説明

ヒータユニット

【課題】 簡単な構造で、内ヒータと外ヒータとの互いの相対距離を適正に維持することができるヒータユニットを提供する。
【解決手段】 本発明に係るヒータユニット1は、通電によって加熱されるヒータ7と、該ヒータ7の平面方向の位置を規制する複数の位置決め部材4と、を備え、前記ヒータ7は、内周側に配置される内ヒータ8と、該内ヒータ8の外周側に配置される外ヒータ9とからなり、前記位置決め部材4は、内ヒータ8と外ヒータ9との間に配置されて、これら内ヒータ8および外ヒータ9の位置を規制するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ等の被加熱物を加熱処理するヒータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造過程において、ウエハプロセス処理を行うために基板加熱用のヒータユニットが用いられている(例えば、特許文献1参照)。ウエハの外周部では、いわゆる熱引けが起こるため、ウエハの外周部は、内周部よりも温度が低下しやすい。そのため、内周側の内ヒータと外周側の外ヒータとから構成された2ゾーンタイプのヒータを使用し、外ヒータを内ヒータよりも高い温度に設定することにより、ウエハ全体の均熱性を保持することが広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−166830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のヒータユニットにおいて、内ヒータと外ヒータとは、それぞれ独立しているため、内ヒータと外ヒータとを適正な相対距離を保持して、両者を位置決めして配置することが困難であった。内ヒータと外ヒータとの位置決めが適正でないと均熱性の低下に繋がっていた。
【0005】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、内ヒータと外ヒータとの互いの相対距離を適正に位置決めし、維持することができるヒータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。本発明の第1の特徴は、略円形状に加工された半導体ウエハを加熱する略円形状の加熱面を有するヒータユニットであって、加熱面(加熱面5a)の中央を含む前記加熱面の内側に配置される略円形の内ヒータ(内ヒータ8)と、前記内ヒータの径方向外側に配置される環状の外ヒータ(外ヒータ9)と、前記外ヒータと前記内ヒータの境界に配置されており前記外ヒータと前記内ヒータの双方に当接する複数の位置決め部材(位置決め部材4)とを有し、複数の位置決め部材は、前記外ヒータと前記内ヒータとの境界に含まれる同心円上に等間隔に配置されることを要旨とする。
【0007】
本発明に係るヒータユニットでは、内ヒータと外ヒータとの間に位置決め部材を配置して、これら内ヒータおよび外ヒータの位置を規制することにより、簡単な構造で互いの相対距離を確保すると共に、絶縁性を保持することができる。
【0008】
本発明の他の特徴は、前記位置決め部材(位置決め部材4)は、平面視でヒータ(ヒータ7)の周方向に沿って略等間隔に3本配置させたことを要旨とする。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記位置決め部材(位置決め部材4)は、絶縁体から形成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内ヒータと外ヒータとの互いの相対距離を適正に位置決めし、維持することができるヒータユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるヒータユニットの断面図である。
【図2】図2は、図1のヒータと位置決め部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係るヒータユニットの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0013】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。図1は本発明の実施形態によるヒータユニットの断面図、および、図2は図1のヒータと位置決め部材を示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、このヒータユニット1は、床面に載置される支持台2と、中央側支持柱3と、位置決め部材4と、ウエハホルダ5と、保持体6と、ヒータ7とを備える。ヒータユニット1は、略円形状に加工された半導体ウエハを加熱する略円形状の加熱面5aを有する。
【0015】
図1,2に示すように、ヒータ7は、内ヒータ8と、外ヒータ9とを有する。内ヒータ8は、ウエハを載置する加熱面5aの径方向中央部側である内周側に配置される。外ヒータ9は、内ヒータ8よりも外周側に配置される。外ヒータ9は円環状を有する。
【0016】
外ヒータ9の内側に内ヒータ8が配置される。内ヒータ8の径方向外側の縁部と外ヒータ9の内側の縁部とは、同心円状である。内ヒータ8及び外ヒータ9のそれぞれは、帯状の発熱体であり、同一平面上に連続して所定のパターンが形成されている。所定パターンは、曲線で構成されており、いわゆる一筆書き状に形成されている。
【0017】
中央側支持柱3は、支持台2の中央部に配置されており、一方の端部が支持台2に固定されている。また、他方の端部が支持台2から上方に向けて延びる。中央側支持柱3の柱中心線CLは、後述するウエハホルダ5の平面中心に一致する。
【0018】
位置決め部材4は、支持台2の外周側に配置されており、一方の端部が支持台2に当接している。また、他方の端部が支持台2から上方に向けて延びる。また、位置決め部材4は、内ヒータ8と外ヒータ9との境界に配置されており、内ヒータ8と外ヒータ9との双方に当接する。位置決め部材4は、外ヒータ9と内ヒータ8との境界に含まれる同心円上に等間隔に配置される。
【0019】
位置決め部材4は、円筒状に形成された構造体11の挿通孔11hに挿通されている。構造体11の下端部には、フランジ11aが設けられる。フランジ11aは、ボルト12を介して支持台2に取り付けられている。このように、構造体11が支持台2に固定されることによって、位置決め部材4が固定される。ウエハホルダ5の上面(加熱面5a)は、被加熱体であるウエハ(図示せず)を保持するため、高温耐性を有する材質(例えば石英)から形成される。
【0020】
ウエハホルダ5の平面形状は、ウエハの平面形状と略同一であり、略円形である。ウエハホルダ5は、水平な加熱面5aを有し、加熱面5aにはウエハ(不図示)が載置される。ウエハホルダ5は、中央側支持柱3および位置決め部材4によって支持される。保持体6は、ウエハホルダ5の下方に配置される。ヒータ7は、保持体6とウエハホルダ5と保持体6との間に配置される。ヒータ7は、通電により発熱する。
【0021】
外ヒータ9の内周縁には、位置決め部材4の側面を支持する略半円状の支持凹部9aが形成される。内ヒータ8の外周縁には、外ヒータ9の支持凹部9aに対向配置された略半円状の支持凹部8aが形成される。位置決め部材4は、一対の支持凹部8a,9aによって支持される。ここで、位置決め部材4の側面と支持凹部8a,9aとは、互いに接していることが好ましい。なお、内ヒータ8の中央部には中央孔10が形成されている。中央孔10の中心は、中心線CLに一致する。
【0022】
図2に示すように、内ヒータ8と外ヒータ9との間には、一対の支持凹部8a,9aに嵌合して3本の位置決め部材4が配設される。これらの位置決め部材4は、周方向に略等間隔に、即ち、周方向に約120°ずつ離れて配置されており、内ヒータ8と外ヒータ9の平面方向の位置決め(位置規制)を行っている。位置決め部材4は、絶縁体(例えば、石英)から形成することが好ましい。
【0023】
なお、位置決め部材4は、図1に示すように、ウエハホルダ5を支える構造支柱としても機能しているため、部品点数を削減してヒータユニット1の構造を簡素化することができる。
【0024】
(作用・効果)
本発明の実施形態による作用効果を説明する。
【0025】
(1)本実施形態に係るヒータユニット1は、通電によって加熱されるヒータ7と、該ヒータ7の平面方向の位置を規制する複数の位置決め部材4と、を備え、ヒータ7は、内周側に配置される内ヒータ8と、該内ヒータ8の外周側に配置される外ヒータ9とからなり、位置決め部材4は、内ヒータ8と外ヒータ9との間に配置されて、これら内ヒータ8および外ヒータ9の位置を規制するように構成している。
【0026】
本実施形態に係るヒータユニット1では、内ヒータ8と外ヒータ9との間に位置決め部材4を配置して、内ヒータ8および外ヒータ9の位置を規制したことにより、互いの相対距離を適正に位置決めすることができる。従って、ヒータ間を絶縁できるとともに、均熱性を保持できる。
【0027】
(2)位置決め部材4は、平面視でヒータ7の周方向に沿って略等間隔に3本配置されるため、最小限の数の位置決め部材4によって、内ヒータ8と外ヒータ9とを効率良く固定できる。即ち、内ヒータ8と外ヒータ9との隙間寸法を一定に保持できる。従って、内ヒータ8と外ヒータ9との絶縁性を確実に維持することができる。
【0028】
(3)位置決め部材4は、石英等の絶縁体から形成されているため、内ヒータ8と外ヒータ9とに接触させることができる。従って、位置決め精度が向上する。
【符号の説明】
【0029】
1…ヒータユニット、 2…支持台、 3…中央側支持柱、 4…位置決め部材、 5…ウエハホルダ、 6…保持体、 7…ヒータ、 8…内ヒータ、9…外ヒータ、 10…中央孔、 11…構造体、 11a…フランジ、 11h…挿通孔、 12…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円形状に加工された半導体ウエハを加熱する略円形状の加熱面を有するヒータユニットであって、
前記加熱面の中央を含む前記加熱面の内側に配置される略円形の内ヒータと、
前記内ヒータの径方向外側に配置される環状の外ヒータと、
前記外ヒータと前記内ヒータの境界に配置されており前記外ヒータと前記内ヒータの双方に当接する複数の位置決め部材とを有し、
前記複数の位置決め部材は、前記外ヒータと前記内ヒータとの境界に含まれる同心円上に等間隔に配置されるヒータユニット。
【請求項2】
前記位置決め部材は、前記同心円上に略等間隔に3本配置される請求項1に記載のヒータユニット。
【請求項3】
前記位置決め部材は、絶縁体から形成される請求項1または2に記載のヒータユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−81939(P2011−81939A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231377(P2009−231377)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】