説明

フレキソ印刷用感光性樹脂組成物

【課題】優れた成型性、耐コールドフロー性および耐カケ性を同時に満たす感光性樹脂組成物の提供。
【解決手段】少なくとも、(a)ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物、(b)光重合性モノマーおよび(c)光重合開始剤を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーの混合物(a)中のビニル芳香族炭化水素の含有量が25wt%以下で、且つ、感光性樹脂組成物中の、数平均分子量(Mn)が5万以上の組成物全体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.25以上であることを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキソ印刷版に用いられる感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なフレキソ印刷用の感光性樹脂組成物は、特許文献1から3に記載されるように、熱可塑性エラストマー、光重合性不飽和単量体および光重合開始剤を含有するものが一般的である。
フレキソ印刷版用の構成体としては、ポリエステルフィルムなどを支持体とし、その上に、上記の感光性樹脂組成物、さらに、必要に応じて感光性樹脂組成物の上にネガフィルムとの接触をなめらかにする目的で、スリップ層または保護層、もしくは赤外レーザーで切除可能な赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層が設けられるのが一般的である。
このようなフレキソ印刷版用感光性構成体からフレキソ印刷版を製版するには、まず支持体を通して全面に紫外線露光を施し(バック露光)、薄い均一な硬化層を設け、次いでネガフィルムを通して、もしくは紫外線遮蔽層の上から直接、感光性樹脂層の面に画像露光(レリーフ露光)を行い、未露光部分を、現像用溶剤で洗い流すか、あるいは熱溶融後に吸収層で吸収除去後に、後処理露光することによって製造されるのが一般的である。
このようなフレキソ印刷版用の構成体の製造では、感光性樹脂組成物を、スクリュウ押出機等で混合後、所望の厚みになるように、カレンダーロール等で一定の厚みで成型されるが、樹脂組成物の流動性が低いと成型性が困難となる。
【0003】
これより、流動性を高めるために、樹脂組成物の分子量を小さくすると、成型性は向上するが、一方で、構成体端部から感光性樹脂組成物が流れ出して(コールドフロー)、構成体の厚み精度の低下や、製版後の印刷版の機械的強度が低下し、印刷中や印刷終了時に印刷版の表面に付着したインキを拭取る時に印刷版の文字部等のカケが問題となる。
これまでに、諸性能を改善するために、感光性樹脂組成物に関し、種々の熱可塑性エラストマーの混合物が提案されている。
【0004】
文献4の実施例には、2種類のスチレンイソプレンブロック共重合体の混合物が提案されている。文献4に記載されている市販材料の溶液混合物の、分子量が5万以上の分子量分布(Mw/Mn)は、1.25未満である。
文献5の実施例には、少なくとも、イソプレンを50wt%以上含有するブロック共重合体の混合物が提案されている。感光性樹脂組成物の分子量分布に関しての記載はない。
文献6の実施例1には、スチレン含有量が40wt%のスチレンブタジエンブロック共重合体と、スチレン含有量が22wt%のスチレンブタジエンブロック共重合体を、感光性樹脂組成物に対して、それぞれ、45wt%と15wt%含有したスチレン含有量が高い樹脂組成物が提案されている。また、実施例2では、スチレンイソプレンブロック共重合体とスチレンブタジエンブロック共重合体の混合物が提案されている。
【特許文献1】特開2000−155418号公報
【特許文献2】特開平02−108632号公報
【特許文献3】特開平04−342258号公報
【特許文献4】特開平10−104833号公報
【特許文献5】国際公開第04/097523号パンフレット
【特許文献6】特開2000−155418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明における技術的課題は、(1)感光性樹脂組成物の成型性が高い、(2)感光性樹脂構成体の耐コールドフロー性が高い、および(3)印刷版の文字部の耐カケ性が高い、を同時に満たす感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の通り、従来の技術では、ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーを2種類以上混合し、その熱可塑性エラストマーの混合物のビニル芳香族炭化水素含有量が25wt%以下で、且つ、感光性樹脂組成物中の、分子量が5万以上の組成物の分子量分布(Mw/Mn)について述べられた文献は無い。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記の新規な感光性樹脂組成物を用いることで、該課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.少なくとも、(a)ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物、(b)光重合性モノマーおよび(c)光重合開始剤を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーの混合物(a)中のビニル芳香族炭化水素の含有量が25wt%以下で、且つ、感光性樹脂組成物中の、数平均分子量(Mn)が5万以上の組成物全体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.25以上であることを特徴とする樹脂組成物。
2.感光性樹脂組成物中の、数平均分子量が5万以上の組成物全体の分子量分布(Mw/Mn)が、1.30以上であることを特徴とする1.に記載の樹脂組成物。
3.感光性樹脂組成物中の、数平均分子量が5万以上の組成物全体の分子量分布(Mw/Mn)が、1.40以上であることを特徴とする1.に記載の樹脂組成物。
4.熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、ブタジエンを主体とする重合体ブロック中のビニル含有量が5〜20mol%の熱可塑性エラストマーと、20〜50mol%の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0008】
5. 感光性樹脂組成物中に、液状の共役ジエンゴムを含有し、且つ、少なくとも1種類の液状の共役ジエンゴム中に含まれるビニル含有量が40mol%以上であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の樹脂組成物。
6.液状の共役ジエンゴム中のビニル含有量が、70mol%以上であることを特徴とする5.に記載の樹脂組成物。
7.熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、数平均分子量が7万以上の熱可塑性エラストマーを2種類以上含有することを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の樹脂組成物。
8.熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、直鎖構造の熱可塑性エラストマーと、分岐構造の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0009】
9.光重合性モノマー(b)が、少なくとも、ジメタクリート基を2mol有するモノマーであり、且つ、樹脂組成物中に1.5重量%以上含有することを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載の樹脂組成物。
10.支持体とその面上に形成された1.〜9.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の層からなる積層構造を有するフレキソ印刷版用感光性構成体。
11.感光性樹脂組成物層上に、赤外レーザーで切除可能であり、赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層を有する10.に記載のフレキソ印刷用感光性構成体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の高い成型性、感光性樹脂構成体の高い耐コールドフロー性および印刷版の文字部の高い耐カケ性を同時に満たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明について具体的に説明する。
フレキソ印刷用構成体は、支持体層、少なくとも一層の感光性樹脂層、スリップ層あるいは赤外レーザーで切除可能な紫外線遮蔽層等からなるのが一般的である。本願発明は、この感光性樹脂組成物に関する。
本願発明の感光性樹脂組成物に必須の熱可塑性エラストマーの混合物(a)とは、少なくともブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの2種以上の混合物である。
混合する熱可塑性エラストマーは、入手性の点で、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックと、ブタジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーが好ましい。
本明細書を通じて用いられる「主体とする」という用語は、ブロック中の60wt%以上を指す。80wt%以上がより好ましく、90wt%以上がさらに好ましい。
主体とする以外の成分が、イソプレンである場合には、印刷版の耐磨耗性や耐カケ性の点で、20wt%未満が好ましい。10wt%未満がより好ましい。
【0012】
ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物(a)のブタジエン総量中の1、2−ブタジエン(ビニル)量は、特に限定されないが、印刷版の微細画像の高い形成性の点で、20mol%から50mol%の範囲にある熱可塑性エラストマーと、印刷版の高い柔軟性の点で、5〜20mol%の範囲にある熱可塑性エラストマーの混合物が好ましい。7〜18mol%の熱可塑性エラストマーと24〜45mol%の熱可塑性エラストマーの混合物がより好ましく、10〜18mol%の熱可塑性エラストマーと25〜38mol%の熱可塑性エラストマーの混合物がさらに好ましい。
【0013】
熱可塑性エラストマー中のブタジエンを主体とする重合体ブロックの数平均分子量は、感光性樹脂構成体の形状維持性(耐コールドフロー性)や印刷版の文字部の耐カケ性より、2万〜25万が好ましい。3万〜20万がより好ましく、4万〜15万がさらに好ましい。
本願において熱可塑性エラストマーの混合物(a)は、感光性樹脂構成体の高いコールドフロー性や、印刷版の文字部の高い耐カケ性の点で少なくとも、数平均分子量が7万以上の熱可塑性エラストマーを2種類以上含有することが好ましい。9万以上がより好ましく、11万以上がさらに好ましい。ビニル芳香族炭化水素としては例えばスチレン、P−メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α−メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレンなどの単量体が挙げられ、中でもスチレンが好ましい。これらの単量体は、単独でも2種以上の併用でもよい。
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックの数平均分子量は、印刷版の微小画像の高い形成性の点で、10万以下が好ましく、感光性樹脂構成体の高い耐コールドフロー性の点で、0.3万以上が好ましい。0.5万から8万の範囲がより好ましく、0.5万から6万の範囲がさらに好ましい。
【0014】
必要に応じて、第3成分のブロックを含有していても構わない。
ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの2種以上の混合物(a)中のビニル芳香族炭化水素の含有量は、25wt%以下にすることで、はじめて、感光性樹脂組成物の高い成型性、印刷版の文字部の高い耐カケ性およびフレキソインキ成分が付着したときの印刷版硬度の高い維持性が得られる。一方、感光性樹脂構成体の高いコールドフロー性の点で、13wt%以上が好ましい。15wt%から24wt%の範囲がより好ましく、18wt%から23wt%の範囲がさらに好ましい。
【0015】
ブタジエン、1、2−ブタジエン(ビニル)およびビニル芳香族炭化水素の含有量や比率は、核磁気共鳴装置(1H-NMR)を用いて測定することができる。条件例として、1H-NMRの測定機器に、JNM-LA400(JEOL製、商品名)、溶媒に、重水素化クロロホルム、サンプル濃度50mg/ml、観測周波数は400MHz、化学シフト基準に、TMS(テトラメチルシラン)、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、および測定温度26℃が挙げられる。
【0016】
感光性樹脂組成物中の、ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの2種以上の混合物(a)の含有量は、感光性樹脂構成体の高い耐コールドフロー性や、印刷版の文字部の高い耐カケ性の点で、40wt%以上が好ましく、感光性樹脂組成物の成型性の点で、90wt%以下が好ましい。50wt%から85wt%の範囲がさらに好ましく、55wt%から80wt%の範囲がさらに好ましい。
熱可塑性エラストマーの混合物(a)の含有量が上記の範囲であれば、他のエラストマーを併用しても構わない。
ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物の分子構造は、特に限定されないが、感光性樹脂構成体の高いコールドフロー性と、印刷版の文字部の高い耐カケ性の点で、直鎖構造を有する熱可塑性エラストマーと分岐構造を有する熱可塑性エラストマーの混合が好ましい。
【0017】
直鎖構造とは、例えば、以下の一般式のものが挙げられる。
(A−B)、A−(B−A) 、A−(B−A) −B、B−(A−B)
分岐構造とは、例えば、以下の一般式のものが挙げられる。
[(A−B)−X 、[(A−B)−A]−X
[(B−A)−X 、[(B−A)−B]−X
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックを示す。Bはブタジエンを主体とする重合体ブロックを示す。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油、ポリハロゲン化炭化水素化合物、カルボン酸エステル化合物、ポリビニル化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、アルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物、エステル系化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。nおよびkは1以上で、mは3以上6以下の整数で、である。カップリング剤化合物は単独で使用してもよいし、2種以上の混合物で使用してもよい)
これらの構造は、単独でも、2種類以上の組合せでも良い。
【0018】
ブタジエンを主体とする重合体ブロックおよび、ビニル芳香族炭化水素としてスチレンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの合成例としては、不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重合させ、さらに場合によりこれらの操作を繰り返す方法によりブロック共重合体(イ)を重合した後、重合系内に多官能カップリング剤を所定量添加してカップリング反応せしめ、ブロック共重合体(イ)と分岐状ブロック共重合体(ロ)とのブロック共重合体組成物として得る方法が挙げられる。又、例えば不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重合させてブロック共重合体(イ)を得て、別に不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重合させ、多官能カップリング剤所定量添加してブロック共重合体(ロ)を得た後、(イ)、(ロ)の2種類のブロック共重合体を混合させる方法も挙げられる。
【0019】
その際の、混合方法としては、重合反応終了後混合し、水、アルコール、酸などを添加して活性種を失活、或いは重合反応終了後(イ)、(ロ)溶液を別々に失活した後で混合した後、混合溶液を例えばスチームストリッピングなどを行って重合溶媒を分離した後、乾燥することにより得る方法が挙げられる。また、(イ)、(ロ)個別に重合溶媒を分離、乾燥して得られたポリマーをロール等でブレンドして得る方法も挙げられる。
ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーは、必要に応じて、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤の添加は任意の方法でよく、例えば重合終了後、溶液中に添加してもよいし、乾燥後、例えばロール等で添加混練してもよい。
【0020】
該酸化防止剤としては、例えば、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−O−クレゾール、2,4−ビス(n−ドデシルチオメチル)−O−クレゾール、2,4−ビス(フェニルチオメチル)−3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2‘−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕−メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−tert−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)−エチル〕−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系化合物、ペンタエリストール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート )、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートなどのイオウ系化合物、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系化合物などが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用できる。
【0021】
本発明の光重合性モノマー(b)とは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン及びその誘導体、N置換マレイミド化合物などがあげられる。
【0022】
具体的な例としては、ヘキサンジオール、ノナンジオールなどのアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート、N,N’-ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3-フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N-ラウリルマレイミド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
光重合性モノマー(b)の感光性樹脂組成物中の含有量は、印刷版の文字部の高い耐カケ性の点で、1wt%以上、感光性樹脂構成体の高い耐コールドフロー性や印刷版の高い柔軟性の点で、20wt%以下が好ましい。2wt%から15wt%の範囲がより好ましく、4wt%から12wt%の範囲がより好ましい。
印刷版の文字部のさらに高い耐カケ性の点で、ジメタクリート基を2mol有するモノマーを、樹脂組成物中に1.5重量%以上含有することが好ましい。
本発明の光重合開始剤(c)とは、光のエネルギーを吸収し、ラジカルを発生する化合物であり、公知の各種のものを用いることが出来るが、各種の有機カルボニル化合物、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。
【0024】
具体例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノ ン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ ン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6− トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9 −フェニルアクリジン;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
光重合開始剤(c)の含有量は、低すぎると、細かい点や文字の形成性が低下し、高すぎると、紫外線等の活性光の透過率低下するため、感光性樹脂組成物中の0.1wt%〜10wt%の範囲が好ましい。0.5wt%〜5wt%の範囲がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には前記した必須成分の他に、種々の補助添加成分、例えば可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。
【0026】
可塑剤としては、ナフテン油、パラフィン油等の炭化水素油、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン−ブタジエン共重合体、数平均分子量2,000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステルなどが挙げられる。これらの組成に光重合性の反応基が付与されていても構わない。
この中でも、印刷版の高い柔軟性や高い画像再現性の点で、30℃で粘度が2000(Pa・s)以下すなわち液状の共役ジエンゴムが好ましい。
粘度は、JIS−K−7117で、測定することができる。
ジエンとしては、入手性の点で、イソプレンおよび/またはブタジエンが好ましく、耐カケ性の点で、ブタジエンがより好ましい。
【0027】
30℃で粘度が2000(Pa・s)以下の共役ジエンゴムは、2種類以上を併用しても良い。少なくも1種類の共役ジエンゴムに含まれるジエン総量中のビニル含有量は、微小な画像の高い形成性や高い耐カケ性の点で、40mol%以上が好ましい。70mol%以上がより好ましく、80mol%以上がさらに好ましい。共役ジエンゴム中のビニル含有量は、前述のプロトンNMR(核磁気共鳴スペクトル)より求めることができる。
感光性樹脂組成物中に含まれる液状の共役ジエンゴム総量中の、ジエン量に対するビニル含有量は、微小な画像の形成性、印刷版の文字部の高い耐カケ性、あるいは高いインキ耐性のため、40mol%以上が好ましい。60mol%以上がより好ましく、70mol%以上がさらに好ましい。
【0028】
共役ジエンゴム中の数平均分子量(Mn)は、取り扱い性と感光性樹脂組成物の相溶性の点で、低い方が良く、一方、耐カケ性の点で高い方が良く、1000〜50000の範囲が良い。2000〜30000の範囲がより好ましく、3000〜20000の範囲がさらに好ましい。
共役ジエンゴムの含有量は、高い画像再現性、高い耐カケ性および高い柔軟性の点で、感光性樹脂組成物中に、3wt%以上が好ましく、印刷版用感光性構成体の固体維持性の点で、40wt%以下が好ましい。5wt%〜30wt%の範囲がより好ましく、7wt%〜18wt%の範囲がさらに好ましい。
【0029】
本発明の感光性樹脂組成物中の、数平均分子量(Mn)が5万以上の組成物全体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.25以上で、はじめて、感光性樹脂組成物の高い成型性、感光性樹脂構成体の高い耐コールドフロー性および印刷版の文字部の高い耐カケ性を同時に満たすことができる。分子量分布が、1.30以上がより好ましく、1.40以上がさらに好ましい。
本願の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算分子量である。
装置に、LC-10(島津製作所製、商品名)、カラムに、TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)2本を使用し、オーブン温度40℃、溶媒にはテトラヒドロフラン(1.0ml/min)で測定を行った。分子量既知のポリスチレン標品を使用し、検量線を作成することにより、感光性樹脂組成物中の、分子量が5万以上の組成物の分子量分布を算出することができる。
【0030】
フレキソ印刷版は、印刷中に印刷機上で被印刷体と接触するが、印刷版が柔らかすぎると圧縮による変形により微細な印刷物が得られず、また硬すぎると均一なベタ表面を有する印刷物が得られないことから、厚みが2.5mmの印刷版のショアーA硬度が、印刷版のショアーA硬度は50°以上68°以下の範囲にあることが好ましい。
本発明のフレキソ印刷版用構成体は、種々の方法で調整することができる。
例えば、感光性樹脂組成物の原料を適当な溶媒、例えばクロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に溶解させて混合し、型枠の中に流延して溶剤を蒸発させ、そのまま板状にすることができる。また、溶剤を用いず、ニーダ、ロールミルあるいはスクリュウ押出機で混練後、カレンダーロールやプレスなどにより所望の厚さに成型することができるが、本発明はこれらの調整方法に限定されるものではない。
【0031】
感光性樹脂組成物は通常粘着性を有するので、製版時その上に重ねられるネガフィルムとの接触性をよくするために、或いはネガフィルムの再使用を可能にするために、樹脂層表面に溶剤可溶性の薄いたわみ性の保護層(例えば特公平5-13305号公報参照)を設けても良い。またこのたわみ性の保護層を赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層とし、赤外線レーザーでの直接描画により、このたわみ性の層そのものをネガチブとして用いても良い。いずれの場合も露光が終了してから未露光部を洗い出しする際に、この薄いたわみ性の保護層も同時に除去される。
【0032】
溶剤可溶な薄いたわみ性の保護層、例えば洗い出し液に可溶性のポリアミド、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロースエステルなどの層を感光性樹脂層の表面に設けようとする場合には、これを適当な溶剤に溶かしてその溶液を直接感光性樹脂層にコーティングしてもよい。あるいはポリエステル、ポリプロピレン等のフィルムにコーティング(保護フィルム)し、その後この保護フィルムを感光層にラミネートまたはプレス圧着して保護膜を転写させても良い。
保護フィルムや支持体は通常感光性樹脂組成物のシート成形後、ロールラミネートにより感光性樹脂組成物に密着させ、ラミネート後加熱プレスすると一層厚み精度の良い感光性樹脂層を得ることができる。
【0033】
フレキソ印刷版用感光性構成体からフレキソ印刷版を製版するには、まず支持体を通して全面に紫外線露光を施し(バック露光)、薄い均一な硬化層を設け、次いでネガフィルムを通して、もしくは紫外線遮蔽層の上から直接、感光性樹脂層の面に画像露光(レリーフ露光)をおこない、未露光部分を現像用溶剤で洗い流すか、あるいは熱溶融後に吸収層で吸収除去後に、後処理露光することによって製造されるのが一般的である。
ネガフィルム側からの露光(レリーフ露光)と支持体側からの露光(バック露光)は、どちらを先におこなっても良いし、また両方を同時におこなってもよい。
露光光源としては、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等があげられる。
【0034】
未露光部を現像するのに用いられる現像溶剤としては、ヘプチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類やテトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものをあげることができる。
未露光部の洗い出しは、ノズルからの噴射によって、またはブラシによるブラッシングでおこなわれる。
後処理露光として、表面に波長300nm以下の光を照射する方法が一般的である。必要に応じて、300nmよりも大きい光も併用しても構わない。
【実施例】
【0035】
以下、参考例、実施例、及び比較例により本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
〔参考例〕
(1)熱可塑性エラストマー
(1−1)熱可塑性エラストマーA
分子構造が直鎖構造のタフプレン315(旭化成ケミカルズ製、商品名)を用いた。
【0037】
(1−2)熱可塑性エラストマーB−1、B−2、B−3およびB−4の合成
ジャケットと攪拌機のついた10Lのステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン6,500g、テトラヒドロフラン1.2g、スチレン220gを仕込み、ジャケットに温水を通して内容物を約55℃に設定した。この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分1.20g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンがほぼ完全に重合してから3分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)780gを添加し重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度約90℃に達してから4分後に、カップリング剤としてテトラメトキシシランを0.92g添加し、カップリング反応させた。スチレンを仕込んだ直後から、この間、攪拌機により系内を連続的に攪拌した。 得られたブロック共重合体の溶液を抜き出し、水を10g添加、攪拌後、n−オクタデシル−3−(3’,5’ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを3.0g、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−O−クレゾールを1.5g添加し、得られた該溶液をスチームストリッピングすることにより、溶媒を除去し含水クラムを得た。引き続き、熱ロールにより脱水乾燥させ、分岐構造の有する表1の熱可塑性エラストマーB−1のサンプルを得た。
又、スチレン仕込量、n−ブチルリチウム添加量、テトラメトキシシラン添加量を変量した以外は実施例1と同様の方法により、表1の熱可塑性エラストマーB−2、B−3およびB−4のサンプルを得た。
【0038】
(1−3)熱可塑性エラストマーCの合成
ジャケットと攪拌機の付いた10Lステンレス製反応器を充分窒素置換した後、シクロヘキサン7000cc、テトラヒドロフラン1g、スチレン125gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。この後、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で0.75g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンが完全に重合してから、ブタジエン(1、3−ブタジエン)750gを添加して重合を継続し、ブタジエンの重合が完全に終了後、スチレン125gを添加し重合を継続した。
得られたブロック共重合体の溶液を抜き出し、水を10g添加、攪拌後、n−オクタデシル−3−(3’,5’ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを3.0g、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−O−クレゾールを1.5g添加し、得られた該溶液をスチームストリッピングすることにより、溶媒を除去し含水クラムを得た。引き続き、熱ロールにより脱水乾燥させ、分子構造が直鎖構造の表1の熱可塑性エラストマーCのサンプルを得た。
【0039】
(1−4)熱可塑性エラストマーD
分岐構造が直鎖状のD1101(KRATON製、商品名)を用いた。
【0040】
【表1】

【0041】
(2)感光性樹脂組成物および感光性構成体の作成
感光性樹脂組成として、表2に示した組成をニーダーにて140℃で40分間混合し感光性樹脂組成物を得た。
得られた感光性樹脂組成物を、熱可塑性エラストマーを含有する接着剤がコートされた厚さ125μのポリエステルフィルムの支持体と、厚さ4μのポリアミド層を有する100μのポリエステル製カバーシートとで挟み、3mmのスペーサーを用いてプレス機で130℃の条件で200kg/cm2の圧力を4分間かけてフレキソ印刷版用感光性構成体を成形した。
【0042】
【表2】

【0043】
(3)フレキソ印刷版の作成
(2)のフレキソ印刷版用感光性構成体のカバーシートをはぎとり、感光性樹脂層の上にあるポリアミドの保護膜層の上にネガフィルムを密着させ、AFP-1500露光機(旭化成ケミカルズ製、商品名)上で370nmに中心波長を有する紫外線蛍光灯を用いて、まず支持体側から300mJ/cm2の全面露光をおこなった後、引き続きネガフィルムを通して6000mJ/cm2の画像(レリーフ)露光をおこなった。
このときの露光強度をオ-ク製作所製のUV照度計MO-2型機でUV-35フィルタ-を用いて、バック露光を行なう側である下側ランプからの紫外線をガラス板上で測定した強度は10.3mW/cm2、レリーフ露光側である上側ランプからの紫外線を測定した強度は12.5mW/cm2であった。
【0044】
ついで、3-メトキシブチルアセテートを現像液として、AFP-1500現像機(旭化成ケミカルズ製、商品名)の回転するシリンダーに版を両面テ-プで貼り付けて、液温25℃で5分間現像をおこない、60℃で2時間乾燥させた。その後、後処理露光として、254nmに中心波長をもつ殺菌灯を用いて版表面全体に2000mJ/cm2、続いて紫外線蛍光灯を用いて1000mJ/cm2の露光を行なってフレキソ印刷版を得た。なおここで殺菌灯による後露光量は、MO-2型機のUV-25フィルタ-を用いて測定された照度から算出したものである。
【0045】
(4)評価方法
(4−1)感光性樹脂組成物の成型性
感光性樹脂組成物を押出機ZSK−25(Werner製、商品名)を用いて、ダイスのリップ幅2mm×100mmに、樹脂温度が130℃で押出量5kg/hで供給したときに、目視で成型性を評価した。幅方向に均一に平滑に成型できる方が良く、○とし、流動性が低く、表面が凹凸のムラになると問題で、×とした。
【0046】
(4−2)耐コールドフロー性
露光を行っていない厚み3mmの感光性構成体を5cm×5cmに切り出し、全面に28g/cm2の荷重をかけて40℃で24時間静置した後の厚み変化を測定した。この測定で感光性構成体の厚み減少率が3.0%を超えると、感光性構成体の保存あるいは輸送された場合に版が変形することがあるため問題で×とし、2.0%以上3.0未満を○とし、2.0%未満が最も良く◎とした。
【0047】
(4−3)耐カケ性
印刷版の耐カケ性を、擬似的に、図1に示すように、6ポイントから10ポイントの大きさの文字がある印刷版を作成し、NP式耐刷力試験機(新村印刷株製、商品名、接触体:布、荷重1kg)を用いて300回左右に擦ったときの文字の破壊の程度を顕微鏡で観察した。6ポイントの文字が破壊されていなければ最も良く◎とし、8ポイントの文字が破壊されていなければ次に良く○とし、10ポイントの文字が破壊していれば問題で×とした。
【0048】
[実施例1〜3および比較例1〜4]
実施例1〜3および比較例1〜4の評価試験結果を表1に記載する。
ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物中に含まれるビニル芳香族炭化水素量が25wt%以下で、且つ、感光性樹脂組成物中の、分子量が5万以上の組成物の分子量分布(Mw/Mn)が、1.25以上で、初めて、成型性、耐コールドフロー性および耐カケ性を同時に満たせることが分かる。
【0049】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、フレキソ印刷版に用いられる感光性樹脂組成物の分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】耐カケテストの概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、(a)ブタジエンを主体とする重合体ブロックを含有する熱可塑性エラストマーの混合物、(b)光重合性モノマーおよび(c)光重合開始剤を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物であって、熱可塑性エラストマーの混合物(a)中のビニル芳香族炭化水素の含有量が25wt%以下で、且つ、感光性樹脂組成物中の、数平均分子量(Mn)が5万以上の組成物全体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が、1.25以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
感光性樹脂組成物中の、数平均分子量が5万以上の組成物全体の分子量分布(Mw/Mn)が、1.30以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
感光性樹脂組成物中の、数平均分子量が5万以上の組成物全体の分子量分布(Mw/Mn)が、1.40以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、ブタジエンを主体とする重合体ブロック中のビニル含有量が5〜20mol%の熱可塑性エラストマーと、20〜50mol%の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
感光性樹脂組成物中に、液状の共役ジエンゴムを含有し、且つ、少なくとも1種類の液状の共役ジエンゴム中に含まれるビニル含有量が40mol%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
液状の共役ジエンゴム中のビニル含有量が、70mol%以上であることを特徴とする請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、数平均分子量が7万以上の熱可塑性エラストマーを2種類以上含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項8】
熱可塑性エラストマーの混合物(a)が、少なくとも、直鎖構造の熱可塑性エラストマーと、分岐構造の熱可塑性エラストマーを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
光重合性モノマー(b)が、少なくとも、ジメタクリート基を2mol有するモノマーであり、且つ、樹脂組成物中に1.5重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
支持体とその面上に形成された請求項1〜9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の層からなる積層構造を有するフレキソ印刷版用感光性構成体。
【請求項11】
感光性樹脂組成物層上に、赤外レーザーで切除可能であり、赤外線感受性物質を含む紫外線遮蔽層を有する請求項10に記載のフレキソ印刷用感光性構成体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−279422(P2007−279422A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106219(P2006−106219)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】