説明

フェンス及びその施工方法

【課題】 様々な素材のパネル材に幅広く適用させて汎用性を高めるとともに、ガタツキを生じたり固定強度の低下を招く不具合を回避する。大幅なコストダウンを図り、資源節減及び安全性にも寄与する。
【解決手段】 取付部2jの上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出し、かつ先端に相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを有する一対の把持片部2u,2dを板バネ材により形成した複数の把持部材2…と、この把持部材2…の取付部2jを長手方向に所定間隔おきに取付ける支柱4…と、パネル本体部3oの裏面3orに当該裏面3orの縦幅よりも短い縦幅の厚肉部3xを横方向に設け、かつ厚肉部3xの上下面3xu,3xdと裏面3or間の境に当該裏面3orに沿って形成することにより一対の係止爪部2uc,2dcがそれぞれ係止可能な一対のスリット部3su,3sdを有する複数のパネル材3…とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定間隔おきに設置した支柱により複数の横長のパネル材を上下方向に順次取付けたフェンス及びその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定間隔おきに設置した支柱により横長のパネル材を上下方向に順次取付けてなるフェンスは知られており、特許文献1には、支柱等へ固定するための側板を延出した略矩形状の取付部の前方に垂直に突出した固定具本体に一定間隔で傾斜部をそれぞれ斜設し、各傾斜部の下方側にはパネルの一端の弯曲縁を支持する四半円状の弯曲受縁がそれぞれ設けられ、各傾斜部の上方側にはパネルの他端の弯曲縁を嵌入するための溝状嵌入凹部がそれぞれ凹設され、各嵌入凹部の奥端にはパネルの弯曲縁に沿った略半円状を呈しており、傾斜部と対向する前方側にはパネルのパネル本体の弯曲縁の弯曲側と異なる本体面の巾の略半分を押さえつける押圧部が延出されているパネル固定具を用い、このパネル固定具を支柱等へ固定するとともに、このパネル固定具によりパネルを支持するフェンスが開示されている。
【特許文献1】実開平5−866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来のフェンス(フェンスの施工方法)は、次のような問題点があった。
【0004】
第一に、パネルの素材として金属製の弾性素材を前提としているため、木やプラスチック(合成樹脂)等の非弾性素材、特に、近時注目されている廃プラスチックのリサイクル材を用いたパネルには適用できないなど、使用できるパネルの素材が限定され、汎用性に欠ける。また、パネルの厚さ方向や幅方向の寸法に厳格性が要求され、寸法が異なる場合には、ガタツキを生じたり固定強度の低下を招くなど、柔軟適用性に欠ける。
【0005】
第二に、使用するパネル固定具は、プラスチック等を用いた成形体として製造するとともに、複数のパネルを一体に支持する支持体として構成するため、構成が複雑となり、かつ全体のサイズも大きくなるため、大幅なコストアップを招くとともに、資源節減の観点からも好ましくない。
【0006】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したフェンス及びその施工方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフェンス1は、上述した課題を解決するため、所定間隔おきに設置した複数の支柱により複数の横長のパネル材を上下方向に順次取付けたフェンスを構成するに際して、取付部2jの上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出し、かつ先端に相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを有する一対の把持片部2u,2dを板バネ材により形成した複数の把持部材2…と、この把持部材2…の取付部2jを長手方向に所定間隔おきに取付ける支柱4…と、パネル本体部3oの裏面3orに当該裏面3orの縦幅よりも短い縦幅の厚肉部3xを横方向に設け、かつ厚肉部3xの上下面3xu,3xdと裏面3or間の境に当該裏面3orに沿って形成することにより一対の係止爪部2uc,2dcがそれぞれ係止可能な一対のスリット部3su,3sdを有する複数のパネル材3…とを備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、発明の好適な態様により、把持部材2は、一枚のバネ性金属プレートMsを折曲して一体形成できるとともに、把持部材2の一対の把持片部2u,2dにおけるそれぞれの長さ及び/又は形状は、支柱4に取付ける際のパネル材3の角度に対応して同一又は非同一に形成することができる。また、パネル材3は、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材Mpにより一体成形できるとともに、パネル材3の肉厚部3xにおける上下面3xu,3xdは、一対の把持片部2u,2dを押し当てた際に当該把持片部2u,2dの弾性変位により係止爪部2uc,2dcとスリット部3su,3sdが係止可能となり、かつスリット部3su,3sdに係止爪部2uc,2dcが係止した際には抜け止めされる形状に形成することができる。さらに、支柱4には、把持部材2を取付ける凹部により形成した取付面4cを設けることができる。
【0009】
一方、本発明に係るフェンスの施工方法は、上述した課題を解決するため、複数の支柱を所定間隔おきに設置し、この支柱に複数の横長のパネル材を上下方向に順次取付けるに際し、取付部2jの上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出し、かつ先端に相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを有する一対の把持片部2u,2dを板バネ材により形成した複数の把持部材2…を用意し、この把持部材2…における取付部2jを支柱4の長手方向に所定間隔おきに取付けるとともに、パネル本体部3oの裏面3orに当該裏面3orの縦幅よりも短い縦幅の厚肉部3xを横方向に設け、かつ厚肉部3xの上下面3xu,3xdと裏面3or間の境に当該裏面3orに沿って形成することにより一対の係止爪部2uc,2dcがそれぞれ係止可能な一対のスリット部3su,3sdを有する複数のパネル材3…を用意し、このパネル材3…における一対のスリット部3su,3sdに一対の係止爪部2uc,2dcをそれぞれ係止させることにより支柱4に各パネル材3…を取付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、パネル材3の肉厚部3xにおける上下面3xu,3xdは、一対の把持片部2u,2dを押し当てた際に当該把持片部2u,2dの弾性変位により係止爪部2uc,2dcとスリット部3su,3sdが係止可能となり、かつスリット部3su,3sdに係止爪部2uc,2dcが係止した際には抜け止めされる形状に形成し、パネル材3の肉厚部3xを一対の把持片部2u,2dを押し当てて係止爪部2uc,2dcをスリット部3su,3sdに係止させることができる。また、把持部材2の取付部2jは固定ネジ5…を用いて支柱4に取付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
このような本発明に係るフェンス1及びその施工方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 先端に相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを有する一対の把持片部2u,2dを板バネ材により形成した複数の把持部材2…によりパネル材3を把持するようにしたため、木やプラスチック等の非弾性素材をはじめ、様々な素材を用いたパネル材3に幅広く適用でき、特に、廃プラスチックのリサイクル材を用いたパネル材3にも適用できるなど、汎用性に優れる。
【0013】
(2) パネル材3(パネル本体部3o)の厚さ方向や縦幅方向の寸法に厳格性が要求されないため、寸法にバラツキがあるような場合であってもガタツキを生じたり固定強度の低下を招く不具合を回避できすることができ、柔軟適用性に優れる。特に、リサイクル材等のプラスチックにより一体成形したパネル材3は、歪みや伸縮を生じやすいが、このような寸法上の不安定要素も吸収することができる。
【0014】
(3) 把持部材2…は、比較的単純な構成(形状)により製造することができ、しかも、全体のサイズも比較的小さくて済むため、大幅なコストダウンを図れるとともに、資源節減にも寄与できる。
【0015】
(4) 板バネ材により形成した一対の把持片部2u,2dを有する複数の把持部材2…によりパネル材3を把持するため、例えば、公園や広場等のフェンス1として設置した際に子供が衝突しても一定の衝撃吸収作用を有するため、安全性にも寄与できる。
【0016】
(5) 好適な態様により、把持部材2を、一枚のバネ性金属プレートMsを折曲して一体形成すれば、一枚のプレート材からポンチ加工及び折曲加工などにより極めて容易に製造することができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、把持部材2の一対の把持片部2u,2dにおけるそれぞれの長さ及び/又は形状を、支柱4に取付ける際のパネル材3の角度に対応して同一又は非同一に形成すれば、複数のパネル材3…を同一平面上に平行に配する一般的なフェンスとして構成したり、複数のパネル材3…を支柱4(垂直面)に対して所定の角度で傾斜させて目隠用のフェンスとして構成するなど、パネル材3…の角度を変更した様々なタイプのフェンスを容易に施工できる。
【0018】
(7) 好適な態様により、パネル材3を、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材Mpにより一体成形すれば、リサイクル材の有効な利用促進に寄与できる。
【0019】
(8) 好適な態様により、パネル材3の肉厚部3xにおける上下面3xu,3xdを、一対の把持片部2u,2dを押し当てた際に当該把持片部2u,2dの弾性変位により係止爪部2uc,2dcとスリット部3su,3sdが係止可能となり、かつスリット部3su,3sdに係止爪部2uc,2dcが係止した際には抜け止めされる形状に形成すれば、パネル材3…を支柱4に取付ける際の施工作業をより容易化することができる。
【0020】
(9) 好適な態様により、支柱4に、把持部材2を取付ける凹部により形成した取付面4cを設ければ、パネル材3…と支柱4間の見掛上の隙間を小さくできるため、外観形状性及び商品性の向上に寄与できる。
【0021】
(10) 好適な態様により、把持部材2の取付部2jを、固定ネジ5…を用いて支柱4に取付けるようにすれば、既に設置されている支柱4を含む様々な素材及び形状により形成されている支柱4にも容易に取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係るフェンス1の構成部材(構成部品)について、図1〜図4(図6)を参照して説明する。
【0024】
フェンス1は、所定間隔おきに設置する複数の支柱4…と、この支柱4…の長手方向に所定間隔おきに取付ける複数の把持部材2…と、この把持部材2…に把持される複数のパネル材3…により構成する。
【0025】
支柱4は、図1(図6)に示すように、一本の棒材(角棒)であり、例示の支柱4は、素材としてアルミニウム材を用いた断面正方形の中空角棒である。屋外に設置するフェンス1の場合には、正方形断面の一辺が5〔cm〕前後、長さが1〜2〔m〕程度を想定できる。
【0026】
把持部材2は、図3及び図4に示すように、一枚のバネ性金属プレートMsを折曲して一体形成する。バネ性金属プレートMsとしては、ステンレス材を用いたバネ性プレートが望ましい。把持部材2は、中間部分を構成する取付部2jを有し、この取付部2jには、後述する固定ネジ5…が挿通する二つのネジ挿通孔11…を形成する。また、取付部2jの上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出した上下一対の把持片部2u,2dを有し、この把持片部2u,2dの先端には相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを折曲形成する。この場合、図4に示すように、取付部2jから突出する把持片部2u,2dの突出長は同一に選定し、取付部2jから折曲する把持片部2u,2dの折曲角度Rsは、いずれも60〜70〔゜〕程度に選定するとともに、把持片部2u,2dにおける係止爪部2uc,2dcの折曲角度Rtは、いずれも80〜90〔゜〕程度に選定することが望ましい。係止爪部2uc,2dcは、図3に示すように、先端の両側を丸みを有するアール形状に形成する。把持部材2を、このような一枚のバネ性金属プレートMsを折曲して一体形成すれば、一枚のプレート材からポンチ加工及び折曲加工などにより極めて容易に製造することができる。
【0027】
パネル材3は、図2及び図4に示すように、プラスチック素材Mpにより一体成形する。プラスチック素材Mpには、廃プラスチック(100〔%〕)のリサイクル材を用いることが望ましい。このようなリサイクル材によるパネル材3としては、例えば、廃棄されるポリスチレン製の食器トレイ等を溶解するとともに、発泡剤等の添加剤を加えた材料を、押出成形により製造するパネル材3を利用できる。このようなリサイクル材によるパネル材3を利用すれば、リサイクル材の有効な利用促進に寄与できる。もちろん材料としては、リサイクル材を含まないバージン材であってもよいし、リサイクル材とバージン材を混合した複合材であってもよい。
【0028】
パネル材3は、図4(図1)に示すように、断面形状は、前側(表側)を構成する矩形部分をなすパネル本体部3oと、後側(裏側)を構成する厚肉部3xを有する。厚肉部3xは、パネル本体部3oの裏面3orに当該裏面3orの縦幅よりも短い縦幅を有し、パネル本体部3oの横方向に沿って設けるとともに、この厚肉部3xの上面3xu,下面3xdと裏面3or間の境には当該裏面3orに沿って、上下一対のスリット部3su,3sdを設ける。各スリット部3su,3sdには一対の係止爪部2uc,2dcをそれぞれ係止させることができる。また、肉厚部3xにおける上面3xu,下面3xdは、一対の把持片部2u,2dを押し当てた際に当該把持片部2u,2dの弾性変位により係止爪部2uc,2dcとスリット部3su,3sdが係止可能となり、かつ各スリット部3su,3sdに各係止爪部2uc,2dcがそれぞれ係止した際には抜け止めされる形状に形成する。したがって、例示の場合には、上面3xu,下面3xdを、図4に示すように、曲面形成している。
【0029】
次に、このような構成部材(構成部品)を用いた本実施形態に係るフェンス1の施工方法について、図1〜図6を参照して説明する。
【0030】
まず、複数の把持部材2…を用意し、この把持部材2…の取付部2jを、図1に示すように、支柱4の長手方向に所定間隔おきに取付ける。この場合、支柱4にネジ取付孔を形成し、図4に示すように、固定ネジ5を、取付部2jのネジ挿通孔11に挿通させ、支柱4のネジ取付孔にネジ込む。この際、一つの把持部材2は二つのネジ挿通孔11…を有するため、二個所を二本の固定ネジ5…により固定する。このような把持部材2…を取付けた支柱4…を使用本数だけ用意する。このように、把持部材2の取付部2jを、固定ネジ5…を用いて支柱4に取付けるようにすれば、既に設置されている支柱4を含む様々な素材及び形状により形成されている支柱4にも容易に取付けることができる。そして、図6に示すように、各支柱4…を地面Gに設置する。この際、各支柱4…は地面Gから上方へ鉛直に起立させるとともに、所定間隔おきに設置する。
【0031】
一方、複数のパネル材3…を用意し、このパネル材3…における一対のスリット部3su,3sdに一対の係止爪部2uc,2dcをそれぞれ係止させることにより、図1に示すように、支柱4に各パネル材3…を取付ける。取付けるに際しては、図5に示すように、予め、パネル材3における下側のスリット部3sdを、把持部材2における下側の係止爪部2dcに係止させ、この後、肉厚部3xの上面3xuを、上側の係止爪部2ucに押し当てれば、上側の係止爪部2ucは、上面3xuに沿って弾性変位し、最終的に、図1に示すように、係止爪部2ucがスリット部3suに係止する。一対の係止爪部2uc,2dcがスリット部3su,3sdに係止すれば、上面3xu,下面3xdの形状により、係止爪部2uc,2dcが抜け止めされる。したがって、パネル材3は把持部材2により把持され、パネル材3は把持部材2を介して支柱4に取付けられる。
【0032】
このように、本実施形態に係るフェンス1は極めて容易に施工することができるとともに、特に、パネル材3の肉厚部3xにおける上下面3xu,3xdを、一対の把持片部2u,2dを押し当てた際に当該把持片部2u,2dの弾性変位により係止爪部2uc,2dcとスリット部3su,3sdが係止可能となり、かつスリット部3su,3sdに係止爪部2uc,2dcが係止した際には抜け止めされる形状に形成したため、パネル材3…を支柱4に取付ける際の施工作業をより容易化することができる。この後、同様に、必要枚数のパネル材3…を、支柱4…に対して順次取付けを行えば、フェンス1の施工は終了する。図6は、このように施工された本実施形態に係るフェンス1(裏面側)の斜視図を示す。施工されたフェンス1において、パネル材3を支柱4から離す方向に引張っても容易に離脱することはない。パネル材3を支柱4から離脱する場合には、治具等により把持片部2u又は2dの一方を強制的に変位させることにより、係止爪部2uc又は2dcをスリット部3su又は3sdから離脱させればよい。したがって、パネル材3が破損したような場合であっても新しいパネル材3と容易に交換することができる。
【0033】
このような本実施形態に係るフェンス1及びその施工方法によれば、先端に相互に向き合う係止爪部2uc,2dcを有する一対の把持片部2u,2dを板バネ材により形成した複数の把持部材2…によりパネル材3を把持するようにしたため、木やプラスチック等の非弾性素材をはじめ、様々な素材を用いたパネル材3に幅広く適用でき、特に、廃プラスチックのリサイクル材を用いたパネル材3にも適用できるなど、汎用性に優れる。また、パネル材3(パネル本体部3o)の厚さ方向や縦幅方向の寸法に厳格性が要求されないため、寸法にバラツキがあるような場合であってもガタツキを生じたり固定強度の低下を招く不具合を回避できすることができ、柔軟適用性に優れる。特に、リサイクル材等のプラスチックにより一体成形したパネル材3は、歪みや伸縮を生じやすいが、このような寸法上の不安定要素も吸収することができる。さらに、把持部材2…は、比較的単純な構成(形状)により製造することができ、しかも、全体のサイズも比較的小さくて済むため、大幅なコストダウンを図れるとともに、資源節減にも寄与できる。加えて、板バネ材により形成した一対の把持片部2u,2dを有する複数の把持部材2…によりパネル材3を把持するため、例えば、公園や広場等のフェンス1として設置した際に子供が衝突しても一定の衝撃吸収作用を有するため、安全性にも寄与できる。
【0034】
次に、本発明の変更実施形態に係るフェンス1について、図7及び図8を参照して説明する。
【0035】
図7は、把持部材2における一対の把持片部2u,2dにおけるそれぞれの長さ及び/又は形状を、支柱4に取付ける際のパネル材3の角度に対応して非同一に形成したものであり、図1の実施形態に対して、下側の把持片部2dの長さを上側の把持片部2uの長さよりも長くし、かつ段差部2dbを介して形成した。したがって、図1に示した実施形態の場合、複数のパネル材3…を同一平面上に平行に配する一般的なフェンスとして構成できるが、図7に示す変更実施形態では、複数のパネル材3…を支柱4(垂直面)に対して所定の角度で傾斜させた目隠用のフェンスとして構成できる。このように、把持部材2の簡単な変更により、パネル材3…の角度を変更した様々なタイプのフェンスを容易に施工できる。
【0036】
図8は、支柱4に、把持部材2を取付ける凹部により形成した取付面4cを設けたものである。したがって、図8の変更実施形態では、パネル材3…と支柱4間の見掛上の隙間Sを小さくできるため、外観形状性及び商品性の向上に寄与できる。なお、図7及び図8において、図1〜図6と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
【0037】
以上、最良の実施形態(変更実施形態)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0038】
例えば、支柱4は、地面(土に限定されない)Gに設置するポールを例示したが、家屋の窓(壁)に付設するステーなどであってもよく、支柱4を設置する対象は任意である。したがって、明細書に記載する上下や縦横の方向は、支柱4とパネル材3などの相対的な方向(位置関係)を示すものであり、例えば、支柱4を横に設置する場合、パネル材3は縦となる。また、上下や縦横の方向は直角関係を示すものではなく、傾斜した関係であってもよい。なお、パネル材3を鉛直方向或いは鉛直方向に傾斜して設置する場合には、少なくとも一本のネジをパネル材3の裏面にネジ込み、このネジを把持部材2に係止させて落下防止を図ればよい。その他、支柱4の素材としてアルミニウム材を例示したが、木,プラスチック,他の金属素材など、任意の素材を適用できる。また、把持部材2を構成する板バネ材としてバネ性金属プレートMsを例示したが、用途によってはプラスチック材等の他の素材を用いることができる。さらに、パネル材3としてプラスチック素材Mpを例示したが、要は断面の外郭形状を図4に示すような形状にすればよいため、木,セラミックス,金属プレート等の使用も可能である。他方、把持部材2の取付部2jは固定ネジ5…を用いて支柱4に取付ける場合を例示したが、例えば、予め支柱4に取付部2jを溶接するなど、その取付手段は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る一部抽出拡大断面図を含むフェンスの一部側面図、
【図2】同フェンスの一部正面図、
【図3】同フェンスに用いる把持部材の斜視図、
【図4】同フェンスに用いるパネル材及び把持部材の側面図、
【図5】同フェンスの施工方法の作用説明図、
【図6】同フェンスの全体斜視図、
【図7】本発明の変更実施形態に係るフェンスに用いる把持部材の一部側面図、
【図8】本発明の他の変更実施形態に係るフェンスに用いる支柱の一部平面図、
【符号の説明】
【0040】
1:フェンス,2…:把持部材,2j:取付部,2u:把持片部,2d:把持片部,2uc:係止爪部,2dc:係止爪部,3…:パネル材,3o:パネル本体部,3or:パネル本体部の裏面,3x:厚肉部,3xu:厚肉部の上面,3xd:厚肉部の下面,3su:スリット部,3sd:スリット部,4…:支柱,4c:取付面,5…:固定ネジ,Ms:バネ性金属プレート,Mp:プラスチック素材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔おきに設置した複数の支柱により複数の横長のパネル材を上下方向に順次取付けたフェンスにおいて、取付部の上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出し、かつ先端に相互に向き合う係止爪部を有する一対の把持片部を板バネ材により形成した複数の把持部材と、この把持部材の取付部を長手方向に所定間隔おきに取付ける支柱と、パネル本体部の裏面に当該裏面の縦幅よりも短い縦幅の厚肉部を横方向に設け、かつ前記厚肉部の上下面と前記裏面間の境に当該裏面に沿って形成することにより前記一対の係止爪部がそれぞれ係止可能な一対のスリット部を有する複数のパネル材とを備えることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
前記把持部材は、一枚のバネ性金属プレートを折曲して一体形成することを特徴とする請求項1記載のフェンス。
【請求項3】
前記把持部材の一対の把持片部におけるそれぞれの長さ及び/又は形状は、前記支柱に取付ける際の前記パネル材の角度に対応して同一又は非同一に形成することを特徴とする請求項1又は2記載のフェンス。
【請求項4】
前記パネル材は、リサイクル材,バージン材又はこれらの複合材を用いたプラスチック素材により一体成形することを特徴とする請求項1,2又は3記載のフェンス。
【請求項5】
前記パネル材の肉厚部における上下面は、前記一対の把持片部を押し当てた際に当該把持片部の弾性変位により前記係止爪部と前記スリット部が係止可能となり、かつ前記スリット部に前記係止爪部が係止した際には抜け止めされる形状に形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフェンス。
【請求項6】
前記支柱は、前記把持部材を取付ける凹部により形成した取付面を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフェンス。
【請求項7】
複数の支柱を所定間隔おきに設置し、この支柱に複数の横長のパネル材を上下方向に順次取付けるフェンスの施工方法において、取付部の上端と下端から所定の角度によりそれぞれ突出し、かつ先端に相互に向き合う係止爪部を有する一対の把持片部を板バネ材により形成した複数の把持部材を用意し、この把持部材の取付部を支柱の長手方向に所定間隔おきに取付けるとともに、パネル本体部の裏面に当該裏面の縦幅よりも短い縦幅の厚肉部を横方向に設け、かつ前記厚肉部の上下面と前記裏面間の境に当該裏面に沿って形成することにより前記一対の係止爪部がそれぞれ係止可能な一対のスリット部を有する複数のパネル材を用意し、このパネル材における前記一対のスリット部に一対の前記係止爪部をそれぞれ係止させることにより前記支柱に各パネル材を取付けることを特徴とするフェンスの施工方法。
【請求項8】
前記パネル材の肉厚部における上下面は、前記一対の把持片部を押し当てた際に当該把持片部の弾性変位により前記係止爪部と前記スリット部が係止可能となり、かつ前記スリット部に前記係止爪部が係止した際には抜け止めされる形状に形成し、前記パネル材の肉厚部を前記一対の把持片部を押し当てて前記係止爪部を前記スリット部に係止させることを特徴とする請求項7記載のフェンスの施工方法。
【請求項9】
前記把持部材の取付部は固定ネジを用いて前記支柱に取付けることを特徴とする請求項7又は8記載のフェンスの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−126965(P2010−126965A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301928(P2008−301928)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(507142498)有限会社徳装 (3)
【Fターム(参考)】