説明

ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を含有している臭気を抑制した身体手入れ組成物

組成物の0.1から30重量%のジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩と、該アンモニウム塩の0.0001から0.005重量%のトリ(C−Cアルキル)アミンまたはそのプロトン化形態と、組成物の0.002から15重量%のアルミニウム塩と、化粧品に許容される担体とを含み、組成物が5.5から6.9の範囲のpHを有している身体手入れ組成物が提供される。ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩に起因するトリアルキルアミンの不快なアミン臭は、アルミニウム塩およびpH状態の慎重な管理によって抑制されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、身体手入れ組成物中のヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩の存在に起因する臭気の抑制に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩は多くの有益な化粧品特性を有している。最も重要な特性はこれらの塩の皮膚湿潤能力である。湿潤効果はUS 7087560 B2(McManusら)、EP 1807041 B1(Unilever)、EP 1804922 B1(Unilever)およびUS 7282471 B2(Harichianら)に開示されている。
【0003】
これらの塩のもう1つの効果は加齢の徴候を緩和できることである。この効果はUS 7176172 B2(Hardingら)に報告されている。
【0004】
ジヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムを含有する身体手入れ組成物の開発中に気付かれたのは悪臭の問題であった。臭気発生は塩組成物から連続的に生成される少量の低分子量トリアルキルアミンが原因であった。たとえ少量であってもアミンはヒトの嗅覚によって容易に検出される。
【0005】
US 2007/0299284 A1(Deavenportら)は、ジヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩に起因する悪臭を阻害する試みを開示している。かれらの解決方法は、最終的第四級アンモニウム塩に導く中間反応のpHを低下させることである。この塩を含有する身体手入れ組成物を臭気抑制に導く方針は全く示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7087560号明細書
【特許文献2】欧州特許第1807041号明細書
【特許文献3】欧州特許第1804922号明細書
【特許文献4】米国特許第7282471号明細書
【特許文献5】米国特許第7176172号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0299284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、配合された身体手入れ組成物中のジヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩によって生成される揮発性トリアルキルアミンに起因する悪臭を減少させることに焦点を合せる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
(i)組成物の0.1から30重量%のジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩、
(ii)ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の0.0001から0.005重量%のトリ(C−Cアルキル)アミンまたはそのプロトン化形態、
(iii)組成物の0.002から15重量%のアルミニウム塩、および
(iv)化粧品に許容される担体、
を含み、組成物が5.5から6.9の範囲のpHを有している身体手入れ組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な記述
ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の分解に起因する悪臭形成をアルミニウム塩が阻止できることがここに知見された。さらに、臭気の原因となるトリアルキルアミンの生成は5.5から6.9、好ましくは6.0から6.8、最適には6.2から6.8のpHで配合を行うことによって阻止できることが知見された。
【0010】
したがって本発明の第一の要素は、ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩である。普通の場合、第四級アンモニウム基のC−Cアルキル成分はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはヒドロキシエチルおよびそれらの混合物であろう。INCI命名法で“トリモニウム”基として知られたトリメチルアンモニウム基が特に好ましい。本発明の第四級アンモニウム塩にはいかなるアニオンも使用できる。材料が化粧品に許容されるという条件付きでアニオンは有機でも無機でもよい。典型的な無機アニオンは、ハロゲン、スルフェート、ホスフェート、ニトレートおよびボレートである。ハロゲン、特に塩化物が最も好ましい。有機のアニオン性対イオンは、メトスルフェート、トルオイルスルフェート、アセテート、シトレート、タータレート、グリコレート、ラクテート、グルコネートおよびベンゼンスルホネートを含む。
【0011】
ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩は様々な合成手順で得ることができる、最も特定的にはクロロヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の加水分解によって得られる。最も好ましい種は2,3−ジヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドであり、そのC−Cアルキルはメチル基である。
【0012】
ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の量は、組成物の約0.1から約30重量%、好ましくは約0.5から約20重量%、最適には約1から約12重量%の範囲でよい。
【0013】
ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アミン塩の分解に起因するトリアルキルアミンを最小量に抑えなければならない。しかしながら、pH操作によってアミンを完全に抑制する段階はいずれも塩の安定性に逆効果を与える。このような理由から、組成物中に少量のトリ(C−Cアルキル)アミンおよび/またはそのプロトン化形態を維持しておくことが必要である。このような少量は、感知できる悪臭を放つためには不十分であるが分解に逆らう平衡を与えるためには十分である。したがって、本発明の組成物中のトリ(C−Cアルキル)アミンまたはそのプロトン化形態は普通の場合、ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の0.0001から0.005重量%、好ましくは0.0001から0.001重量%、より好ましくは0.0001から0.0005重量%、最適には0.0001から0.0003重量%の量で存在するであろうが、検出可能な臭気(嗅覚パネルの構成人員の80%が嗅覚で検出したという結果に基づく)を示すには不十分な濃度であろう。本発明の組成物中に存在する特定のアミンはトリメチルアミンおよびそのプロトン化形態トリメチルアミン塩酸塩である。トリ(C−Cアルキル)アミンのプロトン化形態は塩酸のような水素酸で中和することによって得られる。
【0014】
アルミニウム塩は本発明の組成物の別の成分である。多様な有機および無機のアルミニウム含有物質が本発明に適している。アルミニウム塩は水中で解離し易い塩が有利である。好ましくはアルミニウム塩が、20℃の水100mlあたり、少なくとも0.5グラム、特に少なくとも3グラム、最適には少なくとも20グラムの溶解度(solutility)を有している。アルミニウム塩の非限定的代表例は、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、臭化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムレーキ、クエン酸アルミニウム、乳酸アルミニウムおよびそれらの混合物を含む。アルミニウム塩の量は、組成物の約0.002から15重量%、好ましくは約0.005から約1重量%、より好ましくは約0.01から約0.1重量%、最適には約0.02から0.05重量%の範囲でよい。
【0015】
身体手入れ組成物という用語は、外見、清浄化、臭気抑制または全般的美感を改善するためにヒトの身体に塗布される何らかの物質を意味する。身体手入れ組成物の非限定例は、リーブオン皮膚用液体製品、シャワージェル、トイレットバー、制汗剤、消臭剤、髭剃りクリーム、脱毛剤、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、人工日焼け剤および日焼け止め乳液を含む。本発明の身体手入れ組成物はいかなる形態でもよい。これらの形態は、ローション、クリーム、ロールオン配合物、スティック、ムース、エアゾールおよび非エアゾールスプレー、ならびに、貼付パッチもしくは拭取りのような布(たとえば不織布)に塗布された配合物を含み得る。
【0016】
本発明の組成物はまた、化粧品に許容される担体を含み得る。担体の量は、組成物の約1から約99.9重量%、好ましくは約70から約95重量%、最適には約80から約90重量%の範囲でよい。有用な担体としては、水、皮膚緩和剤、脂肪酸、脂肪アルコール、増粘剤およびそれらの組合せがある。担体は水性、無水性またはエマルジョンでよい。好ましくは組成物が水性であり、特に、W/O型、O/W型または三層のW/O/W型の水と油のエマルジョンである。存在するときの水の量は、組成物の約5から約95重量%、好ましくは約20から約70重量%、最適には約35から約60重量%の範囲でよい。
【0017】
皮膚緩和剤は化粧品に許容される担体として使用され得る。これらは、シリコーン油、天然または合成のエステルおよび炭化水素の形態であろう。皮膚緩和剤の量は、組成物の約0.1から約95重量%、好ましくは約1から約50重量%の範囲のいかなる値でもよい。
【0018】
シリコーン油は揮発性品種と不揮発性品種に分類できる。この文中に使用した“揮発性”という用語は周囲温度で測定可能な蒸気圧を有している材料を表す。揮発性シリコーン油は好ましくは、3から9、好ましくは4から5個のケイ素原子を有している環状(シクロメチコーン)または直鎖状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0019】
皮膚緩和剤として有用な不揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。本発明に有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンはたとえば、25℃で5×10−6から0.1m/秒の粘度を有しているポリジメチルシロキサンを含む。本発明の組成物に有用な好ましい不揮発性皮膚緩和剤としては、25℃で約1×10−5から約4×10−4/秒の粘度を有しているポリジメチルシロキサンがある。
【0020】
不揮発性シリコーンの別のクラスは、乳化性および不乳化性のシリコーンエラストマーである。この分野の代表は、ジメチコーン/ビニルジメチコーンクロスポリマーであり、Dow Corning 9040、General Electric SFE 839およびShin−Etsu KSG−18として入手できる。Silwax WS−L(ジメチコーンコポリオールラウレート)のようなシリコーンワックスも有用であろう。
【0021】
エステル皮膚緩和剤としては以下の材料がある:
a)10から24個の炭素原子を有している飽和脂肪酸のアルキルエステル。その例はネオペンタン酸ベヘニル、イソナノン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸オクチル;
b)エトキシル化飽和脂肪アルコールの脂肪酸エステルのようなエーテル−エステル;
c)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪エステル、エトキシル化グリセリルモノ−ステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好適な多価アルコールエステルである。ペンタエリトリトール、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールのC−C30アルコールのエステルが特に有用である;
d)蜜蝋、鯨蝋およびトリベヘニンワックスのようなワックスエステル;
e)スクロースポリベヘネートおよびスクロースコットンシーデートのような脂肪酸の糖エステル。
【0022】
天然のエステル皮膚緩和剤は基本的にモノ−、ジ−およびトリ−グリセリドを主成分とする。代表的なグリセリドは、ヒマワリ種油、綿実油、ルリヂサ油、ルリヂサ種油、マツヨイグサ油、ヒマシ油および水添ヒマシ油、米ぬか油、ダイズ油、オリーブ油、ベニバナ油、シアバター、ホホバ油およびそれらの組合せを含む。動物由来の皮膚緩和剤の代表は、ラノリン油およびラノリン誘導体である。天然エステルの量は組成物の約0.1から約20重量%の範囲でよい。
【0023】
化粧品に許容される担体として適当な炭化水素は、ペトロラタム、鉱油、C11−C13イソパラフィン、ポリブテン、および、特にPresperse IncからPermethyl 101Aとして市販されているイソヘキサデカンを含む。
【0024】
10から30個の炭素原子を有している脂肪酸も化粧品に許容される担体として適当であろう。この種類の代表は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ヒドロキシステアリン酸およびベヘン酸である。
【0025】
10から30個の炭素原子を有している脂肪アルコールは化粧品に許容される担体の別の有用な種類である。この種類の代表はステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコールおよびセチルアルコールである。
【0026】
増粘剤は、本発明による組成物の化粧品に許容される担体の一部として利用できる。典型的な増粘剤は、架橋アクリレート(たとえばCarbopol 982(R))、疎水性に改質されたアクリレート(たとえばCarbopol 1382(R))、ポリアクリルアミド(たとえばSepigel 305(R))、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸/塩ポリマーおよびコポリマー(たとえば、Aristoflex HMB(R)およびAVC(R))、セルロース誘導体および天然ガムを含む。有用なセルロース誘導体としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に好適な天然ガムは、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せを含む。無機物、特にベントナイトおよびヘクトライトのようなクレー、ヒュームドシリカ、タルク、炭酸カルシウムならびにケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum(R))のようなケイ酸塩も増粘剤として利用できる。増粘剤の量は、組成物の0.0001から10重量%、普通には0.001から1重量%、最適には0.01から0.5重量%の範囲でよい。
【0027】
保湿剤を本発明に使用し得る。これらは一般的に多価アルコール型材料である。典型的な多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物を含む。保湿剤の量は、組成物の0.5から50重量%、好ましくは1から25重量%、最適には10から20重量%の範囲でよい。
【0028】
界面活性剤も本発明の組成物中に存在させ得る。存在するときの界面活性剤の総濃度は、組成物の約0.1から約90重量%、好ましくは約1から約40重量%、最適には約0.1から約20重量%の範囲でよく、身体手入れ製品の種類に大きく左右される。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性の界面活性剤から成る群から選択され得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性基1モルあたり2から100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10−C20の脂肪アルコールまたは脂肪酸疎水性基をもつもの、2から20モルのアルキレンオキシドと縮合したC−C10アルキルフェノール、エチレングリコールのモノ−およびジ−脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン、モノ−およびジ−C−C20脂肪酸、ポリオキエチレンソルビタンならびにそれらの組合せである。アルキルポリグリコシドおよび糖脂肪アミド(たとえばメチルグルコンアミド)およびトリアルキルアミンオキシドも適当な非イオン性界面活性剤である。
【0029】
有用な両性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタイン、C12−C20トリアルキルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウムおよびラウロジアンホ酢酸ナトリウムを含む。
【0030】
好ましいアニオン性界面活性剤は、セッケン、アルキルエーテルスルフェートおよびスルホネート、アルキルスルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホスクシネート、C−C20アシルイセチオネート、C−C20アルキルエーテルホスフェート、C−C20サルコシネート、C−C20アシルラクチレート、スルホアセトーテおよびそれらの組合せを含む。
【0031】
日光遮蔽剤も本発明の組成物に含有させ得る。パルソールMCX(R)として入手可能なエチルヘキシルp−メトキシシンナメート、パルソール1789(R)として入手可能なアボベンゼン、オキシベンゾンとしても知られたベンゾフェノン−3のような材料が特に好ましい。無機の日光遮蔽有効物質としてはたとえば極微粒の(たとえば平均粒度0.1から200ミクロンの)二酸化チタンおよび酸化亜鉛が使用され得る。存在するときの日光遮蔽剤の量は、一般には組成物の0.1から30重量%、好ましくは2から20重量%、最適には4から10重量%の範囲でよい。
【0032】
潜在的に有害な微生物の増殖を防御するために本発明の身体手入れ組成物に保存剤を組込むのが望ましい。特に好ましい保存剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、ジメチロールジメチルヒダントイン、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、ジヒドロ酢酸ナトリウム、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ヨードプロピニルブチルカーバメートおよびベンジルアルコールである。保存剤は、組成物の用途および保存剤と他の成分との不適合の可能性を考慮に入れて選択する必要がある。保存剤は好ましくは組成物の0.0001から2重量%の範囲の量で使用される。
【0033】
本発明の組成物はビタミン類を含み得る。代表的なビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、葉酸およびビオチンである。ビタミン類の誘導体を使用してもよい。たとえば、ビタミンC誘導体は、アスコルビルテトライソパルミテート、アスコルビルリン酸マグネシウムおよびアスコルビルグリコシドを含む。ビタミンEの誘導体は酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルを含む。DL−パンテノールおよび誘導体も使用し得る。本発明による組成物中に存在するときのビタミンの総量は、組成物の0.001から10重量%、好ましくは0.01から1重量%、最適には0.1から0.5重量%の範囲でよい。
【0034】
別の種類の有用な物質としては、エラスターゼ、アミラーゼ、オキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼのような酵素およびその組合せがある。
【0035】
皮膚美白化合物は本発明の組成物に含有させることができる。代表的な物質は、胎盤エキス、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、レゾルシノールおよび4−置換レゾルシノールを含むその誘導体ならびにそれらの組合せである。これらの物質の量は組成物の約0.1から約10重量%、好ましくは約0.5から約2重量%の範囲でよい。
【0036】
皮膚剥脱促進剤が存在してもよい。代表的なものは、アルファ−ヒドロキシカルボン酸およびベータ−ヒドロキシカルボン酸である。“酸”という用語は、遊離酸だけでなく、その塩、C−C30のアルキルエステルまたはアリールエステル、ならびに、水の除去によって生成し環状または直鎖状ラクトン構造を形成したラクトンを含意する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸およびリンゴ酸である。サリチル酸はベータ−ヒドロキシカルボン酸の代表である。存在するときのこれらの材料の量は、組成物の約0.01から約15重量%の範囲でよい。
【0037】
必要に応じて様々な薬草エキスを本発明の組成物に含有させてもよい。エキスは水溶性であるかまたは水不溶性で溶媒に担持されており、それぞれ親水性または疎水性である。水およびエタノールが好ましい抽出溶媒である。代表的なエキスは、緑茶、カミツレ、カンゾウ、cinnamonum ilicioides、アロエベラ、グレープシード、温州ミカン、ヤナギ樹皮、セージ、タイムおよびローズマリーなどのエキスを含む。
【0038】
リポ酸、レチノキシトリメチルシラン(Clariant Corp.からSilcare 1M−75という商標で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、フラボノイドおよびそれらの組合せのような材料も含有させ得る。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3Bおよびセラミド6を含む)および擬似セラミドも有用であろう。これらの材料の量は組成物の約0.000001から約10重量%、好ましくは約0.0001から約1重量%の範囲でよい。
【0039】
着色剤、乳白剤および研磨剤も本発明の組成物に含有させ得る。これらの物質のおのおのは、組成物の約0.05から約5重量%、好ましくは0.1から3重量%の範囲でよい。
【0040】
身体手入れ組成物を貯蔵および配給するために多様な包装を使用できる。包装はしばしば身体手入れ組成物の最終用途の種類に左右される。たとえば、リーブオン型のスキンローションおよびクリームとシャワージェルは一般的に、栓で閉じられる開口を吐出端に有しているプラスチック容器を使用する。典型的な栓は、ネジ込みキャップ、非エアゾールポンプおよびちょうつがい式の蓋である。制汗剤、消臭剤および脱毛剤の包装は吐出端にロールオンボールの付いた容器を含み得る。あるいは、これらの種類の身体手入れ製品が、吐出口に向かってプラットフォーム上でスティックを移動させる進退機構をもつ容器に入れたスティック組成物の形態で配給されてもよい。噴霧ノズルを有しており噴射剤によって加圧された金属缶は制汗剤、髭剃りクリームおよびその他の身体手入れ製品の包装として役立つ。トイレットバーはセルロースもしくはプラスチックラッパーから成る包装を有していたりまたはボール箱に収納されたりまたは収縮包装プラスチックフィルムによって包装されたりできる。本発明において上記のすべてが包装であると考える。
【0041】
“含む”という用語は、その後に記述される要素に限定されることなく、明記されない要素をそれらの機能的重要性の大小を問わずに含意する。言い換えると、列挙された段階、要素または選択肢が網羅的である必要はない。“含んでいる”または“有している”という語が使用されているとき、これらの用語は常に上記に定義したような“含む”と等価の意味である。
【0042】
処理実施例および比較実施例を除いて、または、他の明白な指示がある場合を除いて、材料の量を示すこの明細書中のすべての数値は“約”という語によって修飾されていると理解されたい。
【0043】
すべての特許、特許出願および印刷された刊行物を含むこの文中で言及したすべての文献はここで参照したことによってそれらの記載内容全体がこの開示に組込まれるものとする。
【0044】
以下の実施例は本発明の実施態様をより十分に説明する。明細書および特許請求の範囲において言及したすべての部、パーセンテージおよび割合は他の指示がなければ重量基準の値である。
【実施例1】
【0045】
本発明の代表的なローションを以下の表Iに示す。この配合液には2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド塩とpHを5.5にするためのクエン酸/クエン酸ナトリウムバッファとが組込まれている。少量のトリメチルアミンが存在している。
【0046】
【表1】

【実施例2】
【0047】
本発明において有用なシャンプー組成物を以下の表IIに記述する。
【0048】
【表2】

【実施例3】
【0049】
2,3−ジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(以後の文中で“DPAC”と表す)の安定性を改善してトリメチルアンモニウム塩酸塩(以後の文中でTMA.HClと表す)への分解を抑制する様々な金属イオンの効果を評価する実験を行った。これらの実験用サンプルは、指定した様々な金属イオン源と共に50%w/wのDPAC水溶液を使用した。サンプルは以下の2つの方法のいずれかによって調製した。(1)非緩衝条件:DPACと金属イオン塩との混合物を塩酸または水酸化ナトリウムによって滴定しpH約6.2とした。(2)緩衝条件:DPACと金属イオン塩とをpH6.2の0.1Mリン酸塩バッファと混合した。DPACと金属イオン塩との混合物を種々の温度条件で貯蔵し、指定した貯蔵期間毎にTMA.HClレベルをモニターした。
【0050】
種々の温度で金属イオンと共に貯蔵したDPACのTMAヘッドスペース測定方法
バッファ溶液:pH12の0.5Mリン酸塩バッファを調製する。
【0051】
GC分析用サンプルの調製:1.8mlのpH12のリン酸塩バッファ(0.5M)と0.2mlのDPACサンプル(TMA.HCl含有)とを20ml容のGCヘッドスペースサンプリングバイアルにピペット注入する。次に、GCサンプリングバイアルを、いずれもGerstel,Inc.製の隔膜付きキャップで密閉する。
【0052】
計器:TMAの定量には固相微量抽出(SPME)−ガスクロマトグラフィー(GC)6890/質量分析法(MS)5973/フレームイオン化検出器(FID)を使用した。GCカラムはAgilent社のHP−5MSカラム(内径0.25mm、長さ30m、固定相厚み0.25μm)である。
【0053】
GC条件:ヘリウムガスをキャリャーガスとする非分離モードのインゼクター。射出ポートを250℃に加熱し、分離ベントへのパージ流は流量50ml/分で2分。カラムは流速1.3ml/分の定流量モードにする。オーブン温度勾配:45℃で2分間維持し、次に3℃/分の速度で50℃まで加熱し、15℃/分で280℃まで加熱して2分間維持する。MS条件:溶媒遅延0.2分、走査は低質量30から開始して高質量300まで。
【0054】
オートサンプラーの条件:手動または全自動ホルダーで切込みを付けた生繊維試料としてSPMEファイバー、2cm−50/30μm DVB/Carboxen/PDMS stableFlex。Supelco 57348−Uを使用した。GCバイアルを55℃で15分間、撹拌しないで温置した。抽出時間は5分とし、次にファイバーをGCインゼクター中で15分間脱着させた。
【0055】
TMA定量データの解析:サンプルおよび検量サンプルのTMAのピーク面積を知るために約2.2分から2.5分まで(保持時間)59.1イオンの手動積算を行った。TMAピーク面積対TMA.HClの水中濃度(ppm)の検量線を作成できる。この検量線に照合してサンプル中のTMA.HClの量を算定する。さらに、サンプルで試験したレベルと同じレベルの金属塩を10ppmのTMA.HCl水溶液に添加して、検量線が移動するか否かを点検した(試験したどの金属イオンの存在下でも検量線は移動しなかった)。
【0056】
第一組の実験では、塩化アルミニウムを緩衝pH6.2で評価した。0.025%(250ppm)のレベルのアルミニウムイオンがTMA.HClの形成を、特に周囲温度よりも高い貯蔵温度のときに、抑制することが知見された。表III参照。
【0057】
【表3】

【0058】
緩衝pH6.2における硫酸アルミニウムカリウムの効果を判定する実験も行った。アルミニウムイオンのレベルは0.025%(250ppm)であった。アルミニウムイオンが、特に周囲温度よりも高い貯蔵温度で、TMA.HCl形成を減速させることが表IVから再度明らかである。
【0059】
【表4】

【0060】
アルミニウムイオンのレベル0.025%(250ppm)のケイ酸アルミニウムの効果も評価した。使用した媒体はpHを約6.2に設定した非緩衝媒体であった。この場合、ケイ酸アルミニウムに由来のアルミニウムイオンがDPAC含有媒体からのTMA.HCl形成を減速させることがまたもや観察された。
【0061】
【表5】

【0062】
他の金属イオンの効果を判定するためにさらに別の実験を行った。マグネシウムイオンは硫酸マグネシウムから発生した0.005%(50ppm)で評価した。カルシウムイオンは塩化カルシウムから発生した0.025%(250ppm)のレベルで評価した。貯蔵中のpHを6.2に維持した非緩衝系で評価を実施した。TMA.HClの形成に対するそれらの効果を表す結果を表VIに記録する。実験誤差(+/−0.3×10重量%)の範囲内でTMA.HClのレベルはカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンの存在によって影響されないことが知見された。
【0063】
【表6】

【0064】
DPAC貯蔵中のTMA.HCl形成に対する0.005重量%(50ppm)のレベルの第二鉄イオンの効果を評価した。系をpH6.2に緩衝した。結果が表VIIに見られる。これらの実験で第二鉄イオンがTMA.HCl形成の抑制に逆効果であることが判明する。
【0065】
【表7】

【0066】
0.0250重量%(250ppm)の塩化アルミニウムが非緩衝pH3.8でTMA.HClの形成に与える効果を評価するために一組の実験を行った。以下の表VIIIは観察結果を報告する。3.8のような低いpHではTMA.HClの形成速度が塩化アルミニウム非存在の場合よりも高い。
【0067】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)組成物の0.1から30重量%のジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩、
(ii)ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の0.0001から0.005重量%のトリ(C−Cアルキル)アミンまたはそのプロトン化形態、
(iii)組成物の0.002から15重量%のアルミニウム塩、および
(iv)化粧品に許容される担体、
を含み、組成物が5.5から6.9の範囲のpHを有している身体手入れ。
【請求項2】
アンモニウム塩がジヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
トリ(C−Cアルキル)アミンまたはそのプロトン化形態がジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩の0.0001から0.001重量%の量で存在する請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
アルミニウム塩が、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、臭化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムレーキ、クエン酸アルミニウム、乳酸アルミニウムおよびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
アルミニウム塩が組成物の0.02から0.05重量%の量で存在する請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
アミンがトリメチルアミンである請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
pHが6.0から6.8の範囲である請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
さらに、組成物の0.1から20重量%の量で存在する界面活性剤を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
さらに、組成物の10から20重量%の量のグリセリンを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−514582(P2012−514582A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544036(P2011−544036)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067923
【国際公開番号】WO2010/076293
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】