ヒト癌における変異ROS発現
本発明は、ヒト癌における変異ROSタンパク質の存在の同定法を提供する。いくつかの実施形態において、変異ROSは、ROSキナーゼのキナーゼドメインと融合したFIGタンパク質の部分を含むFIG−ROS融合タンパク質である。いくつかの実施形態において、変異ROSは、癌組織(または癌性であることが疑われる組織)における野生型ROSの過剰発現であり、この場合、同じ組織型の正常組織では、ROSが発現されないか、または低レベルで発現される。本発明の変異ROSタンパク質は、ヒト癌のサブグループ、特に肝臓(胆管を含む)、膵臓、腎臓、および精巣の癌の増殖および生存を支配することが予想される。本発明はしたがって、一つには、開示された変異ROSポリペプチド(例えば、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド)をコード化する単離されたポリヌクレオチドおよびベクター、これを検出するためのプローブ、単離された変異ポリペプチド、組換えポリペプチド、ならびに融合および切断型ポリペプチドを検出するための試薬を提供する。変異ROSポリペプチドの同定は、これらの変異ROSポリペプチドの生体試料中の存在を決定するための新規方法、タンパク質を阻害する化合物のスクリーニング法、および変異ポリヌクレオチドまたはポリペプチドにより特徴づけられる癌の進行を阻害する方法を可能にし、これらのポリヌクレオチドまたはポリペプチドも本発明によって提供される。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製されたFIG−ROS(S)融合ポリペプチドであって、前記ポリペプチドが配列番号4または配列番号17に記載されるアミノ酸配列を含む、精製されたFIG−ROS(S)融合ポリペプチド。
【請求項2】
精製されたFIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号3または配列番号16に記載される核酸配列を含む、精製されたFIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチド。
【請求項3】
FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する、結合剤。
【請求項4】
前記FIG−ROS融合ポリペプチドにおけるFIG部分とROS部分との間の融合ジャンクションと特異的に結合する、請求項3記載の結合剤。
【請求項5】
前記融合ジャンクションが、AGSTLP、LQVWHR、およびLQAGVPからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4記載の結合剤。
【請求項6】
前記FIG−ROS融合ポリペプチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、およびFIG−ROS(XL)融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項3記載の結合剤。
【請求項7】
抗体およびAQUAペプチドからなる群から選択される、請求項3記載の結合剤。
【請求項8】
FIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドまたはFIG−ROS(XL)融合ポリヌク前記レオチドを検出するためのヌクレオチドプローブであって、前記プローブがストリンジェントな条件下で前記FIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドまたはFIG−ROS(XL)融合ポリヌクレオチドとハイブリダイズする、ヌクレオチドプローブ。
【請求項9】
生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を検出する方法であって、前記方法が、生体試料を、FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の前記生体試料に対する特異的結合が前記生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を示す、方法。
【請求項10】
生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を検出する方法であって、前記方法が生体試料を、FIG−ROS融合ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドプローブと接触させることを含み、前記ヌクレオチドプローブの前記生体試料に対するハイブリダイゼーションが、前記生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を示す、方法。
【請求項11】
ROSキナーゼにより特徴づけられる癌または疑癌に罹っていると患者を診断する方法であって、前記癌または疑癌が、非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つのポリペプチドを含む)を、変異ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の、前記生体試料中の少なくとも1つのポリペプチドに対する特異的結合によって、ROSキナーゼにより特徴づけられる癌または疑癌に罹っているとして前記患者が特定される、方法。
【請求項12】
ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌を特定する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つのポリペプチドを含む)を、変異ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の、前記生体試料中の少なくとも1つのポリペプチドに対する特異的結合によって、前記癌または疑癌がROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌として特定される、方法。
【請求項13】
前記変異ROSポリペプチドが異常に発現された野生型ROSポリペプチドである、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記変異ROSポリペプチドが、切断型ROSポリペプチドおよびROS融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
ROS融合ポリペプチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、FIG−ROS(XL)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(S)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(L)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(VS)融合ポリペプチド、およびCD74−ROS融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記結合剤が抗体またはAQUAペプチドからなる群から選択される、請求項11または12記載の方法。
【請求項17】
患者をROSキナーゼにより特徴づけられる癌に罹っているかまたは癌に罹っている疑いがあると診断する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、少なくとも1つの核酸分子を含む前記癌または疑癌の生体試料を、ストリンジェントな条件下で、FIG−ROS融合ポリヌクレオチド、SLC34A2−ROS融合ポリペプチド、CD74−ROS融合ポリペプチド、および切断型ROSポリヌクレオチドからなる群から選択される核酸分子とハイブリダイズするプローブと接触させることを含み、前記プローブの、前記生体試料中の少なくとも1つの核酸分子に対するハイブリダイゼーションによって、患者がROSキナーゼにより特徴づけられる癌に罹っているかまたは癌に罹っている疑いがあると特定される、方法。
【請求項18】
ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌を特定する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つの核酸分子を含む)を、ストリンジェントな条件下でFIG−ROS融合ポリヌクレオチド、SLC34A2−ROS融合ポリペプチド、CD74−ROS融合ポリペプチド、および切断型ROSポリヌクレオチドからなる群から選択される核酸分子とハイブリダイズするプローブと接触させることを含み、前記プローブの、前記生体試料中の少なくとも1つの核酸分子に対するハイブリダイゼーションによって、ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌として前記癌または疑癌が特定される、方法。
【請求項19】
FIG−ROS融合ポリヌクレオチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、およびFIG−ROS(XL)融合ポリペプチドからなる群から選択される融合ポリペプチドをコード化する、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
SCL34A2−ROS融合ポリヌクレオチドが、SCL34A2−ROS(S)融合ポリペプチド、SCL34A2−ROS(L)融合ポリペプチド、およびSCL34A2−ROS(VS)融合ポリペプチドからなる群から選択される融合ポリペプチドをコード化する、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
前記癌または疑癌が、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、および精巣癌から選択される、請求項11、12、17、または18記載の方法。
【請求項22】
癌がヒト由来である、請求項11、12、17、または18記載の方法。
【請求項23】
ROS阻害剤が、FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する結合剤、切断型ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤、FIG−ROS融合ポリヌクレオチドを標的とするsiRNA、および切断型ROSポリヌクレオチドを標的とするsiRNAからなる群から選択される、請求項12または18記載の方法。
【請求項24】
ROS阻害剤が、ALKキナーゼ、LTKキナーゼ、インスリン受容体、およびIGF1受容体からなる群から選択されるキナーゼの阻害剤である、請求項12または18記載の方法。
【請求項1】
精製されたFIG−ROS(S)融合ポリペプチドであって、前記ポリペプチドが配列番号4または配列番号17に記載されるアミノ酸配列を含む、精製されたFIG−ROS(S)融合ポリペプチド。
【請求項2】
精製されたFIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号3または配列番号16に記載される核酸配列を含む、精製されたFIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチド。
【請求項3】
FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する、結合剤。
【請求項4】
前記FIG−ROS融合ポリペプチドにおけるFIG部分とROS部分との間の融合ジャンクションと特異的に結合する、請求項3記載の結合剤。
【請求項5】
前記融合ジャンクションが、AGSTLP、LQVWHR、およびLQAGVPからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4記載の結合剤。
【請求項6】
前記FIG−ROS融合ポリペプチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、およびFIG−ROS(XL)融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項3記載の結合剤。
【請求項7】
抗体およびAQUAペプチドからなる群から選択される、請求項3記載の結合剤。
【請求項8】
FIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドまたはFIG−ROS(XL)融合ポリヌク前記レオチドを検出するためのヌクレオチドプローブであって、前記プローブがストリンジェントな条件下で前記FIG−ROS(S)融合ポリヌクレオチドまたはFIG−ROS(XL)融合ポリヌクレオチドとハイブリダイズする、ヌクレオチドプローブ。
【請求項9】
生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を検出する方法であって、前記方法が、生体試料を、FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の前記生体試料に対する特異的結合が前記生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を示す、方法。
【請求項10】
生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を検出する方法であって、前記方法が生体試料を、FIG−ROS融合ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドプローブと接触させることを含み、前記ヌクレオチドプローブの前記生体試料に対するハイブリダイゼーションが、前記生体試料におけるFIG−ROS遺伝子転座を示す、方法。
【請求項11】
ROSキナーゼにより特徴づけられる癌または疑癌に罹っていると患者を診断する方法であって、前記癌または疑癌が、非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つのポリペプチドを含む)を、変異ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の、前記生体試料中の少なくとも1つのポリペプチドに対する特異的結合によって、ROSキナーゼにより特徴づけられる癌または疑癌に罹っているとして前記患者が特定される、方法。
【請求項12】
ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌を特定する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つのポリペプチドを含む)を、変異ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤と接触させることを含み、前記結合剤の、前記生体試料中の少なくとも1つのポリペプチドに対する特異的結合によって、前記癌または疑癌がROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌として特定される、方法。
【請求項13】
前記変異ROSポリペプチドが異常に発現された野生型ROSポリペプチドである、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記変異ROSポリペプチドが、切断型ROSポリペプチドおよびROS融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
ROS融合ポリペプチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、FIG−ROS(XL)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(S)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(L)融合ポリペプチド、SLC34A2−ROS(VS)融合ポリペプチド、およびCD74−ROS融合ポリペプチドからなる群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記結合剤が抗体またはAQUAペプチドからなる群から選択される、請求項11または12記載の方法。
【請求項17】
患者をROSキナーゼにより特徴づけられる癌に罹っているかまたは癌に罹っている疑いがあると診断する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、少なくとも1つの核酸分子を含む前記癌または疑癌の生体試料を、ストリンジェントな条件下で、FIG−ROS融合ポリヌクレオチド、SLC34A2−ROS融合ポリペプチド、CD74−ROS融合ポリペプチド、および切断型ROSポリヌクレオチドからなる群から選択される核酸分子とハイブリダイズするプローブと接触させることを含み、前記プローブの、前記生体試料中の少なくとも1つの核酸分子に対するハイブリダイゼーションによって、患者がROSキナーゼにより特徴づけられる癌に罹っているかまたは癌に罹っている疑いがあると特定される、方法。
【請求項18】
ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌を特定する方法であって、前記癌または疑癌が非小細胞肺癌およびグリア芽腫からなる群から選択される癌または疑癌ではなく、前記方法が、前記癌または疑癌の生体試料(前記生体試料は少なくとも1つの核酸分子を含む)を、ストリンジェントな条件下でFIG−ROS融合ポリヌクレオチド、SLC34A2−ROS融合ポリペプチド、CD74−ROS融合ポリペプチド、および切断型ROSポリヌクレオチドからなる群から選択される核酸分子とハイブリダイズするプローブと接触させることを含み、前記プローブの、前記生体試料中の少なくとも1つの核酸分子に対するハイブリダイゼーションによって、ROS阻害剤に反応する可能性がある癌または疑癌として前記癌または疑癌が特定される、方法。
【請求項19】
FIG−ROS融合ポリヌクレオチドが、FIG−ROS(S)融合ポリペプチド、FIG−ROS(L)融合ポリペプチド、およびFIG−ROS(XL)融合ポリペプチドからなる群から選択される融合ポリペプチドをコード化する、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
SCL34A2−ROS融合ポリヌクレオチドが、SCL34A2−ROS(S)融合ポリペプチド、SCL34A2−ROS(L)融合ポリペプチド、およびSCL34A2−ROS(VS)融合ポリペプチドからなる群から選択される融合ポリペプチドをコード化する、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
前記癌または疑癌が、腎臓癌、肝臓癌、膵臓癌、および精巣癌から選択される、請求項11、12、17、または18記載の方法。
【請求項22】
癌がヒト由来である、請求項11、12、17、または18記載の方法。
【請求項23】
ROS阻害剤が、FIG−ROS融合ポリペプチドと特異的に結合する結合剤、切断型ROSポリペプチドと特異的に結合する結合剤、FIG−ROS融合ポリヌクレオチドを標的とするsiRNA、および切断型ROSポリヌクレオチドを標的とするsiRNAからなる群から選択される、請求項12または18記載の方法。
【請求項24】
ROS阻害剤が、ALKキナーゼ、LTKキナーゼ、インスリン受容体、およびIGF1受容体からなる群から選択されるキナーゼの阻害剤である、請求項12または18記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【公表番号】特表2012−517245(P2012−517245A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550275(P2011−550275)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024109
【国際公開番号】WO2010/093928
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(501087490)セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024109
【国際公開番号】WO2010/093928
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(501087490)セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド (11)
【Fターム(参考)】
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