説明

ピン状部材の製造方法とピン状部材を備えた加工用工具。

【課題】超音波加工機に用いられる穿孔用の工具について、多数のピン状の加工用ピンを高精度かつ容易に形成できるようにすること。
【解決手段】母材21面にレジスト膜22を形成し、加工用ピン23を形成する母材21面の位置に対応させてレジスト膜22を除去するための光りを照射して母材21面が表れるまでレジスト膜22を除去し、母材21面の前記レジスト膜22を除去した部分に電鋳メッキによるメッキ膜(加工用ピン)23を形成した後、母材21面上に残留するレジスト膜22を除去するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超音波ホーンを用いてガラス等の脆性・難削材料に高精度かつ徹小な孔・溝・異形加工を行うためのピン状部材の製造方法とピン状部材を備えた加工用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス、セラミック、フェライト等の脆性材料(以下ガラス等と略す)に繊細な孔・溝・異形加工する用途が広がっている。MEMS(Micro Electro Mechanical
System)分野における半導体デバイス用のガラスウェハでは、デバイスの小型化に伴い、貫通孔電極用の繊細かつ多孔を形成したガラスウェハのニーズが高まってきた。特に、携帯電話用デバイスなどではデバイスのより小型化が大きなニーズとなっている。現状、ガラス等のウェハ加工では、サンドフラスト加工法、ドリル加工法、超音波加工法が一般的に行われている。
【0003】
サンドフラスト加工法は、繊細な砥粒粉を高圧の窒素などと共に対象物に吹きかけて加工する手法である。ドリル加工法は、ドリルの回転によって個々の孔を個別に開ける方法であり、加工位置精度などは機械精度で決まるため、この点については高精度化が可能である。超音波加工法は、通常、SUSやニッケルなどピン状の加工用ピンを半田付けしたホーンと呼ばれる器具を用い遊離砥粒(図7参照)を使用する方法である。
【特許文献1】特開2005−014172号公報
【特許文献2】特開平6−208938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、ガラス等の脆性材料に孔や溝を加工する方法としては、主としてドリル、サンドブラスト・超音波加工機などを用いる手法が主体であった。このような加工方法では以下のような問題が有り、より高精度化、繊細化、加工の高速化等の制約となっていた。
サンドフラスト加工法は、加工の性質上、孔自体がテーパ状となり、ストレート孔の加工が必要な用途には向かなかった。特に昨今、ガラス基板に金属貫通電極(Viahole)を形成するガラスウェハの場合、基板の反りを低減するためにはストレート孔が求められる。
【0005】
ドリル加工法は、加工位置精度が機械精度で決まるため孔位置については、高精度化が可能だが、孔径0.1mmを下回る微小な孔や溝の加工では、ドリル自体の強度が十分得られず効率的な加工には限界があった。多孔加工では個々の孔を個別に開けるため、加工時間がかかることや、加工用特殊ドリルの製造方法、コストなどに課題がある。昨今のように、3〜4インチ基板上に孔径0.1mm以下、孔数1万個以上等のニーズも有り、孔数が増えるにつれ、ドリル加工では加工コストが高くなり、対応が困難となっている。
超音波加工法は、通常、SUSやニッケルなどピン状の加工用ピンを半田付けしたホーンと呼ばれる器具を用い遊離砥粒を使用する加工方法である。加熱製作によって形成され、加工ピンの変形などのため、繊細化・複数の加工ピン位置の高精度化・異形加工などに限界があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、例えば超音波加工機に用いられる穿孔用の工具について、多数のピン状の加工用ピンを容易に形成できるピン状部材の製造方法とピン状部材を備えた加工用工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、超音波加工において、従来ピン等を用い、半田で接合していた超音波用ホーン製造方法に代わり、ホーンを電鋳技術(メッキ技術による金属構造体の作成)により作成することとした。微細な形状加工を実現するためにはホトリソグラフィー技術を用い、微細な形状を構成した高精度マスク等を組み合わせるようにした。
具体的には、本発明のピン状部材の製造方法は、母材面上にピン状部材を形成するピン状部材の製造方法において、前記母材面にレジスト膜を形成し、前記ピン状部材を形成する部位にある前記母材面上のレジスト膜を除去して該レジスト膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して前記孔に対応する形状のピン状部材を形成した後、前記母材面上に残留するレジスト膜を除去するようにした。
また、本発明のピン状部材の製造方法は、母材面上にピン状部材を形成するピン状部材の製造方法において、前記母材面にレジスト膜を形成し、前記ピン状部材を形成する部位にある前記母材面上のレジスト膜を除去して該レジスト膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して前記孔に対応する形状のピン状部材を形成する第1工程、前記ピン状部材と母材面に残留するレジスト膜の表面上にさらにレジスト膜を形成し、前記ピン状部材上のレジスト膜を除去してレジスタ膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して該孔に対応するピン状部材を形成する第2工程を含み、該第2工程を1回以上繰り返して、該ピン状部材が所定の長さに達したときに母材面上に残留するレジスト膜を除去するようにした。
本発明のピン状部材を備えた加工用工具は、母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜のみにより形成されたピンを、母材の面上に立設させている。
また、本発明のピン状部材を備えた加工用工具は、母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜層を縦方向に重ねて、電気メッキのメッキ膜のみにより形成されたピンを、母材の面上に複数立設させている。
前記ピン状部材を備えた加工用工具は、前記ピンが超音波加工機に取付けられ、超音波振動によって半導体デバイスに用いられる複数のガラス貫通孔電極を形成するための工具とすることができ、前記ピンの母材側に位置する基端部と前記ピンの先端部とが異形状とすることができ、さらに、前記母材に形成した複数のピンが、異なる2種以上の径を有することができる。
前記ピン状部材を備えた加工用工具は、前記ピンの横断面が円形状、曲線形状若しくはピンの先端側と基端側で断面形状が異なる異形形状とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加工用工具は、特に硼珪酸系ガラス基板加工(その他、石英ガラス基板、その他基板以外の加工にも適用が可能である)に適用され、MEMSなどが加工された半導体基板と共に使われ、今後ますます微細かつ高精度が求められる。更に基板の大型化、微細化、位置精度向上、異形加工などに対応するには、ホトリソグラフィー技術と電鋳技術の複合技術による超音波ホーンを作成し、これを用いてガラス基板に微細な孔・溝・異形加工を行うことが可能となる。詳しくは、以下のとおりである。
本発明のピン状部材の製造方法は、母材面上にピン状部材を形成するピン状部材の製造方法において、前記母材面にレジスト膜を形成し、前記ピン状部材を形成する部位にある前記母材面上のレジスト膜を除去して該レジスト膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して前記孔に対応する形状のピン状部材を形成した後、前記母材面上に残留するレジスト膜を除去するようにしたので、母材の正確な位置に径の細いピン状部材を形成することができる。
本発明のピン状部材の加工用工具は、母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜により形成した複数のピンを立設させたので、複数のピンの位置や径を正確に配置することができる。
また、本発明のピン状部材の加工用工具は、母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜層を縦方向に重ねて形成した複数のピンを立設させたので、ピン状部材の形状に対しての応用が容易にできるようになった。
上記ピン状部材の加工用工具は、前記ピンが超音波加工機に取付けられ、超音波振動によって半導体デバイスに用いられる複数のガラス貫通孔電極を形成するための工具とすることによって、半導体デバイスの貫通孔電極をより正確な位置に空けることができるようになった。
上記ピン上部材の加工用工具は、ピン状部材を備えた加工用工具は、前記ピンの横断面が円形状、多角形状、曲線形状若しくはピンの先端側と基端側で断面形状が異なる異形形状としたことによって、種々の作業に応じた工具を作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の第1実施の形態におけるピン状部材の製造方法とピン状部材を備えた加工用工具について、図面を参照しながら説明する。
本実施の形態のピン状部材は、金属基板上にホトリソグラフィー技術によるレジストパターン作成と電鋳技術を組み合わせて超音波加工機によりガラスに孔を空ける工具(電鋳ツールとする)であり、電鋳ツールによりガラス等の基板に微細かつ高精度の孔・溝・異形加工を可能とする。
【0009】
図1は、超音波加工機を示し、図2は超音波加工機に取付けられている電鋳ホーンを示す。
超音波加工機1は、超音波振動子2に超音波発振器3が取付けられ、超音波振動子2の下方には、コーン4が取付けられ、コーン4の下部にはホーン5が接続されている。ホーン5の下部には、本発明に係わる電鋳ツール10が取付けられている。
図2に示すように、電鋳ツール10は、円形の平板状の母材11の表面上に多数の加工用ピン12が母材11面に対して直角方向に向けて固定されている。母材11は例えばステンレスにより形成され、少なくとも加工用ピン12が固定されている面にNiメッキ17が施されている。加工用ピン12は、Niによる厚膜の電鋳メッキにより形成され、厚膜電鋳メッキはメッキの被膜層が単層のものであっても、複数の層で形成してもよい。加工用ピン12は、現時点では直径100〜500μm程度のものを形成することができる。ターゲットとしては50μm程度とする事が出来る。加工用ピン12同士の縁からの間隔は、概ね100μm程度以上とすることができる。加工用ピン12の形状は、母材11側の基端部から先端部まで同じ径に形成している。なお、加工用ピン12の本数についても任意に形成できる。
【0010】
このような構造により超音波加工機1は、超音波発振器3の稼働によって、超音波発振器3の電気信号が超音波振動子2へ伝達され、機械的振動エネルギーに変換される。超音波振動子2からコーン4、ホーン5へ振動エネルギーが伝達されることによって、振動が電鋳ツール10に伝わる。電鋳ツール10は、ワーク13(ガラスウェハ)に穿孔用の砥粒とともにワーク13に貫通孔14もしくは有底孔(溝)を形成することができる。
【0011】
図4及び図5は、電鋳ホーンの製造方法の一例を示す。
図4のAは、円板状のステンレスからなる母材11を示し、母材11の表面には図示しないニッケルメッキを施している。このニッケルメッキの表面には、厚さ約40μmの感光性の樹脂であるレジスト膜15aを形成している。ホトリソグラフィーでは種々の作業方法があるが、例えば、レジスト膜15aは光化学反応によって、光の当たった部分がアルカリ溶液に溶ける化学構造に変化するタイプのものが使用できる。この場合は、母材11に加工用ピンを固定する箇所以外の部分にマスクキングをして、図示しない光源から光を照射させて、光で化学変化したレジスト膜15aを溶剤などによって、母材11のNiメッキ17が表れるまで除去する。
なお、レジスト膜については、直接エッチング装置によってレジスト膜を除去することもできる。
【0012】
図4のAに母材11からレジスト膜15aが部分的に除去して形成された多数の孔16aを示す。この後、電鋳メッキのメッキ槽に母材11を浸漬して電鋳メッキを行う。電鋳メッキは、母材11のNiメッキ17面上に形成された孔16aの部分にメッキを形成し、レジスト膜15aの上面にはメッキ膜を形成しないので、図4のCに示すように、複数の孔16aのみにメッキが充填される。こうして、加工用ピン12aの1層目が形成される。
【0013】
次に、加工用ピンの2層目の製造工程を示す。製造工程は、1層目の加工用ピン12aと基本的に同じである。異なるのは、1層目の加工用ピン12aを母材11の表面に固定したが、2層目は母材11の表面でなく、1層目の加工用ピン12aの上に重ねて新たな加工用ピンのメッキ膜を形成することにある。
図4のDに示すように、母材11上に除去されず残留しているレジスト膜15aと、加工用ピン12aの面上に2層目のレジスト膜15bを形成する。母材11に形成された加工用ピン15aの直上にある以外の部分のレジスト膜15bに光が照射されないように、マスクキングをする。レジスト膜15bの材質及び厚さは1層目のレジスト膜15aと同じである。
【0014】
レジスト膜15bに、図示しない光源から光を照射させて、加工用ピン12aの直上に位置するレジスト膜15bを、化学変化させた後、図5のAに示すように、加工用ピン12aの直上にレジスト膜15bに囲まれた孔16bが形成される。1層目の加工用ピン12aを形成したときと同様に、母材11のNiメッキのメッキ層に浸漬して電鋳メッキを行い、2層目のメッキ膜で形成された加工用ピン12bを設ける。図5のBに2層目の加工用ピン12bを示し、1層目の加工用ピン12aの上に2層目の加工用ピン12bが積層されたのが分かる。
【0015】
加工用ピン12は、このように2層目の加工用ピン12bを形成したのと同様に順次、同じ製造工程を繰り返すことによって、図5のCの想像線に示すように、高さを大きく延ばすことができる。そして、加工用ピン12が所定の長さに形成されたところで、図5のCに示すように、レジスト膜15を除去して電鋳ツール10が形成される。
本発明では、こうした加工用ピン12の形成により、ガラスウェハに孔若しくは溝を形成するときは、孔径・孔位置精度を数μmの精度で実現できる。作業的には、1本の加工用ピンを有する電鋳ツール10であっても、多数の加工用ピンを有する電鋳ツール10であっても、製造工程は複雑にならないので、1万個以上の加工用ピンを形成することも可能である。このような工程によって、1枚のガラスウェハに多数の孔・溝等の同時作成が可能となる。
【0016】
図6は本発明の第2の実施形態を示す。
図4及び図5で説明した加工用ピン12は、電鋳メッキのメッキ膜の複数積層体であるが本実施の形態では、メッキ膜が単層体であることが異なっている。
図6のAに示すように、円板状のステンレスからなる母材21の表面にはニッケルメッキ25を施し、ニッケルメッキ25の表面には、レジスト膜22を形成している。レジスト膜22の厚さは、形成しようとする加工用ピン23の長さと同じ厚さに形成する。母材21に加工用ピンを固定する箇所以外の部分にマスクキングをして、図示しない光源から光を照射させて、レジスト膜22を化学変化させる。
【0017】
次いで、母材11の加工用ピンを形成する部分に位置するレジスト膜22を除去して、図6のBに示すように、多数の孔24を形成する。電鋳メッキは、母材11のNiメッキ25面上に形成された孔24の部分にメッキを形成し、複数の孔24の内部のみにメッキが充填され電鋳ツール20が形成される。このように、孔24の深さを大きく形成しても、電鋳メッキは可能であり、加工用ピン23が形成される。
このように形成された加工用ピン23は、図4及び図5に示す方法で形成された加工用ピン12と比べ、短時間で形成できる効果がある。
【0018】
以上、説明したように本実施の形態による加工用ピン12,23は、超音波ホーンを用いた孔加工ではカスタム化や大型基板でも対応可能で10分程度で加工でき、超音波加工機を用いて、本発明の主要な目的とするガラスウェハの孔空けやその他基板の孔空けに対し、十分初期の目的を達成することができた。
電鋳メッキ法は、条件のコントロールで加工用ピン12,23の微細化、長さなどもコントロール可能である。本加工用ピン12,23によって、1枚のガラスウェハを加工した結果、金属構造体の磨耗量は概ね15μm程度であり、1mm以上の長さのピンを有するホーンであれば、数十枚のガラスウェハの加工が可能となり、コスト的にも優れている。
本発明によれば、今まで製作難度の大きかった、Φ0.1mm以下の繊細孔及び溝を形成することができる。ホトリソグラフィー技術の応用では厚さ方向の異形加工も可能となり、広い応用範囲が期待できる。
【0019】
このように、本発明は、複雑かつ微細な加工を容易に実現する。異形加工の範囲はウェハ面内での自由形状に留まらず例えば、孔の厚さ方向についても孔径が変化する形状なども含まれる。
すなわち、上記実施の形態では、母材11に形成した加工用ピン12の長さ及び径を全ての加工用ピン12について同じとしたが、加工用ピン12の長さは、異なる長さの加工用ピン12を2種以上形成し、1つのガラスウェハに貫通孔及び溝を同時に形成してもよい。また、加工用ピン12の径は、異なる径の加工用ピン12を2種以上形成し、1つのガラスウェハに異なる径の貫通孔又は溝を形成してもよい。
1つの加工用ピンについては、図7に示すように、加工用ピン12の形状を基端側の大径部12cを太く、先端側の小径部12dを細くして異形にしても良い。そして、電鋳ホーン10によって超音波振動が加工用ピン12に伝わり、ガラス基板などのワーク13に異径孔を形成する。なお、符号26は水と共に流す遊離砥粒であって、加工用ピン12とワーク13の間に流し込むようにする。こうして、下側が小径で上側が大径の異径孔を形成することができる。なお、加工用ピン12は、このように加工用ピン12を段付きにして先端を細くしてもよく、テーパ状に細くしても良い。
図8のAは、内側が空洞の環状の加工用ピン12であり、このような加工用ピン12によってもワークに孔を形成できる。なお、ワーク13は、加工用ピン12の内孔12eに対応する部分は削りとられるので、横断面が円形の孔を形成できる。
図8のBは、平面形状がほぼS字形状(曲線形状)であり、このような変形板形状の加工用ピン12でも、その断面形状に対応したS字形状の孔を形成できる。
【0020】
以上、本発明を実施形態に基づいて添付図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、更に他の種々の変形あるいは修正が可能である。
例えば、母材11,22の表面に形成したNiメッキ17,25は、電鋳メッキ(加工用ピン)の付きは劣るが省略することもできる。
母材11,22の材質をSUSとし、電鋳メッキで形成したピンはNiとしたが、この組合せは任意であり、多数の組合せがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態におけるピン状部材を備えた加工用工具である電鋳ツールが超音波加工機に取付けられた状態の概略正面図である。
【図2】図1の電鋳ツールの拡大図である。
【図3】図1の超音波加工機の被加工物であるガラスウェハ(ワーク)の平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における電鋳ツールの製造工程の断面図であって、Aは母材の表面にレジスト膜を形成した状態、Bはレジスト膜の加工用ピンを形成する箇所に対応する部位を削除して孔を形成した状態、Cは電鋳メッキを孔の部分に被膜させた状態、Dはさらに残されたレジスト膜と電鋳メッキ層の表面に2層目のレジスト膜を形成した状態の断面図である。
【図5】図4のDに続く電鋳ツールの製造工程の断面図であって、Aは2層目のレジスト膜を除去して孔を形成した状態、Bは2層目の電鋳メッキを孔の部分に被膜させた状態、Cは、母材上のレジスト膜を全て削除した状態の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における電鋳ツールの製造工程の断面図であって、Aは母材の表面にレジスト膜を形成した状態、Bはレジスト膜の加工用ピンを形成する箇所に対応する部位を削除して孔を形成した状態、Cは電鋳メッキを孔の部分に被膜させた状態、Dは母材上のレジスト膜を削除した状態の断面図である。
【図7】本発明の加工用ピンの変形例であって、小径部と大径部を有する異径加工用ピンの断面図である。
【図8】本発明の加工用ピンの他の変形例であって、Aは断面が環状の加工用ピンの平面図(上)と断面図(下)、Bは断面がほぼS字形の加工用ピンの平面図(上)と断面図(下)である。
【符号の説明】
【0022】
1 超音波加工機
10 電鋳ツール
11,21 母材
12,23 加工用ピン
13 ワーク
14 貫通孔
15a,15b,22 レジスト膜
16a,16b,24 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材面上にピン状部材を形成するピン状部材の製造方法において、
前記母材面にレジスト膜を形成し、前記ピン状部材を形成する部位にある前記母材面上のレジスト膜を除去して該レジスト膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して前記孔に対応する形状のピン状部材を形成した後、前記母材面上に残留するレジスト膜を除去するようにしたピン状部材の製造方法。
【請求項2】
母材面上にピン状部材を形成するピン状部材の製造方法において、
前記母材面にレジスト膜を形成し、前記ピン状部材を形成する部位にある前記母材面上のレジスト膜を除去して該レジスト膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して前記孔に対応する形状のピン状部材を形成する第1工程、
前記ピン状部材と母材面に残留するレジスト膜の表面上にさらにレジスト膜を形成し、前記ピン状部材上のレジスト膜を除去してレジスタ膜に孔を空け、該レジスト膜によって形成した孔の内側に電鋳メッキによるメッキ膜を施して該孔に対応するピン状部材を形成する第2工程を含み、
該第2工程を1回以上繰り返して、該ピン状部材が所定の長さに達したときに母材面上に残留するレジスト膜を除去するようにしたピン状部材の製造方法。
【請求項3】
母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜により形成したピンを母材の面上に複数立設させたピン状部材を備えた加工用工具。
【請求項4】
母材の面上に電鋳メッキのメッキ膜層を縦方向に重ねて形成したピンを母材の面上に複数立設させたピン状部材を備えた加工用工具。
【請求項5】
前記ピンが超音波加工機に取付けられ、超音波振動によって半導体デバイスに用いられる複数のガラス貫通孔及び貫通孔電極を形成するための工具であることを特徴とする請求項3又は4に記載のピン状部材を備えた加工用工具。
【請求項6】
前記ピンの母材側に位置する基端部と前記ピンの先端部とが異形状あることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のピン状部材を備えた加工用工具。
【請求項7】
前記母材に形成した複数のピンが、異なる2種以上の径を有するようにしたことを特徴とする請求項3〜6の記載のピン状部材を備えた加工用工具。
【請求項8】
前記ピンの横断面が円形状、多角形状、曲線形状若しくはピンの先端側と基端側で断面形状が異なる異形形状であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のピン状部材を備えた加工用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−211323(P2007−211323A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34883(P2006−34883)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000133788)株式会社テクニスコ (8)
【Fターム(参考)】