説明

ヒドロキシピリジンCGRP受容体拮抗薬

本発明は、式Iの化合物を対象とし、I


(変数、R、R、R、およびRは、明細書において定義されている。)は、CGRP受容体の拮抗薬として有用であり、またCGRPが関与する疾患、例えば、頭痛、偏頭痛および群発頭痛の治療と防止において有用である。本発明はまた、癌のようなAMが関与する疾患の治療と防止のためのAM受容体リガンドとしての、このような化合物の使用を対象とする。さらに、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、CGRPおよび/またはAMが関与するこのような疾患の防止と治療におけるこれらの化合物および組成物の使用を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、カルシトニンメッセンジャーRNAの組織特異的な選択的プロセッシングにより生成され、中枢および末梢神経系に広く分布している、天然に産する37個のアミノ酸ペプチドである。CGRPは、感覚求心性神経および中枢神経に主に局在し、血管拡張を含めて、いくつかの生体作用を媒介する。CGRPは、ラットおよびヒトでは、それぞれ1個および3個のアミノ酸が異なるα−およびβ−型として発現する。CGRP−αおよびCGRP−β型は類似の生物学的性質を示す。細胞から放出された時、CGRPは、アデニル酸シクラーゼの活性化に主に連結している、細胞表面の特異的受容体に結合することによりその生体反応を開始する。CGRP受容体は同定されており、いくつかの組織および細胞(脳、心臓血管、内皮、および平滑筋に由来するものが含まれる)において薬理学的に評価されている。
【0002】
CGRPは、偏頭痛および群発頭痛のような脳血管障害の病理に関連している強力な血管拡張薬である。臨床研究において、頸静脈におけるCGRPレベルの増加が、偏頭痛に襲われている間に起こることが見出された(Goadsby et al.、Ann.Neurol.,1990,28,183−187)。CGRPは頭蓋内血管の平滑筋で受容体を活性化して血管拡張を増大させるが、これは、偏頭痛に襲われている間の頭痛の主な原因であると考えられている(Lance,「Headache Pathogenesis: Monoamines,Neuropeptides,Purines and Nitric Oxide(頭痛の病因:モノアミン、神経ペプチド、プリンおよび一酸化窒素)」,Lippincott−Raven Publishers,1997,3−9)。硬膜の主動脈である中硬膜動脈は、CGRPを含めて、いくつかの神経ペプチドを含む、3叉神経節からの感覚線維により刺激される。ネコにおける3叉神経節の刺激によりCGRPのレベルが増加し、ヒトでは、三叉神経系の活性化により、顔面紅潮と、外頚静脈におけるCGRPのレベルの増加が引き起こされた(Goadsby et al.,Ann.Neurol.,1988,23,193−196)。ラットにおける硬膜の電気刺激は中硬膜動脈の径を増加させたが、この効果は、ペプチドCGRP拮抗薬であるCGRP(8−37)を前もって投与することにより阻止された(Williamson et al.,Cephalalgia,1997,17,525−531)。ラットにおいて3叉神経節の刺激は顔面血流を増加させ、これはCGRP(8−37)により抑制された(Escott et al.,Brain Res.1995,669,93−99)。マーモセットにおける3叉神経節の電気刺激は、非ペプチドCGRP拮抗薬BIBN4096BSにより阻止できた顔面血流の増加を生じた(Doods et al.,Br.J.Pharmacol.,2000,129,420−423)。このように、CGRPの血管作用は、CGRP拮抗薬により、弱められ、防止され、あるいは反転される。
【0003】
ラット中硬膜動脈のCGRP介在血管拡張は、三叉神経尾側核(trigeminal nucleus caudalis)のニューロンを感作することが示された(Williamson et al.,「The CGRP Family: Calcitonin Gene−Related Peptide(CGRP),AmyIin,and Adrenomedullin(CGRPファミリー:カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、アミリン、およびアドレノメデュリン)」,Landes Bioscience,2000,245−247)。同様に、偏頭痛の間の硬膜血管の膨張は、三叉神経ニューロンを感作し得る。偏頭痛に伴ういくつかの症状(頭蓋外の疼痛および顔面の異痛が含まれる)は、三叉神経ニューロンの感作の結果であり得る(Burstein et al.,Ann.Neural.2000,47,614−624)。CGRP拮抗薬は、ニューロンの感作の効果を弱め、防止し、あるいは反転させる助けになり得る。
【0004】
本発明の化合物がCGRP拮抗薬として作用できることにより、それらは、ヒトおよび動物においてであるが、特にヒトにおいて、CGRPが関与する障害のための有用な薬剤となる。このような障害には、偏頭痛および群発頭痛(Doods,Curr Opin laves Drugs,2001,2(9),1261−1268; Edvinsson et al.,Cephalalgia,1994,14,320−327);慢性緊張型頭痛(Ashina et al.,Neurology,2000,14,1335−1340);疼痛(Yu et al.,Eur.J.Pharm.,1998,347,275−282);慢性疼痛(Hulsebosch et al.,Pain,2000,86,163−175);神経原性炎症および炎症性疼痛(Holzer,Neurosci.,1988,24,739−768;Delay−Goyet et al.,Acta Physiol.Scanda.1992,146,537−538;Salmon et al.,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358);眼痛(May et al.Cephalalgia,2002,22,195−196)、歯痛(Awawdeh et al.,Int.Endocrin.J.,2002,35,30−36)、インスリン非依存型糖尿病(Molina et al.,Diabetes,1990,39,260−265);血管障害;炎症(Zhang et al.,Pain,2001,89,265)、関節炎、気管支過敏性、喘息(Foster et al.,Ann.NY Acad.Sci.,1992,657,397−404; Schini et al.,Am.J.Physiol.,1994,267,H2483−H2490; Zheng et al.,J.Virol.,1993,67,5786−5791);ショック、敗血症(Beer et al.,Crit.Care Med.,2002,30(8),1794−1798);オピエート退薬禁断症状(Salmon et al.,Nature Neurosci.,2001,4(4),357−358)、モルフィン耐性(Menard et al.,J.Neurosci.,1996,16(7),2342−2351);男性および女性におけるほてり(Chen et al.,Lancet,1993,342,49; Spetz et al.,J.Urology,2001,166,1720−1723);アレルギー性皮膚炎(Wallengren,Contact Dermatitis,2000,43(3),137−143);乾癬;脳炎、脳腫瘍、虚血、卒中、癲癇、および神経変性疾患(Rohrenbeck et al.,Neurobiol. of Disease 1999,6,15−34);皮膚疾患(Geppetti and Holzer編、「Neurogenic Inflammation(神経原性炎症)」、1996年、CRC Press、Boca Raton,FL)、神経原性皮膚発赤、バラ色皮膚(skin rosaceousness)および紅斑;耳鳴り(Herzog et al.,J.Membrane Biology,2002,189(3),225);炎症性腸疾患、過敏性腸症候群(Hoffman et al.Scandinavian Journal of Gastroenterology,2002,37(4)414−422)および膀胱炎。特に重要であるのは、偏頭痛および群発頭痛を含めての、頭痛の急性期治療または予防的治療である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、CGRP受容体リガンドとして有用な化合物、特に、CGRP受容体に対する拮抗薬、それらの調製方法、治療におけるそれらの使用、それらを含む医薬組成物、ならびに、それらを使用する薬物治療の方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、CGRP受容体の拮抗薬として有用で、CGRPが関与する疾患、例えば、頭痛、偏頭痛および群発頭痛の治療または防止において有用な式Iの化合物:
【0007】
【化3】

を対象とする(式中、変数R、R、RおよびRは本明細書において定義されている。)。本発明はまた、癌のような、AMが関与する疾患の治療と防止のためのAM受容体のリガンドとしての、このような化合物の使用を対象とする。さらに、本発明は、これらの化合物を含む医薬組成物、ならびに、CGRPおよび/またはAMが関与するこのような疾患の防止と治療におけるこれらの化合物および組成物の使用を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、式Iの化合物ならびに、それらの薬学的に許容される塩と個々のジアステレオマーを対象とする。
【0009】
【化4】

[式中、
は、以下から選択され:
a)水素、
b)アリール、複素環、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ならびに
c)C〜Cアルキル(無置換であるか、もしくは、
1)アリール(無置換であるか、もしくは、
i)C〜Cアルキル(無置換であるか、1〜3個のフルオロにより置換されている。)、
ii)C〜Cシクロアルキル、
iii)C〜Cアルキニル、
iv)OR10
v)アリール、
vi)複素環
vii)CN、および
viii)ハロ、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。)、
2)複素環(無置換であるか、もしくは、
i)C〜Cアルキル(無置換であるか、1〜3個のフルオロにより置換されている。)、
ii)−OR10
iii)アリール、および
iv)ハロ、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。)、
3)C〜C10シクロアルキル、
4)C〜Cアルケニル、
5)C〜Cアルキニル、
6)−OR10
7)−S(O)11
8)−NR−C(O)R
9)−C(O)−N(R)(R)、
10)−CN、
11)−NR−C(O)−N(R)(R)、
12)−C(O)−OR10
13)ハロ、および
14)−N(R)(R)、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。);
は、以下から選択され:
a)−NR−C(O)R
b)−NR−S(O)、および
c)−NR−S(O)−N(R)(R);
およびRは、以下から独立に選択される:
水素、アリール、複素環、ハロ、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、R10O−、R11S(O)−、RC(O)−NR−、CN、(R)(R)N−C(O)−(NR)−、(R)(R)−N−C(O)−、R10C(O)−、R10OC(O)−、およびN(R)(R);あるいは
およびRは、場合によっては一緒になって、0から3個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和環を形成し、前記の環は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、およびトリアゾリル、ならびにこれらの部分飽和アナローグであり、前記の環は、以下の1個または複数により場合によっては置換されており:
アリール、複素環、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルキニル、R10O−、R11S(O)−、RC(O)NR−、RS(O)NR−、(R)(R)N−C(O)−、CN、R10OC(O)−、F、および−N(R)(R);
およびRは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、から独立に選択され、無置換であるか、もしくは、
a)C〜Cアルキル、
b)C〜Cアルコキシ、
c)アリールもしくは複素環、
d)ハロ、
e)−OR10、および
f)−N(R10
の1個または複数により置換されており;
およびRは一緒になって環を形成していてもよく;
10は、水素、C〜Cアルキル、−CF、C〜C10シクロアルキル、ベンジル、およびアリールから独立に選択され;
11は、C〜Cアルキル、およびアリールから独立に選択され;
mは、0、1、もしくは2である。]
【0010】
本発明の一実施形態において、Rは、−CH−アリール(無置換であるか、または、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびメチルから選択される1〜3個の置換基により置換されている。)である。
【0011】
本発明の一実施形態において、Rは、ベンジル(1〜3個のフルオロにより置換されている。)である。
【0012】
本発明の一実施形態において、Rは、−CHC(O)OR10である。
【0013】
本発明の一実施形態において、Rは、−CHC(O)OC(CHである。
【0014】
本発明の一実施形態において、Rは、−CHC(O)NHRである。
【0015】
本発明の一実施形態において、Rは、−CHC(O)NH(C〜C10シクロアルキル)である。
【0016】
本発明の一実施形態において、Rは、−CHC(O)NH−アリールである。
【0017】
本発明の一実施形態において、Rは、−NR−S(O)である。
【0018】
本発明の一実施形態において、Rは、水素である。
【0019】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、一緒になって、フェニル、ピリジル、ピリミジニルおよびピラジニルから選択される環を形成している。
【0020】
本発明の一実施形態において、RおよびRは、一緒になって、ピリジル環を形成している。
【0021】
本発明の一実施形態において、Rは、ブロモである。
【0022】
本発明の一実施形態において、Rは、−C(O)OR10である。
【0023】
上に列挙された構造もしくは下位構造の1つまたは複数において、同じ呼称をもつ置換基が複数回引用されている場合、このような可変要素の各々は、同じ呼称の可変要素の各々と同じであっても、異なっていてもよい。例えば、式IにおいてRは4回引用されており、式Iにおいて各Rは、独立に、Rとして定義された下位構造の何れかであってよい。本発明は、所定の構造で各Rが同じでなければならない構造または下位構造に限定されない。同じことは、構造または下位構造において複数回現れるどの可変要素に関しても言えることである。
【0024】
本発明の化合物は1つまたは複数の不斉中心を含んでいてもよく、そのため、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、個々のジアステレオマーとして存在し得る。さらなる不斉中心が、分子上の様々な置換基の性質に応じて存在し得る。このような各不斉中心により、2つの光学異性体が独立に生じ、混合物としての、また、純粋な、もしくは部分的に精製された化合物としての、全ての可能な光学異性体とジアステレオマーが本発明の範囲内に含まれると想定されている。本発明は、これらの化合物のこのような異性形の全てを包含するものである。
【0025】
本明細書において記載されているいくつかの化合物は、オレフィン2重結合を含んでおり、特に指摘されない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0026】
これらのジアステレオマーの独自の合成あるいはクロマトグラフィーによるそれらの分離は、本明細書において開示されている方法を適当に修正することにより、当技術分野において知られているようにして実施され得る。それらの絶対立体化学は、結晶性生成物あるいは、必要であれば、絶対配置が知られている不斉中心を含む試薬により誘導される結晶性中間体のX線結晶構造解析により決定され得る。
【0027】
望まれる場合には、本発明の化合物のラセミ混合物を、個々のエナンチオマーが単離されるように分離してもよい。この分離は、当技術分野においてよく知られている方法、例えば、化合物のラセミ混合物とエナンチオマーとして純粋な化合物とをカップリングしてジアステレオマー混合物とし、次に、標準的な方法(例えば、分別晶出またはクロマトグラフィー)によって個々のジアステレオマーに分離することにより実施され得る。カップリング反応は、エナンチオマーとして純粋な酸または塩基を用いる塩の生成であることが多い。次いで、ジアステレオマー誘導体は、付加されたキラル残基の開裂により純粋なエナンチオマーに変換され得る。本発明の化合物のラセミ混合物はまた、当技術分野においてよく知られている、キラルな固定相を用いるクロマトグラフィー法によっても直接分離され得る。
【0028】
あるいは、化合物のエナンチオマーを、当技術分野においてよく知られている方法によって、配置がわかっている光学的に純粋な出発物質または試薬を用いる立体選択的合成により得てもよい。
【0029】
当業者により理解されるであろうように、R10およびR11置換基の全てが、環構造を形成できるわけではない。さらに、環形成可能な置換基でさえ、環構造を形成していることも、いないこともある。
【0030】
やはり当業者により理解されるであろうように、本明細書では、ハロもしくはハロゲンはクロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを含むと想定されている。
【0031】
本明細書では、「アルキル」は、2重も3重結合もない、線状、分岐状および環状の構造を意味すると想定されている。こうして、C1〜6アルキルは、1、2、3、4、5もしくは6個の炭素をもつ、線状または分岐状構造の基と同一であると定義されており、従って、C1〜6アルキルには、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。「シクロアルキル」は、その一部もしくは全部が3個以上の原子の環をなすアルキルである。CまたはCアルキルは、直接共有結合の存在と同一であると定義されている。
【0032】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素・炭素2重結合をもつ、指定された数の炭素原子の線状もしくは分岐状の構造(水素がさらなる炭素・炭素2重結合に置き換わっていてもよい)とそれらの組合せを意味する。例えば、C2〜6アルケニルには、エテニル、ピロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどが含まれる。
【0033】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素・炭素3重結合をもつ、指定された数の炭素原子の線状もしくは分岐状の構造とそれらの組合せを意味する。こうして、C2〜6アルキニルは、線状または分岐状の構造に、2、3、4、5もしくは6個の炭素をもつ基と同一であると定義されており、従って、C2〜6アルキニルには、具体的には、2−ヘキシニルおよび2−ペンチニルが含まれる。
【0034】
本明細書では、「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族である、各環が7員までの単環もしくは2環の安定な炭素環を意味すると想定されている。このようなアリール要素の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、またはビフェニルが含まれる。
【0035】
本明細書では、注意がある場合を除いて、「複素環」または「複素環式」という用語は、飽和もしくは不飽和であり、また、炭素原子と、N、OおよびSからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子とからなる、安定な5−から7−員の単環の、または、安定な8−から11−員の2環の複素環式の環系(窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によっては酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合によっては第4級化されていてもよく、また、上で定義された複素環式の環のいずれかがベンゼン環に縮合している2環の基が含まれる。)を表す。複素環式の環は、結果的に安定な構造を生ずる、ヘテロ原子で結合しても炭素原子で結合してもよい。このような複素環式基の例には、これらに限定されないが、アゼチジン、クロマン、ジヒドロフラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、ジオキソラン、ヘキサヒドロアゼピン、イミダゾリジン、イミダゾリジノン、イミダゾリン、イミダゾリノン、インドリン、イソクロマン、イソインドリン、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、モルホリノン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、オキセタン、2−オキソヘキサヒドロアゼピン、2−オキソピペラジン、2−オキソピペリジン、2−オキソピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、チアモルホリン、チアゾリン、チアゾリジン、チオモルホリンおよび、これらのN−オキシドが含まれる。
【0036】
本明細書では、注意がある場合を除いて、「ヘテロアリール」は、芳香族環を含み、環系の環の何れかは、飽和であっても(例えばピペリジニル)、部分的に飽和もしくは不飽和であってもよく(例えばピリジニル)、また、炭素原子と、N、OおよびSからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子とからなる、安定な5−から7−員の単環の、または、安定な9−から10−員の縮合2環の複素環式の環系(窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によっては酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合によっては第4級化されていてもよく、また、上で定義された複素環式の環のいずれかがベンゼン環に縮合している2環の基が含まれる。)を表す。複素環式の環は、結果的に安定な構造を生ずる、ヘテロ原子で結合しても炭素原子で結合してもよい。このようなヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、カルボリン、シンノリン、フラン、フラザン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリジン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピロミジン、ピロール、キナゾリン、キノリン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアジン、トリアゾール、およびこれらのN−オキシドが含まれる。
【0037】
〜Cアルコキシにおけるような「アルコキシ」という用語は、線状、分岐状および環状構造の1から6個の炭素原子のアルコキシ基を含めて表すと想定されている。例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれる。
【0038】
本明細書では、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、利点/危険の比が理に適っており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用されるのに適している、化合物、物質、組成物、および/または投薬形態を表すために用いられている。
【0039】
本明細書では、「薬学的に許容される塩」は、酸または塩基との塩を形成することにより、親化合物が修飾されている誘導体を表す。薬学的に許容される塩の例には、これらに限定されないが、アミンのような塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩;あるいは、カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩もしくは有機塩などが含まれる。薬学的に許容される塩には、毒性のない通常の塩、あるいは、例えば毒性のない無機酸または有機酸から生成される親化合物の第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような毒性のない通常の塩には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から誘導される塩;ならびに、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル乳酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸など)から調製される塩が含まれる。
【0040】
特定の事例に存在する特定の変数の値は、存在する炭素数により定められる。例えば、変数「p」は、折にふれて次のように定義される;「q個の炭素をもつ置換基では、pは0から2q+1である」。置換基が、「(F)1〜3アルキル」である場合、1個の炭素がある時、これは、2(1)+1=3個のフッ素があることを意味する。2個の炭素がある時には、2(2)+1=5個のフッ素があり、3個の炭素原子ある時には、2(3)+1=7個のフッ素がある。
【0041】
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機酸および有機酸を含めて、薬学的に許容される毒性のない酸から調製され得る。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸など含まれる。本発明の一態様において、塩は、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、フマル酸、および酒石酸の塩である。本明細書では、式Iの化合物として、薬学的に許容される塩もまた含まれるものとすることが理解されよう。
【0042】
本発明の例としては、実施例および本明細書において開示される化合物の使用がある。本発明内の具体的化合物には、後の実施例に開示される化合物と、薬学的に許容されるそれらの塩ならびにそれらの個々のジアステレオマーからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0043】
主題の化合物は、本発明の化合物の有効な量を投与することを含む、そのような拮抗作用を必要としている哺乳動物のような患者におけるCGRP受容体に対する拮抗作用を得る方法において有用である。本発明は、CGRP受容体の拮抗薬としての、本明細書において開示されている化合物の使用を対象とする。霊長類、特にヒトに加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法により治療することができる。
【0044】
本発明の別の実施形態は、薬物治療に有効な量のCGRP受容体拮抗薬である化合物を患者に投与することを含む、患者におけるCGRP受容体が関与する疾患もしくは障害の治療、制御、改善または危険の低減のための方法を対象とする。
【0045】
さらに、本発明は、本発明の化合物と薬用担体または稀釈剤とを合わせることを含む、ヒトおよび動物におけるCGRP受容体活性に対する拮抗作用を得るための治療薬の製造方法を対象とする。
【0046】
本発明の方法において治療される被験者は、通常、CGRP受容体活性に対する拮抗作用が望まれる哺乳動物、例えば、ヒト、男性または女性である。「薬物治療に有効な量」という用語は、研究者、獣医、医者または他の臨床医により得ようとされている、組織、系、動物もしくはヒトの生体反応または治癒反応を引き出すはずである本発明の主題の化合物の量を意味する。本明細書では、「治療」という用語は、前記の病状(特に、このような疾患もしくは障害に罹る傾向のある患者における)の治療と防止または予防投与療法の双方を表す。
【0047】
本明細書では、「組成物」という用語は、指定された量で指定された成分を含む製品、ならびに、指定された量の指定された成分の組合せから、直接または間接的に得られる製品を包含すると想定されている。医薬組成物に関連してのこのような用語は、活性成分と、担体をなす不活性成分とを含む製品、ならびに、2種以上の成分の組合せ、複合化もしくは凝集(aggregation)から、あるいは、1種または複数の成分の解離(dissociation)から、あるいは、1種または複数の成分の他のタイプの反応または相互作用から、直接もしくは間接的に得られる製品を包含すると想定されている。このように、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と薬学的に許容される担体との混合により製造される組成物が包含される。「薬学的に許容される」により、担体、稀釈剤または添加剤(excipient)が、処方の他の成分に適合しており、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0048】
化合物の「投与」または化合物を「投与する」という用語は、治療を必要としている個人に、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを与えることを意味すると理解されるべきである。
【0049】
CGRP受容体活性の拮抗薬としての本発明による化合物の有用性は、当技術分野において知られている方法により例示され得る。受容体への125I−CGRPの結合の阻害とCGRP受容体の機能的な拮抗作用が以下のようにして求められた。
【0050】
天然型受容体結合アッセイ:SK−N−MC細胞膜の受容体への125I−CGRPの結合を、本質的には記載されているようにして(Edvinsson et al.(2001)Eur.J.Phamacol.415,39−44)実施した。簡単に言えば、10pMの125I−CGRPおよび拮抗薬を含む1mlの結合バッファ[10mMのHEPES、pH7.4、5mMのMgClおよび0.2%のウシ血清アルブミン(BSA)]中で、膜(25μg)をインキュベートした。室温での3時間のインキュベーションの後、0.5%のポリエチレンイミンにより3時間ブロック処理したGFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)を通しての濾過により、アッセイを終結させた。氷で冷やしたアッセイバッファによりフィルターを3回洗い、次に、プレートを空気乾燥した。ソンチレーション流体(50μl)を加え、放射能をTopcount(Packard Instruments)で計測した。Prismを用いることによりデータ解析を行い、Cheng−Prusoff式(Cheng & Prusoff(1973)Biochem.Pharmacol.22,3099−3108)を用いることにより、Kを求めた。
【0051】
天然型受容体の機能的なアッセイ:10%のウシ胎児血清、2mMのL−グルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、1mMのピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマシンを添加した最少必須培地(MEM)中、37℃、湿度95%、5%COで、SK−N−MC細胞を成長させた。cAMPアッセイのために、細胞をポリ−D−リシン被覆96ウェルプレート(Becton−Dickinson)に5×10細胞/ウェルで播種し、アッセイ前に約18時間培養した。細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、Sigma)で洗い、次に、無血清MEM中、37℃で30分間、300μMのイソブチルメチルキサンチンと共に予備インキュベートした。拮抗薬を添加し、細胞を10分間インキュベートし、その後CGRPを添加した。インキュベーションをさらに15分間続け、次に、細胞をPBSで洗い、製造元の推奨する手順に従って、cAMPの測定のための処理をした。基礎量を超える最大の賦活を、100nMのCGRPを用いることにより定めた。Prismを用いることにより、用量−反応曲線を生成させた。用量比(DR)を計算し、完全なシルドプロットを構成するのに用いた(Arunlakshana & Schild(1959)Br.J.Pharmacol.14,48−58)。
【0052】
組換え体受容体:ヒトCRLR(ジーンバンクのアクセッション番号 L76380)を、5’NheIおよび3’PmeIフラグメントとして、発現ベクターpIREShyg2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。ヒトRAMP1(ジーンバンクのアクセッション番号 AJ001014)を、5’NheIおよび3’NotIフラグメントとして、発現ベクターpIRESpuro2(BD Biosciences Clontech)にサブクローニングした。293細胞(ヒト胎児腎臓細胞;ATCC #CRL−1573)を、10%のウシ胎児血清(FBS)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマシンを添加した、4.5g/Lのグルコース、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび2mMのグルタミンを含むDMEM中で培養し、37℃、湿度95%に保った。細胞を、HBSS中、0.1%のEDTAを含む0.25%トリプシンによる処理により継代培養した。75cmのフラスコで、30μgのリポフェクトアミン2000(Invitrogen)による10μgのDNAのコトランスフェクションにより、安定な細胞系を生成させた。CRLRおよびRAMP1の発現構成体を等量でコトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後、細胞を稀釈し、翌日選択培地(増殖倍地+300μg/mlのハイグロマイシンおよび1μg/mlのピューロマイシン)を加えた。FACS Vantage SE(Becton Dickinson)を利用して、単一細胞付着によりクローン細胞系を生成させた。増殖培地を、細胞増殖のために、150μg/mlのハイグロマイシンおよび0.5μg/mlのピューロマイシンに調節した。
【0053】
組換え体受容体結合アッセイ:組換え体ヒトCRLR/RAMP1を発現している細胞をPBSで洗い、50mMのHEPES、1mMのEDTAおよびCompleteプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含む回収(harvest)緩衝液で回収した。細胞懸濁液を実験用ホモジナイザーで破砕し、48,000gで遠心分離して、膜を単離した。ペレットを回収バッファ+250mMのスクロースに再懸濁させ、−70℃で保存した。結合アッセイのために、10pMの125I−hCGRP(American Biosciences)と拮抗薬を含む1mlの結合バッファ(10mMのHEPES、pH7.4、5mMのMgCl、および0.2%のBSA)中、室温で3時間、10μgの膜をインキュベートした。0.05%のポリエチレンイミンでブロックした96ウェルGFBガラス繊維フィルタープレート(Millipore)を通しての濾過によりアッセイを終結させた。フィルターを氷で冷やしたアッセイバッファ(10mMのHEPES、pH7.4)により3回洗った。シンチレーション液体を加え、プレートをTopcount(Packerd)で計測した。非特異的結合を求め、結合CPMデータを次の式に非線形最小2乗法でフィッティングさせることにより求めた見掛けの解離定数(K)によりデータ解析を実施した。
【0054】
【数1】

式中、Yは、測定結合CPMであり、Ymaxは全結合カウント数であり、Yminは、非特異的結合カウント数、(Ymax − Ymin)は、特異的結合カウント数であり、%Imaxは、最大阻害パーセント、%Iminは、最少阻害パーセントであり、放射標識はプローブであり、また、Kは、ホット飽和実験により求めた、受容体の放射性リガンドに対する見掛けの解離定数である。
【0055】
組換え体受容体の機能的アッセイ:ポリ−D−リシン被覆96ウェルプレート(Corning)において85,000細胞/ウェルで、完全増殖倍地に細胞を播種し、アッセイの前に約19時間培養した。細胞をPBSで洗い、次に、L−グルタミンおよび1g/LのBSAを含むCellgo Complete無血清/低タンパク質培地(Mediatech,Inc.)中、37℃、湿度95%で30分間、インキュベートした。300μMの濃度でイソブチル−メチルキサンチンを細胞に加え、37℃で30分間、インキュベートした。0.3nMの濃度でヒトα−CGRPを細胞に加え、37℃で5分間インキュベートした。α−CGRP賦活の後、細胞をPBSで洗い、製造元の推奨する手順(cAMP SPA直接スクリーニングアッセイシステム;RPA 559;Amersham Biosciences)による2段階アッセイ法を用いるcAMPの測定のための処理をした。用量反応曲線をプロットし、y=((a−d)/(1+(x/c))+d(y=反応、x=用量、a=最大反応、d=最少反応、c=変極点、また、b=勾配)という式により定義される4パラメータロジスティックフィットからIC50値を求めた。
【0056】
特に、後の実施例の化合物は、前記アッセイにおいてCGRP受容体の拮抗薬としての活性(通常、約50μM未満のKまたはIC50値をもつ)をもっていた。このような結果は、CGRP受容体拮抗薬としての使用におけるこれら化合物の固有の活性を示している。
【0057】
本発明の化合物がCGRP拮抗薬として作用できるので、これらは、ヒトおよび動物、特にヒトにおけるCGRPが関与する障害にとって有用な薬剤となる。
【0058】
本発明の化合物は、1つまたは複数の以下の病状または疾患の治療、防止、改善、制御もしくは危険の低減において有用である:頭痛;偏頭痛;群発頭痛;慢性緊張型頭痛;疼痛;慢性疼痛;神経原性炎症および炎症性疼痛;神経因性疼痛;眼痛;歯痛;糖尿病;インスリン非依存型糖尿病;血管障害;炎症;関節炎;気管支過敏性、喘息;ショック;敗血症;オピエート退薬禁断症状;モルフィン耐性;男性および女性におけるほてり;アレルギー性皮膚炎;乾癬;脳炎;脳腫瘍;癲癇;神経変性疾患;皮膚病;神経原性皮膚発赤、バラ色皮膚および紅斑;炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、膀胱炎;ならびに、CGRP受容体に対する拮抗作用により治療または防止され得る他の病状。特に重要であるのは、偏頭痛および群発頭痛を含めての頭痛の、急性期治療、または予防的治療である。
【0059】
さらに、本発明の主題の化合物は、本明細書に挙げられている疾患、障害および病状の防止、治療、制御、改善、または危険の低減のための方法において有用である。
【0060】
さらに、本発明の主題の化合物は、他の薬剤との組合せにおける、前記の疾患、障害および病状の防止、治療、制御、改善、または危険の低減のための方法において有用である。
【0061】
本発明の主題の化合物は、薬剤を一緒に組み合わせることが、それぞれの薬剤単独であるよりも安全であり、効果的である場合に、式Iの化合物または他の薬剤が有用であり得る疾患もしくは病状の治療、防止、制御、改善、もしくは危険の低減において、1種または複数の他の薬剤と組み合わせて使用され得る。このような他の(複数の)薬剤は、通常それが使用される経路と量で、式Iの化合物と同時に、あるいは逐次的に投与され得る。式Iの化合物が1種または複数の他の薬剤と同時に使用される場合、このような他の薬剤と式Iの化合物を含む単一投薬形態としての医薬組成物が好ましい。しかし、組合せ薬物療法には、式Iの化合物と1種または複数の他の薬剤が、重複する別々の計画で投与される薬物治療もまた含まれる。1種または複数の他の活性成分と組み合わせて使用される場合、本発明の化合物と他の活性成分は、それぞれが単独で使用される場合より少ない投薬量で使用され得るということもまた想定されている。このように、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物以外に、1種または複数の他の活性成分を含むものが含まれる。
【0062】
例えば、本発明の化合物を、以下のような抗炎症剤または鎮痛剤(analgesic agent)または抗偏頭痛剤と連係させて使用することができる:エルゴタミンもしくは5−HTアゴニスト、特に、5−HT1B/1Dアゴニスト、例えば、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン、およびリザトリプタン;選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤のようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブもしくはパラコキシブ(paracoxib);非ステロイド系抗炎症剤もしくはサイトカイン抑制抗炎症剤、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、スリンダック、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ロルノキシカム、ケトロラック、エトドラック、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナク、オキサプロジン、アパゾン、ニメスリド、ナブメトン、テニダップ(tenidap)、エタネルセプト、トルメチン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、ジフルニサル、サルサラート、オルサラジンもしくはスルファサラジンなどの化合物;あるいは、ステロイド系鎮痛剤。同様に、本発明の化合物を、鎮痛剤(pain reliever)(例えば、アセトアミノフェン、フェナセチン、コデイン、フェンタニル、スフェンタニル、メタドン、アセチルメタドール、ブプレノルフィンもしくはモルフェン)と共に投与してもよい。
【0063】
さらに、本発明の化合物を、インターロイキン阻害剤、例えば、インターロイキン−1阻害剤;NK−1受容体拮抗薬、例えば、アプレピタント;NMAD拮抗薬;NR2B拮抗薬;ブラジキニン−1受容体拮抗薬;アデノシンA1受容体アゴニスト;ナトリウムチャネル遮断薬、例えば、ラモトリジン;オピエートアゴニスト、例えば酢酸レボメタジルもしくは酢酸メタジル;リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば、5−リポキシゲナーゼの阻害剤;α受容体拮抗薬、例えば、インドラミン;α受容体アゴニスト;バニロイド受容体拮抗薬;mGluR5アゴニスト、拮抗薬もしくは増強剤;GABA A受容体モジュレーター、例えば、アカンプロセートカルシウム;ニコチン受容体拮抗薬もしくはアゴニスト(ニコチンが含まれる);ムスカリンアゴニストもしくは拮抗薬;選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、フルオキセチン、パロキセチン、サートラリン、デュロキセチン、エスシタロプラム、またはシタロプラム;三環系抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン、ドキセピン、プロトリプチリン、デシプラミン、トリミプラミン、イミプラミン;ロイコトリエン拮抗薬、例えば、モンテルカスト、もしくはザフィルルカスト;一酸化窒素阻害剤もしくは一酸化窒素合成の阻害剤;と連係させて使用してもよい。
【0064】
また、本発明の化合物を、麦角アルカロイド、例えば、エルゴタミン、エルゴノビン、メチルエルゴノビン、メテルゴリン、メシル酸エルゴロイド、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、ジヒドロ−α−エルゴクリプチン、ジヒドロ−β−エルゴクリプチン、エルゴトキシン、エルゴコルニン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン、α−エルゴクリプチン、β−エルゴクリプチン、エルゴシン、エルゴスタン、ブロモクリプチン、またはメチセルジドと連係させて使用してもよい。
【0065】
さらに、本発明の化合物を、β−アドレナリン受容体拮抗薬、例えば、チモロール、プロパノロール、アテノロール、もしくはナドロールなど;MAO阻害剤、例えば、フェネルジン;カルシウムチャネル遮断薬、例えば、フルナリジン、ニモジピン、ロメリジン、ベラパミル、ニフェジピン、プロクロルペラジンもしくはガバペンチン;抗精神病薬、例えば、オランザピンおよびクエチアピン;抗痙攣薬、例えば、トピラメート、ゾニザミド、トナベルサト(tonabersat)、カラベルサト(carabersat)、もしくはdivalproexナトリウム;アンジオテンシンII拮抗薬、例えば、ロサルタン、カンデサルタンシレキセチル;アンジオテンシン変換酵素阻害薬、例えば、リシノプリル;あるいは、A型ボツリヌス毒素;と連係させて使用してもよい。
【0066】
本発明の化合物を、増強剤、例えば、カフェイン、H2−拮抗薬、シメチコン、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム;充血除去剤、例えば、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、もしくは、levo−デオキシ−エフェドリン;鎮咳薬、例えば、コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、もしくは、デキストロメトルファン;利尿薬;消化管運動賦活調整剤、例えば、メトクロプロミドもしくはドンペリドン;ならびに、鎮静性もしくは非鎮静性抗ヒスタミン薬;と連係させて使用してもよい。
【0067】
特に好ましい実施形態において、本発明の化合物は、抗偏頭痛剤、例えば、エルゴタミン;5−HTアゴニスト、特に5−HT1B/1Dアゴニスト、具体的には、スマトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタンおよびリザトリプタン;ならびに、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、具体的には、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、メロキシカム、バルデコキシブもしくはパラコキシブ;と連係させて使用される。
【0068】
前記の組合せには、本発明の1種の化合物と他の1種の活性化合物との組合せだけでなく、2種以上の他の活性化合物との組合せもまた含まれる。同様に、本発明の複数の化合物を、本発明の化合物が有用である疾患または病状の防止、治療、制御、改善、もしくは危険の低減に使用される他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。このような他の薬剤は、本発明の化合物と同時に、あるいは逐次的に、それらが通常使用される経路と量で投与され得る。本発明の化合物が1種または複数の他の薬剤と同時に使用される場合には、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。このように、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物以外に1種または複数の他の活性成分を含むものが含まれる。
【0069】
本発明の化合物と他の(複数の)活性成分との重量比は変わり、各成分の有効投薬量に応じて決まるであろう。通常、それぞれの有効投薬量が用いられるであろう。こうして、例えば、本発明の1種の化合物が他の1種の薬剤と組み合わせられる場合、本発明の化合物と他の薬剤の重量比は、通常、約1000:1から約1:1000、あるいは、約200:1から約1:200の範囲であろう。本発明の1種の化合物と他の複数の活性成分との組合せもまた、通常、前記の範囲内にあるであろうが、それぞれの場合において、各活性成分の有効投薬量が使用されるべきである。
【0070】
このような組合せにおいて、本発明の化合物と他の活性薬剤は、独立に、あるいは、連係させて投与され得る。さらに、1つの要素の投与は、同じもしくは異なる投与経路を通じて、他の薬剤の投与の前、それと同時、あるいは、それの後であり得る。
【0071】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内の注射もしくは注入、皮下注射、または埋込)の投与経路により、吸入スプレ、鼻、膣、直腸、舌下、もしくは局所の投与経路により投与され、それぞれの投与経路にとって適切な、薬学的に許容される毒性のない通常の担体、添加剤およびビヒクルを含む適切な投薬単位の処方として、単独で、もしくは一緒に処方され得る。温血動物の治療以外に、本発明の化合物は、ヒトに使用して効果的である。
【0072】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投薬単位の形において便利よく提供され、調剤学の技術分野においてよく知られている方法の何れかにより調製され得る。全ての方法は、活性成分を、1種または複数の補助的な成分からなる担体と一緒にするステップを含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体もしくは細かく砕かれた固体担体または両方と、一様に、一緒にさせて、次に、必要であれば、生成物を望まれる処方に形作ることにより調製され得る。医薬組成物において、活性化合物は、疾患の過程もしくは病状に望まれる効果を生じるのに十分な量で含まれる。本明細書では、「組成物」という用語は、指定された量で指定された成分を含む製品、ならびに、指定された量の指定された成分の組合せから、直接または間接的に得られる製品を包含すると想定されている。
【0073】
活性成分を含む医薬組成物は、経口使用に適する形態、例えば、錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードもしくはソフトカプセル、あるいは、シロップまたはエリキシル剤であり得る。経口使用を想定している組成物は、医薬組成物製造の技術分野でよく知られている方法に従って調製され、このような組成物は、調合剤を医薬品として洗練されており、口に合うようものにするために、甘味剤、芳香剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1種または複数の作用剤を含んでいてもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適する薬学的に許容される毒性のない添加剤との混合物として含んでいる。これらの添加剤は、例えば、不活性稀釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、コーンスターチ、もしくはアルギン酸);結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンもしくはアカシア);ならびに、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルク)であり得る。錠剤は、被覆されていなくても、あるいは、胃腸管における崩壊と吸収を遅らせることにより長期間に渡り作用を持続させるように、知られている方法により被覆されていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延用物質を用いることができる。これらはまた、制御放出のための浸透性治療錠剤とするために、米国特許第4256108号、米国特許第4166452号、および米国特許第4265874号に記載されている方法により、被覆されていてもよい。経口錠剤はまた、速くとろける錠剤もしくはウエファー、迅速に溶ける錠剤もしくは速く溶けるフィルムのように、直ちに放出されるように処方されてもよい。
【0074】
経口使用のための処方はまた、活性成分が不活性稀釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されたハードゼラチンカプセルとして、あるいは、活性成分が、水もしくはオイル媒体(例えば、ピーナッツオイル、液体パラフィン、またはオリーブオイル)と混合されたソフトゼラチンとしても提供され得る。
【0075】
水性懸濁液は、活性物質を、水性懸濁液の製造に適する添加剤との混合物として含んでいる。このような添加剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアガムであり;分散剤もしくは湿潤剤は、天然に産するホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)である。水性懸濁液はまた、1種または複数の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくはn−プロピル、1種または複数の着色剤、1種または複数の芳香剤、ならびに、1種または複数の甘味剤、例えば、スクロースもしくはサッカリンも含み得る。
【0076】
油性懸濁液は、活性成分を、植物オイル(例えば、ピーナッツオイル、オリーブオイル、ゴマ油もしくはココナッツオイル)、あるいはミネラルオイル(例えば液体パラフィン)に懸濁させることにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、高粘度(hard)パラフィンもしくはセチルアルコールを含み得る。前記のような甘味剤、および芳香剤を、経口製剤を口に合うようにするために添加してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加により保存され得る。
【0077】
水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適する分散性粉末および顆粒は、活性成分を、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤および1種または複数の保存剤との混合物として提供する。適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤は、すでに記載されたものにより例示されている。さらなる添加剤、例えば、甘味剤、芳香剤および着色剤もまた含まれ得る。
【0078】
本発明の医薬組成物はまた、水中油エマルジョンの形態でもあり得る。油相は、植物オイル(例えば、オリーブオイルもしくはピーナッツオイル)、またはミネラルオイル(例えば、液体パラフィン)、あるいはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に産するガム(例えば、アカシアガムもしくはトラガカントゴム)、天然に産するホスファチド(例えば、大豆、レシチン)、ならびに、脂肪酸と無水ヘキシトールとから誘導されるエステルもしくは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、ならびに、前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。これらのエマルジョンは甘味剤および芳香剤もまた含み得る。
【0079】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に処方され得る。このような処方はまた、粘滑薬(demulcent)、保存剤および芳香剤および着色剤を含み得る。
【0080】
本発明の医薬組成物は、滅菌した注射可能な水性もしくは油性懸濁液の形態でもあり得る。この懸濁液は、適切な前記の分散剤もしくは湿潤剤および懸濁剤を用いて、知られている技術に従って処方され得る。滅菌した注射可能な調合剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール溶液のように、非経口的に許容される毒性のない稀釈剤または溶剤中の滅菌した注射可能な溶液もしくは懸濁液でもあり得る。許容されるビヒクルと使用され得る溶剤の中には特に、水、リンゲル液および生理食塩液がある。さらに、滅菌した不揮発性オイル(fixed oil)が通常、溶剤または懸濁媒体として用いられる。この目的では、合成モノ−、もしくはジグリセリドを含めて、口当たりのよい不揮発性オイルが使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が注射可能医薬品の調製に使用されている。
【0081】
本発明の化合物はまた、薬剤の直腸投与のための座薬の形態でも投与され得る。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが直腸の温度では液体であるために直腸で融解して薬剤を放出する適切な非刺激性添加剤と混合することにより調製され得る。このような物質はココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0082】
局所使用では、本発明の化合物を含む、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが用いられる。同様に、経皮パッチもまた局所投与に使用され得る。
【0083】
本発明の医薬組成物および方法は、前記の病状の治療において通常用いられる、本明細書に挙げられている治療薬物として活性な他の化合物をさらに含み得る。
【0084】
CGRP受容体活性に対する拮抗作用を必要とする病状の治療、防止、制御、改善、または危険の低減において、適切な投薬レベルは、通常、約0.01から500mg/患者の体重1kg/日(1回もしくは複数回の投薬で投与され得る)であろう。適切な投薬レベルは、約0.01から250mg/kg/日、約0.05から100mg/kg/日、あるいは、約0.1から50mg/kg/日であり得る。この範囲内で、投薬量は、0.05から0.5、0.5から5、あるいは、5から50mg/kg/日であり得る。経口投与では、本発明の組成物は、治療される患者への投薬量の症状に合わせた調節のために、1.0から1000mgの活性成分、具体的には、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0mgの活性成分を含む錠剤の形態として提供され得る。本発明の化合物は、1日当たり、1から4回の計画で投与されるか、あるいは、1日当たり1回もしくは2回、投薬され得る。
【0085】
頭痛、偏頭痛、群発頭痛、あるいは、本発明の化合物が指示される他の疾患の、治療、防止、制御、改善、危険の低減に際して、本発明の化合物が、1日1回の投薬で、もしくは1日当たり2から6回の分割投薬で、あるいは、放出が持続される形で、動物の体重1kg当たり約0.1mgから約100mgの毎日の投薬量で投与された場合に、ほぼ満足すべき結果が得られる。ほとんどの大きな動物では、1日当たりの全投薬量は、約1.0mgから約1000mg、あるいは、約1mgから約50mgである。70kgの成人の場合、1日当たりの全投薬量は、通常、約7mgから約350mgであろう。この投薬計画は、最適の治療結果が得られるように調節され得る。
【0086】
しかし、特定の患者に対する具体的な投薬レベルと頻度は変わり、用いられる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与の形態と時間、排泄速度、薬剤の組合せ、特定の病状の重さ、ならびに、薬物治療を受けている相手を含めて、様々な要素に応じて決まるであろうことが理解されよう。
【0087】
本発明の化合物のいくつかの調製方法が以下のスキームおよび実施例において示される。出発物質は、当技術分野において知られている手順により、あるいは、本明細書において例示されるようにして製造される。
【0088】
本発明の化合物は、容易に入手できる出発物質、試薬と通常の合成手順を用いて、以下のスキームと具体例、あるいは、それらの修正により容易に調製され得る。これらの反応において、当業者にそれら自体知られているが、詳細には記載されない変形形態を利用することもまた可能である。本発明において特許請求されている化合物を製造するための一般的方法は、以下のスキームを注意して見れば、当業者により、容易に理解され、認められ得る。
【0089】
スキーム1は本発明の化合物への一般的経路の説明である。出発物質のカルボン酸1が、最初に、標準的な手順を用いて、対応するメチルエステルに変換される。エチルエステルまたはtert−ブチルエステルのような別のエステルを保護された酸1として用いてもよく、それらの合成方法は当技術分野においてよく知られている。臭素、あるいは他の臭素化剤(例えば、N−ブロモスクシンイミド)を用いる2の臭素化により、ブロモピリジン誘導体3が得られ、これは、様々なR基を導入するための便利な中間体である。スキーム1においては、中間体4を得るために銅により促進されるカップリング反応が用いられているが、様々な別の試薬および条件を3に適用して様々な可能な生成物群が得られ得ることを当業者は容易に理解するであろう。条件の選択は、Rの正確な性質に応じて決まり、様々な塩基と溶剤を用いる、銅、ニッケル、もしくはパラジウム触媒により促進される反応を含むであろう。エステル4のけん化により酸5が得られ、これは、EDC−HOBT条件を用いるアミンRNHとのカップリングにより、本発明の化合物である構造6を与える。
【0090】
【化5】

【0091】
酸5とアミンとのカップリングの別の方法には、これらに限定されないが、他のカップリング剤(例えばPyBOP)の使用、ホスゲンによる5の活性化、あるいは、対応する酸クロリドまたはペンタフルオロフェニルエステルへの5の変換が含まれる。6のようなアミドを合成する別の方法は、例えば反応物をトルエン中で加熱することによる、アミンRNHとエステル中間体4との直接縮合である。
【0092】
【化6】

【0093】
スキーム2においては、ピリジン7のブロム化により8を得て、これを、示されているように、銅で促進される反応において、アミド[X=C(O)R]、スルホンアミド[X=S(O)]、またはスルホニル尿素[X=S(O)N(R)(R)]とカップリングさせて構造9で表される様々な生成物を得ることができる。エステルのけん化の後にアミンRNHとカップリングさせることにより、本発明の化合物が得られる。
【0094】
【化7】

【0095】
スキーム3は、本発明の化合物の構築にとって有用な中間体1の合成の詳細である。市販の酸12のエステル化、それに続く臭素化により、ブロムピリジン14が得られる。ピリジン中での、14とδ−スルタムおよび酸化銅(I)との反応、それに続くカルボン酸基の再保護により、エステル15が得られる。クロロホルム中でN−ブロモスクシンイミドを用いてブロモフェノール16が得られ、これを、けん化して重要な中間体1を得ることができる。
【0096】
中間体1から本発明の化合物を得るための詳細は、スキーム4に示されている。示されている例において、EDCおよびHOBTを用いる、この酸と3,5−ジフルロロベンジルアミンとのカップリングは、下の実施例1に記載されている化合物を生成する。メタノール中でパラジウム触媒により、実施例1の化合物をカルボニル化し、別の興味ある化合物(実施例11に記載されている化合物)を得ることができる。
【0097】
【化8】

【0098】
スキーム4に示されている方法の容易に分かる変更を用いて、本明細書において記載されている他の実施例を得ることができる。例えば、カップリング反応において別のアミンまたはカルボン酸を用いると、様々なアミド最終生成物を得ることができる。別のカップリング法もまたこのようなアミドを得るために使用され得る。さらに、実施例11の化合物を得るために用いられているカルボニル化の条件を様々な臭素化物に適用して、他の本発明の化合物を得ることができる。
【0099】
いくつかの場合には、最終生成物を、例えば置換基の操作により、さらに修飾してもよい。これらの操作には、これらに限定されないが、還元、酸化、アルキル化、アシル化、および加水分解反応が含まれ、これらは当業者により広く知られている。
【0100】
いくつかの場合には、反応を円滑に行う、あるいは、望ましくない反応生成物を避けるために、前記反応スキームを実施する順序を変更してもよい。以下の実施例は、本発明がより完全に理解され得るように提供されている。これらの実施例は例示にすぎず、如何なる仕方においても本発明を限定していると解釈されるべきではない。
【0101】
中間体1
【0102】
【化9】

【0103】
4−ブロモ−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸
ステップA. 3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル
MeOH(75mL)中の、3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸(11.8g、84.8mmol)、および、conc.HSO(16.6g、170mol)の混合物を攪拌しながら、18時間加熱還流し、次に、室温まで冷ました。ほとんどの溶剤を真空で除去し、残留混合物を、CHCl(500mL)と飽和NaHCO(500mL)との間で分配させた。水性層をさらにCHCl(3×300mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して、表題の化合物を白色固体として得た。MS:m/z=154(M+1)。
【0104】
ステップB. 6−ブロモ−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル
3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル(9.03g、59.0mmol)の水(400mL)溶液を室温で攪拌しながら、臭素(12.8g、4.10mL、80.0mmol)を滴下した。この混合物を3時間攪拌し、その間に、細かい白色析出物が生成した。この水性混合物を、CHCl(2×500mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して、表題の化合物を、次のステップで使用するのに十分な純度をもつ白色固体として得た。MS:m/z=232(M+1)。
【0105】
ステップC. 6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル
無水ピリジン(100mL)中の、6−ブロモ−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル(6.15g、26.5mmol)、δ−スルタム(WO 02/30931−A2 Merck & Co.,Inc.,2002、に記載されている)(3.98g、29.4mmol)および酸化銅(I)(5.75g、40.2mmol)の混合物を、アルゴンの下で、130℃で6時間攪拌した。この混合物を冷却し、減圧下にピリジンを除去した。残留物をCHCl(400mL)およびEDTA(HO中0.35M、300mL、105mmol)で処理し、18時間混合物中に空気で泡を生成させた。混合物をセライトのパッドで濾過し、水性層を固体NaClで飽和させ、CHCl(4×250mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して、未精製オイルを得た。このオイルをMeOH(400mL)およびconc.HSO(2mL)に溶かし、18時間加熱還流し、次に、室温まで冷ました。ほとんどの溶剤を真空で除去し、残留混合物を、CHCl(400mL)と飽和NaHCO(400mL)との間で分配させた。水性層をさらにCHCl(2×250mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して、未精製生成物試料を得た。この未精製生成物を、CHCl:MeOH−100:0から95:5の勾配を用いて溶離させるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより部分的に精製して、黄色の固体を得て、それを、MeOHから再結晶させて、表題の化合物を、次のステップで使用するのに十分な純度をもつ薄い黄色の固体として得た。MS:m/z=287(M+1)。
【0106】
ステップD. 4−ブロモ−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル
無水CHCl(50mL)中の、6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル(2.50g、8.73mmol)、および、N−ブロモスクシンイミド(2.50g、14.1mmol)の混合物を攪拌しながら、アルゴンの下で、3時間加熱還流した。この混合物を冷却し、EtOAc(200mL)と飽和NaHCO(100mL)との間で分配させた。さらに水性層をEtOAc(200mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して未精製固体を得た。この固体をMeOHに微細分散させて、表題の化合物を、黄褐色の固体として得た、MS:m/z=365(M+1)。
【0107】
ステップE. 4−ブロモ−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸
4−ブロモ−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸メチル(1.50g、4.11mmol)、および水酸化ナトリウム(361mg、9.04mmol)のTHF(35mL)およびHO(10mL)溶液を、室温で18時間攪拌した。この混合物を、CHCl(30mL)で抽出し、有機層を棄てた。水性層を、HCl水溶液でpH=3に調節し、CHCl(2×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮して、表題の化合物を黄色の固体として得た。MS:m/z=351(M+1)。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
【0109】
【化10】

【0110】
4−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロベンジル)−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミド
ステップA. 4−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロベンジル)−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミド
4−ブロモ−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボン酸(中間体1)(144mg、0.41mmol)、EDC(173mg、0.90mmol)、およびHOBT(75mg,0.49mmol)の混合物を、DMF(2mL)中、室温で1分間攪拌し、次に、3,5−ジフルオロベンジルアミン(177mg、1.23mmol)を加えた。この混合物を、2時間攪拌し、次に、CHCl(50mL)と飽和NaHCO(25mL)との間で分配させた。さらに水性層をCHCl(2×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮した。この未精製生成物を、HO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配により溶離させる逆相C18カラムを用いるHPLCにより精製した。凍結乾燥して表題の化合物を薄く着色した固体として得た。MS:m/z=476(M+1)。HRMS:m/z=476.0099;C1717BrFSに対する計算値m/z=476.0086。
【0111】
(実施例2〜7)
実施例1で概略が示された手順に本質的には従って、表1に列挙されている化合物を調製した。必要とされるアミンは、市販されていたか、文献に記載されていたか、あるいは、有機合成の習熟者により容易に合成された。いくつかの場合には、容易に分かる保護基を用いる方法を用いた。
【0112】
【表1】

【0113】
(実施例8)
【0114】
【化11】

【0115】
N−(3,5−ジフルオロベンジル)−5−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−8−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−7−カルボキサミド
ステップA. N−(3,5−ジフルオロベンジル)−5−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−8−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−7−カルボキサミド
実施例1で概略が示された手順に従って、但し、中間体1の代わりに、5−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−8−ヒドロキシ−1,6−ナフチリジン−2−カルボン酸(WO 02/30931−A2,Merck & Co.,Inc.,2002、に記載されている)を用いて、表題の化合物を薄く着色した固体として得た。MS:m/z=449(M+1)。HRMS:m/z=449.1075;C2019Sに対する計算値m/z=449.1090。
【0116】
(実施例9〜10)
実施例1で概略が示された手順に本質的には従って、表2に列挙された化合物を調製した。必要とされるアミンは、市販されていたか、文献に記載されていたか、あるいは、有機合成の習熟者により容易に合成された。
【0117】
【表2】


【0118】
(実施例11)
【0119】
【化12】

【0120】
2−{[(3,5−ジフルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシイソニコチン酸メチル
ステップA. 2−{[(3,5−ジフルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシイソニコチン酸メチル
MeOH(7mL)中の、4−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロベンジル)−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシピリジン−2−カルボキサミド(実施例1)(100mg、0.210mmol)、Pd(OAc)(24mg、0.105mmol)、1,3−ビス(ヂフェニルホスフィノ)プロパン(43mg、0.105mmol)およびトリエチルアミン(0.15mL、1.08mmol)の混合物を攪拌しながら、CO雰囲気(約1atm)の下で、18時間穏やかに加熱還流した。反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残留物をEtOAc(20mL)に再度懸濁させ、10%のクエン酸水溶液(5mL)で洗い、次に、塩水(brine)(5mL)で洗い、有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、真空で濃縮した。この未精製生成物を、HO:CHCN:CFCOH−90:10:0.1から5:95:0.1の勾配により溶離させる逆相C18カラムを用いるHPLCにより精製した。凍結乾燥して固体を得て、さらにこれを、ヘキサン:EtOAc:HCOH−80:20:2から50:50:2の勾配により溶離させるシリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を白色固体として得た。MS:m/z=456(M+1)。HRMS:m/z=456.1048;C1920Sに対する計算値m/z=456.1036。
【0121】
(実施例12)
【0122】
【化13】

【0123】
2−({[(tert−ブトキシカルボニル)メチル]アミノ}カルボニル)−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシイソニコチン酸メチル
ステップA. 2−({[(tert−ブトキシカルボニル)メチル]アミノ}カルボニル)−6−(1,1−ジオキシド−1,2−チアジナン−2−イル)−3−ヒドロキシイソニコチン酸メチル
実施例11で概略が示された手順に従って、但し、実施例1の化合物の代わりに実施例3の化合物を用いることにより、表題の化合物を得た。MS:m/z=444(M+1)。HRMS:m/z=444.1440;C1826Sに対しての計算値m/z=444.1435。
【0124】
本発明がその特定の具体的な実施形態を参照して説明され例示されたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、手順および方法の様々な適応、変更、修正、置換、削除、または付加がなされ得ることを当業者は理解するであろう。例えば、本明細書に上で記載された特定の投薬以外の有効な投薬は、任意の適応について、上で示された本発明の化合物によって治療する哺乳動物の反応の相違の結果として適用可能であり得る。同様に、観察される具体的な薬理学的応答は、選択される特定の活性化合物に、もしくは、医薬担体が存在するかどうかに、また、用いられる処方のタイプおよび投与形態に合わせて、あるいは、これらに応じて変化することがあり、結果におけるこのような予想される変動もしく相違は、本発明の目的と実施に合致していると想定されている。このように、本発明は、実施例によっては限定されず、請求範囲により規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物ならびに、それらの薬学的に許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化1】

[式中、
は、以下から選択され:
a)水素、
b)アリール、複素環、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ならびに
c)C〜Cアルキル(無置換であるか、もしくは、
1)アリール(無置換であるか、もしくは、
i)C〜Cアルキル(無置換であるか、1〜3個のフルオロにより置換されている。)、
ii)C〜Cシクロアルキル、
iii)C〜Cアルキニル、
iv)OR10
v)アリール、
vi)複素環
vii)CN、および
viii)ハロ、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。)、
2)複素環(無置換であるか、もしくは、
i)C〜Cアルキル(無置換であるか、1〜3個のフルオロにより置換されている。)、
ii)−OR10
iii)アリール、および
iv)ハロ、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。)、
3)C〜C10シクロアルキル、
4)C〜Cアルケニル、
5)C〜Cアルキニル、
6)−OR10
7)−S(O)11
8)−NR−C(O)R
9)−C(O)−N(R)(R)、
10)−CN、
11)−NR−C(O)−N(R)(R)、
12)−C(O)−OR10
13)ハロ、および
14)−N(R)(R)、
から選択される1から5個の置換基により置換されている。);
は、以下から選択され:
a)−NR−C(O)R
b)−NR−S(O)、および
c)−NR−S(O)−N(R)(R);
およびRは、以下から独立に選択される:
水素、アリール、複素環、ハロ、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、R10O−、R11S(O)−、RC(O)−NR−、CN、(R)(R)N−C(O)−(NR)−、(R)(R)−N−C(O)−、R10C(O)−、R10OC(O)−、およびN(R)(R);あるいは
およびRは、場合によっては一緒になって、0から3個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは不飽和環を形成し、前記の環は、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、およびトリアゾリル、ならびにこれらの部分飽和アナローグであり、前記の環は、以下の1個または複数により場合によっては置換されており:
アリール、複素環、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜Cアルキニル、R10O−、R11S(O)−、RC(O)NR−、RS(O)NR−、(R)(R)N−C(O)−、CN、R10OC(O)−、F、および−N(R)(R);
およびRは、水素、C〜Cアルキル、C〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、から独立に選択され、無置換であるか、もしくは、
a)C〜Cアルキル、
b)C〜Cアルコキシ、
c)アリールもしくは複素環、
d)ハロ、
e)−OR10、および
f)−N(R10
の1個または複数により置換されており;
およびRは一緒になって環を形成していてもよく;
10は、水素、C〜Cアルキル、−CF、C〜C10シクロアルキル、ベンジル、およびアリールから独立に選択され;
11は、C〜Cアルキル、およびアリールから独立に選択され;
mは0、1、もしくは2である。]
【請求項2】
が、−CH−アリール(無置換であるか、もしくは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびメチルから選択される1〜3個の置換基により置換されている。)である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、ベンジル(1〜3個のフルオロにより置換されている。)である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、−CHC(O)OR10である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、−CHC(O)OC(CHである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、−CHC(O)NHRである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、−CHC(O)NH(C〜C10シクロアルキル)である請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が、−CHC(O)NH−アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が、−NR−S(O)である請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが一緒になって、フェニル、ピリジル、ピリミジルおよびピラジニルから選択される環を形成している請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、一緒になって、ピリジル環を形成している請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
がブロモである請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、−C(O)OR10である請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
以下から選択される化合物、ならびにこれらの薬学的に許容される塩および個々のジアステレオマー。
【化2】


【請求項16】
不活性担体と請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項17】
有効量の請求項1に記載の化合物の投与を含む、哺乳動物におけるCGRP受容体活性に対する拮抗作用のための方法。
【請求項18】
薬物治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、頭痛、偏頭痛または群発頭痛の治療、制御、改善または危険の低減を必要としている哺乳動物の患者における、頭痛、偏頭痛または群発頭痛の、治療、制御、改善または危険の低減のための方法。
【請求項19】
有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、哺乳動物におけるAM受容体活性の調節のための方法。
【請求項20】
薬物治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、癌、糖尿病性網膜症、血管障害、心不全、敗血症性ショック、高血圧、腎不全および糖尿病の、治療、制御、改善または危険の低減を必要としている哺乳動物の患者における、癌、糖尿病性網膜症、血管障害、心不全、敗血症性ショック、高血圧、腎不全および糖尿病の、治療、制御、改善または危険の低減のための方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の薬物治療に有効な量;および
セロトニンアゴニスト、鎮痛剤、抗炎症剤、抗高血圧薬および抗痙攣薬から選択される第2の薬剤の薬物治療に有効な量;
の併用投与を、偏頭痛、群発頭痛および頭痛の治療もしくは防止を必要としているヒトに行う、偏頭痛、群発頭痛および頭痛の治療もしくは防止の方法。
【請求項22】
前記の第2の薬剤が、5HT1B/1Dアゴニスト、5HT1Dアゴニスト、5HT1Fアゴニスト、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、アスピリン、アセトアミノフェン、グルココルチコイド、非ステロイド抗炎症剤から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記の第2の薬剤が、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシンI拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、およびレニン阻害剤から選択される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の薬物治療に有効な量;および
抗不安薬、抗精神病薬、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、抗欝剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、NE再取り込み阻害剤、A型もしくはB型ボツリヌス毒素、バニロイド受容体拮抗薬、アデノシン1拮抗薬、NR2B拮抗薬、サブスタンスP拮抗薬、グランザイムB阻害剤、エンドセリン拮抗薬、ノルエピネフリン前駆体、一酸化窒素合成酵素阻害剤、抗精神病薬、ブラジキニン拮抗薬、ギャップ結合阻害剤、AMPA/KA拮抗薬、シグマ受容体アゴニスト、塩素イオンチャネルエンハンサー、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、オピオイドアゴニスト、ロイコトリエン受容体拮抗薬、制吐薬、消化管運動賦活調整剤、および、ヒスタミンH1拮抗薬から選択される第2の薬剤の薬物治療に有効な量;
の併用投与を、偏頭痛、群発頭痛および頭痛の治療もしくは防止を必要としているヒトに行う、偏頭痛、群発頭痛および頭痛の治療もしくは防止の方法。

【公表番号】特表2007−523870(P2007−523870A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520226(P2006−520226)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021888
【国際公開番号】WO2005/009962
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】