説明

ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具およびそれによる調整方法

【課題】 本発明は、ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドにおいて、芯を確保するための調整用測定冶具およびそれを用いての調整方法を提供する。
【解決手段】 ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具において、スペーサ、皿バネおよびスクリューネジを有する第1ローラホルダーとダイヤルゲージ、油圧ジヤッキおよびロードセルより構成されたことを特徴とするピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具およびそれを用いての調整方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドにおいて、芯を確保するための調整用測定冶具およびそれを用いての調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ピーリング設備の第1ガイドは、切削する材料を切削バイトの中心に保持するための装置であり、一定の加重でガイドするためと、材料径のバラツキに対応できるように皿バネが内蔵されている。その組合せた皿バネに一定加重を掛け、その全長の測定値を元にスペーサーの厚みを調整することで寸法誤差を修正した後、ケースに組み込んだのち、5本を放射線状にセットしていた。
【0003】
しかしながら、測定誤差等で5箇所の放射線状に設置されたガイドの押し付け力がそれぞれ違うため不均一となり、(1)材料を機械芯に保持できないため切削精度がでない。(2)先端削り時は第一ガイドのみで材料を保持するため鼻曲りが発生する。(3)全体の芯出し作業後、片削りが発生するため第一ガイドのみ芯を振っていた。(4)第一ガイドローラの寿命が短い。(5)皿バネの寿命が短い等の問題から中心が確保できず切削後の切削後の成品の芯円度が確保できなかったため皿バネ式第1ガイドの調整方法の信頼性向上が課題となった。
【0004】
上記芯を確保するための類似する調整装置として、例えば特開昭53−120664号公報(特許文献1)に開示されているように、ロータリ・ダブル・コンテナ方式の押出製管機に使用するコンテナ・ブラッシング装置の芯出し装置があり、ブラシ軸を少なくと3個の調整ユニットのローラによって3点支持し、各ユニットにおいては、ローラと皿ばねの弾性によってそれぞれ異なった緩衝度合を伴ってブラシ軸の円周部に当接して芯出し調整を行うと言うものである。
【特許文献1】特開昭53−120664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1は、ブラシ軸を少なくと3個の調整ユニットのローラによって3点支持し、各ユニットにおいては、ローラと皿ばねの弾性によってそれぞれ異なった緩衝度合を伴ってブラシ軸の円周部に当接して芯出し調整を行うもので、芯出しが容易で、構造自体が簡素化し、調整ユニットの着脱も簡単であるが、組み込んで得たときの均一な支持についての、予め調整用測定を行っての組み込みをするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、ケースに全てを組込んだ状態で一定荷重を掛け、所定のストロークで押付け力が得られるようなスペーサーの厚みを決定する手段に変更し、それらを測定するための調整用測定冶具を用いて予め測定した後ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドに組み込んだ状態で被ピーリング材に均一な加重が得られるような調整用測定冶具およびそれを用いての調整方法を提供する。
【0007】
その発明の要旨とするところは、
(1)ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具において、スペーサ、皿バネおよびスクリューネジを有する第1ローラホルダーとダイヤルゲージ、油圧ジヤッキおよびロードセルより構成されたことを特徴とするピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具。
【0008】
(2)ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整方法において、各皿バネの特定誤差を予め調整用測定冶具を用いて測定した後、該ピーリング設備に各皿バネ式ガイドを組み込んだ状態で、被ピーリング材に均一な加重が得られるようなスペーサの厚みを決定することを特徴とするピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整方法にある。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本発明による各皿バネの特性誤差を調整用測定冶具により正確に測定した上で補正するため、5箇所でのガイドの押し付け力が全て一定となり、成品の真円度を確保つことができ、また、調整用の測定冶具を用いることにより芯出し調整を効果的に行うことができ、芯出し調整作業時間の短縮、取替え周期の延長を図ることが出来る等極めて優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係るピーリング設備の全体概略図である。この図1に示すように、被ピーリング材1、例えば鋼管表面の黒皮、表面疵等をピーリングするに際し、被ピーリング材1の入側に被ピーリング材1を支持する第1ガイドローラーホルダー3内に配設された第1ガイドローラ2および第2ガイドローラ4および被ピーリング材1の後端部に第3ガイドローラ(図示せず)により支持された状態で、バイトホルダー6に設けられたバイト5によって被ピーリング材1の表面をピーリングする。その場合に、バイトホルダー6に設けられたバイト5は主軸10に連設されたギヤ8の回転動力であるモータ(図示せず)の回転によって、ギヤ8の回転により主軸10が前後進し、テーパーリング9によってバイトホルダー6に設けられたバイト5がピーリングしながら被ピーリング材1の表面を移動するように構成されている。また、符号7は第2ガイドローラ4を支持するための支持本体を示す。
【0011】
図2は、皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具の全体概略図である。この図2に示すように、測定冶具11は第1ガイドローラーホルダー3内に設けられた皿バネ13とその下部にスペーサー12を設け、スクリューネジ14を組み込んだものである。その第1ガイドローラーホルダー3は油圧ジャッキ16で加圧しながら、ダイヤルゲージ15で0.1mm毎の押力をロードセル17で測定するように構成する。
【0012】
図3は、本発明に係る第1ガイドローラーホルダー内の詳細説明図である。この図3に示すように、モータの駆動により回転駆動ネジ20の回転により、スクリューネジ14が前進し、皿バネ13を押し圧する。押し圧された皿バネ13はスペーサー12を介して、第1ガイドローラー2を押し圧し、被ピーリング材1を支持するように構成する。
【0013】
図4は、被ピーリング材を第1ガイドローラで支持する状態を示す詳細図である。この図に示すように、被ピーリング材1を第1ガイドローラ2で5点支持した状態を示している。この支持はモータ21の駆動により回転駆動ネジ20を介してドライブシャフト18に設けれている各回転連動ネジ19に連動させ、この回転連動ネジ19の連動により5個の第1ガイドローラーホルダー3内に設けられたスクリューネジ14で各々の第1ガイドローラ2に作動させて被ピーリング材1を5点で押し付け支持する。
【0014】
次に、本発明の作動手順について説明する。
先ず、第1ガイドローラーホルダー3に皿バネ13、スペーサー12、スクリューネジ14を組み込んだものを測定冶具11にセットする。次いで、油圧ジャッキ16で加圧しながら、ダイヤルゲージ15で0.1mm毎の押力をロードセル17で測定する。図5は、ストロークXとバネ力Yとの関係を示す図である。この図において、横軸にストロークX(mm)、縦軸にバネ力Y(N)をそれぞれとり、この図5に基づいて、0.1mmから0.1mm毎に1.0mmまで押圧を測定する。そのときのストローク1.0mmの時の押力が目標設定した3000Nであれば測定完了とする。
【0015】
目標設定3000N以下の場合は、
(1)上記結果より、皿バネの縮み量X(mm)とバネ力Y(N)の図5に示す近似式(一次式)から求める。
(2)ストローク1.0mmの時の押力が3000Nになるように、スペーサーの厚みを計算する(厚くする)。
(3)上記スペーサーを組み込んで再度測定し、ストローク1.0mmの時、押力が3000Nになることを確認する。
【0016】
3000N以上の場合は、
(1)上記結果より、皿バネの縮み量X(mm)とバネ力Y(N)の図5に示す近似式(一次式)から求める。
(2)ストローク1.0mmの時の押力が3000Nになるように、スペーサーの厚みを計算する(薄くする)。
(3)上記スペーサーを組み込んで再度測定し、ストローク1.0mmの時、押力が3000Nになることを確認する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
先ず、本発明の皿バネ式ガイドロールの調整用測定冶具を用いて、各5個の第1ガイドローラにスペーサー1.0mmのもののバネ力を測定し、目標設定3000Nになるようにスペーサーを0.1mm毎に変えて設定した。いずれもその3000Nのものをピーリング設備に使用した結果、5箇所でのガイドの押し付け力が全て一定となり、切削後の真円度が従来の3/100〜5/100であったものが2/100〜3/100に向上し、切削後の鼻曲りがなくなり、しかも片削りが無くなり、ガイドの再調整が不要となり芯出し時間が短縮され、かつ第1ガイドロールのオーバーホール周期の延長が図られた。
【0018】
なお、ストローク1.0mmの時の押力が3000Nを目標設定値として中心に説明してきたが、3000Nの値は鋼種、寸法および被ピーリング材の回転数などによって変化することから、これらの要因を考慮して3000N、ストローク1.0mmに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るピーリング設備の全体概略図である。
【図2】皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具の全体概略図である。
【図3】本発明に係る第1ガイドローラーホルダー内の詳細説明図である。
【図4】被ピーリング材を第1ガイドローラで支持する状態を示す詳細図である。
【図5】ストロークXとバネ力Yとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 被ピーリング材
2 第1ガイドローラ
3 第1ガイドローラーホルダー
4 第2ガイドローラ
5 バイト
6 バイトホルダー
7 支持本体
8 ギヤ
9 テーパーリング
10 主軸
11 測定冶具
12 スペーサー
13 皿バネ
14 スクリューネジ
15 ダイヤルゲージ
16 油圧ジャッキ
17 ロードセル
18 ドライブシャフト
19 回転連動ネジ
20 回転駆動ネジ
21 モータ


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具において、スペーサ、皿バネおよびスクリューネジを有する第1ローラホルダーとダイヤルゲージ、油圧ジヤッキおよびロードセルより構成されたことを特徴とするピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整用測定冶具。
【請求項2】
ピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整方法において、各皿バネの特定誤差を予め調整用測定冶具を用いて測定した後、該ピーリング設備に各皿バネ式ガイドを組み込んだ状態で、被ピーリング材に均一な加重が得られるようなスペーサの厚みを決定することを特徴とするピーリング設備での皿バネ式第1ガイドの調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−45697(P2009−45697A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214287(P2007−214287)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000180070)山陽特殊製鋼株式会社 (601)
【Fターム(参考)】