説明

ビームセンサの取付構造

【課題】ポールへの取り付けの際にU字金具と組み合わせて使用されると取付部材に、壁面への取付機能を付与することにより、反りを防止しつつ部品点数を削減して、工事性とコスト面で優れたビームセンサの取付構造を提供する。
【解決手段】ビームセンサのベースが取り付けられるセンサ取付部、ポールの外周面が当接するポール受部及び取付ネジ用の孔を有するネジ固定部が設けられた取付部材を備え、ベースをポールに取り付ける際には、取付部材のポール受部をポール側に指向させてネジ固定部にポールに嵌挿されたU字金具をネジで固定し、ベースを壁面に取り付ける際には、取付部材のポール受部を反壁面側に指向させてネジ固定部を壁面にネジで固定することを特徴とする。前記センサ取付部が平面視略方形状に形成され、該センサ取付部の外周4辺に前記ポール受部とネジ固定部が対向状態で設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光器と受光器を備えたビームセンサをポールや壁面に取り付けるための取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、防犯装置として使用されるビームセンサは、赤外線を照射する投光器と、投光器から照射された赤外線を受光する受光器とを備えて、屋外等の所定位置に設置されたポールや所定の壁面に取り付けられている。従来、このようなビームセンサのポールや壁面への取付構造としては、次の2つの構造が採用されていた。
【0003】
すなわち、第1の取付構造は、例えば図6に示すような反りにくい金属製のシャーシ101を用い、ポール102への取り付けの際には、シャーシ101に対してU字金具103をネジで直接固定するようにし、壁面への取り付けの際には、シャーシ101を壁面にネジで直接固定するようにしたものである。また、第2の取付構造は、図6に示す金具104とU字金具103を用い、ポール102への取り付けの際には、金具104とU字金具103をネジ105で固定した後に金具104にシャーシ101を固定するようにし、壁面への取り付けの際には、シャーシ101を壁面にネジで直接固定するようにしたものである。なお、この種の取付構造に関する特許文献としては、例えば特許文献1が知られている。
【特許文献1】実用新案登録第2606988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記第1の取付構造にあっては、シャーシ101に取り付けられるビームセンサのベースの反りを完全に防ぐことが困難であり、また、第2の取付構造にあっては、金具104とU字金具103及びシャーシ101の3つの部材が必要となり、部品点数が増加して、取り付けのための工事性やコスト面で劣るという問題点を有している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ポールへの取り付けの際にU字金具と組み合わせて使用される取付部材に、壁面への取付機能を付与することにより、反りを防止しつつ部品点数を削減して、工事性とコスト面で優れたビームセンサの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、ビームセンサのベースが取り付けられるセンサ取付部、ポールの外周面が当接するポール受部及び取付ネジ用の孔を有するネジ固定部が設けられた取付部材を備え、前記ベースをポールに取り付ける際には、前記取付部材のポール受部をポール側に指向させて前記ネジ固定部にポールに嵌挿されたU字金具をネジで固定し、前記ベースを壁面に取り付ける際には、前記取付部材のポール受部を反壁面側に指向させて前記ネジ固定部を壁面にネジで固定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記センサ取付部が平面視略方形状に形成され、該センサ取付部の外周4辺に前記ポール受部とネジ固定部が対向状態で設けられていることを特徴とする。さらに、請求項3に記載の発明は、前記ポール受部がその先端部に爪を有して前記センサ取付部の一方の面に所定寸法突出する状態で一体形成され、前記ネジ固定部が前記センサ取付部の他方の面側に所定の段差を有して一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、ビームセンサのベースをポールに取り付ける際には、取付部材のポール受部をポール側に指向させてネジ固定部にポールに嵌挿されたU字金具をネジで固定し、ベースを壁面に取り付ける際には、取付部材のポール受部を反壁面側に指向させてネジ固定部を壁面にネジで固定するため、取付部材を反転させることでポールと壁面の両取り付けに使用できて、取り付けのための部品点数を削減して、工事性とコスト面で優れた取付構造を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、平面視略方形状に形成されたセンサ取付部の外周4辺にポール受部とネジ固定部が対向状態で設けられているため、一対のポール受部によりポールを確実に支持できたり、一対のネジ固定部によりU字金具や壁面にネジを確実に固定することができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、先端部に爪を有するポール受部がセンサ取付部の一方の面に所定寸法突出する状態で一体形成され、ネジ固定部がセンサ取付部の他方の面側に所定の段差を有して一体形成されているため、ポール受部やネジ固定部をセンサ取付部にプレス加工等により一体形成できて、部品コストを一層低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明に係わる取付構造の一実施形態を示し、図1がポールへの取付状態の概略斜視図、図2がその横断面図、図3が取付部材の斜視図、図4がその正面図及び側面図、図5が壁面への取付状態の横断面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、ビームセンサ1は、そのベース2が金属製の取付部材3とU字金具4によってポール5に取り付けられる。この時、取付部材3は、図3及び図4に示すように、平面視略長方形状の平坦なセンサ取付部3aと、このセンサ取付部3aの上下方向端部に対向状態でそれぞれ設けられたポール受部3bと、センサ取付部3aの左右幅方向端部に対向状態でそれぞれ設けられたネジ固定部3cを有し、これらがステンレス板のプレス加工等によって一体形成されている。
【0013】
また、前記ポール受部3bは、センサ取付部3aの一方の面に所定寸法突出状態で形成されると共に、その先端部の両側には中央部を切り欠くことにより一対の爪6が形成され、この爪6間の寸法は取り付けられるポール5の外径に対応できる寸法に設定されている。さらに、前記ネジ固定部3cは、センサ取付部3aの他方の面に折り曲げにより形成された段差7を有して平板状に延設されると共に、各ネジ固定部3cには一対の取付部材用固定孔8がそれぞれ穿設されている。なお、センサ取付部3aには、ベースを固定するためのネジ孔9が一対穿設されている。
【0014】
前記U字金具4は、取り付けられるポール5の外径に対応した内径を有してU字状に折り曲げられた折曲部4aと、この折曲部4aの両端部に内側方向に向けて設けられた一対の固定部4bを有し、各固定部4bには取付部材3を固定するための図示しないネジ孔がそれぞれ形成されている。
【0015】
次に、このように構成された取付部材3を使用したビームセンサ1の取付方法の一例について説明する。先ず、ビームセンサ1をポール5に取り付ける場合は、図1及び図2に示すように、取付部材3のネジ固定部3cからU字金具固定ネジ11をU字金具4の固定部4bのネジ孔にそれぞれねじ込むことにより、取付部材3をU字金具4に固定する。この時、U字金具4の折曲部4a内にはポール5を嵌挿した状態とし、取付部材3のポール受部3bがポール5に指向した状態で一対のU字金具固定ネジ11をそれぞれ締め付けることにより、取付部材3がポール5側に移動してポール受部3bの爪6がポール5の外周面に所定圧で当接する。
【0016】
この一対の爪6のポール5外周面への当接により、取付部材3のポール5に対する上下方向や軸回り方向への移動が規制されて、取付部材3がポール5に固定される。そして、取付部材3をポール5に固定したら、ビームセンサ1のベース2の上部に設けた固定孔からベース固定ネジ12を取付部材3のセンサ取付部3aのネジ孔9にそれぞれねじ込むことにより、ベース2が取付部材3に固定され、その後、ベース2にビームセンサ本体を図示しない取付ネジで取り付ける。これにより、ビームセンサ1の上部が取付部材3を介してポール5に取り付けられて、ビームセンサ1が所定位置に設置される。
【0017】
一方、ビームセンサ1を壁面13に取り付ける場合は、図5に示すように、取付部材3のネジ固定部3cを壁面13に当接させて、ネジ固定部3cに設けられている取付部材用固定孔8(図3参照)から取付部材固定ネジ14を壁面13に直接ねじ込むことにより、取付部材3が壁面13に固定される。この時、取付部材3のポール受部3bは、反壁面13側に指向して壁面13への干渉が防止されると共に、センサ取付部3aから段差7を有した一対のネジ固定部3cが壁面13にそれぞれ密着した状態で固定されることになる。
【0018】
そして、取付部材3を壁面13に固定したら、この取付部材3にベース固定ネジ12でベース2を固定し、その後ベース2にビームセンサ本体を図示しない取付ネジで取り付けることにより、ビームセンサ1が取付部材3を介して壁面13に取り付けられて、ビームセンサ1が壁面13の所定位置に設置される。なお、この壁面13への取付時には、ポール取付時に使用したU字金具4は使用しないことになる。つまり、この実施形態の場合、予め取付部材3とU字金具4や所定のネジ等を準備し、取付部材3とU字金具4を共に使用することによりビームセンサ1をポール5に取り付けでき、また、取付金具3のみを使用することによりビームセンサ1を壁面13に取り付けできることになる。
【0019】
このように、上記実施形態の取付構造にあっては、取付部材3のポール受部3aをポール5側に指向させてネジ固定部3cにU字金具4をU字金具固定ネジ11で固定することにより、ビームセンサ1をポール5に取り付けることができ、ポール受部3bを反壁面13側に指向させてネジ固定部3cを壁面13に取付部材固定ネジ14で直接固定することにより、ビームセンサ1を壁面13に固定できるため、取付部材3を反転させることにより、ビームセンサ1をポール5と壁面13いずれか一方に取り付けることができる。その結果、従来の第2の取付構造のシャーシ101を必要とせず取り付けのための部品点数を削減できて、取付工事自体を簡単に行うことができると共に、コストの低減化を図ることができ、かつ、従来の第1の取付構造に比較して小型で剛性のあるベース2の反り等を確実に防ぐことができて、安定した取付状態を得ることができる。
【0020】
また、取付部材3の平面視略方形状に形成されたセンサ取付部3aの外周4辺にポール受部3bとネジ固定部3cが対向状態で設けられているため、一対のポール受部3bによりポール5を確実に支持することができると共に、一対のネジ固定部3cによりU字金具4や壁面13にU字金具固定ネジ11や取付部材固定ネジ14を確実に固定することができて、取付状態を一層安定化させることができる。さらに、ポール受部3bがセンサ取付部3aの一方の面に所定寸法突出する状態で一体形成され、ネジ固定部3cがセンサ取付部3aの他方の面側に所定の段差7を有して一体形成されているため、ポール受部3aやネジ固定部3cをセンサ取付部3aにプレス加工等により一体形成できて、部品コストを一層低減させることができると共に、壁面13への取付時にポール受部3bが何等干渉することがなく、取付作業を一層容易に行うことができる。
【0021】
なお、上記実施形態においては、取付部材3を平面視略方形状に形成して、この取付部材3に長尺状のビームセンサ1のベース2の上部を固定したが、本発明はこの構成に限定されず、例えば取付部材3をベース形状に対応した長尺状に形成して、ベース2全体を支持する構造としても良いし、長尺状のベース2の上下を一対の取付部材3でそれぞれ支持する構成としても良い。また、上記実施形態における、取付部材3の全体形状、各孔の数や爪6の形状等は一例であって、ビームセンサ1の外形形状等に応じて適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、レンズを上下にそれぞれ有するツインレンズ方式のビームセンサやレンズが一つのビームセンサ等、全てのビームセンサの取り付けに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる取付構造を使用したポールへの取付状態を示す斜視図
【図2】同その横断面図
【図3】同取付部材の斜視図
【図4】同その(a)が正面図、(b)が側面図
【図5】同壁面への取付状態を示す横断面図
【図6】従来の取付構造を示す斜視図
【符号の説明】
【0024】
1・・・ビームセンサ、2・・・ベース、3・・・取付部材、3a・・・センサ取付部、3b・・・ポール受部、3c・・・ネジ固定部、4・・・U字金具、4a・・・折曲部、4b・・・固定部、5・・・ポール、6・・・爪、7・・・段差、8・・・取付部材用固定孔、9・・・ネジ孔、11・・・U字金具固定ネジ、12・・・ベース固定ネジ、13・・・壁面、14・・・取付部材固定ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームセンサのベースが取り付けられるセンサ取付部、ポールの外周面が当接するポール受部及び取付ネジ用の孔を有するネジ固定部が設けられた取付部材を備え、
前記ベースをポールに取り付ける際には、前記取付部材のポール受部をポール側に指向させて前記ネジ固定部にポールに嵌挿されたU字金具をネジで固定し、前記ベースを壁面に取り付ける際には、前記取付部材のポール受部を反壁面側に指向させて前記ネジ固定部を壁面にネジで固定することを特徴とするビームセンサの取付構造。
【請求項2】
前記センサ取付部が平面視略方形状に形成され、該センサ取付部の外周4辺に前記ポール受部とネジ固定部が対向状態で設けられていることを特徴とする請求項1に記載のビームセンサの取付構造。
【請求項3】
前記ポール受部がその先端部に爪を有して前記センサ取付部の一方の面に所定寸法突出する状態で一体形成され、前記ネジ固定部が前記センサ取付部の他方の面側に所定の段差を有して一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のビームセンサの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−128354(P2008−128354A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313761(P2006−313761)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】