説明

フローリングの床材及びその製造方法

【課題】熱融着繊維を使用して繊維間融着をはかることにより防音性能に必要な通気度の微細コントロールを可能として防音性を良好にすると共にフローリングとの接着をよくして剥離強力の改善をはかる。
【解決手段】高融点繊維層2と熱融着繊維層3を交絡一体化し、かつバインダー溶液に浸漬して所定量のバインダーを付与した短繊維層状体1の上記高融点繊維層2側に接着性を有する薄膜フィルム4を重ね、更にその上にスパンボンド不織布5を重ねて熱接着一体化し、熱融着繊維層表面の短繊維間の融着により毛羽伏せと微細な通気孔が形成されてなるフローリングの床材を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマンション,一戸建て等において、コンクリート床面、パーティクルボード、合板等の下地に接着剤を介して直貼り使用されるフローリングの断熱と防音を補助するフローリングの床材ならびにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション,一戸建て等のコンクリート建築物においてはコンクリートの床板に木製のフローリングが直接貼られているが、木のみで作られたフローリング材をコンクリート床板に直接貼ると防音上に難があるため、木製のフローリングの裏面に短繊維層状体等の緩衝材を床材として貼り付けたフローリングが用いられている。(例えば特許文献1参照)
また、一方において、短繊維層状体にスパンボンド不織布と薄いフィルムを積層したフローリングの床材も現在、一部利用されているが、短繊維層状体としてポリエステルなど高融点繊維が用いられているため、これにバインダー処理することによって十分、繊維間接着ができるにしても、これをフローリングの床材として使用すると、フローリング(木面)面と床材表面との接着に接着剤を用いたとき、接着剤が床材表面から内面に染み込んで均一な接着ができないという問題がある。
【0003】
そこで、その対策として、高融点繊維層の表面にスパンボンド不織布を当て、ニードルパンチ加工して、引き続きバインダーを付与することが試みられている。
【特許文献1】特開平11−62197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法は、スパンボンド不織布が表面からの接着剤のしみ込みを抑えているが、しかし、この方法も一定の効果はあるにしても、ニードル加工によりスパンボンドの表面に毛羽が発生していることと、通気がニードルの穴の大きさになり、通気面が粗く不均一になりやすい問題がある。
【0005】
本発明は上述の如き実状に鑑み、特に短繊維層状体に熱融着繊維を混繊し、該層状体の表面に熱融着繊維を配して熱融着繊維層の繊維間を適度に熱融着させることによって前記問題である接着剤のしみ込みを抑え、かつバインダー付与で残った表面の毛羽押えを可能とすると共に、更に通気がスパンボンドでは出来なかった調整を繊維間の単位に制御することによって出来るようにしてフローリングとの接着がよく、剥離強力に優れ、接着量を削減可能ならしめることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明はフローリングの床材として、高融点繊維層と熱融着繊維層が交絡一体化され、かつバインダー溶液に浸漬されて所定量のバインダーが付与された短繊維層状体の上記高融点繊維層側に接着性を有する薄膜フィルムを重ね、更にその上にスパンボンド不織布を重ねて熱接着一体化し、熱融着繊維層表面の短繊維間の融着により毛羽伏せと微細な通気孔が形成されてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2は上記床材において、短繊維層状体の高融点繊維と熱融着繊維との構成比率が70/30〜95/5の範囲であることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、上記の高融点繊維が中実繊維,中空繊維の何れか、又は混繊であること、また、請求項4は短繊維層状体の熱融着繊維が同種あるいは異種の高融点樹脂と低融点樹脂からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘構造を有し、低融点樹脂の融点が100℃〜150℃の範囲にある複合繊維であることを特徴としている。
【0009】
請求項5は、好ましいバインダーがアクリル酸エステル系あるいは酢酸ビニル系であり、付与量が短繊維層状体に対し5質量%〜20質量%の範囲であること、また、請求項6は、短繊維層状体に重ねられて薄膜フィルムに使用される熱可塑性樹脂がポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンから選ばれた1種又は2種以上であること、更に請求項7は、薄膜フィルム上に重ねられるスパンボンド不織布がポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンから選ばれた1種又は2種以上の繊維からなることを夫々、特徴としている。
【0010】
請求項8は本発明の床材の特性であり、床材の目付が100〜400g/m2,厚さが2〜10mm,密度が0.01〜0.1g/ccの範囲で、かつ構成される短繊維層状体の通気度が50〜300cc/cm2/secであることを特徴としている。
【0011】
請求項9は、上記本発明の床材の製造方法で、高融点繊維ウエッブと熱融着繊維ウエッブを積層し、ニードルパンチ加工により交絡一体化した後、バインダー溶液に浸漬し、所定量のバインダーを付与して、このバインダー処理された短繊維層状体の高融点繊維層側に接着性を有する薄膜フィルムを重ね、次いでその上にスパンボンド不織布を重ねて加熱ロール又はカレンダーを通して熱接着一体化せしめることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記フローリングの床材によれば、短繊維層状体の表面に熱融着繊維層を設けることによって防音性能に必要な通気度(防音性LL45)の微細なコントロールができ、安定した製品を得ることができると共に、表面の毛羽伏せができるので、フローリングとの接着時に接着剤が均一に付与でき、フローリング(木材)との接着がよく、剥離強力も改善され、しかも接着剤量の削減が可能になる等の顕著な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明に係る床材の断面概要図、図2は本発明床材をフローリング(木材)と底部セメントとの間に敷設した使用形態図である。
【0015】
これら図において、2は高融点繊維層、3は熱融着繊維層であって、これら両層2,3によって本発明床材の基層となる短繊維層状体1が形成されており、この短繊維層状体1の高融点繊維層2側に接着性を有する薄膜フィルム4を重ね、更にその上に、スパンボンド不織布5を重合して加熱されたロール又はフェルトカレンダーの如き加熱接着装置を通して熱接着し一体化されて本発明床材Aが形成される。
【0016】
ここで、上記短繊維層状体1を形成する高融点繊維層2の繊維としては、例えばポリエステル繊維,ポリアミド繊維などが挙げられ、これら高融点繊維2は中実繊維または中空繊維の何れでも、あるいは両者の混繊であってもよく、中実,中空繊維は繊維繊度が1〜15デシテックス(dtex)の範囲であることが好適である。
【0017】
中空繊維と中実繊維の混繊にあたっては、その混繊比率は0〜100質量%でよく、繊度が1デシテックス未満であると繊維層が緻密になり、繊度が15デシテックスを越えると繊維層が粗くなって何れも好ましくない。この高融点繊維層の目付は100〜200g/m2位が好適である。
【0018】
中空繊維と中実繊維の繊度が同じであれば防音効果は空気を抱え込んでいる分、中実繊維の方が良好である。
【0019】
一方、熱融着繊維層3の繊維としては、例えばポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリアミド樹脂の何れかの同種又は異種の熱可塑性樹脂の高融点成分と低融点成分からなるサイドバイサイド型,芯鞘型の何れかの複合繊維であり、具体例としてはポリエステル繊維(融点250℃〜270℃程度)と低融点ポリエステル繊維(融点100℃〜150℃程度)の複合繊維や略同じ融点をもつポリエステル/ナイロン複合繊維,ポリエステル/ポリエチレン複合繊維,ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維などが挙げられ、特に高融点ポリエステルと低融点ポリエステルとの複合繊維は最も実用的である。この熱融着繊維層は通常、15〜50g/m2の目付で用いられる。
【0020】
そして、短繊維層状体1の形成にあたっては、上記高融点繊維層2と熱融着繊維層3を積層し、その状態で高融点繊維層2側からニードルパンチ処理を施し、繊維間の交絡と層間を一体化し、次いで得られた積層体をバインダー溶液に浸漬してバインダー量で5質量%〜20質量%付着するように付与して乾燥し、上記短繊維層状体1を得る。
【0021】
なお、前記短繊維層状体1における高融点繊維層2と熱融着繊維層3の構成比率は70/30〜95/5の範囲が好適で、高融点繊維層2が70未満であると、熱融着繊維が多いために短繊維層状体1が硬く、厚さの制御が難しく、密度の高いものとなり好ましくない。
【0022】
一方、95を越えると、熱融着繊維層3が薄く、繊維量が少ないために繊維間の接着が不十分となり、短繊維層状体1の通気の制御や表面毛羽伏せが悪くなるので好ましくない。
【0023】
従って、上記70/30〜95/5の範囲が実用上、有効である。
【0024】
上記高融点繊維層2と熱融着繊維層3は前述のように積層状態で互いの交絡のためニードルパンチ処理に付されるが、ニードルパンチ処理は高融点繊維層2側からニードル針を打つことが肝要であり、通常、針深さ4〜15mm、針密度15〜50本/cm2位が用いられる。熱融着繊維層3側から針を打つと高融点繊維層に熱融着繊維束が入り込み、短繊維層状体が最終的に硬いものとなり好ましくない。
【0025】
この高融点繊維層2と熱融着繊維層3からなる積層体は上記ニードル加工による繊維間の交絡だけでは嵩高と厚さの制御が出来ず、また、繊維間の固定も不十分である。バインダーの接着や熱融着繊維による繊維間の接着が必要になってくる。
【0026】
そこで、本発明においては、高融点繊維層と熱融着繊維層を積層し、ニードル加工を施した後にバインダー溶液に浸漬し、所定量のバインダーを付与する。
【0027】
バインダーはアクリル酸エステル系,酢酸ビニル系の何れでもよく、付与量は全繊維層に対し5質量%〜20質量%の範囲が好ましい。
【0028】
5質量%未満であると、熱融着繊維との併用の効果がなく、厚さのコントロールが難しく、熱融着繊維の柔らかく厚いものとなり、好ましくない。
【0029】
また、20質量%を越えると熱融着繊維との併用の効果がなく、厚さのコントロールが難しく、バインダーの効果が強く硬くなり好ましくない。
【0030】
従って、バインダー付与量は上記5質量%〜20質量%が好適である。
【0031】
ニードルパンチ加工され、バインダー処理されて得られた短繊維層状体1は、目付としては100〜400g/m2、特に150〜350g/m2が通常の使用範囲であり、厚みは2〜10mmが好適である。
【0032】
次にその高融点繊維層側に接着性を有する薄膜のフィルム4を重ね、その上にスパンボンド不織布3を重ねてフェルトカレンダーにより熱接着し一体化して本発明の床材Aとして形成するが、前記短繊維層状体1の上に重ねられる薄膜のフィルム4としてはポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の何れか1種又は2種以上からなるフィルムが使用される。このフィルムは通常、目付15〜30g/m2、厚さ25〜35μm、好ましくは30μm前後のものを使用する。
【0033】
また、上記薄膜のフィルム4の上に更に重合されるスパンボンド不織布5はポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンなどの繊維が使用可能であるが、特にポリエステル繊維は最も実用的であり、15〜40g/m2の目付のスパンボンド不織布が使用される。
【0034】
かくして、上記によりニードルパンチ処理し、バインダー処理した短繊維層状体1の高融点繊維層側に薄膜フィルムを重ね、更にスパンボンド不織布を重合し、熱接着し一体化される床材Aは、熱融着繊維表面の短繊維間の融着により毛羽伏せと微細な通気孔が形成され、安定した防音性能を有する床材として得ることが出来る。
【0035】
得られた床材Aはフローリングの床材として図2に示すようにフローリング(木材)Fと底部セメントCの間に敷設され、フローリング側に熱融着繊維層3が配置され、セメントC側にスパンボンド不織布5が配置されて適宜、接着剤により接着されるが、予めフローリングFに床材Aを直貼りして使用するのが通常である。
【0036】
床材Aは使用にあたり、目付,厚さ,密度,通気度等において夫々、適性を有することが好ましく、予め付与せしめるようにする。
【0037】
なお、フローリングの床材として好ましい特性は、目付としては100〜400g/m2、特に150〜350g/m2が好適であり、100g/m2未満であると防音の効果に乏しく、薄くて床突き間があり硬く感ずるため踏み心地性が劣るので好ましくなく、また400g/m2を越えると、厚さのコントロールが出来ず、密度が満足した場合、変形が大きく踏み心地がよくないので好ましくない。
【0038】
床材の厚みは2〜10mm,特に3〜8mmが好適であり、2mm未満であると、吸音による防音効果が少なく、100mmを越えると、防音効果はあるが、使用時の変形量が大きくなる。
【0039】
また、床材の密度としては、0.01〜0.1g/cc、特に0.02〜0.09g/cc、更には0.025〜0.08g/ccが好適であり、0.01g/cc未満であると、床を踏み込んだときの抵抗感がなく、直接、床の基礎に当たるので好ましくなく、一方、0.1g/ccを越えると、床材自身が硬く、床の硬さを伝えるので好ましくない。
【0040】
更に、床材の通気度については、構成される短繊維層状体の通気度に左右され、所定のLL45をクリアするためには該短繊維層状体の通気度50〜300cc/cm2/secが好適であり、50cc/cm2/sec未満であると、吸音性能を十分発揮することができない。
【0041】
以下、具体的な実施例について述べる。
【実施例】
【0042】
実施例1
繊度6.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル繊維60質量%と、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%、更に繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%を均一に混繊してカーディングして短繊維ウエッブ目付145g/m2を得、連続して繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)をカーディングして短繊維ウエッブ目付25g/m2として短繊維ウエッブ目付145g/m2の上に積層した。
【0043】
この積層ウエッブに短繊維ウエッブ目付145g/m2から短繊維複合繊維層(ウエッブ目付25g/m2)に向けて針密度22本/cm2、針深さ13.0mmのニードル加工をした。
【0044】
この得られた積層ウエッブをアクリルバインダー樹脂溶液に浸漬し乾燥させて目付当り27g/m2付与して短繊維ウエッブの繊維間の接着を行った。
【0045】
引き続きこの短繊維ウエッブの目付145g/m2側に接着用フィルム(目付20g/m2、厚さ30μm)を積層し、その上に目付25g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を更に積層して連続接着処理機(フェルトカレンダー:処理温度190℃、処理速度6.0m/分)で処理をして本発明の床材を得た。
【0046】
実施例2
繊度6.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル繊維60質量%と、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%、更に繊度3.3デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%を均一に混繊してカーディングして短繊維ウエッブ目付128g/m2を得、連続して繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)をカーデイングして短繊維ウエッブ目付32g/m2として短繊維ウエッブ目付128g/m2の上に積層した。
【0047】
この積層ウエッブに短繊維ウエッブ目付128g/m2)から短繊維複合繊維層(ウエッブ目付32g/m2)に向けて針密度22本/cm2、針深さ13.0mmのニードル加工をした。この得られた積層ウエッブをアクリルバインダー樹脂溶液に浸漬し乾燥させて目付当り27g/m2付与して短繊維ウエッブの繊維間の接着を行った。
【0048】
引き続きこの短繊維ウエッブの目付128g/m2側に接着用フィルム(目付20g/m2、厚さ30μm)を積層し、その上に目付25g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を更に積層して連続接着処理機(フェルトカレンダー:処理温度6.0m/分)で処理をして本発明の床材を得た。
【0049】
実施例3
繊度6.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmのポリエステル繊維60質量%と、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%、更に繊度3.3手接着、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%を均一に混繊してカーデイングして短繊維ウエッブ目付12g/m2を得、連続して繊度4.4デシテックス、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)をカーデイングして短繊維ウエッブ目付48g/m2として短繊維ウエッブ目付112g/m2の上に積層した。
【0050】
この積層ウエッブに短繊維ウエッブ目付112g/m2から短繊維複合繊維層(ウエッブ目付48g/m2)に向けて針密度22本/cm2、針深さ13.0mmのニードル加工をした。
【0051】
この得られた積層ウエッブをアクリルバインダー樹脂溶液に浸漬し、乾燥させて目付当り27g/m2付与して短繊維ウエッブの繊維間の接着を行った。
【0052】
引き続き、この短繊維ウエッブの目付112g/m2側に接着用フィルム(目付20g/m2、厚さ30μm)を積層し、その上に目付25g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を更に積層して連続接着処理機(フェルトカレンダー:処理温度190℃、処理速度6.0m/分)で処理をして本発明の床材を得た。
【0053】
比較例1
繊度6.7デシテックス(dtex)、繊維長64mmの輪繊維60質量%と、繊度2.2デシテックス、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%、更に繊度3.3で、繊維長51mmのポリエステル繊維20質量%を均一に混繊してカーデイングしてウエッブ目付145g/m2を得、その上に目付15g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を積層して、この積層ウエッブに短繊維ウエッブ目付145g/m2からポリエステルスパンボンド不織布に向けて針密度22本/cm2、針深さ13.0mmのニードル加工をした。
【0054】
この得られた積層ウエッブをアクリルバインダー樹脂溶液に浸漬し乾燥させて目付当り27g/m2付与してウエッブの繊維間の接着を行った。
【0055】
引き続きこの短繊維ウエッブの目付145g/m2側に接着用フィルム(目付20g/m2、厚さ30μm)を積層し、その上に目付25g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を更に積層して連続接着処理機(フェルトカレンダー:質量%より温度190℃、処理速度6.0m/分)で処理をして床材を得た。
【0056】
かくして、上記得られた実施例1〜3及び比較例の各床材について下記測定方法に従って物性を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
測定方法
(イ) 目付量:g/m2
50cm×50cmの大きさを切り出し、その時の重さを測定し、1m2当りの重量に換算する。
(ロ) 厚さ:mm
15cm×15cmの大きさを切り出し、初荷重0.05g/cm2をかけて、四隅の高さを測定し、その平均値で示す。
(ハ) 接着面の評価
床材の木材(フローリング面)と接着する試料面の状態を評価する。
【0058】
(a):床材の試料を5cm(長さ)×5cm(巾)の大きさを1枚切り出す。
【0059】
(b):ボンド木工用(CH18 品番:#40127コニシ株式会社製)に朱色(Xスタ ンパー染料系インキ シャチハタ製)を添加し色付けした。
【0060】
(c):色付けしたボンド木工用をガラス板面に厚さ0.08mmの薄膜を作成する(面 積は10cm×10cm)
(d):色付けしたボンド木工用の薄膜面に床材試料の床材フローリング側の面5cm (長さ)×5cm(巾)に押し圧(5kg、荷重2秒)し、除重して一昼夜放置した後、 静かに剥ぎ取り接着斑を判定する。
【0061】
評価基準
試料の接着面にボンドが均一に付いている。 ○
試料の接着面のボンドに空隙がある。 △
試料の接着面にボンドが付着していない。 ×
(ニ) 接着面の剥離強力:N/5cm
試料の調整
(a):床材の試料を20cm(長さ)×5cm(巾)の大きさを3枚切り出す。
【0062】
(b):ボンド木工用(CH18 品番:#40127コニシ株式会社製をガラス面に厚さ0. 04mmの薄膜を作成する(面積は15cm×5cm)
(c):ボンド木工用の薄膜面に床材試料の床材フローリング側の面10cm(長さ)×5 cm(巾)に押し圧(1Kg荷重2秒)し除重して2分間放置した後、静かに剥ぎ取 り
(d):速やかに、市販ベニヤ板(厚さ4mm)(15cm×5cm)面に貼り付ける。
【0063】
(e):貼り合わされた試料の上から1.5Kgの荷重を掛け5時間放置後、除重して常 温(22℃、68%RH)に3日間放置して剥離強力を測定する。
【0064】
剥離試験
(a):剥離試験は東洋ボールドイン社製、50Kgテンシロンを用い、
(b):試料を上下のチャックにはさみ伸張速度100mm/minで
(c):試料を剥離していく伸張5cmの距離を測定し、
(d):最大,最小それぞれ6点を読み取り、その平均を算出する。
【0065】
(e):n=3の平均の値を用いる。単位はN/5cmである。
【0066】
床衝撃音レベルの測定(LL45)
JIS A1418に準じて測定した。
【0067】
【表1】

なお、上記床材をフローリング(木材)と底部セメントの間でフローリング側に熱融着繊維を配して敷設し、従来の高融点繊維層(ポリエステル繊維)の表面にポリエステルスパンボンド不織布を重ね、ニードルパンチ加工してバインダー処理を施した床材と床材重量340g/(9cm×90cm),人の足荷重(半分つま先)0.8Kg/cm2で対比したところ、熱融着繊維を使用た本発明床材は従来品に比し繊維間の適度の融着により接着剤のしみ出しが少なく、しかも表面の毛羽も抑えられているため、フローリングとの接着において接着剤が均一に付与されて接着がよく、また、剥離強力も大きく改善が認められた。
【0068】
また、この熱融着繊維表面の短繊維間の融着による通気度のコントロールにより防音性能にも向上が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るフローリングの床材の断面概要図である。
【図2】上記床材をフローリングと底部セメントの間に敷設した状態図である。
【符号の説明】
【0070】
A:床材
1:短繊維層状体
2:高融点繊維層
3:熱融着繊維層
4:薄膜フィルム
5:スパンボンド不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高融点繊維層と熱融着繊維層が交絡一体化され、かつバインダー溶液に浸漬されて所定量のバインダーが付与された短繊維層状体の上記高融点繊維層側に接着性を有する薄膜フィルムを重ね、更にその上にスパンボンド不織布を重ねて熱接着一体化し、熱融着繊維層表面の短繊維間の融着により毛羽伏せと微細な通気孔が形成されてなることを特徴とするフローリングの床材。
【請求項2】
短繊維層状体の高融点繊維層と熱融着繊維層との構成比率が70/30〜95/5の範囲である請求項1記載のフローリングの床材。
【請求項3】
短繊維層状体の高融点繊維が中実繊維,中空繊維の何れか、又は混繊である請求項1または2記載のフローリングの床材。
【請求項4】
短繊維層状体の熱融着繊維が同種あるいは異種の高融点樹脂と低融点樹脂からなるサイドバイサイドあるいは芯鞘構造を有し、低融点樹脂の融点が100〜150℃範囲にある複合繊維である請求項1,2または3記載のフローリングの床材。
【請求項5】
バインダーがアクリル酸エステル系あるいは酢酸ビニル系であり、付与量が短繊維層状体に対し5質量%〜20質量%の範囲である請求項1〜4の何れかの項に記載のフローリングの床材。
【請求項6】
短繊維層状体に重ねられる薄膜フィルムに使用される熱可塑性樹脂がポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンから選ばれた1種又は2種以上である請求項1〜5の何れかの項に記載のフローリングの床材。
【請求項7】
薄膜フィルム上に重ねられるスパンボンド不織布がポリエステル,ポリアミド,ポリプロピレン,ポリエチレンから選ばれた1種または2種以上の繊維からなる請求項1〜6の何れかの項に記載のフローリングの床材。
【請求項8】
床材の目付が100〜400g/m2,厚さが2〜10mm,密度が0.01〜0.1g/ccの範囲であり、かつ構成される短繊維層状体の通気度が50〜300cc/cm2/secである請求項1〜7の何れかの項に記載のフローリングの床材。
【請求項9】
高融点繊維ウエッブと熱融着繊維ウエッブを積層し、ニードルパンチ加工により交絡一体化した後、バインダー溶液に浸漬し、所定量のバインダーを付与して、このバインダー処理された短繊維層状体の高融点繊維層側に接着性を有する薄膜のフィルムを重ね、次いでその上にスパンボンド不織布を重ねて加熱ロール又はカレンダーを通して熱接着一体化せしめることを特徴とするフローリングの床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−118117(P2006−118117A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303645(P2004−303645)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】