説明

ブレーキ制御装置

【課題】ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生が抑制されるブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置20は、マスタシリンダユニット27と、作動流体の供給を受けて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダの少なくとも1つに作動流体を供給する第1流路45bと、複数のホイールシリンダの残りに作動流体を供給する第2流路45aと、第1流路45bに接続され、運転者のブレーキ操作から独立して複数のホイールシリンダの作動流体圧を共通に制御し得るホイールシリンダ圧制御系統と、第1流路45b上に設けられ、開弁中に出入口間の差圧が所定圧を超えた場合にその差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となるレギュレータカット弁65と、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定するブレーキECU70と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車輪に付与される制動力を制御するブレーキ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、いわゆるブレーキバイワイヤの制動力制御を可能とするブレーキ制御装置が記載されている。通常のブレーキ制御モードをバックアップ用のブレーキモードに切り替えたときに生じ得るホイールシリンダ圧の封じ込めを防止するために、ホイールシリンダから作動液が排出される。これにより、モード切替時のレギュレータカット弁の開弁が保証される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−87725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ホイールシリンダ圧の封じ込めは、ブレーキ制御装置の制御モードを切り替えたときだけではなく、切り替え後のブレーキモードによる制御中にも発生する可能性がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生が抑制されるブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ制御装置は、収容された作動流体を運転者によるブレーキ操作部材の操作量に応じて加圧するマニュアル液圧源と、作動流体の供給を受けて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダの少なくとも1つに作動流体を供給する第1供給経路と、前記複数のホイールシリンダの残りに作動流体を供給する第2供給経路と、前記第1供給経路に接続され、運転者のブレーキ操作から独立して前記複数のホイールシリンダの作動流体圧を共通に制御し得るホイールシリンダ圧制御系統と、前記第1供給経路上に設けられ、開弁中に出入口間の差圧が所定圧を超えた場合に当該差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となる開閉弁と、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定する制御部と、を備える。前記制御部は、前記マニュアル液圧源から前記第1供給経路を介して前記ホイールシリンダに作動流体が供給されている状態で、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記開閉弁が閉弁しないように前記ホイールシリンダから該開閉弁への作動流体の流入を制御する。
【0007】
この態様によると、開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が前もって判定されるので、予め開閉弁が閉弁しないようにホイールシリンダから開閉弁への作動流体の流入を制御できる。そのため、開閉弁が差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となることが抑制される。その結果、ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生が抑制され、例えば、車輪の引き摺りが防止される。
【0008】
前記ホイールシリンダの作動流体を前記第1供給経路から排出すべきときに開弁される制御弁を更に備えてもよい。前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記制御弁を制御することにより前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力を減圧してもよい。減圧時には開閉弁のマニュアル液圧源側の圧力が低下するため、差圧により作動流体が開閉弁を通過してマニュアル液圧源側へ流れることになる。しかしながら、差圧が大きいと、開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態になる可能性がある。そこで、開閉弁ではなく他の制御弁から作動流体を第1供給経路の外へ排出することで開閉弁のホイールシリンダ側の圧力を減圧し差圧を解消することができる。
【0009】
前記制御弁は、前記第1供給経路と作動流体を貯留するリザーバとの間に設けられ、前記ホイールシリンダ圧制御系統を構成するとともに、弁の開度により流量を制御するリニア電磁制御弁であってもよい。これにより、より精度の高い減圧処理が可能となる。
【0010】
前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力をP1[MPa]、前記開閉弁のマニュアル液圧源側の圧力をP2[MPa]、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる前記所定圧をX[MPa]とすると、前記制御部は、P1=P2+A1(ただしA1<X)を目標液圧として前記リニア電磁制御弁への通電を制御してもよい。これにより、開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合であっても、実際には開閉弁が自閉するほどの差圧が生じないときにはリニア電磁制御弁から作動流体が流出せず、不必要な減圧処理が抑制される。
【0011】
前記制御弁は、前記ホイールシリンダと作動流体を貯留するリザーバとの間に設けられていてもよい。
【0012】
前記制御弁は、前記第2供給経路上に設けられ、前記マニュアル液圧源から前記第1供給経路を介して前記ホイールシリンダに作動流体が正常に供給されている状態では閉弁されており、前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記制御弁を開弁制御してもよい。
【0013】
前記複数のホイールシリンダと前記開閉弁との間の作動流体の流れを制御する複数の制御弁を更に備えてもよい。前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記複数のホイールシリンダの減圧方法を正常時の減圧方法から変更してもよい。減圧時には開閉弁のマニュアル液圧源側の圧力が低下するため、差圧により作動流体が開閉弁を通過してマニュアル液圧源側へ流れることになる。しかしながら、差圧が大きく開閉弁に流入する作動流体の量が多いと、開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態になる可能性がある。そこで、複数のホイールシリンダの減圧方法を正常時の減圧方法から変更することで、複数のホイールシリンダから開閉弁に逆流する作動流体の量を制御し、開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況を解消することができる。
【0014】
前記制御部は、前記複数のホイールシリンダのうち圧力の低いホイールシリンダから流入する作動流体の流れを減少させるように前記複数の制御弁を制御してもよい。これにより、開閉弁に流入する作動流体の量を減少させることができ、開閉弁の自閉が抑制される。また、複数のホイールシリンダのうち圧力の低いホイールシリンダから流入する作動流体の流れを減少させることで、複数のホイールシリンダのうち圧力の高いホイールシリンダの減圧が優先されるため、車輪の引き摺りが生じやすい圧力の高いホイールシリンダが速やかに減圧される。
【0015】
前記制御部は、取得した情報から算出された目標減速度が減少していること、取得した情報から算出された前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力とマニュアル液圧源側の圧力との差が前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される第1の所定値を超えていること、取得した情報から算出された前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力が前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる前記所定圧を超えていること、の少なくとも一つの条件が成立したときに、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されると判定してもよい。これにより、開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況を精度よく判定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るブレーキ制御装置を示す系統図である。
【図2】レギュレータカット弁が自閉した場合の液圧の変化を模式的に示す図である。
【図3】開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定する処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(第1の実施の形態)
本発明の一実施の形態においては、ホイールシリンダに液圧を導入するための液圧経路を複数備えるブレーキ制御装置が提供される。ブレーキ制御装置は、状況に応じて異なる液圧経路を使用して、最適なブレーキ制御を実現する。例えば3つの液圧経路がブレーキ制御装置に設けられている。この場合、第1液圧経路によりホイールシリンダ圧を制御する場合には、第2液圧経路及び第3液圧経路は遮断される。各液圧経路には、液圧源とホイールシリンダとの間に制御弁が設けられている。よって、ブレーキ制御装置は、第1液圧経路の第1制御弁を制御し、第2液圧経路の第2制御弁及び第3液圧経路の第3制御弁を閉弁する。なおブレーキ制御装置は2つ以上の液圧経路を併用してホイールシリンダ圧を制御してもよい。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係るブレーキ制御装置20を示す系統図である。同図に示されるブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施の形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。本実施の形態における車両は、これらの回生制動と液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行することができる。
【0021】
ブレーキ制御装置20は、図1に示されるように、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
【0022】
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪、および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。マニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル24の運転者による操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。
【0023】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30、および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下で更に詳しく説明する。各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。
【0024】
ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪とともに回転するブレーキディスク22に摩擦部材としてのブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。なお、本実施の形態においてはディスクブレーキユニット21FR〜21RLを用いているが、例えばドラムブレーキ等のホイールシリンダ23を含む他の制動力付与機構を用いてもよい。
【0025】
マスタシリンダユニット27は、本実施の形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33、およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
【0026】
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とするとともに、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。なお、マスタシリンダ圧とレギュレータ圧とは厳密に同一圧にされる必要はなく、例えばレギュレータ圧の方が若干高圧となるようにマスタシリンダユニット27を設計することも可能である。
【0027】
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
【0028】
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
【0029】
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
【0030】
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、いずれもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0031】
更に、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、いずれもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してマスタシリンダユニット27のリザーバ34に接続されている。
【0032】
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第2流路45aと、個別流路43および44と接続される第1流路45bとに区分けされている。第2流路45aは、個別流路41および42を介して前輪側のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第1流路45bは、個別流路43および44を介して後輪側のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。
【0033】
分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45bと第2流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0034】
また、液圧アクチュエータ40においては、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。より詳細には、マスタ流路61は、主流路45の第2流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第1流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
【0035】
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第2流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0036】
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0037】
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
【0038】
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第1流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0039】
液圧アクチュエータ40には、マスタ流路61およびレギュレータ流路62に加えて、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第1流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。
【0040】
アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第1流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、いずれもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
【0041】
増圧リニア制御弁66は、各車輪に対応して複数設けられた各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧用制御弁として設けられている。また、減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧用制御弁として設けられている。つまり、本実施の形態においては、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。このように増圧リニア制御弁66等を各ホイールシリンダ23に対して共通化すれば、ホイールシリンダ23ごとにリニア制御弁を設けるのと比べて、コストの観点からは好ましい。
【0042】
なお、ここで、増圧リニア制御弁66の出入口間の差圧は、アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力と主流路45におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応し、減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧は、主流路45におけるブレーキフルードの圧力とリザーバ34におけるブレーキフルードの圧力との差圧に対応する。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力に応じた電磁駆動力をF1とし、スプリングの付勢力をF2とし、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧に応じた差圧作用力をF3とすると、F1+F3=F2という関係が成立する。したがって、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67のリニアソレノイドへの供給電力を連続的に制御することにより、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の出入口間の差圧を制御することができる。
【0043】
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、本実施の形態における制御部としてのブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。
【0044】
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72、および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第2流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。
【0045】
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45bと第2流路45aとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すとともに減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されているとともに、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。更に、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45bと第2流路45aとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
【0046】
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に所定量ずつ格納保持される。なお、ストロークセンサ25以外のブレーキ操作状態検出手段をストロークセンサ25に加えて、あるいは、ストロークセンサ25に代えて設け、ブレーキECU70に接続してもよい。ブレーキ操作状態検出手段としては、例えば、ブレーキペダル24の操作力を検出するペダル踏力センサや、ブレーキペダル24が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチなどがある。
【0047】
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
【0048】
その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。本実施の形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤによる制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。
【0049】
このとき、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65及びマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。
【0050】
なお、本実施の形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。ブレーキ回生協調制御を実行しているか否かにかかわらず、ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御する制御モードを以下では適宜「リニア制御モード」と称する。あるいは、ブレーキバイワイヤによる制御と呼ぶ場合もある。
【0051】
例えば、各車輪の路面に対する滑りを抑制して車両の挙動を安定化させるための、いわゆるVSC(Vehicle Stability Control)制御やTRC(Traction Control)制御などはリニア制御モードにおいて実行される。VSC制御は、車両の旋回時における車輪の横滑りを抑制するための制御である。TRC制御は、車両の発進時や加速時に駆動輪の空転を抑制するための制御である。また、緊急ブレーキ時に運転者によるペダル踏力を補完して制動力を高めるブレーキアシスト制御もリニア制御モードにおいて実行され得る。
【0052】
リニア制御モードにおいて要求制動力を液圧制動力のみにより発生させる場合には、通常、ブレーキ操作量に基づいて求められる液圧をホイールシリンダ23の目標液圧として液圧制御を行う。また、レギュレータ圧あるいはマスタシリンダ圧をホイールシリンダ23の目標液圧として液圧制御することも可能である。この場合は、必ずしもホイールシリンダ圧制御系統によってホイールシリンダ23に作動液を供給しなくてもよい。運転者によるブレーキペダルの操作に応じて加圧されたマスタシリンダ圧あるいはレギュレータ圧をホイールシリンダ23にそのまま導入すれば自然に要求制動力を発生させることができるからである。
【0053】
このため、本実施形態に係るブレーキ制御装置20では、例えば停車中のように回生制動力を使用しないときに、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23に作動液を供給する。レギュレータ33から各ホイールシリンダ23に作動液を供給する制御モードを以下では「レギュレータモード」と称する。つまりブレーキECU70は、停車中において、リニア制御モードからレギュレータモードに制御モードを切り替えて制動力を発生させる。
【0054】
レギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65および分離弁60を開弁し、マスタカット弁64を閉弁する。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。シミュレータカット弁68は開弁される。その結果、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23に作動液が供給されることとなり、レギュレータ圧によって各車輪に制動力が付与される。レギュレータ33には動力液圧源30が高圧側として接続されているので、制動力の発生に動力液圧源30における蓄圧を活用することができるという点で好ましい。
【0055】
このようにレギュレータモードにおいては、ブレーキECU70は、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67への制御電流の供給を停止して閉弁し、両リニア制御弁を休止させている。このため、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の動作頻度を低減させることが可能となり、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67を長期間にわたって使用することができるようになる。すなわち、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の耐用期間を向上させることができる。
【0056】
また、リニア制御モードでの制御中に、例えば故障等の異常の発生によりホイールシリンダ圧が目標液圧から乖離してしまう場合がある。ブレーキECU70は、例えば制御圧センサ73の測定値に基づいてホイールシリンダ圧の応答異常の有無を周期的に判定している。ホイールシリンダ圧の制御応答に異常があると判定された場合には、ブレーキECU70は、リニア制御モードを中止してマニュアルブレーキモードに制御モードを切り替える。マニュアルブレーキモードにおいては、運転者のブレーキペダル24への入力が液圧に変換されて機械的にホイールシリンダ23に伝達され、車輪に制動力が付与される。マニュアルブレーキモードは、フェイルセーフの観点からリニア制御モードのバックアップ用の制御モードとしての役割を有する。
【0057】
ブレーキECU70は、液圧源からホイールシリンダ23への供給経路を異ならせることによりマニュアルブレーキモードとして複数のモードから選択することができる。本実施形態では、一例として非制御モードへの移行を説明する。非制御モードにおいては、ブレーキECU70は、すべての電磁制御弁への制御電流の供給を停止する。よって、常開型のマスタカット弁64及びレギュレータカット弁65は開弁され、常閉型の分離弁60及びシミュレータカット弁68は閉弁される。増圧リニア制御弁66及び減圧リニア制御弁67は、制御が停止され閉弁される。
【0058】
その結果、ブレーキフルードの供給経路はマスタシリンダ側とレギュレータ側との2系統に分離される。マスタシリンダ圧が前輪側のホイールシリンダ23FR及び23FLへと伝達され、レギュレータ圧が後輪側のホイールシリンダ23RR及び23RLへと伝達される。マスタシリンダ32からの作動流体の送出先は、ストロークシミュレータ69から前輪側のホイールシリンダ23FR及び23FLに切り替えられる。非制御モードによれば、制御系の異常により電磁制御弁への通電がない場合であっても制動力を発生させることができるので、フェイルセーフの観点から好ましい。なお本実施形態においては、レギュレータ33側の供給経路が第1供給経路に、マスタシリンダ32側の供給経路が第2供給経路に相当する。
【0059】
ところで、前述のレギュレータモードにおける制動制御中に、開閉弁特にレギュレータカット弁65の出入口間の差圧が所定圧を超えるような状況になると、開弁指令に抗して差圧の作用によりレギュレータカット弁65が自閉してしまい、当該開閉弁下流のホイールシリンダ23に高圧が封じ込められてしまう可能性がある。この所定圧を以下では適宜、自閉解除圧と呼ぶことにする。ホイールシリンダ圧の封じ込めが生じると、対応する車輪に制動終了後に引き摺りを発生させてしまうことになる。本実施の形態においてはブレーキECU70がレギュレータカット弁65への通電を停止することがレギュレータカット弁65への開弁指令に相当する。
【0060】
このように、レギュレータカット弁65のような常開型の電磁制御弁においては、オフ状態つまり開弁状態において制御弁を閉弁する方向に出入口間に自閉解除圧を超える液圧が作用していると、開弁指令に応じて通電が停止されても開弁状態に復帰することができない。自閉解除圧は制御弁内蔵の戻しスプリングの開弁力により開弁状態に復帰可能となる出入口間の差圧の最大値であるからである。なお本実施の形態においては上流側のレギュレータ33よりも下流側のホイールシリンダ23の方が高圧となった場合に弁を閉弁する方向に制御弁出入口間に差圧が作用するようにレギュレータカット弁65は取り付けられている。この方向を以下では適宜、自閉方向と称する場合がある。
【0061】
以下では、上述のレギュレータモードにおいて、レギュレータカット弁65の自閉を抑制する制御について説明する。はじめに、レギュレータモード時のレギュレータカット弁の自閉現象について説明する。
【0062】
図2は、レギュレータカット弁が自閉した場合の液圧の変化を模式的に示す図である。図2に示すように、レギュレータモード時にブレーキペダル24が踏み込まれ制動力が発生している状態では、レギュレータ圧センサ71で検出したレギュレータカット弁65の上流側の圧力Pregと、制御圧センサ73で検出した各ホイールシリンダ23の圧力Pfrとはほぼ同じである。
【0063】
この状態でブレーキペダル24の踏み込みを解除し、ペダルを急激に戻すと、レギュレータカット弁65の圧力Pregは急激に低下する。しかしながら、レギュレータカット弁65と各ホイールシリンダ23との間の第1流路45bや第2流路45aに存在するブレーキフルードは、レギュレータカット弁65を通過してレギュレータ配管38へ戻ることになる。そのため、各ホイールシリンダ23の圧力Pfrの低下は圧力Pregの低下と比べて緩やかとなり、レギュレータカット弁65の出入口間に差圧が発生する。この差圧によりレギュレータカット弁65が自閉すると、それ以上第1流路45bや第2流路45aのブレーキフルードがレギュレータ配管38に逆流しないため、圧力Pfrは一定となり、ホイールシリンダ圧の封じ込めが発生する。
【0064】
一方、レギュレータカット弁65が自閉しない場合、その後も第1流路45bや第2流路45aに存在するブレーキフルードは、レギュレータカット弁65を通過してレギュレータ配管38へ戻るため、圧力Pfrは、圧力Pregの低下に追従しながら、最終的には圧力Pregとほぼ等しい値まで低下する。したがって、ホイールシリンダ圧の封じ込めは発生しない。
【0065】
本実施の形態に係るブレーキ制御装置20は、収容されたブレーキフルードを運転者によるブレーキペダル24の操作量に応じて加圧するマスタシリンダユニット27と、ブレーキフルードの供給を受けて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダ23RR,23RL,23FR,23FLのうちホイールシリンダ23RR,23RLにブレーキフルードを供給するレギュレータ流路62および第1流路45bと、ホイールシリンダ23FR,23FLにブレーキフルードを供給するマスタ流路61および第2流路45aと、第1流路45bに接続され、運転者のブレーキ操作から独立して複数のホイールシリンダの作動流体圧を共通に制御し得るホイールシリンダ圧制御系統と、レギュレータ配管38と第1流路45bとを結ぶ経路上に設けられ、開弁中に出入口間の差圧が所定圧を超えた場合にその差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となるレギュレータカット弁65と、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定するブレーキECU70と、を備える。
【0066】
ブレーキECU70は、マスタシリンダユニット27からレギュレータ配管38および第1流路45bを介して複数のホイールシリンダ23RR,23RL,23FR,23FLにブレーキフルードが供給されている状態で、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される場合、レギュレータカット弁65が閉弁しないように各ホイールシリンダ23からレギュレータカット弁65への作動流体の流入を制御する。
【0067】
図3は、開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定する処理の実行手順の一例を示すフローチャートである。この判定処理は、レギュレータモード移行後に定期的に繰り返され、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65の状態を監視し、開閉状態の取得や予測を行う。
【0068】
ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の最新の検出値とストロークセンサ25の検出値との双方を利用して目標減速度G1を算出する(S10)。なお、ブレーキECU70は、レギュレータ圧センサ71の検出値のみを利用した目標減速度を算出してもよい。また、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25の検出値のみを利用した目標減速度を算出してもよい。ブレーキECU70は、算出した2つの目標減速度を利用して、1つの統合的な目標減速度G1を算出する。このような目標減速度の算出方法は公知であることから、詳細な説明は省略する。
【0069】
次に、ブレーキECU70は、算出した目標減速度G1を前回の処理で算出された目標減速度G2と比較し目標減速度が減少しているか否かを判定する(S12)。目標減速度が減少していない場合(S12のNo)、ホイールシリンダ23の減圧が生じる可能性は低く、差圧によりレギュレータカット弁65が自閉する可能性は低いため、この処理を一旦終了する。一方、目標減速度が減少している場合(S12のYes)、それまでの制動力が必要ないため、制動力を少なくするためにホイールシリンダ23の圧力を低下させる必要がある。そのため、差圧により開弁指令に抗してレギュレータカット弁65が閉弁状態となる状況の可能性がある。
【0070】
そこで、より判定精度を向上するために、ブレーキECU70は、制御圧センサ73から取得した圧力Pfrとレギュレータ圧センサ71から取得した圧力Pregとの差Pfr−Pregがレギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される所定値A2を超えているか否かを判定する(S14)。ここで、所定値A2は、例えば自閉解除圧を参考に設定されている。これは、差圧が所定値より大きい場合にレギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるからである。したがってPfr−Preg≦A2(S14のNo)の場合、例えば、ブレーキペダル24を戻す速さが緩やかであり、圧力Pregの変化に圧力Pfrの変化が十分追随する場合、差圧によりレギュレータカット弁65が自閉する可能性は低いため、ブレーキECU70は、この処理を一旦終了する。一方、Pfr−Preg>A2の場合(S14のYes)、大きな差圧により開弁指令に抗してレギュレータカット弁65が閉弁状態となる状況の可能性がある。
【0071】
そこで、より判定精度を向上するために、ブレーキECU70は、制御圧センサ73から取得した圧力Pfrがレギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる値A3や自閉解除圧を超えているか否かを判定する(S16)。通常、レギュレータモード時において、レギュレータカット弁65の出入口間に生じる差圧は、制御圧センサ73による検出圧より大きくならない。これは、レギュレータカット弁65のマスタシリンダユニット27側の圧力が少なくとも負圧にはならないためである。したがって、Pfr≦A3(S16のNo)の場合、差圧によりレギュレータカット弁65が自閉する可能性は低いため、ブレーキECU70は、この処理を一旦終了する。一方、Pfr>A3(S16のYes)の場合、ブレーキECU70は、大きな差圧により開弁指令に抗してレギュレータカット弁65が閉弁状態となる状況が想定されると判定し、後述する自閉抑制処理(S18)へ移行する。
【0072】
図3に示した処理では、レギュレータカット弁65が自閉する可能性のある条件が複数判定されているため、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が精度よく判定される。なお、ブレーキECU70は、ステップS12、S14、S16の少なくとも一つの条件を満たしたときに、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されると判定してもよい。これにより、自閉現象を確実に防止することができる。
【0073】
次に、自閉抑制処理について詳述する。本発明者らは、前述の方法でレギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況と判定された場合の処理について鋭意検討した結果、ホイールシリンダ23からレギュレータカット弁65へのブレーキフルードの流入をブレーキECU70により制御することに想到した。つまり、ブレーキ制御装置20は、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が前もって判定されるので、予めレギュレータカット弁65が閉弁しないようにホイールシリンダ23からレギュレータカット弁65へのブレーキフルードの流入を制御できる。そのため、レギュレータカット弁65が差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となることが前もって抑制される。その結果、ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生が抑制され、車輪の引き摺りが防止される。
【0074】
前述のように、踏み込んだブレーキペダル24を戻すと、レギュレータカット弁65のレギュレータ流路62側の圧力が低下するため、差圧によりブレーキフルードがレギュレータカット弁65を通過してレギュレータ流路62側へ流れることになる。しかしながら、差圧が大きいと、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態になる可能性がある。
【0075】
本実施の形態に係るブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23のブレーキフルードを第1流路45bから排出すべきときに開弁される減圧リニア制御弁67を更に備えている。ブレーキECU70は、図3のステップS18における自閉抑制処理が開始すると、減圧リニア制御弁67を開弁制御する。これにより、ブレーキフルードがレギュレータカット弁65を介さずにリザーバ34に戻され、レギュレータカット弁65のホイールシリンダ側の圧力が減圧される。このように、レギュレータカット弁65ではなく他の制御弁からブレーキフルードを第1流路45bの外へ排出することで、レギュレータカット弁65のホイールシリンダ側の圧力が減圧され、差圧が解消されることになる。
【0076】
なお、減圧リニア制御弁67は、弁の開度により流量を制御するリニア電磁制御弁である。そのため、弁の開度を制御することで流量を連続的に変化させることが可能であり、より精度の高い減圧処理が可能となる。
【0077】
例えば、レギュレータカット弁65のホイールシリンダ23側の圧力をPfr[MPa]、レギュレータカット弁65のマスタシリンダユニット27側の圧力をPreg[MPa]、レギュレータカット弁65が開弁指令に抗して閉弁状態となる自閉解除圧をX[MPa]とすると、ブレーキECU70は、Pfr=Preg+A1(ただしA1<X)を目標液圧として減圧リニア制御弁67への通電を制御できる。これにより、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合であっても、実際にはレギュレータカット弁65が自閉するほどの差圧が生じないときには減圧リニア制御弁67からブレーキフルードが流出せず、不必要な減圧処理が抑制される。
【0078】
レギュレータカット弁65のホイールシリンダ側の圧力を低下させるためのブレーキフルードの排出には、前述の減圧リニア制御弁67の代わりにABS減圧弁56(57,58,59)を用いてもよい。ABS減圧弁56(57,58,59)は、各ホイールシリンダ23とリザーバ34との間の減圧用流路46(47,48,49)に設けられている。
【0079】
また、レギュレータカット弁65のホイールシリンダ側の圧力を低下させるためのブレーキフルードの排出には、前述の減圧リニア制御弁67の代わりにマスタカット弁64を用いてもよい。
【0080】
ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、減圧リニア制御弁67、ABS減圧弁56(57,58,59)マスタカット弁64のいずれか、または複数組み合わせて開弁制御してもよい。
【0081】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、レギュレータカット弁65のホイールシリンダ側のブレーキフルードをレギュレータカット弁65を介さずにリザーバに戻すことで、レギュレータカット弁65の出入口間の差圧を減少させ、差圧によるレギュレータカット弁65の自閉を抑制している。
【0082】
これに対して、本実施の形態に係るブレーキ制御装置は、ホイールシリンダの減圧時にレギュレータカット弁65に流入するブレーキフルードの量を調整することで、レギュレータカット弁65の自閉を抑制している。
【0083】
本実施の形態に係るブレーキ制御装置20は、図1に示すように、複数のホイールシリンダ23とレギュレータカット弁65との間のブレーキフルードの流れを制御する複数のABS保持弁51,52,53,54を更に備えている。ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、複数のホイールシリンダ23の減圧方法を正常時の減圧方法から変更する。これにより、複数のホイールシリンダ23からレギュレータカット弁65に逆流するブレーキフルードの量を制御し、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況を解消することができる。
【0084】
変更する減圧方法として、ブレーキECU70は、複数のホイールシリンダ23のうち圧力の低いホイールシリンダから流入するブレーキフルードの流れを減少させるようにABS保持弁51,52,53,54、分離弁60を選択的に閉弁制御する。これにより、レギュレータカット弁65に流入する作動流体の量を減少させることができ、レギュレータカット弁65の自閉が抑制される。
【0085】
より好ましくは、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合に、前輪のホイールシリンダ23FR,23FLの圧力が後輪のホイールシリンダ23RR,23RLの圧力より高いとき、ブレーキECU70は、ABS保持弁53,54を閉弁制御し、前輪のホイールシリンダ23FR,23FLのブレーキフルードを優先的にレギュレータカット弁65に流入させる。
【0086】
また、レギュレータカット弁65が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合に、後輪のホイールシリンダ23RR,23RLの圧力が前輪のホイールシリンダ23FR,23FLの圧力より高いとき、ブレーキECU70は、ABS保持弁51,52、分離弁60を閉弁制御し、後輪のホイールシリンダ23RR,23RLのブレーキフルードを優先的にレギュレータカット弁65に流入させる。
【0087】
このように、複数のホイールシリンダのうち圧力の低いホイールシリンダから流入する作動流体の流れを減少させることで、複数のホイールシリンダのうち圧力の高いホイールシリンダの減圧が優先されるため、車輪の引き摺りが生じやすい圧力の高いホイールシリンダが速やかに減圧される。
【0088】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0089】
レギュレータ33は、レギュレータモード時において、アキュムレータ35を高圧源として、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。換言すれば、レギュレータ33は、アキュムレータ35の圧力より高い液圧を発生することが困難である。したがって、レギュレータモード時において、レギュレータカット弁65において自閉解除圧を超える差圧が発生しないように、アキュムレータ35の圧力を制御してもよい。例えば、ブレーキECU70は、レギュレータモード時に移行した後に、アキュムレータ35の圧力が自閉解除圧より低い値になるように、動力液圧源30を制御する。これにより、レギュレータモード時にレギュレータカット弁65の自閉現象がそもそも発生しない状況になり、ホイールシリンダ圧の封じ込めの発生がより確実に抑制される。
【符号の説明】
【0090】
20 ブレーキ制御装置、 22 ブレーキディスク、 23 ホイールシリンダ、 24 ブレーキペダル、 25 ストロークセンサ、 27 マスタシリンダユニット、 30 動力液圧源、 31 液圧ブースタ、 32 マスタシリンダ、 33 レギュレータ、 34 リザーバ、 35 アキュムレータ、 37 マスタ配管、 38 レギュレータ配管、 39 アキュムレータ配管、 40 液圧アクチュエータ、 45a 第2流路、 45b 第1流路、 46 減圧用流路、 51 ABS保持弁、 56 ABS減圧弁、 60 分離弁、 61 マスタ流路、 62 レギュレータ流路、 64 マスタカット弁、 65 レギュレータカット弁、 66 増圧リニア制御弁、 67 減圧リニア制御弁、 70 ブレーキECU、 71 レギュレータ圧センサ、 72 アキュムレータ圧センサ、 73 制御圧センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容された作動流体を運転者によるブレーキ操作部材の操作量に応じて加圧するマニュアル液圧源と、
作動流体の供給を受けて複数の車輪のそれぞれに制動力を付与する複数のホイールシリンダの少なくとも1つに作動流体を供給する第1供給経路と、
前記複数のホイールシリンダの残りに作動流体を供給する第2供給経路と、
前記第1供給経路に接続され、運転者のブレーキ操作から独立して前記複数のホイールシリンダの作動流体圧を共通に制御し得るホイールシリンダ圧制御系統と、
前記第1供給経路上に設けられ、開弁中に出入口間の差圧が所定圧を超えた場合に当該差圧の作用により開弁指令に抗して閉弁状態となる開閉弁と、
前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されるか否かを判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記マニュアル液圧源から前記第1供給経路を介して前記ホイールシリンダに作動流体が供給されている状態で、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記開閉弁が閉弁しないように前記ホイールシリンダから該開閉弁への作動流体の流入を制御することを特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
前記ホイールシリンダの作動流体を前記第1供給経路から排出すべきときに開弁される制御弁を更に備え、
前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記制御弁を制御することにより前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力を減圧することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項3】
前記制御弁は、前記第1供給経路と作動流体を貯留するリザーバとの間に設けられ、前記ホイールシリンダ圧制御系統を構成するとともに、弁の開度により流量を制御するリニア電磁制御弁であることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項4】
前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力をP1[MPa]、前記開閉弁のマニュアル液圧源側の圧力をP2[MPa]、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる前記所定圧をX[MPa]とすると、前記制御部は、P1=P2+A1(ただしA1<X)を目標液圧として前記リニア電磁制御弁への通電を制御することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御装置。
【請求項5】
前記制御弁は、前記ホイールシリンダと作動流体を貯留するリザーバとの間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項6】
前記制御弁は、前記第2供給経路上に設けられ、前記マニュアル液圧源から前記第1供給経路を介して前記ホイールシリンダに作動流体が正常に供給されている状態では閉弁されており、
前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記制御弁を開弁制御することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ制御装置。
【請求項7】
前記複数のホイールシリンダと前記開閉弁との間の作動流体の流れを制御する複数の制御弁を更に備え、
前記制御部は、前記開閉弁が開弁指令に対して閉弁状態となる状況が想定される場合、前記複数のホイールシリンダの減圧方法を正常時の減圧方法から変更することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数のホイールシリンダのうち圧力の低いホイールシリンダから流入する作動流体の流れを減少させるように前記複数の制御弁を制御することを特徴とする請求項7に記載のブレーキ制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、取得した情報から算出された目標減速度が減少していること、取得した情報から算出された前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力とマニュアル液圧源側の圧力との差が前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定される第1の所定値を超えていること、取得した情報から算出された前記開閉弁のホイールシリンダ側の圧力が前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる前記所定圧を超えていること、の少なくとも一つの条件が成立したときに、前記開閉弁が開弁指令に抗して閉弁状態となる状況が想定されると判定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−255864(P2011−255864A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134290(P2010−134290)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】