アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。一部の実施形態では、Rは-(CH−X(Rである(式中、Xは、O,S,N又はCであり、好ましくは、O,S又はNである;nは、1,2又は3である;また、mは1〜6を含む整数である)。一部の実施形態では、Rは-CH−X(Rである(式中、Xは、O,S,N又はCであり、好ましくは、O,S又はNである;また、nは、1,2又は3である)。一部の実施形態では、Rは-CH−ORである。他の実施形態では、Rは-CH−SRである。更に別の実施形態では、Rは-CH−Rである。他の実施形態では、Rは-CH−N(Rである。更に別の実施形態では、Rは-CH−NHRである。本発明の一部の実施形態では、Rは、
【0098】
【化98】

の1つである(式中、m及びpは各々独立して、0〜3の整数である;qは1〜6の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。本発明の一部の実施形態では、Rは、構造体:
【0099】
【化99】

の1つである(式中、mは1〜4の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。
【0100】
一部の実施形態では、−CH−X(R又は−(CH−X(Rの−X(Rは、構造体:
【0101】
【化100】

【0102】
【化101】

の1つを有する。
【0103】
一部の実施形態では、Rは、
【0104】
【化102】

である(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)。他の実施形態では、Rは、
【0105】
【化103】

である。
【0106】
一部の実施形態では、Rは以下:
【0107】
【化104】

の1つから選択される。
【0108】
一部の実施形態では、Rは脂肪族である。他の実施形態では、Rはヘテロ脂肪族である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換アリール部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは単環式部分である。他の実施形態では、Rは二環式部分である。更に別の実施形態では、Rは三環式部分である。更に別の実施形態では、Rは多環式部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、5又は6員、芳香族又はヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、6員、芳香族又はヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換6員芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換6員ヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、非芳香族、炭素環又は複素環式部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換アリールである。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは、
【0109】
【化105】

である。一部の特定の実施形態では、Rはモノ置換フェニルである。一部の実施形態では、Rはパラ置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは、
【0110】
【化106】

である(式中、R’は、水素、保護基、固形支持体ユニット、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール又は−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)。一部の実施形態では、Rは、
【0111】
【化107】

である。一部の実施形態では、Rは、
【0112】
【化108】

ではない。他の実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロアリールである。
【0113】
一部の実施形態では、本発明は、式:
【0114】
【化109】

の化合物を提供する(式中、R及びRは上記のように定義される;nは1〜5を含む整数である;また、R’の各出現は独立して、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。
【0115】
一部の実施形態では、nは0であり、フェニル環は置換されない。
【0116】
他の実施形態では、nは1であり、該化合物は、式:
【0117】
【化110】

の1つである。一部の実施形態では、パラ置換パターンが好ましい。他の実施形態では、メタ置換パターンが好ましい。また、更に別の実施形態では、オルト置換パターンが好ましい。
【0118】
他の実施形態では、nは2である。本発明の化合物は、式:
【0119】
【化111】

の1つの化合物を含む。
【0120】
他の実施形態では、nは3である。更に別の実施形態では、nは4であり、他の実施形態では、nは5である。
【0121】
一部の実施形態では、R’は、ハロゲン、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル又はアシルである。一部の実施形態では、R’は−NOである。一部の実施形態では、R’は−CHOHである。一部の実施形態では、R’は−NHである。一部の実施形態では、R’は−Hである。別の実施形態では、R’は−OHである。別の実施形態では、R’は−CNである。更に別の実施形態では、R’は−SCNである。更に別の実施形態では、R’はアシルである。一部の実施形態では、R’はアセチルである。別の実施形態では、R’は−Fである。別の実施形態では、R’は−Clである。別の実施形態では、R’は−Brである。別の実施形態では、R’は−Iである。別の実施形態では、R’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル又はイソ−ブチルである。一部の実施形態では、R’はビニルである。一部の実施形態では、R’はハロゲン置換アルキルである(例えば、トリフルオロメチル)。一部の実施形態では、R’は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシである。
【0122】
この第二の“isotubacin”クラスの例示的な化合物は、式:
【0123】
【化112】

【0124】
【化113】

【0125】
【化114】

の化合物を含む。
【0126】
本発明は、isoisotubacinクラスの化合物も提供する。これらの化合物は、式:
【0127】
【化115】

の化合物である。このクラスの化合物を調製するための一般的合成スキームが図4に示されている。図5はisoisotubacinの合成を示す合成スキームである。
【0128】
一部の実施形態では、この第二のクラスの化合物は、図示されるような立体化学を有する、以下の式:
【0129】
【化116】

の1つである。
【0130】
一部の実施形態では、Rは置換フェニル環である。一部の特定の実施形態では、Rは、式:
【0131】
【化117】

のRであり、式中、R’は、
【0132】
【化118】

である(式中、YはNH又はOである;Lはリンカー部分である;また、Aはヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む)。
【0133】
一部の実施形態では、Rは、式:
【0134】
【化119】

のRである。
【0135】
他の実施形態では、Rは、式:
【0136】
【化120】

のRである。一部の実施形態では、YはNHである。別の実施形態では、YはOである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分;置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分;置換又は非置換アリール部分;置換又は非置換ヘテロアリール部分である。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分である。一部の実施形態では、LはC−C20アルキリデンであり、好ましくは、C−C12アルキリデン、更に好ましくは、C−Cアルキリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルケニリデンであり、好ましくは、C−C12アルケニリデン、更に好ましくは、C−Cアルケニリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルキニリデンであり、好ましくは、C−C12アルキニリデン、更に好ましくは、C−Cアルキニリデンである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分である。一部の実施形態では、Lは環状環系を含み、該環は、アリール、ヘテロアリール、非芳香族炭素環又は非芳香族複素環でよい。更に別の実施形態では、Lは置換又は非置換ヘテロアリール部分を含む。一部の特定の実施形態では、Lはフェニル環を含む。一部の実施形態では、Lは複数のフェニル環を含む(例えば、1,2,3又は4個のフェニル環)。
【0137】
一部の実施形態では、Lは、
【0138】
【化121】

である(式中、nは1〜4を含む整数であり、好ましくは、1〜3を含む;更に好ましくは、1又は2;また、Rは、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHR;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。一部の実施形態では、Lは、
【0139】
【化122】

である。
【0140】
一部の実施形態では、Lは、
【0141】
【化123】

である。
【0142】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状アルキル鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0143】
【化124】

である。他の実施形態では、Lは、
【0144】
【化125】

である。一部の他の実施形態では、Lは、
【0145】
【化126】

である。他の実施形態では、Lは、
【0146】
【化127】

である。更に別の実施形態では、Lは、
【0147】
【化128】

である。
【0148】
一部の実施形態では、Lは、置換、非環状脂肪族鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0149】
【化129】

である。
【0150】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状ヘテロ脂肪族鎖である。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0151】
【化130】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0152】
【化131】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0153】
【化132】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、R’は、水素、C−C脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール又はアシルである)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0154】
【化133】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の実施形態では、Aは金属キレート官能基を含む。例えば、AはZn2+キレート基を含む。一部の実施形態では、Aは、
【0155】
【化134】

からなる群より選択される官能基を含む。一部の実施形態では、Aは、ヒドロキサム酸
【0156】
【化135】

又はその塩を含む。他の実施形態では、Aは、式:
【0157】
【化136】

を含む。一部の特定の実施形態では、Aは、式:
【0158】
【化137】

を含む。他の実施形態では、Aはカルボン酸(−COH)を含む。他の実施形態では、Aは、o−アミノアニリド
【0159】
【化138】

を含む。他の実施形態では、Aは、o−ヒドロキシアニリド
【0160】
【化139】

を含む。更に別の実施形態では、Aはチオール(−SH)を含む。一部の実施形態では、R1’は、
【0161】
【化140】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R1’は、
【0162】
【化141】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R1’は、
【0163】
【化142】

である。他の特定の実施形態では、R’は、
【0164】
【化143】

である。
【0165】
一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、Rはヒドロキシル又は保護ヒドロキシル基である。一部の実施形態では、Rはアルコキシである。更に別の実施形態では、Rは、低級アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。一部の実施形態では、Rは-CH−X(Rである(式中、Xは、O,S,N又はCであり、好ましくは、O,S又はNである;また、nは、1,2又は3である)。一部の実施形態では、Rは-CH−ORである。他の実施形態では、Rは-CH−SRである。更に別の実施形態では、Rは-CH−Rである。他の実施形態では、Rは-CH−N(Rである。更に別の実施形態では、Rは-CH−NHRである。本発明の一部の実施形態では、Rは、
【0166】
【化144】

の1つである(式中、m及びpは各々独立して、0〜3の整数である;qは1〜6の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。本発明の一部の実施形態では、Rは、構造体:
【0167】
【化145】

の1つである(式中、mは1〜4の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。
【0168】
一部の実施形態では、−X(R)nは、構造体:
【0169】
【化146】

【0170】
【化147】

の1つを有する。
【0171】
一部の実施形態では、Rは、
【0172】
【化148】

である(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)。他の実施形態では、Rは、
【0173】
【化149】

である。
【0174】
一部の実施形態では、Rは以下:
【0175】
【化150】

の1つから選択される。
【0176】
一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、アリール又はヘテロアリール部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、炭素環又は複素環式部分である。Rの環系は、単環式、二環式、三環式又は多環式でよい。環系を構成する環は、3員(例えば、オキシラニル、シクロプロピル、アジリジニル);4員;5員;6員;7員;8員;又はn員でよい。二環式、三環式又は多環式環系では、環は縮合され、スピロ結合され、或いは共有結合を介して結合されうる。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換単環式アリール部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換単環式フェニル部分である。一部の実施形態では、Rは置換単環式フェニル部分である。一部の実施形態では、Rは非置換フェニルである。一部の実施形態では、Rはモノ置換フェニル部分である。他の実施形態では、Rは二置換フェニル部分である。更に別の実施形態では、Rは三置換フェニル部分である。別の実施形態では、Rは置換又は非置換単環式ヘテロアリール部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ピリジニル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ピロリル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換イミダゾリル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換チアゾリル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換オキサゾリル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換フラニル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換チオフェニル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換単環式炭素環式部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換シクロペンチル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換シクロヘキシル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換単環式複素環式部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ピペリジニル部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ピロリジニル部分である。
【0177】
一部の実施形態では、Rは置換又は非置換アリール部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは単環式部分である。他の実施形態では、Rは二環式部分である。更に別の実施形態では、Rは三環式部分である。更に別の実施形態では、Rは多環式部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、5又は6員芳香族又はヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、6員芳香族又はヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換6員芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換6員ヘテロ芳香族部分である。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換、非芳香族、炭素環又は複素環式部分である。一部の実施形態では、Rは非置換アリールである。一部の実施形態では、Rは置換アリールである。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換フェニルである。一部の特定の実施形態では、Rは一置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは、
【0178】
【化151】

である。一部の実施形態では、Rはパラ置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは、
【0179】
【化152】

である(式中、R’は、水素、保護基、固形支持体ユニット、アルキル、アシル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリール、−(アルキル)ヘテロアリール、−(ヘテロアルキル)アリール又は−(ヘテロアルキル)ヘテロアリール部分である)。一部の実施形態では、Rは、
【0180】
【化153】

である。一部の実施形態では、Rは、
【0181】
【化154】

ではない。他の実施形態では、Rは置換又は非置換ヘテロアリールである。
【0182】
一部の実施形態では、本発明は、式:
【0183】
【化155】

の化合物を提供する(式中、R及びRは上記のように定義される;nは1〜5を含む整数である;また、R’の各出現は独立して、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。
【0184】
一部の実施形態では、nは0であり、フェニル環は置換されない。
【0185】
他の実施形態では、nは1であり、該化合物は、式:
【0186】
【化156】

の1つである。一部の実施形態では、パラ置換パターンが好ましい。他の実施形態では、メタ置換パターンが好ましい。また、更に別の実施形態では、オルト置換パターンが好ましい。
【0187】
他の実施形態では、nは2である。本発明の化合物は、式:
【0188】
【化157】

の1つの化合物を含む。
【0189】
他の実施形態では、nは3である。更に別の実施形態では、nは4であり、他の実施形態では、nは5である。
【0190】
一部の実施形態では、R’は、ハロゲン、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−NO、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル又はアシルである。一部の実施形態では、R’は−NOである。一部の実施形態では、R’は−CHOHである。一部の実施形態では、R’は−NHである。一部の実施形態では、R’は−Hである。別の実施形態では、R’は−OHである。別の実施形態では、R’は−CNである。更に別の実施形態では、R’は−SCNである。更に別の実施形態では、R’はアシルである。一部の実施形態では、R’はアセチルである。別の実施形態では、R’は−Fである。別の実施形態では、R’は−Clである。別の実施形態では、R’は−Brである。別の実施形態では、R’は−Iである。別の実施形態では、R’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、tert−ブチル又はイソ−ブチルである。一部の実施形態では、R’はビニルである。一部の実施形態では、R’はハロゲン置換アルキルである(例えば、トリフルオロメチル)。一部の実施形態では、R’は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシである。
【0191】
“isoisotubacin”クラスの例示的な化合物は、式:
【0192】
【化158】

【0193】
【化159】

【0194】
【化160】

の化合物を含む。
【0195】
別の実施形態では、本発明は、本明細書で述べるHDAC阻害剤の二量体、三量体又は多量体を提供する。一部の実施形態では、二量体は、一般式、
【0196】
【化161】

の二量体であり、Rの各形成はヒストンデアセチラーゼ又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含み、式中、2つのR群は同じであり、或いは異なってよい。二量体、三量体又は多量体HDAC阻害剤は、2006年2月14日に申請された米国仮特許出願USSN 60/773,510に更に述べられており、これは参照して本明細書に組み込まれる。該文献中の二量体化合物におけるtubacin構造は、isotubacin及びisoisotubacin構造に変更されうる。ジオキサンコアは三量体も提供し得、その場合、Rは−Rである。
【0197】
一部の実施形態では、Rは置換フェニル環である。一部の特定の実施形態では、Rは、式:
【0198】
【化162】

のRであり、式中、R’は、
【0199】
【化163】

である(式中、YはNH又はOである;Lはリンカー部分である;また、Aはヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む)。
【0200】
一部の実施形態では、Rは、式:
【0201】
【化164】

のRである。
【0202】
他の実施形態では、Rは、式:
【0203】
【化165】

のRである。一部の実施形態では、YはNHである。別の実施形態では、YはOである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分;置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分;置換又は非置換アリール部分;置換又は非置換ヘテロアリール部分である。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状脂肪族部分である。一部の実施形態では、LはC−C20アルキリデンであり、好ましくは、C−C12アルキリデン、更に好ましくは、C−Cアルキリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルケニリデンであり、好ましくは、C−C12アルケニリデン、更に好ましくは、C−Cアルケニリデンである。一部の実施形態では、LはC−C20アルキニリデンであり、好ましくは、C−C12アルキニリデン、更に好ましくは、C−Cアルキニリデンである。一部の実施形態では、Lは、置換又は非置換、環状又は非環状、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族部分である。一部の実施形態では、Lは環状環系を含み、該環は、アリール、ヘテロアリール、非芳香族炭素環又は非芳香族複素環でよい。更に別の実施形態では、Lは置換又は非置換ヘテロアリール部分を含む。一部の特定の実施形態では、Lはフェニル環を含む。一部の実施形態では、Lは複数のフェニル環を含む(例えば、1,2,3又は4個のフェニル環)。
【0204】
一部の実施形態では、Lは、
【0205】
【化166】

である(式中、nは1〜4を含む整数であり、好ましくは、1〜3を含む;更に好ましくは、1又は2;また、Rは、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHR;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。一部の実施形態では、Lは、
【0206】
【化167】

である。
【0207】
一部の実施形態では、Lは、
【0208】
【化168】

である。
【0209】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状アルキル鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0210】
【化169】

である。他の実施形態では、Lは、
【0211】
【化170】

である。一部の他の実施形態では、Lは、
【0212】
【化171】

である。他の実施形態では、Lは、
【0213】
【化172】

である。更に別の実施形態では、Lは、
【0214】
【化173】

である。
【0215】
一部の実施形態では、Lは、置換、非環状脂肪族鎖である。一部の実施形態では、Lは、
【0216】
【化174】

である。
【0217】
一部の実施形態では、Lは、非分岐状、非置換、非環状ヘテロ脂肪族鎖である。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0218】
【化175】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0219】
【化176】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0220】
【化177】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、R’は、水素、C−C脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール又はアシルである)。一部の特定の実施形態では、Lは、
【0221】
【化178】

である(式中、nは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む;また、mは0〜10を含む整数であり、好ましくは、0〜5を含む)。一部の実施形態では、Aは金属キレート官能基を含む。例えば、AはZn2+キレート基を含む。一部の実施形態では、Aは、
【0222】
【化179】

からなる群より選択される官能基を含む。一部の実施形態では、Aは、ヒドロキサム酸
【0223】
【化180】

又はその塩を含む。他の実施形態では、Aは、式:
【0224】
【化181】

を含む。一部の特定の実施形態では、Aは、式:
【0225】
【化182】

を含む。他の実施形態では、Aはカルボン酸(−COH)を含む。他の実施形態では、Aは、o−アミノアニリド
【0226】
【化183】

を含む。他の実施形態では、Aは、o−ヒドロキシアニリド
【0227】
【化184】

を含む。更に別の実施形態では、Aはチオール(−SH)を含む。一部の実施形態では、R’は、
【0228】
【化185】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R’は、
【0229】
【化186】

である(式中、nは0〜15を含む整数であり、好ましくは、0〜10を含む;更に好ましくは、1〜8を含む;更に一層好ましくは、4,5,6,7又は8)。一部の実施形態では、R’は、
【0230】
【化187】

である。他の特定の実施形態では、R’は、
【0231】
【化188】

である。
【0232】
本発明の一部の実施形態では、isotubacinの構造に基づく本発明の化合物は、式:
【0233】
【化189】

の化合物である(式中、R’の各形成は上記のように定義され、R’の両形成は同一であり、或いは異なる;また、Rは、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、Rはヒドロキシル又は保護ヒドロキシル基である。一部の実施形態では、Rはアルコキシである。更に別の実施形態では、Rは、低級アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。一部の実施形態では、Rは-CH−X(Rである(式中、Xは、O,S,N又はCであり、好ましくは、O,S又はNである;また、nは、1,2又は3である)。一部の実施形態では、Rは-CH−ORである。他の実施形態では、Rは-CH−SRである。更に別の実施形態では、Rは-CH−Rである。他の実施形態では、Rは-CH−N(Rである。更に別の実施形態では、Rは-CH−NHRである。本発明の一部の実施形態では、Rは、
【0234】
【化190】

【0235】
【化191】

の1つである(式中、m及びpは各々独立して、0〜3の整数である;qは1〜6の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。本発明の一部の実施形態では、Rは、構造体:
【0236】
【化192】

の1つである(式中、mは1〜4の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。
【0237】
一部の実施形態では、−CH−X(Rの−X(Rは、構造体:
【0238】
【化193】

【0239】
【化194】

の1つを有する。
【0240】
一部の実施形態では、Rは、
【0241】
【化195】

である(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)。他の実施形態では、Rは、
【0242】
【化196】

である。
【0243】
本発明の一部の実施形態では、式の立体化学は、以下:
【0244】
【化197】

の1つから選択される。
【0245】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0246】
【化198】

の化合物である(式中、A,B及びRは上記に定義した通りである;XはO又はNHである;nは1〜20を含む整数であり、好ましくは、1〜12を含む;更に好ましくは、2〜8を含む)。一部の実施形態では、nは、2,3,4,5,6,7又は8である;好ましくは、6である。一部の実施形態では、XはNHである。別の実施形態では、XはOである。
【0247】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0248】
【化199】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである;nは1〜20を含む整数であり、好ましくは、1〜12を含む;更に好ましくは、2〜8を含む)。一部の実施形態では、nは、2,3,4,5,6,7又は8である;好ましくは、6である。
【0249】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0250】
【化200】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである)。
【0251】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0252】
【化201】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである)。
【0253】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0254】
【化202】

の化合物である。
【0255】
本発明の一部の実施形態では、isoisotubacinの構造に基づく本発明の化合物は、式:
【0256】
【化203】

の化合物である(式中、R’の各出現は独立して上記のように定義され、R’の両形成は同一であり、或いは異なる;また、Rは、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)。一部の実施形態では、Rは水素である。他の実施形態では、Rはヒドロキシル又は保護ヒドロキシル基である。一部の実施形態では、Rはアルコキシである。更に別の実施形態では、Rは、低級アルキル、アルケニル又はアルキニル基である。一部の実施形態では、Rは-CH−X(Rである(式中、Xは、O,S,N又はCであり、好ましくは、O,S又はNである;また、nは、1,2又は3である)。一部の実施形態では、Rは-CH−ORである。他の実施形態では、Rは-CH−SRである。更に別の実施形態では、Rは-CH−Rである。他の実施形態では、Rは-CH−N(Rである。更に別の実施形態では、Rは-CH−NHRである。本発明の一部の実施形態では、Rは、
【0257】
【化204】

【0258】
【化205】

の1つである(式中、m及びpは各々独立して、0〜3の整数である;qは1〜6の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。本発明の一部の実施形態では、Rは、構造体:
【0259】
【化206】

の1つである(式中、mは1〜4の整数である;R2Cは、水素、低級アルキル又は窒素保護基である;また、R2Bの各出現は独立して、水素、ハロゲン、−CN又はWRW1であり、Wは、O,S,NRW2,−C(=O),−S(=O),−SO,−C(=O)O−,−OC(=O),−C(=O)NRW2,−NRW2C(=O)である;RW1及びRW2の各出現は独立して、水素、保護基、プロドラッグ部分又はアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、複素環式、アリール若しくはヘテロアリール部分であり、或いはWがNRW2である場合、RW1及びRW2は、それらが結合される窒素原子と共に複素環式又はヘテロアリール部分を形成する;或いは任意の隣接する2個のR2Bの形成は、それらが結合される原子と共に置換又は非置換、飽和又は不飽和、脂環式又は複素環式部分或いは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分を形成する)。
)。
【0260】
一部の実施形態では、−CH−X(R)nの−X(Rは、構造体:
【0261】
【化207】

【0262】
【化208】

の1つを有する。
【0263】
一部の実施形態では、Rは、
【0264】
【化209】

である(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)。他の実施形態では、Rは、
【0265】
【化210】

である。
【0266】
本発明の一部の実施形態では、式の立体化学は、以下:
【0267】
【化211】

の1つから選択される。
【0268】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0269】
【化212】

の化合物である(式中、A,B及びRは上記に定義した通りである;XはO又はNHである;nは1〜20を含む整数であり、好ましくは、1〜12を含む;更に好ましくは、2〜8を含む)。一部の実施形態では、nは、2,3,4,5,6,7又は8である;好ましくは、6である。一部の実施形態では、XはNHである。別の実施形態では、XはOである。
【0270】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0271】
【化213】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである;nは1〜20を含む整数であり、好ましくは、1〜12を含む;更に好ましくは、2〜8を含む)。一部の実施形態では、nは、2,3,4,5,6,7又は8である;好ましくは、6である。
【0272】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0273】
【化214】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである)。
【0274】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0275】
【化215】

の化合物である(式中、Rは上記に定義した通りである)。
【0276】
本発明の一部の実施形態では、化合物は、式:
【0277】
【化216】

の化合物である。
【0278】
前述の化合物の一部は1つ又はそれ以上の不斉中心を含むことができ、従って、種々の異性体、例えば、立体異性体及び/又はジアステレオ異性体が存在しうる。従って、本発明の化合物及びその医薬組成物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオ異性体又は幾何異性体の形態でよく、或いは立体異性体の混合物の形態でよい。一部の実施形態では、本発明の化合物はエナンチオピュア化合物である。一部の他の実施形態では、立体異性体又はジアステレオ異性体の混合物が提供される。
【0279】
更に、本明細書で述べるような一部の化合物は、別記しない限り、Z又はE異性体として存在しうる、1つ又はそれ以上の二重結合を有しうる。加えて、本発明は、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として、或いは種々の異性体の混合物、例えば、立体異性体のラセミ混合物としての化合物を包含する。上述の化合物自体に加え、本発明は、これらの化合物の医薬的に許容可能な誘導体並びに本発明の1つ又はそれ以上の化合物を含む組成物並びに医薬的に許容可能な賦形剤又は添加剤を包含する。
【0280】
本発明の化合物は、様々な条件下でいずれもの上記式の化合物の結晶化によって調製され得、本発明の一部をなすいずれもの上記一般式の化合物の1つの多形体又は多形体の組合せとして存在しうる。例えば、異なる温度にて結晶化を行い、或いは結晶化時に極急冷から極徐冷にわたる種々の冷却モードを用いることにより、再結晶化用の異種溶媒又は溶媒の異種混合物を用いて異なる多形体は特定され、且つ/或いは調製されうる。多形体は、化合物を加熱し、或いは溶解し、次に、徐冷又は急冷することによっても得られうる。多形体の存在は、固体プローブNMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定法、粉末X線ディフラクトグラム及び/又は他の技法によって判定されうる。従って、本発明は、本発明の化合物、その誘導体、その互変異性型、その立体異性体、その多形体、その医薬的に許容可能な塩、その医薬的に許容可能な溶媒和物及びそれを含む医薬的に許容可能な組成物を包含する。
【0281】
(合成の概要)
上述のように、本発明は、新規化合物、具体的には、上述のような1,3−ジオキサンコアを有する化合物を提供する。“tubacin”クラスの化合物の合成は、過去に申請された米国特許出願、2006年3月22日に申請されたUSSN 11/386,959;2005年3月22日に申請されたUSSN 60/664,470;2001年5月9日に申請されたUSSN 60/289,850;2002年5月9日に申請されたUSSN 10/144,316;及び2003年7月17日に申請されたUSSN 10/621,276に述べられており、これらの各々は参照して本明細書に組み込まれる。当業者には理解されるであろうように、これらの特許出願に述べられている様々な反応及び合成スキームが、本明細書で述べられている本発明の化合物を調製するのに用いられうる。
【0282】
isotubacinクラスの化合物を調製するための一般的合成スキームが図2に示されている。特定の例示的なisotubacinの合成が図3に示されている。式
【0283】
【化217】

の化合物に対し、コア構造の合成法が提供され、該方法は、構造:
【0284】
【化218】

を有するエポキシアルコールを提供するステップ;
好適な条件下、該エポキシアルコールを、RXH構造を有する試薬と反応させ、コア構造:
【0285】
【化219】

を有するジオールを生成するステップ;
ニトロ基を還元し、コア構造:
【0286】
【化220】

を有するジオールを生成するステップ;
アミノ基をアシル化剤と反応させ、コア構造:
【0287】
【化221】

を有するジオールを生成するステップ;
好適な条件下、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させ、コア構造:
【0288】
【化222】

を有する骨格を生成するステップ;
を含むことが理解されるであろう
(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;そして、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)。一部の実施形態では、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させるというよりも、該ジオールはRCHO構造のアルデヒドと反応させられる。他の実施形態では、該方法は任意に、R,R,R’,R又はRの官能基を保護し、且つ/或いは脱保護する追加ステップを含む。別の実施形態では、該方法は任意に、R,R,R’,R又はRの官能基を変更する追加ステップを含む。例えば、図2では、R’のメチルエステル官能基がヒドロキサム酸官能基に変換されている。
【0289】
一部の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0290】
【化223】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0291】
【化224】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0292】
【化225】

を有する。
【0293】
一部の別の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0294】
【化226】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0295】
【化227】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0296】
【化228】

を有する。
【0297】
一部の別の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0298】
【化229】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0299】
【化230】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0300】
【化231】

を有する。
【0301】
一部の例示的な実施形態では、Aはヒドロキサム酸である。一部の実施形態では、LはC−Cアルキリデン部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換フェニルである。一部の特定の実施形態では、Rは非置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは置換フェニルである。一部の実施形態では、XはOである。他の実施形態では、XはSである。一部の実施形態では、XはNH又はNRである。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールである。
【0302】
“isoisotubacin”クラスの化合物を調製するための一般的合成スキームが図6に示されている。特定の例示的なisotubacinの合成が図7に示されている。式
【0303】
【化232】

の化合物に対し、コア構造の合成法が提供され、該方法は、構造:
【0304】
【化233】

を有するベータ−ヒドロキシケトンを提供するステップ;
該ケトンを還元し、コア構造:
【0305】
【化234】

を有するジオールを生成するステップ;
ニトロ基を還元し、コア構造:
【0306】
【化235】

を有するジオールを生成するステップ;
アミノ基をアシル化剤と反応させ、コア構造:
【0307】
【化236】

を有するジオールを生成するステップ;
好適な条件下、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させ、コア構造:
【0308】
【化237】

を有する骨格を生成するステップ;
を含むことが理解されるであろう
(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;そして、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)。一部の実施形態では、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させるというよりも、該ジオールはRCHO構造のアルデヒドと反応させられる。一部の実施形態では、試薬RCH(OMe)又は他のアセタールは、対応するアルデヒドRCHOから形成される。一部の実施形態では、本明細書でのクラス及びサブクラスにおいて述べられるように、Rは、置換又は非置換アリール又はヘテロアリール部分である。他の実施形態では、該方法は任意に、R,R’,R又はRの官能基を保護し、且つ/或いは脱保護する追加ステップを含む。他の実施形態では、該方法は任意に、R,R’,R又はRの官能基を変更する追加ステップを含む。例えば、図4では、R’の保護ヒドロキサム酸官能基が脱保護されている。
【0309】
一部の実施形態では、構造:
【0310】
【化238】

を有するベータ−ヒドロキシケトンを提供するステップは、該ベータ−ヒドロキシケトンを形成するため、好適な条件(例えば、塩基性条件)下、式:
【0311】
【化239】

のアルデヒドを、式:
【0312】
【化240】

のケトンと反応させるステップを含む。
【0313】
一部の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0314】
【化241】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0315】
【化242】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0316】
【化243】

を有する。
【0317】
一部の別の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0318】
【化244】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0319】
【化245】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0320】
【化246】

を有する。
【0321】
一部の別の例示的な実施形態では、該エポキシアルコールは、構造:
【0322】
【化247】

を有する;
該ジオールは、構造:
【0323】
【化248】

を有する(式中、XはS又はOである);そして、コア骨格は、構造:
【0324】
【化249】

を有する。
【0325】
一部の例示的な実施形態では、Aはヒドロキサム酸である。一部の実施形態では、LはC−Cアルキリデン部分である。一部の実施形態では、Rは置換又は非置換フェニルである。一部の特定の実施形態では、Rは非置換フェニルである。一部の実施形態では、Rは置換フェニルである。一部の実施形態では、XはOである。他の実施形態では、XはSである。一部の実施形態では、XはNH又はNRである。一部の実施形態では、Rは、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールである。
【0326】
(医薬組成物)
上述のように、本発明は、抗腫瘍、抗神経変性、抗生及び抗増殖活性を有する新規化合物を提供し、従って、本発明の化合物は、癌、良性新生物、神経変性障害、蛋白質分解障害及び蛋白質沈着障害の処置に有用である。
【0327】
従って、本発明の別の態様では、本明細書で述べる任意の1つの化合物(或いはそのプロドラッグ、医薬的に許容可能な塩又は他の医薬的に許容可能な誘導体)を含み、任意に、医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、これらの組成物は任意に更に、1つ又はそれ以上の追加の治療剤を含む。或いは、本発明の化合物は、1つ又はそれ以上の他の治療剤の投与と組み合わせ、それを必要とする患者に投与されうる。例えば、本発明の化合物との併用投与又は本発明の化合物を含む医薬組成物への含有のための追加治療剤は、承認済化学療法剤でよく、或いは原虫感染及び/又は細胞の過剰増殖に関連する任意の障害の処置のための承認を最終的に得る、食品医薬品局(the Food and Drug Administration)による認可を受けている多くの薬剤の任意の1つの薬剤でよい。一部の他の実施形態では、追加治療剤は、本明細書で更に詳細に考察されるように、抗癌剤である。一部の他の実施形態では、本発明の組成物は原虫感染の処置に有用である。癌又は蛋白質分解障害の処置では、本発明の化合物はプロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、R115777 FTI、MG132、NPI−0052など)と併用されうる。癌又は蛋白質分解障害の処置では、本発明の化合物は蛋白質分解阻害剤(例えば、本発明の別の化合物、tubacin様化合物、ボルテゾミブ、R115777 FTI、MG132、NPI−0052、SAHA、166Ho−DOTMP、三酸化ヒ素、17−AAG、MG132、sapojargonなど)と併用されうる。
【0328】
上述のように、本発明の化合物は抗癌剤として有用であり、従って、腫瘍細胞死をもたらし、或いは腫瘍細胞の増殖を阻害することにより、癌の処置に有用となりうる。一般的に、本発明の抗癌剤は、少数の例を挙げると、乳癌、脳腫瘍、皮膚癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌並びに胃癌を含むが、これらに限定されない癌の処置に有用である。一部の実施形態では、本発明の抗癌剤は白血病細胞に対して活性を示し、従って、白血病(例えば、急性型或いは慢性型にかかわらず、骨髄性、リンパ球性、前骨髄球性、骨髄球性及びリンパ芽球性白血病)の処置に有用である。更に別の実施形態では、本発明の抗癌剤は固形腫瘍に対して活性を示し、また、多剤耐性細胞(MDR細胞)の増殖を阻害し、且つ/或いは抑制する。一部の実施形態では、本発明の抗癌剤は、他の既知の抗新生物剤に抵抗性を示し、或いは他の既知の抗新生物剤に臨床的に応答しない癌に対して活性を示す。
【0329】
本発明の化合物及び医薬組成物は治療と組み合わせて用いることができ、即ち、該化合物及び医薬組成物は1つ若しくはそれ以上の他の所望の治療法又は医療処置と同時に、その前に、或いはその後に投与することができることが理解されるであろう。併用療法において用いる治療法(治療又は処置)の特定の組合せでは、所望の治療及び/又は処置の適合性並びに達成される所望の治療効果を考慮する。用いる治療法が同一の障害に対して所望の効果をもたらし(例えば、本発明の化合物は別の抗癌剤と同時に投与されうる)、或いは異なる効果をもたらしうる(例えば、有害作用の制御)ということも理解されるであろう。
【0330】
本発明の一部の化合物は処置に対して自由な形態にて、或いは、適切な場合、その医薬的に許容可能な誘導体として存在しうることも理解されるであろう。本発明に従って、医薬的に許容可能な誘導体は、限定されないが、医薬的に許容可能な塩、エステル、そのようなエステルの塩又はプロドラッグ、或いは、必要とする患者への投与後、本明細書で別記されるような化合物又はその代謝物若しくは残基を直接又は間接的に付与することができる、本発明の化合物の他の付加物又は誘導体を含む。
【0331】
本明細書で用いられるように、「医薬的に許容可能な塩」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わず、ヒト及び下等動物の組織との接触での使用に好適であり、また、妥当な利点/リスク比に相応する塩を指す。アミン、カルボン酸及び他のタイプの化合物の医薬的に許容可能な塩は、当該技術分野において公知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照して本明細書に組み込まれる、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)において、医薬的に許容可能な塩について述べている。塩は本発明の化合物の最終的な分離及び精製時にin situで調製し、或いは以下に概述するように、遊離塩基又は遊離酸官能基を好適な試薬と反応させることによって分離することができる。例えば、遊離塩基官能基は好適な酸と反応させることができる。更に、本発明の化合物が酸性部分を保有する場合、その好適な医薬的に許容可能な塩は、アルカリ金属塩のような金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩並びにアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩を含みうる。医薬的に許容可能な非毒性酸付加塩の例は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸により、或いは有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸により、或いはイオン交換のような当該技術分野において用いられる他の方法を用いることにより形成されるアミノ基の塩である。他の医薬的に許容可能な塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘルニ硫酸塩(hernisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などを含む。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。更なる医薬的に許容可能な塩は、適切な場合、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム並びに対イオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩を用いて形成されるアミン陽イオンを含む。
【0332】
加えて、本明細書で用いられるように、「医薬的に許容可能なエステル」という用語は、in vivoにて加水分解するエステルを指し、ヒトの体内にて容易に分解し、親化合物又はその塩から離脱するエステルを含む。好適なエステル基は、例えば、医薬的に許容可能な脂肪族カルボン酸、特に、各アルキル又はアルケニル部分が有利に6個以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカン二酸に由来するエステル基を含む。特定のエステルの例には、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、アクリル酸塩及びエチルコハク酸塩が含まれる。
【0333】
更に、本明細書で用いられるような「医薬的に許容可能なプロドラッグ」という用語は、正しい医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、刺激、アレルギー反応などを伴い、ヒト及び下等動物の組織との接触での使用に好適であり、妥当な利点/リスク比に相応し、目的とする使用に効果的な本発明の化合物のプロドラッグ並びに、可能な場合、本発明の化合物の両性イオン形態を指す。「プロドラッグ」という用語は、例えば、血中での加水分解によりin vivoにて速やかに変換され、上記式の親化合物を生じさせる化合物を指す。T.Higuchi及びV.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,A.C.S.Symposium Seriesの第14巻並びにEdward B.Roche(編)、Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association及びPergamon Press,1987に徹底した考察が示されており、これらは共に参照して本明細書に組み込まれる。
【0334】
上述のように、本発明の医薬組成物は医薬的に許容可能な担体を更に含み、これは本明細書で用いられるように、所望の特定の剤形に適するようなあらゆる溶媒、希釈剤又は他の液体ビヒクル、分散及び懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤又は乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)には、医薬組成物を調合するのに用いられる様々な担体及びその調製のための既知の方法が公開されている。従来の担体媒質が、例えば、望まない生物学的作用を生じさせ、或いは医薬組成物の他の成分と有害的に相互作用することによって本発明の化合物と不適合である場合を除き、その使用は本発明の範囲内にあるものとする。医薬的に許容可能な担体として機能しうる材料の一部の例には、限定されないが、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロースとその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオ脂及び坐剤ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油;サフラワー油、ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油及び大豆油のような油;グリコール;例えば、プロピレングリコール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱物質非含有水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール並びにリン酸緩衝液、また、他の非毒性相溶性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムが含まれ、また、配合者の判断により、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤、保存剤並びに抗酸化剤も組成物中に存在しうる。
【0335】
経口投与用の液体剤形は、限定されないが、医薬的に許容可能な乳剤、微小乳剤、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性化合物に加え、液体剤形は当該技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤、例えば、水或いは他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにそれらの混合物を含みうる。不活性希釈剤に加え、経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤並びに芳香剤も含みうる。
【0336】
注射用調製物、例えば、無菌注射用水性又は油性懸濁液は、好適な分散又は湿潤剤並びに懸濁剤を用いて公知の当該技術に従って配合されうる。無菌注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のように、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液又は乳液でもよい。用いられうる許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液、U.S.P及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、従来から無菌固定油が溶媒又は懸濁媒質として用いられている。これを目的として、合成モノ−又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性固定油を用いることができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸が注射剤の調製に用いられる。
【0337】
注射用調合物は、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過により、或いは使用前に滅菌水又は他の滅菌注射用媒質中に溶解又は分散されうる滅菌固体組成物の形態にて滅菌剤を組み入れることにより、滅菌することができる。
【0338】
薬剤の効果を持続させるため、皮下又は筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい場合が多い。これは、液体懸濁液又は水難溶性の結晶質若しくは非晶質の使用によってなされうる。そうすると、薬剤の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは次に、結晶サイズ及び結晶形に依存しうる。或いは、非経口投与剤形の吸収遅延は、薬剤を油ビヒクル中に溶解又は懸濁させることによってなされる。デポ注射剤は、薬剤のマイクロカプセル化マトリックスをポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中に形成することによって作製される。薬剤とポリマーの比率及び用いられる特定のポリマーの性状に依存し、薬剤の放出速度は制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、(ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が含まれる。デポ注射剤は、生体組織と適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬剤を取り込むことによっても調製される。
【0339】
直腸又は膣内投与用の組成物は坐剤であることが好ましく、坐剤は本発明の化合物を、周囲温度にて固体であるが、体温にて液体であり、従って、直腸又は膣腔内で融解して活性化合物を放出する、好適な非刺激性賦形剤又は担体、例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール若しくは坐剤ワックスと混合することによって調製することができる。
【0340】
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末及び顆粒を含む。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの医薬的に許容可能な不活性賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム若しくは第二リン酸カルシウム並びに/或いは、a)充填剤又は増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシルメチル・セルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアラビアゴム、c)グリセロールのような保湿剤、d)崩解剤、例えば、アガー・アガー、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム、e)パラフィンのような溶液緩染剤、f)四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレート、h)吸収剤、例えば、カオリン及びベントナイト粘土と、i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムとそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤及びピルの場合、剤形は緩衝剤も含みうる。
【0341】
類似タイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられうる。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒は、腸溶コーティング及び医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングのようなコーティング並びにシェルにより調製することができる。それらは任意に乳白剤を含んでよく、また、活性成分のみを放出し、或いは選択的に腸管の特定部分にて任意に遅延的に放出する組成物のものでもよい。使用可能な包埋組成物の例には重合体物質及びワックスが含まれる。類似タイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟質及び硬質の充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられうる。
【0342】
活性化合物は、上記のような1つ又はそれ以上の賦形剤を用いてマイクロカプセル化された形態でもよい。固体剤形の錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒は、腸溶コーティング、放出制御コーティング及び医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングのようなコーティング並びにシェルにより調製することができる。そのような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース及びデンプンと混合されうる。そのような剤形は、通常の慣例のように、不活性希釈剤以外の追加材料、例えば、錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化補助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微晶質セルロースも含みうる。カプセル、錠剤及びピルの場合、剤形は緩衝剤も含みうる。それらは任意に乳白剤を含んでよく、また、活性成分のみを放出し、或いは選択的に腸管の特定部分にて任意に遅延的に放出する組成物のものでもよい。使用可能な包埋組成物の例には重合体物質及びワックスが含まれる。
【0343】
本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容可能な局所製剤を包含する。本明細書で用いられるような「医薬的に許容可能な局所製剤」という用語は、表皮への塗布による本発明の化合物の皮内投与に対して医薬的に許容可能な任意の製剤を意味する。本発明の一部の実施形態では、局所製剤は担体系を含む。医薬的に有効な担体は、限定されないが、溶媒(例えば、アルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏、油、硬膏、リポソーム、粉末、乳剤、微小乳剤及び緩衝液(例えば、低張又は緩衝食塩水)或いは医薬品を局所投与することで当該技術分野において公知の他の任意の担体を含む。当該技術分野において公知の担体のより完全な一覧が、当該技術分野において標準的な参照テキスト、例えば、両版ともMack Publishing Company,Easton,Paによって刊行された、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、1980及び第17版、1985に示されており、これらの公開内容はそれらの全体を参照して本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、本発明の局所製剤は賦形剤を含みうる。当該技術分野において公知の任意の医薬的に許容可能な賦形剤が、本発明の医薬的に許容可能な局所製剤を調製するのに用いられうる。本発明の局所製剤に含有されうる賦形剤の例には、限定されないが、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤及び推進剤並びに/或いは本発明の化合物と併用される追加治療剤が含まれる。好適な保存剤は、限定されないが、アルコール、四級アミン、有機酸、パラベン及びフェノールを含む。好適な抗酸化剤は、限定されないが、アスコルビン酸とそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール並びにEDTA及びクエン酸のようなキレート剤を含む。好適な保湿剤は、限定されないが、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素及びプロピレングリコールを含む。本発明で用いるのに好適な緩衝剤は、限定されないが、クエン酸、塩酸及び乳酸緩衝剤を含む。好適な可溶化剤は、限定されないが、四級アンモニウムクロリド、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチン及びポリソルベートを含む。本発明の局所製剤にて用いられうる好適な皮膚保護剤は、限定されないが、ビタミンE油、アラトイン、ジメチコーン、グリセリン、ペトロラタム及び酸化亜鉛を含む。
【0344】
一部の実施形態では、本発明の医薬的に許容可能な局所製剤は少なくとも1つの本発明の化合物及び浸透促進剤を含む。局所製剤の選択は、処置される病状、本発明の化合物及び存在する他の賦形剤の物理化学的特性、製剤におけるそれらの安定性、利用可能な製造装置並びにコストの制約を含む、複数の因子に依存する。本明細書で用いられるように、「浸透促進剤」という用語は、好ましくは、全身性吸収がわずかであるか、或いは全くなく、角質層を通して薬理活性化合物を表皮又は真皮内に輸送することができる作用物質を意味する。皮膚を通した薬剤の浸透速度を上昇させる効果に関し、多種多様な化合物が評価されている。例えば、種々の皮膚浸透促進剤の使用及び試験を調査している、Percutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.及びSmith H.E.(編),CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995)並びにBuyuktimkinら、Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(編),Interpharm Press Inc.,Buffalo Grove,Ill.(1997)を参照されたい。一部の例示的な実施形態では、本発明で用いる浸透剤は、限定されないが、トリグリセリド(例えば、大豆油)、アロエ組成物(例えば、アロエ・べラゲル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクトリフェニルポリエチレングリコール(octolyphenylpolyethylene glycol)、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシド、脂肪酸エステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、グリセロールモノオレエート及びプロピレングリコールモノオレエート)及びN−メチルピロリドンを含む。
【0345】
一部の実施形態では、該組成物は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤又はパッチ形態でよい。一部の例示的な実施形態では、本発明による組成物の製剤はクリームであり、これは更に、飽和又は不飽和脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、セチル又はオレイルアルコールを含んでよく、ステアリン酸が特に好ましい。本発明のクリームは、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオキシ−40−ステアラートも含みうる。一部の実施形態では、活性成分は無菌条件下で医薬的に許容可能な担体及び任意の必要な保存剤又は必要に応じて緩衝剤と混合される。眼用製剤、点耳剤及び点眼剤も本発明の範囲内にあるものとする。加えて、本発明では、化合物の体内への制御送達を提供する付加的利点を有する経皮パッチの使用を意図している。そのような剤形は化合物を適切な媒液に溶解又は分散することによって作製される。上述のように、浸透促進剤は皮膚を通した化合物の流量を増加させることにも用いることができる。速度は、速度制御膜を付与し、或いは化合物をポリマーマトリックス又はゲルに分散することによって制御することができる。
【0346】
本発明の化合物及び医薬組成物は併用療法にて製剤化して用いることができ、即ち、該化合物及び医薬組成物は、1つ若しくはそれ以上の他の所望の治療又は医療処置に関して製剤化され、或いはそれと同時、その前又はその後に投与することができることが理解されるであろう。併用レジメンにおいて用いる治療法(治療又は処置)の特定の組合せでは、所望の治療及び/又は処置の適合性並びに所望の達成される治療効果を考慮する。用いる治療法が同一の障害に対して所望の効果をもたらし(例えば、本発明の化合物は、別の免疫調節剤、抗癌剤又は乾癬の処置に有用な薬剤と同時に投与されうる)、或いは異なる効果(例えば、有害作用の制御)をもたらしうることも理解されるであろう。
【0347】
例えば、本発明の化合物との併用に用いられうる他の治療法又は抗癌剤は、手術、放射線療法(わずかな例において少数の例を挙げると、γ放射線、中性子ビーム放射線療法、電子ビーム放射線療法、陽子線治療、近接照射療法及び全身性の放射性同位元素)、内分泌療法、生物学的応答調整剤(少数の例を挙げると、インターフェロン、インターロイキン及び腫瘍壊死因子(TNF))、温熱療法及び凍結療法、有害作用を軽減する薬剤(例えば、制吐剤)並びに他の承認済化学療法剤を含み、該化学療法剤は、限定されないが、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イホスファミド)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート)、プリン拮抗剤及びピリミジン拮抗剤(例えば、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、Cytarabile、ゲムシタビン)、紡錘体毒(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)並びにホルモン(例えば、タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド及びメゲストロール)を含む。最新の癌治療法のより包括的な考察については、その内容全体が参照して本明細書に組み込まれる、The Merck Manual、第17版、1999を参照されたい。国立がん研究所(National Cancer Institute(NCI))のウェブサイト(www.nci.nih.gov)、また、FDAに認可された腫瘍薬剤の一覧については、食品医薬品局(FDA)のウェブサイト(www.fda.gov/cder/cancer/druglistframeも参照されたい。
【0348】
一部の実施形態では、本発明の医薬組成物は、更に、1つ又はそれ以上の追加治療活性成分(例えば、化学療法及び/又は症状緩和)を含む。本発明の目的として、「症状緩和」という用語は、疾患の症状及び/又は治療レジメンの副作用の緩和に重点をおいた処置を指すが、治癒的ではない。例えば、症状緩和処置は、鎮痛剤、制嘔吐剤、解熱剤及び抗疾患剤を包含する。加えて、化学療法、放射線療法及び手術はすべて、症状緩和的に用いることができる(即ち、治癒を求めずに症状を軽減する;例えば、腫瘍を縮小させ、苦痛、出血、疼痛及び他の癌症状を軽減するためである)。
【0349】
加えて、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容可能な誘導体、並びに、これらの化合物、その医薬組成物又は1つ若しくはそれ以上の追加治療剤と組み合わせた、これらの一方を用いて対象を処置する方法を提供する。
【0350】
本発明の一部の化合物は処置に対して自由な形態にて、或いは、適切な場合、その医薬的に許容可能な誘導体として存在しうることも理解されるであろう。本発明に従って、医薬的に許容可能な誘導体は、限定されないが、医薬的に許容可能な塩、エステル、そのようなエステルの塩又はプロドラッグ、或いは、必要とする患者への投与後、本明細書で別記されるような化合物又はその代謝物若しくは残基を直接又は間接的に付与することができる、本発明の化合物の他の付加物又は誘導体を含むことも理解されるであろう。
【0351】
(研究的使用、医薬的使用及び処置方法)
(研究的使用)
本発明に従って、本発明の化合物は、抗原虫、HDAC阻害、TDAC阻害、アグリソーム阻害及び/又は抗増殖活性を有する化合物を同定するための、当該技術分野において公知の任意の利用可能なアッセイにてアッセイされうる。例えば、アッセイは、細胞のアッセイ又は非細胞のアッセイ、in vivo又はin vitro、ハイ−又はロースループットフォーマットなどでよい。
【0352】
従って、一態様では、特に興味深い本発明の化合物は、
・HDAC阻害活性を示す;
・TDAC阻害活性を示す;
・HDACクラスI阻害活性を示す(例えば、HDAC1,HDAC2,HDAC3,HDAC8);
・HDACクラスII阻害活性を示す(例えば、HDAC4,HDAC5,HDAC6,HDAC7,HDAC9a,HDAC9b,HDRP/HDAC9c,HDAC10);
・HDACクラスIV阻害活性を示す;
・HDAC1を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NP_004955、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC2を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NP_001518、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC3を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号O15739、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC4を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号AAD29046、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC5を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NP_005465、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC6を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NP_006035、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC7を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号AAP63491、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC8を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号AAF73428,NM_018486,AF245664,AF230097、これらの各々は参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC9を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NM_178425,NM_178423,NM_058176,NM_014707,BC111735,NM_058177、これらの各々は参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC10を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号NM_032019、参照して本明細書に組み込まれる);
・HDAC11を阻害する能力を示す(Genbankアクセッション番号BC009676、参照して本明細書に組み込まれる);
・Ure2pの下流のグルコース感受性遺伝子サブセットを調節する能力を示す;
・アグリソームによる蛋白質の分解を阻害する能力を示す;
・in vitroにて維持され、或いは科学的に許容可能な癌細胞異種移植片モデルを用いた動物研究における癌細胞株に対する細胞傷害又は増殖阻害効果を示す;且つ/或いは、
・既存の化学療法剤より優れた治療プロファイルを示す(例えば、最適な安全性及び治療効果)化合物を含む。
【0353】
本明細書での例示において詳述されるように、癌細胞の増殖を阻害する化合物の能力を判定するアッセイにおいて、本発明の一部の化合物はIC50値≦100μMを示しうる。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦50μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦40μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦30μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦20μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦10μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦7.5μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦5μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦2.5μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦1μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦0.75μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦0.5μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦0.25μMを示す。一部の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦0.1μMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦75nMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦50nMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦25nMを示す。一部の他の実施形態では、本発明の化合物はIC50値≦10nMを示す。他の実施形態では、例示的な化合物はIC50値≦7.5nMを示す。他の実施形態では、例示的な化合物はIC50値≦5nMを示す。
【0354】
(医薬的使用及び処置方法)
一般的に、本発明の化合物を使用する方法は、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。上述のように、本発明の化合物はヒストンデアセチラーゼの選択的阻害剤であり、そのようなものとしてヒストンデアセチラーゼによって調節される障害の処置に有用である。上述のように、本発明の化合物はチューブリンデアセチラーゼの選択的阻害剤であり、そのようなものとしてチューブリンデアセチラーゼによって調節される障害の処置に有用である。例えば、本発明の化合物は、癌(例えば、乳癌、前立腺癌、多発性骨髄腫(multple myeloma)、白血病、リンパ腫など)の処置に有用となりうる。従って、更に別の態様では、本明細書で述べるように、本発明の処置方法に従って、腫瘍細胞を本発明の化合物又は組成物に接触させることにより、前記腫瘍細胞は死滅し、或いはその増殖が阻害される。
【0355】
従って、本発明の別の態様では、癌の処置方法が提供され、該方法は、本明細書で述べるように、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。一部の実施形態では、癌の処置方法が提供され、該方法は、所望の結果を得るのに必要であるような量及び時間にて、治療有効量の本発明の化合物又は本発明の化合物を含む医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む。本発明の一部の実施形態では、本発明の化合物又は医薬組成物の「治療有効量」とは、腫瘍細胞を死滅させ、或いはその増殖を阻害するのに有効な量である。本発明の方法による化合物及び組成物は、腫瘍細胞を死滅させ、或いはその増殖を阻害するのに有効な任意の量及び任意の投与経路を用いて投与されうる。従って、本明細書で用いられるような「腫瘍細胞を死滅させ、或いはその増殖を阻害するのに有効な量」という語句は、腫瘍細胞を死滅させ、或いはその増殖を阻害するのに十分な量の薬剤を指す。正確な必要量は対象によって異なり、対象の種、年齢及び全身状態、感染の重症度、特定の抗癌剤、その投与様式などに依存する。
【0356】
一部の実施形態では、該方法は、治療有効量の化合物又はその医薬的に許容可能な誘導体の、それを必要とする対象(限定されないが、ヒト又は動物を含む)への投与を含む。一部の実施形態では、本発明の化合物は、癌(限定されないが、膠芽細胞腫、網膜芽細胞腫、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、白血病(例えば、CML,AML,CLL,ALL)、リンパ腫、肺癌(限定されないが、小細胞肺癌を含む)、黒色腫及び/又は皮膚癌、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌及び胃癌、膀胱癌、子宮癌、腎臓癌、精巣癌、胃癌、脳腫瘍、肝臓癌又は食道癌を含む)の処置に有用である。
【0357】
一部の実施形態では、本発明の抗癌剤は、限定されないが、少数の例を挙げると、乳癌、子宮頸癌、結腸及び直腸癌、白血病、肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌及び胃癌を含む、癌及び他の増殖性疾患の処置に有用である。一部の実施形態では、本発明の抗癌剤は白血病細胞及び黒色腫細胞に対して活性を示し、従って、白血病(例えば、骨髄性、リンパ球性、骨髄球性及びリンパ芽球性白血病)及び悪性黒色腫の処置に有用である。更に別の実施形態では、本発明の抗癌剤は固形腫瘍に対して活性を示す。
【0358】
一部の実施形態では、本発明の化合物は、血管形成術及びステント留置のような損傷を被る血管の再狭窄の予防にも用途を見出す。例えば、本発明の化合物は、埋め込み型医療デバイス、例えば、チューブ、シャント、カテーテル、人工移植物、ピン、ペースメーカーのような電気的移植物、特に、バルーン膨張型ステントを含む動脈又は静脈ステントのコーティングとして有用であることが考えられる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、埋め込み型医療デバイスに結合され、或いは埋め込み型デバイスの表面に受動吸着されうる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、手術若しくは医療用デバイス又はインプラント、例えば、ステント、縫合糸、留置カテーテル、人工器官などの内部に含まれ、或いはそれらによる放出に適合するように製剤化されうる。例えば、抗増殖及び抗炎症活性を有する薬剤がステントコーティングとして評価されており、再狭窄(retenosis)を予防することが期待されている(例えば、Presbitero P.ら、“Drug eluting stents do they make the difference?”,Minerva Cardioangiol,2002,50(5):431−442;Ruygrok P.N.ら、“Rapamycin in cardiovascular medicine”,Intern.Med.J.,2003,33(3):103−109;及びMarx S.O.ら、“Bench to bedside:the development of rapamycin and its application to stent restenosis”,Circulation,2001,104(8):852−855を参照。これらの各文献はその全体を参照して本明細書に組み込まれる)。従って、本出願人は、何らかの特定の理論に制約されることを望まずに、抗増殖作用を有する本発明の化合物を、特に、再狭窄の予防又は再狭窄率の低下のため、ステントコーティングとして、且つ/或いはステント薬剤送達デバイス内にて用いることができるということを提唱する。好適なコーティング及び埋め込み型被覆デバイスの一般的な調製については、米国特許第6,099,562号;第5,886,026号;及び第5,304,121号に述べられており、それらの各々は参照して本明細書に組み込まれる。通常、コーティングは、生体適合性ポリマー材料、例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテート及びそれらの混合物である。コーティングは、任意に、組成物における制御放出特性を提供するため、更に、フルオロシリコーン、多糖類(polysaccarides)、ポリエチレングリコール、リン脂質又はそれらの組合せの好適なトップコートを被覆されうる。再狭窄を予防するためのステントコーティング及び/又はステント薬剤局所送達に関連する種々の組成物及び方法が、当該技術分野において公知である(例えば、米国特許第6,517,889号;第6,273,913号;第6,258,121号;第6,251,136号;第6,248,127号;第6,231,600号;第6,203,551号;第6,153,252号;第6,071,305号;第5,891,507号;第5,837,313号及び米国特許出願公開第2001/0027340号を参照。これらの各々はその全体を参照して本明細書に組み込まれる)。例えば、ステントをポリマー−薬剤溶液中に浸漬し、或いはステントにそのような溶液を噴霧することにより、ステントにポリマー−薬剤接合体をコーティングしうる。一部の実施形態では、埋め込み型デバイスに好適な材料は、生体適合性及び非毒性材料を含み、金属、例えば、ニッケル−チタン合金、鋼鉄又は生体適合性ポリマー、ヒドロゲル、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートコポリマーなどから選択されうる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、バルーン血管形成術後、動脈又は静脈への挿入のためのステントにコーティングされる。
【0359】
本発明の化合物又はその医薬的に許容可能な組成物は、埋め込み型医療デバイス、例えば、人工器官、人工弁、血管グラフト、ステント及びカテーテルをコーティングするための組成物に組み入れてもよい。従って、別の態様では、本発明は、上記に概述したような、また、本明細書でのクラス及びサブクラスにおける本発明の化合物並びに前記埋め込み型デバイスにコーティングするのに好適な担体を含む、埋め込み型デバイスにコーティングするための組成物を含む。更に別の態様では、本発明は、上記に概述したような、また、本明細書でのクラス及びサブクラスにおける本発明の化合物並びに前記埋め込み型デバイスにコーティングするのに好適な担体を含む組成物をコーティングされた埋め込み型デバイスを含む。
【0360】
本発明の他の態様の範囲内では、体内経路の内腔を拡張させる方法が提供され、該方法は、経路が拡張されるように、概して管状の構造を有し、その構造面が本発明の化合物又は組成物をコーティングされた(或いは、それを放出するように適合された)ステントを経路に挿入するステップを含む。一部の実施形態では、体内経路の内腔は、胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道及び/又は血管閉塞を除去するために拡張される。
【0361】
ステントを用いて胆管、消化管、食道、気管/気管支、尿道及び/又は血管閉塞を除去する方法は、当該技術分野において公知である。当業者であれば、本発明を実施する際、これらの方法を適合させる方法を理解するであろう。例えば、米国特許公開第2003/0004209号の段落[0146]〜[0155]に指針を見出すことができ、その段落は参照して本明細書に組み込まれる。
【0362】
本発明の別の態様は、生体試料又は患者における多剤耐性細胞の増殖を阻害する方法に関し、その方法は、本発明の化合物又は前記化合物を含む組成物を患者に投与し、或いは前記生体試料に接触させるステップを含む。
【0363】
加えて、本発明は、本発明の化合物の医薬的に許容可能な誘導体、並びに、これらの化合物、その医薬組成物又は1つ若しくはそれ以上の追加治療剤と組み合わせた、これらのいずれかを用いて対象を処置する方法を提供する。
【0364】
本発明の別の態様は、患者における増殖性疾患に関連する疾患又は病状の重症度を処置或いは低減する方法に関し、前記方法は、式Iの化合物又は前記化合物を含む組成物を前記患者に投与するステップを含む。
【0365】
本発明の方法による化合物及び組成物は、細胞の過剰増殖に関連する癌及び/又は疾患の処置に有効な任意の量及び任意の投与経路を用いて投与されうることが理解されるであろう。例えば、癌の処置のために本発明の化合物を用いる場合、本明細書で用いられるような「有効量」という語句は、細胞増殖を阻害するのに十分な量の薬剤を指し、或いは癌の作用を低減するのに十分な量を指す。正確な必要量は対象によって異なり、対象の種、年齢及び全身状態、疾患の重症度、特定の抗癌剤、その投与様式などに依存する。
【0366】
本発明の化合物は、投与の簡便性及び用量の均一性のため、用量単位形態にて製剤化されることが好ましい。本明細書で用いられるような「用量単位形態」という表現は、処置対象患者に適切な治療剤の物理的に分離した単位を指す。しかし、本発明の化合物及び組成物の総1日用量は、正しい医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の患者又は生物に対する具体的な治療有効用量レベルは様々な因子に依存し、その因子には、処置される障害及び障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物の活性;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別及び食事;投与時間、投与経路及び用いられる具体的な化合物の排泄;処置期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせて、或いは同時に用いられる薬剤;並びに医学分野で周知の同様の因子が含まれる(例えば、Goodman及びGilmanの“The Pharmacological Basis of Therapeutics”、第10版、A.Gilman,J.Hardman及びL.Limbird(編)、McGraw−Hill Press,155−173,2001を参照。これはその全体を参照して本明細書に組み込まれる)。
【0367】
本発明の別の態様は、生体試料又は患者におけるヒストンデアセチラーゼ活性を阻害する方法に関し、その方法は、式Iの化合物又は前記化合物を含む組成物を前記患者に投与し、或いは前記生体試料に接触させるステップを含む。
【0368】
更に、所望の用量にて適切な医薬的に許容可能な担体との製剤化後、本発明の医薬組成物は、処置対象感染の重症度に依存し、経口、経直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏、クリーム又は滴剤)、口腔粘膜、経口又は経鼻噴霧剤としてなどにより、ヒト及び他の動物に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の化合物は所望の治療効果を得るため、1日1回又はそれ以上の回数にて1日当たり対象の体重の約0.001mg/kg〜約50mg/kg,約0.01mg/kg〜約25mg/kg又は約0.1mg/kg〜約10mg/kgの投与量レベルにて投与されうる。0.001mg/kg未満又は50mg/kg超(例えば、50〜100mg/kg)の用量を対象に投与することができることも理解されるであろう。一部の実施形態では、化合物は経口又は非経口投与される。
【0369】
(処置キット)
他の実施形態では、本発明は、本発明に従って該方法を好都合且つ効果的に実施するためのキットに関する。一般的に、医薬品パック又はキットは、本発明の医薬組成物の1つ又はそれ以上の成分を充填された、1つ又はそれ以上の容器を含む。このようなキットは、特に、錠剤又はカプセルのような固形経口剤形の送達に適している。このようなキットは多くの単位用量を含むことが好ましく、また、目的とする使用の順番に用量を配置したカードも含みうる。所望とあれば、例えば、数字、文字又は他の標示の形態にて、或いは、用量を投与することができる、処置スケジュールにおける日を指定するカレンダーを挿入し、記憶補助を提供することができる。或いは、医薬組成物の用量と同様或いは異なる形態のプラセボ用量又はカルシウム栄養補助食品を含ませ、用量を毎日摂取するキットを提供することができる。そのような容器に任意に関連するものは、医薬製品の製造、使用及び販売を規制する政府機関によって指示された注意書きであり、その注意書きは、ヒトへの投与に対する当局による製造、使用又は販売の承認を示す。
【0370】
(等価形態)
後述する代表的な実施例は、本発明を例示するのに役立つようにするものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、また、限定するように捉えるべきではない。実際、本明細書で示して述べられるものに加え、本発明の種々の改変例及びその多くの更なる実施形態が、後述の実施例並びに本明細書で引用される科学及び特許文献への参照を含む本明細書の全内容から当業者には明らかになるであろう。更に、特記しない限り、本明細書で引用される各文献の全内容が、最新技術を示すのに役立つように、参照して本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。以下の実施例は、本発明の種々の実施形態及びその等価形態における本発明の実施に適合されうる、重要な情報、例示及び指針を含む。
【0371】
以下の実施例を検討した後、本発明のこれら及び他の態様が更に理解されるであろう。実施例は本発明の一部の特定の実施形態を例示しようとするものであるが、特許請求の範囲によって規定されるように、その範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0372】
本発明の化合物及びその調製は、これらの化合物が調製或いは使用されるプロセスの一部を例示する実施例によって更に理解されうる。しかし、これらの実施例は本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。現在既知であり、或いは更に展開される本発明の変形例は、本明細書で述べられ、また、別記特許請求されるような本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0373】
(実施例1:合成方法)
本明細書で引用される種々の参考文献は、本明細書で述べる本発明の化合物に類似する化合物又は関連する中間体を調製することに関する有益な背景情報並びに対象となりうるそのような化合物の製剤化、使用及び投与に関する情報を提供する。
【0374】
更に、実施者は、種々の化合物及びその中間体に関する本明細書において示される具体的な指針及び実施例に指向される。
【0375】
本発明の化合物及びその調製は、これらの化合物が調製或いは使用されるプロセスの一部を例示する実施例によって更に理解されうる。しかし、これらの実施例は本発明を限定するものではないことが理解されるであろう。現在既知であり、或いは更に展開される本発明の変形例は、本明細書で述べられ、また、別記特許請求されるような本発明の範囲内に含まれると考えられる。
【0376】
本発明に従って、本発明の化合物又はそれを含む組成物を作製或いは調製するのに、任意の利用可能な技法を用いることができる。例えば、多種多様な組合せ技法、パラレル合成及び/又は固相合成法、例えば、以下に詳細に述べるような方法が用いられうる。代替的又は付加的に、本発明の化合物は、当該技術分野において公知の種々の液相合成法の任意の方法を用いて調製されうる。
【0377】
以下に述べるように、本発明の種々の化合物は、本明細書で述べる方法に従って合成することができることが理解されるであろう。これらの化合物を調製するのに用いられる出発物質及び試薬は、市販業者、例えば、Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI),Bachem社(Torrance,CA),Sigma社(St.Louis,MO)から得られ、或いは、Fieser及びFieser 1991,“Reagents for Organic Synthesis”、第1〜17巻、John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Rodd 1989 “Chemistry of Carbon Compounds”、第1〜5巻及び付録(supps)、Elsevier Science Publishers,1989;“Organic Reactions”、第1〜40巻、John Wiley and Sons,New York,NY,1991;2001年3月、“Advanced Organic Chemistry”、第5版 John Wiley and Sons,New York,NY;並びにLarock 1990,“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations”、第2版 VCH Publishersのような文献に記載されている手順に従って、当業者には周知の方法によって調製される。これらのスキームは本発明の化合物を合成することができる一部の方法を単に例示しており、これらのスキームに対する種々の改変が可能であり、本開示内容に注目する当業者に示唆される。
【0378】
本発明の出発物質、中間体及び化合物は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィなどの従来技術を用いて分離及び精製されうる。それらは、物理定数及びスペクトルデータを含む従来の方法を用いて特徴づけられうる。
【0379】
(実施例2:生物学的アッセイ手順)
細胞培養及びトランスフェクション 組換え蛋白質の発現のため、FLAGエピトープで標識したpBJ5構築体5μgを、エレクトロポレーションによってTAg−Jurkat細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を採取した。
【0380】
HDACアッセイ ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィにより、[H]アセタートが取り込まれたヒストンをブチラート処理HeLa細胞から分離した(Tongら、Nature 1997,395,917−921に記載のように)。免疫沈降物をヒストン1.4μg(10,000dpm)と、37℃で3時間、インキュベートした。酢酸エチル溶性[H]酢酸のシンチレーション計数により、HDAC活性を定量した(Tauntonら、Science 1996,272,408−411に記載のように)。最終アッセイ濃度が1%DMSOとなるように、DMSOに化合物を加えた。Prism 3.0ソフトウェアを用いてIC50を計算した。そのプログラムのシグモイド型用量反応パラメータを用いて、制約なしに曲線適合を行った。データ点はすべて二重に得て、少なくとも2つの別個の試験の複合結果からIC50を計算する。
【0381】
(実施例3:in vivo活性)
様々な方法を用いることができるが、本発明の化合物のin vivo活性を定量する、1つの例示的な方法は、所望の腫瘍塊をマウスに皮下移植することである。次に、腫瘍塊の移植後、腫瘍塊が約100mmに達すると、薬物処置を開始する。次に、上記により詳細に述べたような好適な組成物を、好ましくは、食塩水中にて投与し、また、好ましくは、5,10及び25mg/kg用量にて1日1回、投与するが、他の用量を投与することもできることが理解されるであろう。次に、体重及び腫瘍サイズを毎日測定し、初期値に対するパーセント比の変化をプロットする。移植腫瘍が潰瘍化する場合、体重減少は対照の体重減少の25〜30%を超え、腫瘍重量は癌保有マウスの体重の10%に達し、或いは癌保有マウスは死にかかっており、動物保護ガイドラインに従ってマウスを殺処分する。
【0382】
(実施例4:ヒストンデアセチラーゼの阻害により、潜在的抗原虫化合物を同定するアッセイ)
参照して本明細書に組み込まれる米国特許第6,068,987号に詳述されているように、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤は抗原虫剤としても有用となりうる。該特許に記載されていることは、ヒストンデアセチラーゼの活性及び阻害のアッセイであり、様々な既知の原虫疾患について述べている。第6,068,987号の全内容は参照して本明細書に組み込まれる。
【0383】
(実施例5:ハイスループット免疫蛍光アッセイ)
ハイスループット免疫蛍光ベースのアッセイを用いて、そのHDAC又はTDAC特異性から本発明の化合物の試験を行う。該アッセイはアセチル化チューブリン及びアセチル化リシンに対する特異的抗体の使用に基づいている(即ち、アセチル化ヒストンに対するマーカー)。
【0384】
細胞(例えば、293T細胞)を細胞培養プレートに一晩付着させた後、試験範囲の濃度にわたり、該細胞を本発明の化合物とインキュベートする。本発明の化合物とのインキュベーションの所定時間(例えば、6〜8時間)後、アセチル化チューブリンに対する第一の一次抗体及びアセチル化リシンに対する第二の一次抗体で該細胞を処理する。次に、各一次抗体に対して特異的であるとともに、独特な蛍光シグナルにより識別可能な2つの二次抗体に該細胞を接触させる。
【0385】
次に、プレートを画像化し、各二次抗体からの蛍光シグナルを定量する。次に、収集したデータを用いて用量−反応曲線を計算し、IC50値を計算し、構造−機能関係を確定し、HDACとTDACとの阻害比を計算し、HDAC又はTDACに対する特異性を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0386】
【図1】本発明の3つのクラスの化合物−tubacin,isotubacin及びisoisotubacinの例を示す概略図である。
【図2】“isotubacin”クラスの化合物の一般的合成スキームを示す概略図である。
【図3】isotubacinの例示的な合成を示す概略図である。
【図4】“isoisotubacin”クラスの化合物の一般的合成スキームを示す概略図である。
【図5】isoisotubacinの例示的な合成を示す概略図である。
【図6】本発明の化合物の種々の類似体を調製するのに有用な例示的なエポキシド開環反応を示す概略図である。該スキームは、エポキシド基を開環させてジオール官能基を形成し、その後、これがキャップされてisotubacin及びisoisotubacin構造を形成するための種々の求核剤の使用を示す。
【図7】蛋白質分解障害の処置における蛋白質分解経路及びボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))をHDAC6阻害剤(例えば、isotubacin,isoisotubacin)と併用する科学的根拠を示すグラフ図である。ユビキチン化されたミスフォールド/アンフォールド蛋白質を分解する経路は2つある。前者はプロテアソーム経路であり、後者はアグリソーム経路であってHDAC6活性を必要とする。従って、特異的阻害剤であるボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)とisotubacin又はisoisotubacinによる両経路の阻害は、細胞傷害性ミスフォールド/アンフォールド蛋白質の蓄積を誘発した。
【図8】アセチル化チューブリン対アセチル化リシン(アセチル化ヒストンの指標として)のハイスループット免疫蛍光定量分析を示す概略図である。
【図9】Isotubacin(NKI−93−1)の化学構造を示す概略図である。tubacin誘導体における1,3−ジオキサンコアは反時計回りに120°回転し、isotubacinを生じさせる。
【図10】骨髄腫細胞株(A)MM.1S及び(B)RPMI細胞における、isotubacin(NKI−93−1)とボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))との相乗効果を示すグラフ図である。
【図11】チューブリンのアセチル化対リシンのアセチル化に対するIsotubacin(NKI−93−1)の特異性を示すグラフ図である。
【図12】化合物−tubacin,NKI−82−1,NKI−81−1,isotubacin(NKI−93−1),NKI−94−1,NKI−59−1−,NKI−60−1,DHM−Tubacin及びMAZ−1428のTDAC阻害活性を示すグラフ図である。
【図13】化合物−tubacin,DHM−Tubacin,NKI−59−1,NKI−60−1,NKI−82−1,NKI−84−1,NKI−94−1 NKI−81−1及びisotubacin(NKI−93−1)のHDAC阻害及びTDAC阻害を示すチャート図である。
【図14】isotubacin(NKI−93−1)を含む種々の化合物のHSAに対する結合を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;また、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩及び誘導体。
【請求項2】
前記化合物が、式:
【化2】

の1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、式:
【化3】

であって、式中、R’が、
【化4】

(式中、YはNH又はOである;Lはリンカー部分である;また、Aはヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、式:
【化5】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
’が、
【化6】

(式中、nは0〜15を含む整数である)である、請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
nが5又は6である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が、式:
【化7】

(式中、mは0〜8を含む整数であり、好ましくは、1〜6を含む;Xは、O,S,CH,NH又はNR’である;また、R’は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アシル、置換又は非置換アリール或いは置換又は非置換ヘテロアリールである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
XがOである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
XがSである、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
mが1である、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
’が置換又は非置換ヘテロアリールである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
が、以下:
【化8】

の1つから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、以下:
【化9】

の1つから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、
【化10】

(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、
【化11】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が置換又は非置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が非置換フェニル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
が置換フェニル部分である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
式:
【化12】

(式中、
nは1〜5を含む整数である;また、
’の各出現は独立して、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
式:
【化13】

の請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
式:
【化14】

【化15】

【化16】

のうちの1つの請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
式:
【化17】

の請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
式:
【化18】

(式中、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;また、
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩及び誘導体。
【請求項24】
前記化合物が、式:
【化19】

の1つである、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が、式:
【化20】

であって、式中、R’が、
【化21】

(式中、YはNH又はOである;Lはリンカー部分である;また、Aはヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む)である、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
が、式:
【化22】

である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
’が、
【化23】

(式中、nは0〜15を含む整数である)である、請求項25又は26に記載の化合物。
【請求項28】
nが5又は6である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
が、式:
【化24】

(式中、mは0〜8を含む整数であり、好ましくは、1〜6を含む;Xは、O,S,CH,NH又はNR’である;また、R’は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アシル、置換又は非置換アリール或いは置換又は非置換ヘテロアリールである)である、請求項23に記載の化合物。
【請求項30】
XがOである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
XがSである、請求項29に記載の化合物。
【請求項32】
mが1である、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
’が置換又は非置換ヘテロアリールである、請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
が、以下:
【化25】

の1つから選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項35】
が、以下:
【化26】

の1つから選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項36】
が、
【化27】

(式中、XはNであり、Yは、NH,S又はOである)である、請求項23に記載の化合物。
【請求項37】
が、
【化28】

である、請求項23に記載の化合物。
【請求項38】
が置換又は非置換アリールである、請求項23に記載の化合物。
【請求項39】
が非置換フェニル部分である、請求項23に記載の化合物。
【請求項40】
が置換フェニル部分である、請求項23に記載の化合物。
【請求項41】
式:
【化29】

(式中、
nは1〜5を含む整数である;また、
’の各出現は独立して、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の請求項23に記載の化合物。
【請求項42】
式:
【化30】

の請求項23に記載の化合物。
【請求項43】
式:
【化31】

【化32】

【化33】

のうちの1つの請求項23に記載の化合物。
【請求項44】
式:
【化34】

の請求項23に記載の化合物。
【請求項45】
式:
【化35】

(式中、
の各出現は独立して、環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−SR;−SOR;−SO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である;
は、水素;ハロゲン;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状脂肪族;環状又は非環状、置換又は非置換、分岐状又は非分岐状ヘテロ脂肪族;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アシル;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状アリール;置換又は非置換、分岐状又は非分岐状へテロアリール;−OR;−C(=O)R;−CO;−CN;−SCN;−SR;−SOR;−SO;−NO;−N(R;−NHC(O)R;或いは−C(Rであり、Rの各出現は独立して、水素、保護基、脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アシル部分;アリール部分;ヘテロアリール部分;アルコキシ;アリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロアリールオキシ;又はヘテロアリールチオ部分である)の化合物並びにその医薬的に許容可能な塩及び誘導体。
【請求項46】
請求項1〜45に記載の1つの化合物及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項47】
細胞毒性剤を更に含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
プロテアソーム阻害剤を更に含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項50】
アグリソーム阻害剤を更に含む、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項51】
ヒストンデアセチラーゼを請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物に接触させるステップを含む、ヒストンデアセチラーゼを阻害する方法。
【請求項52】
前記ヒストンデアセチラーゼが精製される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ヒストンデアセチラーゼが細胞内に存在する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記ヒストンデアセチラーゼがHDAC6である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
チューブリンデアセチラーゼを請求項1〜45に記載の1つの化合物に接触させるステップを含む、チューブリンデアセチラーゼを阻害する方法。
【請求項56】
アグリソームを請求項1〜45に記載の1つの化合物に接触させるステップを含む、アグリソームを阻害する方法。
【請求項57】
増殖性疾患を有する対象を処置する方法であって、治療有効量の請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項58】
前記対象が哺乳動物である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記対象がヒトである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記増殖性疾患が癌である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記増殖性疾患が炎症性疾患である、請求項57に記載の方法。
【請求項62】
蛋白質分解障害を有する対象を処置する方法であって、治療有効量の請求項1〜45のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項63】
前記対象が哺乳動物である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象がヒトである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記蛋白質分解障害が蛋白質沈着障害である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記蛋白質分解障害が神経変性障害である、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
治療有効量のプロテアソーム阻害剤を投与するステップを更に含む、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブ(VELCADE(登録商標))である、請求項62に記載の方法。
【請求項69】

【化36】

の化合物を調製する方法であって、式:
【化37】

のエポキシアルコールを提供するステップと、
好適な条件下、該エポキシアルコールを、RXH構造を有する試薬と反応させ、式:
【化38】

のジオールを生成するステップと、
ニトロ基を還元し、式:
【化39】

のジオールを生成するステップと、
アミノ基をアシル化剤と反応させ、式:
【化40】

のジオールを生成するステップと、
好適な条件下、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させ、式:
【化41】

(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;また、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)の1,3−ジオキサンを生成するステップと
を含む方法。
【請求項70】

【化42】

の化合物を調製する方法であって、式:
【化43】

のエポキシアルコールを提供するステップと、
好適な条件下、該エポキシアルコールを、RXH構造を有する試薬と反応させ、式:
【化44】

のジオールを生成するステップと、
ニトロ基を還元し、式:
【化45】

のジオールを生成するステップと、
アミノ基をアシル化剤と反応させ、式:
【化46】

のジオールを生成するステップと、
好適な条件下、該ジオールを、式RCHOのアルデヒドと反応させ、式:
【化47】

(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;また、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)の1,3−ジオキサンを生成するステップと
を含む方法。
【請求項71】
【化48】

の化合物を合成する方法であって、式:
【化49】

のベータ−ヒドロキシケトンを提供するステップと、
該ケトンを還元し、式:
【化50】

のジオールを生成するステップと、
ニトロ基を還元し、式:
【化51】

のジオールを生成するステップと、
アミノ基をアシル化剤と反応させ、式:
【化52】

のジオールを生成するステップと、
好適な条件下、該ジオールを、RCH(OMe)構造を有する試薬又は他のアセタールと反応させ、式:
【化53】

(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;また、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)の化合物を生成するステップと
を含む方法。
【請求項72】
【化54】

の化合物を合成する方法であって、式:
【化55】

のベータ−ヒドロキシケトンを提供するステップと、
該ケトンを還元し、式:
【化56】

のジオールを生成するステップと、
ニトロ基を還元し、式:
【化57】

のジオールを生成するステップと、
アミノ基をアシル化剤と反応させ、式:
【化58】

のジオールを生成するステップと、
好適な条件下、該ジオールを、式RCHOのアルデヒドと反応させ、式:
【化59】

(式中、R’は−L−Aであり、Lはリンカー部分である;また、Aは本明細書で述べるようなヒストン又はチューブリンデアセチラーゼを阻害する官能基を含む;
は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;
Xは、−O−,−C(R’)−,−S−又は−NR’−であり、R’は、水素、保護基又は脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分である;また、
は、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族又はヘテロ芳香族部分である)の化合物を生成するステップと
を含む方法。
【請求項73】
構造:
【化60】

を有するベータ−ヒドロキシケトンを提供する前記ステップが、好適な条件下にて、式:
【化61】

のアルデヒドを、式:
【化62】

のケトンと反応させて前記ベータ−ヒドロキシケトンを形成するステップを含む、請求項71又は72に記載の方法。
【請求項74】
が、置換又は非置換アリール又はヘテロアリールである、請求項71,72又は73に記載の方法。
【請求項75】
が置換又は非置換フェニルである、請求項71,72又は73に記載の方法。
【請求項76】
前記ベータ−ヒドロキシケトンが、式:
【化63】

である、請求項71,72又は73に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−535405(P2009−535405A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509675(P2009−509675)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/010587
【国際公開番号】WO2007/130429
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(500122857)デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】