説明

ピリジルジスルフィド部分を含有するポリマーリンカー

本発明はピリジルジスルフィド部分を含有するポリマーリンカーを提供する。ポリマーリンカーの作製方法、およびこれを使用するコンジュゲートの作製方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互関係
本出願は、米国仮特許出願番号60/956,814(2007年8月20日受理)に基づく優先権を主張し、その内容を参照として本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、ドラッグデリバリーシステムに関する。特に、本発明は、ピリジルジスルフィド部分を含有する活性化されたポリマーベースのドラッグデリバリーリンカーに関するものであって、これによってチオール含有生物学的活性部分のコンジュゲーションが改善される。
【背景技術】
【0003】
長年にわたって、治療薬を体内に送達するため、またこれらの医薬のバイオアベイラビリティーを改善するために、多数の方法が提案されてきた。その試みの1つは、こうした医薬を可溶性輸送系の一部として含ませるものである。こうした輸送系には恒久的コンジュゲートベース系またはプロドラッグが含まれる。特に、ポリマー輸送系は医薬の溶解性および安定性を改善することができる。例えば、水溶性ポリアルキレンオキシドとタンパク質およびポリペプチドなどの治療薬部分とのコンジュゲーションが知られている。例えば、特許文献1('337号特許)を参照されたい。この開示を参照として本明細書に組み入れる。この'337号特許は、PEGで修飾した生理学的に活性なポリペプチドがin vivoでより長期間循環すること、および免疫原性および抗原性が低下することを開示している。
【0004】
そのほかの改良も実現されている。例えば、タンパク質、ペプチドおよび小分子を放出可能なように送達する手段として、ベンジル脱離システム、トリアルキルロックシステム、その他を含んでいるポリマーベースのドラッグデリバリー基盤系が、Enzon Pharmaceuticalsによって開示された。以下も参照されたい: 非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3。前記のそれぞれの内容を参照として本明細書に組み入れる。
【0005】
最近になって、オリゴヌクレオチド、標的タンパク質、ペプチド、その他を含む極めて多様な生物学的に活性な化合物とのコンジュゲーションのために、ポリエチレングリコール(PEG)が提案された。そのコンジュゲーションのためには、このポリマーのヒドロキシル末端基を最初に反応性官能基に転換させなければならない。この工程は「活性化」と称されることが多く、そしてその生成物は「活性化されたポリアルキレンオキシド」と称される。その他のポリマーも同様に活性化される。この目的に関しては、当分野で既知の官能基がいくつかある。
【0006】
したがって、これらの試行および進展はあるものの、PEGおよびチオール含有部分とのポリマーコンジュゲーション技術のさらなる改良が模索されてきた。本発明はこの要求およびその他を目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,179,337号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Greenwaldら、J. Med. Chem. Vol. 42, No. 18, 3657-3667
【非特許文献2】Greenwaldら、J. Med. Chem. Vol. 47, No. 3, 726-734
【非特許文献3】Greenwaldら、J. Med. Chem. Vol. 43, No. 3, 475-487
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の課題を克服し、ドラッグデリバリーの技術を改善するため、新規の分岐ポリマーとこれを用いて作成されるコンジュゲートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1態様中、式(I)の化合物:
【化1】

【0011】
[式中:
R1は実質的に非抗原性の水溶性ポリマーであり;
Aはキャッピング基または
【化2】

【0012】
であり;
Y1およびY'1は独立してS、O、もしくはNR2であり;
Y2およびY'2は独立してS、O、SO、SO2、NR20であり;
Y3およびY'3は独立してH、離脱基、活性化基、官能基、または
【化3】

【0013】
であり;
L1-3およびL'1-3は独立して二官能性リンカーから選択され;
R2-11、R'2-11、およびR20は水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群から独立して選択され;
R12およびR'12は水素、ヒドロキシル、離脱基、官能基、医薬、標的薬、診断薬、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニルオキシ、マレイミジル、ビニル、置換スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択され;
(a)、(a')、(d)および(d')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1であり;
(b)および(b')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1〜10の整数であり、より好ましくは0もしくは1であり、最も好ましくは0であり;
(c)および(c')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1〜10の整数であり、より好ましくは0もしくは1であり、最も好ましくは1であり;
(e)および(e')は独立して0もしくは1であり;
(g)および(g')は独立して0もしくは1であり、好ましくは1であり;
ただし、(a)および(g)は同時に0ではない]
が提供される。
【0014】
本発明の一定の好ましい態様中、ポリマードラッグデリバリーシステムにシステインが含まれる。
【0015】
好ましい態様中、R8-11もしくはR'8-11の少なくとも1つは電子求引基、例えば、置換アミド、アシル、アジド、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、シアノ、およびニトロ、好ましくはニトロ、そしてより好ましくはR8もしくはR'8としてのニトロ基である。
【0016】
別の好ましい態様中、R12もしくはR'12は医薬、標的薬、または診断薬の中から選択される。
【0017】
特に好ましい態様中、R1は分子量が約5,000〜約60,000の直線状もしくは分岐状のポリ(エチレングリコール)残基を含み、Y1およびY'1はOであり、Y2およびY'2はNR20であり、(a)および(a')は0もしくは1であり、(b)および(b')は0もしくは1であり、(c)および(c')は1であり、そして(e)および(e')は0である。特定の1態様中、R2-7、R'3-7、R9-11およびR'9-11は水素、メチルおよびエチルの中から選択されるが、より好ましくはそれぞれが水素である。
【0018】
本発明の別の態様中、本明細書に記載する化合物の調製方法、本発明の化合物の生物学的に活性な化合物とのその後のコンジュゲーションのための使用方法、および生成するコンジュゲートの治療での使用方法が提供される。
【0019】
本明細書に記載する、ピリジルジスルフィド部分を含有するポリマー輸送系の利点の1つは、技術者ならばチオールを含有する部分分子と選択的にコンジュゲートさせることができる点である。ポリマー性活性化系の一部としてチオールを持つアミノ酸を組み込んだとしても、本発明の化合物はペプチド合成の起点を提供することもできる。本明細書に記載するポリマー系の別の利点は第二薬物を接続させることが可能な点である。ジスルフィド結合を提供するリンカーとして分岐部分を利用することによって、複数の置換基を導入することができる。本発明の化合物のこの複数の置換基によって、当業者はジスルフィド結合を介して選択的にコンジュゲートすることが可能な標的基に加えて、治療上の相乗効果を持つ第二薬をさらに接続させることができるようになる。本明細書に記載するポリマー送達系によって、医薬が治療部位を標的にするようにできる。
【0020】
本発明の目的に関しては、用語「生物学的に活性な部分」および「生物学的に活性な部分の残基」とは、生物学的に活性な化合物が輸送担体部分を接続させる置換反応を受けた後に残存している、生物学的に活性な化合物の部分を意味するものと解釈すべきである。
【0021】
別の定義をしない限り、本発明の目的に関しては以下のように解釈すべきである。
【0022】
用語「アルキル」として直鎖、分岐、置換されたもの、例えばハロ-、アルコキシ-、およびニトロ-C1-12アルキル、C3-8シクロアルキルまたは置換シクロアルキル、その他が含まれる。
【0023】
用語「置換された」として、官能基もしくは化合物に1以上の別の原子を加えるか、またはこれらに含まれる1以上の原子と交換することが含まれる。
【0024】
用語「置換アルキル」として、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルおよびメルカプトアルキルが含まれる。
【0025】
用語「置換シクロアルキル」として、4-クロロシクロヘキシルなどの部分が含まれる。アリールとして、ナフチルなどの部分が含まれる。置換アリールとして、3-ブロモフェニルなどの部分が含まれる。アラルキルとして、トルイルなどの部分が含まれる。ヘテロアルキルとして、エチルチオフェンなどの部分が含まれる。
【0026】
用語「置換ヘテロアルキル」として、3-メトキシ-チオフェンなどの部分が含まれる。アルコキシとして、メトキシなどの部分が含まれる。そして、フェノキシとして、3-ニトロフェノキシなどの部分が含まれる。
【0027】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ヨードおよびブロモが含まれるものと解釈すべきである。
【0028】
用語「十分量」および「有効量」は、本発明の目的に関しては、その効果が当業者に認められている治療効果を達成する量を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1〜5に記載された合成方法を図式的に説明している。
【図2】実施例6〜8に記載された合成方法を図式的に説明している。
【図3】実施例7〜12に記載された合成方法を図式的に説明している。
【図4】実施例13〜15に記載された合成方法を図式的に説明している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
発明の詳細な説明
A. 概要
本発明の1態様中、式(I)の化合物:
【化4】

【0031】
[式中:
R1は実質的に非抗原性の水溶性ポリマーであり;
Aはキャッピング基または
【化5】

【0032】
であり;
Y1およびY'1は独立してS、O、もしくはNR2であり;
Y2およびY'2は独立してS、O、SO、SO2、NR20であり;
Y3およびY'3は独立してH、離脱基、活性化基、官能基、または
【化6】

【0033】
であり;
L1-3およびL'1-3は独立して二官能性リンカーから選択され;
R2-11、R'2-11、およびR20は水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群から独立して選択され;
R12およびR'12は水素、ヒドロキシル、離脱基、官能基、医薬、標的薬、診断薬、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニルオキシ、マレイミジル、ビニル、置換スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択され;
(a)、(a')、(d)および(d')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1であり;
(b)および(b')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1〜10の整数であり、より好ましくは0もしくは1であり、最も好ましくは0であり;
(c)および(c')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは1〜10の整数であり、より好ましくは0もしくは1であり、最も好ましくは1であり;
(e)および(e')は独立して0もしくは1であり;
(g)および(g')は独立して0もしくは1であり、好ましくは1であり;
ただし、(a)および(g)は同時に0ではない]
が提供される。
【0034】
本発明のこれらの態様の中で、R2-11、R'2-11、およびR20に相当する部分が置換されてもよいことが示される場合において、置換を想定する置換基として例えば以下が含まれる: アシル、アミノ、アミド、アミジン、アラ-アルキル、アリール、アジド、アルキルメルカプト、アリールメルカプト、カルボニル、カルボキシレート、シアノ、エステル、エーテル、ホルミル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、イミノ、ニトロ、チオカルボニル、チオエステル、チオアセテート、チオホルメート、アルコキシ、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、シリル、スルフヒドリル、スルファート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、およびスルホニル。
【0035】
本発明の1態様中、離脱基は以下から選択される: OH、ハロゲン、活性化されたエステル、環状イミドチオン、N-ヒドロキシスクシンイミジル、パラ-ニトロフェノキシ、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、イミダゾール、トシル、メシル、トレシル、ノシル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、オルト-ニトロフェノキシ、パラ-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、1,3,5-トリクロロフェノキシおよび1,3,5-トリフルオロフェノキシ。
【0036】
本発明の別の態様中、生物学的部分として以下が含まれる: -NH2含有部分、-OH含有部分および-SH含有部分。
【0037】
さらに別の態様中、Aは以下から選択することができる: H、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシ、およびC1-6アルキル。その他の好ましい実施形態中、Aとしてメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、H、およびOHが可能である。Aはより好ましくはメチルまたはメトキシである。
【0038】
本発明の一定の好ましい態様中、ポリマードラッグデリバリーシステムとして、システインまたはその他のチオール含有アミノ酸が含まれる。
【0039】
好ましい態様中、R8-11もしくはR'8-11の少なくとも1つが電子求引基、例えば、 置換アミド、アシル、アジド、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、シアノ、およびニトロ、好ましくはニトロ、そしてより好ましくはR8もしくはR'8としてニトロ基である。
【0040】
別の好ましい態様中、R12もしくはR'12は医薬、標的薬、または診断薬の中から選択される。
【0041】
特に好ましい態様中、R1は分子量が約5,000〜約60,000の直線状もしくは分岐状のポリ(エチレングリコール)残基を含み、Y1およびY'1はOであり、Y2およびY'2はNR2であり0、(a)および(a')は0もしくは1であり、(b)および(b')は0もしくは1であり、(c)および(c')は1であり、そして(e)および(e')は0である。特定の1態様中、R2-7、R'3-7、R9-11およびR'9-11は水素、メチルおよびエチルの中から選択されるが、より好ましくはそれぞれが水素である。
【0042】
好ましい1実施形態中、本明細書に記載する化合物は以下の式を有する。
【化7】

【0043】
好ましい実施形態中、本明細書に記載する化合物は式(II)を有する:
【化8】

【0044】
[式中、
A1はキャッピング基または
【化9】

【0045】
であり、
その他のすべての可変部は上記定義の通りである]。
【0046】
好ましい1実施形態中、本明細書に記載する化合物は以下の式を有する:
【化10】

【0047】
[式中、
A3はキャッピング基または
【化11】

【0048】
であり、
(h)および(h')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0〜10であり、より好ましくは0〜4であり; そして
その他のすべての可変部は上記定義の通りである]。
【0049】
より好ましい実施形態中、本明細書に記載する化合物として、例えば以下が可能である:
【化12】

【0050】
[式中、
A2はキャッピング基または
【化13】

【0051】
であり、
そしてその他のすべての可変部は上記定義の通りである]。
【0052】
好ましい実施形態中、R2-11、R'2-11、およびR20は独立して水素またはCH3である。特に好ましい実施形態中、R2-11、R'2-11、およびR20はすべて水素である。さらに別の特定の実施形態中、Y1-2およびY'1-2としてOおよびNR20が含まれ、R2-11、R'2-11、およびR20として、水素、C1-6アルキル、シクロアルキル、アリール、およびアラルキル基が含まれる。
【0053】
B. 実質的に非抗原性の水溶性ポリマー
本明細書に記載する化合物中で使用するポリマーは、好ましくは水溶性ポリマーであって、かつ実質的に非抗原性であり、ポリアルキレンオキシド(PAO)などがある。
【0054】
本発明の1態様中、本明細書に記載する化合物として、直線状、末端分岐状または多分岐状のポリアルキレンオキシドが含まれる。本発明の好ましい実施形態中、ポリアルキレンオキシドとして、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが含まれる。
【0055】
ポリアルキレンオキシドは平均分子量が約2,000〜約100,000ダルトン、好ましくは約5,000〜約60,000ダルトンである。ポリアルキレンオキシドは、より好ましくは約5,000〜約25,000、あるいは約20,000〜約45,000ダルトンである。特に好ましい実施形態中、本明細書に記載する化合物として、平均分子量が約12,000〜約20,000ダルトン、または約30,000〜約45,000ダルトンのポリアルキレンオキシドが含まれる。特定の1実施形態中、ポリマー部分は分子量が約12,000または40,000ダルトンである。
【0056】
ポリアルキレンオキシドとして、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが含まれる。より好ましくは、ポリアルキレンオキシドとしてポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。PEGは一般的に以下の構造で表される。
【0057】
-O-(CH2CH2O)n-
式中、(n)はそのポリマーの重合度を表し、そのポリマーの分子量に関係する。あるいは、本発明のポリエチレングリコール(PEG)残基部分は以下から選択することができる。
【0058】
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y72)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a71-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a71-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a72-Y73-(CH2)b71-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b71-Y73-(CR71R72)a72-Y71-、
式中、
Y71およびY73は独立してO、S、SO、SO2、NR73もしくは結合であり;
Y72はO、S、もしくはNR74であり;
R71-74は独立してR2のために使用することができる同一の部分であり;
(a71)、(a72)、および(b71)は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0〜6であり、より好ましくは1であり; そして
(n)は約10〜約2300の整数である。
【0059】
分岐もしくはU-PEG誘導体は米国特許第5,643,575、5,919,455、6,113,906および6,566,506号に記載されており、それぞれの開示を参照として本明細書に組み入れる。こうしたポリマーの非限定的リストは、以下の構造のポリマー系(i)〜(vii)に相当する:
【化14】


【0060】
[式中、
Y61-62は独立してO、SもしくはNR61であり;
Y63はO、NR62、S、SOもしくはSO2であり;
(w62)、(w63)および(w64)は独立して0もしくは正の整数であり;
(w61)は0もしくは1であり;
mPEGはメトキシPEGであり、
ここでPEGは前記定義の通りであって、ポリマー部分の合計分子量が約2,000〜約100,000ダルトンであり; そして
R61およびR62は独立して以下から選択される: 水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、ならびに置換およびアリールカルボニルオキシ]。
【0061】
さらに別の態様中、ポリマーとして多分岐状PEG-OH、すなわち「スターPEG」製品が含まれ、NOF Corp. Drug Delivery System Catalog, Ver. 8、April 2006、に記載されているものなどがある。この開示を参照として本明細書に組み入れる。このポリマーを、米国特許第5,122,614号もしくは5,808,096号の特許に記載された活性化手法を使用して、好適に活性化された形態に転換することができる。具体的には、こうしたPEGには以下の式のものがある:
【化15】

【0062】
[式中、
(u')は約4〜約455の整数であって、この残基の末端部分の3つまでがメチルもしくはその他の低級アルキルでキャップされている]。
【0063】
好ましい実施形態中、この4つのPEGアームの全てを、芳香族基との結合を容易にするための、好適な活性化基に転換することができる。転換前のこうした化合物として以下のものが挙げられる。
【化16】


【0064】
本明細書に含まれるポリマー物質は好ましくは室温で水溶性である。こうしたポリマーの非限定的なリストには以下のものが含まれる: ポリアルキレンオキシドホモポリマー類、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)もしくはポリプロピレングリコールなど、ポリオキシエチレン化ポリオール類、これらのコポリマーおよびこれらのブロックコポリマー、ただし、ブロックコポリマーの水溶解度は保持される。
【0065】
別の実施形態中、およびPAOベースのポリマーの代替物として、以下などの1以上の事実上非抗原性の物質を使用することができる: デキストラン、ポリビニルアルコール、炭水化物ベースのポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド(HPMA)、ポリアルキレンオキシド、および/またはこれらのコポリマー。同一出願人による米国特許第6,153,655号も参照されたい。この内容を参照として本明細書に組み入れる。当業者ならば、PEGなどのPAOについて本明細書に記載したものと同一のタイプの活性化を使用することができることを理解できるはずである。当業者はさらに、前記のリストは単なる例示であって、本明細書に記載する性質を持つすべてのポリマー物質が想定されることを認識するはずである。本発明の目的に関しては、「実質的にもしくは事実上非抗原性」とは、哺乳動物に非毒性であって、感知し得る免疫原性応答を誘発しないものとして当分野で理解されているすべての物質を意味する。
【0066】
いくつかの態様中、末端アミン基を持つポリマーを使用して、本明細書に記載する化合物を作成することができる。末端アミンを高純度で含有するポリマーの調製方法は、米国特許出願番号11/508,507および11/537,172に記載されている。これらのそれぞれの内容を参照として組み入れる。例えば、アジドを持つポリマーを、トリフェニルホスフィンなどのホスフィンベースの還元剤またはNaBH4などの水素化ホウ素アルカリ金属還元剤と反応させる。あるいは、離脱基を含んでいるポリマーを、メチル-tert-ブチル イミドジカルボネート(KNMeBoc)のカリウム塩またはジ-tert-ブチル イミドジカルボネート(KNBoc2)のカリウム塩などの保護されたアミン塩と反応させ、その後保護されたアミン基を脱保護する。これらの工程で形成される、末端アミンを含有するポリマーの純度は約95%より高く、好ましくは99%よりも高い。
【0067】
別の態様として、本明細書に記載するポリマー送達系で、末端カルボン酸基を持つポリマーを使用することができる。末端カルボン酸を持つポリマーの高純度での調製方法は、米国特許出願番号11/328,662に記載されている。その内容を参照として本明細書に組み入れる。その方法は、最初にポリアルキレンオキシドの第三級アルキルエステルを調製した後、そのカルボン酸誘導体に転換することを含む。この工程のPAOカルボン酸の調製の最初のステップには、ポリアルキレンオキシドカルボン酸のt-ブチルエステルなどの中間体の形成が含まれる。この中間体は、カリウム t-ブトキシドなどの塩基の存在中で、PAOとt-ブチル ハロアセテートを反応させることによって形成される。このt-ブチルエステル中間体が形成された後、ポリアルキレンオキシドのカルボン酸誘導体を、92%を超える純度、好ましくは97%、より好ましくは99%、そして最も好ましくは99.5%を超える純度で、容易に製造することができる。
【0068】
C. 二官能性リンカー
二官能性リンカーとして、アミノ酸、アミノ酸誘導体、およびペプチドが含まれる。アミノ酸は、天然のアミノ酸でも非天然のアミノ酸でもよい。天然アミノ酸の誘導体および類似体、当分野で既知の多様な非天然アミノ酸(DもしくはL)、疎水性もしくは非疎水性のものも、本発明の範囲内であることを想定している。好適な非天然アミノ酸の非限定的なリストには以下が含まれる: 2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、ベータ-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、ピペリジン酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-アミノ酪酸、デスモシン、2,2-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロ-イソロイシン、N-メチルグリシン、サルコシン、N-メチル-イソロイシン、6-N-メチル-リシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチン。好ましいアミノ酸残基はグリシン、アラニン、メチオニンもしくはサルコシンから選択され、より好ましくは、グリシンである。
【0069】
あるいは、L1-3およびL'1-3は独立して以下から選択される:
-[C(=O)]v(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24CR25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
【化17】

【0070】
[式中、
R21-29は独立して以下から選択される: 水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシであり;
(t)および(t')は独立して0もしくは正の整数であり、好ましくは0もしくは約1〜約12の整数であり、より好ましくは約1〜約8の整数であり、そして最も好ましくは1〜2であり;
(v)および(v')は独立して0もしくは1である]。
【0071】
好ましい実施形態中、L1-3およびL'1-3は独立して以下から選択される:
【化18】


【0072】
[式中、
Y11-19は独立してO、SもしくはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は独立して以下から選択され: 水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシ;
Arはアリールもしくはヘテロアリール部分であり;
L11-15は独立して二官能性スペーサーから選択され;
JおよびJ'は独立して能動的に標的細胞中に輸送される部分、疎水性部分、二官能性リンカー部分およびこれらの組み合わせから選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(z11)、(m11)および(n11)は独立して正の整数から選択され、好ましくは1であり;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は独立して0もしくは正の整数、好ましくは1であり; そして
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は独立して0もしくは1である]。
【0073】
あるいは、L1-3およびL'1-3は独立して以下から選択される:
-[C(=O)]rNH(CH2)2CH=N-NHC(=O)-(CH2)2-、
-[C(=O)]rNH(CH2)2(CH2CH2O)2(CH2)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)(CH2CH2O)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sNH(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sS(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)(CH2CH2O)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sO(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)(CH2)NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)2(CH2)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)s(CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNHCH2CH2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)2O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2O)2(CH2)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2NH(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2O)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2O(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2S(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2)NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2)O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2NHCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2OCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2SCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rS(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]r(CH2)3[C(=O)]r-、
【化19】

【0074】
[式中、(r)および(r')は独立して0もしくは1である]。
【0075】
別の実施形態中、および別法として、L1-3およびL'1-3として、上記のものに相当する構造であるが、さらにビニル、スルホンの残基、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジド、カルバザートなどで置換されているものが含まれる。
【0076】
D. R12およびR'12
1. 離脱基および官能基
いくつかの態様中、好適な離脱基として限定するわけではないが以下が含まれる: ハロゲン(Br、Cl)、活性化されたカルボネート、カルボニルイミダゾール、環状イミドチオン、イソシアネート、N-ヒドロキシスクシンイミジル、パラ-ニトロフェノキシ、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、イミダゾール、トシラート、メシラート、トレシラート、ノシラート、C1-C6アルキルオキシ、C1-C6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、オルト-ニトロフェノキシ、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、イミダゾール、ペンタフルオロフェノキシ、1,3,5-トリクロロフェノキシ、および1,3,5-トリフルオロフェノキシまたはその他の当業者には明らかな好適な離脱基。
【0077】
本発明の目的に関しては、離脱基とは、所望の標的、すなわち生物学的に活性な部分、診断薬、標的部分、二官能性スペーサー、中間体などに見られる求核剤と反応することができる基であると解釈すべきである。このような標的は、タンパク質、ペプチド、酵素、天然もしくは化学合成された治療分子、例えばドキソルビシンなど、および一ヶ所保護されたジアミンなどのスペーサー上に、OH、NH2またはSH基などの置換用の基を含有する。
【0078】
好ましい実施形態中、ポリマー輸送系を生物学的に活性な部分に連結させるための官能基として、以下が含まれる: マレイミジル、ビニル、スルホンの残基、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジド、カルバザートなど。これらは、生物学的に活性な基とさらにコンジュゲートすることができる。
【0079】
本発明のさらに好ましい実施形態中、R12およびR'12は以下の中から選択することができる: H、OH、メトキシ、tert-ブトキシ、N-ヒドロキシスクシンイミジルおよびマレイミジル。
【0080】
2. 生物学的に活性な部分
本明細書に記載する活性化されたポリマーに、極めて多様な生物学的に活性な部分を結合させることができる。生物学的に活性な部分として以下が含まれる: 製薬上活性な化合物、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体およびペプチド。本発明中の化合物とコンジュゲートさせる生物学的に活性な化合物はSH官能性部分を含有する。その上、本発明の活性化されたポリマーは、アミン-、ヒドロキシル-、またはチオール-含有化合物を含むR12として生物学的に活性な部分をさらに含有することができる。こうした好適な化合物の非限定的なリストには以下が含まれる: 有機化合物、酵素、タンパク質、ポリペプチド、抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体もしくはオリゴヌクレオチド、その他。有機化合物として限定するわけではないが以下などの部分が含まれる: カンプトテシン、およびSN38などの類似体、イリノテカン、および関連トポイソメラーゼIインヒビター、タキサンおよびポリタキセル誘導体、AZTを含むヌクレオシド、ダウノルビシン、ドキソルビシンを含むアントラサイクリン化合物、p-アミノアニリンマスタード、メルファラン、アラ-C(シトシンアラビノシド)ならびに関連する抗代謝化合物、例えば、ゲムシタビン、その他。あるいは、生物学的に活性な部分として以下が含まれる: 心臓血管薬、抗新生物薬、抗感染薬、ナイスタチンおよびアンフォテリシンBなどの抗真菌薬、抗不安薬、胃腸薬、中枢神経系活性化薬、鎮痛薬、妊娠促進薬、避妊薬、抗炎症薬、ステロイド薬、抗ウレセミック(anti-urecemic)薬、血管拡張薬、ならびに血管収縮薬、その他。特記しなくても、好適なアミン-、ヒドロキシル-もしくはチオール-含有基を持つその他の生物学的に活性な物質をも想定しており、本発明の範囲内であるものと解釈すべきである。
【0081】
本発明の別の態様中、生物学的に活性な化合物は、動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物の治療において、こうした治療を必要とする症状に対して、医療または診断用の使用に好適である。
【0082】
本明細書に含ませるのに好適な生物学的に活性な部分のタイプに対する制限は、担体部分と連結させるための、アミン、ヒドロキシル、もしくはチオールなどの、化学的反応官能性部分を少なくとも1つ利用できることと、本明細書に記載するポリマー送達系とコンジュゲート化した形態で、実質的に生物活性の消失がないことのみである。あるいは、本発明のポリマー輸送コンジュゲート化合物中への組み込みに好適な親化合物は、連結した化合物から加水分解によって放出された後も活性であるか、または加水分解性放出後は活性でないが、その後の化学的プロセス/反応を実施した後に活性になるものでもよい。例えば、このポリマー輸送系によって血流に送達される抗がん薬は、がんもしくは腫瘍細胞に入るまでは不活性のままで、そこでがんもしくは腫瘍細胞化学、例えば、その細胞に独特の酵素反応によって活性化されるものでもよい。
【0083】
本発明の別の態様では、本明細書に記載するポリマー送達系に診断用タグを連結させて調製したコンジュゲート化合物を提供してもよい。この際、タグは診断用または画像化目的で選択される。この場合、好適なタグは、任意の好適な部分、例えば、アミノ酸残基を、以下などの任意の標準物質に連結することによって、調製して、外科手術時などでの腫瘍組織の画像化を可能にする: 放射性同位元素、放射線不透過標識、磁気共鳴標識、もしくはその他の磁気共鳴画像化に好適な非放射性同位元素標識、蛍光タイプの標識、可視色を提示し、かつ/または紫外線、赤外線もしくは電気化学的刺激によって蛍光発色することが可能な標識。場合によっては、この診断用タグを、コンジュゲート化した治療用部分中に組み込み、かつ/または連結させて、動物もしくはヒト患者内での治療用の生物学的に活性な物質の分布をモニターすることができるようにする。
【0084】
本発明のさらに別の態様中、本発明のタグ付きコンジュゲートは、例えば、放射性同位元素標識などの任意の好適な標識を用いて、既知の技術方法によって容易に調製される。単なる例示であるが、これらには131ヨウ素、125ヨウ素、99mテクネチウムおよび/または111インジウムが含まれ、これによって、in vivoで腫瘍細胞内に選択的に取り込まれるラジオイムノシンチグラフ剤を製造することができる。例えば、ペプチドをTc−99mに連結する既知の手法は多数あり、単なる例示であるが以下に示されているものが含まれる: 米国特許第5,328,679; 5,888,474; 5,997,844; および5,997,845号。これらを参照として本明細書に組み入れる。
【0085】
3. 標的基
いくつかの態様中、本明細書に記載する化合物は標的基と反応することができるか、または標的基を含有することができる。この標的基として以下が含まれる: 受容体リガンド、抗体もしくは抗体断片、単鎖抗体、標的ペプチド、標的炭水化物分子またはレクチン。標的基は本明細書に記載する化合物の標的組織および細胞集団での結合または取り込みを強化する。例えば、標的基の非限定的なリストには以下が含まれる: 血管内皮細胞成長因子、FGF2、ソマトスタチンおよびソマトスタチン類似体、トランスフェリン、メラノトロピン、ApoEおよびApoEペプチド、von Willebrand's Factorおよびvon Willebrand's Factorペプチド、アデノウイルス線維タンパク質およびアデノウイルス線維タンパク質ペプチド、PD1およびPD1ペプチド、EGFおよびEGFペプチド、RGDペプチド、葉酸塩、その他。本発明の別の態様中、標的基として以下が含まれる: モノクローナル抗体、単鎖抗体、ビオチン、細胞付着ペプチド、細胞貫通ペプチド(CPP)、蛍光化合物、放射性標識化合物、およびアプタマー。本発明のさらに別の態様中、標的薬としてセレクチン、TAT、Penetratin、Ang9、および葉酸が含まれる。
【0086】
E. ポリマー送達系の合成
一般的に、本発明の活性化されたポリマーの調製方法は、適当な離脱基を持つポリマーとピリジルジスルフィド基を含有する求核剤を末端で反応させることを含む。活性化された本発明のポリマー送達系をさらに、SH基を含有する生物学的に活性な化合物と反応させることによって、生物学的に活性な部分が-S-S-結合を介してポリマーに結合しているポリマーコンジュゲートを生成させることができる。
【0087】
本発明の1態様中、本明細書に記載する化合物の調製方法は、
式(III):
A4-R1-M1 (III)
のポリマー化合物を、
式(V):
【化20】

【0088】
の化合物を形成させるのに十分な条件下で、
式(IV):
【化21】

【0089】
の化合物と反応させることを含む
[式中、
R1は実質的に非抗原性の水溶性ポリマーであり;
A4はキャッピング基もしくはM1であり;
A5はキャッピング基もしくは
【化22】

【0090】
であり;
M1はOHもしくは離脱基であり;
M2は-OH、SH、もしくは-NHR90であり;
Y1およびY'1は独立してS、O、もしくはNR2であり;
Y2およびY'2は独立してS、O、SO、SO2、NR20であり;
Y3およびY'3は独立してH、離脱基、活性化基、官能基、もしくは
【化23】

【0091】
であり;
L1-3およびL'1-3は二官能性リンカーから独立して選択され;
R2-11、R'2-11、R20、およびR90は水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群から独立して選択され;
R12およびR'12は水素、ヒドロキシル、離脱基、官能基、医薬、標的薬、診断薬、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニルオキシ、マレイミジル、ビニル、置換スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択され;
(a)、(a')、(d)および(d')は独立して0もしくは正の整数であり;
(b)および(b')は独立して0もしくは正の整数であり;
(c)および(c')は独立して0もしくは正の整数であり;
(e)および(e')は独立して0もしくは1であり; そして
(g)および(g')は独立して0もしくは1であり;
ただし、(a)および(g)は同時に0ではない]。
【0092】
ピリジルジスルフィド含有部分のポリマー部分への結合または分岐部分を含有するポリマー系と式(IV)の化合物のコンジュゲーションは、好ましくはカップリング剤の存在中で実施する。好適なカップリング剤の非限定的なリストには、以下が含まれる: 1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIPC)、任意の好適なジアルキルカルボジイミド、2-ハロ-1-アルキル-ピリジニウムハライド、(Mukaiyama試薬)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、プロパンホスホン酸環状無水物(PPACA)、およびフェニル ジクロロホスファート、その他。これらは、例えばSigma-Aldrich Co.などの販売業者から入手するか、または既知の手法を使用して合成することができる。
【0093】
好ましくは、反応をメチレンクロライド、クロロホルム、DMFもしくはこれらの混合物などの不活性溶媒中で実施する。反応は、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基の存在中で実施して、生成する何らかの酸を中和するのが好ましい。反応は約0℃から約22℃(室温)までの温度で実施することができる。
【0094】
本明細書に記載する方法によって調製される、いくつかの特定の実施形態として以下が含まれる:
【化24】



【0095】
[式中、
mPEGは式CH3O(CH2CH2O)n-を有し;
PEGは式-O(CH2CH2O)n-を有し; そして
(n)は約10〜約2,300の整数である]。
【0096】
得られた式(V)の化合物を、SH含有部分とさらに反応させて、ジスルフィド結合を介して結合した生物学的部分とのポリマー送達コンジュゲートを提供することができる。活性化された本発明のポリマーは、中性またはpH 6.5などの弱酸性条件で生物学的に活性な部分と容易にコンジュゲート化することができる。その反応は、本発明のポリマー化合物および生物学的に活性な部分に好適な溶媒中、室温または-4℃〜30℃で実施することができる。反応は水性溶媒またはDCM、クロロホルム、DMF、DMSOなどの有機溶媒中で実施することができる。基質がオリゴヌクレオチドもしくはペプチドならば、反応を水性バッファー溶液中で実施するのが好ましい。生物学的に活性な部分は以下から選択される: 製薬上活性な化合物、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体およびペプチド。コンジュゲーションの方法のいくつかを実施例に記載する。
【0097】
本明細書に記載するコンジュゲーション方法を使用して、本発明の活性化されたポリマー化合物と生物学的に活性な部分を反応させることによって調製することができる、特定の実施形態として以下が含まれる:
【化25】



【0098】
[式中、
(z)は正の整数であり、好ましくは約1〜約10であり;
-YGRKKRRQRRR-はTATペプチドであり;
mPEGは式CH3O(CH2CH2O)n-を有し;
PEGは式-O(CH2CH2O)n-を有し;
(n)は約10〜約2,300の整数であり; そして
R101は標的基、診断薬および生物学的に活性な部分から選択される]。
【0099】
F. 治療方法
本発明の別の態様では、哺乳動物における多様な医学的症状の治療方法が提供される。その方法として、こうした治療が必要な哺乳動物に、本明細書に記載する有効量の生物学的に活性な部分とコンジュゲート化したポリマーを投与することが含まれる。ポリマーコンジュゲート化合物は、中でも、例えば以下などの、親化合物で治療されるものと同様の疾病を治療するのに有用である: 哺乳動物における酵素置換療法、新生物疾患、腫瘍組織量の減少、新生物の転移防止および腫瘍/新生物増殖の再発防止。
【0100】
投与するポリマーコンジュゲートの量は、その中に含まれる親分子の量で決められる。一般的に、治療方法で使用されるポリマーコンジュゲートの量は、哺乳動物に所望の治療結果を効果的にもたらす量である。当然、各種ポリマーコンジュゲート化合物の投与量は、親化合物、そのポリマーの分子量、in vivo加水分解の速度などに応じて、いくぶん異なる。当業者は、臨床試験および治療適応に基づいて、選択したポリマー輸送コンジュゲートの最適投与量を決定することとなる。実際の投与量は、実務者にとって、過度の試験をすることなく、明白になるものである。
【0101】
本発明の化合物を、哺乳動物への投与に好適な1以上の医薬組成物中に含ませることができる。その医薬組成物は当分野で周知の方法にしたがって調製された、溶液、懸濁液、錠剤、カプセルなどの形態とすることができる。実務者の必要性に応じて、こうした組成物の投与を経口および/または非経口経路とすることも想定している。この組成物の溶液および/または懸濁液を、例えば、静脈内、筋内、腹腔内、皮下注射などの、当分野で既知の任意の方法による、例えば組成物の注射もしくは浸潤のための担体ベヒクルとして、利用することができる。こうした投与は体孔もしくは体腔への注入、また吸入および/もしくは経鼻によるものでもよい。しかし、本発明の好ましい態様では、ポリマーコンジュゲートを、これを必要とする哺乳動物に、非経口投与する。
【実施例】
【0102】
以下の実施例は本発明をさらに理解するために提供するものであるが、本発明の範囲を限定することを何ら意味するものではない。実施例中に示した太字の数字は図面に示したものに対応する。実施例中、以下などの略語を使用している: DCM(ジクロロメタン)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、DMF(N,N'-ジメチルホルムアミド)、DSC(ジスクシンイミジル カルボネート)、EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル カルボジイミド)、IPA(イソプロパノール)、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)、PEG(ポリエチレングリコール)、SCA-SH(単鎖抗体)、SN38(7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン)、TBDPS(tert-ブチル-ジプロピルシリル)、およびTEA(トリエチルアミン)。
【0103】
一般的操作法
全反応を乾燥窒素もしくはアルゴン雰囲気下で実施する。市販の試薬をさらに精製しないで使用する。全てのPEG化合物を使用前に、真空乾燥するか、またはトルエンからの共沸蒸留によって乾燥する。別に特定しないかぎり、Varian Mercury(登録商標)300 NMRスペクトロメータと溶媒として重水素化クロロホルムを使用して、1H NMRスペクトルを300 MHzで取得し、13C NMRスペクトルを75.46 MHzで取得した。化学シフト(δ)を、テトラメチルシラン(TMS)からのダウンフィールド ppmで記載している。
【0104】
HPLC方法
反応混合物、ならびに中間体および最終生成物の純度を、Beckman Coulter System Gold(登録商標)HPLC装置によって、モニターする。ここでは168 Diode Array UV Detectorとともに、ZORBAX(登録商標)300SB C8 逆相カラム(150 x 4.6 mm)もしくはPhenomenex Jupiter(登録商標)300A C18 逆相カラム(150 x 4.6 mm)を利用し、0.05 %トリフルオロ酢酸(TFA)中10-90 %アセトニトリルの勾配、流速1 mL/minを使用する。
【0105】
実施例1
化合物(2)の調製
BocCys(Npys)-OH(化合物1、1.5 g、13.32 mmol)に、ジオキサン(70 mL)中4 N HClの溶液を添加した。懸濁液を室温で3 h撹拌し、その後エチルエーテル700 mLに注ぎ入れた。粗目フィルターを使用する重力ろ過によって、固体を回収し、エチルエーテル(50 mL)で3回洗浄した。洗浄した固体を室温で一晩真空乾燥して、生成物を得た。1H NMR(CD3OD) d 8.93(1H、dd、J = 1.5、4.7 Hz)、8.66(1H、dd、J = 1.5、8.20 Hz)、7.59(1H、dd、J = 4.7、8.2 Hz)、4.24(1H、dd、J = 4.1、9.4 Hz)、3.58(1H、dd、J = 4.1、14.9 Hz)、3.36(1H、dd、J = 9.4、15.2 Hz). 13C NMR(CD3OD): d 169.40、156.27、154.64、144.13、135.246、123.10、52.77、39.27。
【0106】
実施例2
化合物(4)の調製
DMFおよびDCMの混合物(25 mL-45 mL)中の化合物2(1.82 g、5.55 mmol)の溶液に、mPEG-SC(化合物3、Mw. 20 kDa、7.30 g、0.35 mmol)およびDIEA(3 mL、16.8 mmol)を添加する。得られた懸濁液を室温で5時間撹拌する。反応混合物を真空蒸発させ、その後0℃で、DCM-Et2Oを用いて沈殿させる。固体をろ過によって回収し、DCM 80 mLに溶解させる。0.1 N HCl 20 mLの添加後、混合物を5分間撹拌する。分液ロートを使用して有機層を分離し、0.1 N HCl(20 mL)およびブライン(20 mL)で洗浄する。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、真空蒸発させる。残渣を0℃、DCM/Et2Oを用いて沈殿させる。固体をろ別し、30℃の真空オーブンで少なくとも2 h乾燥して 生成物を得た。
【0107】
実施例3
化合物(5)の調製
リン酸ナトリウムバッファー(0.1 M、pH 7.8) 3 mL中のSCA-SH(0.00027 mmol)に、緩やかに撹拌しながら、化合物4(0.084 mmol)を添加する。溶液を30℃で30分撹拌する。GPCカラム(Zorbax GF-450)を使用して、PEGコンジュゲーションをモニターする。(天然酵素の不在によって証明される)反応の終了時に、調製用バッファー(0.05 M リン酸ナトリウム、0.85% 塩化ナトリウム、pH 7.3)12 mLで混合物を希釈し、Centriprep濃縮機(Amicon)でダイアフィルターろ過して、未反応のPEG反応物を除去する。同量のろ液と0.1% PMA(0.1 M HCl中のポリメタクリル酸)を混合することによって、遊離のPEGが検出されなくなるまで、必要に応じて4℃でダイアフィルターろ過を継続して、生成物を得た。
【0108】
実施例4
化合物(6)の調製
pH 8.0リン酸バッファー60 mL中のC6-チオ-LNA-スルビビン(100 mg、0.018 mmol)の溶液に、化合物4(3.6 g、0.18 mmol)を添加し、この溶液を室温で1時間撹拌した。反応の進行をアニオン交換HPLCによってチェックした。反応混合物を0.2ミクロンフィルターでろ過し、Porosアニオン交換カラムに投入する。バッファー系20 mM Tris. HCl 2M NaCl、pH 7.0を使用する勾配で、生成物を溶出させる。
【0109】
実施例5
化合物(7)の調製
化合物4(8 mg、0.0014 mmol、オリゴ当量)を、窒素下で、バッファー(5M尿素、100 mM KH2PO4)3 mL中のHS-RGD2(111 mg、0.0496 mmol)と混合する。反応を2時間実施する。粗生成物をSource 15S樹脂で精製する。カラムをバッファーA(5M尿素、100mM KH2PO4、25% CH3CN、pH 6.5)で平衡化する。生成物をバッファーB(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物をHiPrep脱塩カラムで脱塩し、凍結乾燥する。
【0110】
実施例6
化合物(9a)の調製
DMF(25 mL)およびDCM(45 mL)中の化合物2(1.82 g、5.55 mmol)の溶液に、20K8arm-PEG-SC(化合物8a、7.30 g、0.35 mmol)およびDIEA(3 mL、16.8 mmol)を添加した。得られた懸濁液を室温で5時間撹拌した。反応混合物を真空蒸発させた後、0℃、DCM-エチルエーテル(4:1、v/v)を用いて沈殿させた。固体をろ過し、DCM 80 mLに溶解させた。0.1 N HCl 20 mLの添加後、混合物を5分間撹拌し、その後分液ロートに移し、有機層を分離し、再度0.1 N HCl(20 mL)およびブライン(20 mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、真空濃縮した。残渣を0℃、DCM-Et2Oを用いて沈殿させた。固体をろ過し、30℃の真空オーブンで乾燥して、生成物を得た。13C NMR d 170.90、156.66、155.68、153.86、142.41、133.85、121.24、72.96-69.30、64.08、53.01、41.82。
【0111】
実施例7
化合物(11a)の調製
PBSバッファー(5 mL、pH 7.8)中のLNA-スルビビン(化合物10、1.7μmol)の溶液に、化合物9a(Mw 20 kDa、17μmol)を添加し、室温で5時間撹拌する。反応混合物を水で50 mLに希釈し、20 mM Tris-HClバッファー、pH 7.4(バッファーA)で事前平衡化したPoros HQ、強アニオン交換カラム(10 mm x 1.5 mm、カラム層容積〜16 mL)に投入する。カラムを3〜4カラム容積のバッファーAで洗浄し、過剰のPEGリンカーを除去する。その後、生成物を、20 mM Tris-HClバッファー、pH 7.4、バッファーB中の0〜100 % 1 M NaClの勾配で10 min、その後100 %バッファーBで10 min、流速10 mL/minで溶出させる。溶出させた生成物を、HiPrep脱塩カラム(50 mL)を使用して脱塩し、凍結乾燥して生成物を得る。
【0112】
実施例8
化合物(13a)の調製
リン酸ナトリウムバッファー(0.1 M、pH 7.8)3 mL中のRGD-K-NH2(化合物12、0.00027 mmol)に、緩やかに撹拌しながら、化合物11a(0.084 mmol)を添加する。溶液を30℃で30分間撹拌する。GPCカラム(Zorbax GF-450)を使用して、PEGコンジュゲーションをモニターする。(天然酵素の不在によって証明される)反応の終了時に、調製用バッファー(0.05 Mリン酸ナトリウム、0.85%塩化ナトリウム、pH 7.3)12 mLで混合物を希釈し、Centriprep濃縮機(Amicon)でダイアフィルターろ過して、未反応のPEG反応物を除去する。同量のろ液と0.1% PMA(0.1 M HCl中のポリメタクリル酸)を混合することによって、遊離のPEGが検出されなくなるまで、必要に応じて4℃でダイアフィルターろ過を継続して、生成物を得た。
【0113】
実施例9
化合物(14a)の調製
20K8arm-PEG-SC(化合物8a、7.30 g、0.35 mmol)および化合物2(1.82 g、5.55 mmol)から、実施例6に記載されたものと同一の反応条件にして、生成物を得た。13C NMR d 170.90、156.66、155.68、153.86、142.41、133.85、121.24、72.96-69.30、64.08、53.01、41.82。
【0114】
実施例10
化合物(14b)の調製
20K4arm-PEG-SC(化合物8b、6.0 g、0.29 mmol)および化合物2(765 mg、2.33 mmol)から、実施例6に記載されたものと同一の反応条件にして、生成物を得た。13C NMR d 170.76、156.53、155.57、153.85、142.37、133.79、121.23、72.44-69.30、63.99、52.95、45.36、41.82。
【0115】
実施例11
化合物(15a)の調製
pH 6.5リン酸バッファー60 mL中のC6-チオ-LNA-スルビビン(化合物10、120 mg、0.021 mmol)の溶液に、化合物14a(2.3 mg、0.107 mmol)を添加し、この溶液を室温で1時間撹拌した。反応の進行をアニオン交換HPLCによってチェックした。反応混合物を0.2ミクロンフィルターでろ過し、Porosアニオン交換カラムに投入した。バッファー系20 mM Tris. HCl 2M NaCl、pH 7.0を使用する勾配で、生成物を溶出させた。脱塩後の収量はUVで算出して、オリゴ当量(oligo eq.)80 mgであった。
【0116】
実施例12
化合物(17a)の調製
化合物15a(80 mgオリゴ当量、0.0142 mmol)をバッファー(5M尿素、100 mM KH2PO4)20mlに溶解させた。溶液を窒素下で0℃に冷却した後、ペプチドC-TAT(329 mg、0.198 mmol)を添加した。濃い黄色が観察された。0℃、窒素下で1.5時間、反応物を撹拌し続け、その後Source 15S樹脂を使用するカチオン交換クロマトグラフィーによって精製した。カラム(10 mm x 10 mm)を3カラム容積のバッファーA(5M尿素、100mM KH2PO4、25% CH3CN、pH 6.5)で平衡化し、その後このカラムにサンプルを投入した。生成物をバッファーB(2M KBr)で溶出させた。回収した生成物を凍結乾燥し、HiPrep脱塩カラム上で、50 mM pH 7.4 PBSバッファーで脱塩した。その後、脱塩した溶液を約1mg/ml(オリゴ当量)溶液まで濃縮した。生成物の収量は21.75 mgである。
【0117】
実施例13
化合物(19a)の調製
DMF中の8arm20K-SCPEG(化合物8a、1当量)の溶液に、化合物18(16当量)を添加する。その後、DIEAを添加し(32当量)、得られた懸濁液を室温で5 h撹拌する。反応混合物を0℃、DCM/Et2Oを用いて沈殿させる。固体をろ過した後、水に溶解させる。C18逆相クロマトグラフィーを使用して粗固体を精製する。生成物ピークを回収して凍結乾燥し、固体とする。
【0118】
実施例14
化合物(20a)の調製
DMF中の2%ヒドラジンの溶液に、化合物19aを添加し、この溶液を室温で4時間撹拌する。反応混合物を逆相カラムに投入して、精製する。生成物ピークを回収して、凍結乾燥する。
【0119】
実施例15
化合物(21a)の調製
化合物20a(1当量)をバッファー(5M尿素、100 mM KH2PO4)20 mlに溶解させる。溶液を窒素下で0℃に冷却した後、Oligo−SH(8当量)を添加する。0℃、窒素下で1.5時間、反応物を撹拌し続け、その後Source 15S樹脂を使用するカチオン交換クロマトグラフィーによって精製する。カラム(10 mm x 10 mm)を3カラム容積のバッファーA(5M尿素、100mM KH2PO4、25% CH3CN、pH 6.5)で平衡化し、その後このカラムにサンプルを投入する。生成物をバッファーB(2M KBr)で溶出させる。回収した生成物を凍結乾燥し、HiPrep脱塩カラム上で、50 mM pH 7.4 PBSバッファーを用いて脱塩する。その後、脱塩した溶液を約1mg/ml(オリゴ当量)溶液まで濃縮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

[式中:
R1は実質的に非抗原性の水溶性ポリマーであり;
Aはキャッピング基または
【化2】

であり;
Y1およびY'1は独立してS、O、もしくはNR2であり;
Y2およびY'2は独立してS、O、SO、SO2、NR20であり;
Y3およびY'3は独立してH、離脱基、活性化基、官能基、または
【化3】

であり;
L1-3およびL'1-3は独立して二官能性リンカーから選択され;
R2-11、R'2-7、およびR20は水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群から独立して選択され;
R12およびR'12は水素、ヒドロキシル、離脱基、官能基、医薬、標的薬、診断薬、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニルオキシ、マレイミジル、ビニル、置換スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択され;
(a)、(a')、(d)および(d')は独立して0もしくは正の整数であり;
(b)および(b')は独立して0もしくは正の整数であり;
(c)および(c')は独立して0もしくは正の整数であり;
(e)および(e')は独立して0もしくは1であり;
(g)および(g')は独立して0もしくは1であり;
ただし、(a)および(g)は同時に0ではない]。
【請求項2】
R8-11およびR'8-11が水素、置換アミド、アシル、アジド、カルボキシ、アルキルオキシカルボニル、シアノ、およびニトロからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R12およびR'12がH、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、マレイミジル、ビニル、スルホンの残基、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
離脱基がOH、ハロゲン、活性化されたエステル、環状イミドチオン、N-ヒドロキシスクシンイミジル、パラ-ニトロフェノキシ、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、イミダゾール、トシル、メシル、トレシル、ノシル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、オルト-ニトロフェノキシ、パラ-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、1,3,5-トリクロロフェノキシおよび1,3,5-トリフルオロフェノキシからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
L1-3およびL'1-3が、
-[C(=O)]v(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t-NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tO-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tNR26-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)tS-(CR28R29)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)tNR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]v(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vO(CR22R23)t(CR24CR25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23CR28R29O)t(CR24R25)t'O[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'[C(=O)]v'-、
-[C(=O)]vNR21(CR22R23)t(CR24R25CR28R29O)t'NR26[C(=O)]v'-、
【化4】

[式中、
R21-29は水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群から独立して選択され;
(t)および(t')は独立して0もしくは正の整数であり; そして
(v)および(v')は独立して0もしくは1である]
からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
L1-3およびL'1-3が、
-[C(=O)]rNH(CH2)2CH=N-NHC(=O)-(CH2)2-、
-[C(=O)]rNH(CH2)2(CH2CH2O)2(CH2)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)(CH2CH2O)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sNH(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sS(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)(CH2CH2O)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)sO(CH2CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)(CH2)NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)2(CH2)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)s(CH2)s'[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNHCH2CH2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2)2O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2CH2O)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rNH(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2O)2(CH2)[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2NH(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2O)2NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2O(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)2S(CH2)2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2)NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2CH2)O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3NH[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3O[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rO(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2NHCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2OCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rCH2SCH2[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]rS(CH2)3[C(=O)]r'-、
-[C(=O)]r(CH2)3[C(=O)]r-、
【化5】

[式中、(r)および(r')は独立して0もしくは1であるが、同時に0ではない]
からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
L1-3およびL'1-3がアミノ酸、アミノ酸誘導体、およびペプチドからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
L1-3およびL'1-3が、
【化6】


[式中、
Y11-19は独立してO、SもしくはNR48であり;
R31-48、R50-51およびA51は水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシおよびC1-6ヘテロアルコキシからなる群から独立して選択され;
Arはアリールもしくはヘテロアリール部分であり;
L11-15は二官能性スペーサーから独立して選択され;
JおよびJ'は能動的に標的細胞中に輸送される部分、疎水性部分、二官能性連結部分およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;
(c11)、(h11)、(k11)、(z11)、(m11)および(n11)は正の整数から独立して選択され;
(a11)、(e11)、(g11)、(j11)、(o11)および(q11)は独立して0もしくは正の整数であり;そして
(b11)、(x11)、(x'11)、(f11)、(i11)および(p11)は独立して0もしくは1である]
からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
AがH、NH2、OH、CO2H、C1-6アルコキシおよびC1-6アルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
次式:
【化7】

で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式(II)で示される、請求項1に記載の化合物
【化8】

[式中、
A1はキャッピング基または
【化9】

であり;
その他のすべての可変部は請求項1で定義した通りである]。
【請求項12】
L1およびL'1がリシンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R1が直線状、末端分岐状または多分岐状のポリアルキレンオキシドを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
ポリアルキレンオキシドがポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
ポリアルキレンオキシドが、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2CH2Y71-、
-Y71-(CH2CH2O)n-CH2C(=Y72)-Y71-、
-Y71-C(=Y72)-(CH2)a71-Y73-(CH2CH2O)n-CH2CH2-Y73-(CH2)a71-C(=Y72)-Y71-、および
-Y71-(CR71R72)a72-Y73-(CH2)b71-O-(CH2CH2O)n-(CH2)b71-Y73-(CR71R72)a72-Y71-、
[式中、
Y71およびY73は独立してO、S、SO、SO2、NR73もしくは結合であり;
Y72はO、S、もしくはNR74であり;
R71、R71、R73、およびR74はR2のために使用することができる同一の部分から独立して選択され;
(a71)、(a72)、および(b71)は独立して0もしくは正の整数であり; そして
(n)は約10〜約2300の整数である]
からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
ポリアルキレンオキシドが式:
-O-(CH2CH2O)n-
[式中、(n)は約10〜約2300の整数である]
のポリエチレングリコールである、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
R1の平均分子量が約200〜約250,000ダルトンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
R1の平均分子量が約1,000〜約200,000ダルトンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
R1の平均分子量が約2,000〜約100,000ダルトンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
R1の平均分子量が約2,000〜約60,000ダルトンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
R1の平均分子量が約5,000〜約25,000ダルトン、または約20,000〜約45,000ダルトンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
以下:
【化10】

[式中、
mPEGはCH3O-(CH2CH2O)n-であり、ここで(n)は約10〜約2,300の整数であり;そして
ZおよびZ'は独立してキャッピング基もしくは次式:
【化11】

であり、
ただし、少なくとも1つのZはキャッピング基でない]
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
R2-7およびR'2-7が水素、メチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
次式:
【化12】

[式中、
A2はキャッピング基または
【化13】

であり;
その他のすべての可変部は請求項1で定義した通りである]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
次式:
【化14】

[式中、
A3はキャッピング基または
【化15】

であり;
(h)および(h')は独立して0もしくは正の整数であり; そして
その他のすべての可変部は請求項1で定義した通りである]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
以下:
【化16】



[式中、
mPEGは式CH3O(CH2CH2O)n-を有し;
PEGは式-O(CH2CH2O)n-を有し; そして
(n)は約10〜約2,300の整数である]
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
式(III):
A4-R1-M1 (III)
のポリマー化合物を、
式(V):
【化17】

の化合物を形成させるのに十分な条件下で、
式(VI):
【化18】

の化合物と反応させることを含む、ピリジルジスルフィド部分を含有するポリマー化合物の製造方法
[式中、
R1は実質的に非抗原性の水溶性ポリマーであり;
A4はキャッピング基もしくはM1であり;
A5はキャッピング基もしくは
【化19】

であり;
M1はOHもしくは離脱基であり;
M2は-OH、SH、もしくは-NHR90であり;
Y1およびY'1は独立してS、O、もしくはNR2であり;
Y2およびY'2は独立してS、O、SO、SO2、NR20であり;
Y3およびY'3は独立してH、離脱基、活性化基、官能基、もしくは
【化20】

であり;
L1-3およびL'1-3は二官能性リンカーから独立して選択され;
R2-11、R'2-11、R20、およびR90は水素、アミノ、置換アミノ、アジド、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、シリルエーテル、スルホニル、メルカプト、C1-6アルキルメルカプト、アリールメルカプト、置換アリールメルカプト、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシおよび置換アリールカルボニルオキシからなる群から独立して選択され;
R12およびR'12は水素、ヒドロキシル、離脱基、官能基、医薬、標的薬、診断薬、置換C1-6アルキルチオ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-19分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C2-6置換アルケニル、C2-6置換アルキニル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、アリールオキシ、C1-6ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、C2-6アルカノイル、アリールカルボニル、C2-6アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、C2-6アルカノイルオキシ、アリールカルボニルオキシ、C2-6置換アルカノイル、置換アリールカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールオキシカルボニル、C2-6置換アルカノイルオキシ、置換アリールカルボニルオキシ、マレイミジル、ビニル、置換スルホン、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドラジドおよびカルバザートからなる群から独立して選択され;
(a)、(a')、(d)および(d')は独立して0もしくは正の整数であり;
(b)および(b')は独立して0もしくは正の整数であり;
(c)および(c')は独立して0もしくは正の整数であり;
(e)および(e')は独立して0もしくは1であり; そして
(g)および(g')は独立して0もしくは1であり;
ただし、(a)および(g)は同時に0ではない]。
【請求項28】
式(V)の化合物を、ポリマーコンジュゲートを生成させるのに十分な条件下で、スルフヒドリル基含有部分と反応させることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
スルフヒドリル基含有部分が製薬上活性な化合物、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体およびペプチドからなる群から選択される生物学的に活性な部分である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法によって製造されるポリマーコンジュゲート。
【請求項31】
有効量の請求項30に記載の化合物を、その必要がある患者に投与することを含む、哺乳動物の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−536986(P2010−536986A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521831(P2010−521831)
【出願日】平成19年9月15日(2007.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/078596
【国際公開番号】WO2009/025669
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(596124151)エンゾン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (24)
【Fターム(参考)】