説明

ヒータ部材及びヒートロール

【課題】自己接着性を有して接着剤を不要にでき、発熱体2等の段差を吸収できるヒータ部材を提供する。
【解決手段】高耐熱性且つ熱硬化性を有する樹脂材料11と高耐熱性を有するエラストマ10とを含む樹脂組成物を有機溶剤に溶解させたワニスから、可撓性を有する未反応固形状態で膜形状に形成された未反応熱硬化性フィルム1と、電源に接続されることで電流経路が発熱する平面状抵抗体5からなる発熱体2とを備え、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1を完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により、未反応熱硬化性フィルム1に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体をフィルムに結合させたヒータ部材及びそのヒータ部材を用いたヒートロールに関し、特に、そのフィルムが未反応固形状態であるヒータ部材及びヒートロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発熱体を用いたヒータ部材は、例えば、電子写真方式の画像形成装置におけるトナー定着用のヒートロール等に使用されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、定着ローラの抵抗発熱体を、ローラの内部に厚み制御用のマイカフィラーを分散したシリコーン系バインダ(接着材)により固着させている。
【0003】
また、発熱体をフィルムに結合させたヒータ部材としては、例えば、熱融着性ポリイミドと高耐熱性ポリイミドが接合された熱融着性多層ポリイミドフィルムの間に発熱体を加熱圧着した面状ヒータが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、シート状のヒータ部材としては、まず、ガラス布にフッ素系ポリマー(PTFE)を含浸したシート状の基材上に、フッ素系ポリマー(PFA)の結合層を形成し、さらにこの結合層上に金属シートを付着させてエッチングする。次いで、結合剤の層で被覆された第2の基材を、結合剤の層を金属シートと対向させて積層してプレスで集成したものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−29343号公報
【特許文献2】特開2004−355882号公報
【特許文献3】特開2007−115702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のヒータ部材は、シリコーン系バインダ(接着材)により抵抗発熱体をローラの内部に固着させるものであり、接着剤の塗布量の多少により液だれや接着不良を発生させたり、接着層の厚みが不均一になる可能性があった。そのため、特許文献1のヒータ部材では、マイカフィラーや保護層により厚みを制御しているが、均一の厚みを得るための制御が困難であり、製造の歩留まりを悪化させる可能性を有していた。
【0006】
また、特許文献2のヒータ部材では、熱融着性ポリイミドは摂氏340度等の高温で5分間余熱後に1分間のプレス等の熱プレスが必要であり、高温のプレス装置の工程増加、及び、製造時間が長くなる可能性があり、製造後も熱硬化性ではないことから高温環境下で溶融する可能性を有していた。
【0007】
また、特許文献3のヒータ部材は、ガラス布を基材とするシートとPFAを基礎材料とした結合剤の層が必要であり、ガラス布を基材とするシートの埋め込み性は低いため、ヒータ部材の取り付け面には良好な平面度が要求され、平面度が低い取り付け面に取り付ける場合には、部分毎に厚みの異なるヒータとなる可能性がある。また、PFAを基礎材料とした結合剤の層は、特許文献2と同様に高い処理温度が必要であり、同様な課題を有していた。
【0008】
そこで本発明は、上記の課題を解決するために、自己接着性を有して接着剤を不要にでき、発熱体等の段差を吸収できるヒータ部材を提供することを目的とする。特に、本発明では、埋め込み性を有して接着性に優れ、追加物を用いなくても厚みを薄く且つ均一に制御でき、比較的低温度で形成処理が可能であることから、取り扱いが容易で工程を短縮できるヒータ部材、及び、そのヒータ部材を用いたヒートロールを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るヒータ部材は、高耐熱性且つ熱硬化性を有する樹脂材料と高耐熱性を有するエラストマとを含む樹脂組成物を有機溶剤に溶解させたワニスから、可撓性を有する未反応固形状態で膜形状に形成された未反応熱硬化性フィルムと、電源に接続されることで電流経路が発熱する平面状抵抗体からなる発熱体とを備え、前記発熱体は、前記ワニスの粘着性、又は、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により、未反応熱硬化性フィルムに結合されることを特徴とする。請求項1の本発明によれば、埋め込み性を有して接着性に優れるヒータ部材を提供できる。
【0010】
ここで、未反応熱硬化性フィルムの埋め込み性は、未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に、未反応熱硬化性フィルムの溶融粘度が低下することにより接着性と共に発現する。接着性については、この未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱して発熱体と結合させた時点では、充分な接着強度を有するものの例えば引っ張り強度などのフィルム自身の物性は十分に得られない仮接着である。その後、未反応熱硬化性フィルムのヒータ部材をヒートロール等の製品に取り付けてから、未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度に加熱した時点で、例えば引っ張り強度などのフィルム自身の物性が十分に得られる本接着となる。
【0011】
従って、請求項1の本発明では、接着剤の塗布工程が不要であり、高温で余熱してからの熱プレスも不要であり、ヒータ部材の取付面を平面にするに充分な埋め込み性を得ることができる。このように請求項1の本発明では、取り扱いが容易で工程を短縮でき、追加物を用いなくても厚みを薄く且つ均一に制御でき、比較的低温度で形成処理が可能であるヒータ部材を提供でき、ヒータ装置に利用する際にヒータ部材における発熱体が結合されていない面を利用することで取り付け用の接着剤を不要にできる。
【0012】
好ましくは、請求項2又は3に係る本発明のように、前記発熱体は、未反応熱硬化性フィルムに結合される前、又は、結合された後のいずれかに、電流が流れる経路長と経路断面積を所定の発熱量が得られるように形状加工してもよい。本実施態様では、製造工程の自由度を高めることができる。
【0013】
好ましくは、請求項4又は5に係る本発明のように、前記発熱体は、前記ワニスの粘着性、又は、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により未反応熱硬化性フィルムに結合されるようにしてもよい。本実施態様でも、製造工程の自由度を高めることができる。
【0014】
好ましくは、請求項6に係る本発明のように、前記発熱体は、前記未反応熱硬化性フィルムに結合された後に、さらに、第2のワニス、又は、第2の未反応熱硬化性フィルムにより被覆されるようにしてもよい。本実施態様では、発熱体を劣化させる機械的な接触及び薬剤等から保護すると共に、空気と遮断されることから酸化等の劣化を防止できる。
【0015】
好ましくは、請求項7に係る本発明のように、前記未反応熱硬化性フィルムと、前記被覆に使用される第2のワニス、又は、第2の未反応熱硬化性フィルムとは、同一の樹脂組成物であるようにしてもよい。本実施態様では、材料を同一にすることで、コストダウンすることができる。
【0016】
好ましくは、請求項8に係る本発明のように、前記ヒータ部材の一方の面に、熱伝導性の良好な材料を平面状に形成した均熱層を、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させるようにしてもよい。本実施態様では、均熱層を接着剤なしにヒータ部材に取り付けることができる。
【0017】
好ましくは、請求項9に係る本発明のように前記ヒータ部材の一方の面に、前記未反応熱硬化性フィルムよりも高い硬度を有する材料を平面状に形成した保護層を、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させるようにしてもよい。本実施態様では、保護層により、より確実に発熱体を保護することができる。
【0018】
好ましくは、請求項10に係る本発明のように、未反応熱硬化性フィルムは、前記ワニスを、基材上に均一厚に塗工してから乾燥させることで膜形状に形成されるようにしてもよい。本実施態様では、厚みを薄く且つ均一に制御された未反応熱硬化性フィルムを提供できる。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の請求項11に係るヒートロールは、請求項1〜10の何れか1項に記載したヒータ部材におけるフィルム面が露出した一面を、前記未反応熱硬化性フィルムの前記接着性により、金属製の円筒の内周面又は外周面に結合させ、加熱により完全硬化させる。本実施態様では、ヒートロールの製造を容易にできる。
【0020】
好ましくは、請求項12に係る本発明のように、前記ヒータ部材は、請求項8に記載したヒータ部材であり、前記金属製の円筒の周面にヒータ部材を結合させる際に、同時に前記均熱層を結合させるようにしてもよい。本実施態様では、均熱層を備えても製造を容易にできる。
【0021】
好ましくは、請求項13に係る本発明のように、前記ヒータ部材は、請求項9に記載したヒータ部材であり、前記金属製の円筒の周面にヒータ部材を結合させる際に、同時に前記保護層を結合させるようにしてもよい。本実施態様では、保護層を備えても製造を容易にできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のヒータ部材によれば、接着性を有することからヒートロール等に用いる場合に別途に使用する接着剤を不要にでき、埋め込み性を有していることから発熱体等の段差を吸収できる。さらに、本発明のヒータ部材によれば、取り扱いが容易でヒートロール等を製造する場合に、工程を短縮でき、追加物を用いなくても厚みを薄く且つ均一に制御でき、比較的低温度で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のヒータ部材の実施の形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートであり、図2は、本発明の第1実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。
【0025】
まず、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S1)ワニスを得る(S2)。このワニスを基材上に均一の厚みで塗工し(S3)、それを乾燥させること(S4)で本発明の未反応熱硬化性フィルム1を得る(S5)。このフィルム製造方法及びフィルムの詳細については、本願と同一出願人による特開2008−38048号公報等に記載されており、以下に概略を示す。
【0026】
本実施形態の未反応熱硬化性フィルム1は、硬化反応が進行していないために溶剤に可溶な状態であり、柔軟性を有してさらに硬化させることができる未反応固形状態の膜形状に形成される。この状態では、所定の温度で加熱して軟化させることにより被着体を接着させることができる。また、硬化触媒を使用しなくとも加熱のみによって硬化させることができる。硬化条件は、適宜設定することができ、例えば、150〜250℃で、10〜120分程度とすることができる。
【0027】
未反応固形状態は、熱硬化性樹脂における架橋反応開始前の未硬化の状態であり、溶剤に可溶で、加熱することにより溶融する状態である。例えば、エポキシ樹脂組成物等を含む所定の熱硬化性樹脂組成物の場合、溶剤で希釈してワニスを生成し、これを被着体、例えば、支持体(基材)の表面に均一厚に塗工してから乾燥させて膜形状に形成しただけで、未硬化状態のものを指す。
【0028】
未反応熱硬化性フィルム1を製造する際にワニスの塗布に用いられる支持体は、例えば、銅、アルミニウム、ITO膜等の金属箔、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂等の有機フィルム等を使用できるが、特にそれらに限定されない。又、未反応熱硬化性フィルム1を支持体から剥離させて用いる場合、支持体の表面は、シリコーン系の化合物等により離型処理が施されていることが好ましい。
【0029】
本実施形態の未反応熱硬化性フィルム1を製造する際の樹脂材料11は、高耐熱性且つ熱硬化性を有し、例えば、フェニレンエーテル樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂の何れか1種であり、特に、フェニレンエーテル樹脂が好ましい。
【0030】
本実施形態の未反応熱硬化性フィルム1を製造する際のエラストマ10は、高耐熱性を有し、例えば、ポリメチレンタイプの飽和主鎖を有する非ジエン系ゴムであり、より具体的には、スチレン、エチレン、ブチレン、及び、プロピレンから選択された3種以上のブロックを有する共重合体であり、特に、スチレン、エチレン、及び、ブチレンの3種のブロックを有する共重合体であることが好ましい。
【0031】
本実施形態の未反応熱硬化性フィルム1を製造する際の樹脂材料11とエラストマ10の比率としては、例えば、10質量%〜70質量%の樹脂材料11と、90質量%〜30質量%のエラストマ10を含むことが好ましい。これは、例えば、エラストマ10を90質量%以上とした場合には、加熱しても接着性を発生させなくなるためであり、30質量%以下にすると、可撓性がなくなって脆くなってしまい、未反応固形のフィルム状態にできなくなるためである。これにより、未反応熱硬化性フィルム1に接着性と共に埋め込み性をもたせることができる。その結果、未反応熱硬化性フィルム1をヒータ部材に用いた場合、埋め込み性を有して接着性に優れ、比較的低温度で形成処理が可能である。
【0032】
又、未反応熱硬化性フィルム1の樹脂材料11としては、耐熱性を向上させるために、コンパクトディスクやフロッピー(登録商標)ディスク等に使用されるポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等のような高耐熱性の熱可塑樹脂を、エラストマ10の一部と置き換えて含ませてもよい。これにより、未反応熱硬化性フィルム1及びそれが用いられるヒータ部材の耐熱性を向上させることができる。
【0033】
本実施形態の未反応熱硬化性フィルム1を製造する際のワニスに使用可能な有機溶剤としては、芳香族系溶剤、例えばトルエン、キシレン等、ケトン系溶剤、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、更に、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等の高沸点溶媒が挙げられる。有機溶剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機溶剤の使用量は、特に限定されないが、好ましくは、固形分が20〜50重量%となるように使用することが好ましい。作業性の点から、ワニスは、100〜600mPa・sの粘度の範囲であることが好ましい。粘度は、E型粘度計を用いて、回転数10rpm、25℃で測定した値とする。
【0034】
ワニスを支持体の表面に塗布する方法は、特に限定されないが、薄膜化・膜厚制御の点からはマイクログラビア法、スロットダイ法が好ましい。マイクログラビア法により、例えば、厚み90μm以下のフィルムを得ることができる。マイクログラビア法では、例えば、特公平5−53553号公報に記載されたように、支持体(基材)上にローラでワニスを塗布する際に、塗工手段である表面に刻印を施した塗布用ロール上の余分なワニスを、ドクターブレードによりかき落とすことにより、均一な厚みの未反応熱硬化性フィルム1を得ることができる。あるいは、同公報の従来技術に記載されたように、塗布用ロール上の余分なワニスを、かき取り棒と称するスムーザー、支持体の走行方向に並列配置された平滑化ローラと称する複数のスムーザーにより、均一な厚みの未反応熱硬化性フィルム1を得てもよい。乾燥条件は、ワニスに使用される有機溶剤の種類や量、塗布の厚み等に応じて、適宜、設定することができ、例えば、80〜120℃で、1〜30分程度とすることができる。
【0035】
このようにして得られた未反応熱硬化性フィルム1は、良好な保存性を有する。また、本発明の効果を損なわない範囲で、無機フィラー、粘着性付与剤、消泡剤、流動調整剤、成膜補助剤、分散助剤等の添加剤を含むことができる。
【0036】
さらに、未反応熱硬化性フィルム1は、熱圧着温度における溶融粘度が所定範囲内である場合、被着体に対する良好な埋め込み性と位置合わせ精度とを有する熱圧着を、低圧で行うことができる。熱圧着温度における溶融粘度が低すぎる場合、樹脂が流れ出して被着体間を所定の厚さで熱圧着できないため、精確な位置合わせをすることができず、一方、熱圧着温度の溶融粘度が高すぎる場合、所定の厚さで熱圧着することができなくなる。
【0037】
また、未反応熱硬化性フィルム1の硬化物は、低弾性率であり、応力緩和にも寄与することができ、加工上、ハンドリングがしやすい。例えば、動的粘弾性測定による弾性率として、温度25℃で、3.5GPa以下にすることができる。さらに、例えば、樹脂材料11とエラストマ10の配合割合等の制御を通じて、1.5GPa以下のレベルを達成することもできる。
【0038】
例えば、未反応熱硬化性フィルム1を異種材料の接着、層間絶縁膜等に使用する場合は、所望の被着体に未反応熱硬化性フィルム1を配置した後、真空プレスして硬化させることができる。真空プレスの条件は、適宜、設定することができ、例えば、温度170〜210℃、実圧力5〜15kgf/cmとすることができる。なお、未反応熱硬化性フィルム1の最低溶融粘度を比較的高くすることができるため(例えば、保持温度170〜210℃の条件下で、1000〜10000Pa・s)、真空プレスにおいて樹脂流れもなく、硬化前後の厚みをほぼ一定にすることができ、かつ硬化後の厚みの均一性を良好にすることができる。
【0039】
次に、ステップS4までで得られた未反応熱硬化性フィルム1を、例えば、130℃等の未反応熱硬化性フィルム1を完全硬化させる温度以下で、且つ、接着性を発生させる低温度で加熱し(S6)、その表面上に発熱体2を設置して加圧する(図2の(a)、(b))。ここで完全硬化とは、熱硬化性樹脂が三次元架橋により溶剤に不溶になり、熱により溶融しなくなった状態を示す。これにより発熱体2が未反応熱硬化性フィルム1上に接着される(S7)。つまり、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1を完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により、未反応熱硬化性フィルム1に接着される。
【0040】
発熱体2は、電源に接続されることで電流経路が発熱する平面状抵抗体5からなり、未反応熱硬化性フィルム1に結合される前に、電流が流れる経路長と経路断面積を所定の発熱量が得られるように形状加工される。
【0041】
発熱体2は、例えば、所定の抵抗値を有する金属板であるステンレス(SUS)板等の平面状抵抗体5を支持体(基材)上に設置し(S31)、例えば、フォトレジストを塗布してから発熱体2の形状パターンを露光して、露光部分又は非露光部分を除去後にエッチングする一般的なエッチング、又は、レーザー加工等によりその形状を加工する(S32)ことにより発熱体2を形成する(S33)。
【0042】
そして、未反応熱硬化性フィルム1に接着された発熱体2の表面に、第2の未反応熱硬化性フィルム3を設置し(図2(c))、加圧することで保護層となる被覆が形成される(S8)(図2(d))。このようにして、本実施形態のヒータ部材が形成される(S9)。
【0043】
第2の未反応熱硬化性フィルム3は、未反応熱硬化性フィルム1と同様に、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S51)ワニスを得る(S52)。このワニスを基材上に均一の厚みで塗工し(S53)、それを乾燥させること(S54)で本発明の第2の未反応熱硬化性フィルム3を得る(S55)。そして、未反応熱硬化性フィルム13を、例えば、130℃等の未反応熱硬化性フィルム1を完全硬化させる温度以下で、且つ、接着性を発生させる低温度で加熱し(S56)、発熱体2の表面に設置して加圧する。又、未反応熱硬化性フィルム1と、被覆に使用される第2の未反応熱硬化性フィルム3とは、同一の樹脂組成物であるので、材料を同一にすることで、コストダウンすることができる。
【0044】
このように本実施形態のヒータ部材は、埋め込み性を有していることから発熱体2等の段差を吸収でき、ヒートロール等に用いる場合に、接着性を有することから別途の接着剤を不要にできる。又、本実施形態のヒータ部材は、発熱体2の表面を第2の未反応熱硬化性フィルム3で被覆するので、表裏の区別なく使用でき、接着等に使用する表面を確認する工数を削減することができる。
【0045】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、第2の未反応熱硬化性フィルム3を用いる代わりに、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを用いる点である。その他の構成及び製造方法は、第1実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0046】
本実施形態では、図3のステップS1〜S7、S9と、ステップS31〜S33は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS7で未反応熱硬化性フィルム1上に接着された発熱体2の上に、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを均一の厚みで塗工し(S13)、それを乾燥させること(S4)で本実施形態のヒータ部材を形成する(S9)。この場合、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1に接着された後に、ワニスの粘着性により第2の未反応熱硬化性フィルム3に接着される。この状態は、図2(d)に示される。また、この場合は、ステップS7における加圧を省略しても第2の未反応熱硬化性フィルム3が未反応熱硬化性フィルム1に接着されることで、結果的に発熱体2を固定することができる。
【0047】
ステップS13で用いるワニスは、ステップS1及びS2と同様に、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S71)ワニスを得る(S72)。
【0048】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第1実施形態の効果に加えて、第2の未反応熱硬化性フィルム3を加熱及び圧着する工程を省略することができるという効果を有する。
【0049】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートであり、図5は、本発明の第1実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、最初に未反応熱硬化性フィルム1を形成してから発熱体2を設置する代わりに、基材上に発熱体2を設置してからワニスを塗工して未反応熱硬化性フィルム1を得る点である。その他の構成及び製造方法は、第1実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0050】
本実施形態では、ステップS1、S2、S4、S6、S8、S9と、S31〜S33、S51〜S56は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、基材4の上に発熱体2を設置してから、ワニスを、ドクターブレード等のスムーザを用いて塗工し(S11)、乾燥させて(S4)発熱体2が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1を形成する(S12)(図5(a))。その後、基材4から発熱体2が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1を外して、発熱体2の面を上にして未反応熱硬化性フィルム1を置き、ステップS6の低温加熱処理と、ステップS8の第2のフィルム設置と加圧を実施し、ヒータ部材を形成する(S9)(図5(c))。本実施形態では、第1実施形態の未反応熱硬化性フィルム1上に発熱体2を加熱及び加圧して接着するステップS7は省略することができる。
【0051】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第1実施形態の効果に加えて、発熱体2を加熱及び加圧して接着する工程を省略できる。
【0052】
<第4実施形態>
図6は、本発明の第4実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。本実施形態が、第3実施形態と異なる点は、第2の未反応熱硬化性フィルム3を用いる代わりに、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを用いる点である。その他の構成及び製造方法は、第3実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0053】
本実施形態では、図6のステップS1〜S2、S11、S4、S12と、ステップS31〜S33は、第3実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS12の発熱体2が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1上に、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを均一の厚みで塗工し(S13)、それを乾燥させること(S4)で本実施形態のヒータ部材を形成する(S9)。この場合、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1に埋め込まれてすでに固定されているので、ワニスの粘着性は発熱体2を付加的に第2の未反応熱硬化性フィルム3に接着するために用いられている。この状態は、図5(c)に示される。
【0054】
ステップS13で用いるワニスも、ステップS1及びS2と同様に、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S71)ワニスを得る(S72)。
【0055】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第3実施形態の効果に加えて、第2の未反応熱硬化性フィルム3を加熱及び圧着する工程を省略することができるという効果を有する。
【0056】
<第5実施形態>
図7は、本発明の第5実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートであり、図8は、本発明の第5実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。本実施形態が、第1実施形態と異なる点は、抵抗体2の形状加工を事前に別工程(ステップS31〜S33)で実施しないで、未反応熱硬化性フィルム1に形状加工前の平面状抵抗体5を接着してから、エッチング等により平面状抵抗体5を形状加工して発熱体2を得る点である。その他の構成及び製造方法は、第1実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0057】
本実施形態では、図7のステップS1〜S6、S8、S9と、ステップS51〜S56は、第1実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS6で低温加熱された未反応熱硬化性フィルム1上に平面状抵抗体5を設置及び加圧して接着する(S14)(図8(a)、(b))。そして、平面状抵抗体5に対して、ステップS31〜S33のように、一般的なエッチング、又は、レーザー加工等により形状加工することで発熱体2を形成する(S15)(図8(c))。その後の工程ステップS8、S9は第1実施形態と同様である(図8(d)、(e))。本実施形態では、第1実施形態の別途に平面状抵抗体5から発熱体2を形成するステップS31〜S33は省略することができる。
【0058】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第1実施形態の効果に加えて、別途に平面状抵抗体5から発熱体2を形成しないので、余分な作業スペースと発熱体2の移動を省略することができる。
【0059】
<第6実施形態>
図9は、本発明の第6実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。本実施形態が、第5実施形態と異なる点は、第2の未反応熱硬化性フィルム3を用いる代わりに、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを用いる点である。その他の構成及び製造方法は、第5実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0060】
本実施形態では、図9のステップS1〜S6、S14、S15は、第5実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS15で未反応熱硬化性フィルム1上に形成された発熱体2の上に、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを均一の厚みで塗工し(S13)、それを乾燥させること(S4)で本実施形態のヒータ部材を形成する(S9)。この場合、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1に接着された後に、ワニスの粘着性により第2の未反応熱硬化性フィルム3に接着される。この状態は、図8(e)に示される。
【0061】
ステップS13で用いるワニスも、ステップS1及びS2と同様に、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S71)ワニスを得る(S72)。
【0062】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第5実施形態の効果に加えて、第2の未反応熱硬化性フィルム3を加熱及び圧着する工程を省略することができるという効果を有する。
【0063】
<第7実施形態>
図10は、本発明の第7実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートであり、図11は、本発明の第7実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。本実施形態が、第5実施形態と異なる点は、最初に平面状抵抗体5を設置及び加圧する代わりに、基材4上に平面状抵抗体5を設置してからワニスを塗工して平面状抵抗体5が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1を得る点である。その他の構成及び製造方法は、第5実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0064】
本実施形態では、ステップS1、S2、S4、S16、S15、S6、S8、S9と、S51〜S56は、第5実施形態と同様である。本実施形態では、基材4の上に平面状抵抗体5を設置してから、ワニスを、ドクターブレード等のスムーザを用いて塗工し(S16)、乾燥させて(S4)(図11(a)、(b))、その後、基材4から平面状抵抗体5が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1を外して、平面状抵抗体5の面を上にして未反応熱硬化性フィルム1を置いてから、平面状抵抗体5に対して、ステップS31〜S33のように、一般的なエッチング、又は、レーザー加工等により形状加工することで発熱体2を形成し(S15)、平面状抵抗体5が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1を形成する(S12)(図11(c))。その後、ステップS6の低温加熱処理と、ステップS8の第2のフィルム設置と加圧を実施し、ヒータ部材を形成する(S9)(図11(d))。本実施形態では、第5実施形態の未反応熱硬化性フィルム1上に発熱体2を加熱及び加圧して接着するステップS14は省略することができる。
【0065】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第5実施形態の効果に加えて、発熱体2を加熱及び加圧して接着する工程を省略できる。
【0066】
<第8実施形態>
図12は、本発明の第8実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。本実施形態が、第7実施形態と異なる点は、第2の未反応熱硬化性フィルム3を用いる代わりに、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを用いる点である。その他の構成及び製造方法は、第7実施形態と同様であるので重複する記載を省略する。
【0067】
本実施形態では、図12のステップS1〜S2、S16、S4、S15、S12は、第7実施形態と同様である。本実施形態では、ステップS12の発熱体2が埋め込まれた未反応熱硬化性フィルム1上に、未反応熱硬化性フィルム1の原料であるワニスを均一の厚みで塗工し(S13)、それを乾燥させること(S4)で本実施形態のヒータ部材を形成する(S9)。この場合、発熱体2は、未反応熱硬化性フィルム1に埋め込まれてすでに固定されているので、ワニスの粘着性は発熱体2を付加的に第2の未反応熱硬化性フィルム3に接着するために用いられている。この状態は、図11(d)に示される。
【0068】
ステップS13で用いるワニスも、ステップS1及びS2と同様に、樹脂材料11とエラストマ10を有機溶剤に溶解又は分散させて(S71)ワニスを得る(S72)。
【0069】
このように、本実施形態のヒータ部材は、第7実施形態の効果に加えて、第2の未反応熱硬化性フィルム3を加熱及び圧着する工程を省略することができるという効果を有する。という効果を有する。
【0070】
<第9実施形態>
図13は、本発明のヒータ部材を内周側に用いた第9実施形態のヒートローラの断面図である。本実施形態では、ヒートローラの円筒形上で中空の芯金20の内部に、上記した第1実施形態〜第8実施形態までの何れかのヒータ部材(未反応熱硬化性フィルム1+発熱体2+第2の未反応熱硬化性フィルム3:未反応固形状態で埋め込み性を有する)を内周面に接着させる。
【0071】
中空の芯金20の内部に丸めて配置した第1実施形態〜第8実施形態までの何れかのヒータ部材を、例えば、130℃等の未反応熱硬化性フィルム1と3を完全硬化させる温度以下で、且つ、接着性を発生させる低温度で加熱すると共に、中心軸側から外周側に向けてそのヒータ部材を加圧することにより、そのヒータ部材の外周表面を中空の芯金20の内周面に接着させる。その場合、継ぎ目の隙間15は、0.1mm以下となることが好ましい。
【0072】
このように、本実施形態では、ヒートローラにヒータ部材を接着する際の接着剤を不要にできる。また、長時間の高温度を維持する場合に良好な接着状態を維持できる接着方法を提供することができる。
【0073】
<第10実施形態>
図14は、本発明のヒータ部材を外周側に用いた第10実施形態のヒートローラの断面図である。本実施形態のヒータ部材は、ヒートローラの中空の芯金20の外周面にヒータ部材を接着させる。その場合は、未反応熱硬化性フィルム1と3を完全硬化させる温度以下で、且つ、接着性を発生させる低温度で加熱すると共に、外側から中心軸側に向けてそのヒータ部材を加圧することにより、そのヒータ部材の内周表面を中空の芯金20の外周面に接着させる。
【0074】
このように、本実施形態では、第9実施形態の効果に加え、ヒータ部材を中空芯金の外周に配置することで、熱を供給する媒体までの中間物質と距離が減少して熱の使用効率を高めることができる。
【0075】
<第11実施形態>
図15は、本発明のヒータ部材を内周側に用いた第11実施形態のヒートローラの断面図である。本実施形態では、ヒートローラの中空の芯金20の内部に上記した第1実施形態〜第8実施形態までの何れかのヒータ部材の外周面に銅箔等の熱を均等に分散させる均熱層30を、接着性を発生させる低温度で加熱することにより接着させておき、別途に接着剤等を利用して中空の芯金20の内周面に接着させる。つまり、本実施形態では、ヒータ部材の一方の面に、熱伝導性の良好な材料を平面状に形成した均熱層30を、未反応熱硬化性フィルム1及び3を完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させる。
【0076】
このように、本実施形態では、ヒートローラに装着される前のヒータ部材の外周面に均熱層を接着する際の接着剤を不要にすることができる。
【0077】
<第12実施形態>
図16は、本発明のヒータ部材を外周側に用いた第12実施形態のヒートローラの断面図である。本実施形態では、ヒートローラの中空の芯金20の外部に上記した第1実施形態〜第8実施形態までの何れかのヒータ部材の外周面に、離型性を確保するためのPFA(テフロン(登録商標))チューブ等の保護層40を、接着性を発生させる低温度で加熱することにより密着させるか又は接触させると共に、中空の芯金20の外周面に接着させる。つまり、本実施形態では、ヒータ部材の一方の面に、未反応熱硬化性フィルム1及び3よりも高い硬度を有する材料を平面状に形成した保護層40を、未反応熱硬化性フィルム1及び3を完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させる。
【0078】
このように、本実施形態では、ヒートローラに装着される前のヒータ部材の外周面に保護層を接着する際の接着剤と、ヒートローラの外周面に接着する際の接着剤を不要にすることができる。
【0079】
尚、上記した各実施形態では、未反応熱硬化性フィルム1と同様の材料(第2の未反応熱硬化性フィルム3状態又はワニス状態)を用いて、発熱体2を被覆する(露出させない)ようにした実施形態について説明したが、例えば、平面状抵抗体5又は発熱体2が炭素系の抵抗体である場合のように空気に接触することによる劣化が少ない場合には、第2の未反応熱硬化性フィルム3等を用いないで、発熱体2を被覆しないヒータ部材として用いてもよい。
【0080】
又、上記した各実施形態では、本発明のヒータ部材を電子写真方式の画像形成装置用ヒートローラに用いる場合について説明したが、本発明の技術的範囲は上記した実施の形態に記載された範囲には限定されるものではなく、本発明のヒータ部材を温水装置又は暖房装置等の、ヒータ部材を接着して使用する各種の発熱装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図2】本発明の第1実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図7】本発明の第5実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図8】本発明の第5実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図10】本発明の第7実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図11】本発明の第7実施形態のヒータ部材の製造工程の複数工程における断面図である。
【図12】本発明の第8実施形態のヒータ部材を製造する際のフローチャートである。
【図13】本発明のヒータ部材を内周側に用いた第9実施形態のヒートローラの断面図である。
【図14】本発明のヒータ部材を外周側に用いた第10実施形態のヒートローラの断面図である。
【図15】本発明のヒータ部材を内周側に用いた第11実施形態のヒートローラの断面図である。
【図16】本発明のヒータ部材を外周側に用いた第12実施形態のヒートローラの断面図である。
【符号の説明】
【0082】
1 未反応熱硬化性フィルム、
2 発熱体、
3 第2の未反応熱硬化性フィルム、
4 基材、
5 平面状抵抗体、
10 エラストマ、
11 樹脂材料、
15 隙間、
20 中空芯金、
30 均熱層、
40 保護層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高耐熱性且つ熱硬化性を有する樹脂材料と高耐熱性を有するエラストマとを含む樹脂組成物を有機溶剤に溶解させたワニスから、可撓性を有する未反応固形状態で膜形状に形成された未反応熱硬化性フィルムと、
電源に接続されることで電流経路が発熱する平面状抵抗体からなる発熱体と
を備え、
前記発熱体は、前記ワニスの粘着性、又は、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により、未反応熱硬化性フィルムに結合される
ことを特徴とするヒータ部材。
【請求項2】
前記発熱体は、未反応熱硬化性フィルムに結合された後に、電流が流れる経路長と経路断面積を所定の発熱量が得られるように形状加工される
ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ部材。
【請求項3】
前記発熱体は、未反応熱硬化性フィルムに結合される前に、電流が流れる経路長と経路断面積を所定の発熱量が得られるように形状加工される
ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ部材。
【請求項4】
前記発熱体は、前記ワニスの粘着性により未反応熱硬化性フィルムに結合される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のヒータ部材。
【請求項5】
前記発熱体は、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により未反応熱硬化性フィルムに結合される
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のヒータ部材。
【請求項6】
前記発熱体は、前記未反応熱硬化性フィルムに結合された後に、さらに、第2のワニス、又は、第2の未反応熱硬化性フィルムにより被覆される
ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ部材。
【請求項7】
前記未反応熱硬化性フィルムと、前記被覆に使用される第2のワニス、又は、第2の未反応熱硬化性フィルムとは、同一の樹脂組成物である
ことを特徴とする請求項6に記載のヒータ部材。
【請求項8】
前記ヒータ部材の一方の面に、熱伝導性の良好な材料を平面状に形成した均熱層を、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させる
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のヒータ部材。
【請求項9】
前記ヒータ部材の一方の面に、前記未反応熱硬化性フィルムよりも高い硬度を有する材料を平面状に形成した保護層を、前記未反応熱硬化性フィルムを完全硬化させる温度以下に加熱した時に発生する接着性により結合させる
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のヒータ部材。
【請求項10】
前記未反応熱硬化性フィルムは、前記ワニスを、基材上に均一厚に塗工してから乾燥させることで膜形状に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載のヒータ部材。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載したヒータ部材におけるフィルム面が露出した一面を、前記未反応熱硬化性フィルムの前記接着性により、金属製の円筒の内周面又は外周面に結合させ、加熱により完全硬化させる
ことを特徴とするヒートロール。
【請求項12】
前記ヒータ部材は、請求項8に記載したヒータ部材であり、前記金属製の円筒の周面にヒータ部材を結合させる際に、同時に前記均熱層を結合させる
ことを特徴とする請求項11に記載のヒートロール。
【請求項13】
前記ヒータ部材は、請求項9に記載したヒータ部材であり、前記金属製の円筒の周面にヒータ部材を結合させる際に、同時に前記保護層を結合させる
ことを特徴とする請求項11に記載のヒートロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−102849(P2010−102849A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−270779(P2008−270779)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(591252862)ナミックス株式会社 (133)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】