説明

フルオロプロペンを製造する方法

【課題】式:CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から成る群より選択されるハロゲンであり;そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを、対応するハロプロパンから調製するための脱ハロゲン化水素法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、式:CFC(YR)C(X)(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下でR、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択されるハロゲンである)で表されるハロプロパンを、熱分解による脱ハロゲン化水素が起こる温度まで、触媒を使用して又は使用せずに加熱する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、市販の容易に入手可能な出発原料を使用して、工業的規模で且つ好収率でフルオロプロペンを製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、非アルコール溶媒中における実質的に相溶性のアルカリ金属水酸化物若しくはアルカリ土類金属水酸化物の溶液と反応させることによって、又は、熱分解によって、ハロプロパンを脱ハロゲン化水素してフルオロプロペンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な飽和及び不飽和のハロゲン含有C化合物の接触気相フッ素化によるCFCH=CHのようなフルオロプロペンの製造は、米国特許第2,889,379号;第4,798,818号;及び第4,465,786号に記載されている。米国特許第5,532,419号は、クロロ−又はブロモ−ハロフルオロカーボン及びHFを使用するフルオロアルケンを調製するための気相接触法を開示している。欧州特許第974,571号は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、気相において高温でクロムベースの触媒と接触させることによって、又は、液相においてKOH、NaOH、Ca(OH)若しくはMg(OH)のアルコール溶液と接触させることによって、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを調製することを開示している。
【0003】
特に関心が持たれているフルオロプロペンは、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234ze)であって、地球を温暖化する可能性が低い冷媒として潜在的な用途を有する。しかしながら、この材料は、現在、商業量で利用できない。HFC−1234zeを作る従来の技術は、気相触媒の存在下で、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)とHFとを使用するフッ素化法である。HFC−1234zeは、比較的少ない量で、すなわち、有機反応生成物のガスクロマトグラフ(GC)において約8面積%未満で生成する反応の副産物である。
【0004】
その方法は、所望の生成物であるHFC−1234zeに関する選択性が低いので、非常に不経済である。その反応は、実際には、HFC−245faの製造を意図しているものであって、HFC−1234zeは副産物として少量が生成する。厄介なことに、その方法は、大量のHF及びHClのような有害物質を処理する工程を含んでいる。
【0005】
Henne et al.,J.Am.Chem.Soc.,68,496−497(1946)では、例えばアルコール性KOHを使用してCFCHCFから様々なフルオロプロペンを合成することが記載されているが、その成功の程度は様々である。例えば、いくつかの場合では、脱ハロゲン化水素に失敗したことを述べている。別の場合では、長い反応時間(3日)が必要であったり、又は、生成収率が比較的低かった(40%、65%)。
【0006】
Tarrant,et al.,J.Am.Chem.Soc.,77.2783−2786(1955)には:(1)3−ブロモ−1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンから出発する方法、すなわちそれを水中KOH熱溶液と反応させることによる方法;及び、(2) 3−ブロモ−1,1,3,3−テトラフルオロプロペンから出発する方法、すなわちそれを150℃でHFと反応させ、その反応生成物をKOH溶液で中和することによる方法でのCFCH=CFの合成が記載されていた。
【0007】
Kimura,et al.,J.Org.Chem.48,195−198 (1983)には、水性KOHと、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールグラフト化コポリマーをベースとする相間移動触媒とを使用して臭素化化合物を多相脱ハロゲン化水素することが記載されている。水性KOHと相間移動触媒とを使用するフルオロプロパンの脱ハロゲン化水素によるフルオロプロペンの調製は、米国特許第6,548,719号で開示されているが、改良された収率及び選択性を有している。
【0008】
触媒を使用して又は触媒を使用せずに、高い収率及び選択性で、商業的にフルオロプロペンを製造できる手段に関するニーズが絶えず存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、フルオロプロペンを、高い収率及び選択性で商業的に製造できる2つの新規な脱ハロゲン化水素法を提供する。本発明の一つの面にしたがって、次式CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンであり、そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを調製する脱ハロゲン化水素法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記方法では、下式:
【化1】

【0011】
(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下でR、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンである)で表されるハロプロパンを、ハロプロパンと少なくとも実質的に相溶性である非水非アルコール溶媒中少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液と触媒を使用せずに反応させる。その場合、前記反応は、脱ハロゲン化水素が起こる温度で行う。
【0012】
触媒を使用しないで行われる反応では、より清浄な反応生成物が生成するので、それにより生成物の調製及び単離が単純化される。ハロプロパンは、CFCHCFH(HFC−245faとしても公知である市販の化合物)又はHFC−245fa製造時の副産物であるCFCHCHClF(HCFC−244fa)であることができる。両方のハロプロパンは、脱ハロゲン化水素により、HFC−1234zeを形成する。
【0013】
本発明の別の面にしたがって、次式CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンであり、そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを調製する脱ハロゲン化水素法を提供する。前記方法は、熱分解による脱ハロゲン化水素が起こる温度まで、下式:
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下でR、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンである)で表されるハロプロパンを加熱する工程を含む。熱分解反応は、ハロゲン化水素を除去するための触媒、例えば遷移金属ハロゲン化物及び遷移金属酸化物及びそれらの組み合わせ、好ましくはハロゲン化鉄、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化コバルト及びそれらの組み合わせを使用して又は使用せずに行うことができる。HFC−245fa及びCFCHCHClF(HCFC244fa)も、本発明の熱分解反応によって反応させて、HFC−1234zeを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、次式CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンであり;そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを調製する方法として一般的に説明できる。
【0017】
フルオロプロペンを調製できる2つの脱ハロゲン化水素法を開示する。前記2つの方法は、下式:
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下でR、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンである)を有するハロプロパンを脱ハロゲン化水素する。
【0020】
本発明で包含できるハロプロパンとしては、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン又はHFC−245fa及び1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン又はHCFC−244faが挙げられる。これらの材料を製造するための様々な方法は、米国特許第5,710,352号;第5,969,198号;第5,728,904号;及び第6,023,004号に記載されている。米国特許第5,574,192号に記載されている別の方法は、経済的で、大規模用途に適していると言われており、また、市販の原料を容易に使用できる。その特許の方法では、以下の2つの工程:すなわち、(1)CClを塩化ビニルと反応させることによってCClCHCHClを形成させる工程;及び(2)ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化ニオブ、ハロゲン化砒素、ハロゲン化タンタル;ハロゲン化錫;ハロゲン化チタン;アンチモン混合ハロゲン化物;ニオブ混合ハロゲン化物、砒素混合ハロゲン化物、タンタル混合ハロゲン化物、混合ハロゲン化錫;混合ハロゲン化チタン及びそれらの混合物から選択されるフッ素化触媒の存在下でHFと反応させることによってCClCHCHClをCFCHCHF及びCFCHCHFClへと転化させる工程を使用している。フッ素化中の材料、例えばCFCHCHClをその後の運転で再循環させてもよい。フッ素化中の材料であるCFCHCHClF又はHFC−244faも、フルオロプロペンを製造するために本発明における出発原料として使用できる。而して、上記の方法を利用して、本発明方法のための2つの異なる出発原料を得ることができる。
【0021】
更に、本明細書で開示されるいずれの方法によっても、脱フッ化水素反応によってフルオロアルケンCFCH=CFHへと直接転化させるための本発明方法の出発原料として使用するためのCFCHCFHの商業量は、ニュージャージー州モリスタウンにあるHoneywell International Inc.から入手できる。フルオロプロペン及び/又はフルオロハロプロペンを製造するための他の有用な出発原料としては:CFCHCFBr;CFCHCFI;CFCHFCFBr;CFCHCHCl;CFCHCHBr;CFCHCHI;CFCHBrCFBr;CFCHClCFCl;CFCHCFHCl;CFCHCFHBr;CFCHClCFH;CFCHCCl;CFCHCFなどが挙げられる。
【0022】
本発明の別の態様では、HCFC−244fa及び/又はHFC−245faは、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)をフッ素化することによって調製できる。この態様では、予備工程において、本発明の方法は、当業において公知のように、好ましくはフッ素化触媒の存在下において、気相又は液相で、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)を、フッ化水素(HF)と反応させることによるHCFC−244fa及び/又はHFC−245faの形成を含む。
【0023】
その結果として、2つの生成物、すなわちHCFC−244fa及び/又はHFC−245faの一方または両方の反応生成物が生じる。本発明の好ましい態様では、HF対HCC−240faのモル比は、好ましくは約2:1〜約100:1;更に好ましくは約4:1〜約50:1;及び最も好ましくは約5:1〜約20:1である。
【0024】
有用なフッ素化触媒としては、好ましくは活性炭又はフッ素化アルミナに担持された、遷移金属ハロゲン化物、IVb族及びVb族金属のハロゲン化物及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。更に詳しくは、好ましい気相フッ素化触媒としては、SbCl、SbCl、SbF、TaCl、SnC1、NbCl、TiCl、MoCl、Cr、CrO/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF及びそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましい液相フッ素化触媒としては、SbCl、SbC1、SbF、TaCl、SnCl、NbCl、TiCl及びMoClが挙げられるが、それらに限定されない。HFによる前処理後に、又はHFの存在下での反応中に、上記触媒は部分的にフッ素化されると理解される。その内容を参照により本明細書に引用したものとする米国特許第5,155,082号には、酸化クロム/酸化アルミニウム触媒が記載されている。結晶質酸化クロム又はアモルファス酸化クロムのような酸化クロム(III)は、好ましい気相フッ素化触媒であり、アモルファス酸化クロムは最も好ましい気相触媒である。酸化クロム(Cr)は、様々な粒径で購入できる市販の材料である。担持されていないSbCl及びSbClハロゲン化物は、好ましい液相触媒である。これらの液相触媒の両方が、市販されており、当業において公知である。少なくとも98%の純度を有するフッ素化触媒が好ましい。フッ素化触媒は、反応を駆動するのに充分な量で存在する。フッ素化反応は任意の適当なフッ素化反応器又はリアクタで行うことができるが、その反応器は、フッ化水素の腐食作用に耐える材料、例えばニッケル及びその合金(ハステロイ、インコネル、インコロイ及びモネルが挙げられる)から造るべきであるか、又は、フルオロポリマーで裏張りされた容器から造るべきである。
【0025】
フッ化水素(HF)中の水は、フッ素化触媒と反応し、前記触媒を失活させる。而して、実質的に無水のフッ化水素が好ましい。「実質的に無水」とは、HFが、約0.05重量%未満、好ましくは約0.02重量%未満の水を含んでいることを意味している。しかしながら、当業者は、HF中に水が存在している場合、使用される触媒の量を増やすことによって補償できることを理解している。
【0026】
HCC−240faの液相フッ素化は、好ましくは約50℃〜約450℃、更に好ましくは約60℃〜約180℃、そして最も好ましくは約65℃〜150℃の温度で行う。好ましくは、フッ素化は、約50psig〜約400psigの圧力で行う。無水HFを反応器に供給しながら、好ましくは、反応器を所望のフッ素化反応温度まで予熱する。HCC−240fa及びHFを、本明細書に記載している所望の温度及び圧力で反応器に供給できる。本発明の好ましい態様では、HCC−240fa及びHFのいずれか又は両方を、反応器に入れる前に、予蒸発させるか又は予熱する。
【0027】
HCC−240fa及びHFを、フッ素化触媒を使用して、気相で反応させるとき、HCC−240fa及びHFを、本明細書に記載してある所望の温度及び圧力で反応器に供給できる。無水HFを反応器に供給しながら、反応器をフッ素化反応温度まで予熱する。HCC−240fa及びHFは、任意の都合のよい温度及び圧力で反応器に供給できる。好ましい態様では、反応器に入れる前に、HCC−240fa及びHFのいずれか又は両方を、約30℃〜約300℃の温度で予蒸発させるか又は予熱する。別の態様では、HCC−240fa及びHFを、反応器で蒸発させる。
【0028】
次いで、HF及びHCC−240faの供給を、所望のモル比に調整する。HF対HCC−240faのモル比は、好ましくは約2:1〜約100:1;更に好ましくは約4:1〜約50:1;そして最も好ましくは約5:1〜約20:1である。
【0029】
フッ素化反応は、好ましくは約80℃〜約400℃;更に好ましくは約100℃〜約350℃、そして最も好ましくは約200℃〜約330℃の温度で行う。反応器圧は、重要ではなく、過圧、大気圧又は真空下であることができる。真空圧は、約5トル〜約760トルであることができる。反応体蒸気は、約0.01〜約240秒、更に好ましくは約0.1〜約60秒、そして最も好ましくは約0.5〜約20秒の間、フッ素化触媒と接触させる。
【0030】
通常、HCC−240fa及びHFのプロセス流は、触媒床を通過して下方へと流れる。各使用前に、触媒を、好ましくは乾燥させ、前処理し、そして活性化させる。反応器の適所において、長期使用後に、定期的に触媒を再生させることも有利であり得る。Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF触媒に関しては、窒素又は他の不活性ガスの流れの中で、触媒を約250℃〜約430℃に加熱することによって前処理を行うことができる。次いで、高い触媒活性を得るために、大過剰量の窒素ガスで希釈されたHF流で触媒を処理することによって触媒を活性化できる。触媒の再生は、当業において公知の任意の手段によって、例えば、反応器のサイズにしたがって、約1時間から約3日間、約100℃〜約400℃で、好ましくは約200℃〜約375℃の温度で、触媒全体にわたって、空気又は窒素で希釈された空気を通過させることによって、達成できる。活性炭のような固体担体上に担持されたSbCl、SbCl、TaCl、SnCl、NbCl、TlCl、MoClに関しては、前処理又は活性化は、まず最初に、窒素又は他の不活性ガスの流れの中で、約30℃〜250℃まで加熱することによって、行うことができる。次いで、高い触媒活性を得るために、塩素ガスのような酸化剤の非存在下又は存在下において、HF流で処理する。更に、反応の間、触媒は、反応器に塩素を同時供給することによって、活性を選択的に保つことができる。
【0031】
HCFC244fa及びHFC−245faは、当業において公知の任意の手段によって、例えばスクラビング、抽出、及び好ましくは蒸留によって、未反応の出発原料及びHClを含む副産物から成るフッ素化反応生成物混合物から回収できる。例えば、蒸留は、約300psig未満、好ましくは約150psig未満、そして最も好ましくは100psig未満の圧力で、標準的な蒸留塔において好ましく行うことができる。蒸留塔の圧力によって、生得的に蒸留運転温度が決定する。HClは、約−40℃〜約25℃、好ましくは約−40℃〜約−20℃で蒸留塔を運転することによって回収できる。単蒸留塔又は多段蒸留塔を使用することができる。留出物部分は、反応において生成される実質的にすべてのHCFC244fa、HFC−245fa、未反応のHF及びHClならびに他の不純物を含む。好ましい態様では、本明細書に記載されている工程(b)における更なる反応のために、すべての他の反応副産物及び未反応HFから、HCFC244fa及びHFC−245faを分離する。好ましい態様では、存在するいかなるHFも回収することができ、そして次のフッ素化反応のために再循環させることができる。1234zeは、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC244fa)の脱塩化水素又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)の脱フッ化水素によって形成される。
【0032】
本発明の一つの方法にしたがって、ハロプロパンと少なくとも部分的に相溶性である、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のための非水非アルコール溶媒中で、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物でハロプロパンを脱ハロゲン化水素する。本発明における使用に適する適当なアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、LiOH、KOH、NaOH、CaO、Ca(OH)、CaCO、及び/又は石灰石などが挙げられるが、それらに限定されない。いずれの方法によっても、HCFC−244faの脱塩化水素反応は、以下の通りに進行する:
脱ハロゲン化水素は、ハロプロパンが脱ハロゲン化水素する温度範囲で行う。この方法の一つの面にしたがって、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のペレットを、周囲条件下で、撹拌しながら溶媒中に溶かす。次いで、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液の温度を加熱によって徐々に上げながら、その溶液中にハロプロパンを泡立てる。脱ハロゲン化水素反応の開始が観察されるまで段階的な加熱を継続し、その後で、プロセスが完了するまで、脱ハロゲン化水素反応が開始した温度に保つ。
【0033】
そのプロセスを行う場合、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物対ハロプロパン量のモル比は、約1:1〜約20:1、好ましくは約1:1〜約15:1;そして更に好ましくは約1:1〜約12:1であり;例えば1:1〜約10:1である。本発明の好ましい態様では、苛性アルカリ溶液の苛性アルカリ濃度は、約2重量%〜約100重量%、更に好ましくは約5重量%〜約90重量%、そして最も好ましくは約10重量%〜約80重量%である。反応は、約20℃〜約150℃、更に好ましくは約30℃〜約110℃、そして最も好ましくは約40℃〜約90℃の温度で行う。反応圧力は重要ではない。反応は、大気圧、過圧又は真空下で行うことができる。真空圧は、約5トル〜約760トルであることができる。好ましくは、反応は、大気圧又は過圧で行う。
【0034】
脱ハロゲン化水素反応は、ハロプロパンと実質的に相溶性である、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のための非水非アルコール溶媒中で少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物を使用して達成できる。本発明のために、「実質的に相溶性」とは、50重量%のハロプロパン及び50重量%の溶媒を含む撹拌混合物が、脱ハロゲン化水素反応が起こる温度範囲で分離して2つ以上の液相を形成しないか、又は、たとえそのような分離が起こるとしても、液相のうちの1つは、極めて少量であって、ブレンドの総重量を基準として10重量%未満であることを意味している。
【0035】
本発明との使用に適する非アルコール溶媒としては、ニトリル、例えばアセトニトリル、エーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン及びペルフルオロテトラヒドロフラン、エステル、例えば酢酸メチル及び酢酸エチル、アミド、ケトン、スルホキシド、ホスフェート、カルボキシレートなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物は、溶媒中に高度に可溶性である必要はない。水、アルコール又はそれらの混合物の量は、その中でのアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶解性を向上させる量で、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のための溶媒に加えることができる。本発明のこの面にしたがう態様では、水中、アルコール中、又は水とアルコールとの混合物中アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液と、溶媒とをブレンドする。典型的には、水、アルコール又は水とアルコールとのブレンドの量は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のための溶媒の総重量を基準として約50重量%を超えない、そして好ましくは約20重量%を超えない。使用できるアルコールは、1〜5個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。
【0037】
水中、アルコール中又はそれらの混合物中であることができるアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液と少なくとも部分的に相溶性である溶媒を選択する。本発明の「部分的に相溶性」とは、ハロプロパンをブレンドと接触させるときに脱ハロゲン化水素反応が起こる程度まで、溶媒を、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の溶液中に溶解できる混和性レベルを意味している。溶媒とアルカリ金属水酸化物溶液又はアルカリ土類金属水酸化物溶液との界面で反応が進行するためには、高度の相溶性は不要である。脱ハロゲン化水素反応によって溶液中の苛性アルカリの量が減少すると、更に苛性アルカリが溶ける。溶媒は、重量を基準として、アルカリ金属水酸化物溶液又はアルカリ土類金属水酸化物溶液を、少なくとも約1%、好ましくは少なくとも5%、そして更に好ましくは少なくとも10%溶解できるだけでよい。
【0038】
本発明の別の態様では、HCFC244faの脱塩化水素及びHFC−245faの脱フッ化水素は、触媒の存在下又は非存在下で、熱分解によって達成できる。適当な触媒としては、担持された又はバルクの遷移金属ハロゲン化物及び遷移金属酸化物が挙げられる。好ましい触媒としては、担持された又はバルクのFeCl、FeCl、NiCl、CoClが挙げられるが、それらに限定されない。熱分解にとって好ましい温度は、約30℃〜約400℃、更に好ましくは約50℃〜約350℃、そして最も好ましくは約75℃〜約300℃である。上記のように、反応は、好ましくは、大気圧、過圧で行う。真空下での反応も許容できる。真空圧は、約5トル〜約760トルであることができる。
【0039】
反応は、任意の適当な反応器で行うことができる。更に、HCFC−244faの脱塩化水素反応及びHFC−245faの脱フッ化水素反応は、同じ反応器で同時に行うことができるか、又は、まず最初にそれらを分離して、すなわち、苛性アルカリ溶液で若しくは熱分解でHCFC−244faを別に脱塩化水素し、そして、苛性アルカリ溶液で若しくは熱分解でHFC−245faを別に脱フッ化水素することによって、行うことができる。この2つの工程プロセスの結果として、HFC−1234zeが高収率で得られる。
【0040】
而して、本発明の好ましい態様にしたがって、HCFC−244faの脱塩化水素反応及びHFC−245faの脱フッ化水素反応は、熱分解によって、又は、高温で強苛性アルカリ溶液と反応させることによって、達成される。いずれの方法によっても、HCFC−244faの脱塩化水素反応は、以下の通りに進行する:
【0041】
【化4】

【0042】
更に、いずれの方法によっても、HFC−245faの脱フッ化水素反応は、以下の通りに進行する:
【0043】
【化5】

【0044】
HCFC−244faの脱塩化水素反応及びHFC−245faの脱フッ化水素反応は、ハロゲン化水素を除去するための苛性アルカリを使用することによって、又は、遷移金属ハロゲン化物及び遷移金属酸化物及びそれらの組み合わせ、好ましくはハロゲン化鉄、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化コバルト及びそれらの組み合わせから選択される触媒の非存在下若しくは存在下での熱分解によって、本発明にしたがって達成される。
【0045】
本明細書に記載している2つの方法とも、下式:
【0046】
【化6】

【0047】
(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンであり;そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)を有するフルオロプロペン及び/又はフルオロハロプロペンを調製するのに有用である。前記化合物としては、CFCH=CF、CFCH=CFH、CFCBr=CF、CFCH=CH、CFCF=CF、CFCCl=CF、CFCF=CClF、CFCCl=CHF、CFCH=CHCl、CFCCl=CClF、CFCH=CCl、CFCF=CClなどが挙げられる。本発明の2つの方法によって調製されるフルオロプロペンは、当業において公知の任意の手段によって、例えばスクラビング、抽出、及び好ましくは蒸留によって、容易に回収される。出発原料の転換の程度にしたがって、生成物は、直接使用できるか又は標準的な蒸留技術で更に精製できる。未反応ハロプロパン及び特定の反応副産物を反応器へ再循環させて連続プロセスを提供できる。又は、プロセスを連続的に運転するために、新鮮なハロプロパンを反応混合物に供給してもよい。
【0048】
本発明の方法によって得られるフルオロプロペンは、フッ素含有のオリゴマー、ホモポリマー及びコポリマーを製造するためのモノマーとして、ならびに他のフッ素含有工業薬品用の中間物を製造するためのモノマーとして有用である。
【0049】
以下、実施例を掲げて、本発明を例示する。しかしながら、本発明は、実施例に記載される特定の詳細のみに限定されないことを理解すべきである。実施例、ならびに明細書の残りの部分におけるすべての部及びパーセンテージは、特に明記しない限りは、重量基準である。
【0050】
更に、本発明の様々な面を説明し若しくは特許請求している、本明細書で記載している若しくは下記段落で記載している任意の範囲の数(特性の特定の一組、測定の単位、条件、物理的状態若しくはパーセンテージを示している)も、参照により明確に本明細書に文字通りに組み込まれることを意図しているか、又は、前記範囲内にある任意の数は、そのように記載されている任意の範囲の中に包含される数若しくは範囲の任意のサブセットを含む。「約」という用語は、変数に関する又は変数と関連のある修飾語として使用される場合、本明細書で開示される数及び範囲には幅があるということ、また、その範囲外にある又は単一値とは異なる温度、濃度、量、含量、炭素数、及び特性を使用して当業者が本発明を実施しても、所望の結果が達成される、すなわち、フルオロプロペンを調製する方法及び前記方法で使用される反応体を調製する方法が達成されることを示している。
【実施例】
【0051】
実施例1
三つ口丸底フラスコ(5L)、機械式撹拌装置、還流冷却器、及び低温コールドトラップから成る反応構成に、3000mlのアセトニトリル及び9.9モル(504g)のKOHペレットを加えた。混合した後、5.1モル(684g)のHFC−245faをディップ管から加えた。試薬は、激しく撹拌しながらゆっくりと加熱した。反応は、60℃で観察された。粗生成物は、コールドフィンガーで捕集した。粗製物質をGCで分析すると、好収率のHFC−1234zeから成っていた。
【0052】
実施例2
5モル(752g)のHCFC−244faをディップ管からアセトニトリル/苛性アルカリ溶液に加える以外は、実施例1を繰り返す。試薬は、激しく撹拌しながらゆっくりと加熱した。反応は、実施例1での温度に比べてわずかに低い温度で観察される。粗生成物は、コールドフィンガーで捕集した。粗製物質をGCで分析すると、好収率のHFC−1234zeから成っていた。
【0053】
実施例3
フルオロポリマーで裏張りされた50ガロンの反応器に、75ポンドの液体SbClフッ素化触媒を入れた。その反応器に、構造化されたパッキングと還流冷却器とを含む直径6インチ x 長さ8フィートの触媒ストリッパを取り付けた。まず最初に、充分量のフッ化水素(HF)を加えることによって、触媒をフッ素化した。その反応器を、80〜95℃まで加熱し、そして150〜180psigの圧力にした。気体HFをスパージャから23〜28ポンド/時の流量で連続的に反応器に供給し、また、液体1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa)を40〜50ポンド/時の流量で連続的に供給した。Clを反応混合物に連続的に1.5〜2.0ポンド/時で加えて、触媒活性を保った。還流冷却器から出る気体を、KOH溶液を含むスクラバーを通過させて、過剰のHF及び反応中に発生するHClを除去した。スクラバー後に数千ポンドの粗生成物が捕集され、そしてそれをGCで分析した。以下の表は、GC面積%での粗生成物の主成分に関する分析である。材料をKOH溶液を含むスクラバーを通過させた後でのHFC1234zeの存在に注目されたい。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例4
約132g(約1.33g/ccのかさ密度)の酸化クロム(III)触媒を、直径1インチのMonel管の反応器に入れた。触媒は、使用前に、乾燥させ、HFで前処理した。無水HFを反応器に供給しながら、反応器を約300℃の反応温度まで予熱した。
反応器が所望の温度及び圧力に達したら、有機供給原料(HCC−240)の供給を開始した。次に、HF及び有機供給原料を、所望の割合に調整した。HCFC244fa及びHFC−245faが、他の部分的にフッ素化された種、例えば1233zd、1234ze及び243faと一緒に、反応器流出生成物中に見出された。
【0056】
実施例5
典型的実験において、2.54cm x 81cmのMonel(登録商標)反応器を使用する。活性炭上に担持されたFeCl触媒を約500ml反応器中に充填した。1リットル/時の窒素流下で反応器を150℃に加熱して、触媒を4時間乾燥させた。次いで、反応器の温度を、同じ窒素流下で250℃に加熱し、そして244faを1g/分で反応器に供給し、それと同時に窒素流を止めた。HFC−1234zeは、反応器の放出口におけるインラインGCの使用によって、98%の選択性及び95%のシングルパス転化率(single pass conversion)であることが分かった。
【0057】
実施例6
245faを供給原料として使用する以外は、実施例5に記載した同じ実験を繰り返す。反応器の出口では、1234zeが、95%の選択率及び85%のシングルパス転化率で見出される。
【0058】
上記明細書において、本発明の原理、好適な実施形態及び運転モードを説明した。しかしながら、本明細書で保護しようとする本発明が、開示された特定の形態に限定されると解釈すべきではない。なぜならば、それらは、限定ではなく、例示と考えられるからである。バリエーション及び変更は、本発明の精神から逸脱することなく、当業者によって行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から成る群より選択されるハロゲンであり;そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを調製するための脱ハロゲン化水素法であって;下式:
【化1】

(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下で、R、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から成る群より選択されるハロゲンである)で表されるハロプロパンと、該ハロプロパンと実質的に相溶性である、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物のための非水非アルコール溶媒中で、少なくとも1種のアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の苛性アルカリ溶液とを触媒を使用せずに反応させる工程を含み、そしてその場合、該反応が、脱ハロゲン化水素が起こる温度範囲内で行われることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
該反応体が、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
該反応体が、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
該反応体が、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの両方を含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
該苛性アルカリ溶液が、LiOH、NaOH、KOH、CaO、Ca(OH)、CaCO、石灰石又はそれらの組み合わせを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
該苛性アルカリ溶液溶媒を、ニトリル、エーテル、エステル、アミド、ケトン、スルホキシド、ホスフェート及びカルボキシレートから成る群より選択する請求項1記載の方法。
【請求項7】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、アセトニトリルである請求項1記載の方法。
【請求項8】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、ジエチルエーテルである請求項1記載の方法。
【請求項9】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、テトラヒドロフランである請求項1記載の方法。
【請求項10】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、ペルフルオロテトラヒドロフランである請求項1記載の方法。
【請求項11】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、酢酸メチルである請求項1記載の方法。
【請求項12】
該苛性アルカリ溶液溶媒が、酢酸エチルである請求項1記載の方法。
【請求項13】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンの該脱塩化水素及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの該脱フッ化水素を、同じ反応器で同時に行う請求項1記載の方法。
【請求項14】
該反応を、約20℃〜約150℃の温度で行う請求項1記載の方法。
【請求項15】
該反応を、大気圧又は真空下で行う請求項1記載の方法。
【請求項16】
該反応を、過圧で行う請求項1記載の方法。
【請求項17】
該苛性アルカリ溶液の苛性アカリ濃度が、約2重量%〜約100重量%である請求項1記載の方法。
【請求項18】
苛性アルカリ対ハロプロパンのモル比が、約1:1〜約20:1である請求項1記載の方法。
【請求項19】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び/又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、フッ素化触媒の存在下、気相において、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素でフッ素化することによって前もって調製する請求項1記載の方法。
【請求項20】
該フッ素化触媒を、活性炭又はフッ素化アルミナ上に担持された遷移金属ハロゲン化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項19記載の方法。
【請求項21】
該フッ素化触媒を、SbCl、SbCl、SbF、TaCl、SnCl、NbCl、TiCl、MoCl、Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/A1、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項19の方法。
【請求項22】
該フッ素化触媒を、Cr、Cr/炭素、Cr/AlF、CoCl/AlF、NiCl/AlF及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項19記載の方法。
【請求項23】
該フッ素化触媒が、活性炭上に担持されたSbCl又はSbClを含む請求項19記載の方法。
【請求項24】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び/又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、フッ素化触媒の存在下、液相において、フッ化水素で1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ素化することによって前もって調製する請求項1記載の方法。
【請求項25】
該フッ素化触媒を、遷移金属ハロゲン化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項24記載の方法。
【請求項26】
該フッ素化触媒を、SbCl、SbCl、SbF、TaCl、SnC1、NbCl、TiCl、MoCl及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項24記載の方法。
【請求項27】
該フッ素化触媒を、SbC1、SbCl及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項24記載の方法。
【請求項28】
該フッ素化を、約100℃〜約350℃の温度で行う請求項19記載の方法。
【請求項29】
該フッ素化を、大気圧又は真空下で行う請求項19記載の方法。
【請求項30】
該フッ素化を、約5〜約760トルの真空下で行う請求項29記載の方法。
【請求項31】
該フッ素化を、過圧で行う請求項19記載の方法。
【請求項32】
フッ化水素対1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンのモル比が、約2:1〜約100:1である請求項19記載の方法。
【請求項33】
該フッ素化反応に塩素を供給して、該フッ素化触媒を活性に保つ工程を更に含む請求項19記載の方法。
【請求項34】
該フッ素化を、約60℃〜約180℃の温度で行う請求項24記載の方法。
【請求項35】
該フッ素化を、約50psig〜約400psigの圧力で行う請求項24記載の方法。
【請求項36】
該フッ化水素対1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンのモル比が、約2:1〜約100:1である請求項24記載の方法。
【請求項37】
該フッ素化反応に塩素を供給して、該フッ素化触媒を活性に保つ工程を更に含む請求項24の記載方法。
【請求項38】
次式CFCY=CX(式中、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から成る群より選択されるハロゲンであり;そしてN及びPは、独立に、(N+P)=2という条件下で0,1又は2に等しい整数である)で表されるフルオロプロペンを調製するための脱ハロゲン化水素法であって;熱分解による脱ハロゲン化水素が起こる温度まで、下式:
【化2】

(式中、R、R、X及びYのうちの少なくとも1つは、ハロゲンであり、そして隣接している炭素原子上に少なくとも1つの水素及び1つのハロゲンが存在しているという条件下でR、R、X及びYは、独立に、水素であるか、又はフッ素、塩素、臭素及び沃素から選択されるハロゲンである)で表されるハロプロンを加熱する工程を含む前記方法。
【請求項39】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを脱塩化水素し且つ/又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素するのに充分な条件下で、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び1,1,,3,3−ペンタフルオロプロパンのうちの少なくとも1つを含む反応体を熱分解して、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む反応生成物を形成する工程を含む1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項40】
該分解を、触媒を使用せずに行う請求項39記載の方法。
【請求項41】
該分解を、遷移金属ハロゲン化物及び遷移金属酸化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する触媒を使用して行う請求項39記載の方法。
【請求項42】
該触媒を、ハロゲン化鉄、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化コバルト及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項41記載の方法。
【請求項43】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンを脱塩化水素して、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む反応生成物を形成する請求項40記載の方法。
【請求項44】
1,1,,3,3−ペンタフルオロプロパンを脱フッ化水素して、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む反応生成物を形成する請求項40記載の方法。
【請求項45】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパンの該脱塩化水素及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの該脱フッ化水素を、同じ反応器で同時に行う請求項40記載の方法。
【請求項46】
約30℃〜約400℃の温度で行われる請求項39記載の方法。
【請求項47】
約50℃〜約350℃の温度で行われる請求項39記載の方法。
【請求項48】
約75℃〜約300℃の温度で行われる請求項39記載の方法。
【請求項49】
大気圧又は真空下で行われる請求項39記載の方法。
【請求項50】
過圧で行われる請求項39記載の方法。
【請求項51】
該触媒の存在下で行われる請求項38記載の方法。
【請求項52】
該触媒を、担持された又はバルクの遷移金属ハロゲン化物及び遷移金属酸化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項51記載の方法。
【請求項53】
該触媒が、担持された又はバルクのFeCl、FeCl、NiCl又はCoClを含む請求項52記載の方法。
【請求項54】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び/又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、フッ素化触媒の存在下、気相において、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素でフッ素化することによって前もって調製する請求項39記載の方法。
【請求項55】
該フッ素化触媒を、活性炭又はフッ素化アルミナ上に担持された遷移金属ハロゲン化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項19記載の方法。
【請求項56】
該フッ素化触媒を、SbCl、SbCl、SbF、TaCl、SnCl、NbCl、TiCl、MoCl、Cr、Cr/Al、Cr/AlF、Cr/炭素、CoCl/Cr/Al、NiCl/Cr/Al、CoCl/AlF、NiCl/AlF及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項54記載の方法。
【請求項57】
該フッ素化触媒を、Cr、Cr/炭素、Cr/AlF、CoCl/AlF、NiCl/AlF及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項54記載の方法。
【請求項58】
該フッ素化触媒が、活性炭上に担持されたSbCl又はSbClを含む請求項54記載の方法。
【請求項59】
該フッ素化を、約100℃〜約350℃の温度で行う請求項54記載の方法。
【請求項60】
該フッ素化を、大気圧又は真空下で行う請求項54記載の方法。
【請求項61】
該フッ素化を、過圧で行う請求項54記載の方法。
【請求項62】
該フッ化水素対1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンのモル比が、約2:1〜約100:1である請求項54記載の方法。
【請求項63】
該フッ素化反応に塩素を供給して、該フッ素化触媒を活性に保つ工程を更に含む請求項54の方法。
【請求項64】
1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン及び/又は1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを、フッ素化触媒の存在下、液相において、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素でフッ素化することによって前もって調製する請求項39記載の方法。
【請求項65】
該フッ素化触媒を、遷移金属ハロゲン化物、IVb族金属ハロゲン化物、Vb族金属ハロゲン化物及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項64記載の方法。
【請求項66】
該フッ素化触媒を、SbCl、SbCl、SbF、TaCl、SnC1、NbCl、TiCl、MoCl及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項65記載の方法。
【請求項67】
該フッ素化触媒を、SbCl、SbCl及びそれらの組み合わせから成る群より選択する請求項66記載の方法。
【請求項68】
該フッ素化を、約60℃〜約180℃の温度で行う請求項64記載の方法。
【請求項69】
該フッ素化を、約50psig〜約400psigの圧力で行う請求項64記載の方法。
【請求項70】
該フッ化水素対1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンのモル比が、約2:1〜約100:1である請求項64記載の方法。
【請求項71】
該フッ素化反応に塩素を供給して、該フッ素化触媒を活性に保つ工程を更に含む請求項64の方法。
【請求項72】
該苛性アルカリ溶液が、該苛性アルカリ溶液溶媒と少なくとも部分的に相溶性である量で1〜5個の炭素原子を有するアルコールを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項73】
該苛性アルカリ溶液が、該苛性アルカリ溶液溶媒と少なくとも部分的に相溶性である量で水を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項74】
連続法で行われる請求項1記載の方法。
【請求項75】
該方法を連続法で行う請求項35記載の方法。

【公開番号】特開2010−215659(P2010−215659A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142786(P2010−142786)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【分割の表示】特願2006−538129(P2006−538129)の分割
【原出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】