説明

フィルター及び冷媒圧縮機

【課題】本発明は従来の鉄製メッシュを直接ロー付け等で固定する場合、超微細なゴミを除去するための超微細なメッシュを採用しようとしても鉄製に超微細なメッシュは無く、ステンレス製のメッシュになるためロー付けがうまく固定できない問題があった。
【解決手段】円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、ステンレス製のメッシュを置き、かつリング状の鉄ワッシャを置くことにより、超微細なステンレス製のメッシュをロー付けすることを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍用圧縮機に使用するアキュムレータ、オイルポンプなどに使用されるフィルターにおいて、超微細なメッシュを適用可能にすることにより、微細なゴミを除去することを可能にするものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍用圧縮機にはロータリー圧縮機、スクロール圧縮機等の各種の圧縮機構のものがあるが、何れもその圧縮機構部、および軸受等の摺動部分はミクロン単位のクリアランスで摺動する構造になっている。そのため、圧縮機の吸入口付近に配されるアキュムレータや各摺動部分に潤滑油を供給するオイルポンプの入口には圧縮機構部や摺動部分に入るゴミを捕獲するためのフィルターが設けられている。このフィルターは使用される環境が冷媒中であり、しかも冷凍機油にさらされ、また雰囲気温度も−45℃から120℃と広い範囲にわたるため耐冷媒性、耐油性、耐熱性を勘案して金属材料が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−022643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超微細なゴミを除去するため超微細メッシュを採用しようとしても、鉄製メッシュ17eは強度および錆による目詰まりのため超微細メッシュは無く、通常超微細メッシュとしてはステンレス製が存在する。
【0005】
しかしながら、従来のメッシュ17eを直接ロー付け等でポンプカバー17aに固定する場合、鉄製では問題ないが、ステンレスの場合ステンレスに含まれたクロムの影響でロー付け性が悪く、うまく固定できない問題があった。
【0006】
本発明はこのような問題点を解消するためのもので、ステンレス製のメッシュの上にリング状の鉄ワッシャを置くことにより、メッシュを固定できることにより、超微細なゴミを除去できる冷凍圧縮機のフィルターを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
円筒部とこれに直角に中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆うステンレス製のメッシュを置き、かつリング状の鉄ワッシャを置くことにより、超微細なステンレス製のメッシュをロー付けすることを可能とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の微細メッシュを搭載することにより従来では除去することのできない超微細なゴミにおいても除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の断面図
【図2】本発明のフィルターを有するオイルポンプカバーの断面図
【図3】本発明のフィルターを有するオイルポンプカバーの分解図
【図4】従来例を示すオイルポンプカバーの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、円筒部とこれに直角に 中心方向に向かう平坦部をもつフィルター固定台に、前記固定台平坦部に対応する平坦部を外周部にもち円筒部内側を覆う超微細なステンレス製のメッシュを入り口部に配置し、その上にリング状の鉄ワッシャを、前記平坦部において同時にロー付け等により接合した冷媒圧縮機のフィルターであり、従来では除去できなかった超微細なゴミを除去することができる。
【0011】
第2の発明は微細メッシュの目の粗さを100番以上とする請求項1記載のフィルターで網目が超微細で、超微細なゴミを除去することが可能となる。
【0012】
第3の発明は微細メッシュを構成する線の太さが0.11mm以下である請求項1記載の冷媒圧縮機のフィルターで微細メッシュの太さが極細で、超微細なゴミを除去することが可能となる。
【0013】
第4の発明は従来の冷媒よりも密度が高く、かつ材料表面からゴミ等を剥離させる特性を持つため、ゴミによる不具合を生じる可能性の高い自然冷媒を用いる圧縮機において、超微細なゴミを確実に除去し、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1はスクロール圧縮機断面図である。吸入管1より吸い込まれた冷媒ガスは、固定スクロール部品2の吸入室3を経て、旋回スクロール部品4とかみ合わさって形成される圧縮室5に閉じ込められ、中心に向かって容積を減少させながら圧縮され吐出ポート6より
吐出される。
【0016】
潤滑油はクランクシャフト8により回転運動を与えられるトロコイドポンプ7によりオイルカバー17を通して圧縮機下部から吸い上げられ、クランクシャフト8内部にある潤滑油供給用の穴9を通り旋回スクロール部品4の偏心軸受内部空間10へと導かれる。
【0017】
ここから、オイル流路が二方向に分かれ、一方は旋回スクロール部品4の鏡板背面に設けられた絞り部11を経由して固定スクロール部品2と軸受12に囲まれて形成される背圧室13へと導かれる。
【0018】
この背圧室13は高低圧の中間の圧力となっており、背圧調整機構14により中間圧を一定圧となるよう制御する。背圧調整機構14は、背圧室13から固定スクロール部品2の内部を通って吸入室3へと連通している通路15に、バルブ16を設けたもので、背圧室13の圧力が設定圧力より高くなるとバルブ16が開き、背圧室13のオイルが吸入室3へと供給され、背圧室を一定の中間圧に維持している。
【0019】
また吸入室3へと供給されたオイルは旋回運動とともに圧縮室5へと移動し、圧縮室間の漏れ防止に役立っているが、背圧制御機構は異物に非常に弱く、微小なゴミが侵入するとバルブ16に噛み込むと機能しなくなる。
【0020】
図2にオイルカバー17の構成図を示し、図3に分解図を示す。ポンプカバー17はポンプ本体17aとオイル吸入管17b、超微細なステンレス製メッシュ17c、鉄ワッシャ17dにより構成される。超微細なステンレス製メッシュ17cはロー材18、波ワッシャ17dによりロー付け固定される。
【0021】
圧縮機内部および背圧制御部にゴミが侵入することを防止することができる。特に自然冷媒を用いる圧縮機の場合、冷媒特性により材料表面に残留しているゴミも冷媒が運んでしまう特性があるため、超微細なステンレス製メッシュ17cのように微細なゴミを除去することは圧縮機の品質を確保する上でも非常に効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかるフィルターは圧縮機内部にある超微細なゴミを除去することが可能となり、圧縮機の品質を保持することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 吸入管
2 固定スクロール部品
3 吸入室
4 旋回スクロール部品
5 圧縮室
6 吐出ポート
7 トロコイドポンプ
8 クランクシャフト
9 内部の穴
10 偏心軸受け内部空間
11 絞り部
12 軸受
13 背圧室
14 背圧調整機構
15 通路
16 バルブ
17 オイルポンプカバー
17a ポンプ本体
17b オイル吸入管
17c ステンレス製メッシュ
17d 鉄ワッシャ
18 ロー材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に平坦部を有し、前記平坦部の内周側は開口部が形成された固定台と、前記固定台平坦部と開口部を覆うステンレス製メッシュと、前記固定台平坦部との間で前記メッシュを狭持する鉄製のワッシャとを有し、前記固定台、メッシュ及びワッシャがロー材により一体に固定されてなるフィルター。
【請求項2】
フィルターに配置される最も微細なメッシュの目の粗さが100番以上である請求項1記載のフィルター。
【請求項3】
フィルターに配置される最も微細なメッシュを構成する線の太さが0.11mm以下の請求項1記載のフィルター。
【請求項4】
請求項1から3いずれか1項に記載のフィルターを有し、圧縮する冷媒が自然冷媒である冷媒圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−169184(P2011−169184A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32213(P2010−32213)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】