説明

フレキシブルプリント配線基板の製造方法

【課題】印刷領域が大きなフレキシブルプリント配線基板でも、ソルダーレジストのスクリーン印刷の際に、印刷パターンにインク飛び散りや滲み印刷不良が発生し難く、良好な印刷品質を確保できるフレキシブルプリント配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線基板4にソルダーレジスト9をスクリーン印刷する工程を含むフレキシブルプリント配線基板4の製造方法において、先ず、スキージ7摺動開始側の印刷テーブル2上面、又はスクリーン版8下面の所定位置に、印刷テーブル2とスクリーン版8とのクリアランス値よりも高さが低い板状の突起部1を取り付け、次に、該印刷テーブル2上にフレキシブルプリント配線基板4を載置し、スクリーン版8を0.5mm以上のクリアランスを持たせて当接した後、引き続き、スキージ7を摺動させて、該スクリーン版8を介してソルダーレジスト9を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線基板の製造方法に関し、TCP(Tape Carrier Package)基板、COF(Chip On Film)基板のように印刷領域が大きなフレキシブルプリント配線基板でも、ソルダーレジストのスクリーン印刷の際、印刷パターンにインク飛び散りや滲み印刷不良が発生し難く、良好な印刷品質を確保できるフレキシブルプリント配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線用基板は、ハードディスクの読み書きヘッドやプリンターヘッドなどの屈折特性や屈曲特性を必要とする電子機器やデジタルカメラ内の屈折配線などに広く用いられている。銅箔などの導電性金属が被着されたポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、PETフィルム等の絶縁性樹脂フィルム基材が用いられ、不要な金属層を除去して配線回路を形成し、回路保護のために、該フィルム基材表面にソルダーレジストが印刷される。
【0003】
従来、フレキシブルプリント配線用基板にソルダーレジストを印刷するには、スクリーン印刷機を用いて以下のような方法で行われていた。先ず、粘性材料であるソルダーレジストをスクリーン版上に載せ、スキージをスクリーン版上面に沿って摺動する。ソルダーレジストは、エポキシ系またはポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂から主に構成され、印刷パターンとなるスクリーン版に形成された乳剤開口部を通してフレキシブルプリント配線基板上に移行して、転写される。
その後、ソルダーレジストが塗布されたフレキシブルプリント配線基板を加熱処理して、ソルダーレジストを硬化する。
【0004】
スクリーン印刷機としては、例えば下記特許文献1で提案され図6に示されているような印刷機がある。すなわち、このスクリーン印刷機では、Y軸テーブル12、X軸テーブル14、θ軸テーブル16及びZ軸テーブル18が積層されて成る位置決め部上に保持部20が設けられており、該保持部20上には、配線パターンが形成された基板面を上面として配線基板4が載置され、クランパによって昇降可能な枠体24によって保持されている。
【0005】
スクリーン版8は、開口部を有しており、配線基板4上に位置した後、昇降可能に設けられているスキージ7によって塗布されるインクで配線基板4上に所定形状のパターンを形成する。
さらに、位置決め部の側方には、スクリーン版8の下面をクリーニングするクリーニングユニット34が設けられ、クリーニングテープ40をスクリーン版8の配線基板面側に当接させつつ、供給リール36から引取リール38の方向にレール32上を移動して、スクリーン版8の配線基板面側のクリーニングを行うようにしている。
【0006】
スクリーン印刷が施される配線基板の基板面は、配線パターンによって凹凸面に形成されている。かかる凹凸面に形成された配線基板に、スクリーン印刷を施す際には、配線基板の基板面にスクリーン版8を被着し、スキージ7でスクリーン版8を押圧しつつ、インクを塗布する。ところが、スクリーン版8は、この様にスキージ7の押圧力によって押圧されるものの、配線パターンの形状に倣って変形されない。このため、スクリーン版8に形成したパターンとしての開口部の端縁近傍では、スクリーン印刷を施す印刷領域の境界近傍に位置する配線パターンの側方に空間部が形成される。
【0007】
かかる空間部には、スキージ7によって塗布される印刷インクが、パターンとしての開口部の端縁から入り込み易い。このため、スクリーン版8を配線基板の基板面から上昇させたとき、配線パターンの側方にインクの滲み出し部が形成されると共に、スクリーン版8の裏面にも、パターンの端縁から延びる滲み出し部が転写される。
かかる滲み出し部が生じた状態でスクリーン印刷が繰り返されると、スクリーン版8の滲み出し部が拡大し、配線基板の印刷領域外に、スクリーン版8の滲み出し部の転写に因る滲み出し部が発生する。こうして配線基板の印刷領域外に滲み出し部が生じると、配線基板は製品にならない。
【0008】
この現象は、粘性の低いインクを用いた場合、印刷中に開口部11から流出してマスク8と被印刷物4との間に滲み出して生じることから、スクリーン印刷マスクの被印刷物に対向する印刷面側のインク吐出部である開口部近傍の周辺に、凹溝からなるインクダムを設けることが提案されている(特許文献2参照)。
そして、この凹溝からなるインクダムを設けることにより、マスクの開口部から流出して、マスクと被印刷物の間に滲み出したインクが、前記インクダムに保持されるため、該インクダムより外側にインクが伸延してインクパターンが大きくなったり、部分的にインクパターンが大きく崩れることを防止することが可能となった。しかしながら、印刷領域が大型化すると、インクダムを設けてもソルダーレジストの印刷パターンに発生する印刷不良を十分には抑制できなかった。
【0009】
TCPやCOF基板の単位配線パターンは、一般的に幅156〜158mmの長尺状フィルム上に35mm幅単位で4列或いは48mm幅単位で3列配置されており、一回の印刷操作において縦140〜144mm×横50〜170mmの範囲に一括してソルダーレジストが印刷される。スクリーン版と印刷テーブルとの隙間(クリアランス)は、所定の間隔が必要とされ、例えば、枠サイズが320〜450mm角のスクリーン版を用いる場合、クリアランスは0.5〜3.0mmとすることが一般的である。
【0010】
通常、クリアランスを大きくすれば滲み不良は減少するものの、飛び散り不良やカスレ不良が発生し易くなる傾向にあり、また、クリアランスを小さくすれば飛び散り不良やカスレ不良は減少するものの滲み不良が発生し易くなる傾向にあることから、各不良の発生状況を見ながらバランスの良いクリアランスを最適に設定する必要があって、印刷工程で発生する印刷パターン不良を低減し難い状況にあった。また、印刷領域の大型化に伴い、印刷領域の端と中心部で印刷状態が異なるという不具合も発生している。
【0011】
このようなことから、印刷領域が大型化しても、スクリーン版と印刷テーブルとのクリアランスの調整によることなく、ソルダーレジストの印刷パターンに発生する印刷不良を十分に抑制でき、良好な印刷品質を確保しうる方法が切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−122613号公報
【特許文献2】特開平10−329444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記課題に鑑み、TCP基板やCOF基板のように印刷領域が大きなフレキシブルプリント配線基板でも、ソルダーレジストのスクリーン印刷の際に、印刷パターンにインク飛び散りや滲み印刷不良が発生し難く、良好な印刷品質を確保できるフレキシブルプリント配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、基板に対して0.5mm以上のクリアランスを持たせてスクリーン版を当接させ、スクリーン版を介してソルダーレジストを基板に印刷するスクリーン印刷方法において、印刷テーブルの手前側に特定のサイズを有する板状の突起部を設け、その突起部を最適な位置に配置することで、ソルダーレジスト滲み及びソルダーレジスト飛び散りといった発生条件が相反する不良現象を併せて低減することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線基板にソルダーレジストをスクリーン印刷する工程を含むフレキシブルプリント配線基板の製造方法において、先ず、スキージ摺動開始側の印刷テーブル上面、又はスクリーン版下面の所定位置に、印刷テーブルとスクリーン版とのクリアランス値よりも高さが低い板状の突起部を取り付け、次に、該印刷テーブル上にフレキシブルプリント配線基板を載置し、ソルダーレジスト塗布部以外の領域が乳剤によってマスキングされたスクリーン版を0.5mm以上のクリアランスを持たせて当接した後、引き続き、スキージを摺動させて、該スクリーン版を介してソルダーレジストを印刷することを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、フレキシブルプリント配線基板が、TCP(Tape Carrier Package)基板、又はCOF(Chip On Film)基板であることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、突起部の高さHが、0.5〜2.5mmであることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、突起部の幅Aが、突起部の高さHから下記の式(1)により計算値Wとして求められ、かつ式(2)の条件を満たすことを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
W=20・H−100・H+155 ・・・(1)
0.8W≦A≦1.2W ・・・(2)
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、突起部の長さBが、ソルダーレジストの塗布領域の長さよりも大きいことを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、突起部が、印刷領域の手前側、40〜60mmの距離Cに取り付けられることを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、印刷領域が大型化しても印刷性を良好に保つことができ、ソルダーレジスト滲み及びソルダーレジスト飛び散りといった発生条件が相反する不良現象を併せて低減することが可能となる。
これにより、従来の印刷条件をそのまま適用しつつ印刷パターンを良好に形成でき、作業性の向上が図れ、良好な印刷品質のフレキシブルプリント配線基板を安定的に生産できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における印刷テーブルの上面を模式的に示した平面図である。
【図2】本発明の一実施形態における印刷テーブルを模式的に示す断面側面図である。
【図3】従来の印刷方法における印刷テーブルの上面を模式的に示した平面図である。
【図4】従来の印刷方法における印刷テーブルを模式的に示す断面側面図である。
【図5】従来の印刷工程によって配線基板にインクが塗布される状態を模式的に示す断面側面図である。
【図6】従来の印刷方法において一般的なスクリーン印刷機の断面を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線基板にソルダーレジストをスクリーン印刷する工程を含むフレキシブルプリント配線基板の製造方法において、先ず、スキージ摺動開始側の印刷テーブル上面、又はスクリーン版下面の所定位置に、印刷テーブルとスクリーン版とのクリアランス値よりも高さが低い板状の突起部を取り付け、次に、該印刷テーブル上にフレキシブルプリント配線基板を載置し、ソルダーレジスト塗布部以外の領域が乳剤によってマスキングされたスクリーン版を0.5mm以上のクリアランスを持たせて当接した後、引き続き、スキージを摺動させて、該スクリーン版を介してソルダーレジストを印刷することを特徴とする。
【0020】
(実施の形態1)
本発明において、配線回路パターンが形成されたフレキシブルプリント配線基板がセットされた印刷機において、先ず、図1に示すようにスキージ摺動開始部側の印刷テーブル上に所定サイズの突起部を形成する。
【0021】
この突起部は、合成樹脂、軽金属、セラミックなどの材料を用いて、以下の要領で形成する。合成樹脂であれば、外力によって変形しにくい硬質の材料でなければならず、硬質ポリウレタンや、メチルメタクリレートなどの硬質樹脂が好ましい。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンのような比較的軟質の樹脂であっても、ガラス粉やワラストナイトのような無機粉末、ガラス繊維、炭素繊維などの短繊維を混入するか、長繊維と多層化することで硬質化してもよい。硬度は、ショア硬度(反発式硬さ試験機の一種であるショア硬さ試験機により測定した硬さ)が80以上であることが望ましい。これは、突起部がある程度の硬度を有していないと、スクリーン印刷の際、スキージで突起部がスクリーン版に繰り返し押し付けられるので、印刷時に突起部が変形し、その変形により印刷精度が低下するからである。
【0022】
突起部になる材料の成形方法は、特に制限されるわけではないが、通常、原料を所定の大きさの型に射出あるいは押出して成形する。突起が高すぎた場合、あるいは突起の幅や長さが大きすぎた場合には、成形された板状体を切断・切削して、寸法を調整する。
軽金属としては、アルミニウム板、あるいはアルミニウムと亜鉛、スズ、ニッケル、鉄などとの合金板が挙げられ、セラミックの場合は、ガラスやカーボンなどの板状体が挙げられる。
【0023】
突起部の長さBは、印刷領域よりも長くすることが望ましく、印刷領域の長さプラス20mm程度とすることが好ましい。突起部の長さが印刷領域よりも大きくないと、局所的にクリアランスを大きくしたときと同じ効果が得られない。突起部の長さは、具体的には50〜170mmの範囲が好ましく、60〜150mmで形成するのがより好ましい。
【0024】
突起部の高さHは、クリアランスに応じて設定し、クリアランス値以下の大きさとすることが望ましく、特に設定クリアランス値よりも0.1mm程度低くすることが好ましい。クリアランス値よりも大きくすると、ソルダーレジスト飛び散り等の印刷不具合が発生し易くなり、小さすぎると突起部の効果が得られない。
具体的には、枠サイズが320〜450mm角のスクリーン版を用いる場合、クリアランス値を0.6〜3.0mmとすることが一般的であり、印刷物の状態を確認しながら適宜調整されている。そのため、突起部の高さを0.5〜2.9mmの範囲で形成することが好ましく、0.5〜2.5mmの範囲とすることがより好ましい。
【0025】
突起部の幅Aは、突起部の高さに応じて設定し、突起部の高さHから下記の式(1)により計算値Wとして求め、かつ式(2)の条件を満たす大きさとすることが望ましい。この範囲から外れた幅では印刷性向上の効果が得られ難くなる。
W=20・H−100・H+155 ・・・(1)
0.8W≦A≦1.2W ・・・(2)
W:突起部の幅[mm]
H:突起部の高さ[mm](0.5≦H≦2.5)
なお、式(1)は、数多くの実験に基づき、経験式として誘導されたものである。
突起部の幅Aは、具体的には20〜90mmの範囲で形成することが望ましく、30〜75mmの範囲が好ましい。
【0026】
次に、上記突起部をスクリーン印刷機の印刷テーブル上に載せて、接着剤で接着する。接着剤の種類は特に限定されないが、少量の塗布で効果がある接着力の高いものが好ましい。例えば、東亜合成化学(株)製の瞬間強力接着剤アロンアルファ(登録商標)、あるいは、アロンアルファに対し、同社製のアロンアルファ専用硬化促進剤(aaセッター20)を混合したものなどが挙げられる。接着工程の前処理としてプライマー処理を行うこともできる。このようなプライマー処理では、プライマー液、例えば東亜合成化学株式会社のアロンポリプライマー(アロンアルファの前処理剤)、高圧ガス工業株式会社のシアノンプライマーなどが使用できる。
【0027】
突起部をスクリーン印刷機の印刷テーブル上に接着剤で接着する際、突起部と印刷領域の位置(距離C)は、40〜60mmとすることが望ましく、40〜50mmとすることが好ましい。40mmよりも短いと印刷端部でのソルダーレジスト飛び散りが発生し易くなり、60mmよりも長いとソルダーレジスト滲み発生を抑制する効果が得られ難い。なお、印刷領域と突起部の長さ方向の中心位置は揃えておくことが望ましい。
【0028】
次に、印刷テーブル上にフレキシブルプリント配線基板を載置し、ソルダーレジスト塗布部以外の領域が乳剤によってマスキングされたスクリーン版を0.5mm以上のクリアランスを持たせて当接した後、引き続き、スキージを摺動させて、該スクリーン版を介してソルダーレジストを印刷する。
【0029】
TCPやCOF基板の単位配線パターンは、一般的に幅156〜158mmの長尺状フィルム上に35mm幅単位で4列或いは48mm幅単位で3列配置されており、一回の印刷操作において縦140〜144mm×横50〜170mmの範囲に一括してソルダーレジストを印刷する。枠サイズが320〜450mm角のスクリーン版を用いる場合、クリアランスは0.5〜3.0mmとする。
スクリーン印刷を施す際には、配線基板の基板面にスクリーン版8を被着し、スキージ7でスクリーン版8を押圧しつつ、インクを塗布する。
これにより、印刷領域において局所的にクリアランスを大きくしたときと同じ効果を得られ、良好な印刷性を確保することができ、TCPやCOF基板において印刷領域がさらに大型化しても印刷不良を低減することが可能となる。
【0030】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では突起部を印刷テーブル上面に形成したが、突起部をスクリーン版の下面に形成してよい。突起部のサイズは上記と同じであり、突起部をスクリーン印刷機の印刷テーブル上に接着剤で接着する際、突起部と印刷領域の距離Cも、上記と同じく、40〜60mmとすることが望ましい。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、本発明の趣旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂の板状体を用意して、高さ2.5mm、幅30mm、長さ170mmの突起部を作製した。次に、この突起部をスクリーン印刷機の印刷テーブル上面に、突起部が、印刷領域の手前側、60mmとなる位置に接着剤で取り付けた。
このスクリーン印刷機を用いて、幅160mmの長尺状フィルム上に50mm幅単位で3列配置された単位配線パターンを、一回の印刷操作において縦145mm×横150mmの範囲に一括してソルダーレジストを印刷した。印刷テーブルとスクリーン版とのクリアランス値は2.6mmとした。この印刷操作を30回繰り返したが、ソルダーレジスト飛び散りが発生せず、ソルダーレジスト滲み発生を抑制することができた。
【0033】
(実施例2)
突起部のサイズが実施例1とは異なり、高さ0.5mm、幅110mm、長さ170mmになるように作製した以外は同様にして実験した。突起部は、スクリーン印刷機の印刷テーブル上面に、突起部が、印刷領域の手前側、60mmとなる位置に接着剤で取り付けた。印刷操作を30回繰り返したが、ソルダーレジスト飛び散りが発生せず、ソルダーレジスト滲み発生を抑制することができた。
【0034】
(実施例3)
実施例2と同じ突起部を長さが100mmになるように切断して、これを用い同様にして実験した。印刷操作を30回繰り返したところ、ソルダーレジスト飛び散りが僅かに発生したが、印刷特性への影響はなかった。
【0035】
(実施例4)
実施例1と同じ突起部を用い、スクリーン印刷機の印刷テーブル上面に、突起部が、印刷領域の手前側、40mmとなる位置に接着剤で取り付けた。
このスクリーン印刷機を用いて、実施例1と同様に、幅160mmの長尺状フィルム上に50mm幅単位で3列配置された単位配線パターンを、一回の印刷操作において縦145mm×横150mmの範囲に一括してソルダーレジストを印刷した。この印刷操作を30回繰り返したが、ソルダーレジスト飛び散りが発生せず、ソルダーレジスト滲み発生を抑制することができた。
【0036】
(従来例1)
上記したような突起部を用いないで、実施例1と同様に、幅160mmの長尺状フィルム上に50mm幅単位で3列配置された単位配線パターンを、一回の印刷操作において縦145mm×横150mmの範囲に一括してソルダーレジストを印刷した。この印刷操作を5回繰り返した時点で、ソルダーレジストの飛び散りが発生し、それ以降、ソルダーレジスト滲み発生個所が拡大した。
【符号の説明】
【0037】
1 突起部
2 印刷テーブル(スキージ摺動開始側)
3 印刷テーブル(スキージ摺動終了側)
4 フレキシブルプリント配線基板
5 印刷領域
6 単位回路領域
7 スキージ
8 スクリーン版
9 ソルダーレジスト
10 吸着保持ステージ
11 開口部
A 突起部の幅
B 突起部の長さ
H 突起部の高さ
C 突起部と印刷領域の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンが形成されたフレキシブルプリント配線基板にソルダーレジストをスクリーン印刷する工程を含むフレキシブルプリント配線基板の製造方法において、
先ず、スキージ摺動開始側の印刷テーブル上面、又はスクリーン版下面の所定位置に、印刷テーブルとスクリーン版とのクリアランス値よりも高さが低い板状の突起部を取り付け、次に、該印刷テーブル上にフレキシブルプリント配線基板を載置し、ソルダーレジスト塗布部以外の領域が乳剤によってマスキングされたスクリーン版を0.5mm以上のクリアランスを持たせて当接した後、引き続き、スキージを摺動させて、該スクリーン版を介してソルダーレジストを印刷することを特徴とするフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
フレキシブルプリント配線基板が、TCP(Tape Carrier Package)基板、又はCOF(Chip On Film)基板であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
突起部の高さHが、0.5〜2.5mmであることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法が提供される。
【請求項4】
突起部の幅Aが、突起部の高さHから下記の式(1)により計算値Wとして求められ、かつ式(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
W=20・H−100・H+155 ・・・(1)
0.8W≦A≦1.2W ・・・(2)
【請求項5】
突起部の長さBが、ソルダーレジストの塗布領域の長さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
【請求項6】
突起部が、印刷領域の手前側、40〜60mmの距離Cに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−182728(P2010−182728A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22548(P2009−22548)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】