ブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカート
【課題】制動をかける車輪の余計な摩耗を避けると共に外観を良好にすることを可能とする。
【解決手段】ハンドル2とブレーキレバー11とを含むブレーキ操作部10を上端に有する支柱3の下端に取り付けられている車輪4に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱3の内部に設けられてブレーキ操作部10でのブレーキ操作が伝達される部材31,32等と、当該ブレーキ操作が伝達される部材31,32等と連係して動作するブレーキアーム54とを有し、当該ブレーキアーム54に取り付けられたブレーキパッド54cが車輪4のホイール8のドラム8aの外周面に押し当てられて車輪4に制動をかけるするようにした。
【解決手段】ハンドル2とブレーキレバー11とを含むブレーキ操作部10を上端に有する支柱3の下端に取り付けられている車輪4に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱3の内部に設けられてブレーキ操作部10でのブレーキ操作が伝達される部材31,32等と、当該ブレーキ操作が伝達される部材31,32等と連係して動作するブレーキアーム54とを有し、当該ブレーキアーム54に取り付けられたブレーキパッド54cが車輪4のホイール8のドラム8aの外周面に押し当てられて車輪4に制動をかけるするようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば酸素ボンベや点滴等の医療器具・医療材用キャリーカート等の種々のキャリーカート、或いは、歩行補助車や歩行車のブレーキ機構に適用して好適なブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助車に適用される従来のブレーキ機構としては、例えば、図17A及び図17Bに示すように、車輪間の車軸110を介して後フレーム108下端に取り付けられている対向配置された左右一対の後輪109,109に対するブレーキ機構の構造であって、中間部の揺動軸102を介して後フレーム108の後輪109上方位置に取り付けられたスイングアーム101と、当該スイングアーム101の後端側の下面に取り付けられて左右一対の後輪109,109上方に張り出したブレーキパッド103と、前フレーム107上端のグリップ106の下方に揺動可能に取り付けられたブレーキレバー105と、上端がブレーキレバー105に接続すると共に下端がスイングアーム101の前端部に接続するブレーキワイヤー104とを有し、グリップ106とブレーキレバー105とを握ってブレーキレバー105を揺動操作してワイヤー104を引き上げることによって前端部を引き上げてスイングアーム101を揺動させ、当該スイングアーム101の後端側の下面に取り付けられたブレーキパッド103を後輪109,109の接地面(言い換えると、外周面)に押し当て、ブレーキパッド103と車輪の接地面との摩擦によって後輪109,109に制動をかけるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−168414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、ブレーキパッド103を後輪109,109の接地面に押し当てて両者の摩擦によって後輪109,109に制動をかけるようにしており、すなわち、車輪のうち地面に接地し摩耗の激しい部分にブレーキパッドを押し当てて摩擦を利用して車輪に制動をかけるようにしているので、車輪の摩耗を促進することになってしまい、車輪の寿命を縮めてしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、摩耗によって車輪の接地面がすり減って滑らかになるとブレーキパッド103と後輪109の接地面との摩擦が小さくなって車輪制動がかかり難くなってしまい、安全性が高いとは言い難い。
【0006】
また、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、車輪の接地面(即ち外周面)にスイングアーム101を介してブレーキパッド103を押し当てる構造であるのでスイングアーム101及びブレーキパッド103が露出しており、外観が良好であるとは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、制動をかける車輪の余計な摩耗を避けると共に外観を良好にすることができるブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のブレーキ構造は、ハンドルとブレーキレバーとを含むブレーキ操作部を上端に有する支柱の下端に取り付けられている車輪に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱の内部に設けられてブレーキ操作部でのブレーキ操作が伝達される部材と、当該ブレーキ操作が伝達される部材と連係して動作するブレーキアームとを有し、当該ブレーキアームに取り付けられたブレーキパッドが車輪のホイールのドラムの外周面に押し当てられて車輪に制動をかけるようにしている。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキパッドがブレーキアームの上面に取り付けられ、ブレーキ操作部でのブレーキ操作によりブレーキ操作が伝達される部材が引き上げられることによってブレーキアームが引き上げられ、ブレーキパッドがホイールのドラムの下側外周面に押し当てられるようにしている。
【0010】
また、請求項6記載のキャリーカートは、請求項1に記載のブレーキ構造を組み込むようにしている。
【0011】
したがって、これらのブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートによると、車輪の接地面にブレーキパッドが押し当てられるのではなく、車輪のホイールのドラムにブレーキパッドが押し当てられることにより、車輪に制動がかけられる。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキパッドが樹脂で形成されるようにしている。この場合には、ブレーキパッドとホイールのドラムとの間で適切な摩擦力が発揮される。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキ操作が伝達される部材とブレーキアームとの連結部にブレーキ操作が伝達される部材に対するブレーキアームの位置を調整する機構を更に備えるようにしている。この場合には、ブレーキ操作が伝達される部材に対するブレーキアームの位置を調整することによってホイールのドラムとブレーキアームとの間隔が調整される。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、支柱が内側パイプ及び当該内側パイプが摺動可能に挿入される外側パイプとから構成されると共にブレーキ操作が伝達される部材がブレーキ操作部側の第一伝達部材と車輪側の第二伝達部材とを有し、内側パイプが外側パイプに出し入れされることによる支柱の全体の長さの変化に合わせて第一伝達部材と第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定することにより、支柱の長さが変化したときでもブレーキ操作部でのブレーキ操作が第一伝達部材及び第二伝達部材を介してブレーキアームに伝達されるようにしている。この場合には、支柱全体の長さが調整されてハンドルの高さが調整されると共にハンドルの高さが変化した場合でもブレーキ操作の伝達が確実に行われる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,請求項2,請求項6記載のブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートによれば、車輪のホイールのドラムにブレーキパッドが押し当てられることによって車輪に制動がかけられるようにしているので、ブレーキ操作による車輪の摩耗が避けられ、車輪の寿命が縮まることを避けることができると共に車輪に制動を確実にかけて安全性の向上を図ることが可能になる。しかも、ブレーキアーム及びブレーキパッドを車輪のホイールの内側に配置することができるので、外観を良好にすることが可能になる。
【0016】
請求項3記載のブレーキ構造によれば、さらに、ホイールのドラムとブレーキアームとの間隔を調整することができるので、ブレーキ操作がされてないときにはブレーキパッドがホイールのドラムから完全に離れるようにすると共にブレーキレバーに対する適度な操作量によって車輪に制動をかけるようにすることを可能にしてブレーキ操作の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0017】
請求項4記載のブレーキ構造によれば、さらに、ブレーキパッドとホイールのドラムとの間で適切な摩擦力を発揮させることができるので、安全性のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0018】
請求項5記載のブレーキ構造によれば、さらに、ハンドルの高さの調整を可能にしつつブレーキ操作が伝達されるようにすることができるので、使用者の利便性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・四輪形態)を示す前方斜視図である。
【図1B】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・四輪形態)を示す後方斜視図である。
【図2】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最下位状態・四輪形態)を示す前方斜視図である。
【図3】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・二輪形態)を示す前方斜視図である。
【図4】実施形態のブレーキ機構の全体構成を説明する概略構造図である。(A)は左から見た縦断面図である。(B)は後ろから見た縦断面図である。
【図5A】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキレバーが操作されていない状態)を説明する左から見た縦断面図である。
【図5B】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキを作動させるためにブレーキレバーが操作されている状態)を説明する左から見た縦断面図である。
【図6】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキレバーが操作されていない状態)を説明する後ろから見た縦断面図である。
【図7】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造を説明する分解斜視図である。
【図8】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造を説明する分解斜視図である。
【図9】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(操作ボタンが操作されていない状態)を説明する横断面図である。
【図10】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(操作ボタンが操作されていない状態)を説明する縦断面図である。
【図11】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(支柱を伸縮させるために操作ボタンが操作されている状態)を説明する縦断面図である。
【図12】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する分解斜視図である。
【図13】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は図15(A)のI−I線における縦断面図である。(B)は図15(A)のII−II線における縦断面図である。
【図14】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は図15(A)のIII−III線における縦断面図である。(B)は図15(A)のIV−IV線における縦断面図である。
【図15】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は外側パイプの前側の周壁を取り除いた正面図である。(B)は図14(B)のV−V線における縦断面図である。
【図16】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する底面図である。
【図17A】歩行補助車のブレーキ機構に適用されている従来のブレーキ構造を示す側面図である。
【図17B】歩行補助車のブレーキ機構に適用されている従来のブレーキ構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から図16に、本発明のブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートの実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明のブレーキ構造を図1〜図3に示す酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構に適用する場合を例に挙げて説明する。なお、本明細書においては、ハンドル2を掴んで酸素ボンベ用キャリーカート1を使用している人を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0022】
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、ハンドル2と、当該ハンドル2が上端に取り付けられている支柱3と、前輪4及び後輪5が取り付けられていると共に支柱3の下端寄りの位置に対向配置されて取り付けられた左右一対のベースプレート6,6とを備える。そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、ベースプレート6,6が支柱3に対して揺動可能であり、四輪形態(図1A,図1B,図2)と二輪形態(図3)とをとることができる。本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、さらに、ハンドル2が上端に取り付けられている内側パイプ3Aと当該内側パイプ3Aが摺動可能に挿入される外側パイプ3Bとによって支柱3が構成され、内側パイプ3Aが外側パイプ3B内に引き込まれたり外側パイプ3B内から引き出されたりすることによってハンドル2の高さが調整される(ハンドル最上位状態:図1A,図1B,図3、ハンドル最下位状態:図2)。なお、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1では、外側パイプ3Bの前面に取り付けられたかご9に濃縮酸素ボンベが入れられる。
【0023】
そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構は大きくは、図4に示すように、ハンドル2側の操作部10と、支柱3の外側パイプ3B上端部分の伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部30と、前輪4側の車輪制動部50とからなる。なお、図4の(A)においては後輪5及びベースプレート6の図示を省略し、(B)においては後輪5及びベースプレート6の後輪5側の部分の図示を省略している。
【0024】
(1)操作部
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、まず、ハンドル2側の操作部10について説明する。
【0025】
操作部10は、図5及び図6に示すように、ハンドル2と、ブレーキレバー11と、ハンドル2内に設けられるブレーキブロック12と、ブレーキレバー11と連結すると共にブレーキブロック12に揺動可能に支持される第一リンク13と、当該第一リンク13と連結する第二リンク14とを有する。
【0026】
ハンドル2は、筒状の支持部2aと、当該支持部2aの上端に形成されたグリップ2bとからなる。支持部2aの前側周壁の上端(即ち、グリップ2bの下方)にはスリット2cが形成される。また、グリップ2bは、支持部2a上端から前方に張り出す環状に形成される。なお、本実施形態では、ハンドル2の上側部分(具体的には、グリップ2bの上半分と筒状の支持部2aの蓋に該当する部分)は別部材になっており、この上側部分を取り外した状態でハンドル2や支柱3内に収容する部材の取り付けや組み立てが行われる。
【0027】
支持部2aの下側大凡半分は、上側部分よりも外径が小さく形成されると共に内側パイプ3Aの上端部分に差し込まれる。また、内側パイプ3A上端の外周に筒状のハンドルケース7が取り付けられる。そして、ハンドルケース7,内側パイプ3A,支持部2aのそれぞれの左側周壁を貫通する二本のボルト7a,7aが挿入されて相互に固定されることにより、ハンドル2が内側パイプ3Aの上端に固定される。
【0028】
ブレーキレバー11は、ハンドル2のグリップ2bの下方に配置される環状の握り部11aと、当該握り部11aの後端中央から後方に延出してハンドル2の支持部2a前側周壁のスリット2cから支持部2a内に進入する揺動支軸11bとからなる。
【0029】
ブレーキブロック12は、ハンドル2の支持部2a内の後端寄り上端部に取り付けられる。具体的には、支持部2aの左右両側周壁の内周面に上下方向の溝が形成され、当該溝にブレーキブロック12の左右両端部分が差し込まれることによってブレーキブロック12が支持部2a内に取り付けられる。ブレーキブロック12は、基部12aと、当該基部12aの左右両端部それぞれから上方に向けて延出して対向する側壁12b,12bとからなる(言い換えると、正面視U字形に形成され配置される)。各側壁12b,12bには貫通孔12cが形成される。
【0030】
第一リンク13は、く字形の板状に形成され、く字形の屈曲部13aを前方(即ちブレーキレバー11側)に向けスリット2cの位置に合わせて立てられた状態でハンドル2の支持部2a内に設けられる。
【0031】
そして、第一リンク13の屈曲部13aとブレーキレバー11の揺動支軸11bの後端部とが連結され固定される。本実施形態では、両者は二本のボルトによって固定される。
【0032】
第一リンク13の上端部(具体的には、屈曲部13aから後方斜め上方に延出する端部)の左右の側面それぞれには円柱形状の係合凸部13b,13bが設けられ、当該係合凸部13bがブレーキブロック12の貫通孔12cに摺動可能に嵌め込まれる。これにより、第一リンク13は、ブレーキブロック12を介してハンドル2の支持部2aに対して係合凸部13bを中心として揺動自在に取り付けられる。
【0033】
一方、第一リンク13の下端部(具体的には、屈曲部13aから概ね下方に延出する端部)の右側面には円柱形状の連結凸部13cが設けられる。
【0034】
なお、ブレーキレバー11及び第一リンク13は、ブレーキレバー11の揺動支軸11bがハンドル2の支持部2a前側周壁のスリット2cの下端に当接すると共に、第一リンク13の上端部分がブレーキブロック12の基部12aに当接することにより、ブレーキレバー11の操作がされていないとき(言い換えると、力が加えられていないとき)の下方への揺動が制限されて位置が固定される。
【0035】
第二リンク14は、鈎形の板状に形成され、一方の先端を前方(即ちブレーキレバー11側)に向けると共に他方の先端を下方に向けてハンドル2の支持部2a内に設けられる(図5及び図6に示す例では、厳密には、第二リンク14の下端部分は支持部2aの下端開口から突出している)。
【0036】
第二リンク14の前方を向く端部には、概ね前後水平方向を開口部の長手方向とする貫通長孔14aが形成される。そして、当該貫通長孔14aに第一リンク13下端部の連結凸部13cが摺動可能に嵌められ、これにより、第一リンク13と第二リンク14とは、連結凸部13cと貫通長孔14aとが摺動可能な状態で連結される。
【0037】
一方、第二リンク14の下方を向く端部には第一伝達部材31の上端部が取り付けられる。本実施形態では、第二リンク14下端部の貫通孔14bと第一伝達部材31上端部の貫通孔31aとを貫通する連結ピン14dによって第二リンク14と第一伝達部材31とが連結される。
【0038】
以上の構成を有する操作部10によれば、図5Bに示すように、ハンドル2のグリップ2bとブレーキレバー11の握り部11aとが握り締められると握り部11aが引き上げられ、ブレーキレバー11の揺動支軸11bと連結する第一リンク13が係合凸部13bを中心として揺動する。これにより、第一リンク13の下端部が引き上げられ、当該下端部の連結凸部13cを介して第一リンク13と連結する第二リンク14が引き上げられ、そして、当該第二リンク14の下端部と連結する第一伝達部材31が引き上げられる。すなわち、酸素ボンベ用キャリーカート1の使用者のブレーキ作動の命令であってブレーキレバー11に与えられたブレーキ操作が、操作部10の仕組みによって第一伝達部材31に伝達される。
【0039】
なお、第二リンク14の屈曲部の上端には上下方向の凹部14cが形成されており、当該凹部14cにブレーキピン15が噛み合うようになっている。また、第一リンク13と第二リンク14とを連結させるため、第一リンク13の連結凸部13cを嵌める貫通孔として第二リンク14の前方を向く端部には概ね前後水平方向を長手方向とする貫通長孔14aが形成されている。このように構成することにより、凹部14cとブレーキピン15とによって第二リンク14を上下方向に真っ直ぐに移動させるガイド機能が発揮されると共に、第一リンク13が係合凸部13bを中心として揺動する際には連結凸部13cが貫通長孔14a内を前後に移動しながら上下移動するようになる。すなわち、ブレーキレバー11が操作されることによって第一リンク13が揺動したときに第二リンク14及び第一伝達部材31は上下方向に真っ直ぐに移動する。
【0040】
また、ブレーキピン15はブレーキロックとしても機能する。具体的には、第二リンク14の凹部14cが上側の帯状部分と当該帯状部分の幅よりも径が大きい下側の円弧部分とから構成されると共に、ブレーキピン15の軸が径が小さい細軸部15aと径が大きい太軸部15bとから構成される(図5Bの円内)。そして、ブレーキ操作を繰り返し行う通常の使用の際にはブレーキピン15の細軸部15aが第二リンクの凹部14cと噛み合う位置にブレーキピン15の差し込み位置が調整され、酸素ボンベ用キャリーカート1を例えば駐輪してブレーキをかけたままにする際(図5B)にはブレーキピン15の太軸部15bが第二リンクの凹部14cの下側の円弧部分に嵌る位置にブレーキピン15の差し込み位置が調整される。
【0041】
(2)連結伝達部
次に、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、支柱3の外側パイプ3B上端部分の伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部30について説明する。
【0042】
連結伝達部30は、ハンドル2の高さ調整時には外側パイプ3Bに対して内側パイプ3Aを摺動可能にして出し入れすることによって支柱3全体の長さを変化させてハンドル2の高さを調整すると共に内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係を固定することを可能にし、且つ、支柱3の上端に配置された操作部10のブレーキレバー11の操作によるブレーキ操作を支柱3の下端に配置された車輪制動部50に伝達する操作部10側の第一伝達部材31及び車輪制動部50側の第二伝達部材32について、ハンドル2の高さ調整時には第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係の固定を解除すると共にハンドル2の高さ固定時には第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係を固定して操作部10から第一伝達部材31に伝達されたブレーキ操作を第二伝達部材32に伝達することを可能にするための仕組みである。
【0043】
そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1におけるブレーキ操作の連結伝達部30は、図7から図10に示すように、内側パイプ3Aと当該内側パイプ3Aが摺動可能に挿入される外側パイプ3Bとで構成されて伸縮可能な支柱3と、当該支柱3の上端に配置される操作部10と、下端に配置される車輪制動部50と、支柱3内部に配置されて操作部10と車輪制動部50とを繋いで連係動作可能にする連係機構とを備える伸縮フレームにおいて、操作部10と一体化されて連動する第一伝達部材31と、車輪制動部50と一体化されて連動する第二伝達部材32と、内側パイプ3Aの周壁と外側パイプ3Bの周壁とを貫通してこれらを支柱3の伸縮方向に連結する連結ピン33と、当該連結ピン33を内側パイプ3Aに対して出し入れする方向に動作させる揺動部材34と、連結ピン33を内側パイプ3A側に押すように揺動部材34を常時付勢する付勢部材35と、揺動部材34を揺動させて連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aから引き抜く操作をする操作ボタン39と、第一伝達部材31との係合部36cが形成された一端が付勢部材35によって常時付勢された揺動部材34によって連結ピン33を介して第一伝達部材31に押し付けられていると共に他端側に第二伝達部材32が揺動可能に連結される第二揺動部材36と、第一伝達部材31を上下方向摺動可能に挟持すると共に第二揺動部材36を前後揺動可能に支持するリテーナ部材37と、当該リテーナ部材37に取り付けられて第二揺動部材36の係合部36cが形成された一端を第一伝達部材31から引き離すように第二揺動部材36を常時付勢する第二付勢部材38とを有する。
【0044】
そして、操作ボタン39を押して揺動部材34を揺動させることにより、連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aから引き抜いて支柱3の伸縮(言い換えると、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの摺動)のロック状態が解除されると同時に、第二揺動部材36の係合部36cを第一伝達部材31に押し付ける付勢力が解除されて第二付勢部材38の力で係合部36cを第一伝達部材31から引き離して第一伝達部材31と第二伝達部材32との連結が解除される。
【0045】
支柱3は、二本のパイプを入れ子状に嵌合させてなり、内側パイプ3Aの周壁に複数の貫通孔が軸心方向即ち伸縮方向に並べて設けられると共に外側パイプ3Bの周壁に貫通孔が設けられ、外側パイプ3Bに対する内側パイプ3Aの挿入の程度が調整され上端に取り付けられたハンドル2の高さが合わせられて両パイプ3A,3Bの貫通孔に跨って挿入されるねじ又はピンによって固定されるものである。
【0046】
内側パイプ3Aの周壁には複数の貫通孔40,40,…が軸心方向に一定の間隔で設けられると共に外側パイプ3Bには上端寄りの位置に一つの貫通孔41が設けられる。そして、外側パイプ3Bの貫通孔41を貫通して設けられる連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aの複数の貫通孔40,40,…のうちのいずれかに挿入させることによって支柱3を任意の長さで固定可能としている。本実施形態では、内側パイプ3Aの後側周壁に複数の貫通孔40,40,…が形成されると共に、外側パイプ3Bの後側周壁に貫通孔41が形成される。
【0047】
また、操作部10の第二リンク14に上端部が連結される第一伝達部材31は、細長の板状に形成され、両板面を左右に向けて支柱3内に上下方向に配置される。そして、第一伝達部材31には、上端部に貫通孔31aが形成されると共に、内側パイプ3Aの周壁に設けられている複数の貫通孔40,40,…の間隔と同じ間隔で複数の凹部31b,31b,…が後縁部に形成される。
【0048】
一方、車輪制動部50のアーム取付ブロック52と連動するように当該アーム取付ブロック52に下端部が連結される第二伝達部材32は、前後方向に屈曲する棒状の本体部32aと板状の上端部32bとからなり、支柱3内に上下方向に配置される。なお、第一伝達部材31と第二伝達部材32とは、支柱3内で、ハンドル最上位状態では一部分が重なり、ハンドル最下位状態では大部分が重なる。
【0049】
そして、本実施形態では、外側パイプ3Bの後側周壁外周面の上端部分にカバー42が取り付けられ、当該カバー42内に揺動部材34が配置されると共に、カバー42のうちの外側パイプ3Bの後側周壁と対向する面を貫通して操作ボタン39が配置される。なお、図中の符号46は外側パイプ3Bの上端を覆うカバーである。
【0050】
揺動部材34は、上下中間部の貫通孔34aを左右に貫通する揺動軸45(以下、カバー内揺動軸と呼ぶ)によって前後揺動可能にカバー42に取り付けられる。
【0051】
操作ボタン39は、外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41の位置に合わせられると共に前後方向に操作されるように配置される。また、操作ボタン39のカバー42内の先端が揺動部材34の上端寄りの部分と接し、操作ボタン39が押し込まれた場合に揺動部材34の上部を支柱3側に押す付勢力が与えられる。
【0052】
本実施形態では、付勢部材35として捻りばねが用いられる。捻りばね35はカバー内揺動軸45の周りに巻かれて設けられている。そして、捻りばね35は、カバー42のうちの外側パイプ3Bの後側周壁と対向する面と揺動部材34との間に介在し、揺動部材34の下部を支柱3側に押す付勢力を揺動部材34に常時与える。
【0053】
連結ピン33は、左右方向の貫通孔33aを貫通する連結ピン回転軸43によって揺動部材34の下部(長孔34b)に揺動可能に取り付けられる。そして、連結ピン33は、揺動部材34が揺動することにより、支柱3側に押された場合には外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41と内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40とを貫通し、支柱3から引き離された場合には内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれて外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41のみを貫通する状態になる。
【0054】
上述の構成により、操作ボタン39が操作されていないときは、捻りばね35の働きによって揺動部材34の下部が支柱3側に向けて付勢され、揺動部材34の下部に取り付けられている連結ピン33が外側パイプ3Bの周壁と内側パイプ3Aの周壁とを貫通した状態で安定するので両パイプ3A,3Bが固定された状態が保たれる。
【0055】
一方、操作ボタン39が操作され押し込まれた場合は、操作ボタン39のカバー42内の先端によって揺動部材34の上部が支柱3側に押され、揺動部材34が貫通孔34aを貫通するカバー内揺動軸45を中心として揺動して下部が支柱3から離れ、揺動部材34の下部に取り付けられている連結ピン33の先端部分33bが内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれて、内側パイプ3Aが外側パイプ3Bに対して摺動可能になる。
【0056】
第二揺動部材36は、下端部分に前側の貫通孔36a及び後側の貫通孔36bが形成されると共に、上端寄りの位置に第一伝達部材31との係合部36cが形成される。
【0057】
第二揺動部材36下端部分の後側の貫通孔36bと第二伝達部材32の上端部32bの貫通孔32cとを貫通するピン44によって第二揺動部材36と第二伝達部材32とが連結される。
【0058】
また、本実施形態では、第一伝達部材31の後縁部に凹部31bが形成されており、第二揺動部材36の係合部36cは第一伝達部材31の凹部31bに嵌る左右方向の係合軸として形成される。
【0059】
したがって、第一伝達部材31と第二伝達部材32とは、第二揺動部材36の係合部36cが第一伝達部材31の凹部31bに嵌っているときは位置関係が固定されて連係動作し、係合部36cが凹部31bから外れているときは位置関係の固定が解除される。
【0060】
リテーナ部材37は、支柱3内に配置された状態での後端部分に収容部37aが形成されると共に、当該収容部37aを貫通する上下方向に配置された左右方向の三本の貫通ピン(上から順に37d,37c,37b)を有する。また、リテーナ部材37の収容部37aの上方の壁には収容部37aと連通するスリット37eが形成される。なお、スリット37eは第一伝達部材31を摺動可能に挟持する幅に形成される。
【0061】
そして、第二揺動部材36は、リテーナ部材37の収容部37a内に収容され、下端部分の前側の貫通孔36aに下側の貫通ピン37bを貫通させることによってリテーナ部材37に前後揺動可能に取り付けられる。
【0062】
本実施形態では、第二付勢部材38として捻りばねが用いられる。捻りばね38はリテーナ部材37の真ん中の貫通ピン37cの周りに巻かれて設けられている。そして、捻りばね38は、リテーナ部材37の収容部37aの前側の壁と第二揺動部材36との間に介在し、第二揺動部材36の上部を支柱3から引き離す付勢力を第二揺動部材36に常時与える。
【0063】
第一伝達部材31は、リテーナ部材37の収容部37aと連通するスリット37eに差し込まれ、収容部37aを左右方向に貫通する上側の貫通ピン37dと第二揺動部材36の係合部36cとの間に配設される。
【0064】
上述の連結伝達部30によって支柱3の全体の長さ即ちハンドル2の高さを調整することが可能になると共に支柱3の全体の長さを固定した状態では第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係を固定し連係動作可能にして操作部10におけるブレーキ操作を第一伝達部材31及び第二伝達部材32を介して車輪制動部50のブレーキを動作させることができる。
【0065】
具体的には、操作ボタン39が操作されず押し込む力がかけられていないときは、上下中間部を貫通するカバー内揺動軸45を中心として前後に揺動する揺動部材34に対して付勢部材である捻りばね35によって下部を支柱3側に押す付勢力が常時与えられ、揺動部材34の下部に取り付けられた連結ピン33が支柱3側に常時押される。そして、連結ピン33が外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41と内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40とを貫通して両者の上下方向の相対位置関係を固定した状態で安定する。すなわち、連結伝達部30はハンドル2の高さをロックした状態を保持する。
【0066】
さらに、連結ピン33は、支柱3内に配置されるリテーナ部材37に対して下端部分を貫通する貫通ピン37bを中心として前後揺動可能に取り付けられる第二揺動部材36の上部を前方に押す。そして、第二揺動部材36上部の係合部としての係合軸36cが第一伝達部材31の凹部31bに嵌って両部材36,31の上下方向の相対位置関係を固定した状態で安定する。すなわち、連結伝達部30は第二揺動部材36を介して第一伝達部材31と第二伝達部材32とを連結させ位置関係を固定して両部材31,32が連動するようにロックした状態を保持する。なお、第二揺動部材36の係合軸36cと第一伝達部材31の凹部31bとの係合を確実にするため、第一伝達部材31の前端とリテーナ部材の収容部37aの上側の貫通ピン37dとが当接して第一伝達部材31が前方に振れてしまうことが防がれる。
【0067】
一方、操作ボタン39が操作されて押し込む力がかけられている間は、上部が前方に押されて揺動部材34が揺動する。これにより、揺動部材34の下部に取り付けられた連結ピン33の先端部分33bは内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれる。すなわち、連結伝達部30は内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係の固定を解除して支柱3全体の長さの調整を可能にする。
【0068】
さらに、連結ピン33の先端部分33bが内側パイプ3Aから引き抜かれると第二揺動部材36の上部を前方に押す力が解除される。そうすると、第二付勢部材38の付勢力によって第二揺動部材36の上部が第一伝達部材31から引き離される。すなわち、連結伝達部30は第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係の固定を解除する。
【0069】
以上の構成を有する連結伝達部30によれば、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係の固定とその解除との切り替えを行ってハンドル2の高さ調整が可能になると共に、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係が変化した場合にも操作部10を介して第一伝達部材31に伝達されたブレーキ操作を第二伝達部材32に伝達することが可能になる。
【0070】
(3)車輪制動部
次に、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、前輪4側の車輪制動部50について説明する。なお、連結伝達部30の第二伝達部材32は車輪制動部50にとってはブレーキワイヤであり、以下では、第二伝達部材32のことをブレーキワイヤ32とも呼ぶ。
【0071】
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1におけるブレーキ機構の車輪制動部50は、図12から図16に示すように、外側パイプ3B内部の下端部分に収容されるストッパブロック51及び当該ストッパブロック51下方のアーム取付ブロック52と、これらストッパブロック51とアーム取付ブロック52との間に介在する付勢部材53と、アーム取付ブロック52の下端面に取り付けられるブレーキアーム54と、当該ブレーキアーム54を貫通してアーム取付ブロック52の下端側に備えられる調整ねじ55とを有する。また、操作部10でのブレーキ操作が連結伝達部30を介して伝達されるブレーキワイヤ32が、ストッパブロック51と付勢部材53とアーム取付ブロック52とを貫通している。なお、図13及び図14においては後輪5及びベースプレート6の図示を省略し、図15及び図16においては後輪5及びベースプレート6の後輪5側の部分の図示を省略している。
【0072】
そして、本実施形態のブレーキ機構の車輪制動部50に適用される本発明のブレーキ構造は、ハンドル2とブレーキレバー11とを含むブレーキ操作部10を上端に有する支柱3の下端に取り付けられている車輪4に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱3の内部に設けられてブレーキ操作部10でのブレーキ操作が伝達される部材31,32等と、当該ブレーキ操作が伝達される部材31,32等と連係して動作するブレーキアーム54とを有し、当該ブレーキアーム54に取り付けられたブレーキパッド54cが車輪4のホイール8のドラム8aの外周面に押し当てられて車輪4に制動をかけるようにしている。
【0073】
本実施形態のブレーキ構造は、さらに、ブレーキパッド54cがブレーキアーム54の上面に取り付けられ、ブレーキ操作部10でのブレーキ操作によりブレーキ操作が伝達される部材31,32等が引き上げられることによってブレーキアーム54が引き上げられ、ブレーキパッド54cがホイール8のドラム8aの下側外周面に押し当てられるようにしている。
【0074】
ストッパブロック51は、外側パイプ3B内部の下端寄りの位置に固定される。本実施形態では、ストッパブロック51は外側パイプ3Bの周壁を貫通するねじによって外側パイプ3Bに対して固定される。
【0075】
ここで、本実施形態のブレーキワイヤ32は、外側パイプ3B内の後端寄りの位置から軸心位置よりも前側に一旦屈曲し、さらに、ストッパブロック51の位置(高さ)において外側パイプ3Bの軸心位置に屈曲する(図14(B))。このように途中で屈曲させることにより、ハンドル2のグリップ2bとブレーキレバー11とが強く握り締められてブレーキワイヤ32に過度の力がかけられた場合に屈曲部の弾性によって力の一部を吸収して操作部10,連結伝達部30,車輪制動部50の種々の部材が傷んだり破損したりしてしまうことが防止される。
【0076】
そして、ストッパブロック51は、当該ストッパブロック51の位置において前後方向に屈曲するブレーキワイヤ32を貫通させるため、前後方向を開口部の長手方向とする貫通長孔51aが形成される。
【0077】
アーム取付ブロック52は、ストッパブロック51の下方に備えられ、ブレーキ操作がされていないときは下端の一部分が外側パイプ3Bの下端開口から突出している。アーム取付ブロック52の上端面の中央と下端面の中央とのそれぞれには凹部が形成され、さらに、これら二つの凹部を連通する貫通孔52aが軸心位置に形成される。なお、アーム取付ブロック52は外側パイプ3Bに対して上下動自在である。そして、アーム取付ブロック52の左右両側部にはガイドピン52bが左右方向に取り付けられると共に、外側パイプ3Bの左右両側部の周壁には下端寄りの位置に上下方向を開口部の長手方向とする貫通長孔が形成される。そして、当該貫通長孔にガイドピン52bが係合することにより、アーム取付ブロック52を真っ直ぐに上下動させるガイド機能が発揮される。
【0078】
付勢部材53は、ストッパブロック51とアーム取付ブロック52との間に介在させられて備えられ、外側パイプ3Bに固定して取り付けられているストッパブロック51に上端を度当たりさせてアーム取付ブロック52を下向きに付勢させるものである。本実施形態では、付勢部材53として圧縮コイルばねが備えられる。
【0079】
本実施形態では、ストッパブロック51の下端面の中央に凹部が形成されて当該凹部に圧縮コイルばね53の上端部分が嵌められると共に、前述のアーム取付ブロック52上端面の凹部に圧縮コイルばね53の下端部分が嵌められて、付勢部材としての圧縮コイルばね53が配設される。
【0080】
また、ブレーキワイヤ32は、ストッパブロック51の貫通長孔51aを貫通すると共に圧縮コイルばね53の軸心方向の中空部を貫通し、さらに、アーム取付ブロック52の貫通孔52aを貫通して、下端部分がアーム取付ブロック52下端面の凹部内に突出する。
【0081】
そして、アーム取付ブロック52下端面の凹部内に突出しているブレーキワイヤ32の下端部に、ブレーキ操作が伝達される部材であるブレーキワイヤ32とブレーキアーム54との連結部におけるブレーキワイヤ32に対するブレーキアーム54の位置を調整する機構としての調整ねじ55が嵌められる。本実施形態では、具体的には、ブレーキワイヤ32の下端部に雄ねじが形成されると共に調整ねじ55の軸心位置の孔に雌ねじが形成されてブレーキワイヤ32の下端部に調整ねじ55が嵌められる。このとき、調整ねじ55の頭部はアーム取付ブロック52下端面の凹部内に収容され、軸部のみがアーム取付ブロック52の下端面から突出する。
【0082】
調整ねじ55は、連結伝達部30の働きによって内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係が固定されると共に第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係が固定された際の、ホイールのドラム8aの外周面とブレーキパッド54cの表面との間隔が適当になるように調整するためのものである。具体的には、調整ねじ55を回すことにより、ブレーキワイヤ32の下端部の雄ねじの、調整ねじ55の軸心位置の孔への進入の程度を調整することによってホイールのドラム8aの外周面とブレーキパッド54cの表面との間隔が調整される。
【0083】
ブレーキアーム54は、外側パイプ3Bの軸心位置から左右の前輪4,4の向きに延出する板状の本体54aと、当該本体54aの左右両端のそれぞれから上向きに突出するパッド取付部54bと、当該パッド取付部54bに取り付けられるブレーキパッド54cとからなる。なお、図12においてはブレーキパッド54cの図示を省略している。
【0084】
ブレーキアーム54はアーム取付ブロック52の下端面に取り付けられる。本実施形態では、アーム取付ブロック52の下端面に本体54aが押し当てられて四本のボルト54eによって固定して取り付けられる。
【0085】
ここで、本発明のブレーキ構造は、ブレーキパッドを車輪の接地面ではなくホイールのドラムに押し当てて制動をかけるようにするものである。本実施形態では、ブレーキパッド54cを前輪4のホイール8のドラム8aの下側外周面に押し当てて前輪4に制動をかける。
【0086】
このため、ブレーキアーム54は、左右両端のパッド取付部54b,54bのそれぞれを左右のホイール8,8のドラム8a,8aの下方に位置させる左右方向の寸法を有するものとして形成される。なお、ブレーキアーム54が取り付けられるアーム取付ブロック52とホイール8のドラム8aとの位置が前後方向にずれている場合には、パッド取付部54bをドラム8aの概ね軸心位置下方に位置させることができるようにブレーキアーム54の前後方向の寸法や本体54aの平面形状が調整される。
【0087】
パッド取付部54b,54bはブレーキアームの本体54aの左右両端部のそれぞれに前後方向上向きの凸部として形成され、当該凸部の上面に前後方向の溝が形成される。そして、当該前後方向の溝にブレーキパッド54cが固定されて取り付けられる。
【0088】
ブレーキパッド54cは、ホイール8のドラム8aに押し当てられて当該ドラム8aとの摩擦によって前輪4に制動をかけるためのものである。本発明では、ブレーキパッド54cの材質は、ドラム8aに押し当てられた際に摩擦力を発揮するものであれば良く、特定のものには限定されない。具体的には例えば、樹脂製のパッドが用いられる。
【0089】
ブレーキアーム54には、さらに、左右のパッド取付部54b,54bをドラム8aの下方に位置させてアーム取付ブロック52の下端面に配置され取り付けられた際に、調整ねじ55の軸部を貫通させるための貫通孔54dが形成される。
【0090】
以上の構成により、ブレーキ操作によってブレーキワイヤ32が引き上げられると調整ねじ55を介してアーム取付ブロック52に上向きの力がかけられ、アーム取付ブロック52と共にブレーキアーム54が上方に移動する。そして、ブレーキアーム54左右両端部のブレーキパッド54cがホイールのドラム8aに押し当てられて前輪4に制動がかけられる。
【0091】
一方、ブレーキ操作がなされていないときは、付勢部材53によってアーム取付ブロック52に与えられる付勢力及びアーム取付ブロック52やブレーキアーム54などの自重によってブレーキアーム54には下向きの力がかけられ、ブレーキパッド54cがホイールのドラム8の下方位置で安定し、前輪4の回転自由な状態が保たれる。
【0092】
以上のように構成された本発明のブレーキ構造によれば、車輪4のホイールのドラム8aにブレーキパッド54cが押し当てられることによって車輪4に制動がかけられるようにしているので、ブレーキ操作による車輪4の摩耗が避けられ、車輪4の寿命が縮まることを避けることができると共に車輪4に制動を確実にかけて安全性の向上を図ることが可能になる。しかも、ブレーキアーム54及びブレーキパッド54cを車輪4のホイール8の内側に配置することができるので、外観を良好にすることが可能になる。
【0093】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、ブレーキパッド54cがホイールのドラム8aの下側外周面に押し当てられるようにしているが、ブレーキパッド54cが押し当てられる位置はこれに限られず、ホイールのドラム8aの外周面のどこでも良い。具体的に例えば、ブレーキパッド54cがブレーキアーム54の下面に取り付けられると共に操作部10でのブレーキ操作によって第一伝達部材31及び第二伝達部材32が押し下げられるようにし、ブレーキ操作によってブレーキアーム54が押し下げられてブレーキパッド54cがホイールのドラム8aの上側外周面に押し当てられるようにしても良い。
【0094】
また、連結伝達部30に纏わる構成は本実施形態におけるものには限定されない。すなわち、支柱を構成する内側パイプが外側パイプに出し入れされることによる支柱全体の長さの変化に合わせて第一伝達部材と第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定するものであればどのようなものでも良い。
【符号の説明】
【0095】
1 酸素ボンベ用キャリーカート
2 ハンドル
3 支柱
4 車輪
8 ホイール
8a ドラム
10 ブレーキ操作部
11 ブレーキレバー
31 第一伝達部材
32 第二伝達部材
54 ブレーキアーム
54c ブレーキパッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば酸素ボンベや点滴等の医療器具・医療材用キャリーカート等の種々のキャリーカート、或いは、歩行補助車や歩行車のブレーキ機構に適用して好適なブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行補助車に適用される従来のブレーキ機構としては、例えば、図17A及び図17Bに示すように、車輪間の車軸110を介して後フレーム108下端に取り付けられている対向配置された左右一対の後輪109,109に対するブレーキ機構の構造であって、中間部の揺動軸102を介して後フレーム108の後輪109上方位置に取り付けられたスイングアーム101と、当該スイングアーム101の後端側の下面に取り付けられて左右一対の後輪109,109上方に張り出したブレーキパッド103と、前フレーム107上端のグリップ106の下方に揺動可能に取り付けられたブレーキレバー105と、上端がブレーキレバー105に接続すると共に下端がスイングアーム101の前端部に接続するブレーキワイヤー104とを有し、グリップ106とブレーキレバー105とを握ってブレーキレバー105を揺動操作してワイヤー104を引き上げることによって前端部を引き上げてスイングアーム101を揺動させ、当該スイングアーム101の後端側の下面に取り付けられたブレーキパッド103を後輪109,109の接地面(言い換えると、外周面)に押し当て、ブレーキパッド103と車輪の接地面との摩擦によって後輪109,109に制動をかけるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−168414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、ブレーキパッド103を後輪109,109の接地面に押し当てて両者の摩擦によって後輪109,109に制動をかけるようにしており、すなわち、車輪のうち地面に接地し摩耗の激しい部分にブレーキパッドを押し当てて摩擦を利用して車輪に制動をかけるようにしているので、車輪の摩耗を促進することになってしまい、車輪の寿命を縮めてしまうという問題がある。
【0005】
また、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、摩耗によって車輪の接地面がすり減って滑らかになるとブレーキパッド103と後輪109の接地面との摩擦が小さくなって車輪制動がかかり難くなってしまい、安全性が高いとは言い難い。
【0006】
また、特許文献1のブレーキ機構におけるブレーキ構造では、車輪の接地面(即ち外周面)にスイングアーム101を介してブレーキパッド103を押し当てる構造であるのでスイングアーム101及びブレーキパッド103が露出しており、外観が良好であるとは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、制動をかける車輪の余計な摩耗を避けると共に外観を良好にすることができるブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のブレーキ構造は、ハンドルとブレーキレバーとを含むブレーキ操作部を上端に有する支柱の下端に取り付けられている車輪に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱の内部に設けられてブレーキ操作部でのブレーキ操作が伝達される部材と、当該ブレーキ操作が伝達される部材と連係して動作するブレーキアームとを有し、当該ブレーキアームに取り付けられたブレーキパッドが車輪のホイールのドラムの外周面に押し当てられて車輪に制動をかけるようにしている。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキパッドがブレーキアームの上面に取り付けられ、ブレーキ操作部でのブレーキ操作によりブレーキ操作が伝達される部材が引き上げられることによってブレーキアームが引き上げられ、ブレーキパッドがホイールのドラムの下側外周面に押し当てられるようにしている。
【0010】
また、請求項6記載のキャリーカートは、請求項1に記載のブレーキ構造を組み込むようにしている。
【0011】
したがって、これらのブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートによると、車輪の接地面にブレーキパッドが押し当てられるのではなく、車輪のホイールのドラムにブレーキパッドが押し当てられることにより、車輪に制動がかけられる。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキパッドが樹脂で形成されるようにしている。この場合には、ブレーキパッドとホイールのドラムとの間で適切な摩擦力が発揮される。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、ブレーキ操作が伝達される部材とブレーキアームとの連結部にブレーキ操作が伝達される部材に対するブレーキアームの位置を調整する機構を更に備えるようにしている。この場合には、ブレーキ操作が伝達される部材に対するブレーキアームの位置を調整することによってホイールのドラムとブレーキアームとの間隔が調整される。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載のブレーキ構造において、支柱が内側パイプ及び当該内側パイプが摺動可能に挿入される外側パイプとから構成されると共にブレーキ操作が伝達される部材がブレーキ操作部側の第一伝達部材と車輪側の第二伝達部材とを有し、内側パイプが外側パイプに出し入れされることによる支柱の全体の長さの変化に合わせて第一伝達部材と第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定することにより、支柱の長さが変化したときでもブレーキ操作部でのブレーキ操作が第一伝達部材及び第二伝達部材を介してブレーキアームに伝達されるようにしている。この場合には、支柱全体の長さが調整されてハンドルの高さが調整されると共にハンドルの高さが変化した場合でもブレーキ操作の伝達が確実に行われる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,請求項2,請求項6記載のブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートによれば、車輪のホイールのドラムにブレーキパッドが押し当てられることによって車輪に制動がかけられるようにしているので、ブレーキ操作による車輪の摩耗が避けられ、車輪の寿命が縮まることを避けることができると共に車輪に制動を確実にかけて安全性の向上を図ることが可能になる。しかも、ブレーキアーム及びブレーキパッドを車輪のホイールの内側に配置することができるので、外観を良好にすることが可能になる。
【0016】
請求項3記載のブレーキ構造によれば、さらに、ホイールのドラムとブレーキアームとの間隔を調整することができるので、ブレーキ操作がされてないときにはブレーキパッドがホイールのドラムから完全に離れるようにすると共にブレーキレバーに対する適度な操作量によって車輪に制動をかけるようにすることを可能にしてブレーキ操作の快適性の向上を図ることが可能になる。
【0017】
請求項4記載のブレーキ構造によれば、さらに、ブレーキパッドとホイールのドラムとの間で適切な摩擦力を発揮させることができるので、安全性のより一層の向上を図ることが可能になる。
【0018】
請求項5記載のブレーキ構造によれば、さらに、ハンドルの高さの調整を可能にしつつブレーキ操作が伝達されるようにすることができるので、使用者の利便性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・四輪形態)を示す前方斜視図である。
【図1B】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・四輪形態)を示す後方斜視図である。
【図2】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最下位状態・四輪形態)を示す前方斜視図である。
【図3】本発明のブレーキ構造を適用した実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート(ハンドル最上位状態・二輪形態)を示す前方斜視図である。
【図4】実施形態のブレーキ機構の全体構成を説明する概略構造図である。(A)は左から見た縦断面図である。(B)は後ろから見た縦断面図である。
【図5A】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキレバーが操作されていない状態)を説明する左から見た縦断面図である。
【図5B】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキを作動させるためにブレーキレバーが操作されている状態)を説明する左から見た縦断面図である。
【図6】実施形態のブレーキ機構のうちハンドル側の操作部に係る構造(ブレーキレバーが操作されていない状態)を説明する後ろから見た縦断面図である。
【図7】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造を説明する分解斜視図である。
【図8】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造を説明する分解斜視図である。
【図9】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(操作ボタンが操作されていない状態)を説明する横断面図である。
【図10】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(操作ボタンが操作されていない状態)を説明する縦断面図である。
【図11】実施形態のブレーキ機構のうち支柱伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部に係る構造(支柱を伸縮させるために操作ボタンが操作されている状態)を説明する縦断面図である。
【図12】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する分解斜視図である。
【図13】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は図15(A)のI−I線における縦断面図である。(B)は図15(A)のII−II線における縦断面図である。
【図14】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は図15(A)のIII−III線における縦断面図である。(B)は図15(A)のIV−IV線における縦断面図である。
【図15】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する図である。(A)は外側パイプの前側の周壁を取り除いた正面図である。(B)は図14(B)のV−V線における縦断面図である。
【図16】実施形態のブレーキ機構のうち前輪側の車輪制動部に係るブレーキ構造を説明する底面図である。
【図17A】歩行補助車のブレーキ機構に適用されている従来のブレーキ構造を示す側面図である。
【図17B】歩行補助車のブレーキ機構に適用されている従来のブレーキ構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1から図16に、本発明のブレーキ構造、及びこれを組み込んだキャリーカートの実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、本発明のブレーキ構造を図1〜図3に示す酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構に適用する場合を例に挙げて説明する。なお、本明細書においては、ハンドル2を掴んで酸素ボンベ用キャリーカート1を使用している人を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0022】
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、ハンドル2と、当該ハンドル2が上端に取り付けられている支柱3と、前輪4及び後輪5が取り付けられていると共に支柱3の下端寄りの位置に対向配置されて取り付けられた左右一対のベースプレート6,6とを備える。そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、ベースプレート6,6が支柱3に対して揺動可能であり、四輪形態(図1A,図1B,図2)と二輪形態(図3)とをとることができる。本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1は、さらに、ハンドル2が上端に取り付けられている内側パイプ3Aと当該内側パイプ3Aが摺動可能に挿入される外側パイプ3Bとによって支柱3が構成され、内側パイプ3Aが外側パイプ3B内に引き込まれたり外側パイプ3B内から引き出されたりすることによってハンドル2の高さが調整される(ハンドル最上位状態:図1A,図1B,図3、ハンドル最下位状態:図2)。なお、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1では、外側パイプ3Bの前面に取り付けられたかご9に濃縮酸素ボンベが入れられる。
【0023】
そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構は大きくは、図4に示すように、ハンドル2側の操作部10と、支柱3の外側パイプ3B上端部分の伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部30と、前輪4側の車輪制動部50とからなる。なお、図4の(A)においては後輪5及びベースプレート6の図示を省略し、(B)においては後輪5及びベースプレート6の後輪5側の部分の図示を省略している。
【0024】
(1)操作部
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、まず、ハンドル2側の操作部10について説明する。
【0025】
操作部10は、図5及び図6に示すように、ハンドル2と、ブレーキレバー11と、ハンドル2内に設けられるブレーキブロック12と、ブレーキレバー11と連結すると共にブレーキブロック12に揺動可能に支持される第一リンク13と、当該第一リンク13と連結する第二リンク14とを有する。
【0026】
ハンドル2は、筒状の支持部2aと、当該支持部2aの上端に形成されたグリップ2bとからなる。支持部2aの前側周壁の上端(即ち、グリップ2bの下方)にはスリット2cが形成される。また、グリップ2bは、支持部2a上端から前方に張り出す環状に形成される。なお、本実施形態では、ハンドル2の上側部分(具体的には、グリップ2bの上半分と筒状の支持部2aの蓋に該当する部分)は別部材になっており、この上側部分を取り外した状態でハンドル2や支柱3内に収容する部材の取り付けや組み立てが行われる。
【0027】
支持部2aの下側大凡半分は、上側部分よりも外径が小さく形成されると共に内側パイプ3Aの上端部分に差し込まれる。また、内側パイプ3A上端の外周に筒状のハンドルケース7が取り付けられる。そして、ハンドルケース7,内側パイプ3A,支持部2aのそれぞれの左側周壁を貫通する二本のボルト7a,7aが挿入されて相互に固定されることにより、ハンドル2が内側パイプ3Aの上端に固定される。
【0028】
ブレーキレバー11は、ハンドル2のグリップ2bの下方に配置される環状の握り部11aと、当該握り部11aの後端中央から後方に延出してハンドル2の支持部2a前側周壁のスリット2cから支持部2a内に進入する揺動支軸11bとからなる。
【0029】
ブレーキブロック12は、ハンドル2の支持部2a内の後端寄り上端部に取り付けられる。具体的には、支持部2aの左右両側周壁の内周面に上下方向の溝が形成され、当該溝にブレーキブロック12の左右両端部分が差し込まれることによってブレーキブロック12が支持部2a内に取り付けられる。ブレーキブロック12は、基部12aと、当該基部12aの左右両端部それぞれから上方に向けて延出して対向する側壁12b,12bとからなる(言い換えると、正面視U字形に形成され配置される)。各側壁12b,12bには貫通孔12cが形成される。
【0030】
第一リンク13は、く字形の板状に形成され、く字形の屈曲部13aを前方(即ちブレーキレバー11側)に向けスリット2cの位置に合わせて立てられた状態でハンドル2の支持部2a内に設けられる。
【0031】
そして、第一リンク13の屈曲部13aとブレーキレバー11の揺動支軸11bの後端部とが連結され固定される。本実施形態では、両者は二本のボルトによって固定される。
【0032】
第一リンク13の上端部(具体的には、屈曲部13aから後方斜め上方に延出する端部)の左右の側面それぞれには円柱形状の係合凸部13b,13bが設けられ、当該係合凸部13bがブレーキブロック12の貫通孔12cに摺動可能に嵌め込まれる。これにより、第一リンク13は、ブレーキブロック12を介してハンドル2の支持部2aに対して係合凸部13bを中心として揺動自在に取り付けられる。
【0033】
一方、第一リンク13の下端部(具体的には、屈曲部13aから概ね下方に延出する端部)の右側面には円柱形状の連結凸部13cが設けられる。
【0034】
なお、ブレーキレバー11及び第一リンク13は、ブレーキレバー11の揺動支軸11bがハンドル2の支持部2a前側周壁のスリット2cの下端に当接すると共に、第一リンク13の上端部分がブレーキブロック12の基部12aに当接することにより、ブレーキレバー11の操作がされていないとき(言い換えると、力が加えられていないとき)の下方への揺動が制限されて位置が固定される。
【0035】
第二リンク14は、鈎形の板状に形成され、一方の先端を前方(即ちブレーキレバー11側)に向けると共に他方の先端を下方に向けてハンドル2の支持部2a内に設けられる(図5及び図6に示す例では、厳密には、第二リンク14の下端部分は支持部2aの下端開口から突出している)。
【0036】
第二リンク14の前方を向く端部には、概ね前後水平方向を開口部の長手方向とする貫通長孔14aが形成される。そして、当該貫通長孔14aに第一リンク13下端部の連結凸部13cが摺動可能に嵌められ、これにより、第一リンク13と第二リンク14とは、連結凸部13cと貫通長孔14aとが摺動可能な状態で連結される。
【0037】
一方、第二リンク14の下方を向く端部には第一伝達部材31の上端部が取り付けられる。本実施形態では、第二リンク14下端部の貫通孔14bと第一伝達部材31上端部の貫通孔31aとを貫通する連結ピン14dによって第二リンク14と第一伝達部材31とが連結される。
【0038】
以上の構成を有する操作部10によれば、図5Bに示すように、ハンドル2のグリップ2bとブレーキレバー11の握り部11aとが握り締められると握り部11aが引き上げられ、ブレーキレバー11の揺動支軸11bと連結する第一リンク13が係合凸部13bを中心として揺動する。これにより、第一リンク13の下端部が引き上げられ、当該下端部の連結凸部13cを介して第一リンク13と連結する第二リンク14が引き上げられ、そして、当該第二リンク14の下端部と連結する第一伝達部材31が引き上げられる。すなわち、酸素ボンベ用キャリーカート1の使用者のブレーキ作動の命令であってブレーキレバー11に与えられたブレーキ操作が、操作部10の仕組みによって第一伝達部材31に伝達される。
【0039】
なお、第二リンク14の屈曲部の上端には上下方向の凹部14cが形成されており、当該凹部14cにブレーキピン15が噛み合うようになっている。また、第一リンク13と第二リンク14とを連結させるため、第一リンク13の連結凸部13cを嵌める貫通孔として第二リンク14の前方を向く端部には概ね前後水平方向を長手方向とする貫通長孔14aが形成されている。このように構成することにより、凹部14cとブレーキピン15とによって第二リンク14を上下方向に真っ直ぐに移動させるガイド機能が発揮されると共に、第一リンク13が係合凸部13bを中心として揺動する際には連結凸部13cが貫通長孔14a内を前後に移動しながら上下移動するようになる。すなわち、ブレーキレバー11が操作されることによって第一リンク13が揺動したときに第二リンク14及び第一伝達部材31は上下方向に真っ直ぐに移動する。
【0040】
また、ブレーキピン15はブレーキロックとしても機能する。具体的には、第二リンク14の凹部14cが上側の帯状部分と当該帯状部分の幅よりも径が大きい下側の円弧部分とから構成されると共に、ブレーキピン15の軸が径が小さい細軸部15aと径が大きい太軸部15bとから構成される(図5Bの円内)。そして、ブレーキ操作を繰り返し行う通常の使用の際にはブレーキピン15の細軸部15aが第二リンクの凹部14cと噛み合う位置にブレーキピン15の差し込み位置が調整され、酸素ボンベ用キャリーカート1を例えば駐輪してブレーキをかけたままにする際(図5B)にはブレーキピン15の太軸部15bが第二リンクの凹部14cの下側の円弧部分に嵌る位置にブレーキピン15の差し込み位置が調整される。
【0041】
(2)連結伝達部
次に、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、支柱3の外側パイプ3B上端部分の伸縮部におけるブレーキ操作の連結伝達部30について説明する。
【0042】
連結伝達部30は、ハンドル2の高さ調整時には外側パイプ3Bに対して内側パイプ3Aを摺動可能にして出し入れすることによって支柱3全体の長さを変化させてハンドル2の高さを調整すると共に内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係を固定することを可能にし、且つ、支柱3の上端に配置された操作部10のブレーキレバー11の操作によるブレーキ操作を支柱3の下端に配置された車輪制動部50に伝達する操作部10側の第一伝達部材31及び車輪制動部50側の第二伝達部材32について、ハンドル2の高さ調整時には第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係の固定を解除すると共にハンドル2の高さ固定時には第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係を固定して操作部10から第一伝達部材31に伝達されたブレーキ操作を第二伝達部材32に伝達することを可能にするための仕組みである。
【0043】
そして、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1におけるブレーキ操作の連結伝達部30は、図7から図10に示すように、内側パイプ3Aと当該内側パイプ3Aが摺動可能に挿入される外側パイプ3Bとで構成されて伸縮可能な支柱3と、当該支柱3の上端に配置される操作部10と、下端に配置される車輪制動部50と、支柱3内部に配置されて操作部10と車輪制動部50とを繋いで連係動作可能にする連係機構とを備える伸縮フレームにおいて、操作部10と一体化されて連動する第一伝達部材31と、車輪制動部50と一体化されて連動する第二伝達部材32と、内側パイプ3Aの周壁と外側パイプ3Bの周壁とを貫通してこれらを支柱3の伸縮方向に連結する連結ピン33と、当該連結ピン33を内側パイプ3Aに対して出し入れする方向に動作させる揺動部材34と、連結ピン33を内側パイプ3A側に押すように揺動部材34を常時付勢する付勢部材35と、揺動部材34を揺動させて連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aから引き抜く操作をする操作ボタン39と、第一伝達部材31との係合部36cが形成された一端が付勢部材35によって常時付勢された揺動部材34によって連結ピン33を介して第一伝達部材31に押し付けられていると共に他端側に第二伝達部材32が揺動可能に連結される第二揺動部材36と、第一伝達部材31を上下方向摺動可能に挟持すると共に第二揺動部材36を前後揺動可能に支持するリテーナ部材37と、当該リテーナ部材37に取り付けられて第二揺動部材36の係合部36cが形成された一端を第一伝達部材31から引き離すように第二揺動部材36を常時付勢する第二付勢部材38とを有する。
【0044】
そして、操作ボタン39を押して揺動部材34を揺動させることにより、連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aから引き抜いて支柱3の伸縮(言い換えると、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの摺動)のロック状態が解除されると同時に、第二揺動部材36の係合部36cを第一伝達部材31に押し付ける付勢力が解除されて第二付勢部材38の力で係合部36cを第一伝達部材31から引き離して第一伝達部材31と第二伝達部材32との連結が解除される。
【0045】
支柱3は、二本のパイプを入れ子状に嵌合させてなり、内側パイプ3Aの周壁に複数の貫通孔が軸心方向即ち伸縮方向に並べて設けられると共に外側パイプ3Bの周壁に貫通孔が設けられ、外側パイプ3Bに対する内側パイプ3Aの挿入の程度が調整され上端に取り付けられたハンドル2の高さが合わせられて両パイプ3A,3Bの貫通孔に跨って挿入されるねじ又はピンによって固定されるものである。
【0046】
内側パイプ3Aの周壁には複数の貫通孔40,40,…が軸心方向に一定の間隔で設けられると共に外側パイプ3Bには上端寄りの位置に一つの貫通孔41が設けられる。そして、外側パイプ3Bの貫通孔41を貫通して設けられる連結ピン33の先端部分33bを内側パイプ3Aの複数の貫通孔40,40,…のうちのいずれかに挿入させることによって支柱3を任意の長さで固定可能としている。本実施形態では、内側パイプ3Aの後側周壁に複数の貫通孔40,40,…が形成されると共に、外側パイプ3Bの後側周壁に貫通孔41が形成される。
【0047】
また、操作部10の第二リンク14に上端部が連結される第一伝達部材31は、細長の板状に形成され、両板面を左右に向けて支柱3内に上下方向に配置される。そして、第一伝達部材31には、上端部に貫通孔31aが形成されると共に、内側パイプ3Aの周壁に設けられている複数の貫通孔40,40,…の間隔と同じ間隔で複数の凹部31b,31b,…が後縁部に形成される。
【0048】
一方、車輪制動部50のアーム取付ブロック52と連動するように当該アーム取付ブロック52に下端部が連結される第二伝達部材32は、前後方向に屈曲する棒状の本体部32aと板状の上端部32bとからなり、支柱3内に上下方向に配置される。なお、第一伝達部材31と第二伝達部材32とは、支柱3内で、ハンドル最上位状態では一部分が重なり、ハンドル最下位状態では大部分が重なる。
【0049】
そして、本実施形態では、外側パイプ3Bの後側周壁外周面の上端部分にカバー42が取り付けられ、当該カバー42内に揺動部材34が配置されると共に、カバー42のうちの外側パイプ3Bの後側周壁と対向する面を貫通して操作ボタン39が配置される。なお、図中の符号46は外側パイプ3Bの上端を覆うカバーである。
【0050】
揺動部材34は、上下中間部の貫通孔34aを左右に貫通する揺動軸45(以下、カバー内揺動軸と呼ぶ)によって前後揺動可能にカバー42に取り付けられる。
【0051】
操作ボタン39は、外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41の位置に合わせられると共に前後方向に操作されるように配置される。また、操作ボタン39のカバー42内の先端が揺動部材34の上端寄りの部分と接し、操作ボタン39が押し込まれた場合に揺動部材34の上部を支柱3側に押す付勢力が与えられる。
【0052】
本実施形態では、付勢部材35として捻りばねが用いられる。捻りばね35はカバー内揺動軸45の周りに巻かれて設けられている。そして、捻りばね35は、カバー42のうちの外側パイプ3Bの後側周壁と対向する面と揺動部材34との間に介在し、揺動部材34の下部を支柱3側に押す付勢力を揺動部材34に常時与える。
【0053】
連結ピン33は、左右方向の貫通孔33aを貫通する連結ピン回転軸43によって揺動部材34の下部(長孔34b)に揺動可能に取り付けられる。そして、連結ピン33は、揺動部材34が揺動することにより、支柱3側に押された場合には外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41と内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40とを貫通し、支柱3から引き離された場合には内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれて外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41のみを貫通する状態になる。
【0054】
上述の構成により、操作ボタン39が操作されていないときは、捻りばね35の働きによって揺動部材34の下部が支柱3側に向けて付勢され、揺動部材34の下部に取り付けられている連結ピン33が外側パイプ3Bの周壁と内側パイプ3Aの周壁とを貫通した状態で安定するので両パイプ3A,3Bが固定された状態が保たれる。
【0055】
一方、操作ボタン39が操作され押し込まれた場合は、操作ボタン39のカバー42内の先端によって揺動部材34の上部が支柱3側に押され、揺動部材34が貫通孔34aを貫通するカバー内揺動軸45を中心として揺動して下部が支柱3から離れ、揺動部材34の下部に取り付けられている連結ピン33の先端部分33bが内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれて、内側パイプ3Aが外側パイプ3Bに対して摺動可能になる。
【0056】
第二揺動部材36は、下端部分に前側の貫通孔36a及び後側の貫通孔36bが形成されると共に、上端寄りの位置に第一伝達部材31との係合部36cが形成される。
【0057】
第二揺動部材36下端部分の後側の貫通孔36bと第二伝達部材32の上端部32bの貫通孔32cとを貫通するピン44によって第二揺動部材36と第二伝達部材32とが連結される。
【0058】
また、本実施形態では、第一伝達部材31の後縁部に凹部31bが形成されており、第二揺動部材36の係合部36cは第一伝達部材31の凹部31bに嵌る左右方向の係合軸として形成される。
【0059】
したがって、第一伝達部材31と第二伝達部材32とは、第二揺動部材36の係合部36cが第一伝達部材31の凹部31bに嵌っているときは位置関係が固定されて連係動作し、係合部36cが凹部31bから外れているときは位置関係の固定が解除される。
【0060】
リテーナ部材37は、支柱3内に配置された状態での後端部分に収容部37aが形成されると共に、当該収容部37aを貫通する上下方向に配置された左右方向の三本の貫通ピン(上から順に37d,37c,37b)を有する。また、リテーナ部材37の収容部37aの上方の壁には収容部37aと連通するスリット37eが形成される。なお、スリット37eは第一伝達部材31を摺動可能に挟持する幅に形成される。
【0061】
そして、第二揺動部材36は、リテーナ部材37の収容部37a内に収容され、下端部分の前側の貫通孔36aに下側の貫通ピン37bを貫通させることによってリテーナ部材37に前後揺動可能に取り付けられる。
【0062】
本実施形態では、第二付勢部材38として捻りばねが用いられる。捻りばね38はリテーナ部材37の真ん中の貫通ピン37cの周りに巻かれて設けられている。そして、捻りばね38は、リテーナ部材37の収容部37aの前側の壁と第二揺動部材36との間に介在し、第二揺動部材36の上部を支柱3から引き離す付勢力を第二揺動部材36に常時与える。
【0063】
第一伝達部材31は、リテーナ部材37の収容部37aと連通するスリット37eに差し込まれ、収容部37aを左右方向に貫通する上側の貫通ピン37dと第二揺動部材36の係合部36cとの間に配設される。
【0064】
上述の連結伝達部30によって支柱3の全体の長さ即ちハンドル2の高さを調整することが可能になると共に支柱3の全体の長さを固定した状態では第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係を固定し連係動作可能にして操作部10におけるブレーキ操作を第一伝達部材31及び第二伝達部材32を介して車輪制動部50のブレーキを動作させることができる。
【0065】
具体的には、操作ボタン39が操作されず押し込む力がかけられていないときは、上下中間部を貫通するカバー内揺動軸45を中心として前後に揺動する揺動部材34に対して付勢部材である捻りばね35によって下部を支柱3側に押す付勢力が常時与えられ、揺動部材34の下部に取り付けられた連結ピン33が支柱3側に常時押される。そして、連結ピン33が外側パイプ3Bの周壁の貫通孔41と内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40とを貫通して両者の上下方向の相対位置関係を固定した状態で安定する。すなわち、連結伝達部30はハンドル2の高さをロックした状態を保持する。
【0066】
さらに、連結ピン33は、支柱3内に配置されるリテーナ部材37に対して下端部分を貫通する貫通ピン37bを中心として前後揺動可能に取り付けられる第二揺動部材36の上部を前方に押す。そして、第二揺動部材36上部の係合部としての係合軸36cが第一伝達部材31の凹部31bに嵌って両部材36,31の上下方向の相対位置関係を固定した状態で安定する。すなわち、連結伝達部30は第二揺動部材36を介して第一伝達部材31と第二伝達部材32とを連結させ位置関係を固定して両部材31,32が連動するようにロックした状態を保持する。なお、第二揺動部材36の係合軸36cと第一伝達部材31の凹部31bとの係合を確実にするため、第一伝達部材31の前端とリテーナ部材の収容部37aの上側の貫通ピン37dとが当接して第一伝達部材31が前方に振れてしまうことが防がれる。
【0067】
一方、操作ボタン39が操作されて押し込む力がかけられている間は、上部が前方に押されて揺動部材34が揺動する。これにより、揺動部材34の下部に取り付けられた連結ピン33の先端部分33bは内側パイプ3Aの周壁の貫通孔40から引き抜かれる。すなわち、連結伝達部30は内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係の固定を解除して支柱3全体の長さの調整を可能にする。
【0068】
さらに、連結ピン33の先端部分33bが内側パイプ3Aから引き抜かれると第二揺動部材36の上部を前方に押す力が解除される。そうすると、第二付勢部材38の付勢力によって第二揺動部材36の上部が第一伝達部材31から引き離される。すなわち、連結伝達部30は第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係の固定を解除する。
【0069】
以上の構成を有する連結伝達部30によれば、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係の固定とその解除との切り替えを行ってハンドル2の高さ調整が可能になると共に、内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係が変化した場合にも操作部10を介して第一伝達部材31に伝達されたブレーキ操作を第二伝達部材32に伝達することが可能になる。
【0070】
(3)車輪制動部
次に、本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1のブレーキ機構のうち、前輪4側の車輪制動部50について説明する。なお、連結伝達部30の第二伝達部材32は車輪制動部50にとってはブレーキワイヤであり、以下では、第二伝達部材32のことをブレーキワイヤ32とも呼ぶ。
【0071】
本実施形態の酸素ボンベ用キャリーカート1におけるブレーキ機構の車輪制動部50は、図12から図16に示すように、外側パイプ3B内部の下端部分に収容されるストッパブロック51及び当該ストッパブロック51下方のアーム取付ブロック52と、これらストッパブロック51とアーム取付ブロック52との間に介在する付勢部材53と、アーム取付ブロック52の下端面に取り付けられるブレーキアーム54と、当該ブレーキアーム54を貫通してアーム取付ブロック52の下端側に備えられる調整ねじ55とを有する。また、操作部10でのブレーキ操作が連結伝達部30を介して伝達されるブレーキワイヤ32が、ストッパブロック51と付勢部材53とアーム取付ブロック52とを貫通している。なお、図13及び図14においては後輪5及びベースプレート6の図示を省略し、図15及び図16においては後輪5及びベースプレート6の後輪5側の部分の図示を省略している。
【0072】
そして、本実施形態のブレーキ機構の車輪制動部50に適用される本発明のブレーキ構造は、ハンドル2とブレーキレバー11とを含むブレーキ操作部10を上端に有する支柱3の下端に取り付けられている車輪4に制動をかけるブレーキ構造であって、支柱3の内部に設けられてブレーキ操作部10でのブレーキ操作が伝達される部材31,32等と、当該ブレーキ操作が伝達される部材31,32等と連係して動作するブレーキアーム54とを有し、当該ブレーキアーム54に取り付けられたブレーキパッド54cが車輪4のホイール8のドラム8aの外周面に押し当てられて車輪4に制動をかけるようにしている。
【0073】
本実施形態のブレーキ構造は、さらに、ブレーキパッド54cがブレーキアーム54の上面に取り付けられ、ブレーキ操作部10でのブレーキ操作によりブレーキ操作が伝達される部材31,32等が引き上げられることによってブレーキアーム54が引き上げられ、ブレーキパッド54cがホイール8のドラム8aの下側外周面に押し当てられるようにしている。
【0074】
ストッパブロック51は、外側パイプ3B内部の下端寄りの位置に固定される。本実施形態では、ストッパブロック51は外側パイプ3Bの周壁を貫通するねじによって外側パイプ3Bに対して固定される。
【0075】
ここで、本実施形態のブレーキワイヤ32は、外側パイプ3B内の後端寄りの位置から軸心位置よりも前側に一旦屈曲し、さらに、ストッパブロック51の位置(高さ)において外側パイプ3Bの軸心位置に屈曲する(図14(B))。このように途中で屈曲させることにより、ハンドル2のグリップ2bとブレーキレバー11とが強く握り締められてブレーキワイヤ32に過度の力がかけられた場合に屈曲部の弾性によって力の一部を吸収して操作部10,連結伝達部30,車輪制動部50の種々の部材が傷んだり破損したりしてしまうことが防止される。
【0076】
そして、ストッパブロック51は、当該ストッパブロック51の位置において前後方向に屈曲するブレーキワイヤ32を貫通させるため、前後方向を開口部の長手方向とする貫通長孔51aが形成される。
【0077】
アーム取付ブロック52は、ストッパブロック51の下方に備えられ、ブレーキ操作がされていないときは下端の一部分が外側パイプ3Bの下端開口から突出している。アーム取付ブロック52の上端面の中央と下端面の中央とのそれぞれには凹部が形成され、さらに、これら二つの凹部を連通する貫通孔52aが軸心位置に形成される。なお、アーム取付ブロック52は外側パイプ3Bに対して上下動自在である。そして、アーム取付ブロック52の左右両側部にはガイドピン52bが左右方向に取り付けられると共に、外側パイプ3Bの左右両側部の周壁には下端寄りの位置に上下方向を開口部の長手方向とする貫通長孔が形成される。そして、当該貫通長孔にガイドピン52bが係合することにより、アーム取付ブロック52を真っ直ぐに上下動させるガイド機能が発揮される。
【0078】
付勢部材53は、ストッパブロック51とアーム取付ブロック52との間に介在させられて備えられ、外側パイプ3Bに固定して取り付けられているストッパブロック51に上端を度当たりさせてアーム取付ブロック52を下向きに付勢させるものである。本実施形態では、付勢部材53として圧縮コイルばねが備えられる。
【0079】
本実施形態では、ストッパブロック51の下端面の中央に凹部が形成されて当該凹部に圧縮コイルばね53の上端部分が嵌められると共に、前述のアーム取付ブロック52上端面の凹部に圧縮コイルばね53の下端部分が嵌められて、付勢部材としての圧縮コイルばね53が配設される。
【0080】
また、ブレーキワイヤ32は、ストッパブロック51の貫通長孔51aを貫通すると共に圧縮コイルばね53の軸心方向の中空部を貫通し、さらに、アーム取付ブロック52の貫通孔52aを貫通して、下端部分がアーム取付ブロック52下端面の凹部内に突出する。
【0081】
そして、アーム取付ブロック52下端面の凹部内に突出しているブレーキワイヤ32の下端部に、ブレーキ操作が伝達される部材であるブレーキワイヤ32とブレーキアーム54との連結部におけるブレーキワイヤ32に対するブレーキアーム54の位置を調整する機構としての調整ねじ55が嵌められる。本実施形態では、具体的には、ブレーキワイヤ32の下端部に雄ねじが形成されると共に調整ねじ55の軸心位置の孔に雌ねじが形成されてブレーキワイヤ32の下端部に調整ねじ55が嵌められる。このとき、調整ねじ55の頭部はアーム取付ブロック52下端面の凹部内に収容され、軸部のみがアーム取付ブロック52の下端面から突出する。
【0082】
調整ねじ55は、連結伝達部30の働きによって内側パイプ3Aと外側パイプ3Bとの位置関係が固定されると共に第一伝達部材31と第二伝達部材32との位置関係が固定された際の、ホイールのドラム8aの外周面とブレーキパッド54cの表面との間隔が適当になるように調整するためのものである。具体的には、調整ねじ55を回すことにより、ブレーキワイヤ32の下端部の雄ねじの、調整ねじ55の軸心位置の孔への進入の程度を調整することによってホイールのドラム8aの外周面とブレーキパッド54cの表面との間隔が調整される。
【0083】
ブレーキアーム54は、外側パイプ3Bの軸心位置から左右の前輪4,4の向きに延出する板状の本体54aと、当該本体54aの左右両端のそれぞれから上向きに突出するパッド取付部54bと、当該パッド取付部54bに取り付けられるブレーキパッド54cとからなる。なお、図12においてはブレーキパッド54cの図示を省略している。
【0084】
ブレーキアーム54はアーム取付ブロック52の下端面に取り付けられる。本実施形態では、アーム取付ブロック52の下端面に本体54aが押し当てられて四本のボルト54eによって固定して取り付けられる。
【0085】
ここで、本発明のブレーキ構造は、ブレーキパッドを車輪の接地面ではなくホイールのドラムに押し当てて制動をかけるようにするものである。本実施形態では、ブレーキパッド54cを前輪4のホイール8のドラム8aの下側外周面に押し当てて前輪4に制動をかける。
【0086】
このため、ブレーキアーム54は、左右両端のパッド取付部54b,54bのそれぞれを左右のホイール8,8のドラム8a,8aの下方に位置させる左右方向の寸法を有するものとして形成される。なお、ブレーキアーム54が取り付けられるアーム取付ブロック52とホイール8のドラム8aとの位置が前後方向にずれている場合には、パッド取付部54bをドラム8aの概ね軸心位置下方に位置させることができるようにブレーキアーム54の前後方向の寸法や本体54aの平面形状が調整される。
【0087】
パッド取付部54b,54bはブレーキアームの本体54aの左右両端部のそれぞれに前後方向上向きの凸部として形成され、当該凸部の上面に前後方向の溝が形成される。そして、当該前後方向の溝にブレーキパッド54cが固定されて取り付けられる。
【0088】
ブレーキパッド54cは、ホイール8のドラム8aに押し当てられて当該ドラム8aとの摩擦によって前輪4に制動をかけるためのものである。本発明では、ブレーキパッド54cの材質は、ドラム8aに押し当てられた際に摩擦力を発揮するものであれば良く、特定のものには限定されない。具体的には例えば、樹脂製のパッドが用いられる。
【0089】
ブレーキアーム54には、さらに、左右のパッド取付部54b,54bをドラム8aの下方に位置させてアーム取付ブロック52の下端面に配置され取り付けられた際に、調整ねじ55の軸部を貫通させるための貫通孔54dが形成される。
【0090】
以上の構成により、ブレーキ操作によってブレーキワイヤ32が引き上げられると調整ねじ55を介してアーム取付ブロック52に上向きの力がかけられ、アーム取付ブロック52と共にブレーキアーム54が上方に移動する。そして、ブレーキアーム54左右両端部のブレーキパッド54cがホイールのドラム8aに押し当てられて前輪4に制動がかけられる。
【0091】
一方、ブレーキ操作がなされていないときは、付勢部材53によってアーム取付ブロック52に与えられる付勢力及びアーム取付ブロック52やブレーキアーム54などの自重によってブレーキアーム54には下向きの力がかけられ、ブレーキパッド54cがホイールのドラム8の下方位置で安定し、前輪4の回転自由な状態が保たれる。
【0092】
以上のように構成された本発明のブレーキ構造によれば、車輪4のホイールのドラム8aにブレーキパッド54cが押し当てられることによって車輪4に制動がかけられるようにしているので、ブレーキ操作による車輪4の摩耗が避けられ、車輪4の寿命が縮まることを避けることができると共に車輪4に制動を確実にかけて安全性の向上を図ることが可能になる。しかも、ブレーキアーム54及びブレーキパッド54cを車輪4のホイール8の内側に配置することができるので、外観を良好にすることが可能になる。
【0093】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態では、ブレーキパッド54cがホイールのドラム8aの下側外周面に押し当てられるようにしているが、ブレーキパッド54cが押し当てられる位置はこれに限られず、ホイールのドラム8aの外周面のどこでも良い。具体的に例えば、ブレーキパッド54cがブレーキアーム54の下面に取り付けられると共に操作部10でのブレーキ操作によって第一伝達部材31及び第二伝達部材32が押し下げられるようにし、ブレーキ操作によってブレーキアーム54が押し下げられてブレーキパッド54cがホイールのドラム8aの上側外周面に押し当てられるようにしても良い。
【0094】
また、連結伝達部30に纏わる構成は本実施形態におけるものには限定されない。すなわち、支柱を構成する内側パイプが外側パイプに出し入れされることによる支柱全体の長さの変化に合わせて第一伝達部材と第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定するものであればどのようなものでも良い。
【符号の説明】
【0095】
1 酸素ボンベ用キャリーカート
2 ハンドル
3 支柱
4 車輪
8 ホイール
8a ドラム
10 ブレーキ操作部
11 ブレーキレバー
31 第一伝達部材
32 第二伝達部材
54 ブレーキアーム
54c ブレーキパッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルとブレーキレバーとを含むブレーキ操作部を上端に有する支柱の下端に取り付けられている車輪に制動をかけるブレーキ構造であって、前記支柱の内部に設けられて前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作が伝達される部材と、当該ブレーキ操作が伝達される部材と連係して動作するブレーキアームとを有し、当該ブレーキアームに取り付けられたブレーキパッドが前記車輪のホイールのドラムの外周面に押し当てられて前記車輪に制動をかけることを特徴とするブレーキ構造。
【請求項2】
前記ブレーキパッドが前記ブレーキアームの上面に取り付けられ、前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作により前記ブレーキ操作が伝達される部材が引き上げられることによって前記ブレーキアームが引き上げられ、前記ブレーキパッドが前記ホイールのドラムの下側外周面に押し当てられることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項3】
前記ブレーキパッドが樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項4】
前記ブレーキ操作が伝達される部材と前記ブレーキアームとの連結部に前記ブレーキ操作が伝達される部材に対する前記ブレーキアームの位置を調整する機構を更に備えることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項5】
前記支柱が内側パイプ及び当該内側パイプが摺動可能に挿入される外側パイプとから構成されると共に前記ブレーキ操作が伝達される部材が前記ブレーキ操作部側の第一伝達部材と前記車輪側の第二伝達部材とを有し、前記内側パイプが前記外側パイプに出し入れされることによる前記支柱の全体の長さの変化に合わせて前記第一伝達部材と前記第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定することにより、前記支柱の長さが変化したときでも前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作が前記第一伝達部材及び前記第二伝達部材を介して前記ブレーキアームに伝達されることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項6】
請求項1に記載のブレーキ構造を組み込んだキャリーカート。
【請求項1】
ハンドルとブレーキレバーとを含むブレーキ操作部を上端に有する支柱の下端に取り付けられている車輪に制動をかけるブレーキ構造であって、前記支柱の内部に設けられて前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作が伝達される部材と、当該ブレーキ操作が伝達される部材と連係して動作するブレーキアームとを有し、当該ブレーキアームに取り付けられたブレーキパッドが前記車輪のホイールのドラムの外周面に押し当てられて前記車輪に制動をかけることを特徴とするブレーキ構造。
【請求項2】
前記ブレーキパッドが前記ブレーキアームの上面に取り付けられ、前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作により前記ブレーキ操作が伝達される部材が引き上げられることによって前記ブレーキアームが引き上げられ、前記ブレーキパッドが前記ホイールのドラムの下側外周面に押し当てられることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項3】
前記ブレーキパッドが樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項4】
前記ブレーキ操作が伝達される部材と前記ブレーキアームとの連結部に前記ブレーキ操作が伝達される部材に対する前記ブレーキアームの位置を調整する機構を更に備えることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項5】
前記支柱が内側パイプ及び当該内側パイプが摺動可能に挿入される外側パイプとから構成されると共に前記ブレーキ操作が伝達される部材が前記ブレーキ操作部側の第一伝達部材と前記車輪側の第二伝達部材とを有し、前記内側パイプが前記外側パイプに出し入れされることによる前記支柱の全体の長さの変化に合わせて前記第一伝達部材と前記第二伝達部材との連結箇所を変化させて固定することにより、前記支柱の長さが変化したときでも前記ブレーキ操作部でのブレーキ操作が前記第一伝達部材及び前記第二伝達部材を介して前記ブレーキアームに伝達されることを特徴とする請求項1記載のブレーキ構造。
【請求項6】
請求項1に記載のブレーキ構造を組み込んだキャリーカート。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【公開番号】特開2011−225185(P2011−225185A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99288(P2010−99288)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【出願人】(000112602)フクダ電子株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
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