説明

フッ素発生およびフッ素再循環のための方法および装置

本発明は、フッ素を発生し、そして再循環するための装置および方法に関する。本出願人は、フッ素分離器が、単独でまたはプラズマ発生器との組み合わせのいずれかで使用され、フッ素の使用地点で薄膜加工のために十分な量のフッ素を生成し得ることを確認した。上記フッ素分離器は、凝縮器、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、または上記のものの組み合わせの形態を取り得る。いくつかの実施形態においては、フッ素含有反応生成物は、フッ素分離器に通される。他の実施形態においては、分離されたフッ素は、単独でまたはさらなるフッ素含有供給原料と一緒に、プラズマ発生器に通される。上記フッ素分離器は、フッ素が再循環され、廃棄生成物が上記系から除去されることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、フッ素発生およびフッ素再循環に関し、さらに特定すれば、フッ素の使用地点におけるフッ素発生およびフッ素再循環に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景情報)
フッ素は、その原子状態および分子状態において、高度に反応性でありそして毒性である。大部分の実験室は、フッ素の使用に関連する危険および必要な安全設備の費用に起因して、フッ素を使用しないことを好む。それにもかかわらず、いくつかの産業は、フッ素が他の公知の化学的性質よりも良好な重要な役割を満たすことを見出す。
【0003】
従来は、分子状フッ素はHFから電気分解によって発生される。NFもまた、特に、例えば半導体製造およびフラットパネルディスプレー製造などの薄膜加工産業において、フッ素を発生するために使用されてきた。しかしながら、HFおよびNFの両方は毒性であり、高価な特別の取扱いを必要とする。
【0004】
フッ素が、無毒性の、不活性なフッ素含有化合物から発生され得れば、フッ素の使用に関連する上記危険および費用は、相当に軽減され得る。例えば、そのような化合物に対するパイプ輸送システムおよび配給システムは、HFまたはNFのパイプ輸送および配給に関連する厳格な必要要件を満たす必要はない。フッ素が発生され得る地点が使用地点に近ければ近いほど、その使用はより少ない危険をもたらす。
【0005】
さらに、フッ素が、その使用の副生成物から回収され得れば、フッ素はより効率的に使用され得る。フッ素回収は、特定の適用のために要求されるフッ素源化合物の合計量をできるだけ少なくする。フッ素回収はまた、フッ素の配給に関連する危険および費用をもできるだけ少なくし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、フッ素の使用地点のできるだけ近くで、安全にフッ素を発生させる必要;無毒性な、不活性なフッ素含有化合物からフッ素を発生させる必要;およびフッ素の使用の副生成物からフッ素を回収する必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
出願人らは、単独でまたはプラズマ発生器と組み合わせて使用されるフッ素分離器が、薄膜加工のためのフッ素の使用地点で、十分量のフッ素を生成し得ることを確認した。このフッ素分離器は、凝縮器、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、または上記のものの組み合わせの形態を取り得る。
【0008】
上記フッ素分離器は、F、HF、SF、NF、CF、C、C、および他のフッ素化合物など、様々なフッ素含有ガスとともに使用され得る。これらのフッ素含有ガスの中で、例えば、CF、C、C、およびSFはフッ素についての不活性な輸送媒体と考えられ得る。さらに、上記フッ素分離器は、さらに単独でまたはプラズマ発生器と組み合わせて使用され、フッ素再循環を可能にする。
【0009】
概して、一つの局面では、本発明は、プロセスチャンバ中での使用のために原子状フッ素の流れを生成するための装置であって、この装置は、ハウジング、電気化学的セル、およびアダプターを特徴とする。このハウジングは、フッ素含有気体を受け取るための入口を有する。上記電気化学的セルは、少なくとも1個の電極および、この少なくとも1個の電極のすぐ近くに、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体を有する。この電気化学的セルは、上記フッ素含有気体からフッ素を分離する。この電気化学的セルは、少なくとも部分的に上記ハウジング内に配置され、そして出口チャネルを有する。上記アダプターは、上記出口チャネルを上記プロセスチャンバに接続する。一つの実施形態では、このアダプターは、上記出口チャネルをプラズマ発生器を経由して上記プロセスチャンバに接続する。
【0010】
上記の様々な実施形態においては、上記電気化学的セルは、管またはプレートを形成する。上記のいくつかの実施形態においては、上記電極はカソードを備え、上記セルがさらに上記フッ素イオン伝導体のすぐ近くにアノードを備える。これらの実施形態においては、このアノードは薄膜を備え得る。この薄膜は、アノードでの分子状フッ素の生成を最少にする多孔度またはパターンにより特徴付けられ得る。厚い伝導性グリッドは、この薄膜に対して配置され得る。いくつかの実施形態においては、上記アノードは、多孔性ニッケルまたは多孔性ステンレス鋼を備える。
【0011】
一般に、別の局面においては、本発明は、フッ素ガスを生成するための装置であり、この装置は、プラズマ発生器およびフッ素分離器を特徴とする。このプラズマ発生器は、フッ素含有供給原料を受け取るための入口および出口を有する。このプラズマ発生器は、上記供給原料を反応生成物に解離させるプラズマを生成する。上記フッ素分離器は、反応生成物を受け取るための、上記プラズマ発生器の上記出口に接続される入口およびフッ素出口を有する。このフッ素分離器は、膜分離デバイス、凝縮器、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、または上記のものの組み合わせであり得る。このフッ素分離器は、上記反応生成物からフッ素を分離する。
【0012】
上記装置の実施形態は、様々な目的を達するために、様々なさらなる要素または接合部を有し得る。例えば、上記装置は、上記フッ素分離器のフッ素出口に直接にまたは間接に接続する流量制御デバイスを備え得る。同様に、上記装置の実施形態は、上記フッ素出口に直接にまたは間接に接続する第2のプラズマ発生装置を備え得る。いくつかの実施形態においては、上記フッ素分離器の入口は、プロセスチャンバを経由して上記プラズマ発生器の出口に接続される。一つの実施形態においては、上記フッ素出口は、上記プラズマ発生器の上記入口に間接的に接続され、それによりフッ素ガスが再循環され得る。例えば、上記フッ素出口は、緩衝容積を経由して、上記プラズマ発生器の上記入口に接続され得る。
【0013】
一般に、別の局面においては、本発明は、プロセスチャンバ中での使用のためにフッ素ガスを生成するための装置である。本発明は、フッ素含有供給原料からフッ素を分離するための固体電解質、圧力制御機構、およびアダプターを特徴とする。上記固体電解質は、部分的に電子伝導性であり、このことはその固体電解質が、イオンに加えて、ある程度電子を伝導することを意味し、そして上記固体電解質は、上記供給原料を受け取るための入口側および出口側を有する。(本明細書中で使用される場合には、「電子伝導性」とは、電子を伝導する媒体をいう。)上記圧力制御機構は、上記固体電解質の上記入口側のすぐ近くに存在する。上記圧力制御機構は、上記固体電解質の上記入口側での上記供給原料の分圧を上記出口側でのフッ素の分圧よりも高く維持する。上記アダプターは、上記固体電解質の上記出口側を上記プロセスチャンバに、直接にまたはプラズマ発生器を経由して接続する。
【0014】
類似の局面では、本発明は、プロセスチャンバ中での使用のために原子状フッ素の流れを生成する方法である。その方法においては、固体電解質を含み、入口側および出口側を有するフッ素イオン伝導体が提供される。フッ素含有供給原料は、上記フッ素イオン伝導体の上記入口側で受け取られる。フッ素は、上記フッ素含有供給原料から、上記フッ素イオン伝導体を用いて分離される。フッ素は、上記フッ素イオン伝導体の上記出口側から上記プロセスチャンバに提供される。
【0015】
一般に、別の局面においては、本発明は、フッ素ガスを発生するための方法である。フッ素含有供給原料は、プラズマによって反応生成物に解離しており、そしてフッ素はこの反応生成物からフッ素分離器により分離される。このフッ素分離器は、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、または凝縮器である。
【0016】
一般に、別の局面においては、本発明は、フッ素ガスを再循環する方法である。プロセスチャンバからの排出物は受け取られる。フッ素は、フッ素含有ガスから固体電解質を含むフッ素イオン伝導体によって分離される。分子状フッ素または原子状フッ素は圧縮され、再循環を駆動する。
【0017】
上記方法の様々な実施形態は、以下の工程:プラズマによって分子状フッ素を原子状フッ素に解離する工程;原子状フッ素を上記プロセスチャンバに供給する工程;または上記分離する工程の不要生成物を、上記フッ素から離して排出する工程、のうちの一つ以上をさらに包含する。一つの実施形態では、上記排出物はチャンバ洗浄排出物である。代替的な実施形態では、上記圧縮は、上記フッ素イオン伝導体および/またはポンプを用いて達成され得る。
【0018】
上記のいくつかの実施形態では、圧力制御が使用され、上記フッ素分離器の上記出口側でのフッ素再結合を阻害する。例えば、ひとつのそのような装置においては、圧力制御機構は、上記出口側でのフッ素再結合を阻害する。この圧力制御機構は、ポンプを備え得る。上記フッ素分離器の上記出口側での圧力は、100torr以下、または20torr以下に維持され得る。
【0019】
同様に、上記のいくつかの実施形態では、温度制御が用いられ、上記フッ素分離器の上記出口側でのフッ素再結合を阻害する。例えば、一つのそのような装置においては、温度制御機構は、少なくとも1つの表面の温度を制御する。その表面は、上記電解質の表面または上記フッ素出口チャネルの表面であり得る。
【0020】
本発明の上記および他の局面、特徴、および利点は、以下の記載からおよび上記特許請求の範囲からより明らかになる。
【0021】
図面では、同じ参照記号は、概して、異なる図の全体にわたって同一の部品を言及する。また、これらの図面は、必ずしも一定の比率で描かれているわけではなく、その代わりに、概して、本発明の原理を図解することが強調されている。以下の記載においては、本発明の様々な実施形態が、図面を参照して記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(説明)
図1に言及すれば、本発明の一つの実施形態に従う、フッ素ガスを発生させるための装置100は、プラズマ発生器130およびフッ素分離器160を特徴とする。様々な実施形態においては、このプラズマ発生器130は、マイクロ波プラズマ発生器、高周波誘導結合プラズマ発生器、高周波トロイダル型誘導結合プラズマ発生器(RF toroidal inductively coupled plasma generator)、または高周波容量結合プラズマ発生器である。このプラズマ発生器130は、例えば、ASTRONTM反応性ガス発生器またはRapidTM反応性ガス発生器であり得る。このプラズマ発生器130は、入口132および出口134を備える。フッ素含有供給原料は、上記プラズマ発生器130の上記入口132で受け取られる。上記プラズマ発生器130は、上記供給原料を反応生成物に解離させるプラズマを生成する。この反応生成物は、上記出口134を経由して上記プラズマ発生器130から出る。様々な実施形態においては、上記プラズマ発生器130は、大気圧以下で稼動する。
【0023】
図1において、上記フッ素分離器160は、上記反応生成物の少なくともいくつかを冷却しそして凝縮する凝縮器である。上記凝縮器160は、入口162およびフッ素出口164を備える。上記凝縮器160の上記入口162は、上記プラズマ発生器の上記出口134に接続される。上記凝縮器160は、上記入口162を経由して反応生成物を受け取る。一つの実施形態においては、上記凝縮器160は、不要生成物出口(示されていない)をさらに備え、その出口から凝縮器の不要生成物が排出される。別の実施形態では、上記不要生成物は、上記フッ素から離して、上記プラズマ発生器および廃棄物出口136を経由して排出される。
【0024】
様々な適用において、上記供給原料は、一つ以上のフッ素含有ガス(例えば、F、HF、SF、NF、CF、C、C、および他のフッ素化合物)である。必ずしも再循環されず、そして系に新たに提供され得るガスは、供給原料と呼ばれる。フッ素含有ガスのうちで、例えば、CF、C、CおよびSFは、フッ素についての不活性な輸送媒体と考えられ得る。様々な適用においては、上記反応生成物は、硫黄または炭素を含有する化合物を含む。上記供給原料がSFを含む場合には、上記反応生成物は、F、S、およびSを気相および液相に含有し得る。
【0025】
様々な適用においては、反応剤ガスが、フッ素含有上記供給原料に加えて、上記プラズマ発生器130に導入される。これらの適用において、上記プラズマ発生器130は、上記反応剤ガス、および上記フッ素含有供給原料を解離または励起するプラズマを生成する。この反応剤ガスは、上記入口132を経由して上記プラズマ発生器130に導入され得る。いくつかの適用においては、上記反応剤ガスは、Oである。上記反応生成物からのフッ素の分離は、不要のSおよび/またはSOを生じ得る。
【0026】
装置100の一つの実施形態においては、上記凝縮器160は、Fを分離および送達し、そして第2のプラズマ発生器(示されていない)は、そのFを原子状フッ素に解離するプラズマを生成する。そのような実施形態からの原子状フッ素は、プロセスチャンバに導入され得る。
【0027】
装置100のいくつかの実施形態においては、質量流量制御デバイス(示されていない)は、上記出口164を通るフッ素の流れを制御する。上記質量流量制御デバイスは、上記フッ素出口164に直接にまたは間接に接続され得る。上記質量流量制御デバイスは、圧力制御デバイスであり得、単に圧力制御デバイスを組み込み得、または圧力から独立して流れを制御するのみでもよい。上記デバイスは上記フッ素出口164での圧力を制御する役割を果たし得る。
【0028】
装置100のいくつかの実施形態においては、上記凝縮器160の上記出口162は、上記プラズマ発生器の上記出口134へ、プロセスチャンバ(示されていない)を経由して接続される。この配置は、上記凝縮器160が上記プロセスチャンバの上記反応生成物からフッ素を分離することを可能にする。上記フッ素出口164がまた、上記プラズマ発生器130の上記入口132へ、ポンプまたは他の圧縮デバイスを経由して接続される場合には、上記装置100は、フッ素ガスが再循環されることを可能にする。一つのそのような実施形態においては、上記フッ素出口164は、上記プラズマ発生器130の上記入口132へ、緩衝容積(示されていない)を経由して接続される。この緩衝容積は、適切な制御弁およびセンサーとともに閉じられた容積を備える。この緩衝容積は、一定量のフッ素を貯蔵し得−その結果、そのフッ素が再使用されるまでに、遅延が生じ得る。
【0029】
フッ素ガスを発生する方法は、フッ素含有供給原料をプラズマを用いて反応生成物に解離する工程、およびフッ素分離器を用いてフッ素をその反応生成物から分離する工程を特徴とする。この方法は、図1の装置100または類似の機能を有する一群の要素を利用し得る。例えば、図1の装置100は、上記反応生成物からフッ素を分離するための上記凝縮器160を特徴とするが、上記方法は、その凝縮器を必要としない。上記方法は、上記分離を達成するために、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、凝縮器、または上記のものの組み合わせを使用し得る。
【0030】
図2に言及すれば、本発明の別の実施形態に従う、フッ素ガスを発生するための装置200は、プラズマ発生器230、第1のフッ素分離器260、および第2のフッ素分離器280を特徴とする。上記プラズマ発生器230は、入口232および出口234を備え、構造上および機能上、図1に関して記載されたプラズマ発生器130に類似している。同様に、上記第1のフッ素分離器260は、入口262および出口264を備え、構造上および機能上、図1に関して記載された上記凝縮器160に類似している凝縮器である。上記凝縮器160もまた、上記ガスが上記第2の分離器280に到達する前に、そのガスを冷却する目的を果たし得る。
【0031】
図2に図示される実施形態においては、上記第2のフッ素分離器280は、膜分離デバイスである。この膜分離デバイス280は入口側282および出口側284を備える。上記膜分離デバイス280の上記入口側282は、上記凝縮器260の上記出口264に接続される。一つのそのような実施形態においては、上記膜分離デバイス280は、上記凝縮器260と一緒に使用される。なぜなら、上記凝縮器260は、上記反応生成物からフッ素を分離することにおいて完全には有効ではないからである。上記プラズマ発生器230中で上記プラズマにより解離された原子状フッ素は、上記膜分離デバイス280に到達する前に、分子状フッ素に再結合する。従って、上記膜分離デバイス280は、上記反応生成物から分子状フッ素を分離するために役立つ。
【0032】
図2の一つの実施形態においては、上記膜分離デバイス280は、約1.4Åの直径を有する粒子を通過させるが、しかし1.4Åよりも実質的に大きい直径を有する粒子を通過させない手段を特徴とする。分子状フッ素は、約1.4Åの直径を有し、それは大多数の他の類似の解離生成物に比べて小さい。例えば、SFは約5Åの直径を有し、Oは約3.3Åの直径を有する。代替的な実施形態においては、上記膜分離デバイス280は、上記の適切な特徴を備える多孔度またはチャネルを特徴とする。いくつかのそのような実施形態においては、上記膜の温度は制御され、上記膜中の所望の透過性を確立する。図2の実施形態においては、上記膜分離デバイス280の上記入口側282と上記出口側284との間のフッ素の分圧の勾配が、付加的にまたは代替的に使用され、その通過が促進され得る。
【0033】
Carbon Membrane Separator for Elimination of SF Emissions From Gas−Insulated Electrical Utilities(これは、本明細書中で参考として援用される)において、Carbon Membranes,Ltd.,Arava,IsraelのDaganらは、炭素分子ふるい膜の生成ならびにSFからOおよびNを分離するためのそれらの使用を記載する。類似の手法は、他の、同様により大きい分子および粒子からFを分離するための炭素分子ふるい膜を生成するために使用され得る。
【0034】
一般に、図2の装置200は、図1の装置100に関して記載された実施形態および適用におけるのと同一のバリエーションを特徴とし得る。さらには、フッ素ガスを発生するための装置の代替的な実施形態においては、図2に関して記載されたような膜分離デバイス280は、図1に関して記載された上記凝縮器160に置き換わる。第2の代替的実施形態においては、上記装置200は凝縮器260を備えるが、上記膜分離デバイス280を組み込まない。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に組み込まれる場合の、フッ素含有ガスからフッ素を分離するための電気化学的セル300の概略図を図示する。図3は、電極(330または370)、およびこの電極のすぐ近くの、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体350を特徴とする。いくつかの実施形態においては、この固体電解質はPbSnを含有する。いくつかの実施形態においては、この固体電解質は、分散型電子伝導度または分布型電子伝導度を有して、部分的に電子伝導性である。上記電極は当該分野で公知の任意の適切な電極材料から形成され得る。様々な実施形態においては、上記セル300は、管、プレート、または円盤の形態をとる。
【0036】
いくつかの実施形態においては、上記セル300は、離れた電源380および上記固体電解質350のすぐ近くの第2の電極を特徴とする。この電源380は、両方の電極に電気的に接続され、それにより一方の電極をカソード330として作用させ、そして他方をアノード370として作用させる。
【0037】
いくつかの実施形態においては、図3のアノード370は、薄膜を備える。アノード膜は、それがフッ素イオン、および/または原子を通過させるならば、本発明の目的のためには、薄い。そのような実施形態においては、上記アノード材料は、多孔性ニッケルまたはステンレス鋼を含み得る。様々な実施形態においては、上記薄膜は、上記アノード370のすぐ近くでの分子状フッ素の生成を最小にするために一定間隔に置かれた開口部を有する多孔度またはパターンで特徴づけられる。いくつかの実施形態においては、上記アノード370は、厚い伝導性グリッドを特徴とする。このグリッドは、熱の散逸を改善し、電力損失を緩和する。いくつかのそのような実施形態においては、上記固体電解質上の一層の厚い伝導性層のいくつかの部分は除去され、薄膜および厚い伝導性グリッドを備えるアノード370が作り出される。他の実施形態においては、上記薄膜および伝導性グリッドは、別々の層を形成する。
【0038】
別の実施形態においては、上記セル300は、あるいは、上記固体電解質350の表面に電場を印加するための手段を備える。フッ素イオンは、それにより上記固体電解質350の表面から直接に抽出され得る。類似の実施形態においては、上記固体電解質350の薄い、ドープされた層がアノード370の役割を演じ、上記電極がカソードとして作用する。
【0039】
操作上は、上記セル300の上記固体電解質350は、フッ素含有ガスからフッ素を分離する。そのフッ素は、上記カソード330のすぐ近くでイオン化され、2個の陰イオンを生成する。フッ素イオンは、次いで上記固体電解質350を通じて上記アノード370に向かって輸送される。電場の上記固体電解質350に対する影響は、その輸送を促進し得る。電源380は、例えば、輸送を促進する電場を、上記固体電解質350を横切って作り出し得る。付加的にまたは代替的に、上記フッ素イオン伝導体350の上記カソード側310と上記アノード側390との間のフッ素の分圧の勾配は、上記輸送を促進し得る。
【0040】
大多数の適用においては、上記フッ素イオンは、その電子を上記アノード370へ引渡し、次いで別のフッ素原子と再結合して分子状フッ素を生成する。これらの適用においては、上記セル300は、フッ素含有ガスから分子状フッ素を分離し、その分子状フッ素を所望の圧力に圧縮するために使用され得る。上記セル300は、上記セル300の上記カソード側310の上記低圧のガスを、上記セル300の上記アノード側390のより高圧へ電気化学的に輸送する。このようなやり方での上記セル300の使用は、上記分子状フッ素を圧縮するための別々の質量流量制御デバイスを求める要求を排除し得る。
【0041】
所定の適用においては、上記フッ素イオン伝導体350の上記アノード側390の圧力および/または温度は、分子状フッ素の生成を阻害するために制御される。適切に低い圧力および/または適切に高い温度で、上記フッ素原子は再結合なしに脱着され得る。2個のフッ素原子が一緒になる確率は、低圧で低下し、そして材料表面上(ここで再結合がもっとも起こりそうである)で1個の原子により消費される時間は、高温で減少する。いくつかのそのような適用においては、上記フッ素イオン伝導体350の上記アノード側390の圧力は100torr以下に維持される。関連する適用においては、上記イオン伝導体350の上記アノード側390の圧力は20torr以下に維持される。
【0042】
上記電気化学的セルの両側の間のフッ素の分圧の差は、電位差を生じ、その電位差がイオンを上記高分圧側から上記低分圧側へ駆動する。そのような場合においては、上記アノードから上記カソードへ回路を提供し得、それによりフッ素陰イオンにより上記セルを横切って運搬された電子を返還し得る。この返還回路は、上記セルの外部にあり得る(例えば、ワイヤにより)。あるいは、ある程度の電子伝導度が上記電解質または上記セル構造体の中へ構築されている場合には、上記回路は上記セルを通じて戻り得る。
【0043】
図4A、4B、4C、4D、および4Eは、本発明の1つの実施形態に従うフッ素分離器400の異なる図である。図4Aは、上記フッ素分離器400のハウジング415の3次元図を図示する。図4Aの実施形態におけるこのハウジング415は、フッ素含有ガスを受け取るための入口410、フッ素出口420、および不要生成物出口(示されていないが、この入口410の反対側に置かれている)を備える。図4Bは、図4Aに示される上記フッ素分離器400と同一の3次元図を図示するが、その内部構造を示すために上記ハウジング415は取り除かれている。多数のプレート430は、上記ハウジング415における1つの構成要素を形成する支持側壁440に機械的に取り付けられる。各プレート430は多数の層を含む。図4Cは、上記フッ素分離器400の上記ハウジング415の上面図であり、I−I’位置を特定している。図4Dは、I−I’位置での上記フッ素分離器400の内部構造の側断面図である。図4Dは、図4Bに示される同一のプレート430を側断面図で図示する。上記支持側壁440への上記プレート430の機械的結合は、再度示される。
【0044】
図4Eは、上記フッ素分離器400の内部構造内の単独のプレート430のより詳細な側断面図である。図4Eが示すように、図4に示されるフッ素分離器400は、図3に関して記載される多数の電気化学的セル300を備える。各々のセル300は、上記ハウジング415の内部に配置される。各々のセルは、金属マウント438および熱的マウント439の上に外部電極432、固体電解質434、および内部電極436を備える。上記電極432および436の両方は、フッ素イオンの通過を可能にする。上記金属マウント438および上記熱的マウント439は、上記セル300に接続する埋設されたガスチャネル426を備える。各埋設されたガスチャネル426もまた、上記プレート430を支持する上記構造要素439内部の中央ガスチャネル424に接続する。各プレート430内部の上記中央ガスチャネル424は、フッ素を上記フッ素出口420へ送る、上記側壁440内部の中央ガスチャネル422へ接続する。図4Eの実施形態に図示されるように、各プレート430は、その上部の表面および底部の表面に電気化学的セルを有し得る。
【0045】
操作上は、上記フッ素分離器400の上記入口410は、フッ素含有ガスを受け取る。そのガスは、上記電気化学的セルと上記ハウジング415の内部で相互作用する。フッ素はそのガスから分離され、上記セルを通って埋設されたガスチャネル426へ、上記プレート内の上記中央ガスチャネル424へ、上記側壁440内の上記中央ガスチャネル422へ、そして次いで上記フッ素出口420へ輸送される。フッ素は上記フッ素出口420を経由して上記フッ素分離器400から出ていく。代表的には、上記フッ素分離器400は、上記フッ素出口420で分子状フッ素の流れを生成する。しかしながら、図3に関して説明されるように、上記アノードの特徴および上記電気化学的セルの上記アノード側の状態は、分子状フッ素の生成を阻害し得、それによって原子状フッ素の流れが上記フッ素出口420でもたらされ得る。上記フッ素分離の副生成物は、上記廃棄生成物出口(示されていない)を経由して、上記フッ素分離器400の上記外部ハウジングから出る。
【0046】
固体電解質を含むフッ素分離器の様々な実施形態は、少なくとも一つの表面の温度を制御する温度制御機構を特徴とする。上記フッ素分離器400のこの温度制御機構は、例えば、上記熱的マウント439であり得る。この上記熱的マウント439は、上記固体電解質434の表面の温度、上記埋設されるガスチャネル426の温度、および/または上記プレート内の上記中央ガスチャネル424の温度を制御し得る。代替的な実施形態においては、上記温度制御機構は、能動的または受動的である。温度制御は、分子状フッ素の生成を阻害することにおいて有用であり得る。また、温度制御は、上記電解質のイオン伝導度を最適化し得る。
【0047】
一つの適用に対する実施形態においては、上記フッ素出口420のすぐ近くのアダプター(示されていない)は、この出口420をプロセスチャンバに接続する。このアダプターは、例えば、そのプロセスチャンバに接続するパイプを受け取り得る。上記フッ素分離器400の作動により生成されるフッ素は、それによりこのプロセスチャンバに提供される。一つの適用では、上記フッ素分離器400からの原子状フッ素の流れは、チャンバ洗浄または生成物のエッチングなど、薄膜プロセスの中で直接使用される。あるいは、上記フッ素分離器からの分子状フッ素は、上記プロセスチャンバに、この分子状フッ素を原子状フッ素に解離させるプラズマ発生器を経由して提供される。上記フッ素分離器400からのフッ素の流れはまた、他の適用においても使用され得る。これらの適用としては、プラスチックのフッ素化ならびにフッ素化物ガスおよび材料の生成が挙げられる。
【0048】
上記フッ素分離器400は、図1の装置において、凝縮器160の代わりに使用され得る。同様に、上記フッ素分離器400はまた、図2の装置において、第2のフッ素分離器280として使用され得る。上記フッ素分離器400はまた、上記フッ素分離器280および上記プラズマ発生器230の両方を置き換え得る。この実施形態は、上記フッ素イオン伝導体の上記入口側で上記電気化学的セルにより直接解離され得る供給原料および反応性ガスに対して、有効であり得る。
【0049】
図5は、本発明の一つの実施形態に従う、フッ素ガスを発生するための装置500である。この装置は、随意のプラズマ発生器520およびフッ素分離器540を備え得る。このプラズマ発生器520は、フッ素含有供給原料のための入口523およびその反応生成物のための出口526を有する。このプラズマ発生器520は、構造上および機能上、図1に関して記載される上記プラズマ発生器130と類似である。
【0050】
上記フッ素分離器540は、上記プラズマ発生器520の上記出口526に、反応生成物を受け取るために接続する入口544、およびフッ素出口543を有する。様々な実施形態においては、上記フッ素分離器540は、構造上および機能上、図1に関して記載される上記凝縮器160、図2に関して記載される上記凝縮器260もしくは上記膜分離デバイス280、または図3に関して記載される上記電気化学的セル300と類似である。一つの実施形態においては、上記フッ素分離器540は、構造上および機能上、図4に関して記載される上記フッ素分離器400と類似である。
【0051】
操作上は、例えば、SFまたはCFのようなフッ素含有供給原料は、上記入口523を経由して上記プラズマ発生器520に導入される。いくつかの適用においては、反応性ガスもまた、上記入口523を経由して上記プラズマ発生器520に導入され得る。上記プラズマ発生器は、プラズマを用いてフッ素含有供給原料、および存在し得る任意の反応性ガスを反応生成物に解離する。これらの反応生成物としては、他の生成物に加えて、分子状フッ素、原子状フッ素、炭素化合物、SF、SF、S、およびSOが挙げられ得る。これらの反応生成物は、出口526を経由して上記プラズマ発生器520を出、入口544を経由して上記フッ素分離器540に導入される。このフッ素分離器540は、上記反応生成物からフッ素を分離し、フッ素を上記フッ素出口543を通して通過させる。図5の実施形態においては、上記フッ素分離器540はまた、不要生成物出口546を有し、これを通して不要の生成物を通過させる。
【0052】
図5のフッ素分離器540が原子状フッ素の流れを発生する実施形態においては、さらなるフッ素解離は不必要であり、上記フッ素分離器540からのフッ素は、ダクトおよびシャワーヘッドなどのガス分配構成要素を経由してプロセスチャンバ590に導入され得る。上記原子状フッ素は、このプロセスチャンバ590において、このプロセスチャンバを洗浄するために使用され得る。
【0053】
図5のフッ素分離器540が分子状フッ素の流れを発生する実施形態においては、フッ素がその最も効果的な形態でプロセスチャンバ590に到達することを保証するために、さらなるフッ素解離が必要であり得る。これらの実施形態においては、第2のプラズマ発生器580が上記装置500に追加され得る。この第2のプラズマ発生器580は、ここでも、図1に関して記載される上記プラズマ発生器130と構造上および機能上、類似であり得る。
【0054】
そのような実施形態においては、分子状フッ素は、入口563を経由して上記第2のプラズマ発生器580に導入される。上記第2のプラズマ発生器580は、プラズマによってその分子状フッ素を原子状フッ素に解離する。原子状フッ素の反応性に起因して、上記第2のプラズマ発生器580の出力が上記プロセスチャンバ590にしっかりと接続されることが好適であり得る。一つの実施形態においては、例えば、上記第2のプラズマ発生器580は、上記プロセスチャンバ590上に直接取り付けられる。別の実施形態においては、例えば、上記第2のプラズマ発生器580と上記プロセスチャンバ590との間の距離は、できるだけ短くされる。第3の実施形態においては、上記流体の流れに関連する設備は、上記第2のプラズマ発生器580が上記プロセスチャンバ590に最も近い設備であるように配置される。
【0055】
図6は、本発明に従う、フッ素ガスを発生し再循環するための装置600を模式図的に図示する。この装置600は、プラズマ発生器620、フッ素分離器660、フッ素化合物供給原料を導入するための手段610、廃棄生成物を排出させるための手段670、およびフッ素ガスが循環されることを可能にする多数の接合部を備える。図6は、上記装置600が、プロセスチャンバ640の中での使用のためにフッ素を発生し、このプロセスチャンバ排出物からフッ素を再循環するために使用される実施形態を図示する。
【0056】
装置600中のプラズマ発生器620は、入口622を有し、この入口622を通してフッ素化合物の供給原料が導入され得る。上記プラズマ発生器620は、図1に関して記載される上記プラズマ発生器130と構造上および機能上、類似であり、上記供給原料を解離生成物に解離する。上記プラズマ発生器620はまた、その解離生成物のための出口624を有する。図6に図示されるように、上記フッ素化合物供給原料は、上記入口622で上記装置600の中へ導入される必要はない。
【0057】
装置600中のフッ素分離器660は、入口662およびフッ素出口664を有する。図6に図示されるように、この入口662は、上記プラズマ発生器620の上記出口624へ、上記プロセスチャンバ640を経由して接続され得る。他の実施形態においては、フッ素を消費しているデバイスは、上記プラズマ発生器620と互換される。上記フッ素分離器660は、フッ素の使用の他の副生成物からフッ素を分離する。図6に図示されるようないくつかの実施形態においては、上記フッ素分離器660はまた、廃棄生成物出口666を有し、この廃棄生成物出口666は、上記フッ素分離の副生成物が上記装置600から排出されることを可能にする。他の実施形態においては、上記装置600は、上記フッ素分離器660の近くに、または別の適切な位置に、類似の出口を備える。
【0058】
様々な実施形態においては、上記フッ素分離器660は、図1に関して記載される上記凝縮器160、図2に関して記載される上記凝縮器260もしくは上記膜分離デバイス280、または図3に関して記載される上記電気化学的セル300と構造上および機能上、類似である。図6に図示される実施形態においては、上記フッ素分離器660は、図3に関して記載されるような電気化学的セル300を備える管の列を備える。一つの実施形態においては、上記フッ素分離器660は、図4に関して記載される上記フッ素分離器400と構造上および機能上、類似である。
【0059】
図6に図示されるように、上記装置600は、上記フッ素分離器660の上記フッ素出口664と上記プラズマ発生器620の上記入口622との間の接続部を備える。その接続部は、上記フッ素分離器660により生成されるフッ素が再循環されることを可能にする。いくつかの実施形態におけるこの接続部は、緩衝容積680を備える。
【0060】
上記緩衝容積は、上記チャンバ排出物からフッ素が分離される速度および時間と異なる速度および時間でフッ素が使用されるように、フッ素を蓄積する。図6の実施形態においては、上記フッ素分離器660により生成されるフッ素は、接合部615で、上記プラズマ発生器620の上記入口622に到達する前に上記フッ素含有供給原料と混合する。上記装置600中での使用のためのさらなるガス、例えば反応性ガスはまた、上記接合部615または上記プラズマ発生器620の上記入口622で導入され得る。
【0061】
再循環のために、排出物は上記プロセスチャンバから受け取られ、フッ素は、固体電解質を含むフッ素分離器を用いて、上記フッ素含有ガスから分離され、そして分子状フッ素は圧縮されて上記再循環プロセスを駆動する。さらには、図6の上記装置600の操作中は、フッ素含有供給原料が受け取られる。反応剤ガスもまた、受け取られ得る。上記プラズマ発生器620は、上記フッ素含有供給原料を、プラズマを用いて、原子状フッ素を含有する様々な生成物に解離する。この原子状フッ素は、上記プロセスチャンバ640に提供される。上記プロセスチャンバ640は、そのチャンバを洗浄するための一つの実施形態においては、原子状フッ素を使用し、排出物を生成する。上記フッ素分離器660は、この排出物からフッ素を分離する。このフッ素は、再使用のために、上記プラズマ発生器620に再循環され、その一方でフッ素が(少なくとも部分的に)減らされる不要生成物は、装置600から排出される。他の実施形態は、上記プロセスチャンバ640の下流へ、複数のフッ素分離器を使用し得る。
【0062】
本明細書中に記載されるもののバリエーション、改変、および他の実施は、本願発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者に思い浮かぶ。従って、本発明は、上記の例証的な記載により規定されるべきではなく、その代わりに、特許請求の範囲の精神および範囲により規定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は、本発明の一つの実施形態に従う、フッ素ガスを発生させるための装置である。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態に従う、フッ素ガスを発生させるための装置である。
【図3】図3は、本発明の一つの実施形態に従う、電気化学的セルの一般的図式である。
【図4A】図4A、4B、4C、4D、および4Eは、図3の電気化学的セルを基礎とするフッ素ガス分離器の異なる図である。
【図4B】図4A、4B、4C、4D、および4Eは、図3の電気化学的セルを基礎とするフッ素ガス分離器の異なる図である。
【図4C】図4A、4B、4C、4D、および4Eは、図3の電気化学的セルを基礎とするフッ素ガス分離器の異なる図である。
【図4D】図4A、4B、4C、4D、および4Eは、図3の電気化学的セルを基礎とするフッ素ガス分離器の異なる図である。
【図4E】図4A、4B、4C、4D、および4Eは、図3の電気化学的セルを基礎とするフッ素ガス分離器の異なる図である。
【図5】図5は、本発明に従う、フッ素ガス分離器を用いてフッ素ガスを発生するための装置である。
【図6】図6は、本発明に従う、フッ素ガスを発生し、再循環するための装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスチャンバ中での使用のために原子状フッ素の流れを生成するための装置であって、該装置が、以下:
フッ素含有気体を受け取るための入口を有するハウジング;
該フッ素含有気体からフッ素を分離するための電気化学的セルであって、該電気化学的セルが、少なくとも部分的に該ハウジング内に配置され、そして出口チャネルを有し、該電気化学的セルが、
少なくとも1個の電極;および
該少なくとも1個の電極のすぐ近くに固体電解質を含むフッ素イオン伝導体
を備える、電気化学的セル;ならびに
該出口チャネルを該プロセスチャンバに接続するためのアダプター
を含む、装置。
【請求項2】
前記電気化学的セルが、管を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気化学的セルが、プレートを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記固体電解質が、表面を有し、該表面からフッ素イオンを直接抽出するために、前記装置が、該固体電解質の該表面に電場を印加するための手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
各々の電極が、カソードを備え、前記装置が前記フッ素イオン伝導体のすぐ近くにアノードをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記アノードが、薄膜を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記薄膜が、前記アノードでの分子状フッ素の形成を最少にする多孔度により特徴付けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記薄膜が、前記アノードでの分子状フッ素の形成を最少にするパターンにより特徴付けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記アノードが、前記薄膜に対して配置される厚い伝導性格子を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記アノードが、多孔性ニッケルを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記アノードが、多孔性ステンレス鋼を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
前記出口チャネルでのフッ素再結合を阻害するための圧力制御機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記圧力制御機構が、前記出口チャネルでの圧力を100torr以下に維持するための真空ポンプを備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記圧力制御機構が、前記出口チャネルでの圧力を20torr以下に維持するための真空ポンプを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電解質および前記出口チャネルの少なくとも一方の少なくとも1つの表面の温度を制御するための温度制御機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記アダプターが、前記出口チャネルをプラズマ発生器を経由して前記プロセスチャンバに接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
プロセスチャンバ中での使用のために原子状フッ素の流れを生成する方法であって、該方法が、以下:
固体電解質を含み、入口側および出口側を有するフッ素イオン伝導体を提供する工程;
フッ素含有供給原料を該入口側で受け取る工程;
該フッ素イオン伝導体を用いて、該フッ素含有供給原料からフッ素を分離する工程;ならびに
フッ素を該出口側から該プロセスチャンバに提供する工程
を包含する、方法。
【請求項18】
フッ素イオンを前記入口側から前記出口側へ輸送するために、前記フッ素イオン伝導体を横切って電場を印加する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記フッ素イオン伝導体の前記入口側に、前記フッ素含有供給原料の分圧を増加させて、フッ素イオンを前記入口側から前記出口側へ輸送する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記フッ素イオン伝導体の温度を制御して、フッ素イオンを前記入口側から前記出口側へ輸送する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記フッ素含有供給原料が、F2、HF、SF6、NF3、CF4、C2F6、C3F8、および他のフッ素化合物からなる群からの1つ以上の物質からなる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記分離する工程が、前記フッ素イオン伝導体を用いて、前記フッ素含有供給原料から分子状フッ素を分離する工程を包含し、ここで前記方法が、プラズマを用いて該分子状フッ素を解離させ、原子状フッ素を発生する工程をさらに包含し、そしてここで、前記提供する工程が、前記出口側からプラズマ発生器を経由して前記プロセスチャンバに原子状フッ素を提供する工程を包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記出口側での圧力を制御し、それにより、フッ素イオンおよび/またはフッ素原子の分子状フッ素への結合を阻害する工程をさらに包含する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記制御する工程が、前記出口側での圧力を100torr以下に維持して、フッ素イオンおよび/またはフッ素原子の分子状フッ素への結合を阻害する工程をさらに包含する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記制御する工程が、前記出口側での圧力を20torr以下に維持して、フッ素イオンおよび/またはフッ素原子の分子状フッ素への結合を阻害する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
フッ素ガスを発生するための装置であって、該装置が、以下:
フッ素含有供給原料を受け取るための入口および出口を有するプラズマ発生器であって、該プラズマ発生器が、該供給原料を反応生成物に解離するプラズマを生成する、プラズマ発生器;ならびに
反応生成物を受け取るために該プラズマ発生器の該出口側に接続された入口およびフッ素出口を有するフッ素分離器であって、該フッ素分離器が該反応生成物からフッ素を分離し、
該フッ素分離器が、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、および凝縮器からなる群から選択される、フッ素分離器
を備える、装置。
【請求項27】
前記プラズマ発生器が、マイクロ波プラズマ発生器、高周波誘導結合プラズマ発生器、高周波トロイダル型誘導結合プラズマ発生器、および高周波容量結合プラズマ発生器からなる群から選択される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記供給原料が、反応剤ガスをさらに含む、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記フッ素分離器が、炭素分子ふるい膜からなる、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記フッ素分離器が、前記フッ素イオン伝導体からなり、そして該フッ素イオン伝導体の固体電解質が、Pb2Sn2F4を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記フッ素分離器が、前記凝縮器からなり、そして該凝縮器が前記反応生成物の少なくともいくつかを冷却する、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記凝縮器が、前記フッ素から前記反応生成物の少なくともいくつかを徐々に排出させる、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記凝縮器が、不要生成物出口をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
前記フッ素出口に、直接にまたは間接に、接続される流量制御デバイスをさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項35】
前記流量制御デバイスが、圧力制御デバイスをさらに備える、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記フッ素出口に、直接にまたは間接に、接続される第2のプラズマ発生器をさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項37】
前記フッ素分離器の前記入口が、プロセスチャンバを経由して前記プラズマ発生器の前記出口に接続される、請求項26に記載の装置。
【請求項38】
前記フッ素出口が、直接にまたは間接に、前記プラズマ発生器の前記入口に接続され、それによりフッ素ガスが再循環されることを可能にする、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記フッ素出口が、緩衝容積を経由して、前記プラズマ発生器の前記入口に接続される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
フッ素ガスを発生するための方法であって、該方法が、以下の工程:
フッ素含有供給原料を、プラズマを用いて反応生成物に解離する工程;および
該反応生成物から、膜分離デバイス、固体電解質を含むフッ素イオン伝導体、および凝縮器からなる群から選択されるフッ素分離器を用いて、フッ素を分離する工程
を包含する、方法。
【請求項41】
前記供給原料が、F2、HF、SF6、NF3、CF4、C2F6、C3F8、および他のフッ素化合物からなる群からの1つ以上の物質からなる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記反応生成物が、硫黄または炭素を含有する化合物を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記解離させる工程が、反応剤ガスを前記プラズマ中へ導入する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記分離する工程が、前記反応生成物を分子ふるい膜へ通す工程を包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記分離する工程が、前記反応生成物を前記フッ素イオン伝導体へ通す工程を包含し、前記固体電解質がPb2Sn2F4を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記分離する工程が、前記反応生成物を冷却する工程を包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記分離する工程の不要生成物を、前記フッ素から離して排出させる工程をさらに包含する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記フッ素の圧力を制御する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
第2のプラズマを用いて、分子状フッ素を解離する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
原子状フッ素をプロセスチャンバに導入する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
フッ素ガスを再循環する方法であって、該方法が以下の工程:
プロセスチャンバから排出物を受け取る工程;
固体電解質を含むフッ素イオン伝導体を用いて、フッ素含有ガスからフッ素を分離する工程;および
分子状フッ素を圧縮し、再循環を駆動する工程
を包含する、方法。
【請求項52】
前記プロセスチャンバからの前記排出物が、チャンバ洗浄排出物である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
プラズマを用いて分子状フッ素を原子状フッ素に解離する工程をさらに包含する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記プロセスチャンバに原子状フッ素を提供する工程をさらに包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
プラズマを用いて、前記排出物を前記フッ素に解離する工程をさらに包含する、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記解離する工程が、前記プラズマを用いて反応剤ガスを解離する工程をさらに包含する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記圧縮する工程が、前記フッ素イオン伝導体を用いて達成される、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記圧縮する工程が、ポンプを用いて達成される、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
プロセスチャンバ中での使用のためのフッ素ガスを生成するための装置であって、該装置が、以下:
フッ素含有供給原料からフッ素を分離するための固体電解質であって、該固体電解質が、部分的に電子伝導性であり、該供給原料を受け取るための入口側および出口側を有する、固体電解質;
該入口側のすぐ近くの圧力制御機構であって、該圧力制御機構が、該固体電解質の該入口側で該フッ素含有供給原料の分圧を維持する、圧力制御機構;ならびに
該出口側を該プロセスチャンバに接続するためのアダプター
を備える、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−508799(P2006−508799A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559333(P2004−559333)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038721
【国際公開番号】WO2004/053198
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505203391)エムケーエス インストルメンツ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】