説明

フリーバケット式選別装置

【課題】従来のバケット式選別装置よりレイアウトの自由度が増すとともに、高能力・高精度の選別処理が可能になるフリーバケット式選別装置を提供する。
【解決手段】物品供給領域aにおいて、農産物を供給コンベヤ3,3により搬送されるフリーバケットB…に1個ずつ積載する。供給コンベヤ3,3から供給されるフリーバケットB…を合流コンベヤ4で合流させるとともに、整列コンベヤ5を介して仕分けコンベヤ6のバケット載置部に1個ずつ移載する。測定領域bにおいて、農産物の選別要素を重量測定装置9と、内部測定装置10と、外部測定装置11とで測定する。仕分け領域cの仕分け部c1…において、制御装置による判定結果に基づいて、フリーバケットBが載置された仕分けコンベヤ6のバケット載置部を傾斜装置により放出姿勢に傾斜させ、フリーバケットBに載置された農産物を等階級別に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば柑橘類、林檎、梨、桃、トマト、柿等の農産物を選別する作業に用いられるフリーバケット式選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の農産物を選別する装置としては、例えば回転駆動されるチェーンなどからなる無端搬送体に農産物を載置可能なバケットが所定間隔で複数取り付けられたバケットコンベヤを設け、人手によりバケットに載置された農産物を搬送し、搬送路上に設けられた重量センサなどの測定手段により選別要素を測定した後、農産物が対応する排出位置でバケットを傾斜して農産物を排出して品質ごとに農産物を仕分ける特許文献1のバケット式の選別装置がある。
【0003】
特許文献1のバケット式選別装置は、1条のバケットコンベヤが直線状に設置されるため、レイアウト上制限を受けるという問題があった。また、人手によりバケットに対して農産物を供給する供給速度には限界があり、コンベヤの搬送速度を高速にすることができず、高能力化は困難であった。処理能力を高めるためにバケットコンベヤを複数条にすると、条数に応じた測定手段が必要になり、設備効率が悪くなる。さらに、各バケットはチェーンに連結されており、農産物が載置されたバケットをチェーンで連結した状態のまま重量センサにより測定するため、正確に農産物の重量を測定することができないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−240229号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、従来のバケット式選別装置よりレイアウトの自由度が増すとともに、高能力・高精度の選別処理が可能になるフリーバケット式選別装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、物品を載置可能なフリーバケットと、フリーバケットを搬送する複数の搬送コンベヤが連結されて構成される搬送手段とを備え、搬送手段の搬送経路上に、搬送されるフリーバケットに物品が供給される物品供給領域、測定手段によって物品の選別要素を測定する測定領域、上記測定手段による測定結果に基づいて仕分け区分別に設けられた複数の仕分け部に物品を振り分ける仕分け領域が設けられるフリーバケット式選別装置において、上記仕分け領域において物品が載置されたフリーバケットを搬送しながら傾斜して、該フリーバケットに載置される物品を仕分け部に排出することを特徴とする。
【0007】
この発明によると、フリーバケットを、複数の搬送コンベヤからなる搬送手段により搬送するとともに、搬送経路上の物品供給領域において搬送されるフリーバケットに対して物品をそれぞれ供給する。フリーバケットに載置された物品の選別要素を測定領域の測定手段により測定する。測定手段の測定結果に基づいて、物品が載置されたフリーバケットを搬送しながら傾斜させ、フリーバケットに載置された物品を仕分け領域に設けた複数の仕分け部に対して振り分ける。
【0008】
上述の物品は、例えば柑橘類、林檎、梨、桃、トマト、柿等の農産物で構成することができる。また、フリーバケットは、例えば略丸形、略正方形等のバケットで構成することができる。また、測定手段は、例えば重量測定装置、内部測定装置、外部測定装置等で構成することができる。
【0009】
請求項2に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記搬送手段は仕分け領域終端と物品供給領域始端が接続されて、搬送経路が循環経路に構成されることを特徴とする。
【0010】
この発明によると、搬送手段により搬送されるフリーバケットを仕分け領域終端から物品供給領域始端に回帰させて循環する。
【0011】
請求項3に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記物品供給領域における搬送経路は複数条に設けられ、物品供給領域を挟んで上流側に振分け手段を設けるとともに、下流側に合流手段を設けたことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、物品供給領域に搬送されるフリーバケットに対して人手により物品を供給する。複数条の搬送手段により搬送されるフリーバケットを合流手段により合流させた後、測定領域に搬送する。仕分け領域から物品供給領域に回帰搬送されるフリーバケットを振分け手段により複数条の搬送手段に対して振り分ける。
【0013】
つまり、物品供給領域におけるフリーバケットの搬送速度を、人手による物品供給速度に適応した速度に設定することができ、且つ、測定領域及び仕分け領域に設けられる例えば重量測定装置、内部測定装置、外部測定装置等の測定装置、振分け装置等の処理装置の能力を最大限に発揮させることができる。
【0014】
請求項4に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記仕分け領域の搬送コンベヤは、搬送面を傾斜可能に構成されるとともに、フリーバケットを搬送コンベヤから脱落させない保持手段を有することを特徴とする。
【0015】
この発明によると、仕分け領域において、物品が載置された搬送コンベヤの搬送面を傾斜させた際に、フリーバケットを搬送コンベヤから脱落させないように保持手段により保持して、フリーバケットに載置された物品のみを仕分け部に排出する。
【0016】
上記保持手段は、例えばフリーバケットの溝部と、その溝部に係止される係止部、フック、或いは、フリーバケットの底面に取り付けた金属板と、その金属板を吸着するマグネット等で構成することができる。
【0017】
請求項5に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、上記請求項4に記載の構成と併せて、上記仕分け領域の搬送コンベヤは、複数のバケット載置部が回転駆動される無端搬送体に傾斜可能に設けられたものであり、測定領域の搬送コンベヤから仕分け領域の搬送コンベヤに移載される際に、1つのバケット載置部に1つのフリーバケットが対応して載置されることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、測定領域の搬送コンベヤから供給されるフリーバケットを、仕分け領域の搬送コンベヤに移載する際に、1つのフリーバケットを、1つのバケット載置部に対して個々に移載する。仕分け領域において、フリーバケットが載置されたバケット載置部を傾斜させ、フリーバケットに載置された物品を仕分け部に排出する。
【0019】
請求項6に記載した発明のフリーバケット式選別装置は、上記請求項4に記載の構成と併せて、上記仕分け領域の搬送コンベヤは、複数の載置部材が回転駆動される無端搬送体に傾斜可能に設けられたものであり、複数の載置部材によって1つのフリーバケットを載置可能であることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、測定領域の搬送コンベヤから供給されるフリーバケットを、仕分け領域の搬送コンベヤを構成する複数の載置部材に移載する。仕分け領域において、フリーバケットが載置された複数の載置部材を傾斜させ、フリーバケットに載置された物品を仕分け部に排出する。
【0021】
上記載置部材は、例えば棒状、板状、柱状、ローラ状等に形成した中空又は中実の部材で構成することができる。また、請求項5,6の無端搬送体は、例えばチェーン、ベルト等で構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、搬送経路上の仕分け領域において、物品が載置されたフリーバケットを搬送しながら傾斜させ、フリーバケットに載置された物品のみを仕分け領域の各仕分け部に対して放出するようにしたので、搬送経路上の物品供給領域と測定領域では、搬送手段に対してバケットが拘束されないフリー状態で搬送することができる。そのため、従来のバケット式選別装置よりもレイアウトの自由度が増すとともに、例えば1条の測定仕分け領域に対して複数条の物品供給領域におけるフリーバケットの搬送速度を、人手による物品供給速度に適応した速度に設定でき、高能力・高精度の選別処理が可能になる。また、物品が載置されたフリーバケットを独立して重量測定するので、例えば農産物が載置されたバケットをチェーンで連結したまま測定する従来装置に比べて、測定時において負荷がほとんど発生せず、重量測定の精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明は、従来のバケット式選別装置よりレイアウトの自由度が増すとともに、高能力・高精度の選別処理が可能になるという目的を、物品が載置されたフリーバケットを搬送しながら傾斜させ、フリーバケットに載置された物品のみを仕分け領域の各仕分け部に対して振り分けることで達成した。
【実施例】
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、物品の一例である農産物を等階級別に選別する作業に用いられるフリーバケット式選別装置を示し、図1に於いて、このフリーバケット式選別装置1は、1個の農産物Aが載置されるフリーバケットBを搬送コンベヤ2の搬送経路上に多数配列して、該搬送経路上に設定した農産物A…を供給する物品供給領域aと、農産物A…の選別要素(等級、階級等の仕分け情報)を測定する測定領域bと、選別要素に基づいて設定した仕分け区分別(等階級別)に農産物A…を振り分ける仕分け領域cとに搬送する。
【0025】
上記フリーバケットBは、図2に示すように、例えば合成ゴム、軟性樹脂、スポンジ等の緩衝材により形成した凹状の載置部Bbを、上方から見て略丸形に形成したフリーバケット本体Baの上面側開口部に取り付けている。また、後述するバケット載置部13の係止部13bが係止される溝部Bcを、フリーバケット本体Baの下部外周面に沿って円周方向に連続して形成している。また、農産物Aに関する情報が読取り可能に記録される非接触型の記憶媒体Bdを、フリーバケット本体Baの底面中央部に取り付けている。
【0026】
また、後述する内部検査光の導光及びゴミの落下が許容される孔部Beを、フリーバケット本体Ba、載置部Bb、記憶媒体Bdの略中心部に対して上下方向に穿設している。また、略丸形のフリーバケットBに代えて、上方から見て略正方形のフリーバケットを用いることもできる。
【0027】
なお、記憶媒体Bdは、実施例においてIDチップにより構成しているが、例えば磁気ストライプ、バーコード等により構成することもできる。また、搬送中フリーバケットB…同士が互いに接触しても、フリーバケットB,Bの溝部Bc,Bc間を、光電センサの投光部から投光される光が通り抜けるため、フリーバケットBの通過を検出することができる。
【0028】
上記搬送コンベヤ2は、図1に示すように、2条の供給コンベヤ3,3と、合流コンベヤ4と、整列コンベヤ5と、バケットコンベヤである仕分けコンベヤ6と、回帰コンベヤ7と、2条の集積コンベヤ8,8とで構成している。また、仕分けコンベヤ6の終端部と、供給コンベヤ3,3の始端部との間を、回帰コンベヤ7と集積コンベヤ8,8を介して接続し、搬送コンベヤ2の搬送経路をループ状の循環経路に構成している。なお、搬送コンベヤ2は、例えばベルトコンベヤ、ローラコンベヤ、スラストコンベヤ等で構成することができる。
【0029】
物品供給領域aに配置した2条の供給コンベヤ3,3は、それぞれ、フリーバケットBより幅広の搬送面を有し、後述する集積コンベヤ8,8から供給されるフリーバケットB…を拘束しないフリー状態でそれぞれ搬送する。また、供給コンベヤ3の搬送速度は、後述する合流コンベヤ4と、整列コンベヤ5と、仕分けコンベヤ6と、回帰コンベヤ7よりも低速に設定している。なお、供給コンベヤ3を、例えば3条、4条、5条、6条等の複数条に設けることもできる。
【0030】
供給コンベヤ3,3の側部に待機する作業者D…は、図3に示すように、多数の農産物A…が収納されたコンテナKを、荷受コンベヤ3a,3aにより物品供給領域aに搬送した際に、コンテナKに収納された農産物A…を手で取り上げるとともに、農産物Aの外部項目(例えば大きさ、色、形状、キズの有無等)を目で見て、当該農産物Aの目視による等級を判定し、その農産物Aを物品供給領域aを通過するフリーバケットB…に対して1個ずつ積載する。その際、作業者Dは判定に対応した等級に応じて、フリーバケットBを手で搬送方向と略直交する方向に水平移動させて、供給コンベヤ3上に設定した幅方向の等級別のトラッキング位置に振分ける。
【0031】
物品供給領域aの終端側に配置した位置検出センサHは、供給コンベヤ3上において幅方向に振り分けられたフリーバケットB…の載置位置を検出し、その載置位置と対応する位置検出信号を目視情報として制御装置16に出力する。この位置検出センサHにより検出した目視情報は、位置検出センサHの上流側に配置した情報読取り装置R1で読取ったフリーバケットBの固有情報と対応させて制御装置16に記憶される。
【0032】
また、位置検出センサHの下流側に配置した左右一対の押し戻し部材3b,3bは、供給コンベヤ3上において幅方向に振り分けられたフリーバケットB…を、供給コンベヤ3の幅方向中央部に沿って略直列に整列されるセンタリング位置に押し戻すように案内する。
【0033】
また、供給コンベヤ3,3の荷受部は独立しているので、農産物A…を荷受する際に、例えば生産者番号、コンテナ数、品種、収穫時期(日時)、収穫時の気象、園地(生産場所や状況)、賞味期限等の荷受情報について荷受部付近に配置した入力装置により自動又は手動で入力して制御装置16に記憶される。
【0034】
測定領域bの始端側に配置した上方から見て略Y字状の合流コンベヤ4(図1参照)は、供給コンベヤ3に比べて略倍以上の搬送速度に設定している。つまり、供給コンベヤ3,3から供給されるフリーバケットB…を無理なく合流させて1本の整列コンベヤ5に移載する。また、合流コンベヤ4の分岐側搬送経路上には、農産物Aを含むフリーバケットB全体の重量を測定する重量測定領域b1をそれぞれ設定している。
【0035】
合流コンベヤ4の下流側に配置した整列コンベヤ5(図1参照)は、合流コンベヤ4により合流されたフリーバケットB…を搬送方向に対して1列に整列して搬送する。また、整列コンベヤ5の搬送経路上には、農産物Aの内部項目を測定する内部測定領域b2と、農産物Aの外部項目を測定する外部測定領域b3を設定している。
【0036】
重量測定領域b1に配置した重量測定装置9(図1参照)は、農産物Aが載置されたフリーバケットB全体の総重量を搬送しながらロードセル等により測定するとともに、その測定した重量情報を、該領域内の上流側に配置した情報読取り装置R2,R2により読取ったフリーバケットB…の固有情報と対応させて後述する制御装置16に出力する。
【0037】
内部測定領域b2に配置した内部測定装置10(図1参照)は、フリーバケットBの孔部Beを介して、搬送経路下方に配置した光源から投光される内部検査光を農産物A…に照射し、農産物A内方を透過した透過光を撮影カメラにより撮影するとともに、その撮影した画像情報、例えば糖度、酸度、熟度、蜜量、水果、褐変、水分量、成熟度、腐り具合、空洞等を、該領域内の上流側に配置した情報読取り装置R3により読取ったフリーバケットB…の固有情報と対応させて制御装置16に出力する。
【0038】
外部測定領域b3に配置した外部測定装置11(図1参照)は、フリーバケットB…に載置された農産物Aの外面(例えば上部周面、側部周面等)を撮影カメラや光電センサ等により撮影するとともに、その撮影した画像情報、例えば大きさ(直径、面積、擬似体積等)、高さ、幅、偏平度、形状、色、表面の異常(キズ、病害虫等)を、該領域内の上流側に配置した情報読取り装置R4により読取ったフリーバケットB…の固有情報と対応させて制御装置16に出力する。
【0039】
なお、重量測定装置9は、合流コンベヤ4の下流側に配置してもよい。また、各測定装置の順番を入れ替えてもよく、実施例のレイアウトに限定されるものではない。
【0040】
制御装置16(図1参照)は、上記目視情報、重量情報、内部情報、外部情報からなる仕分け情報に基づいて、農産物Aを格付けするのに必要な項目を個々に判定する。その判定結果に応じて、フリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け先を確定するとともに、農産物Aの格付け及び仕分け先の仕分け情報を、フリーバケットBの固有情報と関連付けて記憶部に記憶する。また、制御装置16により判定した農産物A…の仕分け情報を、測定領域b内の下流側に配置した情報書込み装置R5によりフリーバケットBの記憶媒体Bbにそれぞれ記録する。
【0041】
また、物品供給領域aに搬送されるフリーバケットBの固有情報を読取る際に、フリーバケットBの固有情報と対応して記憶媒体Bb及び制御装置16に記憶された各種情報を消去するか、新しい情報を上書きする等して、初期状態にリセットする。
【0042】
測定領域bの整列コンベヤ5と、仕分け領域cの仕分けコンベヤ6との間に配置した速度制御可能なタイミングコンベヤ5aは、図4に示すように、タイミングコンベヤ5aから仕分けコンベヤ6のバケット載置部13…に移載されるフリーバケットB…を検出する物品検出センサS1と、タイミングコンベヤ5aの終端側下方に移動されるバケット載置部13を検出する物品検出センサS2から出力される検出信号に基づいて、タイミングコンベヤ5aから供給されるフリーバケットB…が仕分けコンベヤ6のバケット載置部13…に対して1個ずつ載置される搬送速度に制御している。
【0043】
また、タイミングコンベヤ5aの代わりに、例えばスクリューコンベヤ、スターホイル、アタッチメント式送り機構等により移載タイミングを制御することもできる。なお、測定領域bの整列コンベヤ5と、仕分け領域cの仕分けコンベヤ6の搬送速度は同じ速度に設定している。
【0044】
仕分け領域cに配置した仕分けコンベヤ6は、図7、図8、図9にも示すように、バケットベース12に対してバケット載置部13が左右に傾斜可能に構成されている。前側縁部に立設した起立部12aと、後側縁部に立設した起立部12aと、両起立部12a,12aの間に平行して架設した軸部12b,12bを有している。また、バケット載置部13は、1つのフリーバケットB…が載置される載置面13eの下部前面及び下部後面に円弧状の溝部13a,13aを有しており、この溝部13a,13aにバケットベース12の軸部12b,12bが挿通されることにより、バケットベース12に対してバケット載置部13が支持されている。つまり、一方の軸部12bを中心として、他方の軸部12bが溝部13aに沿って円弧方向に下方へ移動することにより、バケット載置部13全体を、フリーバケットBが略水平に載置される載置姿勢(図7参照)と、農産物AがフリーバケットBから排出される放出姿勢(図9参照)とに搬送方向と直交する方向に対して左右回動自在に設けている。
【0045】
また、仕分けコンベヤ6は、バケットベース12を、左右に張架したチェーン14,14間に対して搬送方向に所定等間隔に隔てて多数架設し、バケット載置部13を搬送方向に対して所定等間隔に隔てて多数配列している。つまり、チェーン14,14をモータ等により搬送方向へ同期回転させ、バケット載置部13…を、仕分け領域cの搬送経路上に区分した等階級別の仕分け部c1…に対して一定の速度で連続して周回移動する。
【0046】
バケット載置部13の載置面13eは、1つのフリーバケットBが載置される大きさ及び形状に上方から見て略正方形に形成している。また、バケット載置部13の載置面13e両側縁部に設けた係止部13b,13bは、バケット載置部13全体を放出姿勢に傾斜した際に、該傾斜側へ移動したフリーバケットBの溝部Bcに対して係止され、バケット載置部13からフリーバケットBが落下するのを防止する。また、係止部13b,13bは、載置されるフリーバケットBの外径よりも幅広となる間隔に隔てて設けている。
【0047】
また、バケット載置部13の底面中央部に垂設した案内ピン13cの下端部には、例えばコロ等の回転体13dを回転自在に取り付けている。案内ピン13cは、後述する傾斜装置17の振り分け動作により、バケット載置部13の傾斜方向とは反対方向へ回動する。つまり、案内ピン13cを搬送経路右側へ回動すると、バケット載置部13全体が搬送経路左側へ傾斜し、フリーバケットBに載置された農産物A…は搬送経路左側部に配置した貯留コンベヤ27に放出される。一方、案内ピン13cを搬送経路左側へ回動すると、バケット載置部13全体が搬送経路右側へ傾斜し、フリーバケットBに載置された農産物Aは搬送経路右側部に配置した貯留コンベヤ27に放出される。
【0048】
また、傾斜させたバケット載置部13…は、農産物Aが放出された後、案内ピン13cが垂直となるように復帰して、仕分け領域aの終端部からバケット載置部13…を上下反転した下向き姿勢のまま仕分け領域aの始端側へ回帰移動する。
【0049】
また、最終仕分け部c1の下流側に配置した左右一対の押し戻し部材6b,6bは、図6に示すように、バケット載置部13に載置されたフリーバケットBを両側係止部13b,13bから離脱させるとともに、バケット載置部13の載置面13eのセンタリング位置に押し戻すように案内して、回帰コンベヤ7に移載する。
【0050】
仕分けコンベヤ6の下流側に配置した回帰コンベヤ7は、図5にも示すように、仕分けコンベヤ6のバケット載置部13…から放出される空のフリーバケットB…を、搬送経路下流側に配置した集積コンベヤ8に移載する。
【0051】
集積コンベヤ8の上流部に配置した振分け装置15は、図1に示すように、集積コンベヤ8,8上に配置したバケット監視センサS3から出力される検出信号に基づいて、左側集積コンベヤ8の側部に配置した振分け部材15aを、例えばモータ、ソレノイド等の回動手段により、回帰コンベヤ7から供給されるフリーバケットB…が左側集積コンベア8に振り分けられる実線位置と、右側集積コンベヤ8に振り分けられる仮想線位置に水平回動する。
【0052】
つまり、右側集積コンベヤ8上に集積されるフリーバケットB…の数が少ない場合、振分け部材15aを実線位置に回動して、回帰コンベヤ7から供給されるフリーバケットB…を右側集積コンベア8に振り分ける。また、左側集積コンベヤ8上に集積されるフリーバケットB…の数が少ない場合、振分け部材15aを仮想線位置に停止させ、回帰コンベヤ7から供給されるフリーバケットB…を左側集積コンベア8に振り分けるので、左右の集積コンベヤ8,8上に集積されるフリーバケットB…の個数が略同等数となるように振り分けることができる。
【0053】
供給コンベヤ3,3と集積コンベヤ8,8の間に配置した速度制御可能なタイミングコンベヤ8a,8a(図1参照)は、一方のタイミングコンベヤ8aの搬送速度を、他方のタイミングコンベヤ8aよりも速くなるように速度制御している。つまり、集積コンベヤ8,8から供給される空のフリーバケットB…を、タイミングコンベヤ8a,8aの速度差により供給コンベヤ3,3に対して略1/2だけ位置ズレした状態に移載する。
【0054】
仕分け部c1…の搬送経路下方に配置した傾斜装置17…は、図10に示すように、搬送経路両側部に配置した貯留コンベヤ27…と対応して右向き及び左向きに配置している。搬送経路左側部に配置した貯留コンベヤ27へ排出する場合、傾斜装置7を右向きに配置する。また、搬送経路左側部に配置した貯留コンベヤ27へ排出する場合、傾斜装置7を左向きに配置する。
【0055】
傾斜装置17は、図9、図11、図12にも示すように、載置姿勢に規制されたバケット載置部13の案内ピン13cを放出角度に案内するガイド板18を、案内ピン13cの移動経路下部に対して斜めに配置している。
【0056】
また、ガイド板18下端に固定した支軸19を、案内ピン13cの移動経路下方に配置した支持枠20上部に対して回動自在に軸架し、支持枠20下部に固定した傾斜用シリンダ21のロッドを、ガイド板18下端に設けた揺動部に連結している。つまり、傾斜用シリンダ21の作動により、ガイド板18を、載置姿勢に規制されたバケット載置部13の回転体13dに対して当接される放出角度と、その回転体13dに対して当接が回避される待機角度に回動する。
【0057】
また、ガイド板18は、放出角度に回動すると後述する放出板26の前端側に当接し、放出板26に対してバケット載置部13の回転体13dの乗り移りが許容される角度に回動規制される。
【0058】
ガイド板18の下流側に配置した放出板26は、載置姿勢に規制されたバケット載置部13の回転体13dに対して当接が回避される位置に設けるとともに、ガイド板18を放出角度に回動した際に、ガイド板18に対して回転体13dの乗り移りが許容される近傍位置に設けている。つまり、バケット載置部13の回転体13dを放出角度に回動したガイド板18から放出板26に乗り移らせて、バケット載置部13全体を、フリーバケットBに載置された農産物Aが搬送経路側部に配置した貯留コンベヤ27へ排出される姿勢に規制する。
【0059】
制御装置16は、農産物Aが載置されたフリーバケットBを整列コンベヤ5から仕分けコンベヤ6へ乗り移らせる際に、フリーバケットBの記憶媒体Bbに記憶された固有情報を情報読取り装置R6で読取り、バケット載置部13毎に設定された番地情報を番地読取り装置R7で読取るとともに、フリーバケットB毎に設定された固有情報を、バケット載置部13毎に設定された番地情報と関連付けて制御装置16に記憶する。
【0060】
一方、バケット載置部13…の番地情報を、各仕分け部c1…の傾斜装置17の上流側に配置した番地読取り装置R8で読取るとともに、そのバケット載置部13の番地情報と対応して記憶された農産物Aの仕分け情報と、仕分け部c1…毎に設定した等階級情報を制御装置16で比較して、同一の選別情報であるか否かを判定する。
【0061】
つまり、制御装置16によりフリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け情報と、仕分け部c1毎に設定した等階級情報が異なると判定された場合、傾斜装置17を駆動せず、ガイド板18をバケット載置部13先端の回転体13dに対して当接が回避される待機角度に待機させる。
【0062】
一方、フリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け情報と、仕分け部c1毎に設定した等階級情報が一致すると判定された場合、傾斜装置17を駆動して、ガイド板18をバケット載置部13の回転体13dに対して当接される放出角度に回動する。バケット載置部13の回転体13dをガイド板18の斜面に当接して、ガイド板18から放出板26に乗り移らせて、バケット載置部13全体を、フリーバケットBに載置された農産物Aが貯留コンベヤ27へ排出される姿勢に傾斜する。
【0063】
貯留コンベヤ27に排出された農産物A…は人手により箱詰する。また、農産物A…を、既存の自動箱詰機により箱詰、袋詰、パック詰するか、秤量機より秤量して箱詰等することもできる。
【0064】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、フリーバケット式選別装置1による選別方法を説明する。
【0065】
先ず、図1、図3にも示すように、物品供給領域aにおいて、荷受コンベヤ3aにより搬送されるコンテナKに収容された農産物A…を作業者Dの手で1個ずつ取り上げ、農産物Aの外部項目を目で見て個々に判定し、農産物A…を、供給コンベヤ3,3により搬送されるフリーバケットB…に対して1個ずつ積載する(図3参照)とともに、フリーバケットB…を、供給コンベヤ3,3上に予め設定した幅方向の等級別のトラッキング位置にそれぞれ振分ける。
【0066】
位置検出センサHにより検出した目視情報を、情報読取り装置R1により読取ったフリーバケットBの固有情報と対応させて制御装置16に記憶する。
【0067】
供給コンベヤ3,3から供給されるフリーバケットB…を一対の押し戻し部材3b,3bによりセンタリングして合流コンベヤ4に搬送するとともに、供給コンベヤ3,3から供給されるフリーバケットB…を合流コンベヤ4により1本に合流させて整列コンベヤ5に移載する。
【0068】
測定領域bにおいて、合流コンベヤ4の分岐側搬送経路に設定した重量測定領域b1,b1の重量測定装置9,9により測定した重量情報を、情報読取り装置R2により読取ったフリーバケットBの固有情報と対応させて制御装置16に記憶する。
【0069】
整列コンベヤ5の搬送経路上に設定した内部測定領域b2の内部測定装置10により測定した内部情報と、外部測定領域b3の外部測定装置11により測定した外部情報を、それぞれ情報読取り装置R3,R4により読取ったフリーバケットBの固有情報と対応させて制御装置16に記憶する。
【0070】
制御装置16は、上記目視情報、重量情報、内部情報、外部情報に基づいて、農産物Aを格付けするのに必要な項目を個々に判定する。その判定結果に応じて、フリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け先を確定するとともに、農産物Aの格付け及び仕分け先の仕分け情報を、フリーバケットBの固有情報と関連付けて記憶部に記憶する。また、上記各情報に基づいて、制御装置16により判定した農産物Aの仕分け情報を、情報書込み装置R5によりフリーバケットBの記憶媒体Bbにそれぞれ記録する。
【0071】
整列コンベヤ5から供給されるフリーバケットB…を、仕分けコンベヤ6のバケット載置部13…に移載する際に、図4に示すように、物品検出センサS1,S2による検出に基づいて、タイミングコンベヤ5aの搬送速度を制御し、整列コンベヤ5からタイミングコンベヤ5aに移載されたフリーバケットB…を、仕分けコンベヤ6のバケット載置部13…に対して1個ずつ移載する。その際、情報読取り装置R6により読取ったフリーバケットB毎の固有情報を、番地読取り装置R7により読取ったバケット載置部13毎に設定された番地情報と関連付けて制御装置16に記憶する。
【0072】
仕分け領域cにおいて、番地読取り装置R8により読取ったバケット載置部13の番地情報と対応して記憶された農産物Aの等階級情報と、仕分け部c1毎に設定した等階級情報を制御装置16で比較して、同一の選別情報であるか否かを判定する。
【0073】
フリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け情報と、仕分け部c1毎に設定した等階級情報が異なると判定された場合、傾斜装置17を駆動せず、ガイド板18をバケット載置部13の回転体13dに対して当接が回避される待機角度に待機させ、バケット載置部13…を載置姿勢に規制したまま下流側の仕分け部c1…に搬送する。
【0074】
一方、フリーバケットBに載置された農産物Aの仕分け情報と、仕分け部c1毎に設定した等階級情報が一致すると判定された場合、図8、図9に示すように、傾斜装置17のガイド板18をバケット載置部13の回転体13dに対して当接される放出角度に回動して、バケット載置部13全体を、フリーバケットBに載置された農産物Aが搬送経路側部に配置した貯留コンベヤ27へ放出される放出姿勢に傾斜するとともに、バケット載置部13上のフリーバケットBに載置された農産物Aを、搬送経路側部に配置した貯留コンベヤ27へ放出する。以下同様に、バケット載置部13…上のフリーバケットB…に載置された農産物A…を、仕分け部c1…に配置した左右の貯留コンベヤ27…に対して等階級別に振り分ける。
【0075】
貯留コンベヤ27…に放出された農産物A…は人手により箱詰する。また、所定数の農産物A…が箱詰めされた箱は次工程(例えば出荷工程、保管工程等)に搬送する。なお、農産物A…を、既存の自動箱詰機により箱詰、袋詰、パック詰するか、秤量機より秤量して箱詰等することもできる。
【0076】
次に、図6にも示すように、最終仕分け部c1の下流側に移動されたバケット載置部13…上のフリーバケットB…を一対の押し戻し部材6b,6bにより押し戻して、バケット載置部13の両側係止部13b,13bから離脱される中央位置にセンタリングしながら回帰コンベヤ7に移載する。
【0077】
次に、バケット監視センサS3から出力される検出信号に基づいて、振分け装置15の振分け部材15aを水平回動(図1参照)し、回帰コンベヤ7により搬送されるフリーバケットB…を左側集積コンベア8と右側集積コンベヤ8に対して略同等数となるように振り分ける。集積コンベヤ8,8に振り分けられた空のフリーバケットB…を、タイミングコンベヤ8a,8aにより供給コンベヤ3,3に対して略1/2だけ位置ズレした状態に移載(図3参照)する。
【0078】
また、基準となるダミーのフリーバケットBを搬送経路上に1つ載置して、そのダミーのフリーバケットBから数えて何番目かで測定領域bと仕分け領域cにおけるフリーバケットBに関連するデータを対応させてもよい。
【0079】
以上のように、搬送経路上の仕分け領域cにおいて、農産物Aが載置されたフリーバケットBを搬送しながら傾斜装置17により傾斜させ、フリーバケットBに載置された農産物Aのみを仕分け領域cの仕分け部c1…に対して放出するようにしたので、搬送経路上の物品供給領域aと測定領域bでは、供給コンベヤ3と、合流コンベヤ4と、整列コンベヤ5に対してフリーバケットBが拘束されないフリー状態で搬送することができる。そのため、従来のバケット式選別装置よりもレイアウトの自由度が増すとともに、例えば1条の測定仕分け領域に対して複数条の物品供給領域におけるフリーバケットBの搬送速度を、人手による物品供給速度に適応した速度に設定でき、高能力・高精度の選別処理が可能になる。また、農産物Aが載置されたフリーバケットBを独立して重量測定するので、例えば農産物が載置されたバケットをチェーンで連結したまま測定する従来装置に比べて、重量測定の精度が向上する。
【0080】
図13は、農産物Aが載置されたフリーバケットBを、バケット載置部13の一側縁部に枢着したフック13Bにより保持する他の例を示し、フック13Bを、コイルスプリング13CによりフリーバケットBの溝部Bcに対して係止される方向に回動付勢している。バケット載置部13の一側縁部に枢着したフック13Bと、他側縁部に設けた係止部13bを、バケット載置部13上に載置されたフリーバケットBの溝部Bcに係止するので、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、例えばフック13Bの下端部を搬送経路側部に配置した係止解除部材28に当接するか、或いは、係止解除装置により解除方向へ回動する等して、フリーバケットBの溝部Bcからフック13Bを離脱させれば、フリーバケットBをバケット載置部13上から取り除くことができる。また、バケット載置部13の両側縁部ともフック13Bのように開閉するように構成してもよい。
【0081】
図14は、農産物Aが載置されたフリーバケットBを、バケット載置部13の載置面に付設したマグネット13Dの吸着力により保持するその他の例を示し、フリーバケットBには、マグネット13Dにより吸着可能な金属で形成したリング状の金属板Bfを、バケット本体Baの底面側外周部に取り付けている。バケット載置部13上に載置されたフリーバケットBをマグネット13Dの吸着力により保持するので、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、マグネット13Dの吸着力に抗して、フリーバケットBを水平方向にスライドすれば、マグネット13Dによる吸着が解除されるので、フリーバケットBをバケット載置部13上から簡単に取り除くことができる。
【0082】
図15〜図19は、農産物Aが載置されたフリーバケットBを、鍵盤型の仕分けコンベヤ31により搬送する搬送手段の他の例を示し、仕分けコンベヤ31は、支持部材32の搬送側縁部に立設した軸受部32a…の下端部と、フリーバケットBが載置される長さに形成した棒状を有する載置部材33…の基端部とを支軸34…により枢着して、載置部材33…を搬送方向と直交する方向に対して独立して上下回動自在に設けている。また、6本の載置部材33…をフリーバケットBが水平に載置される前後間隔に隔てて配列して、傾斜ユニット33Aを構成している。
【0083】
また、支持部材32を、左右に張架したチェーン35,35間に対して搬送方向に所定等間隔に隔てて多数架設して、載置部材33…を搬送経路に沿って鍵盤状に配列している。つまり、チェーン35,35をモータ等により搬送方向へ同期回転させ、多数本の載置部材33…を、仕分け領域cの仕分け部c1…に対して一定の速度で連続して周回移動する。
【0084】
載置部材33の基端側上縁部に対して係止される係止レバー36を、軸受部32aの上端部に対して搬送方向と直交する方向に上下回動自在に枢着するとともに、支持部材32後端と係止レバー36後端の間に装填した圧縮スプリング37により、載置部材33の基端側上縁部に対して係止される方向へ回動付勢している。
【0085】
軸受部32aの上端部に突設した規制軸38は、載置部材33と係止レバー36を互いに係止される位置に回動規制する。つまり、係止レバー36を載置部材33に係止すれば、載置部材33を、フリーバケットBが水平に載置される載置姿勢(図中実線に示す状態)に回動規制することができる。また、載置部材33に対する係止レバー36の係止を解除すれば、農産物AがフリーバケットBから放出される放出姿勢(図中仮想線に示す状態)に揺動する。
【0086】
載置部材33を放出姿勢に揺動すると、載置部材33の基端側下縁部が支持部材32の搬送側前端部に当接するため、載置部材33が斜め下向きに傾斜した放出姿勢に回動規制される。
【0087】
また、載置部材33の遊端側縁部に形成した係止部33bは、フリーバケットBが載置された載置部材33…を放出姿勢に傾斜した際に、該傾斜側へ移動したフリーバケットBの溝部Bcに対して係止される。なお、棒状の載置部材33に代えて、例えば板状、柱状、ローラ状等の部材で構成することもできる。
【0088】
仕分け領域cの上流端付近には、図15に示すように、フリーバケットBの記憶媒体Bbに記憶された固有情報を読取るための情報読取り装置R9と、図18に示すように、先頭載置部材33と対応して支持部材32下面に突設した検出体32bを検出する先頭読取りセンサT1と、残りの載置部材33…と対応して支持部材32下面に突設した検出体32c…を検出するカウントセンサT2とを配置している。
【0089】
仕分け部c1…には、上記先頭読取りセンサT1と、カウントセンサT2と、係止レバー36の係止を解除するロータリーソレノイド型の係止解除装置39とをそれぞれ配置している。
【0090】
上記農産物Aが載置されたフリーバケットBを整列コンベヤ5から仕分けコンベヤ31の載置部材33…へ乗り移らせる際に(図15参照)、先頭載置部材33の検出体32bを先頭読取りセンサT1により検出した直後から、後続載置部材33…の検出体32c…をカウントセンサT2により検出する。
【0091】
カウントセンサT2から出力される検出信号に基づいて、先頭載置部材33に続く載置部材33…の移動数をカウンタで計数するとともに、カウンタで計数した移動数データを、情報読取り装置R9により読取ったフリーバケットBの固有情報と関連付けて制御装置16に記憶する。
【0092】
仕分け部c1…において、図18に示すように、先頭載置部材33の検出体32bを先頭読取りセンサT1で検出した直後において、後続載置部材33…の検出体32c…をカウントセンサT2で検出するとともに、カウントセンサT2から出力される検出信号に基づいて、カウンタにより計数した載置部材33…の移動数データと、制御装置15に記憶された移動数データとを比較して、フリーバケットBの固有情報と対応して記憶された移動数データであるか否かを判定する。移動数データが異なると判定された場合、係止解除装置39を駆動せず、フリーバケットBが載置された載置部材33…を載置姿勢のまま下流側の仕分け部c1…に移動させる。
【0093】
一方、仕分け部c1…に移動される載置部材33…の移動数データと、フリーバケットBの固有情報と対応して制御装置15に記憶された移動数データとが一致すると判定された場合、その判定と対応する仕分け部c1に配置した係止解除装置39を独立駆動して、図19にも示すように、係止レバー36の後端部を解除部材39aにより連続して押し下げ、載置部材33に対する係止レバー36の係止を解除して、フリーバケットBが載置された載置部材33…を、農産物AがフリーバケットBから放出される放出姿勢(図中仮想線に示す状態)に揺動する。
【0094】
以下同様に、載置部材33…上のフリーバケットB…に載置された農産物A…を、仕分け部c1…に配置した片側の貯留コンベヤ27…に対して等階級別に振り分ける。また、貯留コンベヤ27…に放出された農産物A…は手作業又は既存の箱詰機により箱詰する。
【0095】
放出姿勢に回動した載置部材33…は、最終仕分け部c1の下流側に配置した復帰ガイド等の復帰手段により載置姿勢に回動復帰させるとともに、係止レバー36を載置部材33に係止して、載置部材33…を載置姿勢に回動復帰させたまま回帰方向に周回移動させる。
【0096】
次に、図16、図17に示すように、最終仕分け部c1の下流側に移動された載置部材33…上のフリーバケットB…を一対の押し戻し部材31b,31bにより押し戻して、載置部材33の係止部33bから離脱される中央位置にセンタリングしながら回帰コンベヤ7に移載する。
【0097】
回帰コンベヤ7により搬送されるフリーバケットB…を、振分け装置15により左側集積コンベア8と右側集積コンベヤ8に対して略同等数となるように振り分ける(図1参照)。集積コンベヤ8,8に振り分けられた空のフリーバケットB…を、タイミングコンベヤ8a,8aにより供給コンベヤ3,3に対して位置ズレした状態に移載(図3参照)するので、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、係止部33bに代わる保持手段として、マグネットにより保持してもよい。
【0098】
なお、上記実施例に於いて、仕分けコンベヤ31の構成以外は前記実施例と同一であるので、同一構成の部分は同一の符号を記してその詳細な説明を省略する。
【0099】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の物品は、実施例の農産物Aに対応し、
以下同様に、
搬送手段及び搬送コンベヤは、搬送コンベヤ2と、供給コンベヤ3と、合流コンベヤ4と、整列コンベヤ5と、仕分けコンベヤ6,31と、回帰コンベヤ7と、集積コンベヤ8に対応し、
測定手段は、重量測定装置9と、内部測定装置10と、外部測定装置11に対応し、
合流手段は、合流コンベヤ4に対応し、
保持手段は、係止部13b,33b、フック13B、マグネット13Dに対応し、
無端搬送体は、チェーン14,35に対応し、
振分け手段は、振分け装置15に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】フリーバケット式選別装置の全体構成を示す平面図。
【図2】農産物をフリーバケットに載置した状態を示す斜視図。
【図3】農産物をフリーバケットに載置する手乗せ作業を示す平面図。
【図4】フリーバケットを仕分けコンベヤに移載する動作を示す側面図。
【図5】フリーバケットを回帰コンベヤに移載する動作を示す側面図。
【図6】回帰コンベヤによるフリーバケットの回帰搬送を示す平面図。
【図7】フリーバケットが載置されたバケットを示す正面図。
【図8】フリーバケットが載置されたバケットの傾斜を示す平面図。
【図9】バケットに載置されたフリーバケットの放出動作を示す正面図。
【図10】傾斜装置を左右に配置した状態を示す正面図。
【図11】傾斜装置の構造を示す背面図。
【図12】傾斜装置の構造を示す側面図。
【図13】フリーバケットをフックで保持する他の例を示す正面図。
【図14】フリーバケットをマグネットで保持するその他の例を示す正面図。
【図15】フリーバケットを仕分けコンベヤに移載する動作を示す側面図。
【図16】フリーバケットを回帰コンベヤに移載する動作を示す側面図。
【図17】回帰コンベヤによるフリーバケットの回帰搬送を示す平面図。
【図18】フリーバケットが載置された載置部材を示す正面図。
【図19】フリーバケットが載置された載置部材の傾斜を示す平面図。
【符号の説明】
【0101】
a…供給領域
b…測定領域
c…仕分け領域
A…農産物
B…フリーバケット
Bc…溝部
Bd…記憶媒体
Bf…金属板
D…作業者
1…フリーバケット式選別装置
2…搬送コンベヤ
3…供給コンベヤ
4…合流コンベヤ
5…整列コンベヤ
6…仕分けコンベヤ
7…回帰コンベヤ
8…集積コンベヤ
9…重量測定装置
10…内部測定装置
11…外部測定装置
13…バケット載置部
13b…係止部
13B…フック
13D…マグネット
15…振分け装置
16…制御装置
17…傾斜装置
31…仕分けコンベヤ
33…載置部材
33b…係止部
39…係止解除装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置可能なフリーバケットと、
フリーバケットを搬送する複数の搬送コンベヤが連結されて構成される搬送手段とを備え、
搬送手段の搬送経路上に、搬送されるフリーバケットに物品が供給される物品供給領域、測定手段によって物品の選別要素を測定する測定領域、上記測定手段による測定結果に基づいて仕分け区分別に設けられた複数の仕分け部に物品を振り分ける仕分け領域が設けられるフリーバケット式選別装置において、
上記仕分け領域において物品が載置されたフリーバケットを搬送しながら傾斜して、該フリーバケットに載置される物品を仕分け部に排出することを特徴とする
フリーバケット式選別装置。
【請求項2】
上記搬送手段は仕分け領域終端と物品供給領域始端が接続されて、搬送経路が循環経路に構成される
請求項1に記載のフリーバケット式選別装置。
【請求項3】
上記物品供給領域における搬送経路は複数条に設けられ、物品供給領域を挟んで上流側に振分け手段を設けるとともに、下流側に合流手段を設けた
請求項1又は2に記載のフリーバケット式選別装置。
【請求項4】
上記仕分け領域の搬送コンベヤは、搬送面を傾斜可能に構成されるとともに、フリーバケットを搬送コンベヤから脱落させない保持手段を有する
請求項1〜3のいずれか一つに記載のフリーバケット式選別装置。
【請求項5】
上記仕分け領域の搬送コンベヤは、複数のバケット載置部が回転駆動される無端搬送体に傾斜可能に設けられたものであり、測定領域の搬送コンベヤから仕分け領域の搬送コンベヤに移載される際に、1つのバケット載置部に1つのフリーバケットが対応して載置される
請求項4に記載のフリーバケット式選別装置。
【請求項6】
上記仕分け領域の搬送コンベヤは、複数の載置部材が回転駆動される無端搬送体に傾斜可能に設けられたものであり、複数の載置部材によって1つのフリーバケットを載置可能である
請求項4に記載のフリーバケット式選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−313470(P2007−313470A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147774(P2006−147774)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(390008305)エスアイ精工株式会社 (39)
【Fターム(参考)】