説明

フローはんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法

【課題】溶融はんだの吐出量の変動を抑制することができるフローはんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法を提供する。
【解決手段】フローはんだ付けノズル2は、溶融はんだ5を噴流させるフローはんだ付けノズル2であって、側壁部2aと、側壁部2aの上部に形成され、かつはんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔4とを有する多孔平板部2bとを備え、複数の第1噴出孔3の各々の開口面積より第2噴出孔4の開口面積が大きくなるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローはんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法に関し、特に、噴流はんだ付けに用いられるフローはんだ付けノズルおよびそれを用いたはんだ付け装置ならびにはんだ付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板などのはんだ付けにおいて、溶融はんだにはんだ付け対象物を浸漬させる噴流式(フロー)はんだ付け装置が利用されている。噴流式はんだ付け装置の内、一次はんだ付けのための一次ノズルおよび仕上げはんだ付けのための二次ノズルを備えたフローはんだ付け装置が広く使用されている。このフローはんだ付け装置では、一次ノズルおよび二次ノズルがプリント配線板の搬送方向に設置されている。
【0003】
たとえば、特開2004−195539号公報では、従来の一次ノズルとして、次の構造を有する一次吹き口塔が記載されている。この一次吹き口塔では、その上部に多孔平板からなるハンダ吹出し部が設けられている。ハンダ吹出し部には多数のハンダ吹出し孔が設けられている。外槽中の溶融ハンダは、たとえば給送機構に連結されたプロペラなどの運転により一次ハンダ吹き口塔内に給送され、ハンダ吹出し孔を通って噴出し、搬送中のプリント基板の下面に付着してハンダ付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−195539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の一次ハンダ吹き口塔では、プロペラなどのトルク変動が大きいため、各ハンダ吹出し孔からのはんだの吐出量がばらつくので、一定形状のはんだ噴流が各はんだ吹出し孔から吐出されない。つまり、はんだ噴流の形状が不安定となり、常時一定形状のはんだ噴流が形成されない。このため、プリント基板のはんだ付け面に設置された基板電極、部品電極、スルーホールおよびリードなどが溶融はんだと接触する時間が一定とならない。そのため、はんだ付け対象物が溶融はんだから得る受熱量は一定とならない。受熱量は過多であっても過少であってもはんだ付け不良が発生するため、はんだ付け対象物の品質は一定とならない。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、溶融はんだの吐出量の変動を抑制することができるフローはんだ付けノズル、はんだ付け装置およびはんだ付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフローはんだ付けノズルは、溶融はんだを噴流させるフローはんだ付けノズルであって、側壁部と、側壁部の上部に形成され、かつはんだ付けに使用する複数の第1噴出孔と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔とを有する多孔平板部とを備え、複数の第1噴出孔の各々の開口面積より第2噴出孔の開口面積が大きくなるよう構成されている。
【0008】
本発明の他のフローはんだ付けノズルは、溶融はんだを噴流させるフローはんだ付けノズルであって、側壁部と、側壁部の上部に形成され、かつ第1噴出孔と、第2噴出孔とを有する多孔平板部と、第1噴出孔と第2噴出孔とに供給される溶融はんだの量を可変させる遮蔽板とを備え、遮蔽板は、多孔平板部の下部に設置され、多孔平板部と成す角度を調整可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフローはんだ付けノズルによれば、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔とを有する多孔平板部とを備え、複数の第1噴出孔の各々の開口面積より第2噴出孔の開口面積が大きくなるよう構成されているため、複数の第1噴出孔からの溶融はんだの吐出圧力の変動が緩和されるので、溶融はんだの吐出量の変動を抑制することができる。
【0010】
本発明の他のフローはんだ付けノズルによれば、第1噴出孔と第2噴出孔とに供給される溶融はんだの量を可変させるための遮蔽板を備え、遮蔽板は、多孔平板部の下部に設置され、多孔平板部と成す角度を調整可能に構成されているため、第1噴出孔および第2噴出孔から噴流する溶融はんだの量を制御することができるので、溶融はんだの吐出量の変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け装置の概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付けノズルの概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるはんだ付け装置に基板が把持された状態でのフローはんだ付けノズルの近傍を示す概略断面図であって、その断面位置は図2のIII−III線に沿う断面位置である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付けノズルに基板が搬送される様子を示す概略側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるフローはんだ付けノズルの変形例の概略平面図であって、変形例1を示す図(A)と、変形例2を示す図(B)と、変形例3を示す図(C)と、変形例4を示す図(D)である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるフローはんだ付けノズルの概略平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2におけるはんだ付け装置のフローはんだ付けノズルの近傍を示す概略断面図であって、その断面位置は図6のVII−VII線に沿う断面位置である。
【図8】本発明の実施の形態3におけるフローはんだ付けノズルの概略平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3におけるはんだ付け装置ではんだ付けしている状態でのフローはんだ付けノズルの近傍を示す概略断面図であって、その断面位置は図8のIX−IX線に沿う断面位置である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1のはんだ付け装置の構成について説明する。
【0013】
図1および図2を参照して、本実施の形態のはんだ付け装置1は、フローはんだ付けノズル2と、はんだ槽6と、プロペラ7と、駆動手段8と、搬送爪10と、搬送手段11とを主に有している。なお、図1では溶融はんだ5も図示されている。
【0014】
はんだ付け装置1は、フローはんだ付けノズル2から溶融はんだ5を噴流させてはんだ付け対象物に溶融はんだ5を接触させてはんだ付けする装置である。
【0015】
フローはんだ付けノズル2は、溶融はんだ5を噴流させるよう構成されている。フローはんだ付けノズル2は、側壁部2aと多孔平板部2bとを有している。フローはんだ付けノズル2は、側壁部2aが周囲を囲むように形成されている。側壁部2aの上部に多孔平板部2bが形成されている。多孔平板部2bは、平板形状を有している。多孔平板部2bは、はんだ槽6に貯留された溶融はんだ5の液面の高さより上方に配置されている。
【0016】
フローはんだ付けノズル2の最大外形寸法は、たとえば縦50mm×横600mm×高さ100mmであるが、はんだ槽6に設置可能な大きさであれば特に制限されない。フローはんだ付けノズル2の材質は、たとえば窒化クロムで表面が処理されたステンレス鋼材料であるが、これに限定されず、溶融はんだ5によって侵食されない材料であればよい。フローはんだ付けノズル2の材質は、溶融はんだ5と接触しても変質や変形が生じないような材料であり、融点がはんだ材の融点以上の材料であればよく、たとえばチタン材などであってもよい。
【0017】
多孔平板部2bは、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔4とを有している。複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4は、多孔平板部2bを貫通するように形成されている。複数の第1噴出孔3の各々の開口面積より第2噴出孔4の開口面積が大きくなるよう構成されている。
【0018】
複数の第1噴出孔3は、たとえば基板搬送方向TDと交差する方向に3列に配置されている。複数の第1噴出孔3から溶融はんだ5が噴出することにより、噴流高さが安定化され得る。複数の第1噴出孔3は、たとえばはんだ付け装置1の前面側(図1中左側、図2中下側)に配置されている。第2噴出孔4は、たとえば基板搬送方向TDと交差する方向にはんだ付け装置1の背面側(図1中右側、図2中上側)に配置されている。なお、第2噴出孔4の形状、数および設置位置は、特に制限されず、はんだ付けを阻害しない位置であればよい。
【0019】
第2噴出孔4の開口面積が複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4の総開口面積の一割以上の大きさを有していてもよい。第2噴出孔4の開口面積が複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4の総開口面積の一割以上の大きさを有していれば、溶融はんだ5の噴流高さの変動量がより抑制される。
【0020】
第2噴出孔4の上端の高さが複数の第1噴出孔3の各々の上端の高さ以上となるように構成されていてもよい。第2噴出孔4の上端の溶融はんだ5の液面からの高さは、複数の第1噴出孔3の各々の上端の溶融はんだ5の液面からの高さ以上となる。よって、複数の第1噴出孔3の各々の上端の溶融はんだ5の液面からの高さが第2噴出孔4の上端の溶融はんだ5の液面の高さより低いため、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3から確実に溶融はんだ5が噴流され得る。
【0021】
多孔平板部2bの厚さは、たとえば5mmであるが、これに制限されず、圧力損失が大き過ぎて溶融はんだ5が第1噴出孔3および第2噴出孔4を通過しない程大きくなければよい。第1噴出孔3の直径は、たとえば5mmであるが、これに限定されず、直径が小さ過ぎて溶融はんだ5が噴出しない程小さくなければよい。また、第1噴出孔3の直径は、多孔平板部2b上に複数の第1噴出孔3が配列できる大きさであればよく、1mm以上15mm以下であることが好ましい。第2噴出孔4の平面形状は、縦40mm×横50mmの矩形に形成されている。
【0022】
はんだ槽6は、少なくとも上面の一部が開口した中空の筐体で構成されている。その筐体の内部に溶融はんだ5が貯留されている。フローはんだ付けノズル2は、はんだ槽6の開口した上面から上方へ突出するように配置されている。
【0023】
はんだ槽6の筐体の内部に、溶融はんだ5をフローはんだ付けノズル2に供給するための供給手段として、たとえばプロペラ7が配置されている。プロペラ7は、たとえばフローはんだノズル2の下方に回転可能に配置されている。なお、プロペラ7の配置位置は、これに限定されず、溶融はんだ5をフローはんだ付けノズル2に供給可能な配置位置であればよい。なお、溶融はんだ5をフローはんだ付けノズル2に供給するための供給手段は、プロペラ7に限定されず、たとえばポンプであってもよい。
【0024】
プロペラ7には駆動手段8が接続されている。駆動手段8は、たとえばモータとモータ軸とを有している。駆動手段8は、モータの駆動力がモータ軸を経由してプロペラ7に伝達されることによりプロペラ7を回転するよう構成されている。
【0025】
搬送レール9は、基板搬送方向TDに沿ってフローはんだ付けノズル2の上方に配置されている。搬送レール9は、基板搬送方向TDに沿って配置されている。搬送レール9は、たとえば複数の第1噴出孔3と第2噴出孔4とが並ぶ方向と交差する方向に配置されている。搬送レール9には、図示しない基板を把持するための搬送爪10が搬送レール9に沿って移動可能に取り付けられている。搬送レール9には、搬送手段11が設置されている。搬送手段11は、搬送爪10に把持された図示しない基板を搬送レール9に沿って移動するよう構成されている。搬送手段11は、たとえばベルトコンベアなどであってもよい。
【0026】
なお、搬送レール9の幅は基板21の幅に合わせて変更可能に構成されていてもよい。また、搬送レール9の一方が固定されており、他方が可動するよう構成されていてもよい。たとえば、はんだ付け装置1の前面側の搬送レール9が固定されており、はんだ付け装置1の背面側の搬送レール9が可動する構造となっていてもよい。
【0027】
次に、本実施の形態のはんだ付け装置の動作について説明する。
図3および図4を参照して、電子部品22が搭載された基板21が準備される。なお、見やすくするため、図3では搬送手段11は記載されておらず、図4では搬送レール9および搬送爪10は記載されていない。基板21としてプリント基板が適用され得る。電子部品22は、挿入実装部品22aと表面実装部品22bとを有している。
【0028】
基板21のスルーホールに挿入実装部品22aの部品電極24が挿入されている。挿入実装部品22aの部品電極24は、基板21のはんだ付け面から突出するよう構成されている。表面実装部品22bは、基板21のはんだ付け面に、たとえば熱硬化性接着剤によって接着されている。たとえばスプレー噴霧式フラクサなどを用いて基板21のはんだ付け面側よりフラックスが塗布されている。
【0029】
溶融はんだ5がプロペラ7(図1)の回転によって、フローはんだ付けノズル2に供給される。フローはんだ付けノズル2に供給された溶融はんだ5は、複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4から噴流する。
【0030】
搬送爪10に基板21が把持される。搬送レール9に設置されたベルトコンベアなどの搬送手段11によって基板搬送方向TDに搬送爪10が移動することにより、電子部品22が搭載された基板21が搬送される。基板21は、基板21のはんだ付け面が第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5に浸漬されるように搬送される。基板21に搭載された挿入実装部品22aおよび表面実装部品22bの部品電極24と、基板21の基板電極23とに溶融はんだ5が濡れ広がることにより、電子部品22が基板21にはんだ付けされる。
【0031】
なお、フローはんだ付けノズル2が基板搬送方向TDに対して下流側が上流側より高くなるよう形成されている場合、基板21は、フローはんだ付けノズル2にあわせて、基板搬送方向TDに対して下流側が上流側より高くなるよう搬送爪10に把持されて、搬送されてもよい。
【0032】
図5(A)から図5(D)を参照して、本実施の形態のフローはんだ付けノズルの変形例について説明する。
【0033】
上記のフローはんだ付けノズル2では、第2噴出孔4が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の背面側に1つ設置されているが、本実施の形態のフローはんだ付けノズル2は、これに限定されない。図5(A)から図5(D)に示すフローはんだ付けノズル2がはんだ付け装置1に適用されてもよい。
【0034】
図5(A)を参照して、変形例1のフローはんだ付けノズル2では、同等の開口面積を有する2つの第2噴出孔4が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の背面側に設置されている。また、複数の第1噴出孔3が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の前面側に3列に設置されている。
【0035】
図5(B)を参照して、変形例2のフローはんだ付けノズル2では、基板搬送方向TDと交差する方向にはんだ付け装置1の前面側から背面側まで平面視において矩形の第2噴出孔4が設置されている。また、第2噴出孔4は第1噴出孔3に対して基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されている。複数の第1噴出孔3が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の前面側から背面側まで2列に設置されている。
【0036】
変形例2では、基板搬送方向TDの上流側に設置された第2噴出孔4は、はんだ付けに使用されない。第2噴出孔4の上方を通過して、複数の第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5ではんだ付けされるため、基板21および基板21に搭載された電子部品22が第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の熱で予備加熱され得る。
【0037】
図5(C)を参照して、変形例3のフローはんだ付けノズル2では、基板搬送方向TDと交差する方向にはんだ付け装置1の前面側から背面側まで矩形の第2噴出孔4が設置されている。複数の第1噴出孔3が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の前面側から背面側まで2列に設置されている。また、第2噴出孔4は、2列の第1噴出孔3の間に設置されている。
【0038】
変形例3では、基板搬送方向TDに対して2列の複数の第1噴出孔3の間に設置された第2噴出孔4は、はんだ付けに使用されない。基板搬送方向TDの上流側に配置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過して、基板搬送方向TDの下流側に設置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされる。このため、基板搬送方向TDの上流側の複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分の温度が下流側の複数の第1噴出孔3ではんだ付けされるまでに低下することが抑制され得る。
【0039】
図5(D)を参照して、変形例4のフローはんだ付けノズル2では、基板搬送方向TDと交差する方向にはんだ付け装置1の前面側から背面側まで矩形の第2噴出孔4が設置されている。また、第2噴出孔4は第1噴出孔3に対して基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されている。複数の第1噴出孔3が基板搬送方向TDに対して交差する方向ではんだ付け装置1の前面側から背面側まで2列に設置されている。
【0040】
変形例4では、基板搬送方向TDの下流側に設置された第2噴出孔4は、はんだ付けに使用されない。基板搬送方向TDの上流側に設置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過するため、複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分の温度の低下が抑制され得る。
【0041】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔4とを有する多孔平板部2bとを備えているため、複数の第1噴出孔3からの溶融はんだ5の吐出圧力は、複数の第1噴出孔3の開口面積および第2噴出孔4の開口面積によって定まる。そのため、第2噴出孔4が設けられていない場合に比べて、複数の第1噴出孔3からの吐出圧力の変動が抑制される。複数の第1噴出孔3の各々の開口面積より第2噴出孔4の開口面積が大きくなるよう構成されている。このため、複数の第1噴出孔3からの吐出圧力の変動を抑制する効果が大きい。よって、第1噴出孔3からの溶融はんだ5の吐出圧力の変動が緩和されるので、溶融はんだ5の吐出量の変動を抑制することができる。
【0042】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、第2噴出孔4の開口面積が複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4の総開口面積の一割以上の大きさを有していてもよい。第2噴出孔4の開口面積が複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4の総開口面積の一割以上の大きさを有していれば、溶融はんだ5の噴流高さの変動量をより抑制することができる。たとえば、第2噴出孔4の開口面積が複数の第1噴出孔3および第2噴出孔4の総開口面積の一割の大きさであれば、溶融はんだ5の噴流高さの変動量を約9%抑制することができる。
【0043】
開口面積がA(m2)、各噴出孔への吐出力をP(N)とした場合の溶融はんだ5の吐出圧力は、P/A(N/m2=Pa)となる(パスカルの原理)。一割増加した場合の開口面積をA(1+0.1)(m2)とすると、吐出力Pが一定の場合、各噴出孔への吐出圧力はP/A/A(1+0.1)=0.909P(Pa)となる。よって、一割増加しない場合に比べて各噴出孔への吐出圧力は0.091P(pa)減少する。一方で、溶融はんだ5の流量M(m2/s)が一割変動することから、噴流高さは、M(1±0.1)×Pから、M(1±0.1)×0.909Pとなる。よって、開口面積を一割増加した場合には、開口面積を一割増加しない場合と比較して、高さ変動が9.1%抑制される。
【0044】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、第2噴出孔4の上端の高さが複数の第1噴出孔3の各々の上端の高さ以上となるように構成されていてもよい。これにより、第2噴出孔4の上端の溶融はんだ5の液面からの高さは、複数の第1噴出孔3の各々の上端の溶融はんだ5の液面からの高さ以上となる。よって、複数の第1噴出孔3の各々の上端の溶融はんだ5の液面からの高さが第2噴出孔4の上端の溶融はんだ5の液面の高さより低いため、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3から確実に溶融はんだ5を噴流させることができる。
【0045】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、変形例4に示すように、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されているため、基板搬送方向TDの上流側に配置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過するので、複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分の温度の低下を抑制することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0046】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、変形例2に示すように、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されているため、第2噴出孔4の上方を通過して、複数の第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5ではんだ付けされるので、基板21および基板21に搭載された電子部品22を第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の熱で予備加熱することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0047】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のフローはんだ付けノズルは、実施の形態1のフローはんだ付けノズルと比較して、遮蔽板をさらに備えている点で主に異なっている。
【0048】
図6および図7を参照して、第2噴出孔4は、第1噴出孔3に対して基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されている。多孔平板部2bの第2噴出孔4は、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aまで形成されている。第2噴出孔4の上端の高さは、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さとなる。基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さは、基板搬送方向TDの上流側の第1噴出孔3の上端の高さに形成されている。
【0049】
多孔平板部2bは基板搬送方向TDの上流側から下流側に向かって高さが高くなるよう構成されている。そのため、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さは、基板搬送方向TDの最も上流側の第1噴出孔3の高さに形成されている。つまり、第2噴出孔4の上端の高さは、基板搬送方向TDの最も上流側の第1噴出孔3の上端の高さに形成されている。なお、図7中の破線は、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さと基板搬送方向TDの最も上流側の第1噴出孔3の上端の高さを示している。
【0050】
第2噴出孔4の上端の高さは、複数の第1噴出孔3の各々の上端の高さ以上となるように構成されていればよい。第2噴出孔4と基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aとの境界部は堰33を構成している。フローはんだ付けノズル2は、堰33から溶融はんだ5が流れ出るよう構成されている。
【0051】
遮蔽板31は、複数の第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量を可変させるためのものである。遮蔽板31は、多孔平板部2bの下部に設置されている。遮蔽板31は、多孔平板部2bと成す角度を調整可能に構成されている。遮蔽板31は、たとえば多孔平板部2bの下面に蝶番32によって取り付けられている。遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角度は、蝶番32を中心として任意に調整され得る。遮蔽板31は図7中矢印MAの方向に先端部が移動され得る。なお、遮蔽板31は、たとえばねじ止めによって固定されるが溶融はんだ5の流れを阻害しない固定方法であれば、どのような固定方法であってもよい。
【0052】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は、上述した実施の形態1の構成と同様であるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図7に示すように、遮蔽板31が第2噴出孔4の側に傾いている場合(遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角が鋭角である場合)、基板搬送方向TDの上流側の複数の第1噴出孔4へ供給される溶融はんだ5の量が多くなり、第2噴出孔4へ供給される溶融はんだ5の量が少なくなる。図示しないプロペラやモータなどで給送された溶融はんだ5が遮蔽板31に当ることにより、溶融はんだ5の噴出圧力が減少することで、第2噴出孔4へ供給される溶融はんだ5の噴出圧力が減少する。これにより、第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の量が少なくなるとともに噴流高さが低くなる。
【0054】
一方、遮蔽板31が第1噴出孔3の側に傾いている場合(遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角が鈍角である場合)、基板搬送方向TDの上流側の複数の第1噴出孔4へ供給される溶融はんだ5の量が少なくなり、第2噴出孔4へ供給される溶融はんだ5の量が多くなる。図示しないプロペラやモータなどで給送された溶融はんだ5が遮蔽板31に当ることにより、溶融はんだ5の噴出圧力が減少することで、第1噴出孔3へ供給される溶融はんだ5の噴出圧力が減少する。これにより、第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5の量が少なくなるとともに噴流高さが低くなる。
【0055】
このように、遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角度を調整することにより、複数の第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量が制御される。これにより、噴流高さが制御される。
【0056】
本実施の形態のはんだ付け装置1では、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されている。基板搬送方向TDの上流側に配置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過する。なお、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されていてもよい。
【0057】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、複数の第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量を可変させるための遮蔽板31をさらに備え、遮蔽板31は、多孔平板部2bの下部に設置され、かつ多孔平板部2bと成す角度を調整可能に構成されている。そのため、複数の第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5の量を制御することができるので、噴流高さを安定化することができる。また、遮蔽板31に溶融はんだ5が当ることによって溶融はんだ5の噴出圧力が減少するので、噴流高さを安定化することができる。
【0058】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、第2噴出孔4の上端の高さが複数の第1噴出孔3の各々の上端の高さ以上となるように構成されていてもよい。これにより、複数の第1噴出孔3の各々の上端の溶融はんだ5の液面からの高さが第2噴出孔4の上端の溶融はんだ5の液面の高さより低いため、はんだ付けに使用する複数の第1噴出孔3から確実に溶融はんだ5を噴流させることができる。
【0059】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されているため、基板搬送方向TDの上流側に配置された複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過するので、複数の第1噴出孔3ではんだ付けされた部分の温度の低下を抑制することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0060】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されていてもよい。第2噴出孔4の上方を通過して、複数の第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5ではんだ付けされるので、基板21および基板21に搭載された電子部品22を第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の熱で予備加熱することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0061】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態2のフローはんだ付けノズルは、実施の形態1のフローはんだ付けノズルと比較して、遮蔽板をさらに備えている点および第2噴出孔がはんだ付けに使用されてもよい点で主に異なっている。
【0062】
図8および図9を参照して、フローはんだ付けノズル2は、溶融はんだ5を噴流させるよう構成されている。フローはんだ付けノズル2は、側壁部2aと多孔平板部2bとを有している。フローはんだ付けノズル2は、側壁部2aが周囲を囲むように形成されている。側壁部2aの上部に多孔平板部2bが形成されている。多孔平板部2bは、平板形状を有している。多孔平板部2bは、第1噴出孔3と、第2噴出孔4とを有している。第1噴出孔3および第2噴出孔4は、多孔平板部2bを貫通するように形成されている。
【0063】
第1噴出孔3は複数の噴出孔3aを含んでいてもよい。噴出孔3aの平面形状は円形に構成されていてもよい。なお噴出孔3aの平面形状は楕円形であってもよく、矩形であってもよい。たとえば複数の第1噴出孔3aは基板搬送方向TDと交差する方向に2列に配置されている。第2噴出孔4は、基板搬送方向TDと交差する方向にはんだ付け装置1の前面側から背面側まで平面視において矩形に形成されている。第2噴出孔4は、第1噴出孔3に対して基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されている。基板搬送方向TDにおいて第1噴出孔3と第2噴出孔4との間には、溝部2cが形成されている。
【0064】
多孔平板部2bの第2噴出孔4は、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aまで形成されている。第2噴出孔4の上端の高さは、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さとなる。基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さは、基板搬送方向TDの上流側の第1噴出孔3の上端の高さに形成されている。
【0065】
多孔平板部2bは基板搬送方向TDの上流側から下流側に向かって高さが高くなるよう構成されている。そのため、基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aの高さは、基板搬送方向TDの最も上流側の第1噴出孔3の上端の高さに形成されている。つまり、第2噴出孔4の上端の高さは、基板搬送方向TDの最も上流側の第1噴出孔3の上端の高さに形成されている。
【0066】
第2噴出孔4の上端の高さは、第1噴出孔3の各々の上端の高さ以上となるように構成されていてもよい。第2噴出孔4と基板搬送方向TDの下流側の側壁部2aとの境界部は堰33を構成している。フローはんだ付けノズル2は、堰33から溶融はんだ5が流れ出るよう構成されている。
【0067】
遮蔽板31は、第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量を可変させるためのものである。遮蔽板31は、多孔平板部2bの下部に設置されている。遮蔽板31は、多孔平板部2bと成す角度を調整可能に構成されている。遮蔽板31は、たとえば溝部2cの下面に蝶番32によって取り付けられている。遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角度は、蝶番32を中心として任意に調整され得る。溝部2cと遮蔽板31とによって第1噴出孔3へ溶融はんだ5を供給する第1流路41と第2噴出孔4へ溶融はんだ5を供給する第2流路42が形成されている。
【0068】
本実施の形態のはんだ付け装置1では、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されている。なお、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されていてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は、上述した実施の形態1および実施の形態2の対応する構成と同様であるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0070】
図9に示すように、遮蔽板31と多孔平板部2bとの成す角度を調整することにより、
第1流路41および第2流路42に供給される溶融はんだ5の量が調整される。よって、第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量が制御される。これにより、噴流高さが制御される。
【0071】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2はフローはんだ付け用一次ノズルとして使用されてもよい。本実施の形態のフローはんだ付けノズル2がフローはんだ付け用一次ノズルとして使用される場合、基板21が第1噴出孔3から吐出する溶融はんだ5と接触した後、基板21の温度は急激に低下する。具体的には、基板電極23の温度は、溶融はんだ5の温度と接触しているときははんだの融点より高い温度であるが、溶融はんだ5との接触が終了すると基板21の温度ははんだの凝固点温度以下にまで低下する。
【0072】
そのため、図示しない二次ノズルによって二次はんだ付けされるまでに、挿入実装部品22aのリードが挿入された基板21のスルーホール部に、フローはんだ付けノズル2による一次はんだ付けによって進入した溶融はんだ5は凝固する。凝固したはんだは二次ノズルからの二次はんだ噴流と接触することで、再び溶融してスルーホール部の内部を濡れ上がるが、この際、凝固したはんだを再溶融するために過剰な熱量が必要となる。
【0073】
基板搬送方向TDの上流側に配置された第1噴出孔3で一次はんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過することにより、溶融はんだ5がヒータ代わりとなって基板21の温度低下が緩和される。
【0074】
なお、第2噴出孔4から流れ出る溶融はんだ5と基板21とが接触してもよい。第2噴出孔4から流れ出る溶融はんだ5と基板21とが接触した場合、はんだ付け部分のはんだの温度低下がさらに抑制される。
【0075】
また、遮蔽板31の設定を変更することで、第1噴出孔3に溶融はんだ5が流れ込まないように設定することも可能である。すなわち、第1噴出孔3でははんだ付けをせずに、第2噴出孔4部または二次はんだ付けのみによってはんだ付けする方法を選択することも可能である。
【0076】
本実施の形態のはんだ付け方法は、電子部品22が搭載された基板21を噴流する溶融はんだ5に浸漬させる。電子部品22が搭載された基板21が準備される。フローはんだ付けノズル2の第1噴出孔3と第2噴出孔4との少なくともいずれかから噴流する溶融はんだ5に電子部品22が搭載された基板21が浸漬されて電子部品22が基板21にはんだ付けされる。
【0077】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、第1噴出孔3と第2噴出孔4とに供給される溶融はんだ5の量を可変させるための遮蔽板31を備え、遮蔽板31は、多孔平板部2bの下部に設置され、多孔平板部2bと成す角度を調整可能に構成されている。そのため、第1噴出孔3および第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の量を制御することができるので溶融はんだ5の吐出量の変動を抑制することができる。よって噴流高さを安定化することができる。また、遮蔽板31に溶融はんだ5が当ることによって溶融はんだ5の噴出圧力が減少するので、噴流高さを安定化することができる。
【0078】
本実施の形態のフローはんだ付けノズル2によれば、第1噴出孔3は複数の噴出孔3aを含み、噴出孔3aの平面形状は円形に構成されていてもよい。噴出孔3aの平面形状が円形に構成されているため、噴出孔3aから流れる噴流の形状を安定化することができる。また、噴出孔3aの平面形状が円形に構成されているため、フローはんだ付けノズル2のサイズを小さくすることができる。
【0079】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて下流側に設置されているため、基板搬送方向TDの上流側に配置された第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4の上方を通過するので、第1噴出孔3ではんだ付けされた部分の温度の低下を抑制することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0080】
また、第1噴出孔3ではんだ付けされた部分が第2噴出孔4から流れ出る溶融はんだ5に接触してもよい。この場合には、第1噴出孔3ではんだ付けされた部分のはんだの温度低下をさらに抑制することができる。
【0081】
本実施の形態のはんだ付け装置1によれば、第2噴出孔4が第1噴出孔3に対して電子部品22が搭載された基板21の基板搬送方向TDにおいて上流側に設置されていてもよい。第2噴出孔4の上方を通過して、第1噴出孔3から噴流する溶融はんだ5ではんだ付けされるので、基板21および基板21に搭載された電子部品22を第2噴出孔4から噴流する溶融はんだ5の熱で予備加熱することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0082】
本実施の形態のはんだ付け方法によれば、電子部品22が搭載された基板21を準備する工程と、フローはんだ付けノズル2の第1噴出孔3と第2噴出孔4との少なくともいずれかから噴流する溶融はんだ5に電子部品22が搭載された基板21を浸漬させて電子部品22を基板21にはんだ付けする工程とを備えている。
【0083】
これにより、はんだ付け直後の温度低下を抑制することができる。また、はんだ付け直前の予備加熱を自由に設定することができる。また、プリント基板設計の自由度を増加することができる。
【0084】
上記の各実施の形態は、適時組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 はんだ付け装置、2 フローはんだ付けノズル、2a 側壁部、2b 多孔平板部、3 第1噴出孔、3a 噴出孔、4 第2噴出孔、5 溶融はんだ、6 はんだ槽、7 プロペラ、8 駆動手段、9 搬送レール、10 搬送爪、11 搬送手段、21 基板、22 電子部品、22a 挿入実装部品、22b 表面実装部品、23 基板電極、24 部品電極、31 遮蔽板、32 蝶番、33 堰、41 第1流路、42 第2流路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融はんだを噴流させるフローはんだ付けノズルであって、
側壁部と、
前記側壁部の上部に形成され、かつはんだ付けに使用する複数の第1噴出孔と、はんだ付けに使用しない第2噴出孔とを有する多孔平板部とを備え、
複数の前記第1噴出孔の各々の開口面積より前記第2噴出孔の開口面積が大きくなるよう構成されている、フローはんだ付けノズル。
【請求項2】
前記第2噴出孔の開口面積が複数の前記第1噴出孔および前記第2噴出孔の総開口面積の一割以上の大きさを有している、請求項1に記載のフローはんだ付けノズル。
【請求項3】
前記第2噴出孔の上端の高さが複数の前記第1噴出孔の各々の上端の高さ以上となるように構成されている、請求項1または2に記載のフローはんだ付けノズル。
【請求項4】
複数の前記第1噴出孔と前記第2噴出孔とに供給される前記溶融はんだの量を可変させるための遮蔽板をさらに備え、
前記遮蔽板は、前記多孔平板部の下部に設置され、かつ前記多孔平板部と成す角度を調整可能に構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載のフローはんだ付けノズル。
【請求項5】
溶融はんだを噴流させるフローはんだ付けノズルであって、
側壁部と、
前記側壁部の上部に形成され、かつ第1噴出孔と、第2噴出孔とを有する多孔平板部と、
前記第1噴出孔と前記第2噴出孔とに供給される前記溶融はんだの量を可変させるための遮蔽板とを備え、
前記遮蔽板は、前記多孔平板部の下部に設置され、前記多孔平板部と成す角度を調整可能に構成されている、フローはんだ付けノズル。
【請求項6】
前記第1噴出孔は複数の噴出孔を含み、
前記噴出孔の平面形状は円形に構成されている、請求項5に記載のフローはんだ付けノズル。
【請求項7】
電子部品を基板にはんだ付けするためのはんだ付け装置であって、
請求項1〜6のいずれかに記載のフローはんだ付けノズルを備え、
前記第2噴出孔が前記第1噴出孔に対して前記電子部品が搭載された前記基板の搬送方向において下流側に設置されている、はんだ付け装置。
【請求項8】
電子部品を基板にはんだ付けするためのはんだ付け装置であって、
請求項1〜6のいずれかに記載のフローはんだ付けノズルを備え、
前記第2噴出孔が前記第1噴出孔に対して前記電子部品が搭載された前記基板の搬送方向において上流側に設置されている、はんだ付け装置。
【請求項9】
電子部品が搭載された基板を噴流する溶融はんだに浸漬させるはんだ付け方法であって、
前記電子部品が搭載された前記基板を準備する工程と、
請求項5または6に記載のフローはんだ付けノズルの前記第1噴出孔と前記第2噴出孔との少なくともいずれかから噴流する前記溶融はんだに前記電子部品が搭載された前記基板を浸漬させて前記電子部品を前記基板にはんだ付けする工程とを備えた、はんだ付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−146638(P2011−146638A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8227(P2010−8227)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】