説明

フォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法、フォトニック結晶デバイス、量子もつれ光子対発生装置、及び量子メモリ

【課題】フォトニック結晶共振器の共振波長を効率的に調整し、偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも一つの点欠陥が形成された2次元フォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器27の一主面に膜14を形成する膜形成工程と、フォトニック結晶共振器27における共振波長を測定する波長測定工程と、波長測定工程で測定した共振波長に基づいて、膜14を局所的に加工することにより、フォトニック結晶共振器27における特定の共振器モードの波長を調整する波長調整工程と、から構成されるフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法により、偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイス31を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法、フォトニック結晶デバイス、量子もつれ光子対発生装置、ならびに量子メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等による情報通信技術の進展が著しい。これに伴い、伝送される情報の漏洩を防止する暗号技術についても研究開発が行われている。暗号技術として、量子暗号が注目されている。量子暗号は、暗号化された情報を解読するための暗号鍵を安全に配送する技術であり、その絶対的安全性は量子力学の原理によって保証されている。
【0003】
量子暗号通信の長距離化を実現する技術として、量子テレポーテーションがある。量子テレポーテーションには、量子もつれ光子対、あるいはエンタングル光子対などと呼ばれる、量子状態に相関を持つ光子対が利用される。
【0004】
量子もつれ光子対は、一方の光子の量子状態が確定した瞬間に他方の量子状態が確定するという特徴を持っている。光子対の量子もつれ状態を表現する関数|ψ>は、次の(1)式の様に表される。
|ψ>=(|R>|L>+|L>|R>)/√2
=(|H>|H>+|V>|V>)/√2 …(1)
R,L,H,及びVはそれぞれ右回り円偏光、左回り円偏光、水平直線偏光、及び垂直直線偏光を表し、下添え字の1,2はそれぞれ光子対の一方と他方を表す。すなわち、光子対の一方が右回り(左回り)円偏光の状態であることを観測した瞬間に、他方が左回り(右回り)円偏光の状態であることが確定する。また、光子の一方が水平(垂直)直線偏光の状態であることを観測した瞬間に、光子の他方が水平(垂直)直線偏光の状態であることが確定する。
【0005】
上述の性質を利用して、送受信者間で量子もつれ光子対を共有し、両者の観測結果を双方向回線によって整合すれば、盗聴に対して絶対的に安全な暗号鍵を作成することができる。従って、量子もつれ光子対の発生手段が量子暗号において非常に重要である。
【0006】
また、量子テレポーテーションによる長距離量子暗号通信を実現するためには、複数の量子中継器をネットワーク上に設置する必要がある。それぞれの量子中継器の間で量子もつれ光子対を共有することにより、距離の離れた送受信間の量子もつれ状態を構築するのである。この量子中継器には、量子もつれ状態の損失を回復させるために、量子プロセッサ等と並び、光子の量子状態を一時的に保存する量子メモリが必要となる。光子を静止させて保持することは非常に困難なため、量子状態に変化を与えずに光子を吸収、放出する固体の量子メモリが利用される。
【0007】
量子もつれ光子対の発生手段及び量子メモリとして機能するデバイスとして、半導体量子ドットが注目されている。半導体量子ドットは、半導体結晶成長技術などにより造られた人工のナノ構造体であって、数10nm程度の大きさの領域に束縛された電子と正孔を備え、離散化されたエネルギー準位を有する。
【0008】
量子ドットの中には、電子スピンの自由度を考慮して、電子と正孔が2対まで入ることができる。電子と正孔は、1対で励起子、2対で励起子分子と呼び、量子ドットは励起子状態と励起子分子状態をとることができる。量子ドットは励起子分子状態から励起子状態へ、さらに励起子状態から基底状態へと段階的に遷移し二つの光子を放出するが、理想的な状態ではこの光子対が量子もつれ光子対となる(非特許文献1参照)。
【0009】
また、量子ドットの励起子は、その構成要素である電子と正孔を反映した+1、−1のスピンを持つ。一方、右回り、左回り円偏光の光子はそれぞれ+1、−1のスピンを持つ。量子力学的選択則に基づくと、光の吸収、放出過程では、それぞれスピン+1の光子と励起子、スピン−1の光子と励起子が対応する。従って量子ドットは光子を吸収、放出することにより、光子の量子状態を一時的に保存する量子メモリとして機能することができる。
【0010】
上述のように、量子ドットは量子情報処理において非常に重要な役割を果たすデバイスである。ところが、そのサイズ(数10nm程度)が光の波長(典型的には1μm程度)に対して一桁以上小さいため、光との結合効率が低いことが問題となる。これを解決する手段として、量子ドットを、微少な領域に光を閉じ込めることができるフォトニック結晶共振器と組み合わせることが提案されている。共振器内部では光の閉じ込めによって実効的な電場強度が高くなるため、量子ドットと光の結合効率が高くなる。
【0011】
フォトニック結晶は、屈折率の異なる物質が周期的に分布した光学機能材料であり、光子のエネルギーと伝播方向に対するバンド構造を有する。このバンド構造は、光の伝播が許容されないフォトニックバンドが存在することを特徴とする。一般的には、フォトニック結晶は、スラブ状の半導体薄膜に微少な開口を周期的に形成する方法により製造されることが多い。この屈折率分布に、欠陥と呼ばれる変調を与えることによって、様々な光学機能を付加することができる。例えば点状の欠陥を一つ又は複数形成すると、フォトニックバンド中に特定のエネルギーの光が定在波として存在可能となる。この欠陥は点欠陥と呼ばれ、微小な領域に光を閉じ込める微小共振器として機能する(特許文献1、2参照)。
【0012】
上述の量子情報処理は、量子状態(偏光状態)の区別がつかないことを前提としている。従って、量子もつれ光子対発生装置や量子メモリには偏光依存性があってはならない。これは、量子ドット及びフォトニック結晶共振器に厳密な構造対称性が求められることを意味する。
【0013】
一般的に、フォトニック結晶共振器の周期構造には、正方格子、三角格子などの対称性のある格子パターンが使用される。これらのフォトニック結晶共振器が有する第1バンドギャップ内の最もエネルギーの低い共振器モードは、波長が等しく、水平及び垂直偏光した双極子的な電場分布を生じる二つの偏光モードであることが理論的に導かれる。しかし現実には、フォトニック結晶の作製誤差に起因する屈折率分布の非対称性により、水平、垂直偏光に対応する共振器モードの共振スペクトルは分裂する(非特許文献2参照)。以下、この偏光依存性を偏光モード分裂と呼ぶ。
【0014】
フォトニック結晶共振器を量子情報処理に利用する場合、偏光モード分裂の許容値は共振スペクトルの半値半幅程度と考えられる。共振器のスペクトルの鋭さを表すパラメータとしてQ値がある。Q値は共振波長をスペクトルの半値全幅で割って計算される。従って、偏光モード分裂の許容値は、共振波長をQ値で割った値の半分程度となる。非特許文献2に示された典型的なフォトニック結晶共振器を例にとると、Q値は10000程度、共振波長は1300nm程度であることから、偏光モード分裂の許容値は0.065nm程度である。ところが、実際の偏光モード分裂は、その10倍近い約0.7nmであると示されている。この偏光モード分裂を許容値以下に抑えるためには、電子線描画、ドライエッチングプロセスなどによる作製誤差を1nm以下に抑えなければならず、現在の技術水準では非常に困難である。
【0015】
偏光モード分裂を解消する現実的な方法として、フォトニック結晶共振器の製造後に偏光モード分裂を解消する方法が挙げられる。その方法の一つは、非特許文献3に開示されている。非特許文献3には、フォトニック結晶共振器が有する双極子的な偏光モードの一方を選択し、その偏光モードで発生する電場分布から電場の強い領域だけを選択的に酸化させることにより、選択した偏光モードの共振波長を微細に変化させる方法が示されている。また、フォトニック結晶共振器を局所的に酸化する手法として、AFM(原子間力顕微鏡)酸化が用いられている。AFM酸化とはAFMを用いて大気中の試料表面に局所的に電流を流し、大気中の水分と酸素とによって試料表面を酸化させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−245866号公報
【特許文献2】特開2004−279800号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】O. Benson, C. Santori, M. Pelton and Y. Yamamoto, Phys. Rev. Lett., vol. 84, no. 11, p2513
【非特許文献2】M. Shirane et al., J. Appl. Phys., Vol.101, no.7, p.073107
【非特許文献3】K.Hennessy, C.Hogerle, E.Hu, A.Badolato, and A.Imamoglu, Applied Physics Letters, vol.89, no.4, 041118
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
フォトニック結晶共振器の偏光モード分裂を解消するため、非特許文献3に記載の方法は、AFMを用いてフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する。しかし、AFMは共振波長を測定するための光学系装置とは共存しない。このため、AFMによる共振周波数の調整と光学系装置による共振波長の測定とを交互に繰り返す必要があり、作業効率が非常に悪い。
【0019】
以上のような課題に鑑み、本発明はフォトニック結晶共振器の共振波長を効率的に調整する方法を提供し、もって偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するため、本発明によるフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法は、
少なくとも一つの点欠陥が形成された2次元フォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器の一主面に膜を形成する膜形成工程と、
前記フォトニック結晶共振器における共振波長を測定する波長測定工程と、
前記波長測定工程で測定した共振波長に基づいて、前記膜を局所的に加工することにより、前記フォトニック結晶共振器における特定の共振器モードの波長を調整する波長調整工程と、を有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明によるフォトニック結晶デバイスは、
少なくとも一つの点欠陥が形成された2次元フォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器と、
前記2次元フォトニック結晶の一主面に形成され、局所的に除去された領域又は局所的に屈折率が異なる領域を有する膜と、を備えることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明による量子もつれ光子対発生装置は、
上述のフォトニック結晶デバイスと、
前記フォトニック結晶共振器に設けられた単一の量子ドットと、
前記量子ドットに最低次の励起子分子状態を生成する手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
そして、本発明による量子メモリは、
上述のフォトニック結晶デバイスと、
前記フォトニック結晶共振器に設けられた単一の量子ドットと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法を用いれば、フォトニック結晶共振器の共振波長をモニタしながら、その場でその共振波長を微細に調整することができる。この方法は、フォトニック結晶の微細加工プロセスによって生じる2次元面内の系統的な作製誤差を非常に効率的に補正する手段であり、特にフォトニック結晶共振器の偏光モード分裂を解消するために用いることができる。これにより得られる偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイスは、例えば量子ドットと組み合わせて、量子もつれ光子対発生装置、あるいは量子メモリに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る、共振波長を調整する対象であるフォトニック結晶共振器を示す。(a)は部分平面図であり、(b)は(a)におけるI−I線断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、上面に膜が形成されたフォトニック結晶共振器を示す。(a)は部分平面図であり、(b)は(a)におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、上面に局所的に加工された膜が形成されたフォトニック結晶共振器である、フォトニック結晶デバイスを示す。(a)は部分平面図であり、(b)は(a)におけるIII−III線断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、それぞれ図1〜図3に示されたフォトニック結晶共振器の水平偏光モード及び垂直偏光モードの共振スペクトルを示す概略図である。
【図5】図1に示されたフォトニック結晶共振器の(a)水平偏光モード、(b)垂直偏光モード、において発生する電場分布を示す図である。
【図6】(a)〜(f)は、図1に示されたフォトニック結晶共振器の作成方法を漸次的に示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る共振波長調整装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態に係るフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法と、それにより得られるフォトニック結晶デバイスについて、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0027】
<第1実施形態>
(フォトニック結晶共振器)
始めに、共振波長を調整する対象となるフォトニック結晶共振器27について説明する。
【0028】
本実施形態のフォトニック結晶共振器27は、量子もつれ光子対発生装置又は量子メモリ用であり、図1(b)の断面図に示すように、半導体基板21と、犠牲層22と、半導体基材23と、量子ドット24と、から構成されている。
【0029】
半導体基板21は、GaAs化合物半導体から構成される。
犠牲層22は、半導体基板21上に配置されたAlGaAsエピタキシャル層から構成され、半導体基材23を支持する。犠牲層22には、空洞部22aが形成されている。
半導体基材23は、犠牲層22上に配置されたGaAsエピタキシャル層から構成されている。半導体基材23の空洞部22aの上に位置する領域には、図1(a)の部分平面図に示すように、三角格子状に周期的に配列された複数の円孔25が形成されている。その中央部に位置する格子点は円孔が形成されていない点欠陥であって微小共振器26として機能する。
量子ドット24は、InAs半導体から構成された量子ドットであり、半導体基材23の厚さ方向の中央部かつ点欠陥である微小共振器26の中心部に配置されている。
【0030】
半導体基材23の厚さ、円孔25の周期パターン、間隔、及び大きさは、フォトニック結晶共振器27の共振波長がInAs量子ドットの発光波長と一致する950nm程度になるように設計されている。例えば、円孔25の周期パターンとして三角格子状の円孔パターンを採用し、半導体基材23の膜厚d=160nm、円孔25の半径r=70nm、円孔25の中心間距離a=250nmに構成することにより、目的を達成できる。
さらに、高いQ値を実現する等の目的により、格子パターンの対称性は概ね保ちつつ、例えば微小共振器26に隣接する円孔のサイズや配置を変化させるなど、設計条件は多様に変更することが可能である。
【0031】
次に、図6(a)〜(f)を参照して、上記構成のフォトニック結晶共振器27の製造方法の一例を説明する。
【0032】
まず、図6(a)に示すように、GaAsからなる半導体基板21上にAlGaAsをエピタキシャル成長させ、犠牲層22を形成する。
【0033】
次に、図6(b)に示すように、GaAsをフォトニック結晶共振器27の設計膜厚dの半分、すなわちd/2の膜厚に成長させ、半導体基材23を半分だけ形成する。
【0034】
そして、図6(c)に示すように、設計膜厚の半分だけ形成された半導体基材23上にInAsからなる量子ドット24を配置する。
【0035】
次に、図6(d)に示すように、半導体基材23及び量子ドット24上にGaAsをさらに成長させて、設計膜厚dの半導体基材23を形成する。
【0036】
続いて、リソグラフィ技術とドライエッチングプロセスを組み合わせることにより、図6(e)に示すように、量子ドット24を中心として周期的に配列された円孔25を形成して、微小共振器26を有するフォトニック結晶共振器27を形成する。
【0037】
最後に、犠牲層22を、円孔25を介してウエットエッチングして、図6(f)に示すように、半導体基材23と半導体基板21の間に空洞部22aを形成する。ウエットエッチングは、空洞部22aの占める領域が円孔25の配列された領域よりも5〜10μm程度大きくなるように行う。残った犠牲層22は、半導体基材23を支える土台として機能する。
【0038】
このようにして、図1(a),(b)に示す構成のフォトニック結晶共振器27が完成する。
【0039】
作製誤差のない理想的な条件で製造された場合、フォトニック結晶共振器27の有する第1バンドギャップ内の最もエネルギーの低い共振器モードは、等しい共振波長で縮退し、水平偏光及び垂直偏光した双極子的な電場分布を生じる二つの偏光モードである、ということが理論的に導かれる。この水平偏光モード、垂直偏光モードに対応する電場分布は、平面波展開法によってそれぞれ図5(a),(b)に示すように求めることができる。
【0040】
しかし、実際に製造されたフォトニック結晶共振器27には偏光モード分裂が生じてしまう。すなわち、水平偏光モードの共振波長をλH、垂直偏光モードの共振波長をλVとすると、λH<λV、又はλH>λVとなってしまう。量子情報処理に利用するためには、さらにフォトニック結晶共振器27の偏光モード分裂を解消し、λH≒λVとする工程が必要である。
【0041】
(フォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法)
以下、図2〜図4を参照して、上記フォトニック結晶共振器27の偏光モード分裂を解消してλH≒λVとする方法、及びそれにより得られるフォトニック結晶デバイスについて説明する。
【0042】
まず、前提として、フォトニック結晶共振器27を、量子ドット24の動作温度に合わせ、絶対温度10K程度に保たれたクライオスタット内に載置する。
また、初期状態において、フォトニック結晶共振器27の水平、垂直偏光モードの共振波長の関係は、図4(a)に示すように、λH>λVであると想定する。
【0043】
(膜形成工程)
始めに、図2(a),(b)に示すように、フォトニック結晶共振器27の上面に窒素又は希ガスを固体化させて膜14を形成する。フォトニック結晶共振器27の主表面に膜14が形成されることは、フォトニック結晶共振器27の厚さが実効的に大きくなることに相当する。それゆえ、図4(b)に示すように、共振スペクトルは膜14の形成前と比較して長波長側へシフトする。この時、膜14が均一に形成されれば、水平、垂直偏光モードの共振波長の差λH−λVは変化しない。
【0044】
(波長調整工程及び波長調整工程)
次に、膜14が形成されたフォトニック結晶共振器27の水平、垂直偏光モードの共振波長(λH,λV)を測定しながら、図3(a),(b)に示すように、膜14の加工対象領域15を局所的に蒸発させて除去する。
加工対象領域15は、λH及びλVの大小関係と、図5(a),(b)に示した水平、垂直偏光モードの電場分布とに基づいて特定される。膜14が除去されることは、フォトニック結晶共振器27の厚さが実効的に小さくなることに相当する。従って、共振波長の長いλHを短くすることで、λH≒λVとすることができる。この場合、膜14の加工対象領域15として、水平偏光モードの電場が強く、垂直偏光モードの電場が弱い領域を選択する。こうして特定された加工対象領域15を局所的に加工することにより、水平偏光モードが受ける影響は大きく、垂直偏光モードが受ける影響は小さい。すなわち、水平偏光モードの共振波長λHは短波長側にシフトし、垂直偏光モードの共振波長λVはほとんど変化しない。それゆえ、λH及びλVをモニタしながら膜14の加工対象領域15を適切な量だけ除去することにより、図4(c)に示すように、λH≒λVとすることができる。
【0045】
ここでは偏光モードの共振波長がλH>λVである場合について示したが、λH<λVである場合には、垂直偏光モードの電場が集中している領域を加工対象領域として除去することにより、λHを変化させずにλVを短波長側にシフトさせ、λH≒λVとする。
【0046】
(フォトニック結晶デバイス)
上述の方法により、図3(a),(b)に示す構成の、偏光モード依存性が解消されたフォトニック結晶デバイス31が完成する。
【0047】
フォトニック結晶共振器27に形成される膜14は、活性の低い窒素又は希ガスの固体膜であるため、加熱によって容易に除去することができる。すなわち、膜形成工程、波長計測工程、及び波長調整工程から構成される一連の工程は、可逆過程である。従って、フォトニック結晶共振器27の共振波長の調整に失敗しても、容易にやり直すことができる。
【0048】
なお、フォトニック結晶デバイス31を量子情報処理に利用するためには、水平、垂直偏光モードの共振波長λH,λVが等しいことが理想的である。ただし、共振波長は有限のスペクトル幅を有しているため、現実には波長差λH−λVがスペクトルの半値半幅程度であれば許容範囲内と考えられる。
【0049】
(共振波長調整装置)
次に、図7を用いて、上述のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法を実施するための共振波長調整装置50を説明する。
【0050】
図示するように、共振波長調整装置50は、クライオスタット32と、サージタンク36と、真空ポンプ37と、レーザ光源40と、誘電体鏡41と、レンズ42a,42bと、波長フィルタ43と、分光器44と、光検出器アレイ45と、から構成されている。
【0051】
フォトニック結晶共振器27は、クライオスタット32内にマウントされる。レーザ光源40には、例えば波長633nmのヘリウム・ネオンレーザを使用する。レーザ光源40から照射されるレーザ光34は、誘電体鏡41により反射され、レンズ42aにより絞られ、クライオスタット32内へ導かれ、フォトニック結晶共振器27の主表面に略垂直に照射される。
レーザ光34によりフォトニック結晶共振器27に励起される共振光は、レンズ42aを通り、誘電体鏡41を透過し、波長フィルタ43を所定波長の共振光のみが透過し、レンズ42bを通り、分光器44に入射する。
共振光は分光器44によって波長別に分光され、分光器44に設けられた光検出器アレイ45によって各波長の強度、すなわちスペクトルが検出される。
また、フォトニック結晶共振器27の主表面に膜14を形成するための窒素又は希ガスを貯蔵するガスボンベ39が、クライオスタット32の外部に配置されている。そして、ガスボンベ39からクライオスタット32内に向かって、窒素又は希ガスの供給圧力を調整するレギュレータ38、バルブ35c、サージタンク36、バルブ35aが順番に配設されたガス流路が設けられており、ガスボンベ39の窒素又は希ガスをクライオスタット32内へ導入することができる。また、バルブ35cとサージタンク36の間には、バルブ35bを介して真空ポンプ37が配設されている。
【0052】
次に、共振波長調整装置50を用いて、フォトニック結晶共振器27の共振波長を調整する方法を説明する。
【0053】
(準備工程)
始めに、フォトニック結晶共振器27をクライオスタット32にマウントする。次に、クライオスタット32内部を量子ドットの動作温度である10K前後に安定させ、かつ断熱のため高真空状態に保つ。また、真空ポンプ37を動作させてサージタンク36内を真空状態にする。真空ポンプ37を用いてクライオスタット32とサージタンク36とを同時に真空状態にしてもよい。そして、全てのバルブ35a〜35cを閉じておく。
【0054】
(膜形成工程)
バルブ35cを開くと、窒素又は希ガスは、ガスボンベ39から、レギュレータ38、バルブ35cを経由してサージタンク36内へと流入する。サージタンク36内が所定の圧力に達すると、サージタンク36に設けられた図示しない圧力センサと、バルブ35cに設けられた図示しない開閉駆動部により、バルブ35cは自動的に閉じる。そのため、サージタンク36は所定量の窒素又は希ガスを蓄えることができる。その後、バルブ35aを開くと、サージタンク36内に蓄えられた所定量の窒素又は希ガスはクライオスタット32内に拡散する。バルブ35aまでは室温状態であり、10K前後の低温状態なのはフォトニック結晶共振器27の周辺のみであるため、クライオスタット32内に導入された窒素又は希ガスはフォトニック結晶共振器27の周辺部で瞬時に固体化し、一様な厚さの膜を形成する。その後、バルブ35aを閉め、バルブ35bを開放し、真空ポンプ37を作動させてサージタンク36内を再び真空状態に戻す。以上の作業を繰り返すことにより、所定の厚さの膜を繰り返し形成することができる。
【0055】
上述の方法により、典型的にはサブnmから数nm程度の窒素又は希ガスの固体膜が形成される。これに対しフォトニック結晶共振器の厚さは典型的には150nm程度であるため、膜の形成は共振波長を変える以外にはほとんど影響を与えず、Q値などへの影響は軽微である。
【0056】
(波長測定工程及び波長調整工程)
レーザ光源40は、フォトニック結晶共振器27に共振光を励起するための励起光源と、膜を除去する光源の両方を兼ねる。従って、波長測定工程と波長調整工程は、並行して実施することができる。この場合、レーザ光34の照射によりフォトニック結晶共振器27に励起される共振光を検出器アレイ45でモニタしながら膜を除去し、偏光モード分裂の解消と同時にレーザ光34の照射を停止すれば良い。
【0057】
以上により、図3(a),(b)に示す構成の、偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイス31が完成する。
【0058】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、フォトニック結晶共振器に窒素又は希ガスから膜を形成し、それを局所的に除去することにより、水平、垂直偏光モードの共振波長λH,λVのうち長波長側の一方を低波長側の他方に向けてシフトさせて両共振波長を一致させたが、フォトニック結晶共振器の共振波長を変化させることができるならば、膜の材質や、膜に施す加工の種類は任意である。
以下、フォトニック結晶共振器に感光性の膜を形成し、この膜の屈折率を局所的に変化させることにより、水平、垂直偏光モードの共振波長λH,λVを一致させる、第2の実施形態について説明する。
【0059】
(フォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法)
共振波長を調整する対象となるフォトニック結晶共振器を製造する工程自体は、第1実施形態と同一である。以下、本実施形態に特徴的な、フォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法について説明する。
【0060】
(膜形成工程)
まず、感光により屈折率が変化する有機材料を適当な溶剤に溶かした後、スピンコーティング等の手法を用いてフォトニック結晶共振器の主表面へ塗布し、膜を形成する。このとき、膜が均一に形成されれば、フォトニック結晶共振器の水平、垂直偏光モードの共振波長の差λH−λVは変わらない。
【0061】
(波長測定工程及び波長調整工程)
続いて、フォトニック結晶共振器の膜に所定波長のレーザ光を照射し、膜の屈折率を局所的に変化させる。膜の加工対象領域は、膜を形成する材料の特性に応じて決定する。膜を形成する材料には、感光によって屈折率が高くなるものと低くなるものがある。光照射によって屈折率が低くなる材料を用いた場合は、図5(a),(b)を参照し、水平、垂直偏光モードのうち、共振波長の長い偏光モードの電場が強い領域を加工対象領域として選択する。反対に、光照射によって屈折率が高くなる材料を用いた場合は、図5(a),(b)を参照し、共振波長の短い偏光モードの電場が強い領域を加工対象領域として選択する。そして、λH及びλVをモニタしながら膜の加工対象領域にレーザ光を照射することにより、λH≒λVとすることができる。
【0062】
その他の詳細な方法は、第一実施形態と同様の方法を用い、偏光モード依存性が解消されたフォトニック結晶デバイスが完成する。
【0063】
(装置)
上述の工程を実施するための装置について説明する。膜形成工程は、スピンコータ等を用いて実施する。波長測定工程及び波長調整工程は、第1実施形態と同様に、図7に示した共振波長調整装置50を用いて実施することができる。ただし、共振波長調整装置50の構成のうち、窒素又は希ガスを供給するための構成であるバルブ35a〜35c、サージタンク36、真空ポンプ37、レギュレータ38、及びガスボンベ39は必要ない。また、レーザ光34は、膜を局所的に除去するためではなく、膜の屈折率を局所的に変化させるために用いられる。
【0064】
<応用例>
(量子もつれ光子対発生装置及び量子メモリ)
第1及び第2実施形態に係るフォトニック結晶デバイスは、量子もつれ光子対発生装置、及び量子メモリに利用することができる。
【0065】
量子もつれ光子対発生装置は、量子ドットを備えるフォトニック結晶共振器から構成されるフォトニック結晶デバイスと、量子ドットを励起して最低次の励起子分子状態を生成する手段とから構成することができる。量子ドットを励起する手段としては、フォトニック結晶デバイスのフォトニック結晶共振器の吸収領域の波長、又は量子ドットの高次の励起子準位に共鳴する波長を有する光の照射や、p−i−n構造の採用と外部電場の印加による正孔及び電子の注入を利用することができる。これによって励起子分子状態に励起された量子ドットは、励起子分子状態から励起子状態へ、さらに励起子状態から基底状態へと段階的に遷移する過程において、量子もつれ光子対を発生する。
【0066】
量子メモリは、量子ドットを備えるフォトニック結晶共振器から構成されるフォトニック結晶デバイスから構成することができる。量子ドットは、情報媒体である光子を吸収、放出することにより、光子の量子状態を一時的に保持するメモリとして機能する。
【0067】
量子もつれ光子対発生装置及び量子メモリの双方において、フォトニック結晶デバイスを量子ドットの作動温度に保持するためのクライオスタット装置や、情報媒体としての光子を送受するための光ファイバ等が必要となることは言うまでもない。
【0068】
フォトニック結晶共振器は、量子もつれ光子対発生装置、あるいは量子メモリに搭載された後に、偏光モード分裂を解消されても良い。例えば、第1実施形態に基づいて窒素又は希ガスから膜を形成する場合には、共振波長が調整されたフォトニック結晶共振器はその後の徹底した温度管理を要する。従って、現実的には、フォトニック結晶共振器を該装置に搭載した後、該装置の稼働開始に際して、膜形成工程、波長測定工程、波長調整工程の一連の工程を実施することが望ましい。一方、第2実施形態に基づいて感光により屈折率が変化する材料から膜を形成する場合には、フォトニック結晶共振器を膜形成工程の後に該装置に搭載し、波長測定工程及び波長調整工程を実施してもよく、あるいは全ての工程を実施した後に該装置に搭載してもよい。その際には、温度変化による膜の剥離や、自然光による膜の屈折率変化等に注意する必要がある。
以上を踏まえ、量子もつれ光子対発生装置及び量子メモリ装置は、例えば、膜形成のための窒素又は希ガスを導入するガス流路の接続手段や、波長測定及び波長調整のための光学系装置等と連結するための連結手段等を備えていても良い。
【0069】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載した範囲で種々の変形をしたものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0070】
例えば、上述の実施形態では波長測定工程と波長調整工程とにおいて同一のレーザ光源を用いたが、それぞれ別のレーザ光源を用いて、それらのレーザ光を同じ光線軸上から照射してもよい。また、波長測定工程と波長調整工程は必ずしも並行して実施する必要はなく、例えばレンズの絞りを調整することにより、またはレーザ光源を切り替えることにより、交互に実施しても良い。
【0071】
また、上述の実施形態に記載されたフォトニック結晶デバイスの構成材料、設計条件、及び製造条件は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。第1及び第2の実施形態では、単一の点欠陥が形成された三角格子状の屈折率周期構造を有するフォトニック結晶構造を採用したが、本発明は、少なくとも一つ以上の点欠陥が形成されたフォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器の全般に応用できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、フォトニック結晶共振器の共振波長を効率的に調整し、その作製誤差等に起因する偏光モード分裂を解消することができる。偏光モード分裂が解消されたフォトニック結晶デバイスは、量子もつれ光子対発生装置、量子メモリに代表される、様々な量子情報処理デバイスに適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
14.膜
15.加工対象領域
21.半導体基板
22.犠牲層
23.半導体基材
24.量子ドット
25.円孔
26.微小共振器
27.フォトニック結晶共振器
31.フォトニック結晶デバイス
32.クライオスタット
34.レーザ光
35a,35b,35c.バルブ
36.サージタンク
37.真空ポンプ
38.レギュレータ
39.カスボンベ
40.レーザ光源
41.誘電体鏡
42a,42b.レンズ
43.波長フィルタ
44.分光器
45.検出器アレイ
50.共振波長調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの点欠陥が形成された2次元フォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器の一主面に膜を形成する膜形成工程と、
前記フォトニック結晶共振器における共振波長を測定する波長測定工程と、
前記波長測定工程で測定した共振波長に基づいて、前記膜を局所的に加工することにより、前記フォトニック結晶共振器における特定の共振器モードの波長を調整する波長調整工程と、を有することを特徴とするフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項2】
前記膜形成工程は、気体状態の窒素又は希ガスを前記フォトニック結晶共振器の一主面上で固体化して前記膜を形成する工程から構成されることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項3】
前記膜形成工程は、感光により屈折率が変化する材料を前記フォトニック結晶共振器の一主面上にコーティングして前記膜を形成する工程から構成されることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項4】
前記波長調整工程は、前記フォトニック結晶共振器における縮退すべき二つの共振器モードのうち、一方の共振器モードの共振波長を選択的に調整して、両方の共振器モードの共振波長の差を低減することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項5】
前記波長調整工程は、
前記フォトニック結晶共振器における縮退すべき二つの共振器モードについて、
それぞれの共振器モードにおいて前記フォトニック結晶共振器の2次元面内に発生する電場の強度分布を求める工程と、
求めた電場の強度分布に基づいて、前記膜の加工対象領域を特定する特定する工程と、
特定した加工対象領域を加工する工程と、から構成されることを特徴とする請求項4に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項6】
前記波長測定工程は、前記フォトニック結晶共振器にレーザ光を照射することにより励起された共振光を検出する工程から構成され、
前記波長調整工程は、前記膜にレーザ光を照射することにより前記膜を加工する工程から構成される、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項7】
前記波長測定工程及び前記波長調整工程において照射されるレーザ光は、共通のレーザ光源より照射されることを特徴とする請求項6に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項8】
前記波長測定工程及び前記波長調整工程は、並行して実施されることを特徴とする請求項6又は7に記載のフォトニック結晶共振器の共振波長を調整する方法。
【請求項9】
少なくとも一つの点欠陥が形成された2次元フォトニック結晶から構成されるフォトニック結晶共振器と、
前記2次元フォトニック結晶の一主面に形成され、局所的に除去された領域又は局所的に屈折率が異なる領域を有する膜と、を備えることを特徴とするフォトニック結晶デバイス。
【請求項10】
前記膜は、固体状態の窒素又は希ガスから形成されていることを特徴とする請求項9に記載のフォトニック結晶デバイス。
【請求項11】
前記膜は、感光により屈折率が変化する材料から形成されていることを特徴とする請求項9に記載のフォトニック結晶デバイス。
【請求項12】
前記膜は、前記フォトニック結晶共振器における、縮退すべき共振器モードの共振波長の差を低減していることを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項に記載のフォトニック結晶デバイス。
【請求項13】
前記膜は、前記フォトニック結晶共振器における、前記2次元フォトニック結晶の2次元面内で偏光方向が互いに直交する共振器モードの共振波長の差を低減していることを特徴とする請求項12に記載のフォトニック結晶デバイス。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れか1項に記載のフォトニック結晶デバイスと、
前記フォトニック結晶共振器に設けられた単一の量子ドットと、
前記量子ドットに最低次の励起子分子状態を生成する手段と、を備えることを特徴とする量子もつれ光子対発生装置。
【請求項15】
請求項9乃至13の何れか1項に記載のフォトニック結晶デバイスと、
前記フォトニック結晶共振器に設けられた単一の量子ドットと、を備えることを特徴とする量子メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−210754(P2010−210754A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54681(P2009−54681)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】