フィルターエレメントの製造方法およびその製造装置
【課題】 フィルターを予め所要形態に形成し金型内に挿入する工程を要せず、余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時に余分なフィルター部分が切断され、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できるフィルターエレメントの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】 本発明のフィルターエレメントの製造装置1は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4と、フィルター材20を配した状態でコア2およびキャビティ3間に樹脂を充填する樹脂充填手段5と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とを離型させるためのエジェクトピン6とを有し、エジェクトピン6が樹脂製枠材51とフィルター材20を押圧する際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製されるフィルターエレメントの製造装置である。
【解決手段】 本発明のフィルターエレメントの製造装置1は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4と、フィルター材20を配した状態でコア2およびキャビティ3間に樹脂を充填する樹脂充填手段5と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とを離型させるためのエジェクトピン6とを有し、エジェクトピン6が樹脂製枠材51とフィルター材20を押圧する際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製されるフィルターエレメントの製造装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製枠材と樹脂製枠材に張設されたフィルターとから構成され、液体または気体を通過させるためのフィルターエレメントの製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属材料、紙材或いは樹脂材料などで形成されたフィルターを、保形またはカートリッジ化するための樹脂製枠材に張設して一体成形したフィルターエレメントが、種々製品の一部品として多用されている。例えばそのようなものとして、図10または図11に示したフィルターエレメント50がある。
このフィルターエレメント50は、筒状の樹脂製枠材51と、樹脂製枠材51の先端側開口を被覆するように張設されたフィルター52とからなり、ムースなどの泡状整髪料をフィルター52を介して滲出させるために容器の先端部に装着する部品である。
【0003】
この種のフィルターエレメントは、予め所望の形状に形成したフィルターを、樹脂成形装置の金型内、具体的にはコア側或いはキャビティ側に個々に挿嵌した後、コアおよびキャビティ間に樹脂を充填することにより、フィルターと樹脂製枠材を熔着させ一体化して作製していた。または、本願出願人が特許第3433375号公報にて提案したように、長尺状フィルターを樹脂成形装置の金型内に延在させ、コア側或いはキャビティ側に配置した後、コアおよびキャビティ間に樹脂を充填することにより、順次、フィルターと樹脂製枠材とを一体化して作製していた。
【特許文献1】特許第3433375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前者のようなフィルターエレメントの製造方法では、予めフィルターを所要形態に形成する工程と、手作業によってフィルターを金型内に装着する工程とを要するため、著しく手間を要すると共に非生産的でコスト高の要因となっていた。また、後者の方法では、予めフィルターを所要形態に形成する工程と、手作業によってフィルターを金型内に装着する工程は不要となるものの、長尺状フィルターに多数の樹脂製枠材が付着したままの状態であるため、樹脂成形の後に切断装置により余分のフィルター部分を切断削除しなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、さらに余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できるフィルターエレメントの製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型内において、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填され樹脂製枠材とフィルター材とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材とフィルター材が前記コア或いはキャビティから離型される工程とを有し、前記離型される工程では、一体化された樹脂製枠材とフィルター材とがエジェクトピンにて押圧される際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造方法である。
【0007】
前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程では、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材が、前記金型の一端側から他端側に向かって移送されて配されることが好ましい。
【0008】
また、上記課題を解決するものは、所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型と、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配した状態で前記コアおよびキャビティ間に樹脂を充填するための樹脂充填手段と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とを前記コア或いはキャビティから離型させるためのエジェクトピンとを有し、当該エジェクトピンが一体化された樹脂製枠材とフィルター材を押圧する際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造装置である。
【0009】
前記フィルターエレメントの製造装置は、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材を前記金型の一端側から他端側に向かって移送可能とするための長尺状フィルター材移送手段を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、さらに余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項2に記載した発明によれば、上記請求項1の効果に加え、成形毎にフィルター材を配する必要がなく、より量産性に優れ、より容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項3に記載した発明によれば、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項4に記載した発明によれば、上記請求項3の効果に加え、成形毎にフィルター材を配する必要がなく、より量産性に優れ、より容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のフィルターエレメントの製造方法または装置は、樹脂充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とが、エジェクトピンにより押圧される際に、フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを主要な特徴とする。
【実施例】
【0012】
まず、本発明のフィルターエレメントの製造装置を図1ないし図9に示した一実施例を用いて説明する。図1は本発明のフィルターエレメントの製造装置の一実施例の平面概略図であり、図2は図1に示したフィルターエレメントの製造装置のコア側金型盤面図であり、図3ないし図6は図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図であり、図7ないし図9は図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【0013】
この実施例のフィルターエレメントの製造装置1は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4と、コア2側或いはキャビティ3側にフィルター材20を配した状態でコア2およびキャビティ3間に樹脂を充填するための樹脂充填手段5と、金型4内においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とする長尺状フィルター材移送手段7と、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とをコア2或いはキャビティ3から離型させるためのエジェクトピン6とを有し、当該エジェクトピン6が一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20を押圧する際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製されるフィルターエレメントの製造装置である。以下、各構成について順次詳述する。
【0014】
このフィルターエレメントの製造装置1は、図10および図11に示すようなフィルターエレメント50を製造する装置である。フィルターエレメント50は、筒状の樹脂製枠材51と、樹脂製枠材51の先端面開口を被覆するように張設されたフィルター52とから構成されている。
【0015】
樹脂製枠材51は、後述する樹脂充填手段5より金型4内に供給(射出)される熔融樹脂によって形成され、フィルター52は、長尺状フィルター材20により形成される。長尺状フィルター材20は、使用目的等に応じて金属材料、紙材或い樹脂材料などから適宜選択使用される。
【0016】
金型4は、フィルターエレメント50を作製する部位であり、樹脂製枠材51の樹脂成形、樹脂成形に際する樹脂製枠材51とフィルター材20との一体化、フィルター材20の所要形状への切断を行う部位であり、図1に示すように、コア2を備えたコア側第1金型盤8と、エジョクトピン6を備えたコア側第2金型盤9と、キャビティ3を備えたキャビティ側金型盤10とを有している。そして、樹脂を充填する場合は、図5に示すように、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9がキャビティ側金型盤10側に移動してキャビティ側金型盤10に接近し、コア2およびキャビティ3を係合させるように構成されている。なお、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9の往復動は、エアシリンダーなどの駆動手段を電気的に制御することにより実現されている。
【0017】
コア側第1金型盤8の中央部付近には、図2に示すように、4つのコア2a,2b,2c,2dを有したコア側樹脂成形部8aが設けられており、これらコア2a,2b,2c,2dは同一形態のフィルターを形成するため同一形態に構成されている。ただし、本発明のフィルター製造装置は、コア側第1金型盤が4つのコアを有するものに限定されず、一以上のコアを有するものを広く包含する。また、複数のコアを有する場合、同一形態のコアを有するものに限定されず、異種形態のコアを有するものも包含する。さらに、この実施例のコア2は、平面視で略矩形(四方角部を面取りした矩形)に構成され筒状のフィルターエレメントを形成するものであるが、これに限定されるものではなく、円形、楕円形、その他の多角形など異形の平面形状を有するものでもよい。
【0018】
他方、キャビティ側金型盤10の中央部付近には、コア側樹脂成形部8aに対応する位置に設けられたキャビティ側樹脂成形部が設けられており、このキャビティ側樹脂成形部には、コア2a,2b,2c,2dとそれぞれ対をなすキャビティ3がそれぞれ設けられている。
【0019】
長尺状フィルター材移送手段7は、金型4内(この実施例では、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9との間)においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とするためのものである。
【0020】
この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、コア側第2金型盤9の上下付近にそれぞれ設けられた一対の送り装置から構成されており、この送り装置が長尺状フィルター材20を保持した状態で、金型4の上端側から下端側に向かって樹脂充填毎に長尺状フィルター材20を間欠的に送り出すように機能する。ただし、本発明の長尺状フィルター材移送手段は、この実施例のような形態のものに限定されるものではなく、長尺状フィルター材を金型の一端側から他端側に向かって移送可能なものを広く包含し、さらに、長尺状フィルター材が金型内を移動して適宜自動供給される方式のものを広く包含する。
【0021】
なお、この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、フィルターエレメント50が先端面のみにフィルター面を有するものであることから、図7に示すように、先端側フィルター面を形成する長尺状フィルター材20を保持して移送するように構成されているが、これに限定されず、側面にもフィルター面を有するフィルターエレメントの場合は、側面側フィルター面を形成する側面側フィルター材を保持して移送するものも本発明の範疇に包含される。
【0022】
また、この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9との間においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とするものであるが、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10との間にて長尺状フィルター材20を保持するものでもよい。
【0023】
樹脂充填手段5は、コア2およびキャビティ3間に樹脂を充填するためのものであり、図1に示すように、射出装置5aと、この射出装置5aと連通しキャビティ側金型盤10の内部を貫通して設けられたスプルーランナー5bと、このスプルーランナー5bの先端が分岐して設けられたゲート5cより構成されており、これらを介して各コア2およびキャビティ3間に熔融樹脂が充填される。
【0024】
エジェクトピン6は、樹脂充填により熔着され一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とをコア2或いはキャビティ3から離型させるために、まず、フィルター材20を切断してフィルター52を形成すると共に、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52を押圧して離型するように作用する。
【0025】
具体的には、図9に示すように、エジェクトピン6がL方向(作製されるフィルターエレメントの軸方向)に移動してコア側第1金型盤8内に侵入し、エジェクトピン6の先端部の端縁部6a(この実施例では、フィルターエレメント50のフィルター52の外形形状である略矩形)が、コア側第1金型盤8のコア側第2金型盤9側に形成されたコア2の端面の端縁部2a(この実施例では、フィルターエレメント50のフィルターの外形形状である略矩形)内を挿通する際に、両者の間隙にフィルター材20が挟み込まれることによって、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが長尺状フィルター材20を略矩形に打ち抜いて切断する。そして、さらにエジェクトピン6がl方向に移動することにより、樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から押圧されて離型される。
【0026】
このように、本発明のフィルターエレメントの製造装置では、エジェクトピンが離型作用のみならずフィルター材の切断作用を行うため、特段、新たな切断手段を装置内に構成する必要がなく、従来の装置を若干設計変更する(具体的には、エジェクトピンの先端部の端縁部の形状を、フィルターの外形形状とし、かつ、コア或いはキャビティのエジェクトピン配置側の端面に現れたフィルターの外形形状の端縁部内を該端縁部に沿って挿通可能とする)のみで樹脂成形およびフィルター張設に加え、フィルター切断まで行うことができる。
【0027】
なお、この実施例は、フィルターがフィルターエレメントの先端面のみに張設されたものであるため、フィルター材の切断は先端面のフィルターのみとなっているが、フィルターエレメントの側壁面にフィルターが張設されたものの場合は、エジェクトピンの先端部に、その端縁部に沿って突出するように形成された切断刃を構成し、側壁を構成するフィルター材を押圧に際して切断する構造としてもよい。また、本発明のフィルターエレメントの製造装置は、エジェクトピンが成形物を押圧することによるエジェクト作用に伴ってフィルター材を切断する構造を有するものを広く包含する。さらに、エジェクトピンがフィルターエレメントの軸方向に沿って往復動可能な第1エジェクトピンと第2エジェクトピンとからなり、一方の先端部がフィルターの端縁部の外形形状(例えば略矩形)に沿って突出した切断刃を有し、主としてフィルター材の切断手段として機能し、他方がフィルターエレメントを押圧し排出するために機能するように構成されたものも本発明の範疇に包含される。さらに、エジェクトピンを往復動可能とする駆動装置としては、一般的に使用される、例えば電気的に駆動制御されたエアシリンダー(図示しない)が好適に使用できる。
【0028】
つぎに、本発明のフィルターエレメントの製造方法について説明する。
本発明のフィルターエレメントの製造方法は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4内において、コア2側或いはキャビティ3側にフィルター材20を配する工程と、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填され樹脂製枠材51とフィルター材20とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20がコア2或いはキャビティ3から離型される工程とを有し、離型される工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製される。
【0029】
より具体的には、この実施例のフィルターエレメントの製造方法は、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを離間させた状態で、長尺状フィルター材移送手段7の作用により、コア側第2金型盤9の盤面にフィルター材20を配する第1工程と、コア側第1金型盤8、コア側第2金型盤9およびキャビティ側金型盤10を接近させて型閉じを行い、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填される第2工程と、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10とを離間させて型開きを行う第3工程と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20がコア2から離型される第4工程とを有し、この離型される第4工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製される。そして、これら一連の工程が繰り返されることによりフィルターエレメント50が順次形成される。以下、第1工程ないし第4工程について順次詳述する。
【0030】
第1工程では、図3に示すように、まず、コア側第2金型盤9を矢印h方向に移動させ、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを離間させた状態とする。そして、長尺状フィルター材移送手段7により長尺状フィルター材20を矢印i方向に移動させ、コア側第2金型盤9の盤面に配する。さらに、図4に示すように、コア側第1金型盤8を矢印J方向に移動させ、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを接近させ、コア側第2金型盤9側に露呈したコア2の一面を長尺状フィルター材20に被覆させる。
【0031】
第2工程では、図5に示すように、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9を矢印k方向に移動させ、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9およびキャビティ側金型盤10を接近させて型閉じを行う。そして、射出装置5aからスプルーランナー5bおよびゲート5cを介してキャビティ3側から熔融樹脂が流入しコア2およびキャビティ3間に樹脂が充填される。このコア2およびキャビティ3間に樹脂が充填された状態が図7に示されており、筒状の樹脂製枠材51の先端面に長尺状フィルター材20が張設された状態となる。
【0032】
第3工程では、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9を図8中n方向に移動させ、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10とを離間させて型開きを行う。この時、一体化された樹脂製枠材51と長尺状フィルター材20はコア2に残留した状態となる。
【0033】
第4工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から離型される。具体的には、図6に示すように、エジェクトピン6をL方向に移動させると、エジェクトピン6が成形物の先端面フィルター張設側からコア側第1金型盤8のコア3内に侵入し、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52を押圧してコア3より離脱させ矢印mのように落下させる。
【0034】
なお、一体化された樹脂製枠材51と長尺状フィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際には、図9に示すように、エジェクトピン6の先端部がパンチとして機能し、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが、コア側第1金型盤8のコア側第2金型盤9側に形成されたコア2の端面の端縁部2a内を挿通する際に、両者の間隙にフィルター材20が挟み込まれることによって、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが長尺状フィルター材20を所要形状に打ち抜いて切断する。さらにエジェクトピン6がL方向に移動することにより、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から押圧されて離型され、樹脂製枠材51とフィルター52とからなるフィルターエレメント50が作製される。その後、エジェクトピン6は、後退して初期位置(コア側第2金型盤9内)に戻り、これら一連の工程が繰り返されることによりフィルターエレメント50が順次量産される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のフィルターエレメントの製造装置の一実施例の平面概略図である。
【図2】図1に示したフィルターエレメントの製造装置のコア側金型盤面図である。
【図3】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図4】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図5】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図6】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図7】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図8】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図9】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図10】図1に示したフィルターエレメントの製造装置で作製されるフィルターエレメントの斜視図である。
【図11】図10に示したフィルターエレメントの縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 フィルターエレメントの製造装置
2 コア
3 キャビティ
4 金型
5 樹脂充填手段
6 エジェクトピン
7 長尺状フィルター材移送手段
8 コア側第1金型盤
9 コア側第2金型盤
10 キャビティ側金型盤
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製枠材と樹脂製枠材に張設されたフィルターとから構成され、液体または気体を通過させるためのフィルターエレメントの製造方法およびその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属材料、紙材或いは樹脂材料などで形成されたフィルターを、保形またはカートリッジ化するための樹脂製枠材に張設して一体成形したフィルターエレメントが、種々製品の一部品として多用されている。例えばそのようなものとして、図10または図11に示したフィルターエレメント50がある。
このフィルターエレメント50は、筒状の樹脂製枠材51と、樹脂製枠材51の先端側開口を被覆するように張設されたフィルター52とからなり、ムースなどの泡状整髪料をフィルター52を介して滲出させるために容器の先端部に装着する部品である。
【0003】
この種のフィルターエレメントは、予め所望の形状に形成したフィルターを、樹脂成形装置の金型内、具体的にはコア側或いはキャビティ側に個々に挿嵌した後、コアおよびキャビティ間に樹脂を充填することにより、フィルターと樹脂製枠材を熔着させ一体化して作製していた。または、本願出願人が特許第3433375号公報にて提案したように、長尺状フィルターを樹脂成形装置の金型内に延在させ、コア側或いはキャビティ側に配置した後、コアおよびキャビティ間に樹脂を充填することにより、順次、フィルターと樹脂製枠材とを一体化して作製していた。
【特許文献1】特許第3433375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前者のようなフィルターエレメントの製造方法では、予めフィルターを所要形態に形成する工程と、手作業によってフィルターを金型内に装着する工程とを要するため、著しく手間を要すると共に非生産的でコスト高の要因となっていた。また、後者の方法では、予めフィルターを所要形態に形成する工程と、手作業によってフィルターを金型内に装着する工程は不要となるものの、長尺状フィルターに多数の樹脂製枠材が付着したままの状態であるため、樹脂成形の後に切断装置により余分のフィルター部分を切断削除しなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、さらに余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できるフィルターエレメントの製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものは、所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型内において、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填され樹脂製枠材とフィルター材とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材とフィルター材が前記コア或いはキャビティから離型される工程とを有し、前記離型される工程では、一体化された樹脂製枠材とフィルター材とがエジェクトピンにて押圧される際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造方法である。
【0007】
前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程では、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材が、前記金型の一端側から他端側に向かって移送されて配されることが好ましい。
【0008】
また、上記課題を解決するものは、所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型と、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配した状態で前記コアおよびキャビティ間に樹脂を充填するための樹脂充填手段と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とを前記コア或いはキャビティから離型させるためのエジェクトピンとを有し、当該エジェクトピンが一体化された樹脂製枠材とフィルター材を押圧する際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造装置である。
【0009】
前記フィルターエレメントの製造装置は、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材を前記金型の一端側から他端側に向かって移送可能とするための長尺状フィルター材移送手段を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載した発明によれば、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、さらに余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項2に記載した発明によれば、上記請求項1の効果に加え、成形毎にフィルター材を配する必要がなく、より量産性に優れ、より容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項3に記載した発明によれば、フィルターを予め所要形態に形成する工程と、所要形態に形成されたフィルターを金型内に装着する工程とを要せず、余分のフィルター部分を削除する工程を別途設ける必要もなく、樹脂成形時にフィルターエレメントが完成し、量産性に優れ、極めて容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
請求項4に記載した発明によれば、上記請求項3の効果に加え、成形毎にフィルター材を配する必要がなく、より量産性に優れ、より容易かつ低廉にフィルターエレメントを作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のフィルターエレメントの製造方法または装置は、樹脂充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とが、エジェクトピンにより押圧される際に、フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを主要な特徴とする。
【実施例】
【0012】
まず、本発明のフィルターエレメントの製造装置を図1ないし図9に示した一実施例を用いて説明する。図1は本発明のフィルターエレメントの製造装置の一実施例の平面概略図であり、図2は図1に示したフィルターエレメントの製造装置のコア側金型盤面図であり、図3ないし図6は図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図であり、図7ないし図9は図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【0013】
この実施例のフィルターエレメントの製造装置1は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4と、コア2側或いはキャビティ3側にフィルター材20を配した状態でコア2およびキャビティ3間に樹脂を充填するための樹脂充填手段5と、金型4内においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とする長尺状フィルター材移送手段7と、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とをコア2或いはキャビティ3から離型させるためのエジェクトピン6とを有し、当該エジェクトピン6が一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20を押圧する際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製されるフィルターエレメントの製造装置である。以下、各構成について順次詳述する。
【0014】
このフィルターエレメントの製造装置1は、図10および図11に示すようなフィルターエレメント50を製造する装置である。フィルターエレメント50は、筒状の樹脂製枠材51と、樹脂製枠材51の先端面開口を被覆するように張設されたフィルター52とから構成されている。
【0015】
樹脂製枠材51は、後述する樹脂充填手段5より金型4内に供給(射出)される熔融樹脂によって形成され、フィルター52は、長尺状フィルター材20により形成される。長尺状フィルター材20は、使用目的等に応じて金属材料、紙材或い樹脂材料などから適宜選択使用される。
【0016】
金型4は、フィルターエレメント50を作製する部位であり、樹脂製枠材51の樹脂成形、樹脂成形に際する樹脂製枠材51とフィルター材20との一体化、フィルター材20の所要形状への切断を行う部位であり、図1に示すように、コア2を備えたコア側第1金型盤8と、エジョクトピン6を備えたコア側第2金型盤9と、キャビティ3を備えたキャビティ側金型盤10とを有している。そして、樹脂を充填する場合は、図5に示すように、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9がキャビティ側金型盤10側に移動してキャビティ側金型盤10に接近し、コア2およびキャビティ3を係合させるように構成されている。なお、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9の往復動は、エアシリンダーなどの駆動手段を電気的に制御することにより実現されている。
【0017】
コア側第1金型盤8の中央部付近には、図2に示すように、4つのコア2a,2b,2c,2dを有したコア側樹脂成形部8aが設けられており、これらコア2a,2b,2c,2dは同一形態のフィルターを形成するため同一形態に構成されている。ただし、本発明のフィルター製造装置は、コア側第1金型盤が4つのコアを有するものに限定されず、一以上のコアを有するものを広く包含する。また、複数のコアを有する場合、同一形態のコアを有するものに限定されず、異種形態のコアを有するものも包含する。さらに、この実施例のコア2は、平面視で略矩形(四方角部を面取りした矩形)に構成され筒状のフィルターエレメントを形成するものであるが、これに限定されるものではなく、円形、楕円形、その他の多角形など異形の平面形状を有するものでもよい。
【0018】
他方、キャビティ側金型盤10の中央部付近には、コア側樹脂成形部8aに対応する位置に設けられたキャビティ側樹脂成形部が設けられており、このキャビティ側樹脂成形部には、コア2a,2b,2c,2dとそれぞれ対をなすキャビティ3がそれぞれ設けられている。
【0019】
長尺状フィルター材移送手段7は、金型4内(この実施例では、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9との間)においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とするためのものである。
【0020】
この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、コア側第2金型盤9の上下付近にそれぞれ設けられた一対の送り装置から構成されており、この送り装置が長尺状フィルター材20を保持した状態で、金型4の上端側から下端側に向かって樹脂充填毎に長尺状フィルター材20を間欠的に送り出すように機能する。ただし、本発明の長尺状フィルター材移送手段は、この実施例のような形態のものに限定されるものではなく、長尺状フィルター材を金型の一端側から他端側に向かって移送可能なものを広く包含し、さらに、長尺状フィルター材が金型内を移動して適宜自動供給される方式のものを広く包含する。
【0021】
なお、この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、フィルターエレメント50が先端面のみにフィルター面を有するものであることから、図7に示すように、先端側フィルター面を形成する長尺状フィルター材20を保持して移送するように構成されているが、これに限定されず、側面にもフィルター面を有するフィルターエレメントの場合は、側面側フィルター面を形成する側面側フィルター材を保持して移送するものも本発明の範疇に包含される。
【0022】
また、この実施例の長尺状フィルター材移送手段7は、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9との間においてフィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材20を保持して金型4の一端側から他端側に向かって移送可能とするものであるが、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10との間にて長尺状フィルター材20を保持するものでもよい。
【0023】
樹脂充填手段5は、コア2およびキャビティ3間に樹脂を充填するためのものであり、図1に示すように、射出装置5aと、この射出装置5aと連通しキャビティ側金型盤10の内部を貫通して設けられたスプルーランナー5bと、このスプルーランナー5bの先端が分岐して設けられたゲート5cより構成されており、これらを介して各コア2およびキャビティ3間に熔融樹脂が充填される。
【0024】
エジェクトピン6は、樹脂充填により熔着され一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とをコア2或いはキャビティ3から離型させるために、まず、フィルター材20を切断してフィルター52を形成すると共に、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52を押圧して離型するように作用する。
【0025】
具体的には、図9に示すように、エジェクトピン6がL方向(作製されるフィルターエレメントの軸方向)に移動してコア側第1金型盤8内に侵入し、エジェクトピン6の先端部の端縁部6a(この実施例では、フィルターエレメント50のフィルター52の外形形状である略矩形)が、コア側第1金型盤8のコア側第2金型盤9側に形成されたコア2の端面の端縁部2a(この実施例では、フィルターエレメント50のフィルターの外形形状である略矩形)内を挿通する際に、両者の間隙にフィルター材20が挟み込まれることによって、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが長尺状フィルター材20を略矩形に打ち抜いて切断する。そして、さらにエジェクトピン6がl方向に移動することにより、樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から押圧されて離型される。
【0026】
このように、本発明のフィルターエレメントの製造装置では、エジェクトピンが離型作用のみならずフィルター材の切断作用を行うため、特段、新たな切断手段を装置内に構成する必要がなく、従来の装置を若干設計変更する(具体的には、エジェクトピンの先端部の端縁部の形状を、フィルターの外形形状とし、かつ、コア或いはキャビティのエジェクトピン配置側の端面に現れたフィルターの外形形状の端縁部内を該端縁部に沿って挿通可能とする)のみで樹脂成形およびフィルター張設に加え、フィルター切断まで行うことができる。
【0027】
なお、この実施例は、フィルターがフィルターエレメントの先端面のみに張設されたものであるため、フィルター材の切断は先端面のフィルターのみとなっているが、フィルターエレメントの側壁面にフィルターが張設されたものの場合は、エジェクトピンの先端部に、その端縁部に沿って突出するように形成された切断刃を構成し、側壁を構成するフィルター材を押圧に際して切断する構造としてもよい。また、本発明のフィルターエレメントの製造装置は、エジェクトピンが成形物を押圧することによるエジェクト作用に伴ってフィルター材を切断する構造を有するものを広く包含する。さらに、エジェクトピンがフィルターエレメントの軸方向に沿って往復動可能な第1エジェクトピンと第2エジェクトピンとからなり、一方の先端部がフィルターの端縁部の外形形状(例えば略矩形)に沿って突出した切断刃を有し、主としてフィルター材の切断手段として機能し、他方がフィルターエレメントを押圧し排出するために機能するように構成されたものも本発明の範疇に包含される。さらに、エジェクトピンを往復動可能とする駆動装置としては、一般的に使用される、例えば電気的に駆動制御されたエアシリンダー(図示しない)が好適に使用できる。
【0028】
つぎに、本発明のフィルターエレメントの製造方法について説明する。
本発明のフィルターエレメントの製造方法は、所望形態のフィルターエレメント50を形成するためのコア2およびキャビティ3を備えた金型4内において、コア2側或いはキャビティ3側にフィルター材20を配する工程と、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填され樹脂製枠材51とフィルター材20とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20がコア2或いはキャビティ3から離型される工程とを有し、離型される工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製される。
【0029】
より具体的には、この実施例のフィルターエレメントの製造方法は、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを離間させた状態で、長尺状フィルター材移送手段7の作用により、コア側第2金型盤9の盤面にフィルター材20を配する第1工程と、コア側第1金型盤8、コア側第2金型盤9およびキャビティ側金型盤10を接近させて型閉じを行い、コア2およびキャビティ3間に樹脂が充填される第2工程と、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10とを離間させて型開きを行う第3工程と、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20がコア2から離型される第4工程とを有し、この離型される第4工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際にフィルター材20が所要形状に切断されてフィルターエレメント50が作製される。そして、これら一連の工程が繰り返されることによりフィルターエレメント50が順次形成される。以下、第1工程ないし第4工程について順次詳述する。
【0030】
第1工程では、図3に示すように、まず、コア側第2金型盤9を矢印h方向に移動させ、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを離間させた状態とする。そして、長尺状フィルター材移送手段7により長尺状フィルター材20を矢印i方向に移動させ、コア側第2金型盤9の盤面に配する。さらに、図4に示すように、コア側第1金型盤8を矢印J方向に移動させ、コア側第1金型盤8とコア側第2金型盤9とを接近させ、コア側第2金型盤9側に露呈したコア2の一面を長尺状フィルター材20に被覆させる。
【0031】
第2工程では、図5に示すように、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9を矢印k方向に移動させ、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9およびキャビティ側金型盤10を接近させて型閉じを行う。そして、射出装置5aからスプルーランナー5bおよびゲート5cを介してキャビティ3側から熔融樹脂が流入しコア2およびキャビティ3間に樹脂が充填される。このコア2およびキャビティ3間に樹脂が充填された状態が図7に示されており、筒状の樹脂製枠材51の先端面に長尺状フィルター材20が張設された状態となる。
【0032】
第3工程では、コア側第1金型盤8およびコア側第2金型盤9を図8中n方向に移動させ、コア側第1金型盤8とキャビティ側金型盤10とを離間させて型開きを行う。この時、一体化された樹脂製枠材51と長尺状フィルター材20はコア2に残留した状態となる。
【0033】
第4工程では、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から離型される。具体的には、図6に示すように、エジェクトピン6をL方向に移動させると、エジェクトピン6が成形物の先端面フィルター張設側からコア側第1金型盤8のコア3内に侵入し、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52を押圧してコア3より離脱させ矢印mのように落下させる。
【0034】
なお、一体化された樹脂製枠材51と長尺状フィルター材20とがエジェクトピン6にて押圧される際には、図9に示すように、エジェクトピン6の先端部がパンチとして機能し、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが、コア側第1金型盤8のコア側第2金型盤9側に形成されたコア2の端面の端縁部2a内を挿通する際に、両者の間隙にフィルター材20が挟み込まれることによって、エジェクトピン6の先端部の端縁部6aが長尺状フィルター材20を所要形状に打ち抜いて切断する。さらにエジェクトピン6がL方向に移動することにより、一体化された樹脂製枠材51とフィルター52がコア2から押圧されて離型され、樹脂製枠材51とフィルター52とからなるフィルターエレメント50が作製される。その後、エジェクトピン6は、後退して初期位置(コア側第2金型盤9内)に戻り、これら一連の工程が繰り返されることによりフィルターエレメント50が順次量産される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のフィルターエレメントの製造装置の一実施例の平面概略図である。
【図2】図1に示したフィルターエレメントの製造装置のコア側金型盤面図である。
【図3】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図4】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図5】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図6】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための正面側概略図である。
【図7】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図8】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図9】図1に示したフィルターエレメントの製造装置の作用を説明するための部分拡大断面図である。
【図10】図1に示したフィルターエレメントの製造装置で作製されるフィルターエレメントの斜視図である。
【図11】図10に示したフィルターエレメントの縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 フィルターエレメントの製造装置
2 コア
3 キャビティ
4 金型
5 樹脂充填手段
6 エジェクトピン
7 長尺状フィルター材移送手段
8 コア側第1金型盤
9 コア側第2金型盤
10 キャビティ側金型盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型内において、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填され樹脂製枠材とフィルター材とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材とフィルター材が前記コア或いはキャビティから離型される工程とを有し、前記離型される工程では、一体化された樹脂製枠材とフィルター材とがエジェクトピンにて押圧される際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造方法。
【請求項2】
前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程では、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材が、前記金型の一端側から他端側に向かって移送されて配される請求項1に記載フィルターの製造方法。
【請求項3】
所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型と、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配した状態で前記コアおよびキャビティ間に樹脂を充填するための樹脂充填手段と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とを前記コア或いはキャビティから離型させるためのエジェクトピンとを有し、当該エジェクトピンが一体化された樹脂製枠材とフィルター材を押圧する際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造装置。
【請求項4】
前記フィルターエレメントの製造装置は、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材を前記金型の一端側から他端側に向かって移送可能とするための長尺状フィルター材移送手段を有している請求項3に記載のフィルターエレメントの製造装置。
【請求項1】
所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型内において、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填され樹脂製枠材とフィルター材とが一体化される工程と、一体化された樹脂製枠材とフィルター材が前記コア或いはキャビティから離型される工程とを有し、前記離型される工程では、一体化された樹脂製枠材とフィルター材とがエジェクトピンにて押圧される際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造方法。
【請求項2】
前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配する工程では、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材が、前記金型の一端側から他端側に向かって移送されて配される請求項1に記載フィルターの製造方法。
【請求項3】
所望形態のフィルターエレメントを形成するためのコアおよびキャビティを備えた金型と、前記コア側或いはキャビティ側にフィルター材を配した状態で前記コアおよびキャビティ間に樹脂を充填するための樹脂充填手段と、前記コアおよびキャビティ間に樹脂が充填されて一体化された樹脂製枠材とフィルター材とを前記コア或いはキャビティから離型させるためのエジェクトピンとを有し、当該エジェクトピンが一体化された樹脂製枠材とフィルター材を押圧する際に前記フィルター材が所要形状に切断されてフィルターエレメントが作製されることを特徴とするフィルターエレメントの製造装置。
【請求項4】
前記フィルターエレメントの製造装置は、フィルター面を形成可能な幅を有した長尺状フィルター材を前記金型の一端側から他端側に向かって移送可能とするための長尺状フィルター材移送手段を有している請求項3に記載のフィルターエレメントの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−142626(P2006−142626A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335206(P2004−335206)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(597103816)株式会社 セントラルファインツール (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(597103816)株式会社 セントラルファインツール (5)
【Fターム(参考)】
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