説明

フレキシブル回路基板及びその製造方法

【課題】ロボットの可動部等、伸縮可能な配線が要求される場合において、簡易な構成で配線を伸縮及び/又はねじり変形させることが可能であって、かつ、軽量化、小型化に優れると共に、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくいフレキシブル回路基板、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶ポリマーからなる絶縁フィルム2、絶縁フィルム2上に形成された配線層3A、及び配線層3A上に形成された液晶ポリマーからなる絶縁層4を有するフレキシブル回路基板1において、スパイラル状に成形されたスパイラル部5が少なくとも一部に設けられており、スパイラル部5において伸縮可能及び/又はねじり変形可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル回路基板及びその製造方法に関する。更に詳しくは、通信・映像機器等の各種電子機器をはじめ、自動車や航空機、ロボット等に取り付けられる構成部品間の接続、又は実装部品を実装した実装回路基板、特に、ロボットの可動部等の伸縮性が要求される部位に使用可能なフレキシブル回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットの発展が著しく、多彩な動きをするロボットが登場しつつある。また、人体や衣服に装着可能なウエアラブル電子機器も、様々な機器が開発されている。これらのロボットやウエアラブル電子機器には、動力供給用や信号伝送用の電線が多数使用されているが、一般的に電線は銅線を芯とし、その外周を絶縁体で被覆した構造になっているので、電線自体に伸縮性はほとんど無い。このため、ロボットや人体の動きを妨げないように余裕を持たせて電線を配線する必要があり、このことが装置設計上及び実用上の障害となることが多い。
【0003】
そこで従来より、装置設計上及び実用上の障害を回避すべく、伸縮可能に構成された電線への要求がある。特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置などの機器においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサーからの信号を伝送するための電線が多数配線されており、多自由度関節における配線の自由度を高めるために、伸縮可能に構成された電線に対する要求がより高まりつつある。なお、関連する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−57792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来の技術には以下の課題がある。伸縮可能に構成された従来の電線の代表例として、コイル状に構成されたカールコードが挙げられる。しかし、カールコードは、固定電話機などに用いられているが、一般的に太くて重く、さらにカールコード同士が絡みやすいという問題があるため、多数の電線を使用するヒューマノイド型ロボットやパワーアシスト装置には適さない。
【0006】
一方、近年、産業用ロボットとしてアームロボットが多く使用されている。この種のアームロボットでは、ロボットアームの先端側に取り付けられているエンドエフェクタやロボットアームの関節部等に用いられる動力供給用や信号伝送用の電気ケーブルを、ロボットアームの根元側から先端側まで配線することが要求される。また、エンドエフェクタやロボットアームの関節部の駆動形式によっては、ロボットアームの根元側から先端側にかけて、エア(空圧)ホースや油圧ホースを配線する必要が生じることがある。
【0007】
そのため従来のアームロボットでは、関節部に電気ケーブル、エアホース、油圧ホースなどの各種ケーブルを配線した場合にケーブルの折れ曲がりや断線を防止すべく、ケーブルをロボットアームの関節部の基端寄り位置で一旦外側に出し、関節部の外側空間にケーブルを配置し、関節部よりも先端寄りとなる位置で再びアーム内に導入するといった配線手法が採用されている。
【0008】
また、アームロボットの関節部における関節回転中心位置に支持棒を設け、ケーブルが予め巻かれた支持棒をロボットアームの内部に収納することで、ケーブルの折れ曲がりや断線を防止する構成も知られている。具体的には、ロボットアームの関節部の回転動作時に、ケーブルにおいて支持棒に巻かれている部分を関節部の回転に応じて弾性的に伸縮させることで、ケーブルの折れ曲がりや断線を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
ところが、ロボットアームの外側空間にケーブルを配置する手法では、ロボットアームの関節部の周囲にケーブルを弛ませるための空間が必要になる。更に、ロボットアームの関節部の回転動作時にケーブルが無理な力を受けたり、ロボットアームに干渉したりすることで、ケーブルが損傷、断線する虞がある。
【0010】
また、特許文献1に開示されているように、関節回転中心位置に支持棒を設ける場合は、支持棒を別途設ける必要があることから製造コストの増加等につながり、さらにはケーブルの収納部の構造が複雑になるため、ケーブルの配線、メンテナンスの際の分解、又はケーブルの取り出しに非常に手間がかかるといった問題もある。即ち、上述した従来の構成では、ロボットの可動部等、伸縮可能な配線が要求される場合において、簡易な構成で配線を伸縮させることが可能であって、かつ、軽量化、小型化に優れると共に、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくい回路基板、及びその製造方法を提供することが不可能である。
【0011】
そこで本発明は、ロボットの可動部等、伸縮可能な配線が要求される場合において、簡易な構成で配線を伸縮させることが可能であって、かつ、軽量化、小型化に優れると共に、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくいフレキシブル回路基板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムと、
前記絶縁フィルム上に形成された配線層と、
前記配線層上に形成された熱可塑性樹脂からなる絶縁層と、
を有するフレキシブル回路基板において、
スパイラル状に成形されたスパイラル部が少なくとも一部に設けられており、
前記スパイラル部において伸縮可能及び/又はねじり変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、
フレキシブル回路基板を用いているので、従来の電線と比較すると、小型化、軽量化を達成することができる。また、フレキシブル回路基板が、少なくとも一部に設けられているスパイラル部において伸縮可能に構成されているので、例えば、部品間の小さなスペースに、縮んだ状態のフレキシブル回路基板を挿入することができる。即ち、フレキシブル回路基板の取付場所のデッドスペースを有効に利用して、装置の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。なお、スパイラル部は、フレキシブル回路基板に複数設けられていてもよく、例えば、フレキシブル回路基板のほぼ全体がスパイラル状に成形されていてもよい。この場合は、さらに優れた伸縮性を有することになる。
【0014】
また、本発明ではスパイラル部において伸縮可能に構成されているので、フレキシブル回路基板を伸縮させるために、例えば上述したような従来の支持棒等を設ける必要がない。よって、簡易な構成でフレキシブル回路基板を伸縮させることができる。また、本発明のスパイラル部は、スパイラル状に「成形された」部分である。つまり、フレキシブル回
路基板が変形する際にも、スパイラル形状が維持されるので、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくく、優れた接続信頼性を維持できる。なお、ここでいう「成形」とは、外部からの支持手段、補助手段を必要とせず、その物自体で形状を維持可能となるように形状が作られている状態をいう。
【0015】
さらには、本発明ではスパイラル部において伸縮可能のみならず、ねじり変形も可能であるので、フレキシブル回路基板の変形自由度をさらに向上させることができると共に、この場合も、スパイラル部全体がねじり変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。また、繰り返し収縮、伸張、又はねじられたとしても、配線層にかかる応力を基板全体で緩和することができるので、配線層の剥離、破断が生じる可能性が低く、優れた接続信頼性を維持することができる。
【0016】
さらに、本発明では、フレキシブル回路基板の絶縁フィルム、及び絶縁層が熱可塑性樹脂によって形成されているので、不要になったフレキシブル回路基板は、再度加熱することでその形状を元に戻すことができ、資源の再利用につながる。ここでいう「絶縁フィルム上に形成された配線層」とは、絶縁フィルム上に配線層が直接形成される場合のみならず、接着層等を介して絶縁フィルム上に配線層を設ける場合も含むものとする。
【0017】
また、
スパイラル部は、
周面の一部と周面の一部とが互いに重なるように成形されていると好適である。
【0018】
かかる構成によれば、フレキシブル回路基板が変形した場合もスパイラル部に隙間が生じにくいため、フレキシブル回路基板同士だけでなく、スパイラル部においてフレキシブル回路基板と他の配線とが絡むことを防止できる。また、フレキシブル回路基板の伸縮性をさらに確保することができるので、フレキシブル回路基板の取付場所のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。
【0019】
また、
スパイラル部は、
スパイラル部が成形されていない状態でフレキシブル回路基板に形成されている円弧形状部によって成形されていると好適である。
【0020】
かかる構成によれば、円弧形状部によってスパイラル部を構成するので、スパイラル部の中空部の径をほぼ一定とすることができる。その結果、例えばスパイラル部の中空部に別の配線等を通す場合に、その配線とスパイラル部とが干渉し合う可能性を低減できる。
【0021】
また、
熱可塑性樹脂とは、液晶ポリマーであると好適である。
【0022】
かかる構成によれば、比較的安価で、かつ成形容易な液晶ポリマーを用いることにより、フレキシブル回路基板の製造コストを抑えることが可能になる。
【0023】
また、
配線層は絶縁フィルムの両面に形成されており、
一方の面に形成された配線層を信号伝送用の信号線として用い、
他方の面に形成された配線層を動力供給用の電源線として用いると好適である。
【0024】
かかる構成によれば、大電流を流す、もしくは電圧を高くしても、動力供給用の電源線に使用する配線層の厚みを薄くすることができるので、フレキシブル回路基板をさらに軽
量化、小型化することができ、また、伸縮性、柔軟性を向上させることができる。
【0025】
また、
配線層は絶縁フィルムの両面に形成されており、
一方の面に形成された配線層を、信号伝送用の信号線または動力供給用の電源線の少なくとも一方として用い、
他方の面に形成された配線層をグランドパターンとして用いると共に、
スパイラル部において、一方の面よりも他方の面が外周側にくるように構成されていることを特徴とする。
【0026】
かかる構成によれば、スパイラル部において外周側にグランドパターンが配置されることになるので、グランドパターンがシールド層として機能することにより、内周側に配置されている信号線、電源線に、外部からのノイズが伝播することを防ぐことができる。
【0027】
また、スパイラル部は、
その中空部に別の配線を通すことが可能に構成されていることを特徴とする。
【0028】
かかる構成によれば、フレキシブル回路基板のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。
【0029】
また、上記目的を達成するために本発明にあっては、
フレキシブル回路基板の製造方法であって、
フレキシブル回路基板の両端にテンションを加えた状態で、円柱状の成形装置にフレキシブル回路基板を巻きつける第1の工程と、
フレキシブル回路基板において、成形装置に巻きつけられている部分を加熱してフレキシブル回路基板にスパイラル部を成形する第2の工程と、
を有していることを特徴とする。
【0030】
かかる製造方法によれば、比較的に簡易な製造方法によって、フレキシブル回路基板に対してスパイラル部を成形することができ、フレキシブル回路基板の製造コストを抑えることができる。
【0031】
また、
熱可塑性樹脂とは液晶ポリマーであって、
第2の工程では、
加熱温度が、前記フレキシブル回路基板の表面温度が150℃以上で、かつ液晶ポリマーの熱変形開始温度未満となる温度であって、
加熱時間が1時間以内である、
ことを特徴とする。
【0032】
かかる製造方法によれば、液晶ポリマーの熱変形開始未満の加熱温度で液晶ポリマーを加熱するので、液晶ポリマーが流動することがなく、フレキシブル回路基板の外観、性能を損なうことがない。また、フレキシブル回路基板の表面温度が150℃以上となる加熱温度であるので、液晶ポリマーに対してスパイラル部を確実に成形することができ、さらに、加熱が終わった後も中空部の径方向の大きさが維持され、スパイラル部が元の形状に戻ることはない。また、加熱時間が1時間以内であれば、生産効率を向上させることができると共に、長時間加熱することで生じる、液晶ポリマー変色、熱変形の問題、及び配線層の損傷を回避することが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、ロボットの可動部等、伸縮可能な配線が要求される場合において、簡易な構成で配線を伸縮及び/又はねじり変形させることが可能であって、かつ、軽量化、小型化に優れると共に、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくいフレキシブル回路基板、及びその製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るフレキシブル回路基板の概略構成図。
【図2】本発明に係るフレキシブル回路基板の製造方法を説明するための図。
【図3】本発明に係るフレキシブル回路基板の製造方法を説明するための図。
【図4】本発明に係るフレキシブル回路基板の概略構成図。
【図5】本発明に係るフレキシブル回路基板の製造方法を説明するための図。
【図6】本発明に係るフレキシブル回路基板の伸縮試験の方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0036】
[実施形態]
図1〜図6を参照して、本発明を適用可能な実施形態に係るフレキシブル回路基板、及びその製造方法について説明する。
【0037】
(1:フレキシブル回路基板の概略構成)
図1(a)、図1(b)、図4(a)を参照して、本実施形態に係るフレキシブル回路基板の概略構成について説明する。図1(a)、図1(b)、図4(a)は、それぞれ本実施形態に係るフレキシブル回路基板の概略構成を示すものである。
【0038】
図4(a)に示すように、フレキシブル回路基板1は、熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルム2と、絶縁フィルム2上に形成された配線層3Aと、配線層3A上に形成された熱可塑性樹脂からなる絶縁層4とを有している。配線層3Aは接着層8によって絶縁フィルム2上に接着されているが、接着層8を設けずに配線層3Aを直接絶縁フィルム2上に設ける構成であってもよい。
【0039】
さらに図1(a)に示すように、フレキシブル回路基板1には、少なくとも一部に、スパイラル状に成形されたスパイラル部5が設けられており、スパイラル部5において伸縮及び/又はねじり変形可能に構成されている。なお、図1(a)に示す符号6は、スパイラル部5の中空部を示すものであり、符号1Aは、フレキシブル回路基板1の両端に設けられている端子(配線層3Aと電気的に接続可能)を示すものである。
【0040】
また、図1(b)に示すように、フレキシブル回路基板1のスパイラル部5は、その周面の一部と周面の一部(隣り合うスパイラルのうちの、一方の外周面の一部と他方の内周面の一部)とが互いに重なるように成形されていてもよい。これによれば、フレキシブル回路基板1をさらに小型化しつつ、スパイラル部5における伸縮性をさらに向上させることが可能になるので、フレキシブル回路基板の取付場所のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。また、変形時もスパイラル部5において隙間が生じにくいので、他の配線とフレキシブル回路基板1とが絡み合うといった問題を回避することができる。
【0041】
配線層3Aは、圧延銅箔および電解銅箔等の公知の金属箔を、接着層8で絶縁フィルム2に貼り付けることにより形成されている。あるいは、配線層3Aは、絶縁フィルム2の表面(または絶縁フィルム2に形成された接着層8の表面)に、銅または銀のような金属を用いて、蒸着またはスパッタ等の方法により形成することもできる。接着層8は、ポリイミド等の公知の熱可塑性樹脂、またはシアネートエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、フェノール系樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及びポリウレタン樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を用いて形成される。あるいは、接着層8は、上述の有機樹脂に、シリカまたはアルミナ等の無機フィラーを分散させたものによって形成することもできる。
【0042】
絶縁フィルム2、及び絶縁層4は、特に、耐熱性が要求される場合には熱可塑性樹脂が推奨され、液晶ポリマー(例えば、商品名「ロードラン」(ユニチカ社製)、「EPE」(三菱化学社製)、「出光LCP」(出光石油化学社製)、「エコノール」(住友化学社製)、「ザイダー」(日本石油化学社製)、「LCP」(東ソー社製)、「ベクトラ」(ヘキスト−セラニーズ社製)、「SRP」(ICI社製)、「ベクスター」(クラレ社製)、「バイアック」(ジャパンゴアテックス社製)、「スミカスーパーLCP」(住友化学社製))、ポリアミドイミド(例えば、トリメリット酸とジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、m−又はp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンとから得られるポリアミドイミド等)、熱可塑性ポリイミド(例えば、商品名「オーラム」(三井化学製))等が好ましい。一方、耐熱性が要求されない場合には、以下の熱可塑性樹脂を使用してもよく、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP、例えば、商品名「ゼオネックス」(日本ゼオン製)、「ゼオノア」(日本ゼオン製))等が挙げられる。絶縁フィルム2、及び絶縁層4に用いられる熱可塑性樹脂は、同じ材料であってもよいし、それぞれ異なる材料が選択されてもよい。なお、以下では絶縁フィルム2、及び絶縁層4に液晶ポリマーを用いた場合について説明する。
【0043】
上述したように、本実施形態に係るフレキシブル回路基板1は、少なくとも一部に、中空部6を有するスパイラル部5が設けられている。このような形状を有しているので、フレキシブル回路基板1が伸縮変形することが可能になり、かつ、外力が作用した場合も、フレキシブル回路基板1全体が伸縮変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。なお、伸縮変形のみならず、ねじり変形も可能であるのでフレキシブル回路基板1の変形自由度をさらに向上させることができると共に、この場合も、スパイラル部5全体がねじり変形することで、局所的に応力が集中することを防止できる。また、繰り返し収縮、伸張、又はねじられたとしても、配線層3Aにかかる応力を基板全体で緩和することができるので、配線層3Aの剥離、破断が生じる可能性が低く、優れた接続信頼性を維持することができる。
【0044】
なお、スパイラル部5の中空部6には、別の配線を通すことが可能である。これによれば、フレキシブル回路基板のデッドスペースを有効に利用して、電子機器等の軽薄短小化、及び取付部品の低減を図ることができる。
【0045】
さらに、本実施形態に係るフレキシブル回路基板1では、スパイラル部5は、「スパイラル状に成形された」部分である。即ち、フレキシブル回路基板1は、外部の支持手段、補助手段等を要することなく、それ自体でスパイラル形状を維持できるように成形されている。よって、従来のケーブルのように支持棒を別途設ける必要はない。さらに、本実施形態では、絶縁フィルム2、及び絶縁層4が熱可塑性樹脂によって形成されているので、不要になったフレキシブル回路基板1は、再度加熱することでその形状を元に戻すことができ、資源の再利用につながる。
【0046】
(2:配線層の構成について)
図4(a)に示すように、上記では絶縁フィルム2の片面にのみ配線層3Aを設ける構成について説明したが、配線層3Aの構成はこれに限定されるものではなく、図4(b)に示すように、絶縁フィルム2の両面に配線層3A、3Bを設ける構成であってもよい。この場合は、一方の面に形成された配線層3Aを信号伝送用の信号線として用い、他方の面に形成された配線層3Bを動力供給用の電源線として用いるとよい。
【0047】
一般的に動力供給用の電源線3Bは、大電流を流す、もしくは電圧を高くすると厚くなり、より大きなスペースが必要となるが、本実施形態によれば、電源線3Bに使用する配線層の厚みを薄くすることができるので、フレキシブル回路基板1をさらに軽量化、小型化することができ、また、伸縮性、柔軟性を向上させることができる。
【0048】
また、図4(c)に示すように、一方の面に形成された配線層3A、3Bを、それぞれ信号伝送用の信号線、動力供給用の電源線として用い、他方の面に形成された配線層3Cをグランドパターンとして用いると共に、スパイラル部5において、グランドパターンが信号線、電源線よりも外周側にくるように構成してもよい。即ち、図4(c)において、上側がスパイラル部5における外周側、下側がスパイラル部5における内周側となる。
【0049】
これによれば、スパイラル部5において外周側にグランドパターンが配置されることになるので、グランドパターンがシールド層として機能することにより、内周側に配置されている信号線、電源線に、外部からのノイズが伝播することを防ぐことができる。即ち、より高い接続信頼性を得ることができる。
【0050】
(3:フレキシブル回路基板の製造方法)
図3(a)〜図3(c)を参照して、本実施形態に係るフレキシブル回路基板1の製造方法について説明する。
【0051】
まず、図3(a)に示すように、金属張りフィルム9を用意する。金属張りフィルム9は、熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルム2の表面に接着層8を形成し、接着層8の表面に金属箔30を積層し、熱圧着により3つの層を一体化することにより形成することができる。なお、金属張りフィルム9を形成する別の手法としては、金属箔上に絶縁フィルムの前駆体であるワニスを塗布し、この前駆体を乾燥させる手法、絶縁フィルム上に蒸着またはスパッタリング等で金属層を形成する手法、および導電性ペーストを塗布した絶縁フィルムに電解めっきにより配線層を形成する手法などが挙げられる。
【0052】
次に図3(b)に示すように、金属層(金属箔30)を所望の配線パターンにエッチングして配線層3Aを形成し、フレキシブル回路基板1を得る。さらに、図3(c)に示すように、配線層3Aの上に熱可塑性樹脂を塗布することによって絶縁層4を得る。または、絶縁層4は、熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムを熱圧着することにより形成してもよい。ここで説明した図3(a)〜図3(c)に示す工程により、絶縁層4を有する片面フレキシブル回路基板1を得ることができる。
【0053】
さらに本実施形態に係るフレキシブル回路基板1は、上述した片面構造のみならず、以下に示す多層構造も採用することができる。図5(a)〜図5(c)を参照して、3層構造を有する多層フレキシブル回路基板の製造方法について説明する。
【0054】
まず、図5(a)に示すように、多層フレキシブル回路基板の製造にあっては、まず、金属張りフィルム9、片面フレキシブル回路基板1、および金属箔10を用意し、さらに、これら3つのシートを接着するための接着シート11を2枚用意する。接着シート11
としては、上述した絶縁層4用の熱可塑性樹脂をシート状に成形したものを使用する。これらを図示するように積層し、積層したものを加熱押圧することにより3つのシートを一体化させる。
【0055】
次に、図5(b)に示すように、所望の位置にドリルやレーザーを用いて貫通孔12を形成し、スルーホールめっき12aして、金属張りフィルム9の金属箔30、配線層3A、金属箔10の各層の間を電気的に接続させる。図5(b)には、配線層間がめっきにより接続された状態を示している。なお、別の方法として、貫通孔12内に導電性ペーストを充填し、導電性ペーストを硬化させることにより、各層間を電気的に接続することも可能である。
【0056】
次に図5(c)に示すように、エッチング等の手法で、それぞれの表面に設けられている金属箔30、10を所望の配線パターンを有する配線層3Aに形成する。その後、上述した手法(図3(c)参照)と同様にして、絶縁層4を両面に形成する。これにより、3層構造を有する多層フレキシブル回路基板1を製造することができる。なお、ここでは3層構造を有する形態について説明しているが、多層フレキシブル回路基板1の構造は3層構造に限られるものではない。
【0057】
(4:スパイラル部の成形方法)
図2(a)、図2(b)を参照して、本実施形態に係るフレキシブル回路基板1の製造方法であって、特にスパイラル部5の成形方法について説明する。スパイラル部5は、上述の製造方法によってフレキシブル回路基板1を製造した後に、製造したフレキシブル回路基板1に対して所定の成形加工を行うことで成形されるものである。
【0058】
図2(b)に示すように、本実施形態に係るフレキシブル回路基板1は、スパイラル部5成形前の状態において、円弧形状部1Bが形成されており、この円弧形状部1Bに対して以下で説明する成形加工を行うことで、スパイラル部5が成形される。図2(b)では、フレキシブル回路基板1のほぼ全体が円弧状に形成されているが、少なくともスパイラル部5に相当する部分のみ円弧形状とすればよい。このように円弧形状部1Bによってスパイラル部5を成形することで、スパイラル部5の中空部6の径をほぼ一定とすることができる。その結果、例えばスパイラル部5の中空部6に別の配線等を通す場合に、その配線とスパイラル部5とが干渉し合う可能性を低減できる。
【0059】
スパイラル部5の成形加工は、フレキシブル回路基板1の両端にテンションを加えた状態で、円柱状の成形装置13にフレキシブル回路基板1を巻き付け、スパイラル部5を成形する第1の工程と、成形装置13に巻き付けられている部分を加熱してフレキシブル回路基板1にスパイラル部5を成形する第2の工程と、を有している。
【0060】
第1の工程では、不図示の引っ張り手段によってフレキシブル回路基板1の両端を引っ張り、フレキシブル回路基板1の両端にテンションを加えた状態で、成形装置13にフレキシブル回路基板1を巻き付けることにより、フレキシブル回路基板1の一部をスパイラル状に形作る。中空部6の径方向の大きさは、成形装置13の径を変えることで変更することができ、同様に、スパイラル部5の巻数、スパイラル部5同士の間隔等も、成形装置13の数、間隔を適宜変更することによって自在に設定することができる。また、フレキシブル回路基板1にテンションを加える際の引張力は、少なくともフレキシブル回路基板1にスパイラル部5が確実に成形される加圧力であればよく、フレキシブル回路基板1の厚さ、材質等に応じて適宜変更することができる。
【0061】
第2の工程では、両端にテンションがかけられることによってスパイラル状に形作られているフレキシブル回路基板1に対して、少なくともスパイラル状に形作られている部分
(成形装置13に巻き付けられている部分)を加熱する。本実施形態では、スパイラル状に形作られているフレキシブル回路基板1を、成形装置13ごと加熱装置に入れることでフレキシブル回路基板1を加熱しているが、成形装置13の内部に加熱部材を設け、成形装置13から生じる熱によって少なくともスパイラル状に形作られている部分を加熱してもよい。このようにスパイラル状に形作られている部分を加熱することにより、フレキシブル回路基板1に対してスパイラル部5を成形することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、加熱温度が、フレキシブル回路基板1の表面温度が150℃以上かつ液晶ポリマーの熱変形開始温度未満となる温度であって、加熱時間が1時間以内に設定されている。フレキシブル回路基板1の表面温度が150℃以上かつ液晶ポリマーの熱変形開始温度未満となる温度で加熱を行えば、液晶ポリマーが流動することがなく、フレキシブル回路基板1の外観、性能を損なうことがなく、かつ、フレキシブル回路基板1の表面温度が150℃以上となる加熱温度であるので、液晶ポリマーに対してスパイラル部5を確実に成形することができ、さらに、加熱が終わった後もスパイラル部5が元の形状に戻ることはない。また、加熱時間が1時間以内であれば、生産効率を向上させることができると共に、長時間加熱することで生じる、液晶ポリマー変色、熱変形の問題、及び配線層3Aの損傷を回避することが可能になる。
【0063】
なお、ここでは絶縁フィルム2、絶縁層4に液晶ポリマーを用いた場合について説明しているが、上述したように絶縁フィルム2、絶縁層4に適用可能な材料はこれに限られるものではなく、他の材料を選択した場合は、上記加熱温度、加熱時間を適宜変更することで、スパイラル部5を成形することができる(但し、加熱温度の上限は、選択された材料の熱変形開始温度未満となる温度である)。
【0064】
上述した第1の工程、及び第2の工程を行うことにより、スパイラル部5が成形された伸縮及び/又はねじり変形可能なフレキシブル回路基板1を製造することが可能になる。なお、第1の工程と第2の工程とを同時に行ってもよい。
【0065】
(5:効果の検証)
本実施形態に係るフレキシブル回路基板及びその製造方法の効果を検証すべく、下記に示す検証実験の下、本実施形態と比較例との比較を行った。その検証結果について説明する。
【0066】
まず、比較例1〜5では、銅張りフィルムとして、片面銅張り2層ポリイミドフィルムであるエスパーフレックス(商品名)(住友金属鉱山製、ポリイミドフィルム:Kapton−EN、フィルム厚:50μm、銅箔の厚さ:18μm)を用意した。また、比較例6〜10では、銅張りフィルムとして、片面銅張り3層ポリイミドフィルム(ポリイミドフィルム:Kapton−EN、フィルム厚:50μm、圧延銅箔の厚さ:18μm、接着剤:エポキシ樹脂、接着層の厚さ:10μm)を用意した。次いで、これらのサンプルをエッチング処理して、図6(a)に示すような配線パターンを有する配線層3Aを形成し、片面フレキシブル回路基板1を得た。回路基板の幅、配線の幅等は、図中に示すとおりである。なお、ここで用いられているポリイミドフィルム:Kapton−ENは、熱硬化性を有しており、少なくともこの点で、比較例1〜10の回路基板と本実施形態に係るフレキシブル回路基板1とは異なっている。
【0067】
次いで、片面フレキシブル回路基板を、表1に記載の条件(基板の表面温度(℃)、成形時間(h))で円形のスパイラル部5を成形した。なお、ここでは成形装置として、本実施形態で用いられる成形装置13と同一のものを使用している。
【0068】
【表1】

【0069】
得られた各サンプルの接続信頼性を評価するために、「繰り返し伸縮試験」を行った。図6(b)を参照して、試験方法を簡単に説明する。図6(b)は、「繰り返し伸縮試験」を実施するための装置を模式的に示したものである。まず、試験を実施するにあたり、試験対象となるフレキシブル回路基板1の両端を、固定部15において、固定板14及び上下可動板16にそれぞれ固定する。試験開始前の段階では、固定板14と上下可動板16との間の距離は、フレキシブル回路基板1が最も縮んだ状態となるように設定した。また、フレキシブル回路基板1が伸びきった状態における固定板14と上下可動板16との間の距離は、フレキシブル回路基板1が最大伸びとなる値に設定した。
【0070】
次いで、上下可動板16を100mm/秒で、100,000回上下に往復移動させた。その後、配線層3Aの抵抗値が伸縮前の配線層3Aの抵抗値から10%以上上昇したものを「不良」とみなした。試験数(N)は、各サンプルについて20とした。かかる試験結果を表2に示す。なお、表2における「形状維持可否」は、試験後の形状について、スパイラル部5の中空部6の径方向の大きさが維持されているか否かに関する評価である。また、「成形可否」は、成形装置13からフレキシブル回路基板を取り出した後に、中空部6の径方向の大きさが目標値となっているか否かについて調べたものである。
【0071】
なお、表2において、成形可否の基準、形状維持可否の基準は、
○:中空部の径方向の大きさが設計値の±10%未満、
△:中空部の径方向の大きさが設計値の±10%以上±20%未満、
×:中空部の径方向の大きさが設計値の±20%以上、
であって、外観の基準は、
○:絶縁フィルム又は絶縁層の流出が認められない、
×:絶縁フィルム又は絶縁層の流出が認められる、とする。
【0072】
【表2】

【0073】
表2より、比較例1〜比較例7では、加熱してもフレキシブル回路基板にスパイラル部が成形されないことがわかった。また、比較例8〜比較例10では、加熱するとスパイラル部が成形されるものの、上述の伸縮試験を行うと、中空部の径方向の大きさが大きく変化し、その大きさを保つことが難しいことがわかった。そこで、同様の試験を下記のサンプルA〜Eに対して実施した。サンプルA〜Eの条件は以下の通り(表3)である。
【0074】
サンプルA〜Eでは、本実施形態と同様に、絶縁フィルム2、及び絶縁層4に液晶ポリマーを用いた。即ち、最初に銅張りフィルムとして、片面銅張り液晶ポリマーフィルムであるエスパネックスL(商品名)(新日鉄化学製、フィルム厚:50μm、圧延銅箔の厚さ:18μm、熱変形開始温度:290℃)を用意した。次いで、これらのサンプルをエッチング処理して、図6(a)に示すような配線パターンを有する配線層3Aを形成し、片面フレキシブル回路基板1を得た。回路基板の幅、配線の幅等は、図中に示すとおりである。そして、表3に示す条件によってスパイラル部5を成形し、スパイラル部5が成形されたフレキシブル回路基板1に対して、上述の伸縮試験を実施した。表4にその試験結果を示す。
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
表4に示す試験結果より、サンプルAのように、フレキシブル回路基板1の表面温度が100℃となるように加熱すると、スパイラル部5を成形すること自体が難しいことがわかった。一方、サンプルEのように、フレキシブル回路基板1の表面温度が300℃となるように加熱すると、液晶ポリマーの熱変形開始温度を上回ることになるので、液晶ポリマーの熱変形が開始し、液晶ポリマーが流動してしまうことがわかった。即ち、スパイラル部5を成形しても、加熱後に中空部6の径方向の大きさを維持することが難しいことがわかった。また、液晶ポリマーが流動してしまうので、外観も許容レベルに達しないことが確認された。
【0078】
なお、サンプルB〜Dのように、フレキシブル回路基板1の表面温度が150℃以上であって、液晶ポリマーの熱変形開始温度未満であれば、スパイラル部5を成形でき、かつ、上述の試験を行った後も中空部6の径方向の大きさが維持され、さらに外観も許容レベルであることがわかった。すなわち「150℃」とは、スパイラル部5を成形することができ、かつ、伸縮試験を施しても成形された中空部6の径方向の大きさが維持されるための下限加熱温度いうことができる(本実施形態では液晶ポリマーを用いているが、他の材料を用いる場合は、当然、この温度も変わる可能性がある)。なお、ここでは加熱時間を1時間に設定しているが、発明者らの鋭意検討によると、加熱時間が1時間以内であっても、「成形可否」「形状維持可否」「外観」は、十分に許容レベルに達することがわかった。
【0079】
以上より、次のことがいえる。
・熱硬化性樹脂を用いる場合は、スパイラル部5を成形すること、または中空部6の径方向の大きさを維持することは出来ない。
・熱可塑性樹脂を用いる場合(液晶ポリマーの場合)は、加熱温度が、フレキシブル回路基板の表面温度が150℃以上かつ液晶ポリマーの熱変形開始温度未満となる温度であって、成形時間が1時間以内であると、スパイラル部5を成形することができ、かつ、上述の伸縮試験を行っても、中空部6の径方向の大きさを維持できることがわかった。また、外観も許容レベルであることがわかった。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、ロボットの可動部等、伸縮可能な配線が要求される場合において、簡易な構成で配線を伸縮させることが可能であって、かつ、軽量化、小型化に優れると共に、繰り返し変形した場合にも配線層の断線、剥離が起こりにくいフレキシブル回路基板、及びその製造方法を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0081】
1…フレキシブル回路基板 1A…端子 1B…円弧形状部 2…絶縁フィルム 3A〜3C…配線層 4…絶縁層 5…スパイラル部 6…中空部 8…接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムと、
前記絶縁フィルム上に形成された配線層と、
前記配線層上に形成された熱可塑性樹脂からなる絶縁層と、
を有するフレキシブル回路基板において、
スパイラル状に成形されたスパイラル部が少なくとも一部に設けられており、
前記スパイラル部において伸縮可能及び/又はねじり変形可能に構成されていることを特徴とするフレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記スパイラル部は、
周面の一部と周面の一部とが互いに重なるように成形されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記スパイラル部は、
前記スパイラル部が成形されていない状態で前記フレキシブル回路基板に形成されている円弧形状部によって成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂とは、
液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記配線層は前記絶縁フィルムの両面に形成されており、
一方の面に形成された配線層を信号伝送用の信号線として用い、
他方の面に形成された配線層を動力供給用の電源線として用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記配線層は前記絶縁フィルムの両面に形成されており、
一方の面に形成された配線層を、信号伝送用の信号線または動力供給用の電源線の少なくとも一方として用い、
他方の面に形成された配線層をグランドパターンとして用いると共に、
前記スパイラル部において、前記一方の面よりも前記他方の面が外周側にくるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記スパイラル部は、
その中空部に別の配線を通すことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板の製造方法であって、
前記フレキシブル回路基板の両端にテンションを加えた状態で、円柱状の成形装置に前記フレキシブル回路基板を巻きつける第1の工程と、
前記フレキシブル回路基板において、前記成形装置に巻きつけられている部分を加熱して前記フレキシブル回路基板に前記スパイラル部を成形する第2の工程と、
を有していることを特徴とするフレキシブル回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂とは液晶ポリマーであって、
前記第2の工程では、
加熱温度が、前記フレキシブル回路基板の表面温度が150℃以上で、かつ液晶ポリマ
ーの熱変形開始温度未満となる温度であって、
加熱時間が1時間以内である、
ことを特徴とする請求項8に記載のフレキシブル回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−228077(P2011−228077A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95804(P2010−95804)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】