説明

フォトリソグラフィーのための組成物および方法

【課題】液浸フォトリソグラフィーのための、新規な材料およびプロセスが望まれている。また、改善されたリソグラフィー結果をもたらすことができる新規な組成物、特に、現像されたレリーフ像の改善された解像度をもたらすことができる、新規な組成物を提供することも望まれている。
【解決手段】非液浸画像化のためのだけでなく、液浸リソグラフィー処理のためをも含む、フォトレジスト組成物上に適用されるオーバーコーティング層組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸リソグラフィー処理のためをはじめとする、フォトレジスト組成物上に適用されるオーバーコーティング層組成物に関係する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、像を基体へ移すために使用される感光膜である。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、この後、そのフォトレジスト層がフォトマスクを介して活性化放射線源に暴露される。フォトマスクは、活性化放射線を通さない領域と活性化放射線を通す他の領域とを有している。活性化放射線への暴露はフォトレジストコーティングの光誘起化学転換をもたらし、これにより、フォトマスクのパターンがフォトレジストがコーティングされた基体に移される。露光後、フォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能とするレリーフ像をもたらす。
【0003】
半導体産業の成長はムーアの法則(Moore’s law)に従って突き進んでおり、その法則は、ICデバイスの複雑性が二年毎に平均で二倍になると述べている。これは、減少の一途をたどるフィーチャーサイズに伴って、必然的にパターンおよび構造をリソグラフィーを利用して移すことを必要とする。
【0004】
より小さなフィーチャーサイズを達成するための一つの手法は、より短い波長の光を使用することであるが、193nm未満で透明な材料を見出すことの困難性が、液浸リソグラフィーを利用する選択肢へと導き、この方法を用いれば、単に液体を使用するだけでレンズの開口数を増大させ、より多くの光を薄膜に集中させることができる。液浸リソグラフィーは、画像化デバイス(例えば、KrFまたはArFステッパー)の最終表面とウエハーまたは他の基体上の第一表面との間に比較的高い屈折率の流体を使用する。
【0005】
液浸鏡検(immersion microscopy)は、空気より大きな屈折率を有する液体を使用することによりレンズの開口数を増大させるための一つの方法として報告されている。この向上は定量化することができ、最小線幅Wは、以下の式により算出される。
W=kλ/NA 式1
ここで、式中のkは解像度係数(resolution factor)であり、λは光の波長であり、NAは開口数である。
【0006】
屈折率が1の空気の場合、開口数の実際的な限界は0.93である。屈折率が1より大きな材料の場合には、以下の式に基づき、1より大きなNAを達成することができる。
NA=n・sin(α)=d/(2f) 式2
式1のNAをこの式で置換することにより、上述の式1は、以下の式で示されている通りに簡単化することができる:
W=kλ/n・sin(α) 式3
ここで、式中のnは液浸流体の屈折率であり、αはレンズの受光角である。従って、屈折率が1.47の水の場合、193nmにおいて35nmの線幅が可能である。
【0007】
広範囲にわたる、実績のある液浸リソグラフィー系は、まだ一般的には存在しない。米国特許出願公開第2005/0202347号を参照のこと。明らかに、液浸リソグラフィー用の信頼性のあるり且つ使いやすいフォトレジストおよび画像化プロセスが必要とされている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0202347号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液浸フォトリソグラフィーのための新規な材料およびプロセスが望まれている。また、改善されたリソグラフィー結果をもたらすことができる新規な組成物、特に、現像されたレリーフ像の改善された解像度をもたらすことができる新規な組成物を提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者らは、一態様において、液浸フォトリソグラフィーのための新規な組成物(「オーバーコーティング組成物」)および方法を提供する。また、発明者らは、非液浸画像化プロセスにおいて使用するための、フォトレジスト層上の上面被膜層として使用することができる新規な組成物も提供する。
【0010】
一つの好適な態様において、本発明のオーバーコーティング組成物は、一以上の酸発生剤化合物と共に存在する一以上の有機成分を含み、特に熱処理で酸を発生させることができる一以上の熱酸発生剤化合物、または活性化放射線による処理で酸を発生させることができる一以上の光酸発生剤化合物と共に存在する一以上の有機成分を含む。
【0011】
本発明の好適な組成物は樹脂成分を含み、この樹脂成分は一以上の樹脂を含んでいてよく、それらの樹脂は同じものまたは異なるもの(即ち、樹脂混合物)であってよい。特定の好適な態様によれば、本オーバーコーティング組成物の一つまたはそれ以上の樹脂はフッ素置換を含んでいてよい。また、好適な態様において、本オーバーコーティング組成物の一つまたはそれ以上の樹脂は、三つの別個な繰返し単位(ターポリマー)、四つの別個な繰返し単位(ターポリマー)、五つの別個な繰返し単位(ペンタポリマー)、または更により高次のポリマーを有する。
【0012】
本発明におけるオーバーコーティング組成物の一つまたは複数の好適な樹脂は様々な繰返し単位を含んでいてよく、少なくとも二つの縮合炭素原子を有する環構造を含む繰返し単位が特に好適である。特に好適な樹脂は重合されたノルボルネン基を含み、これらのノルボルネン基は場合によって一以上の非水素置換基、特に極性基(例えばエステル、エーテル、カルボキシ、ニトリルまたはスルホニル基)で置換されていてよく、これらの基は一以上の置換基(例えばハロゲン、特にフッ素)を有していてよい。
【0013】
本発明の好適なオーバーコーティング組成物は様々な材料を含むことができ、好適なオーバーコーティング組成物成分は、比較的高い分子量を有する材料、例えば約500ダルトン、1000ダルトン、1500ダルトンまたは2000ダルトンを超える分子量を有する材料などである。また、好適なオーバーコーティング組成物材料は、実質的にリソグラフィー的に不活性な材料、即ち、露光前および露光後の熱処理または画像化などの典型的なリソグラフィー処理工程中に結合切断反応を受けない材料、または液浸流体と他の反応を起こさない材料を含む。
【0014】
液浸リソグラフィーに用いる場合、フォトレジスト組成物層上に適用される本発明の特に好適なオーバーコーティング(上面被膜層)組成物は、好適には、フォトレジスト層の成分が、液浸リソグラフィープロセスで使用される液浸流体(例えば水)中に移動するのを少なくとも抑制する上で役立つことができる。周知の如く、液浸リソグラフィープロセスでは、液浸流体(例えば水または幾つかの種類の水性組成物)が露光ツールとオーバーコーティング組成物層との間に配置される。本明細書で使用される場合、「液浸流体」という用語は、液浸リソグラフィーを実施するために露光ツールとフォトレジストコーティングされた基体との間に挿入される流体(例えば水)を意味する。
【0015】
本明細書において言及される場合、オーバーコーティング層は、オーバーコーティング組成物を使用したときに、そのオーバーコーティング組成物層が存在しない点を除いて同じ方法で処理された同一のフォトレジスト系に比べ、液浸流体中において検出される酸または有機材料が低減された量ならば、フォトレジスト材料が液浸流体中に移動するのを抑制したと見なされる。液浸流体中におけるフォトレジスト材料の検出は、フォトレジスト(オーバーコーティングされたオーバーコーティング組成物層を伴うフォトレジストおよびそのようなオーバーコーティング組成物層を伴わないフォトレジスト)に曝す前の液浸流体をマススペクトル分析し、次いで、液浸流体を介する露光によるフォトレジスト層のリソグラフィー処理後における液浸流体をマススペクトル分析することにより実施することができる。好適には、本オーバーコーティング組成物は、何らオーバーコーティング層を使用しない同一のフォトレジスト(即ち、液浸流体がフォトレジスト層に直接的に接触する)に比べ、液浸流体中に存在するフォトレジスト材料(例えば、マススペクトル法で検出されるような酸または有機物)を少なくとも10パーセント低減し、より好適には、本オーバーコーティング組成物は、何らオーバーコーティング層を使用しない同一のフォトレジストに比べ、液浸流体中に存在するフォトレジスト材料(繰返しになるが、酸または有機物)を少なくとも20パーセント、50パーセントまたは100パーセント低減させる。
【0016】
本発明のリソグラフィー系の好適な画像化波長としては、300nm未満の波長、例えば248nm、および200nm未満の波長、例えば193nmが挙げられる。本発明の系において使用するのに特に好適なフォトレジストは、光活性成分(例えば一つまたはそれ以上の光酸発生剤化合物)および一以上の樹脂を含んでいてよく、これらの樹脂は以下のものの中から選択される:
1)酸不安定基を含むフェノール樹脂であり、この樹脂は、248nmにおける画像化に特に好適な化学増幅ポジ型レジストをもたらすことができる。この種の特に好適な樹脂は以下のものを包含する:i)ビニルフェノールおよびアルキルアクリレートの重合単位を含むポリマーであり、ここで、これらの重合アルキルアクリレート単位は、光酸の存在下において脱保護反応を受けることができる。光酸誘起脱保護反応を受けることができる例示的なアルキルアクリレートとしては、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、ならびに光酸誘起反応を受けることができる他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレートが挙げられ、例えば米国特許第6,042,997号および第5,492,793号に開示されているポリマーなどを含む;ii)ビニルフェノール、場合によって置換された、ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まないビニルフェニル(例えばスチレン)、およびアルキルアクリレート、例えば上のポリマーi)に関して説明されている脱保護基などの重合単位を含むポリマー、例えば米国特許第6,042,997号に記載されているポリマーなど;ならびにiii)光酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含んだ繰返し単位を含み、場合によって芳香族の繰返し単位、例えばフェニルまたはフェノール基などを含んだポリマー;このようなポリマーは米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されており、更には、i)及び/又はii)及び/又はiii)の混合物;
2)実質的もしくは完全にフェニルまたは他の芳香族基を含んでいない樹脂であり、この樹脂は、200nm未満の波長、例えば193nmにおける画像化に特に好適な化学増幅ポジ型レジストをもたらすことができる。この種類の特に好適な樹脂は以下のものを包含する:i)非芳香族環状オレフィン(環内二重結合)の重合単位、例えば場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されているポリマーなど;ii)アルキルアクリレート単位、例えばt−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、ならびに他の非環状アルキルおよび脂環式アクリレート、を含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州公開出願公開第EP01008913A1号および第EP00930542A1号;ならびに米国係属特許出願第09/143,462号に記載されており、およびiii)重合無水物単位、特に重合した無水マレイン酸及び/又は無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば欧州公開出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号で開示されているものなど、更には、i)及び/又はii)及び/又はiii)の混合物;
3)ヘテロ原子、特に酸素及び/又はイオウを含んだ繰返し単位(但し、無水物以外、即ち、この単位はケト環原子を含まない)を含む樹脂、好適には実質的または完全にあらゆる芳香族単位を含んでいない樹脂。好適には、このヘテロ脂環式単位は樹脂骨格に縮合されており、その樹脂が、縮合炭素脂環式単位、例えばノルボルネン基の重合などによりもたらされる縮合炭素脂環式単位を含んでいる場合及び/又は無水物単位、例えば無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合などによりもたらされる無水物単位を含んでいる場合が更に好適である。このような樹脂はPCT/US01/14914号および米国出願公開第09/567,634号に開示されている。
4)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えばテトラフルオロエチレン、フッ素化された芳香族基、例えばフルオロ−スチレン化合物など、およびヘキサフルオロアルコール部分を含む化合物などの重合によりもたらされ得る樹脂。このような樹脂の例は、例えばPCT/US99/21912号に開示されている。
【0017】
本発明は、更に、フォトレジストレリーフ像を形成するための方法および電子デバイスを製造するための方法を提供する。また、本発明は、本発明のオーバーコーティング層組成物のみでコーティングされた基体、またはフォトレジスト組成物と組み合わせて本発明のオーバーコーティング層組成物がコーティングされた基体、例えばそのようなコーティングが施されたマイクロエレクトロニクス(半導体)ウエハー基体などを含む新規な製造物品も提供する。
【0018】
本発明の別の態様を以下に開示する。
【0019】
上記のように、第一の態様では、フォトレジスト組成物を処理するための方法が開示され、その方法は、
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用する工程;
(b)そのフォトレジスト組成物上にオーバーコーティングまたは組成物を適用する工程を含む。好適な態様においては、このオーバーコーティング組成物は、一以上のターポリマー、または、より高次の樹脂を含んでいてよい。別の好適な態様においては、このオーバーコーティング組成物は、一以上の酸発生剤化合物、特に一以上の熱酸発生剤化合物及び/又は一以上の光酸発生剤化合物を含んでいてよい;
(c)このフォトレジスト層を、フォトレジスト組成物を活性化させる放射線に暴露する工程。本発明の特定の実施態様においては、フォトレジスト層は液浸リソグラフィープロセスにおいて露光され、この場合、液浸流体がオーバーコートされた組成物層と接触している。
【0020】
本発明の液浸リソグラフィー法においては、露光中、約1から約2までの間の屈折率を有する流体が露光ツールとオーバーコーティング組成物との間に好適に維持される。様々なフォトレジストを本発明のこれらの方法において使用することができ、例えば化学増幅ポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストを使用することができる。
【0021】
本発明のこれらの方法における幾つかの態様においては、フォトレジスト組成物は、オーバーコーティングされる本オーバーコーティング組成物が適用される前には熱的に処理されない。また、本発明のこれらの方法における幾つかの態様においては、フォトレジスト組成物およびオーバーコーティング組成物が適用された基体は、適用されたフォトレジスト組成物および適用されたオーバーコーティング組成物の両方から溶媒を除去するため、露光する前に熱的に処理される。
【0022】
本発明の方法および系は様々な画像化波長を用いて使用することができ、例えば300nm未満の波長を有する放射線、例えば248nmなど、または200nm未満に波長を有する放射線、例えば193nmなどの放射線を用いて使用することができる。
【0023】
別の実施態様では、リソグラフィー系、例えばコーティングされた基体系が提供され、このコーティングされた基体系は、1)フォトレジスト組成物のコーティング層と;2)そのフォトレジスト組成物層の上にオーバーコーティングされた組成物のコーティング層とを基体上に有する基体を包含し、ここで、該オーバーコーティングされた組成物は、(i)一以上のターポリマー、または他のより高次のポリマー及び/又は(ii)一以上の酸発生剤化合物、特に一以上の光酸発生剤化合物及び/又は一以上の熱酸発生剤化合物を含む。液浸画像化の場合、このリソグラフィー系は、場合によって更に液浸フォトリソグラフィーによる露光ツールを含んでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
オーバーコーティング組成物
上記のように、本発明の好適なオーバーコーティング層は、一以上のターポリマー、または他のより高次の樹脂成分を含むものを包含する。
【0025】
様々な樹脂を本発明のオーバーコーティング組成物において使用することができる。上記のように、本発明のオーバーコーティング組成物における好適な樹脂は、樹脂骨格に縮合された少なくとも二個の炭素原子を有する環構造を含み得る。特に好適な樹脂は重合ノルボルネン基を含み、これらのノルボルネン基は場合によって一以上の非水素置換基、特に極性基、例えばエステル、エーテル、カルボキシ、ニトリルまたはスルホニル基で置換されていてよく、更に、これらの基は一以上の置換基、例えばハロゲン、特にフッ素を有していてもよい。
【0026】
より詳細には、本発明のオーバーコーティング組成物における好適な樹脂は、以下の式Iの構造を含み得る。
【0027】
【化1】

【0028】
ここで、式Iにおいて、各X、YおよびZはそれぞれ独立して非水素置換基であり、好適には、X、YおよびZのうちの一つまたはそれ以上は、場合によって置換された、例えばエステル、エーテル、カルボキシ、ニトリルまたはスルホニル基、例えば−C(=O)O(CHOH(式中、mは0から12までの整数である)、−O−(CHCH(式中、mは0から12までの整数である)、−(CHCN(式中、mは0から12までの整数である)、−(CHSO(式中、mは0から12までの整数である)であり、および、好適には、存在するX、YまたはZ基のうちの一つまたはそれ以上がフッ素置換を有しており;
各nは同一または異なっており、且つゼロ(この場合、それぞれのX、YまたはZ基は存在しない)から8までの整数、好適には0、1もしくは2であり、好適には、各nのうちの一つまたはそれ以上は0より大きく(即ち、この場合、X、YまたはZ基のいずれかのうちの一つまたはそれ以上が存在する);
a、bおよびcは、このポリマーにおける全単位に基づく、それぞれの繰返し単位のモルパーセントを表しており、且つa、bおよびcは、それぞれ、0より大きい。
【0029】
本発明のオーバーコーティング組成物において使用するのに特に好適な樹脂は、以下の式IIの構造を含む。
【0030】
【化2】

【0031】
ここで、式IIにおいて、a、bおよびcは、上記の式Iで定義されたものと同じである。
【0032】
上記の式IおよびIIに示されている重合された縮合炭素単位に加え、本発明におけるオーバーコーティング組成物の樹脂は、例えばポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、重合された芳香族(メタ)アクリレートおよび重合されたビニル芳香族モノマーによりもたらされるものなどの追加の繰返し単位及び/又はポリマー骨格構造を含んでいてもよい。
【0033】
本発明の好適なオーバーコーティング組成物の樹脂は、約500、1000、1500または2000ダルトンを越える重量平均分子量を有する。好適には、本オーバーコーティング組成物は、実質的にリソグラフィー的に不活性な材料のみを含み、即ち、露光前および露光後の熱的な処理ならびに画像化の典型的なリソグラフィー処理工程中に結合切断反応を受けない材料、または、リソグラフィー処理および液浸露光中に液浸流体と他の反応を受けない材料のみを含む。
【0034】
上記のように、好適な態様においては、オーバーコーティング組成物は、一以上の酸発生剤化合物、例えば一以上の熱酸発生剤化合物及び/又は一以上の光酸発生剤化合物を含んでいてよい。オーバーコーティング組成物において使用するのに好適な光酸発生剤化合物は、フォトレジスト組成物に関して以下で検討されており、特に非イオン性化合物、例えばイミドスルホネートなど、例えば以下の式の化合物を含む。
【0035】
【化3】

【0036】
ここで、式中のRはショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、詳細にはペルフルオロオクタンスルホネートおよびペルフルオロノナンスルホネート、である。オーバーコーティング組成物において使用するのに特に好適な光酸発生剤化合物は、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0037】
熱酸発生剤化合物も本発明のオーバーコーティング組成物において使用することができ、これらの熱酸発生剤化合物はイオン性または実質的に中性の熱酸発生剤、例えばアンモニウムアレーンスルホネート塩が挙げられる。
【0038】
使用される場合には、一つまたはそれ以上の酸発生剤は、オーバーコーティング組成物中に比較的少量で使用することができ、例えば本組成物の乾燥成分(溶媒担体を除くすべての成分)の合計の0.1重量パーセント〜10重量パーセント、例えば合計乾燥成分の約2重量パーセントで使用され得る。
【0039】
一以上の酸発生剤化合物のかかる使用は、下側にあるレジスト層における現像されパターン化された像のリソグラフィー性能、特に解像度に好ましい影響を及ぼすことができる。
【0040】
好適なオーバーコーティング組成物層は、193nmにおいて約1.4またはそれ以上の屈折率を有し、この屈折率範囲は193nmにおいて約1.47またはそれ以上を包含する。更に、任意の特定の系に対し、この屈折率は、本オーバーコーティング組成物の一つまたは複数の樹脂の組成を変更することにより調整することができ、前述の変更は、樹脂混合物の成分の比を変えることによる変更、またはオーバーコーティング組成物における一つもしくは複数の樹脂のうちのいずれかの樹脂の組成を変えることによる変更を含む。例えば、オーバーコーティング層組成物における有機物含有量を増やすことにより、この層の屈折率を高めることができる。
【0041】
好適なオーバーコーティング層組成物は、目標とする露光波長(例えば193nmまたは248nm)において、液浸流体の屈折率とフォトレジストの屈折率との間の屈折率を有する。
【0042】
オーバーコーティング組成物を配合および成形するのに好適な溶媒材料は、オーバーコーティング層組成物の一つもしくは複数の成分(例えば一もしくはそれ以上の樹脂)を溶解し、または分散させるが、下側にあるフォトレジスト層を認め得るほどには溶解しない任意の溶媒材料である。より詳細には、オーバーコーティング組成物を配合するのに好適な溶媒としては、これらに限定するものではないが、アルコール、例えばイソプロパノール、n−ブタノール、アルキレングリコール、例えばプロピレングリコールのうちの一つまたはそれ以上が挙げられる。あるいは、非極性溶媒、例えば脂肪族および芳香族の炭化水素、例えばドデカン、イソオクタン、メシチレンおよびキシレンを使用することもできる。
【0043】
オーバーコーティングまたは組成物は、一以上の固形成分(例えば一以上の樹脂)を一以上の極性溶媒(例えば上記で同定されているもの)中に、または代替的に一以上の非極性溶媒(例えば上記で同定されている脂肪族および芳香族炭化水素)中に混合することにより適切に選択され得る。本発明のオーバーコーティング組成物の調製についての例となる実施例1を参照のこと。
【0044】
フォトレジスト
広範囲にわたる様々なフォトレジスト組成物を本発明のオーバーコーティング層組成物および方法と組み合わせて使用することができる。
【0045】
上記のように、本発明により使用するのに好適なフォトレジストには、ポジ型またはネガ型化学増幅フォトレジストが包含され、即ち、光酸促進架橋反応を受けて、レジストのコーティング層の露光領域を非露光領域よりも現像剤への可溶性を低くするネガ型レジスト組成物、および一以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けて、レジストのコーティング層の露光領域を非露光領域よりも水性現像剤中に溶けやすくするポジ型レジスト組成物が包含される。エステルのカルボキシル酸素に共有結合で連結された第三級非環状アルキル炭素(例えばt−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えばメチルアダマンチル)を含むエステル基は、本発明のリソグラフィー系のフォトレジストにおいて使用される樹脂の好適な光酸不安定基であることが多い。アセタール光酸不安定基も好適である。
【0046】
本発明により使用されるフォトレジストは、典型的には、樹脂成分および光活性成分を含む。好適には、この樹脂は、そのレジスト組成物にアルカリ性の水性現像可能性を付与する官能基を有している。例えば、好適なものは、極性官能基、例えばヒドロキシルまたはカルボキシレートを含む樹脂結合剤である。好適には、樹脂成分は、そのレジストをアルカリ性水溶液で現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物に使用される。
【0047】
200nmより長い波長、例えば248nmなどでの画像化では、フェノール樹脂が典型的に好適である。好適なフェノール樹脂はポリ(ビニルフェノール)であり、ポリ(ビニルフェノール)は、触媒の存在下における、対応するモノマーのブロック重合、乳化重合または溶液重合により形成することができる。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノールは、例えば商業的に入手可能なクマリンまたは置換クマリンを加水分解し、その後、結果として得られたヒドロキシケイ皮酸を脱カルボキシル化することにより調製することができる。また、有用なビニルフェノールは、対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水により、または置換もしくは非置換ヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸との反応からもたらされたヒドロキシケイ皮酸の脱カルボキシル化により調製することもできる。このようなビニルフェノールから調製された好適なポリビニルフェノール樹脂は、約2,000ダルトン〜約60,000ダルトンまでの分子量範囲を有している。
【0048】
また、200nmより長い波長(例えば248nm)での画像化に対しては、フェノール単位および非フェノール単位の両方を含有したコポリマーを含む樹脂成分と、光活性成分とを混合物の形態で含んでいる化学増幅フォトレジストも好適である。例えば、かかるコポリマーの一つの好適な群は、実質的、本質的または完全にそのコポリマーの非フェノール単位にのみ酸不安定基を有している(特にアルキルアクリレート光酸不安定基、即ち、フェノール−アルキルアクリレートコポリマー)。一つの特に好適なコポリマー結合剤は、以下の式の繰返し単位xおよびyを有している。
【0049】
【化4】

【0050】
ここで、式中のヒドロキシル基は、このコポリマー全体を通じて、オルト位、メタ位またはパラ位のいずれかに存在し、R’は、1個〜約18個の炭素原子、より典型的には1個から約6個乃至8個までの炭素原子を有する置換または非置換アルキルである。tert−ブチルが一般的に好適なR’基である。R’基は場合によって例えば一つまたはそれ以上のハロゲン(特にF、ClまたはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニルなどで置換されていてもよい。単位xおよびyは、このコポリマー内で規則的に交互していてよく、またはそのポリマーを通じてランダムに散在していてもよい。このようなコポリマーは容易に形成することができる。例えば、上記の式の樹脂の場合、ビニルフェノールおよび置換または非置換アルキルアクリレート、例えばt−ブチルアクリレートなどを、当技術分野において知られているように、フリーラジカル条件下で縮合させることができる。これらのアクリレート単位の置換エステル部分、即ち、R’−O−C(=O)−部分がこの樹脂の酸不安定基として機能し、この樹脂を含有したフォトレジストのコーティング層を露光したときに、上述の部分が光酸誘起開裂を受ける。好適には、このコポリマーは、約3以下の分子量分布を有する、より好適には約2以下の分子量分布を有する、約8,000〜約50,000のMw、より好適には約15,000〜約30,000のMwを有する。また、非フェノール系樹脂、例えば、アルキルアクリレート(例えばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート)とビニル脂環式化合物(例えばビニルノルボルナニルまたはビニルシクロへキサノール化合物)とのコポリマーも、本発明の組成物における樹脂結合剤として使用することができる。このようなコポリマーは、そのようなフリーラジカル重合または他の既知の手順により調製することもでき、好適には、約8,000〜約50,000のMwおよび約3以下の分子量分布を有する。
【0051】
本発明のポジ型化学増幅フォトレジストにおいて使用するための酸不安定脱保護基を有する他の好適な樹脂が、Shipley Companyの欧州特許出願第0829766A2号(アセタールおよびケタール樹脂を伴う樹脂)およびShipley Companyの欧州特許出願第EP0783136A2号(以下の、1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基、例えばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート;の単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。一般的に、例えば酸感度がいいエステル、カルボネート、エーテル、イミドをはじめとする様々な酸不安定基を有する樹脂が好適である。これらの光酸不安定基は、より典型的には、ポリマー骨格からペンダントしているが、ポリマー骨格と一体になっている酸不安定基を有する樹脂も使用することができる。
【0052】
200nm未満の波長、例えば193nmの波長での画像化では、好適には、フェニルまたは他の芳香族基が実質的、本質的または完全に存在しない一以上のポリマーを含むフォトレジストが使用される。例えば、200nm未満での画像化の場合、好適なフォトレジストポリマーは、約5モルパーセント未満の芳香族基、より好適には約1または2モルパーセント未満の芳香族基、より好適には約0.1、0.02、0.04および0.08モルパーセント未満の芳香族基、更に一層好適には約0.01モルパーセント未満の芳香族基を含有する。特に好適なポリマーは芳香族基を全く含んでいない。芳香族基は200nm未満の放射線を高度に吸収し得るので、このような短い波長の放射線で画像化されるフォトレジストにおいて使用されるポリマーにとって望ましくない。
【0053】
実質的または完全に芳香族基を含んでおらず、200nm未満で画像化するためのフォトレジストを提供するために本発明のPAGと共に配合され得る好適なポリマーが、欧州出願第EP930542A1号、ならびに米国特許第6,692,888号および第6,680,159号(全てShipley Company)に開示されている。
【0054】
実質的または完全に芳香族基を含んでいない好適なポリマーは、好適には、アクリレート単位、例えば光酸不安定アクリレート単位、例えばメチルアダマンチルアクリレート、メチルアダマンチルメタクリレート、エチルフェンチルアクリレート、エチルフェンチルメタクリレートなどの重合によりもたされ得るような酸不安定アクリレート単位;縮合非芳香族脂環式基、例えばノルボルネン化合物または環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合によりもたらされ得る縮合非芳香族脂環式基;無水物、例えば無水マレイン酸及び/又は無水イタコン酸の重合によりもたらされ得る無水物;などを含有する。
【0055】
本発明の好適なネガ型組成物は、酸に暴露されたときに硬化、架橋または固化する材料と本発明の光活性成分との混合物を含む。特に好適なネガ型組成物は、樹脂結合剤(例えばフェノール樹脂)、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。かかる組成物およびかかる組成物の使用は、欧州特許出願第0164248号および第0232972号、ならびにThackerayらへの米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂結合剤成分として使用するのに好適なフェノール樹脂は、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば上で検討されているものなどを含む。好適な架橋剤は、アミンをベースとした材料(メラミンを含む)、グリコールウリル、ベンゾグアナミンをベースとした材料および尿素をベースとした材料を含む。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が一般的には最も好適である。かかる架橋剤は商業的に入手可能であり、例えばメラミン樹脂はCymel300、301および303の商品名でCytec Industriesから販売されている。グリコールウリル樹脂はCymel1170、1171、1172の商品名でCytec Industriesから販売されており、尿素をベースとした樹脂はBeetle60、65および80の商品名で販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はCymel1123および1125の商品名で販売されている。
【0056】
200nm未満の波長、例えば193nmでの画像化の場合、好適なネガ型フォトレジストが、Shipley Companyの国際特許出願公開WO03077029号に開示されている。
【0057】
本発明による有用なレジストの樹脂成分は、典型的には、そのレジストの露光されたコーティング層を例えばアルカリ性水溶液などで現像可能に成すのに充分な量で使用される。より詳細には、樹脂結合剤は、好適には、そのレジストの全固形分のうちの50重量パーセント〜約90重量パーセントを構成する。光活性成分は、そのレジストのコーティング層における潜像の発生を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より詳細には、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分のうちの約1重量パーセント〜40重量パーセントまでの量で存在する。典型的には、光活性成分の量は少なければ少ないほど化学増幅レジストにとって好適である。
【0058】
また、本発明のレジスト組成物は光酸発生剤(即ち、「PAG」)も含み、このPAGは、好適には、活性化放射線に暴露されたときに、そのレジストのコーティング層に潜像を発生させるのに充分な量で使用される。193nmでの画像化および248nmでの画像化にとって好適なPAGには、イミドスルホネート、例えば以下の式の化合物が包含される。
【0059】
【化5】

【0060】
ここで、式中のRは、ショウノウ、アダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、詳細にはペルフルオロオクタンスルホネートおよびペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好適なPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0061】
スルホネート化合物も好適なPAGであり、特にスルホン酸塩が好適である。193nmおよび248nmでの画像化にとって好適な二つの薬剤は、以下のPAG1および2である。
【0062】
【化6】

【0063】
このようなスルホネート化合物は、上記PAG1の合成について詳述している欧州特許出願第96118111.2号(公開番号第0783136号)に開示されているようにして調製することがでる。
【0064】
また、上に描かれているショウノウスルホネート基以外のアニオンと錯体化された上記の二つのヨードニウム化合物も適切である。詳細には、好適なアニオンには、式RSO(式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えばC1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)など、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである)のアニオンが包含される。
【0065】
他の既知のPAGも、本発明により使用されるフォトレジストにおいて用いることができる。特に193nmでの画像化の場合、増強された透明性をもたらすため、一般的には、芳香族基を含んでいないPAGが好適であり、例えば上述のイミドスルホネートが好適である。
【0066】
本発明のレジストの好適な任意添加剤は、添加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテートであり、これらの添加塩基は、現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上することができる。193nmで画像化されるレジストの場合、好適な添加塩基は、ヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。この添加塩基は、好適には、比較的少量で使用され、例えば全固形分に対して約0.03重量パーセント〜5重量パーセントの量で使用される。
【0067】
また、本発明により使用されるフォトレジストは他の任意材料も含んでもよい。例えば、他の任意添加剤は、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度促進剤などを含む。比較的高い濃度(例えばレジストに含まれる乾燥成分の合計重量の約5パーセント重量〜30重量パーセントの量)で存在してもよい充填剤および染料を除き、かかる任意添加剤は、典型的にはフォトレジスト組成物中に微量の濃度で存在する。
【0068】
本発明のネガ型フォトレジストは、典型的には、架橋成分を含み、好適には別のレジスト成分として架橋成分を含む。アミンをベースとした架橋剤が好適なことが多く、例えばメラミン、例えばCymelメラミン樹脂などが好適な場合が多い。
【0069】
本発明により使用されるフォトレジストは、一般的に、既知の手順に従って調製される。例えば、本発明のレジストは、本フォトレジストの成分を好適な溶媒中に溶解することによりコーティング組成物として調製することができ、例えばグリコールエーテル、例えば2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;ラクテート、例えばエチルラクテートもしくはメチルラクテートなど(エチルラクテートが好適である);プロピオナート、特にメチルプロピオネート、エチルプロピオネートおよびエチルエトキシプロピオネート;セロソルブエステル、例えばメチルセロソルブアセテート;芳香族炭化水素、例えばトルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン;などに溶解することにより、調製することができる。典型的には、フォトレジストの固形分含有量は、本フォトレジスト組成物の合計重量の5重量パーセントから35重量パーセントまでの間で変動する。かかる溶媒の混合物も好適である。
【0070】
リソグラフィー処理
液状フォトレジスト組成物を例えばスピンコーティング法、浸漬コーティング法、ローラーコーティング法または他の通常のコーティング法により基体に適用することができる。スピンコーティング法を用いる場合、コーティング溶液の固形分含有量は、使用される具体的な回転装置、溶液の粘度、スピナーの速度および回転に許容される時間の長さに基づき、所望の膜圧を得るべく調節することができる。
【0071】
本発明により使用されるフォトレジスト組成物は、フォトレジストでコーティングする工程を含むプロセスにおいて従来使用されている基体へ好適に適用することができる。例えば、本組成物は、シリコンウエハー、またはマイクロプロセッサーもしくは他の集積回路コンポーネントを製造するために二酸化シリコンでコーティングされたシリコンウエハー上に適用することができる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ヒ化ガリウム、セラミック、石英、銅、ガラスなどの基体も好適に使用される。また、フォトレジストは、反射防止層、特に有機反射防止層上にも好適に適用することができる。
【0072】
本発明のオーバーコーティング組成物は任意の好適な方法によりフォトレジスト組成物上に適用することができ、中でもスピンコーティングが好適である。
【0073】
表面上にフォトレジストをコーティングした後、フォトレジスト層は、好適にはそのフォトレジストコーティングに粘着性がなくなるまで溶媒を除去すべく加熱することにより乾燥させることができ、または、上述のように、フォトレジスト層は、オーバーコーティング層組成物が適用された後に乾燥され、溶媒を単一の熱処理工程で、フォトレジスト組成物層およびオーバーコーティング組成物層の両方から実質的に除去することもできる。
【0074】
この後、オーバーコーティング組成物層を伴うフォトレジスト層は、そのフォトレジストの光活性成分を活性化するためのパターン化された放射線に暴露される。
【0075】
液浸リソグラフィー系においては、露光ツール(詳細には映写レンズ)とフォトレジストコーティング基体との間の空間は、液浸流体、例えば水、または一以上の添加剤(例えば流体に高められた屈折率をもたらすことができる硫酸セシウム)と混合された水で占有される。好適には、液浸流体(例えば水)は泡を回避するための処理が施されており、例えばナノバブルを回避すべく水を脱気することができる。
【0076】
本明細書における「液浸露光」または他の同様な用語への言及は、露光が、露光ツールとコーティングされたフォトレジスト組成物層との間に挿入されたそのような流体層(例えば水または添加剤を含んだ水)を伴った状態で実施されることを指示している。
【0077】
露光工程の間(流体が介入する液浸または流体が介入しない非液浸のどちらであるかにかかわらず)、フォトレジスト組成物層は、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存して、典型的には約1mJ/cm〜100mJ/cmまでの範囲の露光エネルギーを有するパターン化された活性化放射線に暴露される。本明細書における、フォトレジストを活性化するための放射線にフォトレジスト組成物を暴露すること、への言及は、その放射線が、例えば光活性成分の反応を引き起こす(例えば光酸発生剤化合物から光酸を生成する)ことにより、そのフォトレジストに潜像を形成することができることを示している。
【0078】
上述のように、フォトレジスト組成物は、好適には短い露光波長、詳細には300nm未満および200nm未満の露光波長により光活性化され、248nmおよび193nm、並びにEUVおよび157nmが特に好適な露光波長である。
【0079】
露光後、好適には、本組成物の薄膜層は約70℃〜約160℃までの範囲の温度でベークされる。この後、その薄膜は、好適には水をベースとした現像剤で処理することにより現像され、例えば第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;様々なアミン溶液、好適には0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンまたはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環状アミン、例えばピロール、ピリジン;などで処理することにより現像される。一般的に、現像は、当技術分野において認められている手順により行われる。
【0080】
基体上におけるフォトレジストコーティングの現像後、その現像された基体は、例えば当技術分野において既知の手順によってレジストの覆いのない基体領域を化学的にエッチングまたはメッキすることにより、レジストの覆いのない基体領域で選択的に処理され得る。マイクロエレクトロニクス基体を製造する場合、例えば二酸化シリコンウエハーを製造する場合、適切なエッチャントはガスエッチャントを含み、例えばハロゲンプラズマエッチャント、例えば塩素またはフッ素をベースとしたエッチャントなど、例えばプラズマ流として適用されるClまたはCF/CHFエッチャントなどを含む。このような処理の後、レジストは、既知の剥離手順を用いて、その処理された基体から取り除くことができる。
【0081】
以下の非制限的な実施例は本発明を例証するものである。
【実施例】
【0082】
実施例1:オーバーコーティング組成物の調製
オーバーコーティング層のコーティング溶液を、ポリエチレン容器に(1)上記式II(式中のaは84モルパーセントであり、bは6モルパーセントであり、zは10モルパーセントである)の構造を有するターポリマー;(2)N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドの構造の非イオン性光酸発生剤を装填することにより調製する。
【0083】
実施例2:オーバーコーティング組成物の処理
シリコンウエハーを215℃で硬化される厚さ60nmの商業的に入手可能な有機反射防止層でコーティングし、その後、メタクリレートをベースとした193nmのフォトレジストでコーティングする。次いで、上面オーバーコーティング層を堆積させる前に溶媒を除去すべく、このレジストをソフトベークする。実施例1で調製されたオーバーコーティング組成物をこのフォトレジスト層の上面にスピンコーティングにより適用し、溶媒を除去すべく、この適用されたオーバーコーティング組成物を90℃または120℃の温度で1分間ソフトベークする。
この後、そのフォトレジスト組成物をパターン化された193nmの放射線に暴露し、0.26Nのアルカリ性現像剤水溶液を用いて現像する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされた基体であって:
基体上のフォトレジスト組成物層と;
該フォトレジスト層上の有機組成物であって、(i)一以上のターポリマー、テトラポリマーまたはペンタポリマーを含む樹脂成分及び/又は(ii)一以上の酸発生剤化合物を含む有機組成物と;
を含む、コーティングされた基体。
【請求項2】
上記樹脂成分が以下の式Iの構造を含む樹脂を含む、請求項1記載の基体:
【化1】

(式中、各X、YおよびZはそれぞれ独立して非水素置換基であり;
各nは同一または異なっており、且つ0、1もしくは2の整数であり;
a、bおよびcは各々の繰返し単位のモルパーセントを表し、且つa、bおよびcはそれぞれ0より大きい)。
【請求項3】
上記樹脂成分が以下の式IIの構造を含む樹脂を含む、請求項1記載の基体:
【化2】

[式中のa、bおよびcは各々の繰返し単位のモルパーセントを表し、且つa、bおよびcはそれぞれ0より大きい]。
【請求項4】
上記酸発生剤化合物が光酸発生剤化合物である、請求項1記載の基体。
【請求項5】
フォトレジスト組成物を処理するための方法であって:
(a)基体にフォトレジスト組成物を適用する工程;
(b)上記フォトレジスト組成物上に有機組成物を適用する工程であって、該有機組成物が(i)一以上のターポリマー、テトラポリマーまたはペンタポリマーを含む樹脂成分及び/又は(ii)酸発生剤化合物を含む、工程;
(c)該フォトレジスト組成物を活性化する放射線に、該フォトレジスト層を暴露する工程;
を含む、フォトレジスト組成物を処理するための方法。
【請求項6】
上記フォトレジストが液浸露光される、及び上記基体がマイクロエレクトロニクスウエハー基体である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記フォトレジストが193nmの波長を有する放射線に暴露される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
下層を成すフォトレジスト組成物層と共に使用するためのコーティング組成物であって、該コーティング組成物が:
(a)一以上の酸発生剤化合物;
(b)以下の式Iの構造を含む樹脂を含む樹脂成分;
を含む、コーティング組成物:
【化3】

(式中、各X、YおよびZはそれぞれ独立して非水素置換基であって、該非水素置換基は光酸不安定基を含んでおらず;
各nは同一または異なっており、且つ0、1もしくは2の整数であり、少なくとも一つのnは0より大きく;
a、bおよびcは各々の繰返し単位のモルパーセントを表し、且つa、bおよびcはそれぞれ0より大きい)。
【請求項9】
上記樹脂が以下の式IIの構造を含む樹脂を含む、請求項8記載の組成物:
【化4】

(式中のa、bおよびcは各々の繰返し単位のモルパーセントを表し、且つa、bおよびcはそれぞれ0より大きい)。

【公開番号】特開2007−102228(P2007−102228A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−271751(P2006−271751)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】