説明

フロントフォーク

【課題】部品構造の複雑化や組立工数の増加および製品コストの上昇を回避する。
【解決手段】車体側チューブと車輪側チューブとからなり懸架バネSで伸長方向に附勢されるフォーク本体の軸芯部にダンパを有し、車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材11の軸芯部にその回動操作時に懸架バネSのバネ力を変更する外側アジャスタ8を有し、外側アジャスタ8の軸芯部にその回動操作時にダンパにおける圧側減衰バルブの初期荷重を変更する中間アジャスタ9を有し、中間アジャスタ9の軸芯部の回動操作時にダンパにおける伸側減衰バルブを迂回するバイパス路における作動油の通過流量が変更する内側アジャスタ10を有するフロントフォークにあって、外側アジャスタ8とキャップ部材11との間、中間アジャスタ9と外側アジャスタ8の間および内側アジャスタ10と中間アジャスタ9との間に、それぞれフリクションシール8a,9a,10aが配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロントフォークに関し、特に、二輪車の前輪側に架装されて下端部で懸架する前輪に入力される路面振動を吸収する緩衝器たるフロントフォークの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車の前輪側に架装されて下端部で懸架する前輪に入力される路面振動を吸収する緩衝器たるフロントフォークとしては、従来から種々の提案があるが、その中で、たとえば、特許文献1に開示の提案にあっては、内蔵するダンパによる減衰力の高低調整を可能にする。
【0003】
すなわち、この特許文献1に開示のフロントフォークは、車体側チューブと車輪側チューブとからなり懸架バネで伸長方向に附勢されるフォーク本体内に片ロッド型のダンパを有し、このダンパは、車輪側チューブ内に立設されるシリンダ体と、車体側チューブ内に垂設されてシリンダ体内に出没可能に挿通されるロッド体と、このロッド体に保持されながらシリンダ体内に摺動可能に収装されるピストン体とを有してなる。
【0004】
そして、ダンパにおいて、ピストン体は、シリンダ体内に上方室および下方室を画成しながらこの上方室と下方室の連通を許容する減衰手段を有し、この減衰手段は、作動油の通過時に所定の減衰力を発生する。
【0005】
一方、このダンパにあっては、減衰手段を迂回するバイパス路にニードル弁体およびスプール弁体からなる二段のコントロールバルブを有すると共に、この二段のコントロールバルブを昇降させる二重構造のコントロールロッドをロッド体内に有し、この二重構造のコントロールロッドをフォーク本体の上方たる外部から操作して、ダンパで発生される減衰力の高低調整を可能にしている。
【0006】
それゆえ、この文献開示のフロントフォークにあっては、フォーク本体の伸縮作動時にダンパによって所定の減衰力発生を可能にすると共に、外部からの操作で伸側および圧側の各減衰力を高低調整し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6‐42569公報(明細書中の段落0011,同0022,同0028,同0032から同0036,同0047,同0049および同0050,図1,図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した文献開示のフロントフォークにあっては、フォーク本体の伸縮作動時に所定の減衰力発生とその高低調整とを可能にする点で、基本的に問題がある訳ではないが、その実施に際して些か不具合があると指摘される可能性がある。
【0009】
すなわち、上記のフロントフォークにあっては、ダンパで発生される伸側および圧側の各減衰力を高低調整するコントロールロッドが二重管構造に形成され、各コントロールロッドを昇降などさせるアジャスタもフォーク本体の上端部において内外の二重構造に形成されている。
【0010】
そして、この二重構造となるアジャスタは、車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材の軸芯部に嵌装されるが、内側あるいは外側のアジャスタが連れ運動で共回りするのが問題になる。
【0011】
一方、フロントフォークにあっては、フォーク本体を伸長方向に附勢する懸架バネのバネ力を高低調整するアジャスタも上記のキャップ部材に設ける提案がなされている(たとえば、特開2008‐240838公報)。
【0012】
このことからすると、上記した特許文献1に開示の提案を具現化するに際しては、上記の公報開示の提案も併せて具現化する、すなわち、合体した提案として具現化されることが要請される可能性がある。
【0013】
そして、このとき、バネ力調整用のアジャスタの軸芯部に減衰力調整用の二重構造となるアジャスタを設ける場合には、結果的には、アジャスタが三重構造に形成され、この場合には、上記した共回り阻止についての確実性が一層要求される。
【0014】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、懸架バネにおけるバネ力調整および減衰手段における減衰力調整に際して、三重構造のアジャスタにおける共回りを効果的に阻止し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となるフロントフォークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、この発明によるフロントフォークの構成を、基本的には、車体側チューブと車輪側チューブとからなりながら懸架バネで伸長方向に附勢されるフォーク本体が軸芯部にダンパを有し、上記の車体側チューブにおける上端開口を閉塞するキャップ部材の軸芯部に配設されてその回動時に上記の懸架バネにおけるバネ力を変更する外側アジャスタと、この外側アジャスタの軸芯部に配設されてその回動時に上記のダンパにおける減衰手段の設定を変更する中間アジャスタと、この中間アジャスタの軸芯部に配設されてその回動時に上記のダンパにおける減衰手段を迂回するバイパス路における作動流体の通過流量を変更する内側アジャスタとを有してなるフロントフォークにおいて、上記の外側アジャスタが上記のキャップ部材の軸芯部に回動可能に配設されると共に下端側の外周に下端で懸架バネのバネ力を受ける筒状スライダを螺装させ、この筒状スライダが上記の外側アジャスタの回動時に昇降され、上記の中間アジャスタが上記の外側アジャスタの軸芯部に回動可能に配設されると共にその回動時に下端に上端を係止させる外側コントロールロッドを昇降させて、上記のダンパにおける減衰手段に軸方向力を伝達し、上記の内側アジャスタが上記の中間アジャスタの軸芯部に螺装されると共にその回動時に下端に上端を係止させる内側コントロールロッドを昇降させて、上記の減衰手段を迂回するバイパス路に配在のコントロールバルブを進退させ、上記の外側アジャスタと上記のキャップ部材との間、上記の中間アジャスタと上記の外側アジャスタの間および上記の内側アジャスタと上記の中間アジャスタとの間に、それぞれフリクションシールが配設されてなるとする。
【発明の効果】
【0016】
それゆえ、この発明にあっては、外側アジャスタがその回動時に下端で懸架バネのバネ力を受ける筒状スライダを昇降させるから、懸架バネのバネ力の調整が可能になると共に、中間アジャスタがその回動時に外側コントロールロッドを昇降させるから、ダンパにおける減衰手段に軸方向力を伝達することが可能になり、さらに、内側アジャスタがその回動時に内側コントロールロッドを昇降させるから、ダンパにおける減衰手段を迂回するバイパス路に配在のコントロールバルブの進退によるバイパス路における作動流体の通過流量の調整が可能になる。
【0017】
そして、この発明にあっては、外側アジャスタが車体側チューブの上端開口を閉塞するキャップ部材に対する昇降を阻止されながらこのキャップ部材の軸芯部にフリクションシールの配在下に回動可能に配設される一方で、中間アジャスタが外側アジャスタの軸芯部に配設されながらキャップ部材に対してフリクションシールの配在下に回動可能に配設され、さらに、内側アジャスタが中間アジャスタの軸芯部にフリクションシールの配在下に螺装されるから、内側アジャスタの回動時に中間アジャスタの外側アジャスタに対する摺動抵抗が内側アジャスタの中間アジャスタに対する抵抗より大きくなるから、内側アジャスタの回動に中間アジャスタが連れ運動で回動しない。
【0018】
そして、中間アジャスタの回動時に外側アジャスタのキャップ部材に対する摺動抵抗が中間アジャスタの外側アジャスタに対する抵抗より大きくなるから、中間アジャスタの回動に外側アジャスタが連れ運動で回動しない。
【0019】
このとき、中間アジャスタの回動で内側アジャスタも同期して回動するが、内側アジャスタ自体が中間アジャスタに対して回動しないから不具合を生じない。
【0020】
また、中間アジャスタは、キャップ部材に螺装されているから、外側アジャスタの回動時に連れ運動が阻止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明によるフロントフォークを一部破断して示す部分正面縦断面図である。
【図2】この発明によるフロントフォークにおけるダンパの要部を示す半截部分縦断面図である。
【図3】この発明によるフロントフォークの上端部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるフロントフォークは、二輪車の前輪側に架装されて前輪に入力される路面振動を吸収するダンパを内蔵する緩衝器とされる。
【0023】
そして、このフロントフォークは、図1に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とからなるフォーク本体が内装する懸架バネSによって伸長方向に附勢されながら軸芯部にダンパ、すなわち、図示するところでは、両ロッド型のダンパを有してなる。
【0024】
フォーク本体は、図示しないが、上端側にアッパーブラケットおよびアンダーブラケットを連結させ、アッパーブラケットにハンドルを連結させ、下端側で前輪を懸架し、したがって、このフロントフォークは、二輪車の前輪側にあって、前輪を挟む左右に架装されるとき、ハンドルの転舵で前輪を転向させる。
【0025】
そして、図示するフォーク本体は、大径のアウターチューブからなる車体側チューブ1の下端側内に小径のインナーチューブからなる車輪側チューブ2の上端側を出没可能に挿通させる倒立型に設定されて、下端側の重量を上端側の重量より小さくしている。
【0026】
また、このフォーク本体にあって、車体側チューブ1の下端側に挿通される車輪側チューブ2の上端側には、内外の連通を許容する孔2aを有し、この孔2aを介しての車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間となる潤滑隙間への潤滑油の流入を許容して、両者間における潤滑を保障している。
【0027】
さらに、フォーク本体内は、所定量の作動流体たる作動油を収容するリザーバRとされ、油面O位置が最も下がるフォーク本体の最伸長時にも後述するダンパが油浸状態になるように油面O位置が設定されて、この油面Oの上方が気室Aとされ、この気室Aは、フォーク本体の伸縮作動時にエアバネ効果を発揮する。
【0028】
ちなみに、上記した油面O位置を設定するリザーバRにおける作動油量は、基本的には、後述するシリンダ体3の下端側部内に画成される気室A1の容積より大きくなるように設定されている。
【0029】
これによって、仮に、上記の気室A1がリザーバRからの作動油で充満されても、上記の油面O位置がフォーク本体の最伸長時にもダンパを油浸状態に維持し得るように設定することが可能になる。
【0030】
懸架バネSは、コイルスプリングからなり、図2にも示すように、下端が後述するダンパを構成するシリンダ体3における上端部たるヘッド端部に担持され、図1に示すように、上端が車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11に筒状スペーサ12の介在下に係止される。
【0031】
ちなみに、懸架バネSの下端は、上記したところに代えて、シリンダ体3の外周や車輪側チューブ2の下端開口を閉塞するボトム部材21の内底などに担持されても良いが、この場合には、懸架バネSの全長が長くなって、フロントフォークにおける重量削減を阻害する傾向になり、また、シリンダ体3の径を細くする傾向になるので、好ましい選択と言えない。
【0032】
ダンパは、作動油を収容するシリンダ体3と、このシリンダ体3内に出没可能に挿通されるロッド体4と、このロッド体4に保持されながらシリンダ体3内に摺動可能に収装されるピストン体5とを有し、シリンダ体3に対してロッド体4が出没するとき、シリンダ体3内でピストン体5が摺動されてこのピストン体5が有する減衰手段で所定の減衰力を発生する。
【0033】
シリンダ体3は、後述する下端側部における下端部が車輪側チューブ2の下端開口を閉塞してボトム端部を構成する上記のボトム部材21に螺着されて車輪側チューブ2の軸芯部に起立され、上端側にロッド体4を出没可能に挿通させる。
【0034】
そして、図示する実施形態にあって、シリンダ体3の下端側部における下端部をボトム部材21に螺着させるにあっては、このシリンダ体3の上端部に形成の係止口3a(図2参照)に連繋される工具の回動による。
【0035】
したがって、このことからすると、このフロントフォークにあっては、係止口3aおよび工具の利用で、シリンダ体3をボトム部材21から分離するとき、フォーク本体内からのダンパの分解を伴わない抜き出しを可能にする。
【0036】
そしてまた、このフォーク本体内からのダンパの分解を伴わない抜き出しを可能にするから、シリンダ体3の下端側部の内側には、ボトムキャップ31が嵌挿されて閉塞され、たとえば、何等かの理由で、シリンダ体3における下端側部内に漏油があるとき、このダンパの抜き出しの際にこの漏油を車輪側チューブ2の下端側内に残留させないで、いわゆる外部に取り出すことを可能にする。
【0037】
ちなみに、このボトムキャップ31は、後述するようにシリンダ体3における下端側部内が気室A1とされるから、ダンパが車輪側チューブ2内から最伸長状態で抜き出されるときに、気室A1における内圧で脱落しない抵抗下に嵌挿される。
【0038】
また、上記したように、気室A1に漏油があり、したがって、この気室A1が高圧傾向になるとしても、シリンダ体3が車輪側チューブ2内の所定位置に立設されている場合には、ボトムキャップ31がシリンダ体3における下端側部の下端と共にボトム部材21の内底に圧接状態に当接されるから、シリンダ体3における下端側部から抜け出ることはない。
【0039】
なお、上記の係止口3aの形成については、任意の方策を選択でき、図示するところでは、後述のロッドガイド32を包囲するシリンダ体3における上端部に形成されるが、これに代えて、図示しないが、ロッドガイド32の上端側にこれを覆うように一体に連設されるキャップ状部材に形成されてなるとしても良い。
【0040】
一方、図2に示すように、シリンダ体3の上端部の内側には、ロッドガイド32を配設してシリンダ体3の上端開口を封止しながらシリンダ体3におけるヘッド端部を形成し、このロッドガイド32の軸芯部をロッド体4がブッシュ32aの配在下に貫通する。
【0041】
また、図1に示すように、シリンダ体3の下端側内には、シリンダ体3におけるボトム端部を形成するロッドガイド33が配設され、このロッドガイド33の配設でシリンダ体3における下端側部内に下方室R2と画成される気室A1を有すると共に、ロッド体4がこのロッドガイド33の軸芯部をブッシュ33aの配在下に貫通してシリンダ体3における下端側部内たる上記の気室A1に下端を臨在させる。
【0042】
このとき、気室A1は、図示するところでは、上記のロッドガイド33がシール33bを有することで下方室R2と画成され、また、前記したボトムキャップ31がシール31aを有することでシリンダ体3の外となるリザーバRと画成される。
【0043】
そして、このシリンダ体3における下端側部内が気室A1とされることで、フォーク本体内に収容される作動油量の減少を可能にし、フロントフォークにおける重量削減化に寄与し、また、コストの低減化に寄与する。
【0044】
つぎに、ロッド体4は、図1に示すように、上端部が上記したキャップ部材11におけるホルダ部11aにロックナット13の螺装下に連結されて車体側チューブ1の軸芯部に垂設されながら下端側をシリンダ体3内に出没可能に挿通している。
【0045】
そして、この実施形態にあって、ダンパが両ロッド型とされるから、ロッド体4は、上下となる二本のロッド体、すなわち、上方ロッド体41と下方ロッド体42とからなる。
【0046】
このとき、上方ロッド体41が上端部をキャップ部材11に連結させ、シリンダ体3内にあって、上方ロッド体41の下端部にピストン体5を有し、この上方ロッド体41の下端部に上端部が連結される下方ロッド体42の下端をシリンダ体3の下端側部内に、すなわち、前記したロッドガイド33の軸芯部を貫通した外部たる気室A1に突出させる。
【0047】
なお、この発明のダンパにあって、上方ロッド体41および下方ロッド体42は、後述するように、共にパイプからなるが、上方ロッド体41の上端部たる基端部をキャップ部材11に螺着する際には、たとえば、後述するバイパス路を形成するために上方ロッド体41に開穿する横孔41aを工具の挿し込み孔にしても良い。
【0048】
そして、下方ロッド体42についても、上記の上方ロッド体41と同様に、バイパス路を形成するために下方ロッド体42に開穿する横孔42aを工具の挿し込み孔にしても良いが、図示するところでは、下端部の内周に内側ナット部42c(図1参照)を有して、この内側ナット部42cを工具の連繋部にして下方ロッド体42を上方ロッド体41に螺着させる。
【0049】
また、この発明のダンパにあって、上方ロッド体41および下方ロッド体42は、共にパイプからなり、これらがロッドからなる場合に比較して、上記したシリンダ体3における下端側部内が気室A1とされることに加えて、フロントフォークにおける重量削減化に寄与する。
【0050】
さらに、ピストン体5は、シリンダ体3内に摺動可能に収装されながらロッド体4に保持され、このシリンダ体3内に上方室R1と下方室R2を画成すると共に、上方室R1と下方室R2の連通を許容する減衰手段たる伸側減衰バルブ5aと圧側減衰バルブ5bとを有する。
【0051】
それゆえ、上記したダンパにあっては、原理的には、シリンダ体3に対してロッド体4が出没されるとき、シリンダ体3内でピストン体5が摺動されて、上方室R1と下方室R2とが減衰手段を介して連通し、減衰手段、すなわち、伸側減衰バルブ5aおよび圧側減衰バルブ5bの作動で所定の減衰力が発生される。
【0052】
しかしながら、図示する実施形態にあって、ロッド体4たる上方ロッド体41および下方ロッド体42は、異径ロッドとされ、図示するところでは、上方ロッド体41が下方ロッド体42より小径に設定され、しかも、上方ロッド体41および下方ロッド体42がパイプからなる。
【0053】
このことから、シリンダ体3内をピストン体5が上昇する言わば伸側作動時には、上方室R1からの作動油が伸側減衰バルブ5aを介して下方室R2に流入する一方で、この上方室R1で言わば余剰となる量の作動油、すなわち、ロッド径差×摺動長に相当する量の作動油がシリンダ体3の外たるリザーバRに排出される。
【0054】
このとき、シリンダ体3におけるヘッド端部を形成するロッドガイド32には、図2に示すように、リザーバRから上方室R1に向けての作動油の流入を許容するが逆の上方室R1からリザーバRに向けての作動油の流出を阻止するチェック弁6を有すると共に、このチェック弁6に並列する絞り手段(符示せず)を有する。
【0055】
そして、この絞り手段は、前記したピストン体5が有する減衰手段たる伸側減衰バルブ5aにおける絞り抵抗より大きい絞り抵抗を有し、それゆえ、ピストン体5がシリンダ体3内を上昇する伸長作動時に上方室R1とリザーバRとの間に差圧が発生し、上方室R1が高圧化されて昇圧傾向に維持される。
【0056】
したがって、シリンダ体3内をピストン体5が上昇する伸長作動時には、上方室R1が昇圧傾向に維持されるから、作動油に混入する気泡の膨縮による負圧化を防止し、伸長作動の当初から伸側減衰バルブ5aが設定通りに作動して所定の伸側減衰力を発生する。
【0057】
そして、シリンダ体3内でのピストン体5の上昇で膨張する下方室R2も上記した差圧が上方室R1に発生しない場合に比較して昇圧傾向に維持され、それゆえ、ピストン体5がシリンダ体3内で反転して、下方室R2が収縮される収縮作動時には、その収縮作動の当初から圧側減衰バルブ5bが設定通りに作動して所定の圧側減衰力を発生する。
【0058】
なお、この収縮作動時には、下方室R2の作動油が上方室R1に流入するが、この上方室R1で言わば不足する量の作動油、すなわち、ロッド径差×摺動長に相当する量の作動油は、シリンダ体3の外たるリザーバRからチェック弁6を介して補給される。
【0059】
ちなみに、上記の絞り手段については、図示するところでは、ロッドガイド32と上方ロッド体41との間の漏れ隙間からなるが、所定の差圧効果を得られる限りには任意に構成されて良く、図示しないが、たとえば、ロッドガイド32を貫通するように形成される純然たる絞り孔からなる他、リーフバルブなどを有するバルブ構造に形成されても良い。
【0060】
そして、図示する実施形態のように、絞り手段がロッドガイド32と上方ロッド体41との間の漏れ隙間からなる場合には、シリンダ体3内を摺動するピストン体5の速度が微低速領域から低速領域にある場合にも、効果的に差圧を発生し得る点で有利となり、さらには、上方室R1におけるエアや異常高圧のリザーバRへの流出を許容し得る点で有利となる。
【0061】
ところで、上記したダンパにあっては、ピストン体5が有する減衰手段を迂回するバイパス路を有し、このバイパス路における作動油の通過流量を多少でき、また、上記した減衰手段における設定、すなわち、伸側減衰バルブ5aにおける初期荷重を高低できる。
【0062】
そして、バイパス路は、上方ロッド体41および下方ロッド体42がそれぞれパイプからなることもあって、図2に示すように、上方ロッド体41に開穿されて上方室R1に連通する横孔41aと、この横孔41aに連通する上方ロッド体41内と、この上方ロッド体41内に連通する下方ロッド体42内と、この下方ロッド体42内に連通すると共に下方室R2に連通するようにこの下方ロッド体42に開穿される横孔42aとからなる。
【0063】
ちなみに、下方ロッド体42がパイプからなるから、上記のバイパス路を保障するため、図2に示すように、下方ロッド体42内に封止手段たる栓42bが圧入されるのが良く、この場合には、シリンダ体3における下端側部内たる気室A1からの他方ロッド体42内への気体の流入を阻止し得て、シリンダ体3内の作動油中のエアが混入する事態を回避して、ダンパにおける減衰手段の作動を保障し得る。
【0064】
なお、上記の封止手段たる栓42bについては、図示しないが、バイパス路からの作動油の気室A1への流出を阻止するチェック弁に代えられても良く、この場合には、何等かの理由で気室A1が作動油で充満され、したがって、この気室A1に作動油の充満によるオイルロック現象が発現される状況になるとき、この気室A1内のる漏油を全排出できないが、このオイルロック現象の発現を防止し得る。
【0065】
ところで、上記のバイパス路には、図2に示すように、ニードル弁体からなるコントロールバルブ7が配在され、このコントロールバルブ7は、ロッドからなる内側コントロールロッド71からの推力で前進すると共に、この推力が解除されたときのリターンバネ72のバネ力で後退して、このニードル弁体の尖端と、この尖端を臨在させるバルブシート部(符示せず)との間に出現する環状隙間たる流路面積を広狭する。
【0066】
そしてまた、内側コントロールロッド71の図中で上端となる後端が車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11側に延在され、この内側コントロールロッド71の基端にはキャップ部材11に配設の後述する内側アジャスタ10の下端が隣接される(図3参照)。
【0067】
なお、コントロールバルブ7は、リターンバネ72によって後退方向に常時附勢されて後端たる基端を内側コントロールロッド71の先端に当接し、ダンパの伸長作動時に上方室R1からの油圧が作用しても、リターンバネ72のバネ力でバイパス路を閉鎖しない。
【0068】
したがって、コントロールバルブ7によってバイパス路の開口面積を調整することで、伸側減衰バルブ5aを通過する作動油の流量が変り、ダンパの伸長作動時の伸側減衰力が高低調整される。
【0069】
そして、このダンパにおける伸長作動時の伸側減衰力の高低調整を確実なものにするために、すなわち、ダンパの収縮作動時にこのバイパス路によって圧側減衰バルブ5bを通過する作動油量が多少されないようにするために、チェック弁73が上記のコントロールバルブたるニードル弁体の尖端に対向するように配設されている。
【0070】
このとき、このチェック弁73については、所定の作動を実現する限りには任意に構成されて良いが、図示するところでは、ボールとこのボールをいわゆる背後側から附勢する附勢バネとからなるとしている。
【0071】
一方、減衰手段を構成する圧側減衰バルブ5bは、図2に示すように、バルブストッパを兼ねるプッシャ51からの推力を受けてバルブシート部たるピストン体5の上端面に対する着座力、すなわち、初期荷重を強弱し得るように設定されている。
【0072】
そして、上記のプッシャ51の背後には、リターンバネ52の先端が隣接され、このリターンバネ52の基端に隣接する舌片部材53がパイプからなる外側コントロールロッド54からの推力で昇降し、この外側コントロールロッド54の基端にはキャップ部材11に配設の後述する中間アジャスタ9の下端が隣接される(図3参照)。
【0073】
それゆえ、このダンパにあっては、ピストン体5がシリンダ体3内を上昇するようにいわゆる伸側に摺動するときに、伸側減衰バルブ5aを迂回するバイパス路においてニードル弁体からなるコントロールバルブ7が進退することで、このバイパス路における作動油の通過流量を変更されて、伸長作動時に伸側減衰バルブ5aで発生される減衰力が高低変更される。
【0074】
そして、ピストン体5がシリンダ体3内をいわゆる圧側に摺動するときに、圧側減衰バルブ5bにおける初期荷重が外側コントロールロッド54の進退で変更されて、収縮作動時に圧側減衰バルブ5bで発生される減衰力が変更される。
【0075】
ちなみに、上記したバイパス路における作動油の通過流量の調整は、内側コントロールロッド71の進退に依存し、圧側減衰バルブ5bにおける初期荷重の調整も、同じく上記した外側コントロールロッド54の進退に依存するが、この各コントロールロッド71,54の進退は、上記のキャップ部材11の軸芯部に配設の中間配設の9およびこの中間アジャスタの軸芯部に配設の内側アジャスタ10に対する外部からの人力による回動操作で実現される。
【0076】
なお、パイプからなる外側コントロールロッド54内にロッドからなる内側コントロールロッド71が挿通されているが、後述するように、それぞれのアジャスタ9,10の作動時にそれぞれが連れ運動しない。
【0077】
ところで、図3に示すように、車体側チューブ1の上端開口を閉塞するキャップ部材11は、軸芯部に外側アジャスタ8を有すると共に、この外側アジャスタ8の軸芯部に中間アジャスタ9を有し、この中間アジャスタ9の軸芯部に内側アジャスタ10を有している。
【0078】
そして、各アジャスタ8,9,10は、外部からする人力操作で回動され、外側アジャスタ8の回動時には、懸架バネSのバネ力が変更され、中間アジャスタ9の回動時には、圧側減衰バルブ5bの初期荷重が変更され、内側アジャスタ10の回動時には、伸側減衰バルブ5aを迂回するバイパス路における作動油の通過流量が変更される。
【0079】
その一方で、この発明にあっては、各アジャスタ8,9,10は、それぞれOリングからなるフリクションシール8a,9a,10aを有して、このフリクションシール8a,9a,10aに起因する摺動抵抗でいわゆる共回り阻止を実践する。
【0080】
すなわち、内側アジャスタ10を回動する際のフリクションシール10aによる摺動抵抗よりも中間アジャスタ9を回動する際の摺動抵抗の方が大きく、中間アジャスタ9を回動する際の摺動抵抗よりも外側アジャスタ8を回動する際の摺動抵抗の方が大きくなるとしている。
【0081】
つまり、伸側減衰バルブ5aを迂回するバイパス路における作動油の通過流量を変更するための内側アジャスタ10の回動時に、圧側減衰バルブ5bにおける初期荷重を変更する中間アジャスタ9の回動を誘発させず、また、この中間アジャスタ9の回動時に、懸架バネSのバネ力を高低調整する外側アジャスタ8の回動を誘発させない。
【0082】
ちなみに、中間アジャスタ9と内側アジャスタ10との間にフリクションシール10aが配在されるから、中間アジャスタ9の回動時に内側アジャスタ10が同期回動するが、このときの内側アジャスタ10の回動は、単独ではないから問題はない。
【0083】
また、外側アジャスタ8と中間アジャスタ9との間にフリクションシール9aが配在されるから、外側アジャスタ8の回動時に中間アジャスタ9が同期回動するが、このときの内側アジャスタ10は、単独ではないから問題はない。
【0084】
なお、上記のOリングからなるフリクションシール8a,9a,10aに起因する摺動抵抗は、主に、外周の接触面積,潰し代および潤滑状態の要素で決まり、図示するところでは、接触面積を除き、潰し代および潤滑状態は、各フリクションシール8a,9a,10aにおいていわゆる同一とされている。
【0085】
すなわち、まず、図示するところにあって、外側アジャスタ8は、キャップ部材11に螺着されるホルダ14によってロッド体4の軸芯を中心にする回動を可能にするように定着される。
【0086】
このとき、ホルダ14との間にフリクションシール8aを有してホルダ14との間における所定のフリクションの発生を可能にし、このフリクションシール8aは、外側アジャスタ8のホルダ14の内周に摺接する外周に嵌装されている。
【0087】
そして、この外側アジャスタ8は、ホルダ14に保持された態勢で水平方向にのみ回動されャップ部材11からの抜け出しおよびキャップ部材11への没入が阻止されている。
【0088】
また、この外側アジャスタ8は、下端側の外周に筒状スライダ81を螺装させ、この筒状スライダ81は、外側アジャスタ8の回動時にこの外側アジャスタ8における下端側の外周で昇降する。
【0089】
そしてまた、この筒状スライダ81は、筒状に形成されて外側アジャスタ8の下端側の外周に螺装される本体部81aと、この本体部81aの下端から下方に向けて延在される二股状に形成の脚部81bとを有し、この二股状の脚部81bがキャップ部材11の下半側に係合する。
【0090】
このとき、キャップ部材11は、筒状スライダ81の脚部81bの挿通を許容する切欠部11bをホルダ部11aに、すなわち、上方ロッド体41をこのキャップ部材11に連結させる部位たるホルダ部11aに有する。
【0091】
そして、上記の切欠部11bに筒状スライダ81の脚部81bを係合させ、この筒状スライダ81における脚部81bの下端に懸架バネSの上端に直列される筒状スペーサ12の上端を環状シート部材12aの介在下に係止させる。
【0092】
それゆえ、筒状スライダ81は、外側アジャスタ8の回動操作で昇降し、環状シート部材12aおよび筒状スペーサ12を介して懸架バネSの上端を昇降させ、懸架バネSのバネ力の強弱を調整する。
【0093】
一方、外側アジャスタ8は、下半側を空部にして、後述する中間アジャスタ9および内側アジャスタ10の関連機構の配在を許容し、中間アジャスタ9および内側アジャスタ10は、前記したように、外側アジャスタ8と同様に外部から人力による回動操作で進退し、その進退方向は、共にロッド体4の軸線方向とされている。
【0094】
まず、中間アジャスタ9であるが、外側アジャスタ8の軸芯部に回動可能に配設される本体部91と、この本体部91から分離されているが直列されて連繋する回動部92とを有しなる。
【0095】
そして、この中間アジャスタ9にあって、外側アジャスタ8の内周に摺接する本体部91の外周にシール9aを嵌装させ、回動部92は、キャップ部材11におけるホルダ部11aの内周に螺装されている。
【0096】
ちなみに、図示するところにあって、中間アジャスタ9における本体部91は、上記のキャップ部材11における上端に着座するように担持されて、外側アジャスタ8の軸芯部で回動するとき、この外側アジャスタ8から抜け出ることなく、また、没入することなく、水平回転のみする。
【0097】
そして、この本体部91の下半側が、たとえば、径方向に欠落され、また、回動部92の上半側が、同じく径方向に欠落され、本体部91の下半側に回動部92の上半側が挿入されて、本体部91の回動時に回動部92が昇降しながら回動する。
【0098】
ちなみに、中間アジャスタ9における回動部92は、軸芯部に前記した内側コントロールロッド71の上端部を挿通させている。
【0099】
それゆえ、この中間アジャスタ9にあっては、その回動で前記した外側コントロールロッド54を昇降し得ることになり、その結果、同じく前記したピストン体5に配設の減衰手段たる圧側減衰バルブ5bにおける初期荷重を高低調整する。
【0100】
つぎに、内側アジャスタ10は、外周にフリクションシール10aを有する本体部101が中間アジャスタ9の内周に昇降可能に螺装されながらこの本体部101に連設される出力軸部102の下端部が上記した中間アジャスタ9における回動部92の軸芯部に挿通され、この軸芯部に臨在する内側コントロールロッド71の上端に下端を当接する。
【0101】
それゆえ、この内側アジャスタ10にあっては、その回動で前記した内側コントロールロッド71を昇降し得ることになり、その結果、同じく前記したピストン体5に配設の減衰手段たる伸側減衰バルブ5aを迂回するバイパス路における作動油の通過流量を制御し、伸側減衰バルブ5aで発生される減衰力を高低する。
【0102】
なお、中間アジャスタ9の回動時に外側アジャスタ8が連れ運動せず、内側アジャスタ10の回動時に中間アジャスタ9が連れ運動しないのは前述した通りである。
【0103】
また、外側コントロールロッド54と内側コントロールロッド71との間にはフリクションがないので、相互の回動時に相手方が連れ運動して共回りすることはない。
【0104】
以上のように、図示する実施形態にあっては、外側アジャスタ8とキャップ部材11との間、そして、中間アジャスタ9と外側アジャスタ8との間、さらには、内側アジャスタ10と中間アジャスタ9との間に、それぞれフリクションシール8a,9a,10aを配設することで、上記した共回り阻止を実現するから、この共回り阻止にフリクションシール8a,9a,10a以外の部品や構成を利用する場合に比較して、構成を簡単にし、また、部品点数を最小限度にする利点があり、また、フロントフォークにおける組立工数をいたずらに多くさせない利点がある。
【0105】
そして、フォーク本体内に封入されるガス圧を昇圧傾向にする場合には、その封入されるガス圧に見合う構成のフリクションシール8a,9a,10aを選択することで対応できる点で有利となる。
【0106】
以上のように形成されたフロントフォークにあって、ダンパの最伸長時における作用力の吸収については、シリンダ体3のヘッド端部とロッド体4との間における伸び切りバネS1(図2参照)の収縮で具現化され、また、フォーク本体の最収縮時における作用力の吸収については、車輪側チューブ2の上端がキャップ部材11の下端側に保持されるクッション部材15(図3参照)に当接されて具現化される。
【0107】
前記したところでは、この発明によるフロントフォークを構成するフォーク本体が車体側チューブ1を大径のアウターチューブにし、車輪側チューブ2を小径のインナーチューブにする倒立型に設定されているが、この発明が意図するところからすれば、図示しないが、車体側チューブ1をインナーチューブにし、車輪側チューブ2をアウターチューブにする正立型に設定されても良い。
【0108】
また、前記したところでは、この発明によるフロントフォークを構成するダンパが両ロッド型に形成されてなるとしたが、この発明が意図するところからすれば、図示しないが、ダンパが片ロッド型に形成されても良い。
【0109】
そして、前記したところでは、フロントフォークが作動油を作動流体とする緩衝器たる油圧緩衝器とされたが、この発明が意図するところからすれば、作動流体が油に代る水とされる流体圧緩衝器とされても良い。
【産業上の利用可能性】
【0110】
二輪車の前輪側に架装されて下端部で懸架する前輪に入力される路面振動を吸収する緩衝器としての利用に向く。
【符号の説明】
【0111】
1 車体側チューブ
2 車輪側チューブ
3 シリンダ体
4 ロッド体
5 ピストン体
5a 圧側減衰バルブ
6 チェック弁
7 コントロールバルブ
8 外側アジャスタ
8a,9a,10a フリクションシール
9 中間アジャスタ
10 内側アジャスタ
11 キャップ部材
41 上方ロッド体
42 下方ロッド体
54 外側コントロールロッド
71 内側コントロールロッド
R1 上方室
R2 下方室
R3 サブ室
S 懸架バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側チューブと車輪側チューブとからなりながら懸架バネで伸長方向に附勢されるフォーク本体が軸芯部にダンパを有し、上記の車体側チューブにおける上端開口を閉塞するキャップ部材の軸芯部に配設されてその回動時に上記の懸架バネにおけるバネ力を変更する外側アジャスタと、この外側アジャスタの軸芯部に配設されてその回動時に上記のダンパにおける減衰手段の設定を変更する中間アジャスタと、この中間アジャスタの軸芯部に配設されてその回動時に上記のダンパにおける減衰手段を迂回するバイパス路における作動流体の通過流量を変更する内側アジャスタとを有してなるフロントフォークにおいて、上記の外側アジャスタが上記のキャップ部材の軸芯部に回動可能に配設されると共に下端側の外周に下端で懸架バネのバネ力を受ける筒状スライダを螺装させ、この筒状スライダが上記の外側アジャスタの回動時に昇降され、上記の中間アジャスタが上記の外側アジャスタの軸芯部に回動可能に配設されると共にその回動時に下端に上端を係止させる外側コントロールロッドを昇降させて、上記のダンパにおける減衰手段に軸方向力を伝達し、上記の内側アジャスタが上記の中間アジャスタの軸芯部に螺装されると共にその回動時に下端に上端を係止させる内側コントロールロッドを昇降させて、上記の減衰手段を迂回するバイパス路に配在のコントロールバルブを進退させ、上記の外側アジャスタと上記のキャップ部材との間、上記の中間アジャスタと上記の外側アジャスタの間および上記の内側アジャスタと上記の中間アジャスタとの間に、それぞれフリクションシールが配設されてなることを特徴とするフロントフォーク。
【請求項2】
上記のダンパが上記の車体側チューブあるいは上記の車輪側ューブの軸芯部に立設されるシリンダ体と、上記の車体側チューブあるいは車輪側チューブの軸芯部に垂設されて上記のシリンダ体内に出没可能に挿通されるロッド体と、上記のシリンダ体内に摺動可能に収装されてこのシリンダ体内に上方室および下方室を画成しながら上記の減衰手段を介してこの上方室および下方室の連通を許容するピストン体とを有し、このピストン体に配設の上記の減衰手段を迂回する上記のバイパス路に配在される上記のコントロールバルブが上記のロッド体の軸芯部を挿通する上記の内側コントロールロッドによって上下動されて上記のバイパス路における作動油の通過流量を制御し、上記の内側コントロールロッドを軸芯部に挿通させる上記の外側コントロールロッドの昇降で上記の減衰手段における設定を変更し、上記の懸架バネが下端を上記のシリンダ体に担持させると共に上端を筒状スペーサの配在下に上記の筒状スライダの下端に係止させてなる請求項1に記載のフロントフォーク。
【請求項3】
上記のシリンダ体内に出没可能に挿通される上記のロッド体が先端を上記の車体側チューブ側に連結させてこの車体側チューブ内に垂設されながら基端を上記のピストン体に連結させる上方ロッド体と、先端側を上記のシリンダ体におけるボトム端部を貫通させながら基端を上記のピストン体に連結させる下方ロッド体との二本とされてなる請求項1または請求項2に記載のフロントフォーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−230090(P2010−230090A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78616(P2009−78616)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】