説明

ピペラジン誘導体

下記一般式(I):


[式(I)中、R、A、A及びRは、明細書中において与えられたいかなる意味をも表す。]で示される化合物は、シグマ受容体に対するアフィニティーを有し、そして、中枢神経系の疾患の治療において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規1,4−ピペラジン誘導体に関し、該新規誘導体の製造方法に関し、該誘導体を含有する医薬組成物に関し、及び、中枢神経系疾患の治療における該誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある種の中枢神経系疾患はシグマ受容体機能のモジュレーターを用いて治療することができるかもしれないとの見解が、科学文献に開示されていた。シグマリガンドに対するアフィニティーを有することが知られている化合物のうちには、ある種のピペラジン誘導体がある。
【0003】
WO91/09594には、シグマ受容体に対するアフィニティーを有する化合物が開示されており、その中にはピペラジン誘導体も存在し、そして、精神分裂病や他の精神病の治療にそれらが有用であることが開示されている。
【0004】
米国特許番号5,736,546には、置換基を持たない一つのフェニル基と、二つのアルコキシ基を置換基として持つもう一つのフェニル基とを有する、1,4−(ジフェニルアルキル)ピペラジンが開示されている。開示されている化合物の中には、1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−4−(3−フェニルプロピル)ピペラジンがある。この化合物は科学文献において、SA4503とも称される。US5,736,546に開示されている化合物は、認知症、鬱病、精神分裂病、不安神経症、異常免疫反応に伴う疾患、内分泌過多(cryptorrhea)、及び、消化性潰瘍(digestive ulcer)の治療に有用であるとされている。
【0005】
WO2004/110387には、シグマリガンド、とくにSA4503、は、虚血性脳血管障害、外傷性脳損傷、又は、脊髄損傷等のような神経変性疾患の発症の後における神経再生を促進するための、患者の治療にもまた有用であることが開示されている。
【0006】
US5,389,630は一般的にある種のジアミン化合物が脳保護作用を有することを開示している。実施例50の化合物はピペラジン誘導体であるが、しかし、例示された大多数の化合物はホモピペラジン誘導体である。これら化合物の作用機序には言及されていない。
【0007】
フランス特許出願公開番号FR2073277はある種の1,4−ジ置換ピペラジン誘導体を一般的に開示しており、広い種類の医薬的活性を有するとされる。例示された化合物の一つは1,4−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジンである。
【0008】
【特許文献1】WO91/09594
【特許文献2】US5,736,546
【特許文献3】WO2004/110387
【特許文献4】US5,389,630
【特許文献5】FR2073277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知の化合物1,4−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジンを含む1,4−ピペラジン誘導体はシグマ受容体、特にシグマ−1受容体に対して、高いアフィニティーを有することがいまや見出されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様において、本発明は、以下の化合物:下記一般式(I):
【0011】
【化1】

【0012】
式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;及び、
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で示されるか;又は医薬的に許容されるその塩、ただし、
及びAがそれぞれ(CHを表す場合、R及びRは、ともに4−フルオロフェニルではない。
【0013】
本発明の化合物は、シグマ受容体、とくにシグマ−1受容体に対して、高いアフィニティーを有することが見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書においては、特に断らないかぎり、ハロゲン原子は、フッ素、塩素及び臭素を含む。
炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基は、メチレンジオキシ及びエチレンジオキシを含む。
炭素数1〜4のアルキル基の例示は、メチルである。
本明細書中、炭素数1〜4のハロアルキル基は、トリフルオロメチル等のパーフルオロ(1〜4C)アルキルを含む。
炭素数1〜4のアルコキシ基の例示は、メトキシである。
アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基の例示は、2−メトキシエトキシである。
炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基の例示は、ヒドロキシメチルである。
本明細書中、炭素数1〜4のハロアルコキシ基は、トリフルオロメトキシ等のパーフルオロ(1〜4C)アルコキシ基を含む。
炭素数1〜4のアルキルスルファニル基(炭素数1〜4のアルキルチオ基とも称せられる。)の例示は、メチルスルファニルである。
炭素数1〜4のアルキルスルホニル基の例示は、メチルスルホニルである。
炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基の例示は、トリフルオロメチルスルホニルである。
式(I)中、Rの具体例としては、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル及び2,4−ジフルオロフェニルが挙げられる。
【0015】
mの値の例示は、2及び3である。とくに、mが2である。
nの値の例示は、2及び3である。
一つの態様においては、Aは(CH等の(CHである。
他の態様においては、Aは(CH)C(=O)又は(CHC(=O)等の(CH2)m−1C(=O)である。
は、例えば、(CHである。
の具体例としては、水素が挙げられる。
他の態様において、Rは、フッ素原子、シアノ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のフルオロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ又は二つの置換基を有するフェニル基を表す。
の具体例として、とくに、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−メチルスルホニルフェニル、4−メチルスルホニルフェニル、3−トリフルオロメチルスルホニルフェニル及び4−トリフルオロメチルスルホニルフェニルが挙げられる。
【0016】
なかでも、式(I)の化合物のうち、Rが、2−フルオロフェニル又は4−フルオロフェニルであるものが挙げられる。
【0017】
式(I)で表される化合物は不斉中心を含んでいてもよい。従って、立体異性体の態様で存在し及び単離されてもよい。本発明は式(I)で表される化合物の如何なる立体異性体であってもよい。
【0018】
また、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩は溶媒和物の態様で単離されてもよく、従って、如何なるこのような溶媒和物も本発明の範囲に含まれる。
【0019】
一般式(I)で表される化合物は常法により製造することができる。
【0020】
別の態様によれば、従って、本発明は
a)下記一般式(II):
【0021】
【化2】

【0022】
(式(II)中、Z及びZは独立に、脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物又はR上の一つ若しくはそれより多い置換基が保護されている対応する化合物を、下記一般式(III):
【0023】
【化3】

【0024】
で表される化合物と反応させるか;
b)下記一般式(IV):
【0025】
【化4】

【0026】
(式(IV)中、Z及びZは独立に、脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物を、下記一般式(V):
【0027】
【化5】

【0028】
で表される化合物又はR上の一つ若しくはそれより多い置換基が保護されている対応する化合物と反応させるか;
c)下記一般式(VI):
【0029】
【化6】

【0030】
で表される化合物を、下記一般式(VII):
【0031】
【化7】

【0032】
(式(VII)中、Zは脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物と反応させるか;
d)下記一般式(VIII):
【0033】
【化8】

【0034】
で表される化合物を、下記一般式(IX):
【0035】
【化9】

【0036】
(式(IX)中、Zは脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物と反応させるか;又は、
e)式(I)中、Aが(CHで表され、Aが(CHで表される化合物にあっては、Aが(CHm−1C(=O)で表されるか及び/又はAがC(=O)(CHn−1で表される対応する式(I)の化合物を還元し;
その後、全ての保護基を除去し、そして、必要により、医薬的に許容される塩を形成する、一般式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩の製造方法である。
【0037】
上記工程a)において、Z及びZで表される脱離原子又は脱離基としては、例えば、ハイドロカルビルスルホニロキシ基、例えば、メタンスルホニロキシ若しくはp−トルエンスルホニロキシ、又は、ハロゲン原子、例えば、塩素原子が挙げられる。
【0038】
反応は好ましくは0〜100℃の範囲内、例えば、50〜90℃にて行う。好ましい溶媒としては、例えば、有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド等のアミドが挙げられる。反応は好ましくは塩基、例えば、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、の存在下に行われる。反応はヨウ化ナトリウム等の触媒の存在下に行ってもよい。
【0039】
一般式(III)で表される化合物は、対応する一般式(X):
【0040】
【化10】

【0041】
で表される化合物から、例えば、チオニルクロライドとの反応により、Z及びZが塩素原子を表す式(III)の化合物を得る。
【0042】
式(X)で表される化合物は、一般式(XI):
【0043】
【化11】

【0044】
で表される化合物を一般式(VII)で表される化合物と、上述した工程c)と類似の方法で反応させて製造することができる。
【0045】
上記工程b)は工程a)について説明したのと類似の方法で実施することができる。必要な出発物質は式(XI)で表される化合物を式(IX)で表される化合物と反応させ、次に、例えば、得られたジオールをチオニルクロライドと反応させて、式(IV)で表される化合物を得ることができる。
【0046】
上記工程c)において、Aがカルボニルを含むか否かによって、Zで表される脱離原子又は脱離基は、例えば、ヒドロキシ、アシロキシ又はハロゲン原子、例えば、臭素原子であってよい。反応は好ましくは0〜100℃の範囲内にて行う。好ましい溶媒としては、例えば、有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド等のアミドが挙げられる。上記(VII)で表される化合物がアルキルハライドの場合、反応は好ましくは塩基、例えば、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、の存在下に行われる。Zがヒドロキシを表す場合、反応は好ましくはアミド結合カップリング条件下、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及びジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下に行われる。
【0047】
式(VI)で表される化合物は、式(XII):
【0048】
【化12】

【0049】
(式中、Pはt−ブトキシカルボニル等のアミノ基保護基を表す。)で表される化合物を脱保護することにより得ることができる。例えば、t−ブトキシカルボニルはトリフルオロ酢酸を使用して除去することができる。または、式(I)で表される化合物が対称構造である場合、ピペラジンを式(VII)で表される化合物2当量と反応させて、そして、反応を完結させることにより、in situに製造することができる。
【0050】
上記工程d)は工程c)と同様の方法により実施することができる。
【0051】
上記工程e)において、還元剤としては、例えば、ボラン(BH)、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素還元剤、又は、水素化アルミニウムリチウム等の水素化アルミニウムアルカリ金属等を好ましく使用することができる。反応は、好ましくは、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル等の溶媒の存在下に行うことができる。還元が行われる温度しては、−25〜100℃の範囲、例えば、−10〜40℃の範囲、が好ましく挙げられる。
【0052】
医薬的に許容される塩は、常法により生成することができ、例えば、式(I)で表される化合物を塩酸等の医薬的に許容される酸と反応させて得られる。
【0053】
ある種の中間体は新規化合物である。本発明は、本願明細書に開示するすべての新規中間体でもある。
【0054】
本発明の化合物は、どのような適切な経路で投与してもよく、例えば、消化管(例えば、直腸、口腔)内、鼻腔内、肺内、筋肉内、若しくは血管内へ、又は、経皮的に、投与することができる。該化合物は、いかなる適切な投与剤型であってもよく、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、溶液剤、分散液剤、懸濁液剤、シロップ剤、スプレー剤、座剤、ゲル剤、エマルション剤、パッチ剤等が挙げられる。このような組成物は医薬に通常使用される成分、例えば、希釈剤、キャリア剤、pH調節剤、甘味剤、増量剤、及びその他の活性成分、等を含有することができる。非経口投与が望ましい場合は、組成物は注射又は点滴に適した滅菌した溶液又は懸濁液形態とすればよい。このような組成物は、本発明の別の態様である。
【0055】
本発明の他の態様によれば、本発明は医薬組成物であって、上記で定義された、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩及び医薬的に許容される希釈剤又はキャリア剤を含有してなる。
【0056】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明は、治療に使用するための、上記で定義された、式(I)で表される化合物又は医薬的に許容されるその塩を提供する。
【0057】
別の態様によれば、本発明は、シグマ受容体機能のモジュレーターに反応性を有する症状を治療するための医薬の製造における下記一般式(I):
【0058】
【化13】

【0059】
[式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物;
または医薬的に許容されるその塩の使用である。
【0060】
他の態様によれば、本発明は、下記一般式(I):
【0061】
【化14】

【0062】
[式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物;又は医薬的に許容されるその塩の有効量を患者に投与することを含む、シグマ受容体機能のモジュレーターに反応性を有する症状を治療するための方法である。
【0063】
治療対象の患者としては、ヒトでもよく、ヒト以外の動物でもよく、例えば、ネコ、イヌ、馬、牛、羊等の動物でもよい。好ましくは治療対象の患者は、ヒトである。
【0064】
シグマ受容体のモジュレーターに反応性を有する病気としては、例えば、シグマ受容体に関連付けられる神経学的疾患又は精神医学的疾患等の中枢神経系疾患が挙げられる。神経学的疾患としては、例えば、心臓バイパス手術及びグラフト後の脳欠陥、脳虚血(例えば、脳梗塞又は心臓停止に伴うもの);脊髄外傷;頭部外傷;多発性硬化症、アルツハイマー病;ハンチントン舞踏病;筋萎縮性側索硬化症;AIDSにより誘起される痴呆症;筋痙攣;ひきつけ;薬剤への耐性、禁断症、及び中断(すなわち、アヘン剤、ベンゾジアゼピン、ニコチン、コカンイ又はエタノールに対するもの);眼の損傷及び網膜症;認知障害;特発性及び薬剤起因性パーキンソン病;痛み;及び遅発性ジスキネジア等の運動障害が挙げられる。式Iの化合物で治療される精神医学的疾患としては、例えば、精神分裂病、不安及び関連神経症(例えば、パニック発作、ストレス関連障害)、鬱病、双極性障害、精神病及び強迫神経症が挙げられる。
【0065】
本発明の化合物は、特に、神経保護薬としての使用、並びに、神経変性疾患、特に、脳梗塞、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び多発性硬化症、の発症の後における神経再生と機能回復を促進するための患者の治療における使用に有用である。
【0066】
式(I)で表される化合物の投与量は、治療する症状の性質や重篤さ、投与経路及び投与対象の大きさや種に依る。一般には、0.01〜100mg/kg体重の範囲の量が投与される。
【0067】
本明細書中、「治療」とは予防的使用も含む。「有効量」とは治療される疾患の症状の悪化速度を減じるか悪化を阻止するのに有効な、式(I)で表される化合物の量をいう。
【0068】
本発明の化合物は、単独で又は異なる作用機序の他の治療薬と併用して、投与してもよい。
【0069】
化合物のシグマ受容体に結合する能力は以下の一つ又はそれ以上の試験により示すことができる。
【0070】
シグマ−1(σ1)及びシグマ−2(σ2)受容体結合アッセイはHEK−293(ヒト胎児腎臓由来)細胞の細胞膜を用いて行われる。
【0071】
膜の調製
コンフルエントなHEK−293細胞をPBS/5mM EDTA中で採集する。それを2000rpmで5分間遠心し、その後、PBSで2回洗う。細胞は5mM EDTA、0.5mM PMSF及び0.5μg/mLロイペプチン含有20mM トリスHCl(pH=7.5)中で、ダウンス型ホモジェナイザーを用いて均質化し、5分間超音波処理する。
【0072】
核破片及び無傷細胞を3000rpm、10分間、4℃で遠心して除去する。上清を12000rpmで30分間遠心し、生じるペレットを25mMトリスHCl(pH=7.5)、25mM MgCl、0.5mM PMSF含有10%スクロース、2mM AEBSF、1mM EDTA、130μMベスタチン、14μM E−64、1μMロイペプチン及び0.3mMアプロチニンに再懸濁する。
【0073】
タンパクはバイオラッド プロテイン アッセイ ダイ試薬を用いて測定し、膜標品は等分し−80℃で冷凍する。
【0074】
σ1受容体結合アッセイ
結合アッセイは96穴プレートで行う。
σ1受容体はσ1選択的プローブ(+)−[H]ペンタゾシンを用いて標識する(ボーエン WDら、Mol Neuropharmacol 3、117−126、1993)。
全結合は50μgのHEK−293細胞膜と10nM(+)−[H]−ペンタゾシン(パーキン−エルマー、35Ci/mmol)及びアッセイバッファー(50mMトリスHCl、pH=8.3)とを全量200μlにてインキュベートして測定する。非特異的結合は10μM無標識ペンタゾシンの存在下で測定する。競合試験は、50μlの競合化合物を8つの異なる濃度で添加して行う。インキュベーションは120分間37℃で行う。アッセイの停止は氷冷10mMトリスHCl、pH=8.3で希釈し、モレキュラーデバイス社のスキャトロン製セルハーベスターを用いてグラスファイバーで減圧濾過して行う。フィルターは3回洗浄し、マイクロベータシンチレーションカウンターで膜結合放射能を測定する。
【0075】
フィルターは、使用する前に0.5%ポリエチレンイミンに1時間浸漬する。
特異的結合は、全結合から非特異的結合を差し引いて求める。IC50値([H]−ペンタゾシンの結合を50%阻害するのに必要な競合リガンド濃度)はグラフパッドプリズムソフトウェアを用いて非線形回帰分析により解析する。
【0076】
σ2受容体結合アッセイ
結合アッセイは96穴プレートで行う。
σ2受容体は[H]DTG(ジ−o−トリルグアニジン)により、σ1受容体がσ1選択的化合物であるペンタゾシンによりマスクされる条件下で、標識する(ヘレウェル SBら、Eur.J.Pharmacol、268、9−18、1994)。
【0077】
全結合は50μgのHEK−293細胞膜と、10μMペンタゾシンの存在下の10nM[H]−DTG(パーキン−エルマー、58Ci/mmol)及びアッセイバッファー(50mMトリスHCl、pH=8.3)とを全量200μlにてインキュベートして測定する。非特異的結合は10μM無標識DTGの存在下で測定する。競合試験は、50μlの競合化合物を8つの異なる濃度で添加して行う。インキュベーションは120分間37℃で行う。アッセイの停止は氷冷10mMトリスHCl、pH=8.3で希釈し、モレキュラーデバイス社のスキャトロン製セルハーベスターを用いてグラスファイバーで減圧濾過して行う。フィルターは3回洗浄し、マイクロベータシンチレーションカウンターで膜結合放射能を測定する。
【0078】
フィルターは、使用する前に0.5%ポリエチレンイミンに1時間浸漬する。
特異的結合は、全結合から非特異的結合を差し引いて求める。IC50値([H]−DTGの結合を50%阻害するのに必要な競合リガンド濃度)はグラフパッドプリズムソフトウェアを用いて非線形回帰分析により解析する。
【0079】
公知化合物である1,4−ビス−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン及び実施例1の化合物は、ともにσ1受容体結合アッセイにおいてIC50値が700nMより小さいことが判明した。
以下の例により本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0080】
実施例1
1,4−ビス−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジンジハイドロクロライド
【0081】
【化15】

【0082】
DMF(4mL)中のピペラジン(0.29g、3mmol)にCsCO(4.4g、13.5mmol)及び1−(2−ブロモ−エトキシ)−2−フルオロ−ベンゼン(1.5g、6.8mmol)を加えた。混合物を室温で一日撹拌し、水でクエンチし、そしてジクロロメタンで抽出した。有機層を濃縮し、白色固体(0.88g、81%)を得た。この固体の一部(0.2g)をエーテル及びエーテル(1mL)中の2NHClに懸濁した。白色固体を濾取し、目的化合物を得た(0.23g、96%)。
【0083】
H−NMR(400MHz,CDOD−d):δ3.70−3.76(m,12H),4.49(t,4H),7.03(m,2H),7.18(m,6H)。
【0084】
以下の化合物が、実施例1と同様にして製造された。
【0085】
実施例2
1,4−ビス−[3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル]ピペラジン
【0086】
【化16】

【0087】
H−NMR(400MHz,CDOD−d):δ2.29(m,4H),3.5−4.0(m,12H),4.11(t,4H),6.95(m,4H),7.02(m,4H)。
【0088】
実施例3
1,4−ビス−[3−(2−フルオロフェノキシ)プロピル]ピペラジンジハイドロクロライド
【0089】
【化17】

【0090】
H−NMR(400MHz,CDOD−d):δ2.36(m,4H),3.5−4.0(m,12H),4.23(t,4H),6.96(m,2H),7.12(m,6H)。
【0091】
実施例4
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル]ピペラジンジハイドロクロライド
【0092】
【化18】

【0093】
工程1:4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−カルボキシリックアシドt−ブチルエステル
ピペラジン−1−カルボキシリックアシドt−ブチルエステル(1.86g、10mmol)及び1−(2−ブロモエトキシ)−4−フルオロベンゼン(2.19g、10mmol)のDMF(5mL)中の溶液にCsCO(7.5g、20mmol)を加えた。混合物を室温で一日撹拌し、それから水でクエンチし、エチルアセテートで抽出した。有機層を水と塩水で洗い、無水硫酸ナトナウムで乾燥し、そして濃縮して目的化合物を定量的に油状物(3.25g)として得、このものをさらに精製することなく使用した。
【0094】
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ1.39(s,9H),2.42(t,4H),2.69(t,2H),3.31(t,4H),4.04(t,2H),6.95(m,2H),7.10(t,2H)。
【0095】
工程2:1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン
4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−カルボキシリックアシドt−ブチルエステル(3.2g、10mmol)のジクロロメタン(80mL)中の溶液にトリフルオロ酢酸(15mL)を混合した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、そして濃縮した。残渣をNaHCOの飽和溶液で処理し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を集めて濃縮し、目的化合物を定量的(5.0g)に白色固体として得た。
【0096】
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ2.35(m,10H),4.13(t,2H),7.01(t,2H),7.16(t,2H),9.20(b,1H)。
【0097】
工程3:1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−フルオロフェノキシ)プロピル]ピペラジンジハイドロクロライド
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン(0.148mg、0.5mmol)のDMF(3mL)中の溶液にCsCO(0.8g、2.5mmol)及び1−(3−ブロモプロポキシ)−4−フルオロベンゼン(139mg、0.6mmol)を加えた。混合物を室温で一日撹拌し、水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。有機層を濃縮し、残渣をエーテルとエーテル(2mL)中の2NHClに懸濁した。白色固体を濾取して目的化合物(171mg、76%)を得た。
【0098】
H−NMR(400MHz,CDOD−d):δ2.36(m,2H),3.55(t,2H),3.5−4.0(b,10H),4.22(t,2H),4.42(t,2H),7.05(m,8H)。
【0099】
実施例5
2−(4−フルオロフェノキシ)−1−{4−[2−(4−フルオロフェノキシ)アセチル]ピペラジン−1−イル}−エタノン
【0100】
【化19】

【0101】
(4−フルオロフェノキシ)酢酸(8.5g、0.05mol)の無水ジクロロメタン(120mL)中の溶液にオキザリルクロライド(8.9mL、0.1mol)及びDMF(0.02mL)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、そして濃縮した。残渣を無水ジクロロメタン(60mL)中に溶解した。この溶液にピペラジン(1.9g、22mmol)及びトリエチレンアミン(11mL、0.08mol)を加えた。反応混合物を一晩撹拌した。沈殿を濾取し、メタノールで洗い、そして乾燥して目的化合物を定量的(9.16g)に白色固体として得た。
【0102】
H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ5.48(d,8H),4.85(s,4H),6.95(m,4H),7.11(m,4H)。
【0103】
以下の化合物及び医薬的に許容されるその塩を、実施例1と同様にして製造することができる:
4−(2−{4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
4−(2−{4−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
4−(2−{4−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
3−(2−{4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
3−(2−{4−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
3−(2−{4−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}エトキシ)ベンゾニトリル、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−メタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[2−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)エチル]ピペラジン、
4−(3−{4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
4−(3−{4−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
4−(3−{4−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
3−(3−{4−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
3−(3−{4−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
3−(3−{4−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}プロポキシ)ベンゾニトリル、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)−エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−メタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(4−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン、
1−[2−(2−フルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン;
及び
1−[2−(2,4−ジフルオロフェノキシ)エチル]−4−[3−(3−トリフルオロメタンスルホニルフェノキシ)プロピル]ピペラジン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化合物:下記一般式(I):
【化1】

[式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;及び、
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で示されるか;又は医薬的に許容されるその塩、ただし、
及びAがそれぞれ(CHを表す場合、R及びRは、ともに4−フルオロフェニルではない。
【請求項2】
が、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル又は2,4−ジフルオロフェニルを表す請求項1記載の化合物。
【請求項3】
mが、2又は3である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
mが、2である請求項3記載の化合物。
【請求項5】
が、(CHを表す請求項1〜4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
nが、2又は3である請求項1〜5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
が、(CHを表す請求項1〜6のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
が、フッ素原子、シアノ、炭素数1〜4のフルオロアルキル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のフルオロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のフルオロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ又は二つの置換基を有するフェニル基を表す請求項1〜7のいずれか記載の化合物。
【請求項9】
が2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−メチルスルホニルフェニル、4−メチルスルホニルフェニル、3−トリフルオロメチルスルホニルフェニル、又は、4−トリフルオロメチルスルホニルフェニルである請求項8記載の化合物。
【請求項10】
が2−フルオロフェニル又は4−フルオロフェニルである請求項9記載の化合物。
【請求項11】
a)下記一般式(II):
【化2】

(式(II)中、Z及びZは独立に、脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物又はR上の一つ若しくはそれより多い置換基が保護されている対応する化合物を、下記一般式(III):
【化3】

で表される化合物と反応させるか;
b)下記一般式(IV):
【化4】

(式(IV)中、Z及びZは独立に、脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物を、下記一般式(V):
【化5】

で表される化合物又はR上の一つ若しくはそれより多い置換基が保護されている対応する化合物と反応させるか;
c)下記一般式(VI):
【化6】

で表される化合物を、下記一般式(VII):
【化7】

(式(VII)中、Zは脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物と反応させるか;
d)下記一般式(VIII):
【化8】

で表される化合物を、下記一般式(IX):
【化9】

(式(IX)中、Zは脱離原子又は脱離基を表す。)で表される化合物と反応させるか;又は、
e)式(I)中、Aが(CHで表され、Aが(CHで表される化合物にあっては、Aが(CHm−1C(=O)で表されるか及び/又はAがC(=O)(CHn−1で表される対応する式(I)の化合物を還元し;
その後、全ての保護基を除去し、そして、必要により、医薬的に許容される塩を形成する、請求項1〜10のいずれか記載の化合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか記載の化合物と医薬的に許容される希釈剤又はキャリア剤とを含有する医薬組成物。
【請求項13】
下記一般式(I):
【化10】

[式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物;又は医薬的に許容されるその塩の有効量を患者に投与することを含む、シグマ受容体機能のモジュレーターに反応性を有する症状を治療するための方法。
【請求項14】
治療に使用するための、請求項1〜10のいずれか記載の化合物。
【請求項15】
シグマ受容体機能のモジュレーターに反応性を有する症状を治療するための医薬の製造における下記一般式(I):
【化11】

[式(I)中、
は、一つ又は二つのフッ素原子によって置換されるフェニル基を表し;
は、(CH又は(CHm−1C(=O)で表される基(式中、mは2、3、4又は5である。)を表し;
は、(CH又はC(=O)(CHn−1で表される基(式中、nは2、3、4又は5である。)を表し;
は、炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アルコキシ(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)基、炭素数1〜4のヒドロキシアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルスルファニル基、炭素数1〜4のアルキルスルホニル基、炭素数1〜4のハロアルコキシ基、及び、炭素数1〜4のハロアルキルスルホニル基から独立に選択される一つ、二つ若しくは三つの置換基を有するか又は無置換のフェニル基を表す。]で表される化合物;
または医薬的に許容されるその塩の使用。

【公表番号】特表2009−526844(P2009−526844A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555245(P2008−555245)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/002043
【国際公開番号】WO2007/097871
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(301004743)株式会社エムズサイエンス (8)
【Fターム(参考)】