説明

ピリミジン誘導体

本明細書において示される式(I)のピリミジン化合物が開示される。かかる化合物により、血管新生関連障害(例えば癌または加齢黄斑変性)を治療する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年4月16日に出願された米国仮出願第60/911,921号に対する優先権を主張する。先行出願の内容は、それら全体を参照することにより本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、先に存在する血管から新しい血管が成長する生理学的なプロセスである。血管新生は傷を治癒するために健常者において起こり、すなわち、損傷または傷害の後の組織に対して血流を回復させることである。
【0003】
過度の血管成長は、癌、加齢黄斑変性、関節リウマチ、および乾癬などの特定の病理学的状態が引き金となって起こりうる。その結果として、新しい血管は病変組織に栄養を与えて、正常組織を破壊する。癌においては、新しい血管は、腫瘍細胞が血液循環の中へ流出して他の器官において留まることもまた可能にする。
【0004】
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(ホモ二量体の糖タンパク質)、およびその受容体(例えばキナーゼインサートドメイン受容体(KDR))は、重要な血管新生経路を構成する。KDRの阻害は内皮細胞のアポトーシスをもたらし、したがって血管新生を抑制することが、研究によって示された。非特許文献1を参照。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ルービン エム チューダー(Rubin M.Tuder)、Chest、第117巻、281ページ(2000年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、KDR阻害剤は、血管新生関連疾患の治療のための有力候補である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多数のピリミジン化合物がKDRの活性を阻害するという発見に基づく。
本発明の1つの態様は、次式(I)のピリミジン化合物:
【0008】
【化1】

(式中、XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ま
たはアミノスルホニルであり、Zは、CR’またはNであり、ここでR’は、H、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、V、U、およびTは、ともに
【0009】
【化2】

を表わし、R、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、Rはアルキルである。)を特色とする。
【0010】
式(I)を参照して、化合物の1つのサブセットは、R、R、R、およびRは、Hであり、Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルにより置換されることを特色とする。他のサブセットは、Xは、OまたはNHであり、YはNHであり、V、U、およびTは、ともに
【0011】
【化3】

を表わし、式中、RはHでありえ、Rはメチルでありえ、またはZはCR’であり、式中、R’は、H、ハロ、またはアルキルであることを特色とする。
【0012】
用語「アルキル」は、1〜10の炭素原子を含む直鎖状炭化水素または分岐状炭化水素を本明細書において指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルを含むが、これらに限定されない。用語「アルコキシ」は、−O−アルキルを指す。
【0013】
用語「アリール」は、各環が1〜4の置換基を有しうる、6−炭素単環式芳香族環系、10−炭素二環式芳香族環系、14−炭素三環式芳香族環系を指す。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、およびアントラセニルを含むが、これらに限定されない。
【0014】
用語「シクロアルキル」は、3〜12の炭素を有する、飽和環状炭化水素基および部分的に不飽和の環状炭化水素基を指す。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含むが、これらに限定されない。
【0015】
用語「ヘテロアリール」は、1つまたは複数のヘテロ原子(O、N、またはSなど)を有する、芳香族の5〜8員単環式環系、8〜12員二環式環系、または11〜14員三環式環系を指す。ヘテロアリール基の例は、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チエニル、キノリニル、インドリル、およびチアゾリルを含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール基により置換されたアルキル基を指す。
【0016】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、1つまたは複数のヘテロ原子(O、N、またはSなど)を有する、非芳香族の5〜8員単環式環系、8〜12員二環式環系、または11〜14員三環式環系を指す。ヘテロシクロアルキル基の例は、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、およびテトラヒドロフラニルを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルは、糖環(例えばグルコシル)でありえる。
【0017】
本明細書において言及されるアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアルコキシは、置換部分および無置換部分の両方を含む。置換基の例は、ハロ、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、アルコキシカルボニル、アミド、カルボキシ、アルカンスルホニル、アルキルカルボニル、カルバミド、カルバミル、カルボキシル、チオウレイド、チオシアナト、スルホンアミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルを含むが、これらに限定されず、その中で、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルオキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルは、さらに置換されうる。
【0018】
適用可能な場合、上述のピリミジン化合物は、それらの薬学的に許容される塩、水和物およびプロドラッグを含む。
本発明の他の態様は、血管新生関連障害(例えば、癌または加齢黄斑変性)を治療する方法を特色とする。この方法は、かかる障害を有する被験体に対して1つまたは複数の上述のピリミジン化合物の有効量を投与することを含む。
【0019】
本発明のさらに他の態様は、式(II)のピリミジン化合物:
【0020】
【化4】

(式中、Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、RおよびRの各々は、独立して、H、ハロゲン、ニトロ、アミノ、CN、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルであり、XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケ
ニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、Arは、アリールまたはヘテロアリールである。)の有効量と受容体を接触させることによって、キナーゼインサートドメイン受容体の活性を阻害する方法を特色とする。
【0021】
式(II)を参照して、化合物の1つのサブセットは、Arは、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、もしくはベンズオキサゾリルであり、XはOもしくはNHであり、YはNHであり、またはRは、アリールもしくはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、もしくはアミノスルホニルにより置換されることを特色とする。
【0022】
例示的な化合物1〜317は、以下の、発明を実施するための形態のセクションにおいて示される。
本発明のさらなる他の態様は、必要性のある被験体に対して、上述されるような式(II)のピリミジン化合物の有効量を投与することによって、血管新生を阻害するか、または加齢黄斑変性を治療する方法を特色とする。
【0023】
さらに本発明の範囲内であるものは、(1)血管新生関連障害(例えば、癌または加齢黄斑変性など)の治療における使用のための、上述の1つまたは複数のピリミジン化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物、および(2)当該障害の治療のための医薬品の製造のための1つまたは複数のピリミジン化合物の使用である。
【0024】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、以下の説明において述べる。本発明の他の特色、目的および利点は、説明および請求項から明らかになるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上述の化合物は、当技術分野において周知の方法によって、市販で入手可能な出発材料から合成することができる。一例として、例えばブッフバルト・ハートウィッグカップリング反応を介して、適切なピリミジン化合物の活性N2、N4位で、離脱基(例えば、クロライド、p−TsO、MeS、またはMeSO)を、アミノまたはヒドロキシルなどの求核基により置換することができる。置換は、最初にN2位またはN4位のいずれかで達成することができる。
【0026】
このように得られた化合物は、それらの周辺位でさらに修飾して、所望の化合物を提供することができる。
望ましいピリミジン化合物を合成するのに有用な合成化学形質転換は、例えば、アール
ラロック(R.Larock)、Comprehensive Organic Transformations、VCHパブリシャーズ(VCH Publishers)(1989年);ティー ダブリュー グリーン(T.W.Greene)およびピー ジー エム ウッツ(P.G.M.Wuts)、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)(1999年);エル フィーザー(L.Fieser)およびエム フィーザー(M.Fieser)、Fieser and
Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(1994年);ならびにエル パケット(L.Paquette)編、Encyclopedia of Reagents for O
rganic Synthesis、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(1995年)およびその次の版、の中に記載されている。
【0027】
使用の前に、化合物は、カラムクロマトグラフイー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、または他の適切な方法によって精製することができる。
上述のピリミジン化合物は、KDRと接触する場合、この受容体の活性を阻害する。したがって、1つまたは複数のこれらの化合物の有効量を使用して、血管新生を阻害し、血管新生関連障害を有する被験体を治療することができる。
【0028】
用語「有効量」は、被験体において意図した効果を付与するのに必要とされるピリミジン化合物の量を指す。有効量は、当業者によって認識されるように、投与経路、賦形剤の使用、および他の薬剤との併用の可能性に依存して変化しうる。用語「治療」は、血管新生関連障害を有するか、またはこの障害の症状を有するか、またはこの障害への素質を有する被験体に対して、障害、障害の症状、または障害への素質を、回復し、治癒し、緩和し、軽減し、変化させ、救済し、寛解し、改善し、またはこれらに影響を及ぼす目的で、1つまたは複数の上述のピリミジン化合物を投与することを指す。
【0029】
この方法を実施するために、本発明の1つまたは複数のピリミジン化合物を有する組成物を、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、または移植されたリザーバーを介して、投与することができる。本明細書において使用されるように、用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、鞘内、病巣内、および頭蓋内の、注入または注入技術を含む。
【0030】
経口組成物は、タブレット、カプセル、エマルジョン、ならびに水性の懸濁液、分散物および溶液を含むが、これらに限定されない任意の経口的に許容される投薬形態になりえる。タブレットのために一般的に使用される担体は、ラクトースおよびトウモロコシデンプンを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤もまた、典型的にはタブレットに追加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥したトウモロコシデンプンを含む。水性懸濁液またはエマルジョンが経口的に投与される場合、活性成分は、乳化剤または懸濁化剤と組み合わせた油相中に懸濁または溶解することができる。所望される場合、特定の甘味剤、着香剤、または着色剤を追加することができる。
【0031】
滅菌された注射可能な組成物(例えば水性懸濁液または油性懸濁液)は、適切な分散剤または湿潤剤(例えばツイーン80など)および懸濁化剤を使用して、当技術分野において公知の技術に従って製剤化することができる。滅菌された注射可能な調製はまた、無毒な非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の(例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような)、滅菌された注射可能な溶液または懸濁液でもありえる。利用することができる許容される媒体および溶媒の中には、マンニトール、水、リンガー溶液および等張食塩水がある。さらに、滅菌された固定油は、溶媒または懸濁媒として慣習的に利用される(例えば合成のモノグリセリドまたはジグリセリド)。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射可能物の調製において有用であり、オリーブオイルまたはヒマシ油(特にそれらのポリオキシエチル化されたもの)などの天然の薬学的に許容される油脂も同様に有用である。これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコールの希釈剤もしくは分散剤、またはカルボキシメチルセルロース、または同様の分散剤もまた含むことができる。
【0032】
吸入組成物は、薬学的製剤の技術分野において周知の技術に従って調製することができ、ベンジルアルコールもしくは他の適切な防腐剤、生体利用率を向上させる吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当技術分野において公知の他の可溶化剤もしくは分散
剤を利用して、生理食塩水中の溶液として調製することができる。
【0033】
局所組成物は、油脂、クリーム、ローション、軟膏および同種のものの形態で製剤化することができる。組成物のために適切な担体は、植物油またはミネラルオイル、白色ペトロラタム(白色軟パラフィン)、分岐鎖の脂肪または油脂、動物性脂肪および高分子量アルコール(C12よりも大きな)を含む。好ましい担体は、活性成分が可溶性ものである。所望される場合、乳化剤、安定剤および湿潤剤および抗酸化剤もまた、色彩または芳香を与える薬剤と同様に含むことができる。さらに、経皮透過強化剤はこれらの局所製剤において利用することができる。そのような強化剤の例は、米国特許第3,989,816号および第4,444,762号において見出すことができる。クリームは、ミネラルオイル、自己乳化ミツロウおよび水の混合物から好ましくは調剤され、その混合物中に、アーモンドオイルなどの少量の油脂中に溶解された活性成分が混合される。そのようなクリームの例は、約40容の水、約20容のミツロウ、約40容のミネラルオイルおよび約1容のアーモンドオイルを含むものである。軟膏は、アーモンドオイルなどの植物油中の活性成分の溶液を暖めた軟パラフィンと混合し、混合物を冷却させることによって、製剤化できる。そのような軟膏の例は、約30重量%のアーモンドオイルと約70重量%の白色軟パラフィンを含むものである。
【0034】
医薬組成物中の担体は、製剤の活性成分と適合性があり(および好ましくは活性成分を安定化することができ)、治療されるべき被験体に対して有害ではないという意味において「許容」されなくてはならない。例えば、シクロデキストリンなどの可溶化剤(抽出物の1つまたは複数の活性ピリミジン化合物と、特異的でより高い可溶性の複合体を形成する)は、活性成分の送達のための医薬品賦形剤として利用することができる。他の担体の例は、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&Cの黄色10号を含む。
【0035】
適切なインビトロの分析を使用して、KDRの活性の阻害、またはVEGFの活性の阻害における上述のピリミジン化合物の有効性を予備的に評価することができる。化合物は、インビボの分析によって、血管新生関連障害の治療における有効性をさらに調べることができる。例えば、化合物は、癌を有する動物(例えばマウスモデル)に対して投与することができ、その治療的効果が次に参照される。この結果に基づいて、適切な投与量範囲および投与経路もまた決定することができる。
【0036】
さらに詳述しなくとも、上述の説明により本発明は十分に実施可能になったと考えられる。したがって、以下の具体的な実施例は単に説明的なものとして解釈されるべきであり、いかなる方法であろうと開示の残りの部分を制限しない。
【0037】
(実施例1)N4−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)−N2−フェニルピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物1)
【0038】
【化5】

EtN(1mmol)を、5mlのEtOH中の2,4−ジクロロピリミジン(1mmol)および5−アミノ−2−メチルインドール(1mmol)の溶液に追加した。反応混合物を5時間還流した。減圧下での溶媒の除去およびHOの追加の後に、混合物をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮した。結果として生じる残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、80%の収率でN−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミンを得た。
【0039】
N−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミン(0.1mmol)およびアニリン(0.1mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。これに、p−TsOH一水和物(0.2mmol)を追加した。反応混合物を5時間60℃で撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層は、水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。結果として生じる残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、85%の収率で表題の生成物を得た。
【0040】
H NMR(CDOD,400MHz):δ7.831(d,J=6.0Hz,1H),7.633(t,J=8.0−7.6Hz,3H),7.262(t,J=8.4−7.6Hz,3H),7.064(d,J=6.8Hz,1H),6.995((t,J=7.6−7.2Hz,1H),6.133(t,J=6.4−2.0Hz,2H),2.439(s,3H);MS(m/e):384.2(M+1)。
【0041】
(実施例2〜283)化合物2〜283の合成
化合物2〜283は各々実施例1において説明したものと同様の方法で合成した。
【0042】
【表1】























































(実施例284)3−(4−(2−メチル−1H−インドール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)フェノールの合成(化合物284):
【0043】
【化6】

5mlのCHCl中のN2−(3−メトキシルフェニル)−N4−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン(0.1mmol)の溶液を氷浴中に置いた。これにBBr(0.5mmol)を追加した。反応混合物を室温で一晩撹拌してから氷水の中へ注ぎ、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、83%の収率で所望の生成物を得た。
【0044】
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ10.501(s,1H),9.115(s,1H),8.956(s,1H),8.868(s,1H),7.908(d,J=6Hz,1H),7.716(s,1H),7.271(d,J=8Hz,1H),7.210(d,J=8.4Hz,1H),7.114(d,J=8Hz,1H),6.968(t,J=8Hz,1H),6.322(dd,J=8,1.6Hz,1H),6.097(m,2H),2.377(s,3H);MS(m/e):331.4(M+1)。
【0045】
(実施例285〜295)化合物285〜295の合成
化合物285〜295は各々実施例284において説明したものと同様の方法で合成した。
【0046】

【表2】



(実施例296)N−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−N−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物296):
【0047】
【化7】

10mlのメタノール中の2−クロロピリミジン−4−アミン(1mmol)およびナトリウムメトキシド(1.5mmol)の溶液を、2時間還流し、溶媒の除去後、残留物をCHCl中に溶解し、水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して、2−メトキシピリミジン−4−アミンを得た。
【0048】
【化8】

3mlのジオキシド中の2−メトキシピリミジン−4−アミン(0.1mmol)およびN−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミン(0.1mmol)の溶液に、CsCO(0.2mmol)、Pd(OAc)(10mmol%)およびキサントホス(10mmol%)を追加した。混合物をマイクロ波照射下で40分間200℃で撹拌した。冷却後、溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、
残留物をカラムクロマトグラフイー(C−18)によって精製して、N−(2−メトキシピリミジン−4−イル)−N−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンを得た(収率48%)。
【0049】
H NMR(DMSO−d6,400MHz):10.839(s,1H),9.718(s,1H),9.281(s,1H),8.162(d,J=6.0Hz,1H),8.032(m,2H),7.693(s,1H),7.251(d,J=8.8Hz,1H),7.099(d,J=7.2Hz,1H),6.300(d,J=6.0Hz,1H),6.107(s,1H),3.863(s,3H),2.383(s,3H);MS(m/e):348.2(M+1)
(実施例297〜299)化合物297〜299の合成
化合物297〜299は各々実施例296において説明したものと同様の方法で合成した。
【0050】
【表3】

実施例300N−(2−(4−フルオロフェノキシ)ピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミンの合成(化合物300)
【0051】
【化9】

N−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミン(0.1mmol)およびp−フルオロフェノール(0.1mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。これにKCO(0.2mmol)を追加した。5時間60℃での撹拌後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層は、水およびブラインにより順次洗浄し、無水NaSOによって乾燥し、濃縮した。結果として生じる油脂残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、76%の収率で化合物300を得た。
【0052】
H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ10.802(s,1H),9.491(s,1H),7.990(d,J=5.4Hz,1H),7.495(s,1H),7.295(m,J=8.4,3.6Hz,4H),7.236(d,J=5.4Hz,1H),7.133(d,J=5.6Hz,1H),6.486(d,J=5.6Hz,1H),5.902(s,1H),2.402(s,3H);MS(m/e):335.1(M+1)。
【0053】
(実施例301〜303)化合物301〜303の合成
化合物301〜303は、実施例300において説明したものと同様の方法で調製した。
【0054】
【表4】

(実施例304)5−(2−(3−メトキシフェノキシ)ピリミジン−4−イルオキシ)−2−メチル−1H−インドールの合成(化合物304):
【0055】
【化10】

5mlのEtOH中の2,4−ジクロロピリミジン(1mmol)および5−ヒドロキシ−2−メチルインドール(1mmol)の溶液に、EtN(1mmol)を追加した。反応混合物を5時間還流した。減圧下での溶媒の除去およびHOの追加の後に、混合物をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮した。結果として生じる油脂残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、75%の収率で5−(2−クロロピリミジン−4−イルオキシ)−2−メチル−1H−インドールを得た。
【0056】
5−(2−クロロピリミジン−4−イルオキシ)−2−メチル−1H−インドール(0
.1mmol)およびm−メトキシフェノール(0.1mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。次にKCO(0.2mmol)を追加した。反応混合物を5時間60℃で撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、76%の収率で化合物304を得た。
【0057】
H NMR(CDOD,400MHz):δ8.303(d,J=5.6Hz,1H),8.084(s,1H),7.305−7.262(m,3H),6.908(dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz,1H),6.816−6.764(m,3H),6.463(d,J=5.6Hz,1H),6.226(s,1H),3.780(s,3H),2.465(s,3H);MS(m/e):346.5(M−1)。
【0058】
(実施例305)3−(4−(2−メチル−1H−インドール−5−イルアミノ)ピリミジン−2−イルアミノ)ベンゾニトリルの合成(化合物305)
【0059】
【化11】

5mlのEtOH中の2,4−ジクロロピリミジン(1mmol)および5−アミノベンズイミダゾール(1mmol)の溶液に、EtN(1mmol)を追加した。反応混合物を5時間還流した。減圧下での溶媒の除去およびHOの追加の後に、混合物をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、80%の収率でN−(2−クロロピリミジン−4−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−アミンを得た。
【0060】
N−(2−クロロピリミジン−4−イル)−lH−ベンゾ[d]イミダゾール−5−アミン(0.1mmol)、3−アミノベンゾニトリル(0.1mmol)およびp−TsOH一水和物(0.2mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。反応混合物を5時間60℃で撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインにより順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。結果として生じた油脂をカラムクロマトグラフイーによって精製して、76%の収率で化合物305を得た。
【0061】
H NMR(CDOD,400MHz):δ8.178(s,1H),7.942(d,J=6.4Hz,2H),7.825(br,1H),7.633−7.603(m,2H),7.469(dd,J=8.8Hz,5Hz,1H),7.212(t,J=8.4Hz,1H),7.075(d,J=8.0Hz,1H),6.254(d,J=6.0Hz,1H),3.345(s,1H);MS:327.2(M+1)。
【0062】
(実施例306)N2−(3−メトキシフェニル)−N4−(2−メチルベンゾ[d]オキサゾール−6−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物306)
【0063】
【化12】

5mlのEtOH中の2,4−ジクロロピリミジン(1mmol)および2−メチル−1,3−ベンズオキサゾール−5−アミン(1mmol)の溶液に、EtN(1mmol)を追加した。反応混合物を5時間還流した。減圧下での溶媒の除去およびHOの追加の後に、混合物をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、73%の収率でN−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチルベンゾ[d]オキサゾール−6−アミンを得た。
【0064】
N−(2−クロロピリミジン−4−イル)−2−メチルベンゾ[d]オキサゾール−6−アミン(0.1mmol)、3−メトキシアニリン(0.1mmol)、およびp−TsOH一水和物(0.2mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。反応混合物を5時間60℃で撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。結果として生じる油脂残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、82%の収率で化合物306を得た。
【0065】
H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ9.431(s,1H),9.158(s,1H),8.136(s,1H),8.022(d,J=5.6Hz,1H),7.566(d,J=8.8Hz,1H),7.517(d,J=8.8Hz,1H),7.418(s,1H),7.367(d,J=8.0Hz,1H),7.126(t,J=8.4Hz,1H),6.490(m,1H),6.224(d,J=5.2Hz,1H),3.674(s,3H),2.609(s,3H);MS(m/e):348.3(M+1)。
【0066】
(実施例307)N2−(3−エチニルフェニル)−N4−(2−メチルベンゾ[d]オキサゾール−6−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物307)。
化合物307は実施例306において説明したものと同様の方法で合成した。
【0067】
H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ9.566(d,J=5.2Hz,1H),9.309(s,1H),8.099(s,1H),8.038(d,J=6.0Hz,1H),7.917(s,1H),7.805(d,J=8.4Hz,1H),7.574(m,2H),7.231(m,1H),6.996(d,J=7.6Hz,1H),7.278(d,J=5.6Hz,1H),4.059(s,1H),2.608(s,3H);MS(m/e):342.2(M+1)。
【0068】
(実施例308)N2−(3−エチニルフェニル)−N4−(1H−インダゾール−6−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物308)
【0069】
【化13】

5mlのEtOH中に溶解された2,4−ジクロロピリミジン(1mmol)および5−アミノインダゾール(1mmol)の溶液に、EtN(1mmol)を追加した。反応混合物を5時間還流した。減圧下での溶媒の除去およびHOの追加の後に、混合物をEtOAcにより抽出した。有機層を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮した。結果として生じた油脂をカラムクロマトグラフイーによって精製して、80%の収率でN−(2−クロロピリミジン−4−イル)−1H−インダゾール−5−アミンを得た。
【0070】
N−(2−クロロピリミジン−4−イル)−1H−インダゾール−5−アミン(0.1mmol)、3−エスニルアニリン(ethnylaniline)(0.1mmol)およびp−TsOH(0.2mmol、一水和物)を、0.5mlのDMF中に溶解した。反応混合物を5時間60℃で撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、74%の収率で化合物308を得た。
【0071】
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ12.966(brs,1H),9.344(brs,1H),9.234(brs,1H),8.145(s,1H),8.005(m,2H),7.893(s,1H),7.795(d,1H),7.527(d,J=8.8Hz,1H),7.471(d,J=8.8Hz,1H),7.212(t,1H),7.021(d,1H),6.626(d,1H),4.037(s,1H);MS(m/e):327.2(M+1)。
【0072】
(実施例309)N2−(3−メトキシルフェニル)−N4−(2−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリミジン−2,4−ジアミンの合成(化合物309)
【0073】
【化14】

2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(1mmol)および5−アミノ−2−メチルインドール(1.5mmol)を、3mlのCHOHおよび9mlのHO中に溶解した。反応混合物を1時間室温で撹拌した後、HOで希釈し、2NのHClにより酸性化し、超音波で処理した。次に反応混合物を濾過し、HOで洗浄し、乾燥して、78%の収率でN−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H
−インドール−5−アミンを得た。
【0074】
N−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−2−メチル−1H−インドール−5−アミン(0.1mmol)、m−メトキシアニリン(0.1mmol)、p−TsOH一水和物(0.2mmol)を、0.5mlのDMF中に溶解した。反応混合物を5時間60℃で撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルにより抽出した。有機層を水およびブラインで順次洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフイーによって精製して、60%の収率で化合物309を得た。
【0075】
H NMR(CDOD,400MHz,δppm):7.854(d,J=4.0Hz,1H),7.703(d,J=1.6,1H),7.248(s,2H),7.177(br,2H),7.054(t,J=4.2Hz,2H),6.942(s,2H),3.506(s,3H),2.235(s,3H);MS(m/e):364.2(M+1)。
【0076】
(実施例310)2−(3−メトキシフェニルアミノ)−4−(2−メチル−1H−インドール−5−イルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルの合成(化合物310)
【0077】
【化15】

2−メチル−2−チオシュードウレア(5mmol)およびエチルエトキシメチレンシアノアセタート(5mmol)を、20mlのEtOH中に溶解した。これにKCO(10mmol)を追加した。混合物を48時間還流した後、室温まで冷却し、濾過した。溶媒は減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフイーによって精製して、65%の収率で4−ヒドロキシ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボニトリルを得た。
【0078】
ペンタン−1−オール中の4−ヒドロキシ−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボニトリル(3mmol)およびm−アニシジン(3mmol)を、窒素下で40時間還流した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物を水で洗浄し、乾燥して、4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルを得た。
【0079】
POCl中の4−ヒドロキシ−2−(3−メトキシフェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルの溶液に、0.5mlのDMFを追加した。溶液を3時間還流した。反応混合物を室温まで冷却し、氷水の中へ注いだ。溶液を炭酸ナトリウム水溶液によってp
H=8〜9に調整し、ジクロロメタンにより抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して、4−クロロ−2−(3−メトキシフェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルを得た。
【0080】
4−クロロ−2−(3−メトキシフェニルアミノ)ピリミジン−5−カルボニトリルは、実施例1において説明したものと同様の方法で化合物310に変換した。
H NMR(DMSO−d6,400MHz):δ10.925(s,1H),9.710(d,J=11.2Hz,1H),9.349(d,J=10.4Hz,1H),8.441(s,1H),7.474(s,1H),7.252(s,1H),7.223(d,J=6.8Hz,1H),7.187(s,1H),7.062(m,J=1H),6.923(d,J=2.0Hz,1H),6.485(t,1H);6.098(s,1H),3.453(s,3H),2.387(s,3H);MS(m/e):371.2(M+1)。
【0081】
(実施例311〜317)化合物311〜317の合成
化合物311〜317は、実施例310において説明したものと同様の方法で調製した。
【0082】
【表5】


(実施例318)Z’−lyteキナーゼ分析キットを使用するKDRキナーゼ活性分析
組換えKDR触媒ドメイン(インビトロゲン(Invitrogen)社[米国カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad)所在]、カタログ番号PV3660)のキナーゼ活性の阻害は、黒色の384ウェルプレート(サーモ・ラボシステムズ(Thermo labsystems)社[英国ケンブリッジ(Cambridge)所在]、カタログ番号7805)において、Z’−LYTE(商標)Tyr1ペプチド分析キット(インビトロゲン社、カタログ番号PV3190)を使用して決定した。分析は製造者によって推奨された手順に従って行った。
【0083】
簡潔には、試験化合物(DMSO中の10mMストック)を、8%のDMSOを含む蒸留水で1:4に希釈した。溶液を、2.5μl/ウェルで、試験ウェルおよび3つの対照
ウェル(C1、C2、およびC3)中に置いた。クマリン−フルオレセインの二重標識ペプチド基質を、KDR触媒ドメイン(「キナーゼ」)と混合した。5μlのキナーゼ/ペプチド混合物を、試験ウェル、C1ウェル、およびC2ウェルの各々に追加したが、C3ウェルには追加しなかった(最終濃度:0.3μg/mlのキナーゼ、2μMのペプチド)。5μlのリン酸化−Tyr1ペプチドをC3ウェルに追加した。2.5μlの40μM ATPを試験ウェルおよびC2ウェルに追加し、2.5μlの1.33×キナーゼバッファー(1×バッファー:50mMヘペス(pH7.5)、0.01%のブリジ35、5mM MgCl、5mM MnCl、および1mM EGTA)を、C1ウェルおよびC3ウェルに追加した。すべての溶液をウェルの底に落とすようにプレートを短時間1000rpmで遠心してからシールし、1時間250rpmおよび25℃で振盪した。
【0084】
現像試薬は製造者の推奨に従って1:128に希釈した。5μlの希釈した現像試薬を各ウェルに追加した。すべての溶液をウェルに落とすようにプレートは1000rpmで遠心してからシールし、1時間250rpmおよび25℃で振盪した。
【0085】
5μlの停止試薬を各ウェルに追加した。すべての溶液をウェルに落とすようにプレートを1000rpmで遠心してからシールし、2分間250rpmおよび25℃で振盪した。各ウェルでの溶液の発光を、励起400nm/発光445nmおよび520nmで、ビクター(Victor)TM3ミクロプレートリーダーによって測定した。発光比率およびリン酸化(「Phos」)パーセンテージは以下の式によって計算した。
【0086】
発行効率=(クマリン発光(445nm)/フルオレセイン発光(520nm))
【0087】
【数1】

式中、
100%=100%Phos対照の平均クマリン発光シグナル
0%=0%Phos対照の平均クマリン発光シグナル
100%=100%Phos対照の平均フルオレセイン発光シグナル
0%=0%Phos対照の平均フルオレセイン発光シグナル
阻害率を以下のように計算した。
阻害%=(C2ウェルにおけるPhos−試験ウェルにおけるPhos)/(C2ウェルにおけるPhos)×100%
この結果は、試験した化合物がすべてKDRの活性を阻害したことを示した。IC50値は0.001〜10μMにわたった。
【0088】
(他の実施形態)
本明細書において開示されたすべての特色は、任意の組合せで組み合わせることができる。本明細書で開示された各特色は、同一の、同等の、または同様の目的を満たす、別の特色により置き換えることができる。したがって、特別に明記しない限り、開示された各特色は、一般的な一連の同等のまたは同様の特色の例にすぎない。
【0089】
上述の説明から、当業者は、容易に本発明の本質的特質を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用法および条件に適応させるように、本発明の様々な変更および修正を行うことができる。例えば、本発明の化合物と構造的に類似
した化合物を作製し、本発明を実施するために使用することができる。したがって、他の実施形態もまた本請求の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物:
【化1】

(式中、
XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、
Zは、CR’またはNであり、ここでR’は、H、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、
V、U、およびTは、ともに
【化2】

を表わし、
、R、R、R、およびRの各々は、独立して、H、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、
は、アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
はアルキルである。)。
【請求項2】
Xが、OまたはNHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがNHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
V、U、およびTが、ともに
【化3】

を表わし、ZがCR’であり、R’がH、ハロ、またはアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
がHであり、Rがメチルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルにより置換される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
V、U、およびTは、ともに
【化4】

を表わし、ZがCR’であり、R’が、H、ハロまたはアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がHであり、Rがメチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルにより置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
YがNHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、化合物1〜316のうちの1つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
必要性のある被験体に対して、請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む、血管新生関連障害を治療する方法。
【請求項13】
前記血管新生関連障害が癌または加齢黄斑変性である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
受容体を、式(I)の化合物:
【化5】

(式中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、
およびRの各々は、独立して、H、ハロゲン、ニトロ、アミノ、CN、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルであり、
XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、
Arはアリールまたはヘテロアリールである。)
の有効量と接触させることを含む、キナーゼインサートドメイン受容体の活性を阻害する方法。
【請求項15】
Arが、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、またはベンズオキサゾリルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
XがOまたはNHであり、YがNHである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルと置換される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
必要性のある被験体に対して、次式の化合物:
【化6】

(式中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、
およびRの各々は、独立して、H、ハロゲン、ニトロ、アミノ、CN、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、またはアルコキ
シカルボニルであり、
XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、
Arはヘテロアリールである。)
の有効量を投与することを含む、血管新生を阻害する方法。
【請求項19】
Arが、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、またはベンズオキサゾリルである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
XがOまたはNHであり、YがNHである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
が、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルと置換される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
必要性のある被験体に対して、次式の化合物:
【化7】

(式中、
は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり、
およびRの各々は、独立して、H、ハロゲン、ニトロ、アミノ、CN、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、またはアルコキシカルボニルであり、
XおよびYの各々は、独立して、O、S、またはNRであり、ここでRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルであり、
Arはヘテロアリールである。)
の有効量を投与することを含む、加齢黄斑変性を治療する方法。
【請求項23】
Arが、インドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、またはベンズオキサゾリルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
XがOまたはNHであり、YがNHである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
が、アリールまたはヘテロアリールであり、任意で、ハロ、ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、カ
ルボキシ、アルコキシカルボニル、スルホニル、カルボニルアミノ、スルホニルアミノ、アミノカルボニル、またはアミノスルホニルと置換される、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2010−524952(P2010−524952A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504191(P2010−504191)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/060366
【国際公開番号】WO2008/128231
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(506361683)ハッチソン メディファーマ エンタープライジズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】