ブレーキ並びにこれを備える歩行補助具
【課題】車輪と該車輪を支持するフレームとを有する器具に用いられるブレーキにおいて、耐久性と安全性と見栄えとを向上させることを可能とする。
【解決手段】ブレーキレバー7に上端が連結されたブレーキ操作伝達部材としてのブレーキケーブル11の下端と連結して該ブレーキケーブル11によってブレーキレバー7の操作が伝達された場合に前輪4の車軸4bの軸心に対して軸回転する第一のブレーキカム12と、該第一のブレーキカム12と前輪4の前輪タイヤ4aとの間に配置されると共に第一のブレーキカム12との係合により前輪タイヤ4aの向きに移動する第二のブレーキカム13と、該第二のブレーキカム13と当接するブレーキパッド14とを有するようにした。
【解決手段】ブレーキレバー7に上端が連結されたブレーキ操作伝達部材としてのブレーキケーブル11の下端と連結して該ブレーキケーブル11によってブレーキレバー7の操作が伝達された場合に前輪4の車軸4bの軸心に対して軸回転する第一のブレーキカム12と、該第一のブレーキカム12と前輪4の前輪タイヤ4aとの間に配置されると共に第一のブレーキカム12との係合により前輪タイヤ4aの向きに移動する第二のブレーキカム13と、該第二のブレーキカム13と当接するブレーキパッド14とを有するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ並びにこれを備える歩行補助具に関する。さらに詳述すると、本発明は、車輪と当該車輪を軸支するフレームとを有する器具に用いて好適なブレーキの構造並びにこれを備える歩行補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪と当該車輪を軸支するフレームとを有する歩行補助具に用いられる従来のブレーキとしては、例えば、図14に示すように、歩行補助具100に用いられ、前輪108を軸支する前フレーム107の上端に取り付けられたブレーキレバー101がハンドル102側へ握り締められるとピン軸103を軸に梃子式にブレーキワイヤー104が引き上げられ、これによってピン軸106に軸支されたブレーキ本体105の一端が引き上げられてピン軸106を軸に梃子式に他端が後輪110を押さえ付けてブレーキが作動して制動力を発揮するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のブレーキでは、ブレーキ本体105の一端に取り付けられた金属製のブレーキシューを後輪110のタイヤに当接させることによって制動をかけるようにしているので、ブレーキ本体105との当接によって後輪110のタイヤ表面が削れたりタイヤが変形したりする。そして、タイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりする。さらに、ブレーキ本体105が露出しているので、見栄えが損なわれるという問題がある。したがって、特許文献1のブレーキは、耐久性や外観に優れているとは言い難い。
【0005】
また、特許文献1のブレーキでは、ブレーキワイヤー104が後フレーム109の外周面に沿って配置されて露出しているので、歩行補助具使用中にブレーキワイヤー104が例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキワイヤー104が伸びてしまう虞があり、また、見栄えが損なわれるという問題がある。したがって、特許文献1のブレーキは、安全性や外観に優れているとは言い難い。
【0006】
そこで、本発明は、耐久性と安全性と見栄えとを向上させることができるブレーキ並びに歩行補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のブレーキは、車輪と該車輪を支持するフレームとを有する器具に用いられるブレーキであって、ブレーキレバーに上端が連結されたブレーキ操作伝達部材の下端と連結して該ブレーキ操作伝達部材によってブレーキレバーの操作が伝達された場合に車輪の車軸の軸心に対して軸回転する第一のブレーキカムと、該第一のブレーキカムと車輪のタイヤとの間に配置されると共に第一のブレーキカムとの係合によりタイヤの向きに移動する第二のブレーキカムと、該第二のブレーキカムと当接するブレーキパッドとを有するようにしている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、第一のブレーキカムが押出し係合部を有すると共に、該押出し係合部と係合する係合受け部を第二のブレーキカムが有するようにしている。
【0009】
したがって、請求項1及び2に記載のブレーキによると、ブレーキパッドとブレーキカムとを当接させることによってタイヤに対して制動をかけるようにしているので、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動がかけられる。
【0010】
また、このブレーキによると、ブレーキ構造としてのブレーキパッドとブレーキカムとをタイヤの内側に配置することが可能であるので、ブレーキ構造を露出させずに外観として現れない構造にすることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、第一のブレーキカムと第二のブレーキカムとが車軸を挟んで対向する二箇所で係合するようにしている。この場合には、移動の軸心と平行な力が第二のブレーキカムに対して働く。
【0012】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、フレームを筒状に形成すると共に、ブレーキ操作伝達部材を筒状のフレームの内部を通過させるようにしている。この場合には、ブレーキケーブルが露出することがなく外観として現れない。
【0013】
また、請求項5記載の歩行補助具は、請求項1から4のいずれか一つに記載のブレーキを備えるようにしている。この場合には、請求項1から4に記載のブレーキの有する作用が発揮される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び2に記載のブレーキによれば、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動がかけられるので、ブレーキ制動部材との当接によってタイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりすることがなく、耐久性の向上を図ることが可能になる。
【0015】
また、請求項1及び2に記載のブレーキによれば、ブレーキパッドとブレーキカムとをタイヤの内側に隠す構造にすることが可能であるので、見栄えの向上を図ることが可能になる。
【0016】
また、請求項3記載のブレーキによれば、移動の軸心と平行な力を第二のブレーキカムに対して働かせることができるので、ブレーキカムの移動をスムーズにしてブレーキ操作を楽にすることができると共にブレーキ操作を確実にすることができるので、操作性と安全性との向上を図ることが可能になる。
【0017】
さらに、請求項4記載のブレーキによれば、ブレーキケーブルをフレームの内部に収容するようにしているので、器具使用中にブレーキケーブルが例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキケーブルが伸びてしまう虞がなく、安全性の向上を図ることが可能になる。
【0018】
また、請求項5記載の歩行補助具によれば、請求項1から4に記載のブレーキの有する作用効果が発揮されるので、歩行補助具の耐久性と操作性と安全性と見栄えとの向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のブレーキ並びに歩行補助具の実施形態の一例を示す全体分解斜視図である。
【図2】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の拡大分解図である。
【図3】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の拡大縦断面図である。
【図4】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り付けた状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り付けた状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図9】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図10】実施形態の歩行補助具を示す全体斜視図である。
【図11】実施形態の歩行補助具の開脚した状態を示す正面図である。
【図12】実施形態の歩行補助具の開脚した状態を示す側面図である。
【図13】実施形態の歩行補助具を開脚した状態の図11のI−I線で切断した状態を示す縦断面図である。
【図14】従来の歩行補助具のブレーキ構造を示す側面図である。(A)はブレーキが作動していない状態を示す図である。(B)はブレーキが作動している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から図13に、本発明のブレーキ並びに歩行補助具の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明のブレーキを図10に全体構造を示す歩行補助具1の前輪4に適用した場合を例に挙げて説明する。ここで、本明細書においては、歩行補助具1の使用者を基準にして上下、前後、左右を定義する。具体的には、図10〜12に示す矢印31の向きを前、反対向きを後、また、矢印32の向きを上、反対向きを下、さらに、これら矢印31及び矢印32に垂直な矢印33の向きを右、反対向きを左とする。
【0022】
本実施形態の歩行補助具1は、上端部同士が揺動可能に連結された前フレーム2及び後フレーム3と、左右対向配置された一対の前輪タイヤ4a,4aを有し前フレーム2の下端に軸回転可能に支持される前輪4と、左右対向配置された一対の後輪タイヤ5a,5aを有し後フレーム3の下端部に軸回転可能に支持される後輪5と、前フレーム2の上端に設けられるハンドル6と、当該ハンドル6の下方に取り付けられるブレーキレバー7と、前フレーム2と後フレーム3との間に掛け渡されて取り付けられるアーチ8とを備える。
【0023】
本実施形態では、前フレーム2は、軸心方向の貫通孔2bを有する筒部2cと、当該筒部2cの左右両側から対向して後方に延出する後部側壁2d、2dとを有する。
【0024】
前フレーム2の貫通孔2bには、当該貫通孔2bを貫通するステアリングパイプ9が挿入される。なお、ステアリングパイプ9は、前フレーム2よりも長く形成され、下端が前フレーム2の下端とほぼ同じ位置にまで達すると共に上端部分が前フレーム2の上端よりも突出する位置に配置される。
【0025】
ステアリングパイプ9は軸心方向の貫通孔9aを有する円筒形状に形成される。そして、ステアリングパイプ9の貫通孔9aには、当該貫通孔9aを貫通するブレーキケーブル11が備えられる。
【0026】
前フレーム2の貫通孔2bの下端部には、左右対向配置された一対の前輪タイヤ4a,4a間に備えられた車軸4bを摺動可能に保持して前輪4を軸回転可能に支持するための上部ホルダー17及び下部ホルダー18が取り付けられる。上部ホルダー17の下端と下部ホルダー18の上端とには断面半円形状の左右方向の凹部17a,18aがそれぞれ形成され、両者を上下に合わせて組み合わせた状態で貫通孔が形成される。なお、本実施形態では、上部ホルダー17の上端面から突出した円柱形状(ただし、ブレーキケーブル11を通過させるための上下方向の凹部を周面に有する)の突起がステアリングパイプ9の貫通孔9aに差し込まれて両者がねじ止めされることによって上部ホルダー17が前フレーム2に対して固定され取り付けられる。そして、本実施形態の上部ホルダー17は、円柱形状突起周面の凹部と連通してブレーキケーブル11を貫通させるための上下方向の貫通孔を有する。なお、ブレーキケーブル11が上部ホルダー17を通過するための構造は本実施形態のものに限られるものではなく、上端面から突出した円柱形状の突起の上端から上部ホルダー17を貫通する上下方向の貫通孔を設けるようにしても良い。
【0027】
後フレーム3は軸心方向の貫通孔3dを有する筒状に形成される。また、後フレーム3は、周壁前面が下端から軸心方向上側に向かって切り込まれて形成された細長貫通孔のガイド3bと、周壁後面の上下中央位置より上側に設けられた貫通孔とを有する。
【0028】
また、後フレーム3の下端部には、後輪5を支持するための後輪ホルダー5cが取り付けられる。そして、後輪ホルダー5cに対して左右対向配置された一対の後輪タイヤ5a,5aが軸回転可能に取り付けられる。
【0029】
さらに、後フレーム3の上端部には、後フレーム3を前フレーム2と連結させるためのジョイント部材3fが取り付けられる。ジョイント部材3fは、後フレーム3の貫通孔3dに差し込まれる差込部3hと、当該差込部3hの上部に縦に立てられた板状に形成されて貫通孔3gを有する連結部3iとからなる。なお、ジョイント部材3fは、差込部3hにねじ穴を有し、当該差込部3hが貫通孔3dの上端部に差し込まれた状態でねじ止めされて後フレーム3に取り付けられる。また、ジョイント部材3fは、板状の連結部3iが前後方向に配置された状態で後フレーム3に取り付けられる(すなわち、貫通孔3gは左右方向になる)。
【0030】
また、本実施形態の歩行補助具1は、揺動軸2aを備えると共に前フレーム2の上端部に取り付けられて前フレーム2と後フレーム3とを揺動可能に、言い換えれば揺動軸2aを中心として開脚及び閉脚自在に連結するフレームジョイント20を有する。
【0031】
フレームジョイント20は、前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれる取付部20eと、当該取付部20eの上側部分から後方に延出する保持部20fとからなる。そして、フレームジョイント20は、取付部20e及び保持部20fを前後方向に貫通して設けられる間隙を有する。さらに、フレームジョイント20は、取付部20eの上端寄りの位置に左右方向の揺動軸貫通孔20aを有すると共に下端寄りの位置に左右方向のグリップ軸貫通孔20bを有し、また、保持部20fの上端から突起した部分に左右方向の固定螺子貫通孔20cを有する。
【0032】
そして、取付部20e及び保持部20fを前後方向に貫通して設けられる間隙には後フレーム3のジョイント部材3fの板状の連結部3iが挿入され、当該間隙は連結部3iを左右両側から挟んで摺動可能に保持する。
【0033】
そして、後フレーム3は、ジョイント部材3fの連結部3iがフレームジョイント20の保持部20f及び取付部20eに形成された前後方向の間隙に差し込まれると共にフレームジョイント20の揺動軸貫通孔20aと連結部3iの貫通孔3gとを貫通する揺動軸2aが挿入されてフレームジョイント20に対して揺動可能に軸支される。
【0034】
また、フレームジョイント20は、取付部20eが前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれると共に取付部20eに形成されたグリップ軸貫通孔20bと両後部側壁2d,2dに形成された左右方向の貫通孔2e,2eとを貫通するグリップ軸23aが挿入され、当該グリップ軸23aの両端部に形成された螺子部分にグリップ23が嵌められることによって前フレーム2の上端部に取り付けられる。
【0035】
なお、グリップ23は、例えば買い物時などに荷物を掛けたり、歩行補助具1を持ち運ぶ際や前フレーム2と後フレーム3とを開いたり閉じたりする際などに使用者が握ったりするためのものである。
【0036】
アーチ8は、前フレーム2と後フレーム3との間に掛け渡され、後フレーム3の下端寄りの位置に設けられたストッパブロック3aと共に両フレーム2,3の開脚の程度を制限するものである。
【0037】
具体的には、アーチ8の前端部が、前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれ、前端寄りの位置に形成された左右方向の貫通孔8aと両後部側壁2d,2dの下端寄りの位置に形成された左右方向の貫通孔2f,2fとを貫通するボルト8c並びにナット8dによって前フレーム2に対して揺動可能に軸支される。
【0038】
また、アーチ8の後端部には、左右方向の貫通孔8eが形成されたジョイント部8bが取り付けられる。そして、ジョイント部8bの貫通孔8eにスライダー軸8fが挿入されると共に、スライダー軸8fの両端部にジョイント部8bを挟んで左右一対のガイドローラー8g,8gが取り付けられる。
【0039】
そして、スライダー軸8f及び一対のガイドローラー8g,8gが取り付けられた状態でジョイント部8bが後フレーム3の下端開口から貫通孔3dに挿入される。このとき、ジョイント部8bの、スライダー軸8fが挿入された貫通孔8eよりも前側の部分がガイド3bを貫通する。これによって、アーチ8の後端部が後フレーム3に対して摺動可能且つ揺動可能に連結される。
【0040】
また、ジョイント部8bを貫通孔3dに挿入した後、貫通孔3dの軸直角断面形状に合わせた軸直角断面形状に形成された柱状のストッパブロック3aが後フレーム3の下端開口から貫通孔3dに挿入される。ストッパブロック3aは、後フレーム3の下端寄りの位置に、ストッパブロック3aと後フレーム3の後面周壁とを貫通して後輪ホルダー5c内に嵌入するボルト3cによって固定される。
【0041】
そして、アーチ8のジョイント部8bがストッパブロック3aの上端面に当接することによって前フレーム2と後フレーム3との開脚の程度が固定される。また、前フレーム2と後フレーム3とが閉脚する際には、スライダー軸8f及び一対のガイドローラー8g,8gの働きによってガイド3bを貫通するジョイント部8bが後フレーム3の貫通孔3d内を摺動して上に向かって移動する。
【0042】
また、本実施形態の歩行補助具1は、アーチ8のジョイント部8bを後フレーム3の貫通孔3d内を上に向かって移動させることによって前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させ易くするために、ボール21とワイヤ22とを備える。
【0043】
具体的には、ワイヤ22の下端部がアーチ8のジョイント部8bに形成された貫通孔8hに結ばれ、中間部分が後フレーム3の貫通孔3d内に配置され、上端部が後フレーム3の周壁後面の貫通孔から後フレーム3の外に出てボール21に結ばれる。
【0044】
この構成により、ボール21を持ち上げるとワイヤ22を介してアーチ8のジョイント部8bが引き上げられ、これによりアーチ8前端部と前フレーム2との連結点を中心としてアーチ8の傾斜が増加してアーチ8後端のジョイント部8bが前フレーム2側に引き寄せられて後フレーム3が前フレーム2に引き寄せられる。すなわち、ボール21を持ち上げることによって前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させることができる。
【0045】
なお、ボール21を持ち上げた状態、そして前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させた状態を維持させるため、ハンドル6の前フレーム2との連結部分に後方に張り出して設けられる連結ユニットカバー部6cの上面にボール受けフック15が取り付けられる。
【0046】
ボール受けフック15は、ボール21の外周面の形状に合わせた凹部が上面に形成されていると共に後側に切り込みが形成されている。そして、当該切り込みにワイヤ22を通しながらボール21が凹部に載置される。このとき、前フレーム2と後フレーム3とが開脚しようとしてアーチ8のジョイント部8bが後フレーム3の貫通孔3d内を下に向かって移動しようとすることによってワイヤ22には下向きの張力が働き、これによってボール21にはボール受けフック15の凹部に押し付けられる力が働くので、ボール21がボール受けフック15に載置された状態が維持される。
【0047】
ハンドル6は、握り部6aと、当該握り部6aの前端から連続して形成される主軸6bと、当該主軸6bの下端に設けられ主軸6bに対して後方に張り出す板状の連結ユニットカバー部6cと、当該連結ユニットカバー部6cの下端面から主軸6bと同軸方向に延出して設けられる円筒状の差込部6dとからなる。なお、本実施形態では、握り部6a・主軸6bと連結ユニットカバー部6c・差込部6dとは別体のものとして構成されている。
【0048】
また、主軸6bは下端面に開口を有してステアリングパイプ9が差し込まれる軸心方向の凹部を有する。差込部6dはステアリングパイプ9の外周面に沿う周壁として形成される。
【0049】
ハンドル6は前フレーム2の貫通孔2b内を貫通して設けられるステアリングパイプ9の上端に取り付けられる。具体的には、ステアリングパイプ9を前フレーム2の貫通孔2bに挿入して上端部分を前フレーム2の上端から突出させた状態でステアリングパイプ9の外周面と前フレーム2の貫通孔2bの内周面との間の間隙に差込部6dを差し込みながら主軸6bの凹部にステアリングパイプ9を差し込む。そして、主軸6bの周壁とステアリングパイプ9の周壁とを貫通する螺子6eによってステアリングパイプ9の上端部分に主軸6bが固定されてハンドル6が前フレーム2の上端に取り付けられる。
【0050】
また、ハンドル6は、主軸6bに対して後方に張り出した板状の連結ユニットカバー部6cの下面に、左右方向の貫通孔が形成された突起部を有する。そして、当該突起部の貫通孔とフレームジョイント20の固定螺子貫通孔20cとを貫通する螺子20dによってハンドル6とフレームジョイント20とが互いに固定される。
【0051】
ブレーキレバー7は、ハンドル6の握り部6aの前端部分の下側に、揺動軸7aを介してハンドル6に対して揺動可能に取り付けられる。なお、ブレーキレバー7とブレーキケーブル11とは、これらを有する通常のブレーキの構造と同様に、ブレーキレバー7の前端部が揺動軸7aを介してハンドル6に対して揺動可能に連結されると共に、ブレーキレバー7の揺動軸7aの後方の位置にブレーキケーブル11の上端部が連結され、ハンドル6とブレーキレバー7とを握り締めることによってブレーキレバー7を引き上げるとブレーキケーブル11も引き上げられる。なお、本実施形態のブレーキケーブル11は、左右方向の貫通孔を有する円筒部11aを上端に有し、当該円筒部11aがピンを介してブレーキレバー7に揺動可能に連結されて取り付けられる。
【0052】
そして、本実施形態のブレーキ10は、前輪4と該前輪4を支持する前フレーム2とを有する歩行補助具1のブレーキであって、ブレーキレバー7に上端が連結されたブレーキ操作伝達部材としてのブレーキケーブル11の下端と連結して該ブレーキケーブル11によってブレーキレバー7の操作が伝達された場合に前輪4の車軸4bの軸心に対して軸回転する第一のブレーキカム12と、該第一のブレーキカム12と前輪4の前輪タイヤ4aとの間に配置されると共に第一のブレーキカム12との係合により前輪タイヤ4aの向きに移動する第二のブレーキカム13と、該第二のブレーキカム13と当接するブレーキパッド14とを有する。
【0053】
前輪4の前輪タイヤ4a,4aは、車軸4bを挟んで左右対向配置され、車軸4bの軸心方向に差し込まれる螺子4cによって車軸4bの両端に取り付けられる。なお、本実施形態では、前輪タイヤ4aの外側面に、タイヤカバー4dが螺子4eによって取り付けられる。
【0054】
本実施形態では、第一のブレーキカム12は、軸心方向の貫通孔12bを有する円筒形状に形成される。そして、第一のブレーキカム12は、貫通孔12bに車軸4bを摺動可能に貫通させる。
【0055】
そして、本実施形態では、前フレーム2の下端部に取り付けられた上部ホルダー17と下部ホルダー18とによって第一のブレーキカム12が摺動可能に保持されることによって車軸4bが前フレーム2の下端に軸回転可能に支持される。
【0056】
また、第一のブレーキカム12は、円筒周壁の左右両端に押出し係合部12a,12aを有する。本実施形態の押出し係合部12aは、円筒周壁の左側端と右側端とのそれぞれから軸心方向即ち左右方向に突出し、外形が馬蹄形で周方向に沿う平面を有する板状の突起として形成される。
【0057】
さらに、第一のブレーキカム12は、円筒周壁の後側周面にばね受け部12cを有する。具体的には、ばね受け部12cは、円筒周壁の後側周面から後方に突出して左右方向の平面を有する板状の突起として形成される。
【0058】
ばね受け部12cにはばね16が載置される。ばね16は、ばね受け部12cと上部ホルダー17との間に介在してばね受け部12cを下向きに押す力を発揮する。
【0059】
そして、第一のブレーキカム12には、ブレーキレバー7の操作を伝達して第一のブレーキカム12を車軸4bを軸心として軸回転させるためにブレーキケーブル11の下端が連結される。本実施形態では、ブレーキケーブル11の下端に球状部11bが形成され、当該球状部11bを第一のブレーキカム12の後側周壁に設けられた凹み(具体的には、ブレーキケーブルの線状部分は通過できるが球状部11bは通過することができない引っ掛け部)に引っ掛けることによってブレーキケーブル11の下端が第一のブレーキカム12に連結される。
【0060】
また、第二のブレーキカム13は、本実施形態では、軸心方向の貫通孔を有する円筒部13bと、当該円筒部13bの軸心方向の一端に形成されて円筒部13bの貫通孔と連通して左右方向の貫通孔13dを形成する貫通孔を有する円盤部13cとから構成される。そして、第二のブレーキカム13は、円筒部13bを第一のブレーキカム12の方に向け、円筒部13b及び円盤部13cを連通する貫通孔13dに車軸4bを摺動可能に貫通させて車軸4bに嵌められる。なお、本実施形態では、第一のブレーキカム12の左右両側に第二のブレーキカム13,13を配置している。
【0061】
また、本実施形態では、各前輪タイヤ4a,4aのホイール4fの内側面(即ち車軸4b側の面)にブレーキパッド14が取り付けられる。そして、第二のブレーキカム13の円盤部13cの表面がブレーキパッド14に当接することによってブレーキ操作に伴う制動力が発揮される。
【0062】
ブレーキパッド14は、車軸4bを貫通させるための貫通孔を中央部に有すると共に周縁部に肉厚部を有する円盤状に形成される。そして、肉厚部にねじ穴が形成され、当該ねじ穴に嵌められる螺子14aによってブレーキパッド14が前輪タイヤ4aのホイール4fの内側面に取り付けられる。
【0063】
第二のブレーキカム13の円筒部13b周壁の第一のブレーキカム12側(即ち円盤部13cと反対側)の端部には係合受け部13aが形成される。係合受け部13aは、第一のブレーキカム12の押出し係合部12aと係合し、第一のブレーキカム12が車軸4b回りに軸回転することによって押出し係合部12aが車軸4b回りに回転した場合に第二のブレーキカム13自身を車軸4bに沿って摺動させて第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方向に押し出すためのものである。
【0064】
本実施形態では、第二のブレーキカム13の係合受け部13aは、第一のブレーキカム12の押出し係合部12aが入り込んで係合する凹部として形成される。そして、係合受け部13aは、ブレーキ操作がされていない状態では押出し係合部12aが第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方に押し出すことがなく第二のブレーキカム13が第一のブレーキカム12寄りに位置することができ、ブレーキ操作がされている状態では押出し係合部12aが第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方に押し出すことができるように、深さが変化する凹部として、言い換えれば、円筒部13bの周方向(これは即ち車軸4bの周方向)に対して押出し係合部12aとの当接面が傾斜して形成される。
【0065】
具体的には、例えば図8に示すように、ブレーキ操作がされていない状態即ち第一のブレーキカム12が軸回転していない状態では、押出し係合部12aが係合受け部13a内に収まることができ、第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4a側に押し出すことがないように、係合受け部13aの深さが調整される。
【0066】
さらに、例えば図9に示すように、ブレーキ操作がされた場合即ちブレーキ操作に伴って第一のブレーキカム12が徐々に軸回転することによって押出し係合部12aが車軸4b回りに回転する場合には、押出し係合部12aが係合受け部13aに当接して第二のブレーキカム13が徐々に前輪タイヤ4a側に押し出されるように押出し係合部12aとの当接面が傾斜し(言い換えれば、係合受け部13aの凹部としての深さが次第に浅くなり)、且つ、ブレーキレバー7が最大限握り締められた場合には、第二のブレーキカム13の円盤部13cがブレーキパッド14に当接するまで第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に押し出されるように、係合受け部13aの深さが調整される。
【0067】
すなわち、凹部としての係合受け部13aの深さは、ブレーキ操作がされていない状態において押出し係合部12aが位置する箇所が最も深く、ブレーキ操作がされることによって押出し係合部12aが移動する向きに従って次第に浅くなり、そして、押出し係合部12aの移動の範囲で第二のブレーキカム13がブレーキパッド14に当接するまで浅くなるように調整される。
【0068】
また、下部ホルダー18の下面にはカムガイドプレート19が螺子19bによって取り付けられる。カムガイドプレート19は、上向きに突起するカムガイド19aを左右両端に有する。
【0069】
また、第二のブレーキカム13の円筒部13bの下面には左右方向の溝が形成されている。そして、当該溝にカムガイド19aが摺動可能に差し込まれる。これにより、第二のブレーキカム13は、左右方向即ち車軸4bの軸心方向に移動することはできる一方で、車軸4bを中心とする軸回転は制限される。
【0070】
上述したブレーキ10の動作を以下に説明する。
【0071】
歩行補助具1の使用者がハンドル6の握り部6aとブレーキレバー7とを握り締めるとブレーキケーブル11が引き上げられる。これによって第一のブレーキカム12が車軸4bの軸心を中心として軸回転(本実施形態では前転)し、第一のブレーキカム12の軸回転に伴って押出し係合部12aも車軸4b回りに回転する。
【0072】
そして、押出し係合部12aの移動先において係合受け部13aの凹部としての深さは徐々に浅くなっていくので(言い換えれば、係合受け部13aの押出し係合部12aとの当接面は傾斜しているので)、係合受け部13aの当接面が押出し係合部12aに押されて第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に徐々に押し出される。
【0073】
そして、前輪タイヤ4a側に押し出された第二のブレーキカム13の円盤部13cの表面がブレーキパッド14に当接して前輪タイヤ4aに対して制動がかかる。
【0074】
そして、歩行補助具1の使用者が握り部6aとブレーキレバー7との握りを弱めてブレーキレバー7を自由にするとブレーキケーブル11を引き上げる力が解除される。このとき、ばね16の反発力によってばね受け部12cが押し下げられ、これによって第一のブレーキカム12が車軸4bの軸心を中心として軸回転(本実施形態では後転)し、第一のブレーキカム12の軸回転に伴って押出し係合部12aも車軸4b回りに回転する。
【0075】
そして、押出し係合部12aが係合受け部13aの凹みの深い方に移動して第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に押し出される力が解除され、第二のブレーキカム13が第一のブレーキカム12側に寄ってブレーキパッド14から離れ、前輪タイヤ4aにかけられていた制動が解除される。
【0076】
以上の構成を有する本発明のブレーキによれば、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動をかけることができる。このため、ブレーキ制動部材との当接によってタイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりすることがなく、耐久性の向上を図ることができる。
【0077】
また、以上の構成を有する本発明のブレーキによれば、ブレーキケーブルをフレームの内部に収容するようにしているので、器具使用中にブレーキケーブルが例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキケーブルが伸びてしまう虞がなく、安全性の向上を図ることができる。
【0078】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、前輪4に対して本発明のブレーキを適用するようにしているが、これに限られず、後輪5に対して適用するようにしても良いし、前輪4と後輪5との両方に適用するようにしても良い。
【0079】
また、本実施形態では、第一のブレーキカム12の左右両側に押出し係合部12a,12aを形成すると共に第二のブレーキカム13,13を配置するようにしているが、これに限られず、左右のいずれか一方のみに押出し係合部12aを形成すると共に当該押出し係合部12aが形成された側のみに第二のブレーキカム13を配置するようにして左右対向配置された一対の車輪(本実施形態では4a,4a)のうちの一方のみに制動をかけるようにしても良い。
【0080】
また、本実施形態では、左右対向配置された一対の車輪を前後二箇所に備える歩行補助具に対して本発明のブレーキを適用するようにしているが、これに限られず、一対の車輪を前後二箇所ずつ合計四箇所に備える歩行補助具に対して適用するようにしても良い。
【0081】
また、本実施形態では、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカム12は前転するものとして構成されているが、これに限られず、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカム12を後転させると共に係合受け部13aの押出し係合部12aとの当接面の傾斜を実施形態とは逆にして構成しても良い。
【0082】
また、本実施形態では、前輪タイヤ4aのホイール4fにブレーキパッド14を取り付けると共に当該ブレーキパッド14に対して第二のブレーキカム13の円盤部13cを当接させるようにしているが、これに限られず、第二のブレーキカム13にブレーキパッド14を取り付けると共に当該ブレーキパッド14をタイヤのホイール4fに当接させるようにしても良い。また、前輪タイヤ4aのホイール4fとブレーキパッド14とを別体ではなく一体のものとして構成すると共に第二のブレーキカム13の円盤部13cをタイヤのブレーキパッド部分に当接させるようにしても良い。
【0083】
また、本実施形態では、第一のブレーキカム12を円筒形状に形成すると共に第二のブレーキカム13も円筒部13bを有するようにしているが、第一のブレーキカム12や第二のブレーキカム13の形状は本実施形態で具体的に説明した形状に限られるものではない。すなわち、第一のブレーキカムと第二のブレーキカムとは、両者が係合する部分を有し、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカムが軸回転すると共に、これに伴い、両者の係合を介して第二のブレーキカムが軸方向に押される形状を有していれば良い。具体的には例えば、ブレーキケーブル11と連結して軸回転する方のカム(本実施形態における第一のブレーキカム12に該当)に傾斜面を設けると共に他方のカムに当該傾斜面と係合・当接する突起を設けるようにしても良いし、両方のカムに傾斜面を設けて傾斜面同士を係合・当接させるようにしても良い。
【0084】
さらに、第一のブレーキカム12と第二のブレーキカム13とが、本実施形態のように第一のブレーキカム12の左右それぞれの一箇所で係合するようにしても良いし、二箇所以上で係合するようにしても良い。カム同士が一箇所で係合するようにした場合には、第二のブレーキカム13の移動の軸心(即ち車軸4bの軸心)に対して偏った力を与えることになり、第二のブレーキカム13は移動の軸心に対して斜めに移動しようとするところを車軸4bによって移動方向を矯正されながら移動することになるので、車軸4bとの間で余計な摩擦が働いてしまう。これに対し、二箇所以上で係合するようにした場合には、特に、移動の軸心を挟んで対向する二箇所で係合するなどかけられる力の重心を移動の軸心と一致させるようにした場合には、第二のブレーキカム13に対して移動の軸心と平行な力が働くので、車軸4bとの間で余計な摩擦が働くことなくスムーズに移動させることができる。さらに、二箇所以上で係合する構成の場合には、第二のブレーキカム13のブレーキパッド14と対向する面の全面に亘って偏りのない力をかけながらブレーキパッド14に当接させることも可能であるので、強い制動力を発揮させることができると共に特定の部分が当接することによる当該特定の部分の摩耗が急速に進行してしまうことを防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態では、下部ホルダー18とカムガイドプレート19とを別体のものとして構成するようにしているが、これに限られず、下部ホルダー18とカムガイドプレート19とを一体のものとして構成するようにしても良く、更に言えば、本実施形態におけるカムガイドプレート19の形状に限らず下部ホルダー18が第二のブレーキカム13の軸回転を制限する構造を有していれば良い。
【0086】
また、本実施形態においては、歩行補助具1に対して本発明のブレーキを適用する場合を前提とした例について説明したが、本発明のブレーキの適用対象は歩行補助具に限られるものではなく、車輪と当該車輪を支持するフレームとを有する器具や装置などに対して広く適用が可能である。具体的には例えば、車椅子やストレッチャー等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 歩行補助具
2 前フレーム
3 後フレーム
4 前輪
4a 前輪タイヤ
4b 車軸
7 ブレーキレバー
10 ブレーキ
11 ブレーキケーブル
12 第一のブレーキカム
12a 押出し係合部
13 第二のブレーキカム
13a 係合受け部
14 ブレーキパッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ並びにこれを備える歩行補助具に関する。さらに詳述すると、本発明は、車輪と当該車輪を軸支するフレームとを有する器具に用いて好適なブレーキの構造並びにこれを備える歩行補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪と当該車輪を軸支するフレームとを有する歩行補助具に用いられる従来のブレーキとしては、例えば、図14に示すように、歩行補助具100に用いられ、前輪108を軸支する前フレーム107の上端に取り付けられたブレーキレバー101がハンドル102側へ握り締められるとピン軸103を軸に梃子式にブレーキワイヤー104が引き上げられ、これによってピン軸106に軸支されたブレーキ本体105の一端が引き上げられてピン軸106を軸に梃子式に他端が後輪110を押さえ付けてブレーキが作動して制動力を発揮するものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のブレーキでは、ブレーキ本体105の一端に取り付けられた金属製のブレーキシューを後輪110のタイヤに当接させることによって制動をかけるようにしているので、ブレーキ本体105との当接によって後輪110のタイヤ表面が削れたりタイヤが変形したりする。そして、タイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりする。さらに、ブレーキ本体105が露出しているので、見栄えが損なわれるという問題がある。したがって、特許文献1のブレーキは、耐久性や外観に優れているとは言い難い。
【0005】
また、特許文献1のブレーキでは、ブレーキワイヤー104が後フレーム109の外周面に沿って配置されて露出しているので、歩行補助具使用中にブレーキワイヤー104が例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキワイヤー104が伸びてしまう虞があり、また、見栄えが損なわれるという問題がある。したがって、特許文献1のブレーキは、安全性や外観に優れているとは言い難い。
【0006】
そこで、本発明は、耐久性と安全性と見栄えとを向上させることができるブレーキ並びに歩行補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のブレーキは、車輪と該車輪を支持するフレームとを有する器具に用いられるブレーキであって、ブレーキレバーに上端が連結されたブレーキ操作伝達部材の下端と連結して該ブレーキ操作伝達部材によってブレーキレバーの操作が伝達された場合に車輪の車軸の軸心に対して軸回転する第一のブレーキカムと、該第一のブレーキカムと車輪のタイヤとの間に配置されると共に第一のブレーキカムとの係合によりタイヤの向きに移動する第二のブレーキカムと、該第二のブレーキカムと当接するブレーキパッドとを有するようにしている。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、第一のブレーキカムが押出し係合部を有すると共に、該押出し係合部と係合する係合受け部を第二のブレーキカムが有するようにしている。
【0009】
したがって、請求項1及び2に記載のブレーキによると、ブレーキパッドとブレーキカムとを当接させることによってタイヤに対して制動をかけるようにしているので、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動がかけられる。
【0010】
また、このブレーキによると、ブレーキ構造としてのブレーキパッドとブレーキカムとをタイヤの内側に配置することが可能であるので、ブレーキ構造を露出させずに外観として現れない構造にすることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、第一のブレーキカムと第二のブレーキカムとが車軸を挟んで対向する二箇所で係合するようにしている。この場合には、移動の軸心と平行な力が第二のブレーキカムに対して働く。
【0012】
さらに、請求項4記載の発明は、請求項1記載のブレーキにおいて、フレームを筒状に形成すると共に、ブレーキ操作伝達部材を筒状のフレームの内部を通過させるようにしている。この場合には、ブレーキケーブルが露出することがなく外観として現れない。
【0013】
また、請求項5記載の歩行補助具は、請求項1から4のいずれか一つに記載のブレーキを備えるようにしている。この場合には、請求項1から4に記載のブレーキの有する作用が発揮される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び2に記載のブレーキによれば、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動がかけられるので、ブレーキ制動部材との当接によってタイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりすることがなく、耐久性の向上を図ることが可能になる。
【0015】
また、請求項1及び2に記載のブレーキによれば、ブレーキパッドとブレーキカムとをタイヤの内側に隠す構造にすることが可能であるので、見栄えの向上を図ることが可能になる。
【0016】
また、請求項3記載のブレーキによれば、移動の軸心と平行な力を第二のブレーキカムに対して働かせることができるので、ブレーキカムの移動をスムーズにしてブレーキ操作を楽にすることができると共にブレーキ操作を確実にすることができるので、操作性と安全性との向上を図ることが可能になる。
【0017】
さらに、請求項4記載のブレーキによれば、ブレーキケーブルをフレームの内部に収容するようにしているので、器具使用中にブレーキケーブルが例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキケーブルが伸びてしまう虞がなく、安全性の向上を図ることが可能になる。
【0018】
また、請求項5記載の歩行補助具によれば、請求項1から4に記載のブレーキの有する作用効果が発揮されるので、歩行補助具の耐久性と操作性と安全性と見栄えとの向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のブレーキ並びに歩行補助具の実施形態の一例を示す全体分解斜視図である。
【図2】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の拡大分解図である。
【図3】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の拡大縦断面図である。
【図4】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り付けた状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り付けた状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図6】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図7】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図8】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動していない状態を示す斜視図である。
【図9】実施形態の歩行補助具のブレーキ部分の上部ホルダー及び下部ホルダーを取り外した状態におけるブレーキが作動している状態を示す斜視図である。
【図10】実施形態の歩行補助具を示す全体斜視図である。
【図11】実施形態の歩行補助具の開脚した状態を示す正面図である。
【図12】実施形態の歩行補助具の開脚した状態を示す側面図である。
【図13】実施形態の歩行補助具を開脚した状態の図11のI−I線で切断した状態を示す縦断面図である。
【図14】従来の歩行補助具のブレーキ構造を示す側面図である。(A)はブレーキが作動していない状態を示す図である。(B)はブレーキが作動している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から図13に、本発明のブレーキ並びに歩行補助具の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明のブレーキを図10に全体構造を示す歩行補助具1の前輪4に適用した場合を例に挙げて説明する。ここで、本明細書においては、歩行補助具1の使用者を基準にして上下、前後、左右を定義する。具体的には、図10〜12に示す矢印31の向きを前、反対向きを後、また、矢印32の向きを上、反対向きを下、さらに、これら矢印31及び矢印32に垂直な矢印33の向きを右、反対向きを左とする。
【0022】
本実施形態の歩行補助具1は、上端部同士が揺動可能に連結された前フレーム2及び後フレーム3と、左右対向配置された一対の前輪タイヤ4a,4aを有し前フレーム2の下端に軸回転可能に支持される前輪4と、左右対向配置された一対の後輪タイヤ5a,5aを有し後フレーム3の下端部に軸回転可能に支持される後輪5と、前フレーム2の上端に設けられるハンドル6と、当該ハンドル6の下方に取り付けられるブレーキレバー7と、前フレーム2と後フレーム3との間に掛け渡されて取り付けられるアーチ8とを備える。
【0023】
本実施形態では、前フレーム2は、軸心方向の貫通孔2bを有する筒部2cと、当該筒部2cの左右両側から対向して後方に延出する後部側壁2d、2dとを有する。
【0024】
前フレーム2の貫通孔2bには、当該貫通孔2bを貫通するステアリングパイプ9が挿入される。なお、ステアリングパイプ9は、前フレーム2よりも長く形成され、下端が前フレーム2の下端とほぼ同じ位置にまで達すると共に上端部分が前フレーム2の上端よりも突出する位置に配置される。
【0025】
ステアリングパイプ9は軸心方向の貫通孔9aを有する円筒形状に形成される。そして、ステアリングパイプ9の貫通孔9aには、当該貫通孔9aを貫通するブレーキケーブル11が備えられる。
【0026】
前フレーム2の貫通孔2bの下端部には、左右対向配置された一対の前輪タイヤ4a,4a間に備えられた車軸4bを摺動可能に保持して前輪4を軸回転可能に支持するための上部ホルダー17及び下部ホルダー18が取り付けられる。上部ホルダー17の下端と下部ホルダー18の上端とには断面半円形状の左右方向の凹部17a,18aがそれぞれ形成され、両者を上下に合わせて組み合わせた状態で貫通孔が形成される。なお、本実施形態では、上部ホルダー17の上端面から突出した円柱形状(ただし、ブレーキケーブル11を通過させるための上下方向の凹部を周面に有する)の突起がステアリングパイプ9の貫通孔9aに差し込まれて両者がねじ止めされることによって上部ホルダー17が前フレーム2に対して固定され取り付けられる。そして、本実施形態の上部ホルダー17は、円柱形状突起周面の凹部と連通してブレーキケーブル11を貫通させるための上下方向の貫通孔を有する。なお、ブレーキケーブル11が上部ホルダー17を通過するための構造は本実施形態のものに限られるものではなく、上端面から突出した円柱形状の突起の上端から上部ホルダー17を貫通する上下方向の貫通孔を設けるようにしても良い。
【0027】
後フレーム3は軸心方向の貫通孔3dを有する筒状に形成される。また、後フレーム3は、周壁前面が下端から軸心方向上側に向かって切り込まれて形成された細長貫通孔のガイド3bと、周壁後面の上下中央位置より上側に設けられた貫通孔とを有する。
【0028】
また、後フレーム3の下端部には、後輪5を支持するための後輪ホルダー5cが取り付けられる。そして、後輪ホルダー5cに対して左右対向配置された一対の後輪タイヤ5a,5aが軸回転可能に取り付けられる。
【0029】
さらに、後フレーム3の上端部には、後フレーム3を前フレーム2と連結させるためのジョイント部材3fが取り付けられる。ジョイント部材3fは、後フレーム3の貫通孔3dに差し込まれる差込部3hと、当該差込部3hの上部に縦に立てられた板状に形成されて貫通孔3gを有する連結部3iとからなる。なお、ジョイント部材3fは、差込部3hにねじ穴を有し、当該差込部3hが貫通孔3dの上端部に差し込まれた状態でねじ止めされて後フレーム3に取り付けられる。また、ジョイント部材3fは、板状の連結部3iが前後方向に配置された状態で後フレーム3に取り付けられる(すなわち、貫通孔3gは左右方向になる)。
【0030】
また、本実施形態の歩行補助具1は、揺動軸2aを備えると共に前フレーム2の上端部に取り付けられて前フレーム2と後フレーム3とを揺動可能に、言い換えれば揺動軸2aを中心として開脚及び閉脚自在に連結するフレームジョイント20を有する。
【0031】
フレームジョイント20は、前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれる取付部20eと、当該取付部20eの上側部分から後方に延出する保持部20fとからなる。そして、フレームジョイント20は、取付部20e及び保持部20fを前後方向に貫通して設けられる間隙を有する。さらに、フレームジョイント20は、取付部20eの上端寄りの位置に左右方向の揺動軸貫通孔20aを有すると共に下端寄りの位置に左右方向のグリップ軸貫通孔20bを有し、また、保持部20fの上端から突起した部分に左右方向の固定螺子貫通孔20cを有する。
【0032】
そして、取付部20e及び保持部20fを前後方向に貫通して設けられる間隙には後フレーム3のジョイント部材3fの板状の連結部3iが挿入され、当該間隙は連結部3iを左右両側から挟んで摺動可能に保持する。
【0033】
そして、後フレーム3は、ジョイント部材3fの連結部3iがフレームジョイント20の保持部20f及び取付部20eに形成された前後方向の間隙に差し込まれると共にフレームジョイント20の揺動軸貫通孔20aと連結部3iの貫通孔3gとを貫通する揺動軸2aが挿入されてフレームジョイント20に対して揺動可能に軸支される。
【0034】
また、フレームジョイント20は、取付部20eが前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれると共に取付部20eに形成されたグリップ軸貫通孔20bと両後部側壁2d,2dに形成された左右方向の貫通孔2e,2eとを貫通するグリップ軸23aが挿入され、当該グリップ軸23aの両端部に形成された螺子部分にグリップ23が嵌められることによって前フレーム2の上端部に取り付けられる。
【0035】
なお、グリップ23は、例えば買い物時などに荷物を掛けたり、歩行補助具1を持ち運ぶ際や前フレーム2と後フレーム3とを開いたり閉じたりする際などに使用者が握ったりするためのものである。
【0036】
アーチ8は、前フレーム2と後フレーム3との間に掛け渡され、後フレーム3の下端寄りの位置に設けられたストッパブロック3aと共に両フレーム2,3の開脚の程度を制限するものである。
【0037】
具体的には、アーチ8の前端部が、前フレーム2の両後部側壁2d,2dの間に差し込まれ、前端寄りの位置に形成された左右方向の貫通孔8aと両後部側壁2d,2dの下端寄りの位置に形成された左右方向の貫通孔2f,2fとを貫通するボルト8c並びにナット8dによって前フレーム2に対して揺動可能に軸支される。
【0038】
また、アーチ8の後端部には、左右方向の貫通孔8eが形成されたジョイント部8bが取り付けられる。そして、ジョイント部8bの貫通孔8eにスライダー軸8fが挿入されると共に、スライダー軸8fの両端部にジョイント部8bを挟んで左右一対のガイドローラー8g,8gが取り付けられる。
【0039】
そして、スライダー軸8f及び一対のガイドローラー8g,8gが取り付けられた状態でジョイント部8bが後フレーム3の下端開口から貫通孔3dに挿入される。このとき、ジョイント部8bの、スライダー軸8fが挿入された貫通孔8eよりも前側の部分がガイド3bを貫通する。これによって、アーチ8の後端部が後フレーム3に対して摺動可能且つ揺動可能に連結される。
【0040】
また、ジョイント部8bを貫通孔3dに挿入した後、貫通孔3dの軸直角断面形状に合わせた軸直角断面形状に形成された柱状のストッパブロック3aが後フレーム3の下端開口から貫通孔3dに挿入される。ストッパブロック3aは、後フレーム3の下端寄りの位置に、ストッパブロック3aと後フレーム3の後面周壁とを貫通して後輪ホルダー5c内に嵌入するボルト3cによって固定される。
【0041】
そして、アーチ8のジョイント部8bがストッパブロック3aの上端面に当接することによって前フレーム2と後フレーム3との開脚の程度が固定される。また、前フレーム2と後フレーム3とが閉脚する際には、スライダー軸8f及び一対のガイドローラー8g,8gの働きによってガイド3bを貫通するジョイント部8bが後フレーム3の貫通孔3d内を摺動して上に向かって移動する。
【0042】
また、本実施形態の歩行補助具1は、アーチ8のジョイント部8bを後フレーム3の貫通孔3d内を上に向かって移動させることによって前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させ易くするために、ボール21とワイヤ22とを備える。
【0043】
具体的には、ワイヤ22の下端部がアーチ8のジョイント部8bに形成された貫通孔8hに結ばれ、中間部分が後フレーム3の貫通孔3d内に配置され、上端部が後フレーム3の周壁後面の貫通孔から後フレーム3の外に出てボール21に結ばれる。
【0044】
この構成により、ボール21を持ち上げるとワイヤ22を介してアーチ8のジョイント部8bが引き上げられ、これによりアーチ8前端部と前フレーム2との連結点を中心としてアーチ8の傾斜が増加してアーチ8後端のジョイント部8bが前フレーム2側に引き寄せられて後フレーム3が前フレーム2に引き寄せられる。すなわち、ボール21を持ち上げることによって前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させることができる。
【0045】
なお、ボール21を持ち上げた状態、そして前フレーム2と後フレーム3とを閉脚させた状態を維持させるため、ハンドル6の前フレーム2との連結部分に後方に張り出して設けられる連結ユニットカバー部6cの上面にボール受けフック15が取り付けられる。
【0046】
ボール受けフック15は、ボール21の外周面の形状に合わせた凹部が上面に形成されていると共に後側に切り込みが形成されている。そして、当該切り込みにワイヤ22を通しながらボール21が凹部に載置される。このとき、前フレーム2と後フレーム3とが開脚しようとしてアーチ8のジョイント部8bが後フレーム3の貫通孔3d内を下に向かって移動しようとすることによってワイヤ22には下向きの張力が働き、これによってボール21にはボール受けフック15の凹部に押し付けられる力が働くので、ボール21がボール受けフック15に載置された状態が維持される。
【0047】
ハンドル6は、握り部6aと、当該握り部6aの前端から連続して形成される主軸6bと、当該主軸6bの下端に設けられ主軸6bに対して後方に張り出す板状の連結ユニットカバー部6cと、当該連結ユニットカバー部6cの下端面から主軸6bと同軸方向に延出して設けられる円筒状の差込部6dとからなる。なお、本実施形態では、握り部6a・主軸6bと連結ユニットカバー部6c・差込部6dとは別体のものとして構成されている。
【0048】
また、主軸6bは下端面に開口を有してステアリングパイプ9が差し込まれる軸心方向の凹部を有する。差込部6dはステアリングパイプ9の外周面に沿う周壁として形成される。
【0049】
ハンドル6は前フレーム2の貫通孔2b内を貫通して設けられるステアリングパイプ9の上端に取り付けられる。具体的には、ステアリングパイプ9を前フレーム2の貫通孔2bに挿入して上端部分を前フレーム2の上端から突出させた状態でステアリングパイプ9の外周面と前フレーム2の貫通孔2bの内周面との間の間隙に差込部6dを差し込みながら主軸6bの凹部にステアリングパイプ9を差し込む。そして、主軸6bの周壁とステアリングパイプ9の周壁とを貫通する螺子6eによってステアリングパイプ9の上端部分に主軸6bが固定されてハンドル6が前フレーム2の上端に取り付けられる。
【0050】
また、ハンドル6は、主軸6bに対して後方に張り出した板状の連結ユニットカバー部6cの下面に、左右方向の貫通孔が形成された突起部を有する。そして、当該突起部の貫通孔とフレームジョイント20の固定螺子貫通孔20cとを貫通する螺子20dによってハンドル6とフレームジョイント20とが互いに固定される。
【0051】
ブレーキレバー7は、ハンドル6の握り部6aの前端部分の下側に、揺動軸7aを介してハンドル6に対して揺動可能に取り付けられる。なお、ブレーキレバー7とブレーキケーブル11とは、これらを有する通常のブレーキの構造と同様に、ブレーキレバー7の前端部が揺動軸7aを介してハンドル6に対して揺動可能に連結されると共に、ブレーキレバー7の揺動軸7aの後方の位置にブレーキケーブル11の上端部が連結され、ハンドル6とブレーキレバー7とを握り締めることによってブレーキレバー7を引き上げるとブレーキケーブル11も引き上げられる。なお、本実施形態のブレーキケーブル11は、左右方向の貫通孔を有する円筒部11aを上端に有し、当該円筒部11aがピンを介してブレーキレバー7に揺動可能に連結されて取り付けられる。
【0052】
そして、本実施形態のブレーキ10は、前輪4と該前輪4を支持する前フレーム2とを有する歩行補助具1のブレーキであって、ブレーキレバー7に上端が連結されたブレーキ操作伝達部材としてのブレーキケーブル11の下端と連結して該ブレーキケーブル11によってブレーキレバー7の操作が伝達された場合に前輪4の車軸4bの軸心に対して軸回転する第一のブレーキカム12と、該第一のブレーキカム12と前輪4の前輪タイヤ4aとの間に配置されると共に第一のブレーキカム12との係合により前輪タイヤ4aの向きに移動する第二のブレーキカム13と、該第二のブレーキカム13と当接するブレーキパッド14とを有する。
【0053】
前輪4の前輪タイヤ4a,4aは、車軸4bを挟んで左右対向配置され、車軸4bの軸心方向に差し込まれる螺子4cによって車軸4bの両端に取り付けられる。なお、本実施形態では、前輪タイヤ4aの外側面に、タイヤカバー4dが螺子4eによって取り付けられる。
【0054】
本実施形態では、第一のブレーキカム12は、軸心方向の貫通孔12bを有する円筒形状に形成される。そして、第一のブレーキカム12は、貫通孔12bに車軸4bを摺動可能に貫通させる。
【0055】
そして、本実施形態では、前フレーム2の下端部に取り付けられた上部ホルダー17と下部ホルダー18とによって第一のブレーキカム12が摺動可能に保持されることによって車軸4bが前フレーム2の下端に軸回転可能に支持される。
【0056】
また、第一のブレーキカム12は、円筒周壁の左右両端に押出し係合部12a,12aを有する。本実施形態の押出し係合部12aは、円筒周壁の左側端と右側端とのそれぞれから軸心方向即ち左右方向に突出し、外形が馬蹄形で周方向に沿う平面を有する板状の突起として形成される。
【0057】
さらに、第一のブレーキカム12は、円筒周壁の後側周面にばね受け部12cを有する。具体的には、ばね受け部12cは、円筒周壁の後側周面から後方に突出して左右方向の平面を有する板状の突起として形成される。
【0058】
ばね受け部12cにはばね16が載置される。ばね16は、ばね受け部12cと上部ホルダー17との間に介在してばね受け部12cを下向きに押す力を発揮する。
【0059】
そして、第一のブレーキカム12には、ブレーキレバー7の操作を伝達して第一のブレーキカム12を車軸4bを軸心として軸回転させるためにブレーキケーブル11の下端が連結される。本実施形態では、ブレーキケーブル11の下端に球状部11bが形成され、当該球状部11bを第一のブレーキカム12の後側周壁に設けられた凹み(具体的には、ブレーキケーブルの線状部分は通過できるが球状部11bは通過することができない引っ掛け部)に引っ掛けることによってブレーキケーブル11の下端が第一のブレーキカム12に連結される。
【0060】
また、第二のブレーキカム13は、本実施形態では、軸心方向の貫通孔を有する円筒部13bと、当該円筒部13bの軸心方向の一端に形成されて円筒部13bの貫通孔と連通して左右方向の貫通孔13dを形成する貫通孔を有する円盤部13cとから構成される。そして、第二のブレーキカム13は、円筒部13bを第一のブレーキカム12の方に向け、円筒部13b及び円盤部13cを連通する貫通孔13dに車軸4bを摺動可能に貫通させて車軸4bに嵌められる。なお、本実施形態では、第一のブレーキカム12の左右両側に第二のブレーキカム13,13を配置している。
【0061】
また、本実施形態では、各前輪タイヤ4a,4aのホイール4fの内側面(即ち車軸4b側の面)にブレーキパッド14が取り付けられる。そして、第二のブレーキカム13の円盤部13cの表面がブレーキパッド14に当接することによってブレーキ操作に伴う制動力が発揮される。
【0062】
ブレーキパッド14は、車軸4bを貫通させるための貫通孔を中央部に有すると共に周縁部に肉厚部を有する円盤状に形成される。そして、肉厚部にねじ穴が形成され、当該ねじ穴に嵌められる螺子14aによってブレーキパッド14が前輪タイヤ4aのホイール4fの内側面に取り付けられる。
【0063】
第二のブレーキカム13の円筒部13b周壁の第一のブレーキカム12側(即ち円盤部13cと反対側)の端部には係合受け部13aが形成される。係合受け部13aは、第一のブレーキカム12の押出し係合部12aと係合し、第一のブレーキカム12が車軸4b回りに軸回転することによって押出し係合部12aが車軸4b回りに回転した場合に第二のブレーキカム13自身を車軸4bに沿って摺動させて第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方向に押し出すためのものである。
【0064】
本実施形態では、第二のブレーキカム13の係合受け部13aは、第一のブレーキカム12の押出し係合部12aが入り込んで係合する凹部として形成される。そして、係合受け部13aは、ブレーキ操作がされていない状態では押出し係合部12aが第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方に押し出すことがなく第二のブレーキカム13が第一のブレーキカム12寄りに位置することができ、ブレーキ操作がされている状態では押出し係合部12aが第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4aの方に押し出すことができるように、深さが変化する凹部として、言い換えれば、円筒部13bの周方向(これは即ち車軸4bの周方向)に対して押出し係合部12aとの当接面が傾斜して形成される。
【0065】
具体的には、例えば図8に示すように、ブレーキ操作がされていない状態即ち第一のブレーキカム12が軸回転していない状態では、押出し係合部12aが係合受け部13a内に収まることができ、第二のブレーキカム13を前輪タイヤ4a側に押し出すことがないように、係合受け部13aの深さが調整される。
【0066】
さらに、例えば図9に示すように、ブレーキ操作がされた場合即ちブレーキ操作に伴って第一のブレーキカム12が徐々に軸回転することによって押出し係合部12aが車軸4b回りに回転する場合には、押出し係合部12aが係合受け部13aに当接して第二のブレーキカム13が徐々に前輪タイヤ4a側に押し出されるように押出し係合部12aとの当接面が傾斜し(言い換えれば、係合受け部13aの凹部としての深さが次第に浅くなり)、且つ、ブレーキレバー7が最大限握り締められた場合には、第二のブレーキカム13の円盤部13cがブレーキパッド14に当接するまで第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に押し出されるように、係合受け部13aの深さが調整される。
【0067】
すなわち、凹部としての係合受け部13aの深さは、ブレーキ操作がされていない状態において押出し係合部12aが位置する箇所が最も深く、ブレーキ操作がされることによって押出し係合部12aが移動する向きに従って次第に浅くなり、そして、押出し係合部12aの移動の範囲で第二のブレーキカム13がブレーキパッド14に当接するまで浅くなるように調整される。
【0068】
また、下部ホルダー18の下面にはカムガイドプレート19が螺子19bによって取り付けられる。カムガイドプレート19は、上向きに突起するカムガイド19aを左右両端に有する。
【0069】
また、第二のブレーキカム13の円筒部13bの下面には左右方向の溝が形成されている。そして、当該溝にカムガイド19aが摺動可能に差し込まれる。これにより、第二のブレーキカム13は、左右方向即ち車軸4bの軸心方向に移動することはできる一方で、車軸4bを中心とする軸回転は制限される。
【0070】
上述したブレーキ10の動作を以下に説明する。
【0071】
歩行補助具1の使用者がハンドル6の握り部6aとブレーキレバー7とを握り締めるとブレーキケーブル11が引き上げられる。これによって第一のブレーキカム12が車軸4bの軸心を中心として軸回転(本実施形態では前転)し、第一のブレーキカム12の軸回転に伴って押出し係合部12aも車軸4b回りに回転する。
【0072】
そして、押出し係合部12aの移動先において係合受け部13aの凹部としての深さは徐々に浅くなっていくので(言い換えれば、係合受け部13aの押出し係合部12aとの当接面は傾斜しているので)、係合受け部13aの当接面が押出し係合部12aに押されて第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に徐々に押し出される。
【0073】
そして、前輪タイヤ4a側に押し出された第二のブレーキカム13の円盤部13cの表面がブレーキパッド14に当接して前輪タイヤ4aに対して制動がかかる。
【0074】
そして、歩行補助具1の使用者が握り部6aとブレーキレバー7との握りを弱めてブレーキレバー7を自由にするとブレーキケーブル11を引き上げる力が解除される。このとき、ばね16の反発力によってばね受け部12cが押し下げられ、これによって第一のブレーキカム12が車軸4bの軸心を中心として軸回転(本実施形態では後転)し、第一のブレーキカム12の軸回転に伴って押出し係合部12aも車軸4b回りに回転する。
【0075】
そして、押出し係合部12aが係合受け部13aの凹みの深い方に移動して第二のブレーキカム13が前輪タイヤ4a側に押し出される力が解除され、第二のブレーキカム13が第一のブレーキカム12側に寄ってブレーキパッド14から離れ、前輪タイヤ4aにかけられていた制動が解除される。
【0076】
以上の構成を有する本発明のブレーキによれば、ブレーキ制動部材とタイヤとを直接当接させることなくタイヤに制動をかけることができる。このため、ブレーキ制動部材との当接によってタイヤ表面が削れて凹凸ができたりタイヤが変形したりすることによってタイヤの交換が必要になったり走行中にがたつきが生じたりすることがなく、耐久性の向上を図ることができる。
【0077】
また、以上の構成を有する本発明のブレーキによれば、ブレーキケーブルをフレームの内部に収容するようにしているので、器具使用中にブレーキケーブルが例えば周辺物に引っ掛かってしまって急な方向転換をしたり急な制動がかかったりするなどの危険が発生する虞やブレーキケーブルが伸びてしまう虞がなく、安全性の向上を図ることができる。
【0078】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、前輪4に対して本発明のブレーキを適用するようにしているが、これに限られず、後輪5に対して適用するようにしても良いし、前輪4と後輪5との両方に適用するようにしても良い。
【0079】
また、本実施形態では、第一のブレーキカム12の左右両側に押出し係合部12a,12aを形成すると共に第二のブレーキカム13,13を配置するようにしているが、これに限られず、左右のいずれか一方のみに押出し係合部12aを形成すると共に当該押出し係合部12aが形成された側のみに第二のブレーキカム13を配置するようにして左右対向配置された一対の車輪(本実施形態では4a,4a)のうちの一方のみに制動をかけるようにしても良い。
【0080】
また、本実施形態では、左右対向配置された一対の車輪を前後二箇所に備える歩行補助具に対して本発明のブレーキを適用するようにしているが、これに限られず、一対の車輪を前後二箇所ずつ合計四箇所に備える歩行補助具に対して適用するようにしても良い。
【0081】
また、本実施形態では、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカム12は前転するものとして構成されているが、これに限られず、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカム12を後転させると共に係合受け部13aの押出し係合部12aとの当接面の傾斜を実施形態とは逆にして構成しても良い。
【0082】
また、本実施形態では、前輪タイヤ4aのホイール4fにブレーキパッド14を取り付けると共に当該ブレーキパッド14に対して第二のブレーキカム13の円盤部13cを当接させるようにしているが、これに限られず、第二のブレーキカム13にブレーキパッド14を取り付けると共に当該ブレーキパッド14をタイヤのホイール4fに当接させるようにしても良い。また、前輪タイヤ4aのホイール4fとブレーキパッド14とを別体ではなく一体のものとして構成すると共に第二のブレーキカム13の円盤部13cをタイヤのブレーキパッド部分に当接させるようにしても良い。
【0083】
また、本実施形態では、第一のブレーキカム12を円筒形状に形成すると共に第二のブレーキカム13も円筒部13bを有するようにしているが、第一のブレーキカム12や第二のブレーキカム13の形状は本実施形態で具体的に説明した形状に限られるものではない。すなわち、第一のブレーキカムと第二のブレーキカムとは、両者が係合する部分を有し、ブレーキ操作がされた場合に第一のブレーキカムが軸回転すると共に、これに伴い、両者の係合を介して第二のブレーキカムが軸方向に押される形状を有していれば良い。具体的には例えば、ブレーキケーブル11と連結して軸回転する方のカム(本実施形態における第一のブレーキカム12に該当)に傾斜面を設けると共に他方のカムに当該傾斜面と係合・当接する突起を設けるようにしても良いし、両方のカムに傾斜面を設けて傾斜面同士を係合・当接させるようにしても良い。
【0084】
さらに、第一のブレーキカム12と第二のブレーキカム13とが、本実施形態のように第一のブレーキカム12の左右それぞれの一箇所で係合するようにしても良いし、二箇所以上で係合するようにしても良い。カム同士が一箇所で係合するようにした場合には、第二のブレーキカム13の移動の軸心(即ち車軸4bの軸心)に対して偏った力を与えることになり、第二のブレーキカム13は移動の軸心に対して斜めに移動しようとするところを車軸4bによって移動方向を矯正されながら移動することになるので、車軸4bとの間で余計な摩擦が働いてしまう。これに対し、二箇所以上で係合するようにした場合には、特に、移動の軸心を挟んで対向する二箇所で係合するなどかけられる力の重心を移動の軸心と一致させるようにした場合には、第二のブレーキカム13に対して移動の軸心と平行な力が働くので、車軸4bとの間で余計な摩擦が働くことなくスムーズに移動させることができる。さらに、二箇所以上で係合する構成の場合には、第二のブレーキカム13のブレーキパッド14と対向する面の全面に亘って偏りのない力をかけながらブレーキパッド14に当接させることも可能であるので、強い制動力を発揮させることができると共に特定の部分が当接することによる当該特定の部分の摩耗が急速に進行してしまうことを防ぐことができる。
【0085】
また、本実施形態では、下部ホルダー18とカムガイドプレート19とを別体のものとして構成するようにしているが、これに限られず、下部ホルダー18とカムガイドプレート19とを一体のものとして構成するようにしても良く、更に言えば、本実施形態におけるカムガイドプレート19の形状に限らず下部ホルダー18が第二のブレーキカム13の軸回転を制限する構造を有していれば良い。
【0086】
また、本実施形態においては、歩行補助具1に対して本発明のブレーキを適用する場合を前提とした例について説明したが、本発明のブレーキの適用対象は歩行補助具に限られるものではなく、車輪と当該車輪を支持するフレームとを有する器具や装置などに対して広く適用が可能である。具体的には例えば、車椅子やストレッチャー等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 歩行補助具
2 前フレーム
3 後フレーム
4 前輪
4a 前輪タイヤ
4b 車軸
7 ブレーキレバー
10 ブレーキ
11 ブレーキケーブル
12 第一のブレーキカム
12a 押出し係合部
13 第二のブレーキカム
13a 係合受け部
14 ブレーキパッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と該車輪を支持するフレームとを有する器具に用いられるブレーキであって、ブレーキレバーに上端が連結されたブレーキ操作伝達部材の下端と連結して該ブレーキ操作伝達部材によって前記ブレーキレバーの操作が伝達された場合に前記車輪の車軸の軸心に対して軸回転する第一のブレーキカムと、該第一のブレーキカムと前記車輪のタイヤとの間に配置されると共に前記第一のブレーキカムとの係合により前記タイヤの向きに移動する第二のブレーキカムと、該第二のブレーキカムと当接するブレーキパッドとを有することを特徴とするブレーキ。
【請求項2】
前記第一のブレーキカムが押出し係合部を有すると共に、該押出し係合部と係合する係合受け部を前記第二のブレーキカムが有することを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項3】
前記第一のブレーキカムと前記第二のブレーキカムとが前記車軸を挟んで対向する二箇所で係合することを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項4】
前記フレームを筒状に形成すると共に、前記ブレーキ操作伝達部材を前記筒状のフレームの内部を通過させることを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のブレーキを備えることを特徴とする歩行補助具。
【請求項1】
車輪と該車輪を支持するフレームとを有する器具に用いられるブレーキであって、ブレーキレバーに上端が連結されたブレーキ操作伝達部材の下端と連結して該ブレーキ操作伝達部材によって前記ブレーキレバーの操作が伝達された場合に前記車輪の車軸の軸心に対して軸回転する第一のブレーキカムと、該第一のブレーキカムと前記車輪のタイヤとの間に配置されると共に前記第一のブレーキカムとの係合により前記タイヤの向きに移動する第二のブレーキカムと、該第二のブレーキカムと当接するブレーキパッドとを有することを特徴とするブレーキ。
【請求項2】
前記第一のブレーキカムが押出し係合部を有すると共に、該押出し係合部と係合する係合受け部を前記第二のブレーキカムが有することを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項3】
前記第一のブレーキカムと前記第二のブレーキカムとが前記車軸を挟んで対向する二箇所で係合することを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項4】
前記フレームを筒状に形成すると共に、前記ブレーキ操作伝達部材を前記筒状のフレームの内部を通過させることを特徴とする請求項1記載のブレーキ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のブレーキを備えることを特徴とする歩行補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−195129(P2010−195129A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40481(P2009−40481)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月24日〜26日 財団法人保健福祉広報協会主催の「第35回国際福祉機器展H.C.R.2008」に出品
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年9月24日〜26日 財団法人保健福祉広報協会主催の「第35回国際福祉機器展H.C.R.2008」に出品
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【Fターム(参考)】
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