説明

フィラメントワインディング装置

【課題】繊維束に対して樹脂を吹付ける方法を用いたフィラメントワインディング装置において、繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させる技術を提供する。
【解決手段】ライナー2を回転させながら移送するとともに、ライナー2の外周面の周囲に配置された繊維供給ガイド44により導かれる繊維束1Bをライナー2の外周面2aに巻き付けていくフィラメントワインディング装置100において、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bに対して樹脂を吹付ける樹脂供給ノズル45を備え、樹脂供給ノズル45は、空気を噴出させる外管86と樹脂を噴出させる内管87とにより構成される二重管構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラメントワインディング装置の技術に関する。より詳細には、フィラメントワインディング装置における繊維束に樹脂を含浸させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂を含浸させた繊維束をライナーの外周面に巻き付けていくフィラメントワインディング装置が知られている。そして、繊維束に樹脂を含浸させる方法として、繊維束を樹脂槽に浸漬させる方法(例えば特許文献1参照。)や、繊維束に対して樹脂を吹付ける方法(例えば特許文献2参照。)等が公知となっている。
【0003】
しかし、繊維束を樹脂槽に浸漬させる方法においては、浸漬後の繊維束を送り出すガイドローラ等に樹脂が付着するためにメンテナンスの頻度が増加するという問題点があった。一方、繊維束に対して樹脂を吹付ける方法においては、繊維束がライナーに巻き付けられる直前に樹脂を吹付けることによってガイドローラ等に樹脂が付着することを回避できるが、繊維束のあらゆる巻き付けの態様に応じてムラ無く樹脂を含浸させることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−108487号公報
【特許文献2】特開平9−262910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、繊維束に対して樹脂を吹付ける方法を用いたフィラメントワインディング装置において、繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、この課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、第1の発明は、ライナーを回転させながら移送するとともに、該ライナーの外周面の周囲に配置された繊維供給ガイドにより導かれる繊維束を該ライナーの外周面に巻き付けていくフィラメントワインディング装置において、
前記ライナーに巻き付けられる手前の前記繊維束に対して樹脂を吹付ける樹脂供給ノズルを備え、
前記樹脂供給ノズルは、空気を噴出させる外管と樹脂を噴出させる内管とにより構成される二重管構造としたものである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記樹脂供給ノズルは、前記外管と前記内管の軸心を偏心させることにより樹脂を吹付ける方向を調節するものである。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記樹脂供給ノズルは、前記ライナーに巻き付けられる繊維束の巻き付け角度に応じて樹脂を吹付ける方向を調節するものである。
【0010】
第4の発明は、第1から第3のいずれかに記載の発明おいて、前記繊維供給ガイドは、前記繊維束を前記ライナーへ導くガイド部材と、
前記ガイド部材の軸心を中心軸として該ガイド部材を回転させるガイド回転機構と、を備え、
前記樹脂供給ノズルは、前記ガイド回転機構に連動して樹脂を吹付ける方向を調節するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
第1の発明によれば、外管から噴出して形成される空気噴流を用いて内管から噴出する樹脂を搬送するために、樹脂供給ノズルの樹脂吹付け特性に及ぼす重力の影響を低減させることができ、繊維束に対して常に安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナーに巻き付けられる手前の繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となる。
【0013】
第2の発明によれば、簡易な構造でありながら樹脂の吹付け方向を適宜調節することができるために、繊維束に対して常に安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナーに巻き付けられる手前の繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となる。
【0014】
第3の発明によれば、ライナーに巻き付けられる繊維束の巻き付け角度に応じて樹脂の吹付け方向を適宜調節するために、繊維束に対して常に安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナーに巻き付けられる手前の繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となる。
【0015】
第4の発明によれば、ガイド回転機構と連動して樹脂の吹付け方向を適宜調節するために、簡易な構造でありながら繊維束に対して常に安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナーに巻き付けられる手前の繊維束にムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るフィラメントワインディング装置の全体構成を示す側面断面図。
【図2】本発明に係るフィラメントワインディング装置を構成するヘリカル巻き装置を示す側面断面図。
【図3】(3A)ヘリカル巻き装置を構成する繊維供給ガイドならびに樹脂供給ノズルを示す側面断面図。(3B)ヘリカル巻き装置を構成する繊維供給ガイドならびに樹脂供給ノズルを示す背面断面図。
【図4】(4A)繊維供給ガイドならびに樹脂供給ノズルを移動する動作を示す一の図。(4B)繊維供給ガイドならびに樹脂供給ノズルを移動する動作を示す他の図。
【図5】(5A)本発明に係るフィラメントワインディング装置の樹脂の吹付けを示す正面図。(5B)本発明に係るフィラメントワインディング装置の樹脂の吹付けを示す側面図。
【図6】(6A)標準状態における樹脂供給ノズルによって形成された樹脂噴霧を示す図。(6B)外管と内管の軸心を偏心させた状態における樹脂供給ノズルによって形成された樹脂噴霧を示す図。
【図7】(7A)ライナー2の移送速度が所定の標準速度である場合における繊維束の糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図。(7B)ライナー2の移送速度が標準速度より増速された場合における繊維束の糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図。
【図8】(8A)ライナーの外径が所定の標準径である場合における繊維束の糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図。(8B)ライナーの外径が標準径より小さい場合における繊維束の糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図1を用いて本発明に係るフィラメントワインディング装置100の全体構成について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るフィラメントワインディング装置100の側面図であり、図中に示す矢印Aはライナー2の移送方向を示している。ここで、ライナー2の移送方向に平行な方向をライナー2若しくはフィラメントワインディング装置100の前後方向とし、ライナー2が移送される方向である一側を前側(本図左側)、その他側を後側(本図右側)と定義する。なお、ライナー2は、フィラメントワインディング装置100の前後方向に往復動するものであるため、図1に示す移送方向と反対側に移送される場合には、前後方向が反対向きとなる。
【0019】
フィラメントワインディング装置100は、備え付けられたライナー2の外周面2aに樹脂を含浸させた繊維束1A・1Bを巻き付けていく装置である。フィラメントワインディング装置100は、主に主基台10と、ライナー移送装置20と、フープ巻き装置30と、ヘリカル巻き装置40と、から構成される。
【0020】
ライナー2は、フィラメントワインディング装置100によって、その外周面2aに繊維束1A・1Bが巻き付けられる被巻回物である。ライナー2は、例えば高強度アルミニウム材やポリアミド系樹脂等によって形成された略円筒形状の中空容器とされ、該ライナー2の外周面2aに繊維束1A・1Bが巻き付けられることによって耐圧特性の向上が図られる。つまり、ライナー2は、耐圧容器を構成する基材とされる。
【0021】
主基台10は、フィラメントワインディング装置100の主たる構造体をなすものである。そして、主基台10の上部に設けられたライナー移送装置用レール11には、ライナー移送装置20がフィラメントワインディング装置100の前後方向に移動可能に載置されている。また、ライナー移送装置用レール11と平行するように設けられたフープ巻き装置用レール12には、フープ巻き装置30がフィラメントワインディング装置100の前後方向に移動可能に載置されている。
【0022】
ライナー移送装置20は、備え付けられたライナー2を後述する回転軸部24を中心軸として回転させるとともに、該ライナー2をフィラメントワインディング装置100の前後方向に移送する装置である。ライナー移送装置20は、主に移送装置基台21と、図示しない移送用駆動装置と、ライナー支持部22と、から構成される。
【0023】
移送装置基台21は、ライナー移送装置20の主たる構造体をなすものであり、上述したように主基台10のライナー移送装置用レール11に載置されて移送用駆動装置によって前後方向に移動可能とされる。そして、移送装置基台21には前後方向に一対のライナー支持部22が設けられており、該ライナー支持部22によってライナー2が支持されることとなる。
【0024】
具体的には、ライナー支持部22は、主に移送装置基台21から上方に向けて延設されたライナー支持フレーム23と、該ライナー支持フレーム23の上部から前後方向に向けて延設された回転軸部24と、で構成される。そして、一対のライナー支持部22を構成するそれぞれの回転軸部24にチャック等によって取り付けられたライナー2は、回転軸部24によって一方向に回転されることとなる。
【0025】
このような構成により、ライナー2は、該ライナー2の回転軸がフィラメントワインディング装置100の前後方向に対して平行となるように回転されるとともに、フィラメントワインディング装置100の前後方向に移送されるのである。
【0026】
フープ巻き装置30は、フィラメントワインディング装置100の前後方向に対して略垂直となるようにライナー2の外周面2aに繊維束1Aを巻き付けていく、いわゆるフープ巻きを行なう装置である。フープ巻き装置30は、主にフープ巻き装置基台31と、図示しない移送用駆動装置と、回転用駆動装置32と、フープ巻き掛け装置33と、から構成される。
【0027】
フープ巻き装置基台31は、フープ巻き装置30の主たる構造体をなすものであり、上述したように主基台10のフープ巻き装置用レール12に載置されて移送用駆動装置によって前後方向に移動可能とされる。そして、フープ巻き装置基台31には回転用駆動装置32ならびにフープ巻き掛け装置33が設けられており、回転用駆動装置32によりフープ巻き掛け装置33が回転されることによって繊維束1Aの巻き付けが行なわれるものとされる。
【0028】
具体的には、フープ巻き掛け装置33は、主にフープ巻きを行なう巻き掛けテーブル34と、該巻き掛けテーブル34に繊維束1Aの供給を行なうボビン35・35・・・と、で構成される。巻き掛けテーブル34は、ライナー2の外周面2aに繊維束1Aを導く複数の繊維供給ガイドと、該繊維供給ガイドからライナー2へ向かう繊維束1Aに対して樹脂を吹付ける複数の樹脂供給ノズルとが配置された部材である。
【0029】
詳細に説明すると、巻き掛けテーブル34には、ライナー2の外周面2aから互いに等しい距離となるように繊維供給ガイドが放射状に配置されており、これらの繊維供給ガイドにより導かれるそれぞれの繊維束1Aに対して樹脂供給ノズルから樹脂を吹付けるものとされる。そして、このようにして樹脂が含浸された繊維束1Aは、フープ巻き装置30が巻き掛けテーブル34を回転させながら前後方向に移動することによってライナー2の外周面2aに巻き付けられていくのである。
【0030】
ヘリカル巻き装置40は、フィラメントワインディング装置100の前後方向に対して所定の角度となるようにライナー2の外周面2aに繊維束1Bを巻き付けていく、いわゆるヘリカル巻きを行なう装置である。ヘリカル巻き装置40は、主にヘリカル巻き装置基台41と、ヘリカル巻き掛け装置42と、から構成される。
【0031】
ヘリカル巻き装置基台41は、ヘリカル巻き装置40の主たる構造体をなすものであり、主基台10に固設されている。そして、ヘリカル巻き装置基台41にはヘリカル巻き掛け装置42が設けられており、ライナー移送装置20に備え付けられたライナー2が回転されながら前後方向に移送されて、ヘリカル巻き掛け装置42を通過することによって繊維束1Bの巻き付けが行なわれるものとされる。
【0032】
具体的には、ヘリカル巻き掛け装置42は、主にヘリカル巻きを行なうヘリカル巻きヘッド43と、該ヘリカル巻きヘッド43に繊維束1Bの供給を行なう図示しないボビンと、で構成される。ヘリカル巻きヘッド43は、ライナー2の外周面2aに繊維束1Bを導く複数の繊維供給ガイド44と、該繊維供給ガイド44からライナー2へ向かう繊維束1Bに対して樹脂を吹付ける複数の樹脂供給ノズル45とが配置された部材である(図2参照。)。
【0033】
詳細に説明すると、ヘリカル巻きヘッド43には、ライナー2の外周面2aから互いに等しい距離となるように繊維供給ガイド44が放射状に配置されており、これらの繊維供給ガイド44により導かれるそれぞれの繊維束1Bに対して樹脂供給ノズル45から樹脂を吹付けるものとされる。そして、このようにして樹脂が含浸された繊維束1Bは、ライナー移送装置20に備え付けられたライナー2が回転されながら移送されることによって該ライナー2の外周面2aに巻き付けられていくのである。
【0034】
図2、図3を用いて本発明に係るフィラメントワインディング装置100のヘリカル巻き装置40と、該ヘリカル巻き装置40を構成する繊維供給ガイド44ならびに樹脂供給ノズル45について説明する。
【0035】
図2は、フィラメントワインディング装置100のヘリカル巻き装置40の構成を示す側面断面図である。図3Aは、ヘリカル巻き装置40を構成する繊維供給ガイド44ならびに樹脂供給ノズル45を示す側面断面図であり、図3Bは、その背面断面図を示している。
【0036】
上述したように、ヘリカル巻き装置40は、主たる構造体をなすヘリカル巻き装置基台41と、ヘリカル巻きヘッド43等からなるヘリカル巻き掛け装置42と、から構成される。そして、ヘリカル巻きヘッド43に設けられた繊維供給ガイド44は、図示しないボビンから供給された繊維束1Bをライナー2へ導くものとされ、樹脂供給ノズル45は、繊維供給ガイド44からライナー2へ向かう繊維束1Bに対して樹脂を吹付けるものとされる。
【0037】
図2、図3を用いて繊維供給ガイド44について詳細に説明する。繊維供給ガイド44は、主にガイド50と、ガイド進退機構60と、ガイド回転機構70と、から構成される。
【0038】
ガイド50は、ボビンから供給された繊維束1Bをライナー2の外周面2aまで導くものである。ガイド50は、主に繊維束1Bの案内通路が形成された略テーパ形状のガイド部材51と、該ガイド部材51が挿通される側面視L字形状のガイド支持部材52と、で構成される。
【0039】
ガイド部材51は、その一側である入口部51aから他側である出口部51bまで貫通するように案内通路が形成されており、ボビンから供給された繊維束1Bをライナー2の外周面2aまで導くものである。なお、ガイド部材51は、その出口部51bの形状が略長円形状に形成されており、これによって、扁平形状の繊維束1Bをライナー2の外周面2aに円滑に供給することを可能としている。
【0040】
ガイド支持部材52は、ガイド部材51が挿通される貫通穴52aが設けられて、該ガイド部材51をその軸心を中心軸として回転自在に支持するものである。
【0041】
このような構成により、ボビンから供給された繊維束1Bは、ガイド支持部材52に支持されたガイド部材51に導かれてライナー2の外周面2aに巻き付けられていくのである。
【0042】
ガイド進退機構60は、ライナー2の外周面2aに対して進退する方向にガイド50を移動させる機構である。ガイド進退機構60は、主にガイド支持部材52に設けられた貫通穴52bに挿通されて該ガイド支持部材52を軸心方向に移動自在とするガイド軸61と、ガイド支持部材52を案内する案内溝62aが穿設された環状の溝カム62と、で構成される。
【0043】
ガイド軸61は、その軸心がライナー2の回転軸に対して垂直となる方向に設けられており、該ガイド軸61の両端はライナー2の回転軸と同軸となるように配置された断面視C字形状の環状部材46に固設されている。
【0044】
溝カム62は、その回転軸がライナー2の回転軸と同軸となるように配置され、環状部材46の凹部46aに内設されている。そして、溝カム62の一面には回転に伴って径方向に軌道が変化する案内溝62aが穿設されており、該案内溝62aには前後方向に対して平行に突設されたガイド支持部材52の突出部52cが挿入されている。
【0045】
このような構成により、図4(A)、図4(B)に示すように、ライナー2の外周面2aに対して進退する方向にガイド50を移動させることが可能となる。つまり、ライナー2の外径に応じて溝カム62を回転すると、該溝カム62の案内溝62aにガイド支持部材52を案内させることができ、ガイド50をガイド軸61の軸心方向に移動させることが可能となるのである。
【0046】
これにより、図4(A)から図4(B)に示す状態へ繊維束1Bの巻き付け位置におけるライナー2の外径が変化した場合であっても、外周面2aとガイド部材51との距離を略一定とすることができる。こうして、繊維束1Bの張力の安定化を図ることが可能となるのである。なお、図4(B)から図4(A)に示す状態へ繊維束1Bの巻き付け位置におけるライナー2の外径が変化した場合であっても、同様に繊維束1Bの張力の安定化を図ることが可能となる。
【0047】
ガイド回転機構70は、ガイド部材51の軸心を中心軸として該ガイド部材51を回転させる機構である。ガイド回転機構70は、主にガイド支持部材52に設けられた貫通穴52dに挿通されて回転自在に支持される伝達軸71と、該伝達軸71の一端部に形成されたスプライン軸部により挿通される略円筒形状のソケット72と、環状のフェースギヤ73と、で構成される。
【0048】
伝達軸71は、その軸心がライナー2の回転軸に対して垂直となる方向であってガイド進退機構60を構成するガイド軸61と平行に設けられている。そして、伝達軸71の一端はガイド支持部材52の貫通穴52dに回転自在に挿通され、スプライン軸部が形成された他端はソケット72に挿通されている。また、伝達軸71の中途部にはガイド部材51の一端部に設けられたドリブンギヤ51cと噛合するようにドライブギヤ71aが設けられている。
【0049】
ソケット72は、その軸心方向にスプライン穴が形成されており、該スプライン穴には上述したように伝達軸71のスプライン軸部が挿通される。そして、ソケット72は、ライナー2の回転軸と同軸となるように配置された環状部材46にその軸心を中心軸として回転自在に支持されている。
【0050】
フェースギヤ73は、その回転軸がライナー2の回転軸と同軸となるように配置され、環状部材46の外周に回転自在に外嵌されている。そして、フェースギヤ73のギヤ部はソケット72の一端部に設けられたドリブンギヤ72aと噛合される。
【0051】
このような構成により、ガイド部材51の軸心を中心軸として該ガイド部材51を回転させることが可能となる。つまり、フェースギヤ73を回転すると、伝達軸71やソケット72を介してガイド部材51を回転させることが可能となるのである。
【0052】
これにより、ガイド部材51とライナー2とを近接させた場合であっても、該ガイド部材51の略長円形状である出口部51bを互いに干渉しない角度に位相を揃えることができ、該ガイド部材51同士の当接を回避することが可能となるのである。
【0053】
次に、図2、図3を用いて樹脂供給ノズル45について詳細に説明する。樹脂供給ノズル45は、主にノズル本体部80と、二重管ノズル部85と、二重管ノズル偏心機構90と、で構成される。なお、樹脂供給ノズル45は、繊維供給ガイド44を構成するガイド支持部材52の側方に取り付けられている。
【0054】
ノズル本体部80は、バルブ等を介して図示しない空気タンクと接続されており、該空気タンクから供給される空気を二重管ノズル部85へ導くものである。ノズル本体部80には、空気タンクから空気を導く配管(図示せず)が接続される空気通路80aと、該空気通路80aによって導かれた空気が流入する空気室80bと、が設けられている。本実施形態において、空気室80bは、ノズル本体部80の一端面から穿設された円筒形状の空間であり、該空気室80bの軸心に対して垂直に空気通路80aが連通されている。
【0055】
二重管ノズル部85は、その先端部分にある噴射口85aから空気ならびに樹脂を噴出させる二重管構造の噴出管である。二重管ノズル部85は、主に円管形状の外管86と、該外管86に内設された円管形状の内管87と、から構成される。
【0056】
外管86は、空気を噴出させるエアノズルであり、その一端部にはノズル本体部80に設けられた空気室80bの内径と略同一の外径とする拡管部86aが形成されている。そして、外管86は、空気室80bの開口部に拡管部86aが圧入されることによって取り付けられ、空気タンクから空気室80bに導かれた空気を噴射口85aから噴出することを可能としている。
【0057】
内管87は、樹脂を噴出させる樹脂ノズルであり、その一端部には図示しない樹脂タンクから樹脂を導く配管(図示せず)が接続されている。そして、内管87は、ノズル本体部80の空気室80bと同軸となるように設けられた貫通穴80cに挿通されることによって、二重管ノズル部85を構成するとともに、外管86による空気の噴出方向と同じ方向に樹脂を噴出することを可能としている。
【0058】
このような構成により、空気タンクから供給された空気は、外管86と内管87との隙間から噴出し、樹脂タンクから供給された樹脂は、内管87から噴出させることが可能となる。
【0059】
二重管ノズル偏心機構90は、二重管ノズル部85を構成する外管86と内管87の軸心を偏心させる機構である。二重管ノズル偏心機構90は、主にガイド部材51の一端部に設けられたカム部51dと、該カム部51dにより従動するアーム部91と、該アーム部91を揺動自在に支持する軸部92と、で構成される。
【0060】
カム部51dは、そのベース円部がガイド部材51の中心軸と同軸となるように設けられている。そして、ガイド回転機構70の機構によりガイド部材51が回転された際には、カム部51dも共に回転するものとされる。
【0061】
アーム部91は、その一端部にガイド部材51のカム部51dと当接されるローラ91aが回転自在に設けられている。そして、アーム部91の他端部には二重管ノズル部85を構成する内管87を、その軸心に対して垂直となる方向へ押動させる押動腕91bが設けられている。
【0062】
軸部92は、アーム部91の中途部に設けられて、該アーム部91をガイド支持部材52に対して揺動可能に支持する部材である。そして、ガイド部材51のカム部51dが回転された際には、軸部92を支点としてアーム部91が揺動するものとされる(図3B矢印参照。)。
【0063】
これにより、アーム部91のローラ91aが力点、軸部92が支点、そして、アーム部91の押動腕91bが作用点とされて、作用点である押動腕91bによって二重管ノズル部85の内管87が、その軸心に対して垂直となる方向へ押動されることとなる。
【0064】
このような構成により、二重管ノズル部85を構成する内管87を外管86の中心軸に対して偏心させることが可能となる。つまり、ガイド回転機構70の機構によりガイド部材51のカム部51dを回転すると、アーム部91を揺動させることができ、該アーム部91の押動腕91bが内管87を押動することによって偏心させることが可能となるのである。
【0065】
なお、ノズル本体部80に設けられた貫通穴80cと該貫通穴80cに挿通された内管87との間にはゴム等の弾性体でなるブーツ81が環装されている。これにより、二重管ノズル偏心機構90の機構により内管87が押動された場合であっても貫通穴80cから空気漏れを防ぐことができるとともに、内管87が押動されていないときにはブーツ81によって外管86と内管87とが同軸となるように支持される。
【0066】
また、本発明に係るフィラメントワインディング装置100の樹脂供給ノズル45においては、二重管ノズル部85を構成する内管87を外管86の中心軸に対して偏心させる機構としているが、外管86を内管87の中心軸に対して偏心させる機構としても良い。
【0067】
以上のような構成において、本発明に係るフィラメントワインディング装置100における樹脂の吹付けの態様について説明する。
【0068】
図5Aは、本発明に係るフィラメントワインディング装置100の樹脂の吹付けを示す正面図であり、図5Bは、その側面図である。なお、簡単のために繊維供給ガイド44ならびに樹脂供給ノズル45については各1個を記載して説明する。また、図中に示す矢印Aはライナー2の移送方向、矢印Bはその回転方向を示している。
【0069】
本発明に係るフィラメントワインディング装置100において、樹脂供給ノズル45は、該樹脂供給ノズル45の噴射口85aとライナー2の回転軸Cとを結ぶ仮想線D(図示二点鎖線)よりもライナー2の回転方向(図示時計方向)の下流側に向けて(図5A参照。)、且つ、ライナー2の移送方向に対して垂直となる仮想線E(図示二点鎖線)よりもライナー2の前側に向けて(図5B参照。)樹脂を吹付けるものとされる。
【0070】
また、図5A、図5Bに示すように、繊維供給ガイド44のガイド部材51からライナー2へ導かれる繊維束1Bは、正面視にて時計方向に回転されながら、側面視にてフィラメントワインディング装置100の前側に移送されるライナー2によってその外周面2aに巻き付けられていくために、ライナー2の回転方向の下流側、且つ、ライナー2の前側へ張架されることとなる。
【0071】
このため、ガイド部材51とライナー2との間で張架された繊維束1Bは、樹脂供給ノズル45から噴出して形成される樹脂噴霧に沿うようにしてライナー2へ向かうこととなるために、該ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bに樹脂を含浸させることが可能となる。また、ライナー2の外周面2aに達した樹脂噴霧は、その後、外周面2aに沿って流れることとなるために、樹脂の飛散に起因した歩留りの悪化を防止することが可能となる。
【0072】
ここで、樹脂供給ノズル45から樹脂を噴出することによって形成される樹脂噴霧について詳細に説明する。
【0073】
図6Aは、標準状態における樹脂供給ノズル45によって形成された樹脂噴霧を示す図であり、図6Bは、外管86と内管87の軸心を偏心させた状態における樹脂供給ノズル45によって形成された樹脂噴霧を示す図である。なお、図中に示す矢印Fは樹脂の吹付け方向を示している。
【0074】
二重管ノズル部85の内管87から噴出された樹脂は、比較的に粘度が高い場合であっても外管86から噴出されて周囲に形成される空気噴流によって適度に微粒化される。そして、微粒化された樹脂は、比較的に比重が大きい場合であっても空気噴流に乗じることによって搬送されることとなる。
【0075】
これにより、図6Aに示すように、二重管ノズル部85の内管87と外管86とが同軸である、即ち、標準状態である樹脂供給ノズル45から噴出された樹脂は、その周囲に均一に形成された空気噴流に乗じて搬送されるために直進することとなる。
【0076】
一方、図6Bに示すように、二重管ノズル部85の外管86と内管87の軸心を偏心させた状態である樹脂供給ノズル45から噴出された樹脂は、その周囲に形成された空気噴流が不均一であるために直進することができない。つまり、外管86と内管87との隙間が広い部分から噴出された空気噴流に対して隙間が狭い部分から噴出された空気噴流は急速に消散するため、空気噴流が消散した下流側において樹脂噴霧が広がることによって樹脂の吹付け方向が変化するのである。
【0077】
従って、外管86と内管87との偏心量を制御することによって簡易な構造でありながら最適な樹脂の吹付け方向に調節することができ、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bにムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となるのである。
【0078】
なお、本発明に係るフィラメントワインディング装置100の樹脂供給ノズル45は、二重管ノズル偏心機構90の機構上、フィラメントワインディング装置100の前後方向に対して垂直、換言すると、ライナー2の移送方向に対して垂直となる方向に樹脂の吹付け方向を調節することが可能とされる。
【0079】
また、外管86に対する内管87の偏心量は、カム部51dのカム形状とその回転角によって決定される。そのため、ガイド回転機構70と連動して樹脂の吹付け方向が所望の方向となるようにカム部51dのカム形状ならびに回転角が設計されている。
【0080】
次に、ライナー2に巻き付けられる繊維束1Bの巻き付け角度に応じて樹脂の吹付け方向を調節する一実施形態について説明する。
【0081】
ここで、本実施形態に係るフィラメントワインディング装置100においては、ライナー移送装置20によるライナー2の移送速度を調節することによって、ライナー2に巻き付けられる繊維束1Bの巻き付け角度を変更するものとしている。
【0082】
図7Aは、ライナー2の移送速度が所定の標準速度である場合における繊維束1Bの糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図であり、図7Bは、ライナー2の移送速度が標準速度より増速された場合における繊維束1Bの糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図である。なお、図中に示す矢印Aはライナー2の移送方向、矢印Bはその回転方向、矢印Gは繊維束1Bの巻き付け角度を示している。
【0083】
本実施形態においても前述したように、樹脂供給ノズル45は、該樹脂供給ノズル45の噴射口85aとライナー2の回転軸とを結ぶ仮想線Dよりもライナー2の回転方向の下流側に向けて(図5A参照。)、且つ、ライナー2の移送方向に対して垂直となる仮想線Eよりもライナー2の前側に向けて(図5B参照。)樹脂を吹付けるものとされる。
【0084】
図7Aに示すように、ライナー移送装置20によるライナー2の移送速度が所定の標準速度である場合、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bの糸道は、ライナー2の回転方向の下流側、且つ、ライナー2の前側へ張架されることとなる。そして、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度は所定の角度R1となる。
【0085】
一方、図7Bに示すように、ライナー移送装置20によるライナー2の移送速度が標準速度より増速された場合、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bの糸道は、更にライナー2の前側へ移動することとなる。これにより、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度は、角度R1より小さい角度R2となる。
【0086】
このように、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bは、ライナー2の移送速度によって糸道が変化するために、繊維束1Bに対してムラ無く確実に樹脂を含浸させるには樹脂の吹付け方向を適宜に調節することが必要とされるのである。
【0087】
具体的には、ライナー2の移送速度が標準速度より増速された場合、上面視にてライナー2の移送速度が標準速度のときよりもライナー2の回転軸に近接した位置にある繊維束1Bの糸道に向けて樹脂を吹付けるように調節される(図7B参照。)。
【0088】
これは、二重管ノズル偏心機構90は、その機構上、ライナー2の移送方向に対して垂直に樹脂の吹付け方向を調節することが可能とされるためであり、例えば、ライナー2の移送方向に対して垂直となる方向のみならずライナー2の移送方向にも調節可能とする機構を設けても良い。
【0089】
なお、本実施形態においては、ライナー2の移送速度を増速するのみによって繊維束1Bの巻き付け角度を変更するものとしているが、例えばライナー2の移送速度を減速することによって繊維束1Bの巻き付け角度を変更する構成も考えられる。
【0090】
この場合においては、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度が、角度R1より大きい角度となるために、上面視にてライナー2の回転軸から離間した位置にある繊維束1Bの糸道に向けて樹脂を吹付けるように調節される。
【0091】
このように、ライナー2に巻き付けられる繊維束1Bの巻き付け角度に応じて樹脂の吹付け方向を適宜に調節することで、繊維束1Bに対して安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bにムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となるのである。
【0092】
更に、本実施形態においては、ライナー移送装置20によるライナー2の移送速度を調節することによって繊維束1Bの巻き付け角度を変更するものとしているが、ライナー2の回転速度を調節することによって繊維束1Bの巻き付け角度を変更する構成も考えられる。
【0093】
この場合においても、ライナー2に巻き付けられる繊維束1Bの巻き付け角度に応じて樹脂の吹付け方向を適宜に調節することで、繊維束1Bに対して安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bにムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となる。
【0094】
なお、繊維束1Bの巻き付け角度を変更する構成がいずれの場合であったとしても、ガイド部材51は、繊維束1Bを円滑に送り出すべくガイド回転機構70によって回転されて、その略長円形状の出口部51bの位相を変更される。そして、樹脂供給ノズル45による樹脂の吹付け方向もこれに連動して最適な方向に調節されるのである。
【0095】
次に、ライナー2の外径に応じて樹脂の吹付け方向を調節する一実施形態について説明する。
【0096】
図8Aは、ライナー2の外径が所定の標準径である場合における繊維束1Bの糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図であり、図8Bは、ライナー2の外径が標準径より小さい場合における繊維束1Bの糸道と樹脂の吹付け方向とを示す上面図である。なお、図中に示す矢印Aはライナー2の移送方向、矢印Bはその回転方向、矢印Gは繊維束1Bの巻き付け角度を示している。
【0097】
本実施形態においても前述したように、樹脂供給ノズル45は、該樹脂供給ノズル45の噴射口85aとライナー2の回転軸とを結ぶ仮想線Dよりもライナー2の回転方向の下流側に向けて(図5A参照。)、且つ、ライナー2の移送方向に対して垂直となる仮想線Eよりもライナー2の前側に向けて(図5B参照。)樹脂を吹付けるものとされる。
【0098】
図8Aに示すように、ライナー2の外径が所定の標準径である場合、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bの糸道は、ライナー2の回転方向の下流側、且つ、ライナー2の前側へ張架されることとなる。そして、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度も所定の角度r1となる。
【0099】
一方、図8Bに示すように、ライナー2の外径が標準径より小さい場合、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bの糸道は、更にライナー2の前側へ移動することとなる。これは、ライナー2の回転速度が標準径であるときの回転速度と同じであったとしても、ライナー2の回転によって繊維束1Bを巻き付ける速度が遅くなるためである。これにより、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度は、角度r1より小さい角度r2となる。
【0100】
このように、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bは、ライナー2の外径によって糸道が変化するために、繊維束1Bに対してムラ無く確実に樹脂を含浸させるには樹脂の吹付け方向を適宜に調節することが必要とされるのである。
【0101】
具体的には、ライナー2の外径が標準径より小さい場合、上面視にてライナー2の外径が標準径のときよりもライナー2の回転軸に近接した位置にある繊維束1Bの糸道に向けて樹脂を吹付けるように調節される(図8B参照。)。
【0102】
これは、二重管ノズル偏心機構90は、その機構上、ライナー2の移送方向に対して垂直に樹脂の吹付け方向を調節することが可能とされるためであり、例えば、ライナー2の移送方向に対して垂直となる方向のみならずライナー2の移送方向にも調節可能とする機構を設けても良い。
【0103】
また、例えばライナー2の外径が標準径より大きい場合では、フィラメントワインディング装置100の前後方向とライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bとでなる繊維束1Bの巻き付け角度が、角度r1より大きい角度となるために、上面視にてライナー2の回転軸から離間した位置にある繊維束1Bの糸道に向けて樹脂を吹付けるように調節される。
【0104】
このように、ライナー2の外径に応じて樹脂の吹付け方向を適宜に調節することで、繊維束1Bに対して安定して樹脂を吹付けることが可能となる。従って、ライナー2に巻き付けられる手前の繊維束1Bにムラ無く確実に樹脂を含浸させることが可能となるのである。
【0105】
また、当然のことながら、ライナー2に繊維束1A・1Bを巻き付けていくと、既に巻かれた繊維束1A・1Bの層の厚さが徐々に増していくことになり、巻き付け部の外径は次第に大きくなる。従って、繊維束1A・1Bの巻き付け量に応じて樹脂の吹付け方向も徐々に変えていく必要がある。更に、ライナー2の前側若しくは後側端部に巻き付け位置が移っていくと、巻き付け部の外径は徐々に小さくなり巻き付け角度も変化する。樹脂の吹き付け方向もこれに連動させる必要がある。本発明によれば、このような調節も適宜に行なうことが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1A・1B 繊維束
2 ライナー
2a 外周面
10 主基台
20 ライナー移送装置
30 フープ巻き装置
40 ヘリカル巻き装置
42 ヘリカル巻き掛け装置
43 ヘリカル巻きヘッド
44 繊維供給ガイド
45 樹脂供給ノズル
50 ガイド
51 ガイド部材
51d カム部
52 ガイド支持部材
60 ガイド進退機構
61 ガイド軸
62 溝カム
62a 案内溝
70 ガイド回転機構
71 伝達軸
72 ソケット
73 フェースギヤ
80 ノズル本体部
85 二重管ノズル部
85a 噴射口
86 外管
87 内管
90 二重管ノズル偏心機構
91 アーム部
91a ローラ
91b 押動腕
92 軸部
100 フィラメントワインディング装置
D 仮想線
E 仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーを回転させながら移送するとともに、該ライナーの外周面の周囲に配置された繊維供給ガイドにより導かれる繊維束を該ライナーの外周面に巻き付けていくフィラメントワインディング装置において、
前記ライナーに巻き付けられる手前の前記繊維束に対して樹脂を吹付ける樹脂供給ノズルを備え、
前記樹脂供給ノズルは、空気を噴出させる外管と樹脂を噴出させる内管とにより構成される二重管構造とした、ことを特徴とするフィラメントワインディング装置。
【請求項2】
前記樹脂供給ノズルは、前記外管と前記内管の軸心を偏心させることにより樹脂を吹付ける方向を調節する、ことを特徴とする請求項1に記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項3】
前記樹脂供給ノズルは、前記ライナーに巻き付けられる繊維束の巻き付け角度に応じて樹脂を吹付ける方向を調節する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィラメントワインディング装置。
【請求項4】
前記繊維供給ガイドは、前記繊維束を前記ライナーへ導くガイド部材と、
前記ガイド部材の軸心を中心軸として該ガイド部材を回転させるガイド回転機構と、を備え、
前記樹脂供給ノズルは、前記ガイド回転機構に連動して樹脂を吹付ける方向を調節する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のフィラメントワインディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−102009(P2011−102009A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258419(P2009−258419)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】