フリーズドライヤ内で容器を取り扱うための方法および集合体
第1の位置に設置されたフリーズドライヤ(1)と、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車(30)との間での容器、例えばバイアル(101)の移送のための方法である。フリーズドライヤ(1)は、フリーズドライヤ・ハウジング(2)と、複数の棚(21−24)とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジング(2)には、当該フリーズドライヤ・ハウジング(2)内側の内部フリーズドライ室(10)に面した出入口(11)が付いている。複数の棚(21−24)は、フリーズドライヤ室(10)の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器を支持するための水平に延びる第1の平坦支持面(25)がそれぞれ設けられている。移動可能な搬送車(30)は、移動車台(31)と、担持体(57)と、容器移動装置(60)とを備えている。その移動車台(31)は、内部貯蔵室(39)に面する出入口(40)の付いた貯蔵ハウジング(33)を支持している。担持体には、貯蔵ハウジング(33)内部で容器を支持するための第2の平坦支持面(58)が設けられている。容器移動装置(60)は、第2の平坦支持面(58)と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面(58)から遠ざかるように容器を押し出すためのものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーズドライヤ(凍結乾燥機)内でバイアルを取り扱うための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイアル内に入った医薬品の液体をフリーズドライ(凍結乾燥)するために、フリーズドライヤが用いられる。このフリーズドライヤは、互いに上方へ間隔を置いて配置された複数の棚を有するフリーズドライ室を備えている。それらの棚は、密集した状態で規則正しく配列されて互いに当接し合っている複数の容器の容器パックをそれぞれ1つ担持する。典型的なフリーズドライ設備においては、クリーンルーム内部の水平なレール軌道に沿って複数のフリーズドライヤが定置されている。そのレール軌道に沿って、バイアルの積込みと取出しのために載荷車両が移動する。この載荷車両は、棚と略同じ寸法を有した担持板を備えると共に、各棚毎に、その棚と担持板との間で1回の単一行程にて容器パックを1つだけ移送するように構成されている。
【0003】
フリーズドライ設備のクリーンルームは、清浄化や衛生化に関する高度の基準に従わなければならない。従って、利用可能なフロアスペースは、効率的なやり方で占められていなければならない。しかし、既知のフリーズドライ設備においては、載荷車両の担持板が棚と略同じ寸法を有している。従って、載荷車両それ自体と、その載荷車両に適したレール軌道とが、利用可能なフロアスペースの比較的大きな部分を占めてしまう。その上、担持体がそれぞれの棚と正確に整列できることを保証するためには、レール軌道がフリーズドライヤに対して極めて精確に位置決めされていなければならない。特に、フリーズドライ設備が拡張されるときには、追加されたレール軌道の部分に対する追加されたフリーズドライヤの位置決めに時間が掛かってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、クリーンルームの利用可能なフロアスペースをフリーズドライ設備が効率的なやり方で占めるようにするための対策を提供することである。
【0005】
本発明の目的は、フリーズドライ設備を効率的なやり方で拡張するためのフリーズドライ設備についての対策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、第1の位置に設置されたフリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との間での容器、例えばバイアルの移送のための方法であって、フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器を支持するための水平に延びる第1の平坦支持面がそれぞれ設けられており、移動搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、当該方法は、第1の棚について、担持体と棚とを整列させることと、容器移動装置によって、互いに当接し合う複数の容器の第1の容器パックを、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すことと、容器移動装置を逆進させることと、その後で、互いに当接し合う複数の容器の第2の容器パックを、第1の棚上で第1の容器パックと第2の容器パックとの間に長く延びた分離スペースを空けたままにしながら、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すこととを含んでいる、方法を提供する。移動搬送車は、有軌道式無人搬送車に代えて無軌道式無人搬送車(AGV)とすることができる。
【0007】
本発明の方法に従ってフリーズドライ設備を稼働させることによって、長く延びた分離スペースで互いに分離されて明確に区別される容器パックによって棚が占められ、移動搬送車は一度に1つの容器パックを積み込んだり取り出したりすることができる。明らかなこととなるように、本発明は、各棚毎に2つの容器パックには限定されない。搬送車における第2の平坦支持面の大きさは、各棚における第1の平坦支持面の大きさの一部分の大きさとすることができる。従って、移動搬送車それ自体の大きさは、フリーズドライヤの大きさの一部分の大きさとすることができる。このことは、搬送車によって複数のフリーズドライヤ間を移動するのに使われるフロアスペースにも当て嵌まる。これによって、利用可能なフロアスペースをより多くのフリーズドライヤで占めることができ、或いはクリーンルームの大きさを小さくすることができるようになる。
【0008】
一実施形態において、分離スペースは、押出し方向に対して横方向に延びている。
【0009】
一実施形態において、分離スペースは、押出し方向において、容器の内の1つの当該方向における最大外幅と略等しいか、または当該最大外幅よりも大きい幅を有している。
【0010】
一実施形態において、容器パックの容器は、押出し方向に対して横方向に延びる複数の列に配列されており、連続した列同士が、押出し方向に対して横方向に容器の幅の半分だけ互いにずらして配置されている。連続した列同士を互いにずらして配置することによって、密集した容器の配列が可能となる。
【0011】
一実施形態において、容器は、寸法および形状に関して互いに同一である。
【0012】
一実施形態において、当該方法は、第1の容器パックを第1の平坦支持面上へと押し出すことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第2の位置に設置された積込みステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと積み込むこととを含んでいる。このようにして、それぞれの容器パックが、積込みステーションで受け取られ、棚の上に積み込まれる。
【0013】
一実施形態において、当該方法は、1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、容器の医薬品内容物を長期間保存するためにフリーズドライヤの内部でフリーズドライ処理を行うことを含んでいる。
【0014】
一実施形態において、容器移動装置は、容器パックの側面との係合のために押出し方向へ移動可能な容器押出しショベルを備えている。容器押出しショベルは、容器パックへ側面にて係合して、1回の単一ショベル行程でその容器パックを1つのまとまりとして外へ移動させることができる。
【0015】
一実施形態において、当該方法は、1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、搬送車によって1つまたは複数の棚から容器パックを取り出すことを含んでいる。その取出しは、フリーズドライヤ内部でフリーズドライ処理が行われた後ですることができる。
【0016】
その一実施形態において、当該方法は、各棚毎に、棚と担持体とを互いに整列させることと、容器移動装置によって、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと、第2の平坦支持面と平行な引込み方向に第2の容器パックを引き込むことと、容器移動装置を、押入れ方向とは反対の延長方向へ延ばすことと、その後で、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと第1の容器パックを引き込むこととを含んでいる。
【0017】
その別の実施形態において、容器移動装置は、引込み方向に移動可能、かつ上方通過位置と下方ショベル位置との間で引込み方向を横切る方向に可動となった容器引込みショベルを備え、その上方通過位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの上を延長方向へ自由に通過し、その下方ショベル位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの側面と引込み方向に係合するようになっており、当該方法は、容器引込みショベルを、その上方通過位置において、第1または第2の容器パックに向かって、また当該容器パックを通り過ぎて延長方向に移動させることと、第1または第2の容器パックの側面との係合のために、容器引込みショベルをショベル位置に動かして、この容器引込みショベルを引込み方向に移動させることと、第1の平坦支持面に沿って容器パックを引き込むこととを含んでいる。
【0018】
その別の実施形態において、容器移動装置は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出するための検出器を備え、当該方法は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを上方通過位置からショベル位置に向かって動かすことを含み、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルが停止または逆進させられる。容器引込みショベルが未だその下方ショベル位置にはない間に容器の掻集めや引込みを継続することは、多くの倒れたり損傷したりした容器を伴う、制御されていない容器パックの移動動作へと繋がるであろうが、これによってそのことが防止される。
【0019】
その一実施形態において、当該方法は、容器引込みショベルがその下方ショベル位置へ到達してしまう前に容器引込みショベルと容器との係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを再びショベル位置に向かって動かすこととを含んでいる。このようにして、容器引込みショベルは、容器パックの側面の倒れたり意図せずに動いたりした容器のすぐ傍らの位置において、長く延びた分離スペースの中へと掻くようにして入ることを試みることができる。これにより、下方ショベル位置へ到達することができると共に、動いてしまった側面の容器を、移動動作の間に、容器パックの側面における当該容器の計画された位置へと戻すことができる。
【0020】
その一実施形態において、当該方法は、前記の、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、前記の、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、前記の、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルをショベル位置に向かって動かすこととを、容器引込みショベルがショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた最大試行回数が経過してしまうまで繰り返すことを含んでいる。予め決められた最大試行回数が経過してしまった例外的な場合には、オペレータが、状況を評価して、必要な対策を講じたり手動で修正したりすることができる。
【0021】
既に述べたように、当該方法は、第2の容器パックのために、容器引込みショベルを、長く延びた分離スペース内への挿入によってショベル位置へ動かすことを含むことができる。
【0022】
一実施形態において、当該方法は、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと引き込むことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第3の位置に設置された荷下ろしステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面から荷下ろしすることとを含んでいる。
【0023】
もう一つの態様によれば、本発明は、フリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との集合体であって、フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器、例えばバイアルを支持するための水平に延びる第1の平坦支持面と、出入口の前にある側縁部とが設けられており、移動搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、担持体は、板形状の当接延長部と、この当接延長部の下にある前方取付部分と、この前方取付部分に連結されたグリップ延長部とを備え、当接延長部上に第2の平坦支持面の一部またはその延長部が延びていて、グリップ延長部は少なくとも部分的に当接延長部の方へ向けられており、搬送車は、複数の棚の内、当接延長部が第1の平坦支持面の上を延びると共にグリップ延長部が少なくとも部分的に側縁部の下を延びるような垂直方向の高さにある1つの棚と、担持体を整列させるように構成されると共に、当接延長部とグリップ延長部との間で側縁部を拘束するために、当該1つの棚に向かって担持体を移動させるように構成されている、集合体を提供する。
【0024】
側縁部は、板形状の当接延長部と、この当接延長部と少なくとも部分的に向かい合ったグリップ延長部との間で拘束される。即ち、第2の平坦支持面の一部またはその延長部は、棚の第1の平坦支持面上に降着するが、そのためにグリップ延長部によって押し下げられるのである。このようにして、当接延長部をある程度、第1の平坦支持面の上まで持って行って、第1の平坦支持面と第2の平坦支持面との間での容器の円滑な移送を可能とするには充分である。これにより特に、搬送車を有軌道式無人搬送車に代えて無軌道式無人搬送車(AGV)として具体化することが可能となる。
【0025】
その一実施形態において、グリップ延長部は、側縁部との係合のための自由に延びる係合端部が設けられたグリッパを備え、その係合端部は、垂直面内で当接延長部に対して可動となっている。そしてグリッパは、当接延長部の水平方向の合体する動きを、垂直方向下向きの降着する動きへと変換することができる。
【0026】
一実施形態において、グリッパは、取付部分に対して枢動可能に連結されている。
【0027】
その一実施形態において、側縁部の適切な係合を保証するために、係合端部には、側縁部の少なくとも一部の拘束のための凹所が設けられている。
【0028】
一実施形態において、グリップ延長部は弾性材料、好ましくはゴム系材料で作られており、これにより、当接延長部が第1の面に当接してしまったときに、当接延長部の水平方向の合体する動きを継続させることを可能としている。これは、当接延長部を押し付けて、第1の面としっかり接触した状態へとばね荷重が掛けられるようにするためである。
【0029】
一実施形態において、搬送車には、当接延長部に沿って分散配置された複数のグリップ延長部が設けられており、その結果、当接延長部の全長に渡ってしっかりした拘束状態を得ることができる。
【0030】
一実施形態において、搬送車には、担持体を支持すると共に、この担持体を貯蔵ハウジングの出入口を通じて移動車台に対して水平方向へ直線的に並進させるための並進機構が設けられており、担持体は、並進機構に対する当該担持体の水平面内での旋回動が可能となるよう並進機構上でスライド自在に支持されている。その旋回動によって、担持体が棚に合体すると同時に水平面内でこの棚と整列する(一直線に並ぶ)ことが可能となる。
【0031】
その一実施形態において、搬送車には、互いに間隔の離れた2つのスプリングが設けられ、これらのスプリングは、当接延長部の側で担持体を並進機構に連結しており、それらのスプリングはそれぞれ、並進機構の並進方向における担持体の前方部分の当該並進機構に対する並進を可能としている。それらのスプリングは、棚と担持体との間のばね荷重ないしは偏倚荷重を保って、合体の係合状態を維持する。
【0032】
その一実施形態において、搬送車は、スプリングの動きを減衰させるためのダンパを備えている。その減衰作用によって、合体中における容器の傾きを防止することができる。
【0033】
単純な実施形態において、スプリングは、減衰式ガススプリングである。
【0034】
本明細書において記述されたり示されたりした様々な態様や特徴は、できる限り個別的に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様や特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0035】
以下の添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて本発明を説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】複数の棚を有するフリーズドライヤと、それらの棚の内の1つに対して合体される移動搬送車との等角投影図。
【図2】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図3】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図4】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図5】図2および図3に表示したような移動搬送車の前方部分の詳細を示す等角投影図。
【図6A】図5に示すような前方部分の断面図。
【図6B】図5に示すような前方部分の、次の状態での断面図。
【図6C】図5に示すような前方部分の、次の状態での断面図。
【図7】図3および図4に表示したような移動搬送車の合体部分の詳細を示す等角投影図。
【図8A】図7に従った合体部分の断面図。
【図8B】図7に従った合体部分の、次の合体段階での断面図。
【図8C】別の合体部分。
【図8D】別の合体部分。
【図8E】別の合体部分。
【図9】前記図面に従った、複数のフリーズドライヤと移動搬送車とを備えるフロア配置図。
【図10A】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤへの積込みの概略平面図。
【図10B】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤへの積込みの概略平面図。
【図11A】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤからの取出しの概略平面図。
【図11B】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤからの取出しの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、医薬品材料をフリーズドライするためのフリーズドライヤ1を有したクリーンルームのフロア100を示している。フリーズドライする医薬品材料は、それぞれ同一の容器、この例ではガラス製のバイアルに入っている。そのように医薬品材料をドライフリーズすることは当該技術より既知である。フリーズドライヤ1は、フリーズドライヤ・ハウジング2を備えている。このハウジング2は、上壁3、2つの側壁4、後壁5、前壁6、および内部隔壁13を有している。これらの壁3,4,5,6,13は、内部フリーズドライ室10および内部機器室20を画成している。前壁6には、垂直スライド式ドア12によって開閉することのできる矩形の出入口(アクセス開口)11が設けられている。フリーズドライ室10は、バイアルの収容のために設備されると共に、フリーズドライ処理を実行するように企図されている。またフリーズドライ室10は、水平方向に延びる複数の板形状の棚21,22,23,24を備えている。それらの棚21,22,23,24は、出入口11の前に持ってくるために垂直方向Aに並進させることができる。図示するように、4番目の棚24の側縁部98が、出入口11の前を、障害なく接近できるように延びている。フリーズドライ室10は、医薬品材料をフリーズドライするための非常に高度な滅菌基準を満たしている。
【0038】
図1は更に、フリーズドライヤ1内にバイアルを積み込んだり取り出したりするためにフロア100上を移動可能となった搬送車30を示している。この搬送車は、図2から図4にもっと詳細に示されている。搬送車30は、車輪32を有した車台31を備えている。各車輪32は、電子制御装置により電力供給を受けるサーボモータによって、個別に駆動および操舵される。車台31は、フリーズドライヤ1に対して任意の水平方向X,Yにフロア100上を移動できるようになっている。この車台31の移動は、フロア100内のトランスポンダ(応答機)からの信号、当該車台上のセンサ、および図示しないフロア制御ステーションによって送信される指令に基づいて、制御されたやり方で行われ、搬送車1を無軌道式無人搬送車(AGV)としている。車台31は、貯蔵ハウジング33を支持している。この貯蔵ハウジング33は、上壁34、透明な点検パネル38の設けられた2つの側壁35および後壁36、並びに前壁37を有している。これらの壁34,35,36,37は、内部貯蔵室39を画成している。前壁37には、図示しない垂直スライド式ドアによって開閉することのできる出入口(アクセス開口)40が設けられている。貯蔵室39と、その内部の部品とは、医薬品材料をフリーズドライするための非常に高度な滅菌基準を満たしている。図2から図4は、貯蔵室39内部の重要な部分を示すために貯蔵ハウジング33を取り除いた搬送車30を示している。フリーズドライヤ1は、棚の内の1つ24を除いて、その全体が取り除かれている。これは、バイアルの積込みおよび取出し中における、搬送車30によるこの棚24の係合を開示するためである。
【0039】
搬送車30は、互いに平行に延びる2本のレール51を伴った支持台50を、車台31の頂部上に備えている。それらのレール51の上に、搬送車30は、一対のスライダ53によって支持されて互いに平行に延びる2本の担持バー52を備えている。それらのスライダ53は、図示しない第1のリニアサーボモータによって、レール51に沿って方向Pへ同時にスライドすることができる。担持バー52は、その頂部側の上に、矩形の枠組54を自在にスライドする態様で支持している。枠組54は、前方取付部分を形成する前部バー55を備えている。その前方取付部分は、2つのガススプリング56によって担持バー52に連結されている。それらのガススプリング56は、担持バー52およびレール51の縦方向へ延びている。ガススプリング56は、それらの延長状態に向かって付勢されている。ガススプリング56は、外力によって、自らの付勢力に逆らって方向Q1,Q2へ個別に引っ込むことができる。これは、担持バー52上で枠54を、垂直軸Z周りの揺動回転成分と、当該枠54の並進方向Pに対して平行な水平並進成分Rとを有する移動を伴ってスライドできるようにするためである。枠54の上には、平坦な金属製のバイアル支持板57を備えた担持体が取り付けられている。そのバイアル支持板57は、平坦で水平方向に延びて滑らかなバイアル支持面58を備えている。
【0040】
搬送車30は、以下で説明することとなるようにバイアル支持板57および棚24の上を水平方向Sに移動可能なバイアル移動装置60を備えている。このバイアル移動装置60は、互いに平行に延びる2本の枠材61を備えている。これらの枠材61には、直線に沿った方向Sへの案内された移動のための車輪64が設けられている。連結ロッド62および駆動ハウジング63によって枠材61同士が互いに結合されて、矩形のバイアルパック包囲区域65を画成している。駆動ハウジング63は、真っ直ぐなバイアル押出しショベル70に連結されている。このバイアル押出しショベル70は、バイアルパック包囲区域65に対して、当該区域65の全幅に沿って向かい合っている。その反対側で、バイアル移動装置60は、バイアルパック包囲区域65の全幅に渡って延びるバイアル引込みショベル80を備えている。このバイアル引込みショベル80は、第1のヒンジ81によって、枠材61に対して可動に連結されている。
【0041】
バイアル引込みショベル80は、図5、および図6Aから図6Cにもっと詳細に示されている。駆動ハウジング63の内部には、第2のサーボモータが設けられている。この第2のサーボモータは、方向Mへ揺動可能なレバー66を、駆動ハウジング63の外側に有している。それらのレバー66は駆動ロッド67に連結されているが、これらの駆動ロッド67は、反対側で第2のヒンジ82によってバイアル引込みショベル80に連結されてる。このようにして、バイアル引込みショベル80は、第2のサーボモータによって、第1のヒンジ81の軸線周りを方向Nに揺動させることができる。第2のサーボモータは、方向Nへのショベル80の揺動中の回転抵抗を感知すると共に、そのような抵抗を移動搬送車30の制御装置へ連絡するように構成されている。
【0042】
バイアル引込みショベル80は、2つの側板83と、板形状の湾曲したスクープ(掻集め板)84とを備えている。各側板83上には、第1および第2のヒンジ81,82が設けられている。またスクープ84は、長く延びた上方部分85と、長く延びた中間部分86と、長く延びた下方部分87とを有している。これらの各部分85,86,87は、第1のヒンジ81の軸線に対して互いに略同じ距離を有している。下方部分87には、真っ直ぐなショベル縁部88が設けられている。バイアル引込みショベル80は、図6Aに示すような上方通過位置と、図6Bに示すような中間位置と、図6Cに示すような下方ショベル位置との間で方向Nに可動となっている。その上方通過位置においては、バイアル引込みショベル80が、直立して置かれたバイアル101の上を通過することができる。また下方ショベル位置においては、ショベル縁部88が、バイアル101の下方部分と係合することができる。
【0043】
図3に示すように、バイアル移動装置60は2本の駆動ロッド90を備えている。それらの駆動ロッド90は、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータによって、駆動ハウジング63に対して出入りするように方向Tへ可動となっている。その反対側で、駆動ロッド90は、連結バー92に対して結合されると共に、車輪91によって支持されている。図4に示すように、リニア型の第4のサーボモータが2つ、枠54の下に設けられている。各第4のサーボモータは、バイアル支持板57の上へ延びる外側ブラケット93を有している。これらの外側ブラケット93は、枠54に沿って方向Uに可動となっている。各ブラケット93は、弾性ストリップ94によって駆動ロッド90に連結されている。第3および第4のサーボモータの作動によって、枠材61と、連結バー62と、バイアル引込みショベル80と、バイアル押出しショベル70を伴う駆動ハウジング63とを備えたユニットが、バイアル支持板57と、当該バイアル支持板57に対して整列させられた(同列に揃えられた)棚21から24との上で、それらの支持板57と棚21から24との間を方向Sに移動することができる。
【0044】
図7および図8Bは、第4の棚24の自由に接近可能な側縁部98における、移動搬送車30による棚24の係合を、もっと詳細に開示している。図8Aは、前記係合の直前における係合部分を開示している。図示するように、枠54の前部バー55には、バイアル支持板57を支持する複数のブラケット41が設けられている。これらのブラケット41は、前部バー55に沿って分散配置されている。バイアル支持板57は、その一部が前部バー55およびブラケット41の上を延びて、テーパ付の端縁部59を有した板形状の当接延長部99を形成している。各ブラケット41には、前部バー55から離れる方を向いた側に、それぞれ膝関節状延長部42が設けられている。各膝関節状延長部42は、グリップ延長部によって係合されている。そのグリップ延長部は、可撓性材料、例えばゴムで作られたグリッパ(把持体)43を備えている。それによりグリッパ43は、垂直面内で方向Sに揺動可能となっている。適用された材料と嵌め合いとのおかげで、各グリッパ43は、予め決められた閾値を超える外力やトルクが加えられるまでは、ブラケット41に対する方向Lでの自らの向き維持する。
【0045】
各グリッパ43は、拘束開口46を画成する上方指状体44および下方指状体45を備えている。これらの指状体44,45および拘束開口45は、テーパ付端縁部59に向かって上方へ向けられている。テーパ付端縁部59と指状体44,45との間の距離は、棚24の下方の角縁部26を拘束開口46へ進入させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下へ持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0046】
図8Cから図8Eは、係合部分の別の実施形態を示している。図8Cによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端縁部59と略平行に間隔を置かれたグリップ延長部43aを有するブラケット41aによって支持されている。そのグリップ延長部43aには、可撓性材料、例えばゴムで作られたクッション44aが設けられている。このクッション44aは、テーパ付端縁部59の下に定置されている。テーパ付端縁部59とクッション44aとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26をクッション44aの上部に当てながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0047】
図8Dによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端縁部59と間隔を置かれる湾曲した弾性グリップ延長部43bを有するブラケット41bによって支持されている。テーパ付端縁部59と弾性グリップ延長部43cとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26を弾性グリップ延長部43bの湾曲部分44bと弾性的に係合させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0048】
図8Eによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端部分44cを有した剛性グリップ延長部43cを有するブラケット41cによって支持されている。テーパ付端縁部59と剛性グリップ延長部43cとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26をテーパ付端部分44cによって締め付けるように係合させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0049】
図9は、本発明を適用するための典型的なフロア配置図を示している。クリーンルームのフロア100上において、フリーズドライヤ1は、他の3つの同じフリーズドライヤ401,501,601と共に系列の一部を形成している。一方の側には、バイアル積込み・取出しステーション700が設けられている。この積込み・取出しステーション700は例えば、バイアル101を走査したり印付けしたりするためのバイアル単列化装置を備えている。図10Aおよび図10B、並びに図11Aおよび図11Bは、バイアル101の取扱いを、それぞれフリーズドライヤ2への積込み、並びに取出しに関して示している。フリーズドライヤ1および移動搬送車30においては、複数のバイアル101がバイアルパック102,103へと纏められている。各バイアルパック102,103は、バイアル101の真っ直ぐな列を複数備えている。それらのバイアル101の列は、バイアルの幅の半分だけ相互にずらして配列されて、六角形状に束ねられたバイアルの稠密な集合体を形成している。
【0050】
空のフリーズドライヤ1内へとバイアル101が積み込まれるとき、移動搬送車30はまず最初に、積込みステーション700へと移動して第1のバイアルパック102を積み込む。積み込まれたとき、第1のバイアルパック102は、バイアル支持板57の中央に定置され、枠材61、バイアル押出しショベル70、および下方ショベル位置にあるバイアル引込みショベル80によって取り囲まれて拘束されている。バイアル支持板57およびバイアル移動装置60は、それらの全体が、出入口40の閉じられた貯蔵ハウジング33の内部に定置されている。
【0051】
積込み後、移動搬送車30は、図9に示すように経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ向かって移動する。そこでは、図1から図4に示すように、移動搬送車30の出入口40がフリーズドライヤ1の出入口11の前に定置される。到着の直前、フリーズドライヤ1のスライド式ドア12が開かれ、積み込まれるべき空の棚24が、出入口11を通じて接近可能となるよう、その垂直方向Aに移動する。フリーズドライヤ1の前で終わる経路Rに従った移動は、車台31によって実行され、これが最初の大まかな位置決めを成す。次にバイアル支持板57が、空の棚24の前に、この棚24から数センチメートルの間隔を置いたところまで延びる。これは、図8Aに示すように、バイアル支持板57のテーパ付端部59の下側が、垂直方向で空の棚24の数ミリメートル上方にあり、各グリッパ43が、空の棚24の下方縁部26を受けるよう上向きに位置決めされた状態にてなされる。
【0052】
その後、担持バー52をレール51に沿ってスライドさせて枠54を空の棚24へ向かって移動させることによって、バイアル支持板58が、合体させるべき空の棚24へ向かって持ってこられる。付勢された2つのガススプリング56の初めに保たれた延長状態のおかげで、バイアル支持板57と枠54とは、グリッパ43の内の少なくとも1つが空の棚24の下方縁部26と係合するまで、同時に移動する。この最初の係合の後で、最初に係合したグリッパ43に近い方のガススプリング56が、その付勢力に逆らって方向Q1/Q2に押されて枠54の継続的な移動を吸収しながら、枠54が方向Pへの自らの移動を続行する。この枠54の移動は、全てのグリッパ43にそれらの開口46内へ下方縁部26を拘束させるために続行されるのである。このようにして、バイアル支持板57は、全てのグリッパ43がそれらの初期の係合をなして、テーパ付端部59が空の棚24の真上になってしまうまで、枠54の上でスライド式に支持されながら垂直軸線Z周りに旋回することができる。弾性グリッパ43を、テーパ付端部59へ向かって方向Lに上方へ僅かに回転するように推し進めるために、枠54が方向Rへ進み続ける。このようにして、バイアル支持板57は、車台によってもたらされる幾らかの弾性の下で、僅かに押し下げられる。これは、テーパ付端部59をその全幅に渡って、平坦な支持面25にしっかりと押し付けて載せるためである。
【0053】
その後、いずれも図3に示すように、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて各ブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータが電力供給を受けて各駆動ロッド90をそれらの延長位置へ方向Tに移動させる。これにより、図10Aに示すように、第1のバイアルパック102が、バイアル支持板57から空の棚24の後半部分の上へと方向Gに、枠材61とバイアル引込みショベル80との間で拘束されたまま、バイアル押出しショベル70によって移動される。その後、図6Aに示すように、バイアル引込みショベル80がその上方通過位置へと方向Nに動かされ、バイアル支持板57およびバイアル移動装置60が、貯蔵室39内部へ完全に引き込まれた位置へと戻される。出入口40を閉じた後、図9に示すように移動搬送車30が経路Tに従って積込みステーション700へ向かって移動し、第2のバイアルパック103を受け取る。
【0054】
その後、移動搬送車30が再び経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ移動し、既に述べたようにして合体を行う。合体後に、第4のサーボモータ95だけが電力供給を受けて、各ブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させる。これにより、図10Bに示すように、第2のバイアルパック103が、バイアル支持板57から、部分的に積み込まれた棚24の前半部分の上へと方向Hに、枠材61とバイアル引込みショベル80との間で拘束されたまま、バイアル押出しショベル70によって移動される。第1のバイアルパック102と第2のバイアルパック103との間には、長く延びたスペース104が開放されたままにされている。そのスペース104は、この例ではバイアル101の内の1つの直径と略等しい幅を有している。その後、バイアル引込みショベル80が、長く延びたスペース104の外へ引き上げられるために、図6Aに示すようにその上方通過位置へと方向Nに動かされ、バイアル支持板57およびバイアル移動装置60が、貯蔵室39内部に引き込まれた位置へと戻される。フリーズドライヤ1および他のフリーズドライヤ401,501,601に対して完全に積込みを行うために、全ての棚21から24について上述した各段階を繰り返すことができる。
【0055】
この例では、長く延びたスペース104が、バイアル101の内の1つの直径と略等しい幅を有している。或いは、長く延びたスペース104の幅は、バイアル101の内の1つの直径よりも小さかったり大きかったりする。その幅は、バイアル引込みショベル80の動きにとって、当該長く延びたスペース104に出たり入ったりして方向Nへ自由に動くのに充分である、というのが本質的なことである。
【0056】
フリーズドライ室10の内部でフリーズドライ処理を行った後、フリーズドライヤ1からの取出しが行われる。それに対して、スライド式ドア12が開かれ、棚の内の1つ24が出入口11の前に移動され、前述したように移動搬送車30が経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ向かって移動して、積み込まれている棚24に対して合体する。その後、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル70がその上方通過位置へと方向Nに動き、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて、図3に示すようにブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル70が第2のバイアルパック103の上を通過すると同時に、バイアル押出しショベル70が第2のバイアルパック103に当接されられるか、或いは当該バイアルパック103の前のバイアル直径よりも小さい短距離のところに持ってこられる。その後、バイアル引込みショベル80が、分離スペース104へ進入しながら、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされる。それから、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて、ブラケット93を引込み位置へと方向Uに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル80が、図11Aに示すように第2のバイアルパック103を棚24からバイアル支持板57上へと方向Jに移動させる。
【0057】
その後、第2のバイアルパック103が取出しステーション700にて取り出され、それから、部分的に取り出された棚24に対してバイアル支持板57が再び合体する。その後、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル80がその上方通過位置へと方向Nに動き、いずれも図3に示すように、第4のサーボモータ95が電力供給を受けてブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータが電力供給を受けて駆動ロッド90をそれらの延長位置へ方向Tに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル80が第1のバイアルパック102の上を通過すると同時に、バイアル押出しショベル70が第1のバイアルパック102に当接されられるか、或いは当該バイアルパック102の前のバイアル直径よりも小さい短距離のところに持ってこられる。その後、バイアル引込みショベル80が、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされる。それから、第4のサーボモータ95と駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータとが電力供給を受けて、ブラケット93を引込み位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ロッド90を駆動ハウジング63内へと引き込む。このようにして、バイアル引込みショベル80が、図11Bに示すように第1のバイアルパック102を棚24からバイアル支持板57上へと方向Kに移動させる。
【0058】
既述のように、バイアル引込みショベル80は、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされると同時に、分離スペース104へ進入する。下方への移動中に、バイアル引込みショベル80用のサーボモータが、バイアル押出しショベル80に対する予期せぬ反力を監視する。そのような反力は、バイアルパック102,103の縁部において意図せずに動いたり倒れたりしたバイアル101aによって生じ得る。サーボモータがそのような抵抗を感知したときには、図6Bに示すように動いたり倒れたりしたバイアル101aがショベル縁部88にぶつかったとの結論が下される。その場合、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル80がその上方通過位置へ戻され、第3のサーボモータが電力供給を受けてバイアル引込みショベル80を枠54から更に数ミリメートル遠ざかった所まで持って行き、バイアル引込みショベル80が再び下げられる。この手順は、図6Cに一致した下方ショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた試行回数もしくは時間が経過してしまうまで繰り返される。このようにして、完全なバイアルパック102,103を棚21から24より取り去ることができる。
【0059】
複数のバイアルパック102,103を棚21から24毎に別々に順次取り扱うことによって、倒れたバイアル101aのせいでバイアルパック102,103が不良品として撥ねられるリスクが、もっと大きく棚を覆う単一のバイアルパックを移動させるときよりも小さくなる。
【0060】
以上の説明は、好適な実施形態の動作を例示するために含められたものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない、ということを理解されたい。以上の議論から、依然として本発明の趣旨および範囲によって包含されるであろう多くの変形が、当業者に明らかになることとなる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーズドライヤ(凍結乾燥機)内でバイアルを取り扱うための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バイアル内に入った医薬品の液体をフリーズドライ(凍結乾燥)するために、フリーズドライヤが用いられる。このフリーズドライヤは、互いに上方へ間隔を置いて配置された複数の棚を有するフリーズドライ室を備えている。それらの棚は、密集した状態で規則正しく配列されて互いに当接し合っている複数の容器の容器パックをそれぞれ1つ担持する。典型的なフリーズドライ設備においては、クリーンルーム内部の水平なレール軌道に沿って複数のフリーズドライヤが定置されている。そのレール軌道に沿って、バイアルの積込みと取出しのために載荷車両が移動する。この載荷車両は、棚と略同じ寸法を有した担持板を備えると共に、各棚毎に、その棚と担持板との間で1回の単一行程にて容器パックを1つだけ移送するように構成されている。
【0003】
フリーズドライ設備のクリーンルームは、清浄化や衛生化に関する高度の基準に従わなければならない。従って、利用可能なフロアスペースは、効率的なやり方で占められていなければならない。しかし、既知のフリーズドライ設備においては、載荷車両の担持板が棚と略同じ寸法を有している。従って、載荷車両それ自体と、その載荷車両に適したレール軌道とが、利用可能なフロアスペースの比較的大きな部分を占めてしまう。その上、担持体がそれぞれの棚と正確に整列できることを保証するためには、レール軌道がフリーズドライヤに対して極めて精確に位置決めされていなければならない。特に、フリーズドライ設備が拡張されるときには、追加されたレール軌道の部分に対する追加されたフリーズドライヤの位置決めに時間が掛かってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、クリーンルームの利用可能なフロアスペースをフリーズドライ設備が効率的なやり方で占めるようにするための対策を提供することである。
【0005】
本発明の目的は、フリーズドライ設備を効率的なやり方で拡張するためのフリーズドライ設備についての対策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、本発明は、第1の位置に設置されたフリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との間での容器、例えばバイアルの移送のための方法であって、フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器を支持するための水平に延びる第1の平坦支持面がそれぞれ設けられており、移動搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、当該方法は、第1の棚について、担持体と棚とを整列させることと、容器移動装置によって、互いに当接し合う複数の容器の第1の容器パックを、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すことと、容器移動装置を逆進させることと、その後で、互いに当接し合う複数の容器の第2の容器パックを、第1の棚上で第1の容器パックと第2の容器パックとの間に長く延びた分離スペースを空けたままにしながら、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すこととを含んでいる、方法を提供する。移動搬送車は、有軌道式無人搬送車に代えて無軌道式無人搬送車(AGV)とすることができる。
【0007】
本発明の方法に従ってフリーズドライ設備を稼働させることによって、長く延びた分離スペースで互いに分離されて明確に区別される容器パックによって棚が占められ、移動搬送車は一度に1つの容器パックを積み込んだり取り出したりすることができる。明らかなこととなるように、本発明は、各棚毎に2つの容器パックには限定されない。搬送車における第2の平坦支持面の大きさは、各棚における第1の平坦支持面の大きさの一部分の大きさとすることができる。従って、移動搬送車それ自体の大きさは、フリーズドライヤの大きさの一部分の大きさとすることができる。このことは、搬送車によって複数のフリーズドライヤ間を移動するのに使われるフロアスペースにも当て嵌まる。これによって、利用可能なフロアスペースをより多くのフリーズドライヤで占めることができ、或いはクリーンルームの大きさを小さくすることができるようになる。
【0008】
一実施形態において、分離スペースは、押出し方向に対して横方向に延びている。
【0009】
一実施形態において、分離スペースは、押出し方向において、容器の内の1つの当該方向における最大外幅と略等しいか、または当該最大外幅よりも大きい幅を有している。
【0010】
一実施形態において、容器パックの容器は、押出し方向に対して横方向に延びる複数の列に配列されており、連続した列同士が、押出し方向に対して横方向に容器の幅の半分だけ互いにずらして配置されている。連続した列同士を互いにずらして配置することによって、密集した容器の配列が可能となる。
【0011】
一実施形態において、容器は、寸法および形状に関して互いに同一である。
【0012】
一実施形態において、当該方法は、第1の容器パックを第1の平坦支持面上へと押し出すことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第2の位置に設置された積込みステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと積み込むこととを含んでいる。このようにして、それぞれの容器パックが、積込みステーションで受け取られ、棚の上に積み込まれる。
【0013】
一実施形態において、当該方法は、1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、容器の医薬品内容物を長期間保存するためにフリーズドライヤの内部でフリーズドライ処理を行うことを含んでいる。
【0014】
一実施形態において、容器移動装置は、容器パックの側面との係合のために押出し方向へ移動可能な容器押出しショベルを備えている。容器押出しショベルは、容器パックへ側面にて係合して、1回の単一ショベル行程でその容器パックを1つのまとまりとして外へ移動させることができる。
【0015】
一実施形態において、当該方法は、1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、搬送車によって1つまたは複数の棚から容器パックを取り出すことを含んでいる。その取出しは、フリーズドライヤ内部でフリーズドライ処理が行われた後ですることができる。
【0016】
その一実施形態において、当該方法は、各棚毎に、棚と担持体とを互いに整列させることと、容器移動装置によって、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと、第2の平坦支持面と平行な引込み方向に第2の容器パックを引き込むことと、容器移動装置を、押入れ方向とは反対の延長方向へ延ばすことと、その後で、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと第1の容器パックを引き込むこととを含んでいる。
【0017】
その別の実施形態において、容器移動装置は、引込み方向に移動可能、かつ上方通過位置と下方ショベル位置との間で引込み方向を横切る方向に可動となった容器引込みショベルを備え、その上方通過位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの上を延長方向へ自由に通過し、その下方ショベル位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの側面と引込み方向に係合するようになっており、当該方法は、容器引込みショベルを、その上方通過位置において、第1または第2の容器パックに向かって、また当該容器パックを通り過ぎて延長方向に移動させることと、第1または第2の容器パックの側面との係合のために、容器引込みショベルをショベル位置に動かして、この容器引込みショベルを引込み方向に移動させることと、第1の平坦支持面に沿って容器パックを引き込むこととを含んでいる。
【0018】
その別の実施形態において、容器移動装置は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出するための検出器を備え、当該方法は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを上方通過位置からショベル位置に向かって動かすことを含み、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルが停止または逆進させられる。容器引込みショベルが未だその下方ショベル位置にはない間に容器の掻集めや引込みを継続することは、多くの倒れたり損傷したりした容器を伴う、制御されていない容器パックの移動動作へと繋がるであろうが、これによってそのことが防止される。
【0019】
その一実施形態において、当該方法は、容器引込みショベルがその下方ショベル位置へ到達してしまう前に容器引込みショベルと容器との係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを再びショベル位置に向かって動かすこととを含んでいる。このようにして、容器引込みショベルは、容器パックの側面の倒れたり意図せずに動いたりした容器のすぐ傍らの位置において、長く延びた分離スペースの中へと掻くようにして入ることを試みることができる。これにより、下方ショベル位置へ到達することができると共に、動いてしまった側面の容器を、移動動作の間に、容器パックの側面における当該容器の計画された位置へと戻すことができる。
【0020】
その一実施形態において、当該方法は、前記の、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、前記の、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、前記の、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルをショベル位置に向かって動かすこととを、容器引込みショベルがショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた最大試行回数が経過してしまうまで繰り返すことを含んでいる。予め決められた最大試行回数が経過してしまった例外的な場合には、オペレータが、状況を評価して、必要な対策を講じたり手動で修正したりすることができる。
【0021】
既に述べたように、当該方法は、第2の容器パックのために、容器引込みショベルを、長く延びた分離スペース内への挿入によってショベル位置へ動かすことを含むことができる。
【0022】
一実施形態において、当該方法は、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと引き込むことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第3の位置に設置された荷下ろしステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面から荷下ろしすることとを含んでいる。
【0023】
もう一つの態様によれば、本発明は、フリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との集合体であって、フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器、例えばバイアルを支持するための水平に延びる第1の平坦支持面と、出入口の前にある側縁部とが設けられており、移動搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、担持体は、板形状の当接延長部と、この当接延長部の下にある前方取付部分と、この前方取付部分に連結されたグリップ延長部とを備え、当接延長部上に第2の平坦支持面の一部またはその延長部が延びていて、グリップ延長部は少なくとも部分的に当接延長部の方へ向けられており、搬送車は、複数の棚の内、当接延長部が第1の平坦支持面の上を延びると共にグリップ延長部が少なくとも部分的に側縁部の下を延びるような垂直方向の高さにある1つの棚と、担持体を整列させるように構成されると共に、当接延長部とグリップ延長部との間で側縁部を拘束するために、当該1つの棚に向かって担持体を移動させるように構成されている、集合体を提供する。
【0024】
側縁部は、板形状の当接延長部と、この当接延長部と少なくとも部分的に向かい合ったグリップ延長部との間で拘束される。即ち、第2の平坦支持面の一部またはその延長部は、棚の第1の平坦支持面上に降着するが、そのためにグリップ延長部によって押し下げられるのである。このようにして、当接延長部をある程度、第1の平坦支持面の上まで持って行って、第1の平坦支持面と第2の平坦支持面との間での容器の円滑な移送を可能とするには充分である。これにより特に、搬送車を有軌道式無人搬送車に代えて無軌道式無人搬送車(AGV)として具体化することが可能となる。
【0025】
その一実施形態において、グリップ延長部は、側縁部との係合のための自由に延びる係合端部が設けられたグリッパを備え、その係合端部は、垂直面内で当接延長部に対して可動となっている。そしてグリッパは、当接延長部の水平方向の合体する動きを、垂直方向下向きの降着する動きへと変換することができる。
【0026】
一実施形態において、グリッパは、取付部分に対して枢動可能に連結されている。
【0027】
その一実施形態において、側縁部の適切な係合を保証するために、係合端部には、側縁部の少なくとも一部の拘束のための凹所が設けられている。
【0028】
一実施形態において、グリップ延長部は弾性材料、好ましくはゴム系材料で作られており、これにより、当接延長部が第1の面に当接してしまったときに、当接延長部の水平方向の合体する動きを継続させることを可能としている。これは、当接延長部を押し付けて、第1の面としっかり接触した状態へとばね荷重が掛けられるようにするためである。
【0029】
一実施形態において、搬送車には、当接延長部に沿って分散配置された複数のグリップ延長部が設けられており、その結果、当接延長部の全長に渡ってしっかりした拘束状態を得ることができる。
【0030】
一実施形態において、搬送車には、担持体を支持すると共に、この担持体を貯蔵ハウジングの出入口を通じて移動車台に対して水平方向へ直線的に並進させるための並進機構が設けられており、担持体は、並進機構に対する当該担持体の水平面内での旋回動が可能となるよう並進機構上でスライド自在に支持されている。その旋回動によって、担持体が棚に合体すると同時に水平面内でこの棚と整列する(一直線に並ぶ)ことが可能となる。
【0031】
その一実施形態において、搬送車には、互いに間隔の離れた2つのスプリングが設けられ、これらのスプリングは、当接延長部の側で担持体を並進機構に連結しており、それらのスプリングはそれぞれ、並進機構の並進方向における担持体の前方部分の当該並進機構に対する並進を可能としている。それらのスプリングは、棚と担持体との間のばね荷重ないしは偏倚荷重を保って、合体の係合状態を維持する。
【0032】
その一実施形態において、搬送車は、スプリングの動きを減衰させるためのダンパを備えている。その減衰作用によって、合体中における容器の傾きを防止することができる。
【0033】
単純な実施形態において、スプリングは、減衰式ガススプリングである。
【0034】
本明細書において記述されたり示されたりした様々な態様や特徴は、できる限り個別的に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載された態様や特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0035】
以下の添付図面に示す例示的な実施形態に基づいて本発明を説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】複数の棚を有するフリーズドライヤと、それらの棚の内の1つに対して合体される移動搬送車との等角投影図。
【図2】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図3】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図4】図1に示す移動搬送車の異なる等角投影図であって、本発明にとって重要な部分、および移動搬送車が合体されるフリーズドライヤの棚だけを示すために、上方部分が取り除かれてしまっている図。
【図5】図2および図3に表示したような移動搬送車の前方部分の詳細を示す等角投影図。
【図6A】図5に示すような前方部分の断面図。
【図6B】図5に示すような前方部分の、次の状態での断面図。
【図6C】図5に示すような前方部分の、次の状態での断面図。
【図7】図3および図4に表示したような移動搬送車の合体部分の詳細を示す等角投影図。
【図8A】図7に従った合体部分の断面図。
【図8B】図7に従った合体部分の、次の合体段階での断面図。
【図8C】別の合体部分。
【図8D】別の合体部分。
【図8E】別の合体部分。
【図9】前記図面に従った、複数のフリーズドライヤと移動搬送車とを備えるフロア配置図。
【図10A】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤへの積込みの概略平面図。
【図10B】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤへの積込みの概略平面図。
【図11A】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤからの取出しの概略平面図。
【図11B】前記図面に従った、移動搬送車によるフリーズドライヤからの取出しの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、医薬品材料をフリーズドライするためのフリーズドライヤ1を有したクリーンルームのフロア100を示している。フリーズドライする医薬品材料は、それぞれ同一の容器、この例ではガラス製のバイアルに入っている。そのように医薬品材料をドライフリーズすることは当該技術より既知である。フリーズドライヤ1は、フリーズドライヤ・ハウジング2を備えている。このハウジング2は、上壁3、2つの側壁4、後壁5、前壁6、および内部隔壁13を有している。これらの壁3,4,5,6,13は、内部フリーズドライ室10および内部機器室20を画成している。前壁6には、垂直スライド式ドア12によって開閉することのできる矩形の出入口(アクセス開口)11が設けられている。フリーズドライ室10は、バイアルの収容のために設備されると共に、フリーズドライ処理を実行するように企図されている。またフリーズドライ室10は、水平方向に延びる複数の板形状の棚21,22,23,24を備えている。それらの棚21,22,23,24は、出入口11の前に持ってくるために垂直方向Aに並進させることができる。図示するように、4番目の棚24の側縁部98が、出入口11の前を、障害なく接近できるように延びている。フリーズドライ室10は、医薬品材料をフリーズドライするための非常に高度な滅菌基準を満たしている。
【0038】
図1は更に、フリーズドライヤ1内にバイアルを積み込んだり取り出したりするためにフロア100上を移動可能となった搬送車30を示している。この搬送車は、図2から図4にもっと詳細に示されている。搬送車30は、車輪32を有した車台31を備えている。各車輪32は、電子制御装置により電力供給を受けるサーボモータによって、個別に駆動および操舵される。車台31は、フリーズドライヤ1に対して任意の水平方向X,Yにフロア100上を移動できるようになっている。この車台31の移動は、フロア100内のトランスポンダ(応答機)からの信号、当該車台上のセンサ、および図示しないフロア制御ステーションによって送信される指令に基づいて、制御されたやり方で行われ、搬送車1を無軌道式無人搬送車(AGV)としている。車台31は、貯蔵ハウジング33を支持している。この貯蔵ハウジング33は、上壁34、透明な点検パネル38の設けられた2つの側壁35および後壁36、並びに前壁37を有している。これらの壁34,35,36,37は、内部貯蔵室39を画成している。前壁37には、図示しない垂直スライド式ドアによって開閉することのできる出入口(アクセス開口)40が設けられている。貯蔵室39と、その内部の部品とは、医薬品材料をフリーズドライするための非常に高度な滅菌基準を満たしている。図2から図4は、貯蔵室39内部の重要な部分を示すために貯蔵ハウジング33を取り除いた搬送車30を示している。フリーズドライヤ1は、棚の内の1つ24を除いて、その全体が取り除かれている。これは、バイアルの積込みおよび取出し中における、搬送車30によるこの棚24の係合を開示するためである。
【0039】
搬送車30は、互いに平行に延びる2本のレール51を伴った支持台50を、車台31の頂部上に備えている。それらのレール51の上に、搬送車30は、一対のスライダ53によって支持されて互いに平行に延びる2本の担持バー52を備えている。それらのスライダ53は、図示しない第1のリニアサーボモータによって、レール51に沿って方向Pへ同時にスライドすることができる。担持バー52は、その頂部側の上に、矩形の枠組54を自在にスライドする態様で支持している。枠組54は、前方取付部分を形成する前部バー55を備えている。その前方取付部分は、2つのガススプリング56によって担持バー52に連結されている。それらのガススプリング56は、担持バー52およびレール51の縦方向へ延びている。ガススプリング56は、それらの延長状態に向かって付勢されている。ガススプリング56は、外力によって、自らの付勢力に逆らって方向Q1,Q2へ個別に引っ込むことができる。これは、担持バー52上で枠54を、垂直軸Z周りの揺動回転成分と、当該枠54の並進方向Pに対して平行な水平並進成分Rとを有する移動を伴ってスライドできるようにするためである。枠54の上には、平坦な金属製のバイアル支持板57を備えた担持体が取り付けられている。そのバイアル支持板57は、平坦で水平方向に延びて滑らかなバイアル支持面58を備えている。
【0040】
搬送車30は、以下で説明することとなるようにバイアル支持板57および棚24の上を水平方向Sに移動可能なバイアル移動装置60を備えている。このバイアル移動装置60は、互いに平行に延びる2本の枠材61を備えている。これらの枠材61には、直線に沿った方向Sへの案内された移動のための車輪64が設けられている。連結ロッド62および駆動ハウジング63によって枠材61同士が互いに結合されて、矩形のバイアルパック包囲区域65を画成している。駆動ハウジング63は、真っ直ぐなバイアル押出しショベル70に連結されている。このバイアル押出しショベル70は、バイアルパック包囲区域65に対して、当該区域65の全幅に沿って向かい合っている。その反対側で、バイアル移動装置60は、バイアルパック包囲区域65の全幅に渡って延びるバイアル引込みショベル80を備えている。このバイアル引込みショベル80は、第1のヒンジ81によって、枠材61に対して可動に連結されている。
【0041】
バイアル引込みショベル80は、図5、および図6Aから図6Cにもっと詳細に示されている。駆動ハウジング63の内部には、第2のサーボモータが設けられている。この第2のサーボモータは、方向Mへ揺動可能なレバー66を、駆動ハウジング63の外側に有している。それらのレバー66は駆動ロッド67に連結されているが、これらの駆動ロッド67は、反対側で第2のヒンジ82によってバイアル引込みショベル80に連結されてる。このようにして、バイアル引込みショベル80は、第2のサーボモータによって、第1のヒンジ81の軸線周りを方向Nに揺動させることができる。第2のサーボモータは、方向Nへのショベル80の揺動中の回転抵抗を感知すると共に、そのような抵抗を移動搬送車30の制御装置へ連絡するように構成されている。
【0042】
バイアル引込みショベル80は、2つの側板83と、板形状の湾曲したスクープ(掻集め板)84とを備えている。各側板83上には、第1および第2のヒンジ81,82が設けられている。またスクープ84は、長く延びた上方部分85と、長く延びた中間部分86と、長く延びた下方部分87とを有している。これらの各部分85,86,87は、第1のヒンジ81の軸線に対して互いに略同じ距離を有している。下方部分87には、真っ直ぐなショベル縁部88が設けられている。バイアル引込みショベル80は、図6Aに示すような上方通過位置と、図6Bに示すような中間位置と、図6Cに示すような下方ショベル位置との間で方向Nに可動となっている。その上方通過位置においては、バイアル引込みショベル80が、直立して置かれたバイアル101の上を通過することができる。また下方ショベル位置においては、ショベル縁部88が、バイアル101の下方部分と係合することができる。
【0043】
図3に示すように、バイアル移動装置60は2本の駆動ロッド90を備えている。それらの駆動ロッド90は、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータによって、駆動ハウジング63に対して出入りするように方向Tへ可動となっている。その反対側で、駆動ロッド90は、連結バー92に対して結合されると共に、車輪91によって支持されている。図4に示すように、リニア型の第4のサーボモータが2つ、枠54の下に設けられている。各第4のサーボモータは、バイアル支持板57の上へ延びる外側ブラケット93を有している。これらの外側ブラケット93は、枠54に沿って方向Uに可動となっている。各ブラケット93は、弾性ストリップ94によって駆動ロッド90に連結されている。第3および第4のサーボモータの作動によって、枠材61と、連結バー62と、バイアル引込みショベル80と、バイアル押出しショベル70を伴う駆動ハウジング63とを備えたユニットが、バイアル支持板57と、当該バイアル支持板57に対して整列させられた(同列に揃えられた)棚21から24との上で、それらの支持板57と棚21から24との間を方向Sに移動することができる。
【0044】
図7および図8Bは、第4の棚24の自由に接近可能な側縁部98における、移動搬送車30による棚24の係合を、もっと詳細に開示している。図8Aは、前記係合の直前における係合部分を開示している。図示するように、枠54の前部バー55には、バイアル支持板57を支持する複数のブラケット41が設けられている。これらのブラケット41は、前部バー55に沿って分散配置されている。バイアル支持板57は、その一部が前部バー55およびブラケット41の上を延びて、テーパ付の端縁部59を有した板形状の当接延長部99を形成している。各ブラケット41には、前部バー55から離れる方を向いた側に、それぞれ膝関節状延長部42が設けられている。各膝関節状延長部42は、グリップ延長部によって係合されている。そのグリップ延長部は、可撓性材料、例えばゴムで作られたグリッパ(把持体)43を備えている。それによりグリッパ43は、垂直面内で方向Sに揺動可能となっている。適用された材料と嵌め合いとのおかげで、各グリッパ43は、予め決められた閾値を超える外力やトルクが加えられるまでは、ブラケット41に対する方向Lでの自らの向き維持する。
【0045】
各グリッパ43は、拘束開口46を画成する上方指状体44および下方指状体45を備えている。これらの指状体44,45および拘束開口45は、テーパ付端縁部59に向かって上方へ向けられている。テーパ付端縁部59と指状体44,45との間の距離は、棚24の下方の角縁部26を拘束開口46へ進入させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下へ持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0046】
図8Cから図8Eは、係合部分の別の実施形態を示している。図8Cによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端縁部59と略平行に間隔を置かれたグリップ延長部43aを有するブラケット41aによって支持されている。そのグリップ延長部43aには、可撓性材料、例えばゴムで作られたクッション44aが設けられている。このクッション44aは、テーパ付端縁部59の下に定置されている。テーパ付端縁部59とクッション44aとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26をクッション44aの上部に当てながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0047】
図8Dによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端縁部59と間隔を置かれる湾曲した弾性グリップ延長部43bを有するブラケット41bによって支持されている。テーパ付端縁部59と弾性グリップ延長部43cとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26を弾性グリップ延長部43bの湾曲部分44bと弾性的に係合させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0048】
図8Eによれば、バイアル支持板57は、テーパ付端部分44cを有した剛性グリップ延長部43cを有するブラケット41cによって支持されている。テーパ付端縁部59と剛性グリップ延長部43cとの間の距離は、棚24の下方の角縁部26をテーパ付端部分44cによって締め付けるように係合させながら、この棚24をテーパ付端縁部59の下に持ってきて当該端縁部59に当接させることができるようになっている。
【0049】
図9は、本発明を適用するための典型的なフロア配置図を示している。クリーンルームのフロア100上において、フリーズドライヤ1は、他の3つの同じフリーズドライヤ401,501,601と共に系列の一部を形成している。一方の側には、バイアル積込み・取出しステーション700が設けられている。この積込み・取出しステーション700は例えば、バイアル101を走査したり印付けしたりするためのバイアル単列化装置を備えている。図10Aおよび図10B、並びに図11Aおよび図11Bは、バイアル101の取扱いを、それぞれフリーズドライヤ2への積込み、並びに取出しに関して示している。フリーズドライヤ1および移動搬送車30においては、複数のバイアル101がバイアルパック102,103へと纏められている。各バイアルパック102,103は、バイアル101の真っ直ぐな列を複数備えている。それらのバイアル101の列は、バイアルの幅の半分だけ相互にずらして配列されて、六角形状に束ねられたバイアルの稠密な集合体を形成している。
【0050】
空のフリーズドライヤ1内へとバイアル101が積み込まれるとき、移動搬送車30はまず最初に、積込みステーション700へと移動して第1のバイアルパック102を積み込む。積み込まれたとき、第1のバイアルパック102は、バイアル支持板57の中央に定置され、枠材61、バイアル押出しショベル70、および下方ショベル位置にあるバイアル引込みショベル80によって取り囲まれて拘束されている。バイアル支持板57およびバイアル移動装置60は、それらの全体が、出入口40の閉じられた貯蔵ハウジング33の内部に定置されている。
【0051】
積込み後、移動搬送車30は、図9に示すように経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ向かって移動する。そこでは、図1から図4に示すように、移動搬送車30の出入口40がフリーズドライヤ1の出入口11の前に定置される。到着の直前、フリーズドライヤ1のスライド式ドア12が開かれ、積み込まれるべき空の棚24が、出入口11を通じて接近可能となるよう、その垂直方向Aに移動する。フリーズドライヤ1の前で終わる経路Rに従った移動は、車台31によって実行され、これが最初の大まかな位置決めを成す。次にバイアル支持板57が、空の棚24の前に、この棚24から数センチメートルの間隔を置いたところまで延びる。これは、図8Aに示すように、バイアル支持板57のテーパ付端部59の下側が、垂直方向で空の棚24の数ミリメートル上方にあり、各グリッパ43が、空の棚24の下方縁部26を受けるよう上向きに位置決めされた状態にてなされる。
【0052】
その後、担持バー52をレール51に沿ってスライドさせて枠54を空の棚24へ向かって移動させることによって、バイアル支持板58が、合体させるべき空の棚24へ向かって持ってこられる。付勢された2つのガススプリング56の初めに保たれた延長状態のおかげで、バイアル支持板57と枠54とは、グリッパ43の内の少なくとも1つが空の棚24の下方縁部26と係合するまで、同時に移動する。この最初の係合の後で、最初に係合したグリッパ43に近い方のガススプリング56が、その付勢力に逆らって方向Q1/Q2に押されて枠54の継続的な移動を吸収しながら、枠54が方向Pへの自らの移動を続行する。この枠54の移動は、全てのグリッパ43にそれらの開口46内へ下方縁部26を拘束させるために続行されるのである。このようにして、バイアル支持板57は、全てのグリッパ43がそれらの初期の係合をなして、テーパ付端部59が空の棚24の真上になってしまうまで、枠54の上でスライド式に支持されながら垂直軸線Z周りに旋回することができる。弾性グリッパ43を、テーパ付端部59へ向かって方向Lに上方へ僅かに回転するように推し進めるために、枠54が方向Rへ進み続ける。このようにして、バイアル支持板57は、車台によってもたらされる幾らかの弾性の下で、僅かに押し下げられる。これは、テーパ付端部59をその全幅に渡って、平坦な支持面25にしっかりと押し付けて載せるためである。
【0053】
その後、いずれも図3に示すように、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて各ブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータが電力供給を受けて各駆動ロッド90をそれらの延長位置へ方向Tに移動させる。これにより、図10Aに示すように、第1のバイアルパック102が、バイアル支持板57から空の棚24の後半部分の上へと方向Gに、枠材61とバイアル引込みショベル80との間で拘束されたまま、バイアル押出しショベル70によって移動される。その後、図6Aに示すように、バイアル引込みショベル80がその上方通過位置へと方向Nに動かされ、バイアル支持板57およびバイアル移動装置60が、貯蔵室39内部へ完全に引き込まれた位置へと戻される。出入口40を閉じた後、図9に示すように移動搬送車30が経路Tに従って積込みステーション700へ向かって移動し、第2のバイアルパック103を受け取る。
【0054】
その後、移動搬送車30が再び経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ移動し、既に述べたようにして合体を行う。合体後に、第4のサーボモータ95だけが電力供給を受けて、各ブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させる。これにより、図10Bに示すように、第2のバイアルパック103が、バイアル支持板57から、部分的に積み込まれた棚24の前半部分の上へと方向Hに、枠材61とバイアル引込みショベル80との間で拘束されたまま、バイアル押出しショベル70によって移動される。第1のバイアルパック102と第2のバイアルパック103との間には、長く延びたスペース104が開放されたままにされている。そのスペース104は、この例ではバイアル101の内の1つの直径と略等しい幅を有している。その後、バイアル引込みショベル80が、長く延びたスペース104の外へ引き上げられるために、図6Aに示すようにその上方通過位置へと方向Nに動かされ、バイアル支持板57およびバイアル移動装置60が、貯蔵室39内部に引き込まれた位置へと戻される。フリーズドライヤ1および他のフリーズドライヤ401,501,601に対して完全に積込みを行うために、全ての棚21から24について上述した各段階を繰り返すことができる。
【0055】
この例では、長く延びたスペース104が、バイアル101の内の1つの直径と略等しい幅を有している。或いは、長く延びたスペース104の幅は、バイアル101の内の1つの直径よりも小さかったり大きかったりする。その幅は、バイアル引込みショベル80の動きにとって、当該長く延びたスペース104に出たり入ったりして方向Nへ自由に動くのに充分である、というのが本質的なことである。
【0056】
フリーズドライ室10の内部でフリーズドライ処理を行った後、フリーズドライヤ1からの取出しが行われる。それに対して、スライド式ドア12が開かれ、棚の内の1つ24が出入口11の前に移動され、前述したように移動搬送車30が経路Rに従ってフリーズドライヤ1へ向かって移動して、積み込まれている棚24に対して合体する。その後、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル70がその上方通過位置へと方向Nに動き、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて、図3に示すようにブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル70が第2のバイアルパック103の上を通過すると同時に、バイアル押出しショベル70が第2のバイアルパック103に当接されられるか、或いは当該バイアルパック103の前のバイアル直径よりも小さい短距離のところに持ってこられる。その後、バイアル引込みショベル80が、分離スペース104へ進入しながら、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされる。それから、第4のサーボモータ95が電力供給を受けて、ブラケット93を引込み位置へと方向Uに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル80が、図11Aに示すように第2のバイアルパック103を棚24からバイアル支持板57上へと方向Jに移動させる。
【0057】
その後、第2のバイアルパック103が取出しステーション700にて取り出され、それから、部分的に取り出された棚24に対してバイアル支持板57が再び合体する。その後、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル80がその上方通過位置へと方向Nに動き、いずれも図3に示すように、第4のサーボモータ95が電力供給を受けてブラケット93を延長位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータが電力供給を受けて駆動ロッド90をそれらの延長位置へ方向Tに移動させる。このようにして、バイアル引込みショベル80が第1のバイアルパック102の上を通過すると同時に、バイアル押出しショベル70が第1のバイアルパック102に当接されられるか、或いは当該バイアルパック102の前のバイアル直径よりも小さい短距離のところに持ってこられる。その後、バイアル引込みショベル80が、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされる。それから、第4のサーボモータ95と駆動ハウジング63内部の第3のサーボモータとが電力供給を受けて、ブラケット93を引込み位置へと方向Uに移動させると共に、駆動ロッド90を駆動ハウジング63内へと引き込む。このようにして、バイアル引込みショベル80が、図11Bに示すように第1のバイアルパック102を棚24からバイアル支持板57上へと方向Kに移動させる。
【0058】
既述のように、バイアル引込みショベル80は、図6Cに示すようにその下方ショベル位置へと方向Nに動かされると同時に、分離スペース104へ進入する。下方への移動中に、バイアル引込みショベル80用のサーボモータが、バイアル押出しショベル80に対する予期せぬ反力を監視する。そのような反力は、バイアルパック102,103の縁部において意図せずに動いたり倒れたりしたバイアル101aによって生じ得る。サーボモータがそのような抵抗を感知したときには、図6Bに示すように動いたり倒れたりしたバイアル101aがショベル縁部88にぶつかったとの結論が下される。その場合、図6Aに示すようにバイアル引込みショベル80がその上方通過位置へ戻され、第3のサーボモータが電力供給を受けてバイアル引込みショベル80を枠54から更に数ミリメートル遠ざかった所まで持って行き、バイアル引込みショベル80が再び下げられる。この手順は、図6Cに一致した下方ショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた試行回数もしくは時間が経過してしまうまで繰り返される。このようにして、完全なバイアルパック102,103を棚21から24より取り去ることができる。
【0059】
複数のバイアルパック102,103を棚21から24毎に別々に順次取り扱うことによって、倒れたバイアル101aのせいでバイアルパック102,103が不良品として撥ねられるリスクが、もっと大きく棚を覆う単一のバイアルパックを移動させるときよりも小さくなる。
【0060】
以上の説明は、好適な実施形態の動作を例示するために含められたものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない、ということを理解されたい。以上の議論から、依然として本発明の趣旨および範囲によって包含されるであろう多くの変形が、当業者に明らかになることとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に設置されたフリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との間での容器、例えばバイアルの移送のための方法であって、
フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器を支持するための水平に延びる第1の平坦支持面がそれぞれ設けられており、
移動可能な搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、
当該方法は、第1の棚について、担持体と棚とを整列させることと、容器移動装置によって、互いに当接し合う複数の容器の第1の容器パックを、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すことと、容器移動装置を逆進させることと、その後で、互いに当接し合う複数の容器の第2の容器パックを、第1の棚上で第1の容器パックと第2の容器パックとの間に長く延びた分離スペースを空けたままにしながら、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すこととを含んでいる、方法。
【請求項2】
分離スペースは、押出し方向に対して横方向に延びている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
分離スペースは、押出し方向において、容器の内の1つの当該方向における最大外幅と略等しいか、または当該最大外幅よりも大きい幅を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
容器パックの容器は、押出し方向に対して横方向に延びる複数の列に配列されており、連続した列同士が、押出し方向に対して横方向に容器の幅の半分だけ互いにずらして配置されている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
容器は、寸法および形状に関して互いに同一である、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の容器パックを第1の平坦支持面上へと押し出すことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第2の位置に設置された積込みステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと積み込むこととを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、フリーズドライヤの内部でフリーズドライ処理を行うことを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
容器移動装置は、容器パックの側面との係合のために押出し方向へ移動可能な容器押出しショベルを備えている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、搬送車によって1つまたは複数の棚から容器パックを取り出すことを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各棚毎に、棚と担持体とを互いに整列させることと、容器移動装置によって、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと、第2の平坦支持面と平行な引込み方向に第2の容器パックを引き込むことと、容器移動装置を、押入れ方向とは反対の延長方向へ延ばすことと、その後で、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと第1の容器パックを引き込むこととを含んだ、請求項9記載の方法。
【請求項11】
容器移動装置は、引込み方向に移動可能、かつ上方通過位置と下方ショベル位置との間で引込み方向を横切る方向に可動となった容器引込みショベルを備え、その上方通過位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの上を延長方向へ自由に通過し、その下方ショベル位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの側面と引込み方向に係合するようになっており、
当該方法は、容器引込みショベルを、その上方通過位置において、第1または第2の容器パックに向かって、また当該容器パックを通り過ぎて延長方向に移動させることと、第1または第2の容器パックの側面との係合のために、容器引込みショベルをショベル位置に動かして、この容器引込みショベルを引込み方向に移動させることと、第1の平坦支持面に沿って容器パックを引き込むこととを含んでいる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
容器移動装置は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出するための検出器を備え、
当該方法は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを上方通過位置からショベル位置に向かって動かすことを含み、
容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルが停止または逆進させられる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
容器引込みショベルがその下方ショベル位置へ到達してしまう前に容器引込みショベルと容器との係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを再びショベル位置に向かって動かすこととを含んだ、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記の、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、前記の、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、前記の、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルをショベル位置に向かって動かすこととを、容器引込みショベルがショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた最大試行回数が経過してしまうまで繰り返すことを含んだ、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第2の容器パックのために、容器引込みショベルを、長く延びた分離スペース内への挿入によってショベル位置へ動かすことを含んだ、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと引き込むことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第3の位置に設置された荷下ろしステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面から荷下ろしすることとを含んだ、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
フリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との集合体であって、
フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器、例えばバイアルを支持するための水平に延びる第1の平坦支持面と、出入口の前にある側縁部とが設けられており、
移動可能な搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、
担持体は、板形状の当接延長部と、この当接延長部の下にある前方取付部分と、この前方取付部分に連結されたグリップ延長部とを備え、当接延長部上に第2の平坦支持面の一部またはその延長部が延びていて、グリップ延長部は少なくとも部分的に当接延長部の方へ向けられており、
搬送車は、複数の棚の内、当接延長部が第1の平坦支持面の上を延びると共にグリップ延長部が少なくとも部分的に側縁部の下を延びるような垂直方向の高さにある1つの棚と、担持体を整列させるように構成されると共に、当接延長部とグリップ延長部との間で側縁部を拘束するために、当該1つの棚に向かって担持体を移動させるように構成されている、集合体。
【請求項18】
グリップ延長部は、側縁部との係合のための自由に延びる係合端部が設けられたグリッパを備え、その係合端部は、垂直面内で当接延長部に対して可動となっている、請求項17記載の集合体。
【請求項19】
グリッパは、取付部分に対して枢動可能に連結されている、請求項18記載の集合体。
【請求項20】
係合端部には、側縁部の少なくとも一部の拘束のための凹所が設けられている、請求項18または19記載の集合体。
【請求項21】
グリップ延長部は弾性材料、好ましくはゴム系材料で作られている、請求項17から20のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項22】
搬送車には、当接延長部に沿って分散配置された複数のグリップ延長部が設けられている、請求項17から21のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項23】
搬送車には、担持体を支持すると共に、この担持体を貯蔵ハウジングの出入口を通じて移動車台に対して水平方向へ直線的に並進させるための並進機構が設けられており、
担持体は、並進機構に対する当該担持体の水平面内での旋回動が可能となるよう並進機構上でスライド自在に支持されている、請求項17から21のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項24】
搬送車には、互いに間隔の離れた2つのスプリングが設けられ、これらのスプリングは、当接延長部の側で担持体を並進機構に連結しており、
それらのスプリングはそれぞれ、並進機構の並進方向における担持体の前方部分の当該並進機構に対する並進を可能としている、請求項23記載の集合体。
【請求項25】
搬送車は、スプリングの動きを減衰させるためのダンパを備えている、請求項24記載の集合体。
【請求項26】
スプリングは、減衰式ガススプリングである、請求項24または25記載の集合体。
【請求項1】
第1の位置に設置されたフリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との間での容器、例えばバイアルの移送のための方法であって、
フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器を支持するための水平に延びる第1の平坦支持面がそれぞれ設けられており、
移動可能な搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、
当該方法は、第1の棚について、担持体と棚とを整列させることと、容器移動装置によって、互いに当接し合う複数の容器の第1の容器パックを、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すことと、容器移動装置を逆進させることと、その後で、互いに当接し合う複数の容器の第2の容器パックを、第1の棚上で第1の容器パックと第2の容器パックとの間に長く延びた分離スペースを空けたままにしながら、第2の平坦支持面から第1の棚の第1の平坦支持面上へと押し出すこととを含んでいる、方法。
【請求項2】
分離スペースは、押出し方向に対して横方向に延びている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
分離スペースは、押出し方向において、容器の内の1つの当該方向における最大外幅と略等しいか、または当該最大外幅よりも大きい幅を有している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
容器パックの容器は、押出し方向に対して横方向に延びる複数の列に配列されており、連続した列同士が、押出し方向に対して横方向に容器の幅の半分だけ互いにずらして配置されている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
容器は、寸法および形状に関して互いに同一である、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1の容器パックを第1の平坦支持面上へと押し出すことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第2の位置に設置された積込みステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと積み込むこととを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、フリーズドライヤの内部でフリーズドライ処理を行うことを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
容器移動装置は、容器パックの側面との係合のために押出し方向へ移動可能な容器押出しショベルを備えている、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
1つの棚または複数の棚の上へと第1および第2の容器パックを積み込んだ後に、搬送車によって1つまたは複数の棚から容器パックを取り出すことを含んだ、前記請求項のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各棚毎に、棚と担持体とを互いに整列させることと、容器移動装置によって、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと、第2の平坦支持面と平行な引込み方向に第2の容器パックを引き込むことと、容器移動装置を、押入れ方向とは反対の延長方向へ延ばすことと、その後で、第1の平坦支持面から第2の平坦支持面上へと第1の容器パックを引き込むこととを含んだ、請求項9記載の方法。
【請求項11】
容器移動装置は、引込み方向に移動可能、かつ上方通過位置と下方ショベル位置との間で引込み方向を横切る方向に可動となった容器引込みショベルを備え、その上方通過位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの上を延長方向へ自由に通過し、その下方ショベル位置においては、容器引込みショベルが第1または第2の容器パックの側面と引込み方向に係合するようになっており、
当該方法は、容器引込みショベルを、その上方通過位置において、第1または第2の容器パックに向かって、また当該容器パックを通り過ぎて延長方向に移動させることと、第1または第2の容器パックの側面との係合のために、容器引込みショベルをショベル位置に動かして、この容器引込みショベルを引込み方向に移動させることと、第1の平坦支持面に沿って容器パックを引き込むこととを含んでいる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
容器移動装置は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出するための検出器を備え、
当該方法は、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを上方通過位置からショベル位置に向かって動かすことを含み、
容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルが停止または逆進させられる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
容器引込みショベルがその下方ショベル位置へ到達してしまう前に容器引込みショベルと容器との係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルを再びショベル位置に向かって動かすこととを含んだ、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記の、容器引込みショベルがそのショベル位置へ到達してしまう前に容器に対する容器引込みショベルの係合が検出されたときには、容器引込みショベルの動きを逆向きにすることと、前記の、容器の最大外幅よりも小さい距離に渡って容器引込みショベルを延長方向へ移動させることと、前記の、容器に対する容器引込みショベルの係合を検出しつつ、容器引込みショベルをショベル位置に向かって動かすこととを、容器引込みショベルがショベル位置へ到達してしまうまで、または予め決められた最大試行回数が経過してしまうまで繰り返すことを含んだ、請求項13記載の方法。
【請求項15】
第2の容器パックのために、容器引込みショベルを、長く延びた分離スペース内への挿入によってショベル位置へ動かすことを含んだ、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
第2の容器パックを第2の平坦支持面上へと引き込むことの後に、第1の位置から距離を置かれるかまたは遠く離れた第3の位置に設置された荷下ろしステーションへ搬送車を移動させることと、第2の容器パックを第2の平坦支持面から荷下ろしすることとを含んだ、請求項9から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
フリーズドライヤと、このフリーズドライヤに対して移動可能な独立した搬送車との集合体であって、
フリーズドライヤは、フリーズドライヤ・ハウジングと、複数の棚とを備え、そのフリーズドライヤ・ハウジングには、当該フリーズドライヤ・ハウジング内側の内部フリーズドライ室に面した出入口が付いており、複数の棚は、フリーズドライヤ室の内部で互いに上方へ間隔を置いて配置されると共に、容器、例えばバイアルを支持するための水平に延びる第1の平坦支持面と、出入口の前にある側縁部とが設けられており、
移動可能な搬送車は、移動車台と、担持体と、容器移動装置とを備え、その移動車台は、内部貯蔵室に面する出入口の付いた貯蔵ハウジングを支持しており、担持体には、貯蔵ハウジング内部で容器を支持するための第2の平坦支持面が設けられ、容器移動装置は、第2の平坦支持面と平行な押出し方向へ第2の平坦支持面から遠ざかるように容器を押し出すためのものであり、
担持体は、板形状の当接延長部と、この当接延長部の下にある前方取付部分と、この前方取付部分に連結されたグリップ延長部とを備え、当接延長部上に第2の平坦支持面の一部またはその延長部が延びていて、グリップ延長部は少なくとも部分的に当接延長部の方へ向けられており、
搬送車は、複数の棚の内、当接延長部が第1の平坦支持面の上を延びると共にグリップ延長部が少なくとも部分的に側縁部の下を延びるような垂直方向の高さにある1つの棚と、担持体を整列させるように構成されると共に、当接延長部とグリップ延長部との間で側縁部を拘束するために、当該1つの棚に向かって担持体を移動させるように構成されている、集合体。
【請求項18】
グリップ延長部は、側縁部との係合のための自由に延びる係合端部が設けられたグリッパを備え、その係合端部は、垂直面内で当接延長部に対して可動となっている、請求項17記載の集合体。
【請求項19】
グリッパは、取付部分に対して枢動可能に連結されている、請求項18記載の集合体。
【請求項20】
係合端部には、側縁部の少なくとも一部の拘束のための凹所が設けられている、請求項18または19記載の集合体。
【請求項21】
グリップ延長部は弾性材料、好ましくはゴム系材料で作られている、請求項17から20のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項22】
搬送車には、当接延長部に沿って分散配置された複数のグリップ延長部が設けられている、請求項17から21のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項23】
搬送車には、担持体を支持すると共に、この担持体を貯蔵ハウジングの出入口を通じて移動車台に対して水平方向へ直線的に並進させるための並進機構が設けられており、
担持体は、並進機構に対する当該担持体の水平面内での旋回動が可能となるよう並進機構上でスライド自在に支持されている、請求項17から21のいずれか一項に記載の集合体。
【請求項24】
搬送車には、互いに間隔の離れた2つのスプリングが設けられ、これらのスプリングは、当接延長部の側で担持体を並進機構に連結しており、
それらのスプリングはそれぞれ、並進機構の並進方向における担持体の前方部分の当該並進機構に対する並進を可能としている、請求項23記載の集合体。
【請求項25】
搬送車は、スプリングの動きを減衰させるためのダンパを備えている、請求項24記載の集合体。
【請求項26】
スプリングは、減衰式ガススプリングである、請求項24または25記載の集合体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2013−500916(P2013−500916A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523274(P2012−523274)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060557
【国際公開番号】WO2011/015453
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512031301)アイエムエー、インドゥストリア、マッキーネ、アウトマティケ、ソチエタ、ペル、アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】I.M.A. INDUSTRIA MACCHINE AUTOMATICHE S.P.A
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060557
【国際公開番号】WO2011/015453
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(512031301)アイエムエー、インドゥストリア、マッキーネ、アウトマティケ、ソチエタ、ペル、アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】I.M.A. INDUSTRIA MACCHINE AUTOMATICHE S.P.A
【Fターム(参考)】
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