説明

ビニルエステル−エチレン混合ポリマー製造の残存ガス流からのエチレン及び酢酸ビニルの回収

本発明の対象は、乳化重合法又は懸濁重合法による5〜100bar絶対の圧力での水性ラジカル重合によるビニルエステル及びエチレン又はエチレン系不飽和モノマーを含有する混合ポリマーの製造方法であって、重合の終了後に反応混合物が、0.1〜5bar絶対の圧力に放圧され、かつ未反応モノマーの回収が、残存ガスからの多段階の分別極低温凝縮によって行われることによって特徴付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルエステル−エチレン混合ポリマー製造の残存ガス流中に生じる未反応モノマーを回収する方法に関する。
【0002】
ビニルエステル及びエチレンをベースとするポリマーはしばしば、水性分散液又は水中に再分散可能なポリマー粉末として、様々な用途において、例えば多種多様な基体用のコーティング剤又は接着剤として使用される。
【0003】
大工業的な重合の場合に、高い転化度は技術水準である。例えば、前記ポリマーは通常、0.1質量%未満、好ましくはそれどころか0.05質量%未満、及び塩化ビニルの場合に0.01質量%未満の残存モノマー含量まで重合される。これらの高い転化率は、しかし、重合条件下に液体のモノマーのみを基準としている。重合条件下に気体のモノマーとしてのエチレンは、これらの規則性に従わない。一方では、エチレンは例えば酢酸ビニルよりもゆっくりと重合し、他方では、大部分が気相中に滞留し、かつ乳化重合の常用の条件下にとらえることができない。
【0004】
大工業的な重合は、経済的な視点のもとではできるだけ短い期間で終結されているべきであり、しかしこのことは必然的に、使用されるエチレンが完全に消費されることができないことをまねく。通常、重合は、5質量%未満、好ましくは2質量%未満のエチレン残存ガス含量で中断され、かつ反応バッチは放圧される。放圧過程は、ポリマー分散液及び残存ガスからなる反応混合物を加圧反応器から、無圧の反応器中、いわゆる放圧釜中へ、残りのエチレンを分離しながら移送することを含む。その際に生じる残存ガスは、主にエチレン、酢酸ビニル、窒素及び水蒸気を含有する。
【0005】
技術水準からの通常の方法は、生じる残存ガスの燃焼によるエネルギー的利用である。上昇する原料コストに関して、個々の成分及びモノマーの物質としての回収は、経済的に関して本質的な利点を示す。
【0006】
技術水準からは、残存エチレン回収のための多様な方法が知られている。国際公開(WO)第01/00559号(A1)には、酢酸ビニル製造の際に生じるエチレン含有不活性ガス流からエチレンを再取得する方法が記載されている。そのためには、エチレン含有不活性ガスは、酢酸ビニル中へ吸収され、エチレンは真空釜中で放圧によって放出され、引き続き再使用のために再圧縮される。さらに、エチレン含有不活性ガス流が酢酸中に吸収され、放散塔中でエチレン含有残存ガスと接触され、エチレンが塔頂で回収され、かつ酢酸ビニル合成において再利用される方法が記載される。
【0007】
エチレンと高級オレフィンとのコポリマーの、気相重合の際の残存モノマー除去は、欧州特許出願公開(EP-A1)第0 127 253号明細書の対象である。そのためには、固体コポリマーから、減圧で高級オレフィンが取り除かれ、引き続いて不活性ガス不含の反応器ガスで処理され、このガスは最終的に重合へ返送される。
【0008】
これまで知られた技術水準からの方法の全てが、これらが、生じる残存ガスを最適に利用しないという欠点を有する。
【0009】
故に、本発明の課題は、経済的な利用に供給することができるように、生じる残存ガスから、有用物質を分離することを可能にする方法を提供することであった。
【0010】
この課題は、残存ガスを分別凝縮によって後処理し、こうして、含まれている原料をさらなる物質としての利用を可能にする、本発明による方法によって解決された。
【0011】
本発明の対象は、乳化重合法又は懸濁重合法による5〜100bar絶対の圧力での水性ラジカル重合によるビニルエステル及びエチレン又はエチレン系不飽和モノマーを含有する混合ポリマーの製造方法であって、重合の終了後に反応混合物が、0.1〜5bar絶対の圧力に放圧され、かつ未反応モノマーの回収が、残存ガスからの多段階の分別極低温凝縮(fraktionierte Tiefkaltkondensation)によって行われることによって特徴付けられる。
【0012】
重合のためには、好ましくは、酢酸ビニル及びエチレンの混合物、並びに酢酸ビニル及び別のビニルエステル、例えばビニルラウラート又は炭素原子9〜13個を有するα−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル及びエチレンの混合物が使用される。
【0013】
本重合法は、完全連続的に並びに不連続に操作されることができる。
【0014】
重合は、好ましくは、重合条件下に液体のモノマーの少なくとも95〜99質量%の転化率で中断される。
【0015】
本方法の好ましい一実施態様の場合に、多段階の凝縮プラントは真空ポンプの吸引側に配置されており、これを用いて放圧釜中での減圧が引き起こされる。この配置の利点は、重合及び副生物形成によって真空ポンプ中で生じる成分が、残存ガスの組成を変えることができないことにある。それによって、当初の物質、例えばエチレン及び酢酸ビニルの再利用は、特に重合の際に、危うくならない。
【0016】
本方法の好ましい別の一実施態様の場合に、多段階の凝縮プラントは、圧縮機の圧力側に配置されている。ガスジェット圧縮機から、圧縮されたエチレンを用いて、残存ガスは、放圧釜から吸引除去されることができる。それにより、真空ポンプ、例えば液体リングポンプの前記の欠点は回避される。
【0017】
冷却媒体として、好ましくは、−180〜−170℃の使用温度を有する液体窒素又は液化空気が、5〜10bar絶対の相応する沸騰圧で使用される。前記窒素は、プラントを気体で室温で去り、かつ分散プラント中で不活性化目的に使用されることができるか、又は手元にある作業網(Werksnetz)中へ取り込まれることができる。
【0018】
本発明による方法は、残存ガスの分別凝縮であり、その際に、主成分、例えばエチレン、酢酸ビニル、水及び窒素の異なる沸点及び凝固点が物質分離の基礎である。第1表は、残存ガス中に含まれうる重要ないくつかの主成分の沸点及び凝固点を示す。
【0019】
第1表
【表1】

【0020】
残存ガス流からの個々の成分の凝縮は、本発明による方法の製造規模において、少なくとも2つ、好ましくは3つの、凝縮段階のカスケード接続によって行われる。その際に、温度は、それぞれの段階において凝縮すべき成分の凝固点を下回ることが回避されるように調節される。
【0021】
本発明による方法は、水蒸気が第一凝縮段階において少なくとも1℃、好ましくは1〜5℃の温度で、凝縮されることによって特徴付けられる。
【0022】
さらに、本発明による方法は、第二凝縮段階において酢酸ビニルが−90〜−60℃の温度で凝縮されることによって特徴付けられる。こうして得られた液体酢酸ビニルは、再び重合へ返送されるか、又は酢酸ビニルモノマー製造プラント中で蒸留系へ供給される。
【0023】
そのうえ、本発明による方法は、第三凝縮段階においてエチレンが−140〜−100℃の温度で凝縮されることによって特徴付けられる。こうして得られた液体エチレンは、引き続き、再び重合へ供給される。
【0024】
本方法の別の一実施態様は、液体の形で得られたエチレンが、1〜20bar絶対の圧力下に蒸発され、かつ引き続き再び重合反応へ圧縮されるか又は酢酸ビニルモノマー製造プラント中で原料として反応循環路へ供給されることによって特徴付けられる。
【0025】
後処理すべき残存ガスは、それぞれの重合の圧力及び温度に依存して、次のように構成される:水1〜15体積%、酢酸ビニル5〜20体積%及びエチレン60〜90体積%。別の成分として、窒素及び痕跡量でアセトアルデヒド、メタノール、酢酸メチル及び酢酸エチルが含まれている。分散液の放圧の際に支配的である操作圧は、100〜5000mbar絶対である。温度は25〜75℃である。
【0026】
以下に、本発明による方法は改めて、図1及び図2の双方の流れ図に基づいてより詳細に説明される。
【0027】
本発明による方法の気体エチレン返送のための流れ図は、図1に示されている。本発明による方法の液体エチレン返送のための流れ図は、図2に示されている。
【0028】
次の説明は、図1だけでなく図2にも当てはまる。重合[P1]は、連続的に並びに不連続に行われることができる。反応混合物を引き続き放圧した後に、残存ガス[1]は、分別極低温凝縮に供給される。生じる残存ガス流[1]は、第一凝縮段階[W1]へ送られ、ここで形成された残存ガス[2]及び凝縮物[3]は、第1段階[W1]を少なくとも1℃の温度で去る。残存ガス[2]は、第二凝縮段階[W2]へ導かれる。その際に、ここで形成された残存ガス[4]及び凝縮物[5]は、第二段階[W2]を−90〜−60℃の温度で去る。残存ガス[4]は、第三段階[W3]へ導かれ、かつここで形成された残存ガス[6]及び凝縮物[7]は、第三段階[W3]を−140〜−100℃の温度で去る。必要な熱量をそれぞれの凝縮段階において導出することができるように、液体窒素の使用下に冷却される。熱導出のためには、第三凝縮段階[W3]に、残存ガス[4]に対して向流で液体窒素[8]が装入される(beaufschlagt)。この窒素は、その際に完全に蒸発し、かつ熱導出のために第2段階[W2]において気体窒素[9]として残存ガス[2]に対して向流で接続される。第2段階[W2]の後に、気体窒素はさらに加熱されている[10]。第一段階[W1]において十分に熱を導出できるように、窒素流[10]に改めて、液体窒素[11]が混合される。その後、こうして冷却された気体窒素流[12]は、第一凝縮器[W1]において残存ガス[1]に対して向流で接続される。[W1]を去った後に、加熱された窒素流[13]は、さらなる使用に供給されることができる。主成分として酢酸ビニルを含有する凝縮物[5]は、酢酸ビニルモノマープラント[V1]中の蒸留に直接供給されることができるか、又はこれは酢酸ビニルタンク[V2]へ移送される。[V2]は、そのうえ、新鮮な酢酸ビニル[14]のための供給流を提供する。[V2]からは、ついで、重合[P1]への酢酸ビニル[15]の供給が行われる。凝縮物[7]は、主成分としてエチレンを含有し、このエチレンはエチレンポンプ[E1]を用いて搬送される。
【0029】
凝縮物[7]の別の流れは、引き続く利用が液体又は気体の状態で行われるべきであるかどうかに依存する。
【0030】
気体エチレン返送は図1に示されている。エチレンポンプ[E1]は、液体エチレン[16]をエチレン蒸発器[E2]にポンプ輸送する。これから得られた気体エチレン[17]は、付加的に新鮮なエチレン[18]と共に供給されることもできるエチレンガス緩衝器[E3]中に中間貯蔵される。そこから、気体エチレン[19]は、圧縮されたエチレン[20]を重合[P1]に供給するエチレン圧縮機[E4]中へ達する。別の可能性は、圧縮されたエチレン[21]を酢酸ビニルモノマープラント[V3]の反応循環路に供給することにある。
【0031】
液体エチレン返送は、図2に示されている。エチレンポンプ[E1]は、液体エチレン[16]を液体エチレン貯蔵庫[E5]にポンプ輸送する。液体エチレン[22]は、ついで、エチレン高圧ポンプ[E6]を用いて付加的な供給管路[23]を経て重合[P1]に供給されることができる。新鮮なエチレン[18]の供給は、エチレンガス緩衝器[E3]を経て行われる。そこから、気体エチレン[19]は、圧縮されたエチレン[20]を重合[P1]に供給するエチレン圧縮機[E4]中へ達する。本発明による方法は、分別極低温凝縮の際に、図1及び図2における流れ図に相応して、第一段階[W1]において水の主要割合が凝縮されるように操作されることができる。熱交換器の氷結を回避するために、この段階における残存ガス最低温度[2]は+1℃を下回ってはならない。この凝縮器は、少なくとも90%の水が液体の形で凝縮物[3]として導出されるように設計される。
【0032】
第二段階[W2]において、最低温度は、残存ガス流[2]中の酢酸エチル濃度に依存して、−90〜−60℃である。この凝縮器は、酢酸ビニルと、エチレンを除く第1表に挙げられたその他の炭化水素とが99%を上回り液体の形で凝縮物[5]として導出されるように設計される。
【0033】
エチレンの物質としての再利用への要求に依存して、水、酢酸ビニル及び第1表に挙げられた炭化水素の分離後に、本発明による方法における第三凝縮段階[W3]の使用のための次の変法がもたらされる。
【0034】
気体エチレン返送の実施態様の場合に、圧力に依存して−140〜−100℃の温度に達する第三凝縮段階[W3]において、エチレンは、窒素から凝縮によって分離され、かつ蒸発によって1〜120bar絶対の圧力で気体の形[17]で準備される。
【0035】
液体エチレン返送の実施態様の場合に、圧力に依存して−140〜−100℃の温度に達する第三凝縮段階[W3]において、エチレンは、窒素から凝縮によって分離され、かつ液体の形(極低温で)[22]で準備される。
【0036】
好ましくは、第三凝縮段階[W3]における温度は、−140〜−120℃である。
【0037】
気体エチレン回収の別の一実施態様の場合に、エチレンフラクション中、すなわち第二段階[W2]の残存ガス[4]中の窒素の割合が別の使用のために関係していない場合には、第三凝縮段階[W3]は放棄される。
【0038】
個々のフラクションの以下の物質としての利用可能性は、本発明による方法から構成されている。
【0039】
第二段階[W2]の凝縮物[5]は、酢酸ビニル少なくとも95質量%からなり、かつ痕跡量の水、アセトアルデヒド、メタノール、酢酸メチル及び酢酸エチルを含有する。この物質混合物は、分散重合[P1]において使用されることができるか、又は酢酸ビニルモノマープラント[V1]の蒸留による後処理へ取り込まれることができる。
【0040】
第三段階[W3]の凝縮物[7]は、エチレン少なくとも98質量%を含有する。これは、分散重合[P1]において使用されることができるか、又は、例えば酢酸ビニルモノマープラント[V3]の反応循環路へ取り込まれることができる。
【0041】
第二段階[W2]の残存ガス[4]は、エチレン少なくとも95質量%を含有する。これは、同様に、分散重合[P1]において使用されることができるか、又は、例えば酢酸ビニルモノマープラント[V3]の反応循環路へ取り込まれることができる。その際に、気体エチレン回収のこの実施態様の場合に、第三段階[W3]は割愛された。
【0042】
本発明による分別極低温凝縮のためには、熱交換器、好ましくは管束熱交換器が使用される。熱交換器及び管路の閉塞を防止するために、残存ガス及び凝縮物が貫流する全ての領域における狭い隙間及びデッドゾーンは構造的に回避されるべきである。
【0043】
多段階低温凝縮プラントの連続操作を保証するために、個々の凝縮段階には、好ましい一実施態様においてその都度1つの予備凝縮段階が設けられており、これらは凝縮段階と予備凝縮段階との間での相応する切替可能性を提供する。特に好ましい一実施態様において、第二段階[W2]のみが相応する予備凝縮段階を得る。それゆえ、凝縮段階の補修作業は、連続操作の間でも問題なく可能である。
【実施例】
【0044】
本発明による次の実施例は、ビニルエステル−エチレン混合重合の残存ガスの三段階低温凝縮の流れ図を表す図1の部分に相当する。その際に次の装置構成[W1]〜[W3]及び流れ[1]〜[12]を含む。
【0045】
エチレン75mol%、酢酸ビニル11mol%、水10mol%、エタン1.5mol%、アセトアルデヒド及びメタノールその都度0.1mol%(残部N2)を含有し、60Nm3/h(88kg/h)を有する残存ガス流[1]を、三段階低温凝縮において処理する。600mbarの絶対圧で、残存ガス温度は40℃である。
【0046】
残存ガス流[1]の導通によって、第一凝縮段階[W1]において熱約4kWが導出され、残存ガス[2]及び凝縮物[3]は第1段階[W1]を5℃の温度で去る。残存ガス[2]は、その際に、水87%、メタノール42%及びアセトアルデヒド3.4%が減損される。凝縮物[3]は、水97質量%、酢酸ビニル1.7質量%、メタノール0.8質量%及びアセトアルデヒド0.1質量%からなる。
【0047】
第二凝縮段階[W2]において、熱約5.8kWが導出され、残存ガス[4]及び凝縮物[5]は前記段階を−70℃の温度で去る。残存ガス[4]は、酢酸ビニル99.8%、アセトアルデヒド99%、水及びメタノール100%並びにエタン5.5%が減損されている。第二段階の凝縮物[5]は、水2.4質量%、酢酸ビニル97質量%、メタノール0.2質量%及びアセトアルデヒド0.4質量%からなる。
【0048】
第三段階[W3]を−140℃で操作し;熱9.7kWの排出により、エチレン約55kg/h(粗製ガス中のエチレン>99.6%)が生じる。残存ガス[6]及び凝縮物[7]は、前記段階を−140℃の温度で去る。凝縮物[7]は、エチレン98質量%、エタン1.5〜2質量%及び痕跡量で酢酸ビニル及びアセトアルデヒドからなる。残存ガス[6]は、不活性ガスN2を含有する。
【0049】
それぞれの凝縮段階における前記の熱量を導出することができるように、液体窒素の使用下に冷却される。
【0050】
熱導出のためには、第三凝縮段階[W3]に、残存ガス[4]に対して向流で約150kg/hの液体窒素[8]が6.5bar絶対及び−175℃で装入される。窒素は、その際に完全に蒸発し、かつ−118℃[9]でこの段階を去る。第2段階[W2]における熱導出のためには、気体窒素[9]を残存ガス[2]に対して向流で接続する。第2段階[W2]後に、気体窒素を、さらに+13℃[10]に加熱した。第一段階[W1]において熱4kWを導出することができるように、この窒素流[10]にさらに約30kg/hの液体窒素[11]を混合する。それゆえ、窒素流[12]は、第一凝縮器[W1]中の入口で約−46℃に達し、かつそこを30℃[13]で去る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による方法の気体エチレン返送のための流れ図。
【図2】本発明による方法の液体エチレン返送のための流れ図。
【符号の説明】
【0052】
1,2,4,6 残存ガス、 3,5,7 凝縮物、 8,11 液体窒素、 9 気体窒素、 10,13 窒素流、 12 気体窒素流、 14 新鮮な酢酸ビニル、 15 酢酸ビニル、 16,22 液体エチレン、 17,19 気体エチレン、 18 新鮮なエチレン、 20,21 圧縮されたエチレン、 23 供給管路、 P1 重合、 W1 第一凝縮段階、 W2 第二凝縮段階、 W3 第三凝縮段階、 V1,V3 酢酸ビニルモノマープラント、 V2 酢酸ビニルタンク、 E1 エチレンポンプ、 E2 エチレン蒸発器、 E3 エチレンガス緩衝器、 E4 エチレン圧縮機、 E5 液体エチレン貯蔵庫、 E6 エチレン高圧ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化重合法又は懸濁重合法による5〜100bar絶対の圧力での水性ラジカル重合によるビニルエステル及びエチレン又はエチレン系不飽和モノマーを含有する混合ポリマーの製造方法であって、重合の終了後に反応混合物が、0.1〜5bar絶対の圧力に放圧され、かつ未反応モノマーの回収が、残存ガスからの多段階の分別極低温凝縮(fraktionierte Tiefkaltkondensation)によって行われることを特徴とする、ビニルエステル及びエチレン又はエチレン系不飽和モノマーを含有する混合ポリマーの製造方法。
【請求項2】
液体の形で得られたエチレンが、1〜20bar絶対の圧力下に蒸発され、かつ引き続き再び重合反応へ圧縮されるか又は酢酸ビニルモノマー製造プラント中で原料として反応循環路へ供給される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
液体の形で得られたエチレンを再び重合へ供給する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
液体の形で得られた酢酸ビニルを、再び重合へ返送するか、又は酢酸ビニルモノマー製造プラント中で蒸留系へ供給する、請求項1、2又は3記載の方法。
【請求項5】
水蒸気を第一凝縮段階において1〜5℃の温度で凝縮させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第二凝縮段階において酢酸ビニルを−90〜−60℃の温度で凝縮させる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第三凝縮段階においてエチレンを−140〜−100℃の温度で凝縮させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
多段階凝縮を、真空ポンプの吸引側に配置する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
多段階凝縮を、圧縮機の圧力側に配置する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
重合法を、完全連続的に又は不連続に操作する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
重合を、重合条件下に液体のモノマー95〜99質量%の転化率で終了する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
重合のために、酢酸ビニル及びエチレンの混合物、並びに酢酸ビニル及び別のビニルエステル、例えばビニルラウラート又は炭素原子9〜13個を有するα−分枝鎖状モノカルボン酸のビニルエステル及びエチレンの混合物を使用する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−520852(P2009−520852A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546393(P2008−546393)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069717
【国際公開番号】WO2007/074075
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】