説明

フレネルレンズの製造方法

【課題】2P法によるフレネルレンズシートの製造工程における「成形型からの剥離」にあたって、レンズシートの塑性変形あるいは破壊(割れる)を招くことなく、安定した剥離を実現することを可能とし、生産性の良好なフレネルレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】フレネルレンズシートを前記成形型(スタンパ)から剥離する際、フレネルレンズシートの中心部を前記透光性基板側から加圧しながら、フレネルレンズシートの四隅あるいは周辺部から、同時にフレネルレンズシートを持ち上げる初期剥離動作を行なうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型プロジェクションTV(リア・プロジェクションTV,背面投射式TV,背面投影型TVなどとも称される)用スクリーンやOHP(オーバーヘッドプロジェクター)等に使用されるフレネルレンズの製造方法の改良に関するものであり、特にフレネルレンズシートを成形型から剥離する方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
フレネルレンズの製造方法として、加熱された金型により熱可塑性樹脂を押圧してフレネルレンズ面を形成する所謂「熱プレス法」、或いは溶融軟化された熱可塑性樹脂組成物を金型内に注入し固化させてフレネルレンズ面を形成する「キャスティング法」等が採用されている。
しかしながら、これらの製法は、共に成形サイクルに長時間を要するため、生産性が低く製造コストがかかる、微細形状のレンズ部(凹凸パターン)を再現性良く成形することが困難である等の問題がある。
このような問題点を解決するものとして、紫外線硬化型樹脂(以下UV樹脂とする)を成形型内に注入した後、紫外線照射し、該樹脂液組成物を硬化させることにより、樹脂成形物を得る、フォトポリマープロセス法(2P法)が提案されている。
【0003】
2P法の一例として、特許文献1(特公平6−79834号公報)には、以下の手順からなる製造方法が開示されている。
フレネルレンズ面形状を有する金型に紫外線硬化型又は電子線硬化型樹脂組成物を塗布して樹脂層を形成し、次いで、少なくとも片面が連続した光学的凹凸加工面からなり且つ上記紫外線硬化型又は電子線硬化型樹脂と屈折率の異なる透明又は半透明合成樹脂からなる樹脂基板を、上記樹脂層表面に凹凸加工面を対向させてラミネートした後、該基板側より紫外線又は電子線を照射して樹脂層を硬化させて硬化樹脂層とし、しかる後、一体化した樹脂基板及び硬化樹脂層を金型から離型して透過型スクリーン用レンズ板を製造することを特徴とする透過型スクリーン用レンズ板の製造方法。(請求項1)
【0004】
特許文献1に記載される上記方法では、フレネルレンズ板を金型から剥離する際、剛性を有する樹脂基板がラミネートされている為に、スムースな剥離が難しい。
また、剥離する方向についても、特許文献1(第1図)に記載される製造方法の一例によると、「複数の金型1,1,・・・が間欠的にコンベアー3により移動可能に構成されている。」ため、一方向から(一方向についてのみ)行なった場合には、剥離の前半では、成形型とフレネルレンズとの間に干渉が生じず容易に剥離できる。
しかし、フレネルレンズの中心部を過ぎた剥離の後半では、成形型とフレネルレンズの面が干渉してしまう、いわゆる逆剥離の状態となり、剥離性が悪くなるとともに、レンズ先端が成形型と干渉することで欠けが生じ、フレネルレンズの一部に剥離ムラのような不具合を生じやすい。
【0005】
上記の問題は、フレネルレンズが、単位レンズ群が同心円状に配列してなる「サーキュラーフレネル」の場合も、単位レンズ群が一方向に並列してなる「リニアフレネル」の場合であっても同様であるが、特に前者の場合に顕著であり、レンズ部を損傷することなく、スムースに剥離する方法が要求されている。
サーキュラーフレネルについて、成形型から剥離する場合には、意図的にフレネルレンズの同心円上で円を描くようにして、レンズ先端と成形型の干渉が少なくなるように人手で剥離する手法が、経験的に好ましいとされている。
しかしながら、この方法によると、剥離力のコントロールが一定でなく、人為的なミスによる不良が生じ易い欠点があった。
【0006】
そこで、フレネルレンズの剥離を機械的に行なえるようにし、人為的なミスによる不良を無くし安定した剥離を行なうことで、生産性が良好となるフレネルレンズの製造方法に係る提案が要求されている。
【0007】
フレネルレンズの剥離方法の改良に係る提案として、特許文献2(特開2002−172626号公報)が公知であり、以下の方法が開示されている。
成形型上に付着したレンズシートの相対向する二箇所を同時に又は順に成形型上に持ち上げ、この上昇と並行し又はこの上昇の終了後に他の相対向する二箇所を同時に又は順に成形型上に持ち上げ、しかる後レンズシ−トの全体を成形型上に持ち上げることを特徴とするレンズシ−トの剥離方法。(請求項1)
レンズシ−トの中央部を成形型の方へと押さえた上で、レンズシ−トの相対向する二箇所を同時に又は順に成形型上に持ち上げ、この上昇と並行し又はこの上昇の終了後に他の相対向する二箇所を同時に又は順に成形型上に持ち上げることを特徴とする請求項1に記載のレンズシ−トの剥離方法。(請求項2)
【0008】
さらに、特許文献3(特開2003−181855号公報)には、レンズシートを成形型から剥離(持ち上げ)する上で好適な機構,および剥離手順に係る開示が見られる。
特許文献3には、以下に示す製造方法が開示されている。
平板状成形型に紫外線硬化型樹脂を塗布する工程と、
前記平板状成形型よりも大きい透光性基板を積層して上記紫外線硬化型樹脂を均す工程と、
前記紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する工程と、
成形されたフレネルレンズを前記成形型から剥離する剥離工程とからなるフレネルレンズの製造工程において、
前記剥離工程が、透光性基板端部を複数箇所機械的にチャッキングし、さらにチャッキング部を機械的に上昇させることで、フレネルレンズ周辺部から中心部にかけて順次剥離することを特徴とするフレネルレンズの製造方法。(請求項1)
【0009】
【特許文献1】特公平6−79834号公報
【特許文献2】特開2002−172626号公報
【特許文献3】特開2003−181855号公報
【0010】
特許文献2,3に示されるように、上記した「逆剥離」を解消して、不具合を生じずに
フレネルレンズシートを成形型から剥離するには、フレネルレンズの中心部を残して周辺から中心部に向かって剥離して、最後にフレネルレンズの中心部を含めて一斉に剥離する手順を採用することが好ましく、フレネルレンズの中心部を残す上では、レンズシートの中央部を成形型の方へと押さえておくことが望ましい。
特に、サーキュラーフレネルの場合、レンズ中心部を真上に持ち上げて剥離することは難しく、剥離の際に真上に持ち上がらない場合は、せん断方向に力が働いてしまい、すべりが生じて、レンズ形状がつぶれてしまう不良が発生しやすい欠点があるため、フレネルレンズの中心部を押さえた上で、周辺から中心部に向かって剥離する手法は有効である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献2による方法は、
成形型上に付着したレンズシートの「相対向する二箇所」を同時に又は順に成形型上に持ち上げ、この上昇と並行し又はこの上昇の終了後に「他の相対向する二箇所」を同時に又は順に成形型上に持ち上げ、しかる後レンズシートの全体を成形型上に持ち上げることを特徴とするものであるが、
相対向する二箇所(対辺または対角)の持ち上げに続き、他の相対向する二箇所(他の対辺または対角)を持ち上げる動作を行なう場合、必然的にレンズシートに撓みが生じることになる。
撓みが大きいと、レンズシートにかかる負荷が過剰となり、場合によっては、レンズシートが塑性変形あるいは破壊(割れる)するに到ってしまう。
【0012】
特許文献3では、レンズシートの透光性基板端部を複数箇所機械的にチャッキングし、さらにチャッキング部を機械的に上昇させる際の、複数のチャッキング部の駆動(上昇)手順については特に制限はないが、第4図(本願における図2と共通)により一実施例として説明される手順として、
「チャッキング部23をアーム(第4図中A〜Hで示す)により引き上げ剥離動作を行う際に、同時に引き上げるだけでなく、チャッキング部41の上昇開始時期をチャッキング部毎にずらし、第4図に示すようにして、アームA→B→C→D→E→F→G→Hの順で成形面状で円を描くようにして段階的に引き上げていき剥離する場合もある。」とあり(抜粋にあたり、符号を変えている)、かかる手順によると、特定の時点では一箇所のみを持ち上げる動作を行なうことになり、持ち上げる動作がオーバーになると、やはりレンズシートの塑性変形あるいは破壊(割れる)を招く惧れがある。
【0013】
本発明は、2P法によるフレネルレンズシートの製造工程における「成形型からの剥離」にあたって、レンズシートの塑性変形あるいは破壊(割れる)を招くことなく、安定した剥離を実現することを可能とし、生産性の良好なフレネルレンズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、
フレネルレンズの逆形状である凹凸パターンが形成された平版状成形型(スタンパ)の前記凹凸パターンを含む表面に、電離放射線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を塗布形成し、その上から平板状の透光性基板を積層して前記樹脂を均す工程と、
前記透光性基板側から電離放射線を照射するか,あるいは前記樹脂に加熱処理を施すことにより、前記樹脂を硬化させ、前記透光性基板と重合接着させる工程と、
前記樹脂の硬化物と前記透光性基板とが重合接着してなる積層体であるフレネルレンズシートを、前記成形型(スタンパ)から剥離する工程と、を含むフレネルレンズシートの製造方法において、
フレネルレンズシートを前記成形型(スタンパ)から剥離する際、フレネルレンズシートの中心部を前記透光性基板側から加圧しながら、フレネルレンズシートの四隅あるいは周辺部から、同時にフレネルレンズシートを持ち上げる初期剥離動作を行なうことを特徴とするフレネルレンズシートの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
フレネルレンズシートを製造(剥離)する際に、同心円状レンズ中心の剥離ムラによる不良を飛躍的に低減でき、効率的な剥離が行なえるため、結果として、生産性良好にフレネルレンズを製造でき、品質良好なフレネルレンズが安価に製造され、高品質な画像投影装置を安価に構成することにつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1(特許文献3における第2図と共通)は、本発明による製造(剥離)を行なうためのフレネルレンズシートの製造装置の主要部を示す説明図である。
【0017】
同図に示すように、透光性基板22端部の周辺に分散させて複数箇所(例示では8箇所)をチャッキング部23により機械的にチャッキングし、チャッキング部23を機械的に上昇させることで透光性基板22を弓なり状に引き上げ、成形型21より剥離する。
この際、機械的にチャッキングするには、エアもしくは電磁スイッチによりチャッキング先端を開閉する機構を有するチャッキング装置により行なうが、チャッキング部23先端の開閉機構はエアにより行うエアチャックを使用すると、簡便な構造で比較的強力な咬み合わせ力が得られる点や開閉機構が軽量・コンパクトにできる点、構造が簡易なため故障が少なく安定して使用できるなどの点で好ましい。
なお、本発明における「チャッキング」とは、物を保持することを意味し、図1に示すように、ハンドのようなもので挟む構造だけでなく、吸引して保持する構造等も包含する。
【0018】
透光性基板としては、例えばアクリル樹脂,MS樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリオレフィン樹脂,塩化ビニル樹脂,ポリイミド樹脂,または上記樹脂のブレンドからなるシート及びフィルムなどが使用できる。
成形型からの剥離性,チャッキング時の剛性,光透過性,柔軟性などの点から、可撓性のあるアクリル樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリエステル樹脂,MS樹脂などが好ましい。
【0019】
透光性基板と重合接着され、フレネルレンズ部を構成する電離放射線硬化性樹脂として、紫外線硬化性樹脂(以後、UV樹脂と称する)を採用する場合、UV樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよび/またはエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーに光重合開始剤、光増感剤の成分を混合した組成物が挙げられ、そのほかにオリゴマー成分のみでは高粘度であるため、粘度や硬化物の硬さ改善目的で光反応性モノマーを希釈剤として加えたり、その他物性を付与するために消泡剤やフィラーなどの成分を混合して使用することもできる。
【0020】
本発明によるフレネルレンズシートの製造方法は、
(a)フレネルレンズの逆形状である凹凸パターンが形成された平版状成形型(スタンパ)の前記凹凸パターンを含む表面に、電離放射線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を塗布形成し、その上から平板状の透光性基板を積層して前記樹脂を均す工程。
(b)前記透光性基板側から電離放射線を照射するか,あるいは前記樹脂に加熱処理を施すことにより、前記樹脂を硬化させ、前記透光性基板と重合接着させる工程。
(c)前記樹脂の硬化物と前記透光性基板とが重合接着してなる積層体であるフレネルレンズシートを、前記成形型(スタンパ)から剥離する工程。
を含むが、以降は、本発明の主要部である工程(c)について説明する。
【0021】
図1に示す状態で、フレネルレンズシート(透光性基板22)を成形型(スタンパ)21から剥離する際、フレネルレンズシートの中心部を透光性基板22側から加圧する。
加圧の理由は、上述した様に、「逆剥離」の状態を回避し、レンズ形状の損傷や剥離ムラを解消するためである。(図1中には、加圧機構は図示していない。)
【0022】
フレネルレンズシートの中心部を加圧(および、持ち上げ)するための機構の一例を、図3に示す。
同図に示すように、フレネルレンズの中心部1上の透光性基板2に吸着部3が当たるように配置した状態から、昇降部5を下降させて、上記工程(b)直後の状態の透光性基板2を加圧する。加圧状態では、吸着部3による吸引動作は、必ずしも必要ではない。
持ち上げ(剥離)の際には、透光性基板2を吸着部3により吸着し、引き上げ機構(図示せず)により機械的に昇降部5を上昇させることで透光性基板2を真上に引き上げ、成形型7より剥離する。
吸着部3による吸着方法では、エアシリンダーを使用すると、簡便な構造で比較的強力な上昇力が得られる点や、機構が軽量・コンパクトにできる点、構造が簡易なため故障が少なく安定して使用できるなどの点で好ましい。
【0023】
フレネルレンズの中心部1を真上に持ち上げて剥離するための引き上げ機構としては、エアシリンダーやボールネジを用いた手段が好適である。
機械的に持ち上げる際には、上述した様に、レンズ中心部を真上に持ち上げて剥離することが非常に重要であり、チェーンやワイヤーを用いてそれを巻き上げる手段では、上昇速度や上昇動作を微妙にコントロールすること、また、レンズ中心の真上に剥離することが困難であるため、好ましくない。
【0024】
エアシリンダーやボールネジを用いた手段では、上昇速度を微妙に制御できる点や段階的な上昇・停止を制御できる点、ガイド付きのアクチュエータ(例えば、ガイド付きエアシリンダーやボールネジ)を用いると、真上に剥離が可能であるという点で好ましい。
さらには、ボールネジであれば、ネジの回転数やトルク制御により、一層微妙な引き上げ動作が可能となる点でより好ましい。
このようにして、機械的に吸着させ上昇させることで剥離動作を行うと、制御された一定の上昇速度及び引き上げトルクで行われるため、剥離力や剥離量を一定にでき、またガイド付きのアクチュエータを用いることで同心円レンズ中心部の真上に剥離が可能なので、レンズ中心部の剥離不良を防止できる。
【0025】
本発明における特に主要な特徴は、フレネルレンズシート(透光性基板22)を成形型(スタンパ)21から剥離する際、フレネルレンズシートの中心部を透光性基板22側から加圧した状態を維持しながら、フレネルレンズシートの四隅あるいは周辺部から、同時にフレネルレンズシートを持ち上げる初期剥離動作を行なうことにある。
剥離にあたっては、剥離初期に要する負荷(力)が最もかかり、1箇所あるいは2箇所のみのチャッキング部23の駆動によると、レンズシートの塑性変形あるいは破壊(割れる)を招く惧れが高いためである。
【0026】
そのため、初期剥離動作においては、「四隅あるいは周辺部」から同時に持ち上げる駆動が要求され、図2に示すチャッキング部の配置の場合、以下のパターンでチャッキング部23が同時に持ち上げて駆動される。
パターン1(四隅);A,C,E,G
パターン2(周辺);B,D,F,H
パターン3(四隅+対辺1);A,B,C,E,F,G
パターン4(四隅+対辺2);A,C,D,E,G,H
パターン5(四隅+周辺);A〜H全て
【0027】
初期剥離動作を行なった後は、透光性基板側から加圧しているフレネルレンズシートの中心部を除く剥離動作として、前記加圧状態を維持しながら、(言わば、中盤の)剥離動作を行なう。
中盤の剥離動作では、「四隅あるいは周辺部」のチャッキング部23を全て駆動する必要はないが、レンズシートの塑性変形あるいは破壊(割れ)を考慮して、フレネルレンズシートの相対向する2箇所を含む「3箇所以上」を同時に又は順に成形型(スタンパ)上に持ち上げるように駆動する。
【0028】
中盤の剥離動作における前半が済んだら、他の相対向する2箇所を含む「3箇所以上」のチャッキング部23を同時に又は順に前記成形型(スタンパ)上に持ち上げるように駆動することで、中盤の剥離動作における後半の動作を行なわれ、加圧された状態のフレネルレンズシートの中心部を除く剥離が終了する。
尚、中盤の剥離動作においても、前後半の境なく、初期剥離動作に引き続き、「四隅あるいは周辺部」のチャッキング部23を全て駆動しても良いことは言うまでもない。
【0029】
中盤の剥離動作を終えると、残るは加圧状態にある中心部だけになる。
図3の説明で述べた様に、フレネルレンズの中心部を真上に持ち上げて剥離するための引き上げ機構としては、エアシリンダーやボールネジを用いた手段が好適である。
【0030】
以上の説明では、フレネルレンズシートは、単位レンズ群が同心円状に配置されてなるサーキュラーフレネルレンズであり、加圧する中心部は、前記同心円の中心近傍である場合についてであったが、本発明はそれに限定されるものではなく、以下の変形も本発明の範囲を逸脱するものではない。
サーキュラーフレネルレンズの同心円中心がレンズシートの有効領域外にある様なタイプ(光軸外しを目的とするオフセット・フレネルとして本設計が採用される場合もある。)の場合には、レンズシートの重心近傍に限らず、中盤の剥離動作が好適となる様、加圧箇所を任意に移動させて加圧する場合もある。
また、フレネルレンズシートが、単位レンズ群が一方向に並列してなるリニアフレネルレンズの場合にも適用され、加圧する中心部は、リニアフレネルレンズの単位レンズ形状の勾配が変化する近傍であり、かつ前記レンズシートの重心近傍である場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による製造(剥離)を行なうためのフレネルレンズシートの製造装置の主要部を示す説明図。
【図2】成形型からフレネルレンズシートを剥離するチャッキング部の配置例を示す説明図。
【図3】フレネルレンズシートの中心部を加圧(および、持ち上げ)するための機構の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0032】
1…フレネルレンズの中心部
2…透光性基板
3…吸着部
5…昇降部
21…成形型(スタンパ)
22…フレネルレンズシート(透光性基板)
23…チャッキング部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレネルレンズの逆形状である凹凸パターンが形成された平版状成形型(スタンパ)の前記凹凸パターンを含む表面に、電離放射線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を塗布形成し、その上から平板状の透光性基板を積層して前記樹脂を均す工程と、
前記透光性基板側から電離放射線を照射するか,あるいは前記樹脂に加熱処理を施すことにより、前記樹脂を硬化させ、前記透光性基板と重合接着させる工程と、
前記樹脂の硬化物と前記透光性基板とが重合接着してなる積層体であるフレネルレンズシートを、前記成形型(スタンパ)から剥離する工程と、を含むフレネルレンズシートの製造方法において、
フレネルレンズシートを前記成形型(スタンパ)から剥離する際、フレネルレンズシートの中心部を前記透光性基板側から加圧しながら、フレネルレンズシートの四隅あるいは周辺部から、同時にフレネルレンズシートを持ち上げる初期剥離動作を行なうことを特徴とするフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項2】
前記初期剥離動作を行なった後、透光性基板側から加圧しているフレネルレンズシートの中心部を除く剥離動作として、
フレネルレンズシートの相対向する2箇所を含む3箇所以上を同時に又は順に前記成形型(スタンパ)上に持ち上げて剥離し、この上昇と並行し又はこの上昇の終了後に他の相対向する2箇所を含む3箇所以上を同時に又は順に前記成形型(スタンパ)上に持ち上げて剥離することを特徴とする請求項1に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項3】
透光性基板側から加圧するフレネルレンズシートの中心部は、単位レンズ群が同心円状に配置されてなるサーキュラーフレネルレンズの前記同心円の中心近傍であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレネルレンズシートの製造方法。
【請求項4】
透光性基板側から加圧するフレネルレンズシートの中心部は、単位レンズ群が一方向に並列してなるリニアフレネルレンズの単位レンズ形状の勾配が変化する近傍であり、かつ前記レンズシートの重心近傍であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレネルレンズシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−90545(P2007−90545A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279604(P2005−279604)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】