説明

ブレーキ液圧制御システム

【課題】 低コストでありながら、増減圧制御時の精度要求、走行支援制御作動時の静音要求、制御ユニット追加に対する耐久性要求に応えることができるブレーキ液圧制御システムを提供すること。
【解決手段】 液圧制御アクチュエータは、外部からの制御指令によりマスタシリンダ圧を増減制御する液圧制御ブースタ2と、マスタシリンダ3と各輪のホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRとの間に設けられ、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプを駆動するポンプモータと、を有するABS液圧制御回路4と、による構成とし、ブレーキ制御手段は、ABS制御時のうち、減圧モード時のみに前記モータ44を駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、前記ポンプモータ45を停止したままで、前記液圧制御ブースタ2及び前記バルブ41,42の駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御する手段とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチロックブレーキ制御手段と走行支援ブレーキ制御手段とで共有する液圧制御アクチュエータと、これを駆動制御するブレーキ制御手段と、を備えたブレーキ液圧制御システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、VDC(Vehicle Dynamics Control)、TCS(Traction Control System)、ABS(Anti-lock Brake System)にて共有する液圧制御アクチュエータは、VDC/TCS/ABSアクチュエータと呼ばれる。このVDC/TCS/ABSアクチュエータは、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプと、ポンプモータと、を有するABS液圧制御回路に、ABS機能が発揮される時(制動操作時)にマスタシリンダとの連通を確保し、VDC機能やTCS機能が発揮される時(非制動操作)にマスタシリンダとの遮断を確保するべく設けられた4個のVDC切換バルブを加えた構成となっている。
【0003】
また、VDC/TCS/ABSアクチュエータを駆動制御するVDC/TCS/ABSコントロールユニットは、VDC機能やTCS機能が発揮される時、増圧モードと減圧モードとでポンプモータを駆動する制御を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−168124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のブレーキ液圧制御システムにあっては、下記に列挙するような問題がある。
・ABS液圧制御回路内のポンプは、保証作動時間が短いため、例えば、走行支援ブレーキ制御として、LDPやACC等の様々な走行支援制御が追加されると、ポンプ作動の延べ時間がポンプ保証作動時間を超えてしまう可能性もあり、耐久性要求に応えるために、追加する走行支援制御が限られる場合がある。
・VDC機能やTCS機能が発揮される時は制動操作を行っていない走行中であるため、ポンプモータ作動による異音がドライバーや乗員に対し違和感を与える。
・脈動を持つポンプモータの駆動制御で安定で精度の高い液圧出力を確保するには、オーバーシュート対策や温度補償が必要となる。
・VDC/TCS/ABSアクチュエータは、ABS液圧制御回路に4個のVDC切換バルブを加えたものであるため、ABS液圧制御回路に比べて高コストになる。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、低コストでありながら、増減圧制御時の精度要求、走行支援制御作動時の静音要求、制御ユニット追加に対する耐久性要求に応えることができるブレーキ液圧制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、制動時に各輪の制動ロックを防止するアンチロックブレーキ制御手段と、走行時に必要車輪への制動力付与により車両挙動を安定にする走行支援ブレーキ制御手段と、で共有する液圧制御アクチュエータと、
アンチロックブレーキ制御時や走行支援ブレーキ制御時、前記液圧制御アクチュエータを駆動制御するブレーキ制御手段と、
を備えたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記液圧制御アクチュエータは、
外部からの制御指令によりマスタシリンダ圧を増減制御する液圧制御ブースタと、
マスタシリンダと各輪のホイールシリンダとの間に設けられ、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプを駆動するポンプモータと、を有するABS液圧制御回路と、
による構成とし、
前記ブレーキ制御手段は、アンチロックブレーキ制御時のうち、減圧モード時のみに前記ポンプモータを駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、前記ポンプモータを停止したままで、前記液圧制御ブースタ及び前記バルブの駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明のブレーキ液圧制御システムにあっては、ブレーキ制御手段において、アンチロックブレーキ制御時のうち、減圧モード時のみにABS液圧制御回路のポンプモータを駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、ABS液圧制御回路のポンプモータを停止したままで、液圧制御ブースタ及びABS液圧制御回路の増圧バルブと減圧バルブの駆動制御により制動力の必要車輪が増減圧制御される。すなわち、マスタシリンダとホイールシリンダとの間の液圧制御回路を対比した場合、従来のように4個のVDC切換バルブを必要とせずABS液圧制御回路のみで良いため、低コストを実現できる。また、走行支援ブレーキ制御時の増減圧モードは、脈動のない液圧制御ブースタにて達成されることで、増減圧制御時の高い精度要求に応えることができる。さらに、走行支援ブレーキ制御時には、ABS液圧制御回路のポンプモータを停止したままとするため、走行支援制御作動時の静音要求に応えることができる。加えて、ポンプに比べて液圧制御ブースタは保証作動時間が大幅に長いため、今後増加傾向にある様々な走行支援ブレーキ要求に応えて複数の制御ユニットを追加したとしても、高い耐久性要求に応える。この結果、低コストでありながら、増減圧制御時の精度要求、走行支援制御作動時の静音要求、制御ユニット追加に対する耐久性要求に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のブレーキ液圧制御システムを実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のブレーキ液圧制御システムを示す全体図である。
実施例1のブレーキ液圧制御システムは、図1に示すように、ブレーキペダル1と、液圧制御ブースタ2(液圧制御アクチュエータ)と、マスタシリンダ3と、ABS液圧制御回路4(液圧制御アクチュエータ)と、ホイールシリンダ5RL,5FR,5FL,5RRと、ブレーキ協調コントローラ6(ブレーキ制御手段)と、を備えている。
【0010】
ブレーキ液圧制御システムの液圧制御アクチュエータは、制動時に各輪の制動ロックを防止するアンチロックブレーキ制御システム(アンチロックブレーキ制御手段)と、走行時に必要車輪への制動力付与により車両挙動を安定にする走行支援ブレーキ制御システム(走行支援ブレーキ制御手段)と、で共有する。
【0011】
ブレーキ液圧制御システムのブレーキ制御手段は、アンチロックブレーキ制御時や走行支援ブレーキ制御時、前記液圧制御アクチュエータを駆動制御する。
【0012】
前記液圧制御アクチュエータは、外部からの制御指令によりマスタシリンダ圧を増減制御する液圧制御ブースタ2と、マスタシリンダ3と各輪のホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRとの間に設けられ、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプを駆動するポンプモータと、を有するABS液圧制御回路4と、による構成としている。
【0013】
前記液圧制御ブースタ2は、ブレーキペダル1に対してペダル操作を行っていない非ブレーキ操作時、マスタシリンダ3のプッシュロッドを動作させる力を外部制御によるソレノイド力や流体圧力等により与え、非ブレーキ操作時であるにもかかわらず、制御指令に応じてマスタシリンダ圧をコントロールするものである(例えば、特開平8−48235号公報等を参照)。
【0014】
前記ABS液圧制御回路4は、図1に示すように、各ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRについて、ABS制御弁として、常開のインレットソレノイドバルブ41(増圧バルブ)と、常閉のアウトレットソレノイドバルブ42(減圧バルブ)と、リターンチェックバルブ43と、を備えている。そして、ポンプ44と、ポンプモータ45と、リザーバ46と、インレットバルブ47と、アウトレットバルブ48と、ダンパー室49と、を備えている。
前記ソレノイドバルブ41,42は、前記ブレーキ協調コントローラ6からの制御信号に応じて切換作動し、ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRの液圧を、増圧・保持・減圧する。
前記ポンプ44は、減圧によりリザーバ46に蓄えられたブレーキ液をダンパー室49を経由してマスタシリンダ3へ戻す。
前記ポンプモータ45は、前記ブレーキ協調コントローラ6からの制御信号に応じて、ポンプ44を駆動制御する。
前記リザーバ46は、ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRの減圧時に減圧を効率良く行うため、ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRから抜いたブレーキ液を一時的に蓄えておく。
前記ダンパー室49は、ポンプ44から吐出したブレーキ液の脈動を抑える。
なお、前輪と後輪とで分けられる構成要素には、「F(前輪)」と「R(後輪)」を付し、また、毎各車輪毎に分けられる構成要素には、前輪左について「FL」を付し、前輪右について「FR」を付し、後輪左について「RL」を付し、後輪右について「RR」を付する。
【0015】
前記ブレーキ協調コントローラ6は、アンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」という。)時のうち、減圧モード時のみに前記モータ44を駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、前記ポンプモータ45を停止したままで、前記液圧制御ブースタ2及び前記バルブ41,42の駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御する。
【0016】
前記ブレーキ協調コントローラ6には、図1に示すように、ABSコントロールユニット7(アンチロックブレーキ制御手段)と、VDCコントロールユニット8(走行支援ブレーキ制御手段)と、TCSコントロールユニット9(走行支援ブレーキ制御手段)と、LDPコントロールユニット10(走行支援ブレーキ制御手段)と、ACCコントロールユニット11(走行支援ブレーキ制御手段)と、がCAN通信線12を介して接続されている。
【0017】
前記ABSコントロールユニット7は、急制動時や滑りやすい路面での制動時等において、各車輪の回転数を検出し、タイヤがロックしそうになると、4輪独立のブレーキ液圧制御により各輪の制動ロックを防止し、制動時の車両挙動安定性を向上させる制動ロック防止機能を達成する。
【0018】
前記VDCコントロールユニット8は、滑りやすい路面の走行時や障害物の緊急回避時等において、予め車両の目標挙動に対し車両挙動を制御するために必要な情報(ヨーレイト、横加速度、車速、操舵角)を基に、車両に横滑りが発生しそうになると、4輪独立のブレーキ液圧及びエンジン駆動トルクを制御し、車両の横滑りを防止する横滑り防止制御機能を達成する。
【0019】
前記TCSコントロールユニット9は、滑りやすい路面での発進時や加速時等において、各車輪の回転数を検出し、駆動輪にホイールスピンが発生しそうになると、4輪独立のブレーキ液圧制御による駆動輪の制動及びエンジン駆動トルクを制御し、駆動輪のホイールスピンを防止するホイールスピン防止制御機能を達成する。
【0020】
前記LDPコントロールユニット10は、走行中において、車両が走行車線を逸脱しそうな状況が発生すると、4輪独立のブレーキ液圧制御により、走行車線の中央側に車両を向けて車線逸脱を防止する車線逸脱防止機能を達成する。なお、LDPとは、「Line Departure Prevention」の略称である。
【0021】
前記ACCコントロールユニット11は、自車に先行車がいないときは、ドライバーがセットした設定車速にて巡行するように、エンジンスロットルを開閉制御するが、設定車速より遅い先行車が自車の前に割り込んできた場合等においては、先行車との車速に応じた車間距離を保つようにエンジンスロットルの閉制御を行うと共に自動的にブレーキをかける制御を行うことで、先行車との車間距離を確保する車間自動制御機能を達成する。なお、ACCとは、「Auto Cruise Control」の略称である。
【0022】
前記アンチロックブレーキ制御システムのABSコントロールユニット7と、前記走行支援ブレーキ制御システムの制御目的別に設定された各コントロールユニット8,9,10,11は、各制御ユニット7,8,9,10,11毎にブレーキ制御指令値を演算し、前記ブレーキ協調コントローラ6は、各制御ユニット7,8,9,10,11から出力されるブレーキ制御指令値を一括して入力し、液圧制御ブースタ2とABS液圧制御回路4による液圧制御アクチュエータを駆動制御する。
【0023】
前記ブレーキ協調コントローラ6は、ABS以外の走行支援ブレーキ制御時であって、複数の制御ユニット8,9,10,11から同時にブレーキ制御指令値を入力した場合、複数のブレーキ制御指令値のうち、各輪についてセレクトハイによりブレーキ制御指令値を選択するようにしている。
【0024】
次に、作用を説明する。
[ブレーキ制御処理]
図2は実施例1のブレーキ協調コントローラ6にて実行されるブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
【0025】
ステップS1では、ABSコントロールユニット7からABS制御指令が出力されているか否かを判断し、YESの場合はステップS6へ移行し、NOの場合はステップS2へ移行する。
【0026】
ステップS2では、ステップS1でのABS制御指令が非出力であるとの判断に続き、VDCコントロールユニット8と、TCSコントロールユニット9と、LDPコントロールユニット10と、ACCコントロールユニット11との何れかから制御指令が出力されているか否かを判断し、YESの場合はステップS3へ移行し、NOの場合はステップS5へ移行する。
【0027】
ステップS3では、ステップS2での走行支援制御指令有りとの判断に続き、VDCコントロールユニット8と、TCSコントロールユニット9と、LDPコントロールユニット10と、ACCコントロールユニット11との何れか1つのユニットからのみ制御指令が出力されているか否かを判断し、YESの場合はステップS7へ移行し、NOの場合はステップS4へ移行する。
【0028】
ステップS4では、ステップS3での走行支援制御指令が複数であるとの判断に続き、4輪の各輪について複数の制御指令のセレクトハイ処理により、最大指令値を選択し、ステップS8へ移行する。
【0029】
ステップS5では、ステップS1でのABS制御指令の非出力判断、及び、ステップS2での走行支援制御指令の非出力判断に続き、ブレーキペダル操作に応じて発生するマスタシリンダ圧を、そのまま各ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRに供給する通常ブレーキモードとし、リターンへ移行する。なお、この通常ブレーキモードにおいて、ABSシステムを応用し、ABS制御しきい値を前輪と後輪とで異ならせることで、前後輪の制動力配分を理想制動力配分曲線に近づけるEBD(Electoric Brakeforce Distoribution)を実行しても良い。
【0030】
ステップS6では、ステップS1でのABS制御指令有りとの判断に続き、制動時、各車輪の回転数を検出し、タイヤがロックしそうになると、4輪独立のブレーキ液圧制御により各輪の制動ロックを防止するABS制御を実行し、リターンへ移行する。
【0031】
ステップS7では、ステップS3での走行支援制御指令が1つであるとの判断に続き、制御指令を出力しているVDC制御、TCS制御、LDP制御、ACC制御のうち、制御指令を出力している個別走行支援制御を実行し、リターンへ移行する。
【0032】
ステップS8では、ステップS3での走行支援制御指令が複数であるとの判断、及び、ステップS4での各輪について複数の制御指令のセレクトハイに続き、各輪について選択された最大指令値を得る協調走行支援制御を実行し、リターンへ移行する。
【0033】
[ブレーキ制御動作]
例えば、高μ路において緩制動操作により停止する場合、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS5へと進み、ステップS5では、ブレーキ協調コントローラ6からの制御出力が無く、ブレーキペダル操作に応じて発生するマスタシリンダ圧を、そのまま各ホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRに供給する通常ブレーキモードとされる。
【0034】
例えば、急制動時等で車輪が制動ロックしそうになると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS6へと進み、ステップS6では、4輪独立のブレーキ液圧制御(減圧モードと保持モードと増圧モード)により各輪の制動ロックを防止するABS制御が実行される。
【0035】
例えば、走行中においてVDC制御、TCS制御、LDP制御、ACC制御のうち、1つのコントロールユニットから制御指令を出力していると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS7へと進み、ステップS7では、制御出力している1つのコントロールユニットから制御指令に基づく個別走行支援制御が実行される。
【0036】
例えば、走行中においてVDC制御、TCS制御、LDP制御、ACC制御のうち、2つ以上の複数のコントロールユニットから制御指令を出力していると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS8へと進み、ステップS4では、各輪について複数の制御指令のセレクトハイにより制御指令を決定し、ステップS8では、決定した制御指令に基づく協調走行支援制御が実行される。
【0037】
[背景技術]
従来、VDC、TCS、ABSにて共有する液圧制御アクチュエータは、VDC/TCS/ABSアクチュエータと呼ばれる。このVDC/TCS/ABSアクチュエータは、図3に示すように、各輪毎の増圧バルブ(インレットソレノイドバルブ)及び減圧バルブ(アウトレットソレノイドバルブ)と、ポンプと、ポンプモータと、を有するABS液圧制御回路に、ABS機能が発揮される時(制動操作時)にマスタシリンダとの連通を確保し、VDC機能やTCS機能が発揮される時(非制動操作)にマスタシリンダとの遮断を確保するべく設けられた4個のVDC切換バルブ(プライマリー側2個とセカンダリー側2個)を加えた構成となっている。
【0038】
また、VDC/TCS/ABSアクチュエータを駆動制御するVDC/TCS/ABSコントロールユニットは、走行支援制御であるVDC制御やTCS制御が実行される時、増圧モードと減圧モードとでポンプモータを駆動する制御を行っている。
【0039】
例えば、リヤ左ホイールシリンダの増圧時には、図4に示すように、セカンダリー側VDC切換バルブ1閉(ON)、セカンダリー側VDC切換バルブ2開(ON)、増圧用ソレノイドバルブ開(OFF)、減圧用ソレノイドバルブ閉(OFF)とし、プリチャージポンプとポンプを作動する。これにより、プリチャージポンプの作動によるブレーキ液圧は、マスタシリンダ→セカンダリー側VDC切換バルブ2→ポンプ→増圧用ソレノイドバルブを介してリヤ左ホイールシリンダへ供給される。
【0040】
また、リヤ左ホイールシリンダの減圧時には、図5に示すように、セカンダリー側VDC切換バルブ1閉(ON)、セカンダリー側VDC切換バルブ2閉(OFF)、増圧用ソレノイドバルブ閉(ON)、減圧用ソレノイドバルブ開(ON)とし、プリチャージポンプとポンプを作動する。これにより、リヤ左ホイールシリンダの液圧は、減圧用ソレノイドバルブを介してリザーバへ流れて減圧され、リザーバのブレーキ液は、ポンプにより汲み上げられる。
【0041】
しかしながら、従来のブレーキ液圧制御システムにあっては、下記に列挙するような問題がある。
【0042】
(a)ABS液圧制御回路内のポンプは、保証作動時間が短い(例えば、300時間)ため、例えば、走行支援ブレーキ制御として、LDPやACCやCOPやインチング等が追加させると、ポンプ作動の延べ時間がポンプ保証作動時間を超えてしまい、耐久性要求に応えられない。
ここで、COP(Corner Overspeed Prevention)とは、旋回開始時において、4輪独立のブレーキ制御により、車両の旋回回頭性を確保する回頭性確保機能を発揮する。インチングとは、駐車時等において小刻みに発停を繰り返し短ステップで車両位置の移動機能を発揮する。
【0043】
(b)VDC機能やTCS機能が発揮される時は制動操作を行っていない走行中であるため、ポンプモータ作動による異音がドライバーや乗員に対し違和感を与える。
なお、異音対策として静音モータやポンプを用いたり、アクチュエータ全体を防音ケース等で覆った場合、大幅なコスト増となってしまう。
【0044】
(c)脈動を持つポンプモータの駆動制御で安定で精度の高い液圧出力を確保するには、オーバーシュート対策や温度補償が必要となる。
つまり、ブレーキ液は、温度が低温であると粘度が上がり、高温であると粘度が下がる。よって、ポンプ出力液圧の安定化を目指すには、ブレーキ液温度に応じたきめ細かいオーバーシュート対策が必要であり、定容積のダンパー室のみでは充分に安定で精度の高い液圧出力を確保できない。
【0045】
(d)VDC/TCS/ABSアクチュエータは、ABS液圧制御回路に4個のVDC切換バルブを加えたものであるため、ABS液圧制御回路に比べて高コストになる。
つまり、ABS液圧制御回路は、現在、大半の車両に標準装備される部品であり、その点でも安価なものとなっているが、これに4個のVDC切換バルブを加えた新たな回路とし、しかも、ポンプモータ制御やVDC切換バルブの作動制御を追加する必要あることから、システムとして高価なものとなる。
【0046】
[ブレーキ制御作用]
上記問題に対し、実施例1のブレーキ液圧制御システムでは、液圧制御アクチュエータを液圧制御ブースタ2とABS液圧制御回路4による構成とし、ブレーキ協調コントローラ6は、ABS制御時のうち、減圧モード時のみにポンプモータ45を駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時(VDC制御時、TCS制御時、LDP制御時、ACC制御時等)は、ポンプモータ45を停止したままで、液圧制御ブースタ2及びABS制御バルブ41,42の駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御することで、低コストでありながら、増減圧制御時の精度要求、走行支援制御作動時の静音要求、制御ユニット追加に対する耐久性要求に応えるようにした。
【0047】
すなわち、実施例1のブレーキ液圧制御システムでは、ブレーキ協調コントローラ6において、ABS制御時のうち、減圧モード時のみにおいて従来と同様にポンプモータ45を駆動制御するが、走行支援制御であるVDC制御やTCS制御やLDP制御やACC制御が実行される時、増圧時にも減圧時にもポンプモータを停止したままとする制御を行っている。
【0048】
例えば、走行支援制御におけるフロント左ホイールシリンダ5FLのみを増圧する時には、図6に示すように、アウトレットソレノイドバルブ41FLを開(OFF)、インレットソレノイドバルブ42FLを閉(OFF)とし、ポンプモータ45を停止し、液圧制御ブースタ2に対し増圧指令を出す。なお、他のアウトレットソレノイドバルブ41FR、41RL、41RRは、閉(ON)としておく。
これにより、液圧制御ブースタ2に対する増圧指令に応じてマスタシリンダ3により発生するマスタシリンダ圧が高まり、このマスタシリンダ圧によるブレーキ液が、図6の矢印に示すように、アウトレットソレノイドバルブ41FLを経過してフロント左ホイールシリンダ5FLのみへ導かれる。
【0049】
一方、走行支援制御におけるフロント左ホイールシリンダ5FLのみを減圧する時には、図7に示すように、アウトレットソレノイドバルブ41FLを開(OFF)、インレットソレノイドバルブ42FLを閉(OFF)とし、ポンプモータ45を停止し、液圧制御ブースタ2に対し増圧指令を出す。なお、他のアウトレットソレノイドバルブ41FR、41RL、41RRは、閉(ON)としておく。
これにより、液圧制御ブースタ2に対する減圧指令に応じてマスタシリンダ3により発生するマスタシリンダ圧が低下し、フロント左ホイールシリンダ5FLのブレーキ液は、図7の矢印に示すように、アウトレットソレノイドバルブ41FLを経過してマスタシリンダ3に戻される。
つまり、ポンプモータ45を停止したままで、液圧制御ブースタ2に対する制御指令(増圧・保持・減圧)と、他のアウトレットソレノイドバルブ41FR、41RL、41RRに対する閉指令のみにより、フロント左ホイールシリンダ5FLのみの増圧・保持・減圧が達成される。
【0050】
上記のように、従来システム(図3)と実施例1システム(図1)のマスタシリンダとホイールシリンダとの間の液圧制御回路を対比した場合、実施例1では、従来のように4個のVDC切換バルブを必要とせずABS液圧制御回路4のみで良いし、さらに、走行支援制御においては、ポンプモータ制御やVDC切換バルブの作動制御を行う必要がないため、低コストを実現できる。
しかも、実施例1のシステムは、ほとんどの車両に標準装備されている既存のABSシステムと対比した場合、液圧制御ブースタを追加し、ブレーキ制御プログラムを書き換えるだけで、コスト増を最小に抑えながら数多くの走行支援制御に対応するものとなる。よって、現在、高級車等の一部車両のみに搭載されている走行支援制御を、普通車や小型車に至る大半の車両まで普及させるのに、大いに貢献し得るブレーキ液圧制御システムということができる。
【0051】
また、上記のように、走行支援ブレーキ制御時の増減圧モードは、脈動のない液圧制御ブースタ2にて達成されることで、従来のポンプモータの駆動制御による増減圧制御に比べ、高い精度要求に応えることができる。
つまり、実施例1のブレーキ液圧制御システムにおいて、液圧制御ブースタ2に対する制御指令時に、マスタシリンダ圧やホイールシリンダ圧を検出しておき、これらの圧力情報を目標液圧に対するフィードバック情報とすることで、ブレーキ液の温度の高低にかかわらず、精度の高い増減圧制御を達成できる。
【0052】
さらに、上記のように、走行支援ブレーキ制御時には、ABS液圧制御回路4のポンプモータ45を停止したままとするため、走行支援制御作動時の静音要求に応えることができる。
これによって、走行中に走行支援ブレーキ制御が実行されても、モータポンプ作動音によりドライバーや乗員に違和感を与えることがないばかりでなく、騒音低減のために防音構造にする必要が無いことから、コスト低減にも繋がる。
【0053】
加えて、ポンプ44に比べて液圧制御ブースタ2は保証作動時間が大幅に長いため、今後増加傾向にある様々な走行支援ブレーキ要求に応えて複数の制御ユニットを追加したとしても、高い耐久性要求に応えることができる。
例えば、ポンプ44の保証作動時間は数百時間程度といわれているのに対し、液圧制御ブースタ2の保証作動時間は数千時間程度といわれていて、耐久時間の改善代は10倍以上となる。
したがって、耐久性の限界による走行支援ブレーキ制御システムの搭載制限は外されることになり、今後予想される多数の走行支援ブレーキ制御ユニットを追加要求にも確実に応えることができる。
【0054】
次に、効果を説明する。
実施例1のブレーキ液圧制御システムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0055】
(1) 制動時に各輪の制動ロックを防止するアンチロックブレーキ制御手段と、走行時に必要車輪への制動力付与により車両挙動を安定にする走行支援ブレーキ制御手段と、で共有する液圧制御アクチュエータと、アンチロックブレーキ制御時や走行支援ブレーキ制御時、前記液圧制御アクチュエータを駆動制御するブレーキ制御手段と、を備えたブレーキ液圧制御システムにおいて、前記液圧制御アクチュエータは、外部からの制御指令によりマスタシリンダ圧を増減制御する液圧制御ブースタ2と、マスタシリンダ3と各輪のホイールシリンダ5FL,5FR,5RL,5RRとの間に設けられ、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプを駆動するポンプモータと、を有するABS液圧制御回路4と、による構成とし、前記ブレーキ制御手段は、ABS制御時のうち、減圧モード時のみに前記モータ44を駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、前記ポンプモータ45を停止したままで、前記液圧制御ブースタ2及び前記バルブ41,42の駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御するため、低コストでありながら、増減圧制御時の精度要求、走行支援制御作動時の静音要求、制御ユニット追加に対する耐久性要求に応えることができる。
【0056】
(2) 前記走行支援ブレーキ制御手段は、滑りやすい路面の走行時や障害物の緊急回避時等において、予め車両の目標挙動に対し車両挙動を制御するために必要な情報(ヨーレイト、横加速度、車速、操舵角)を基に、車両に横滑りが発生しそうになると、4輪独立のブレーキ液圧及びエンジン駆動トルクを制御し、車両の横滑りを防止する横滑り防止制御機能を達成するVDCコントロールユニット8であるため、VDC制御時の増減圧制御精度要求や静音要求に応えながら、横滑り防止制御機能を達成することができる。
【0057】
(3) 前記走行支援ブレーキ制御手段は、滑りやすい路面での発進時や加速時等において、各車輪の回転数を検出し、駆動輪にホイールスピンが発生しそうになると、4輪独立のブレーキ液圧制御による駆動輪の制動及びエンジン駆動トルクを制御し、駆動輪のホイールスピンを防止するホイールスピン防止制御機能を達成するTCSコントロールユニット9であるため、TCS制御時の増減圧制御精度要求や静音要求に応えながら、ホイールスピン防止制御機能を達成することができる。。
【0058】
(4) 前記走行支援ブレーキ制御手段は、走行中において、車両が走行車線を逸脱しそうな状況が発生すると、4輪独立のブレーキ液圧制御により、走行車線の中央側に車両を向けて車線逸脱を防止する車線逸脱防止機能を達成するLDPコントロールユニット10であるため、LDP制御時の増減圧制御精度要求や静音要求に応えながら、車線逸脱防止機能を達成することができる。
【0059】
(5) 前記アンチロックブレーキ制御手段のABSコントロールユニット7と、前記走行支援ブレーキ制御手段の制御目的別に設定された各コントロールユニット8,9,10,11は、各制御ユニット7,8,9,10,11毎にブレーキ制御指令値を演算し、前記ブレーキ協調コントローラ6は、各制御ユニット7,8,9,10,11から出力されるブレーキ制御指令値を一括して入力し、液圧制御ブースタ2とABS液圧制御回路4による液圧制御アクチュエータを駆動制御するため、ブレーキ制御指令値演算とアクチュエータ駆動制御とを切り分けることで、演算途中での制御干渉を考慮することなく、安定したブレーキ液圧制御を達成することができる。
【0060】
(6) 前記ブレーキ制御手段としてのブレーキ協調コントローラ6は、ABS以外の走行支援ブレーキ制御時であって、複数の制御ユニット8,9,10,11から同時にブレーキ制御指令値を入力した場合、複数のブレーキ制御指令値のうち、各輪についてセレクトハイによりブレーキ制御指令値を選択するため、ヨーモーメント等の指令値が同時に発生した場合、車両挙動が適切になるように各輪に対しブレーキ液圧を発生させることができる。
【0061】
以上、本発明のブレーキ液圧制御システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0062】
実施例1では、走行支援制御システムとして、VDC制御システム、TCS制御システム、LDP制御システム、ACC制御システムを搭載した例を示したが、例えば、これらのうち何れか複数のシステムを搭載したものであっても、また、全部または一部のシステムに、COP制御システムやインチング制御システムやPBS制御システム等を追加したものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
実施例1では、制動操作手段(ブレーキペダル)とマスタシリンダとを機械的に連結したブレーキ液圧制御システムへの適用例を示したが、制動操作手段とマスタシリンダ以下の液圧制御回路とを分離したブレーキ・バイ・ワイヤによるブレーキ液圧制御システムにも適用することができる。要するに、アンチロックブレーキ制御手段と走行支援ブレーキ制御手段とで共有する液圧制御アクチュエータと、これを駆動制御するブレーキ制御手段と、を備えたブレーキ液圧制御システムには適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1のブレーキ液圧制御システムを示す全体図である。
【図2】実施例1のブレーキ協調コントローラにて実行されるブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】従来のVDC、TCS、ABSにて共有するVDC/TCS/ABSアクチュエータを示す液圧回路図である。
【図4】従来のVDC/TCS/ABSアクチュエータによりVDCまたはTCSを実行する増圧時の作用説明図である。
【図5】従来のVDC/TCS/ABSアクチュエータによりVDCまたはTCSを実行する減圧時の作用説明図である。
【図6】実施例1のブレーキ液圧制御システムで走行支援制御を実行する時の増圧時の作用説明図ある。
【図7】実施例1のブレーキ液圧制御システムで走行支援制御を実行する時の減圧時・解除時の作用説明図ある。
【符号の説明】
【0065】
1 ブレーキペダル
2 液圧制御ブースタ(液圧制御アクチュエータ)
3 マスタシリンダ
4 ABS液圧制御回路(液圧制御アクチュエータ)
5RL,5FR,5FL,5RR ホイールシリンダ
6 ブレーキ協調コントローラ(ブレーキ制御手段)
7 ABSコントロールユニット(アンチロックブレーキ制御手段)
8 VDCコントロールユニット(走行支援ブレーキ制御手段)
9 TCSコントロールユニット(走行支援ブレーキ制御手段)
10 LDPコントロールユニット(走行支援ブレーキ制御手段)
11 ACCコントロールユニット(走行支援ブレーキ制御手段)
12 CAN通信線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動時に各輪の制動ロックを防止するアンチロックブレーキ制御手段と、走行時に必要車輪への制動力付与により車両挙動を安定にする走行支援ブレーキ制御手段と、で共有する液圧制御アクチュエータと、
アンチロックブレーキ制御時や走行支援ブレーキ制御時、前記液圧制御アクチュエータを駆動制御するブレーキ制御手段と、
を備えたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記液圧制御アクチュエータは、
外部からの制御指令によりマスタシリンダ圧を増減制御する液圧制御ブースタと、
マスタシリンダと各輪のホイールシリンダとの間に設けられ、各輪毎の増圧バルブ及び減圧バルブと、ポンプを駆動するポンプモータと、を有するABS液圧制御回路と、
による構成とし、
前記ブレーキ制御手段は、アンチロックブレーキ制御時のうち、減圧モード時のみに前記ポンプモータを駆動制御し、走行支援ブレーキ制御時は、前記ポンプモータを停止したままで、前記液圧制御ブースタ及び前記バルブの駆動制御により制動力の必要車輪を増減圧制御することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記走行支援ブレーキ制御手段は、滑りやすい路面の走行時や障害物の緊急回避時等において、車両に横滑りが発生しそうになると、車両の横滑りを防止する横滑り防止制御機能を達成することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載されたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記走行支援ブレーキ制御手段は、滑りやすい路面での発進時や加速時等において、駆動輪にホイールスピンが発生しそうになると、駆動輪のホイールスピンを防止するホイールスピン防止制御機能を達成することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。
【請求項4】
請求項1に記載されたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記走行支援ブレーキ制御手段は、走行中において、車両が走行車線を逸脱しそうな状況が発生すると、走行車線の中央側に車両を向けて車線逸脱を防止する車線逸脱防止機能を達成することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載されたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記アンチロックブレーキ制御手段の制御ユニットと、前記走行支援ブレーキ制御手段の制御目的別に設定された制御ユニットは、各制御ユニット毎にブレーキ制御指令値を演算し、
前記ブレーキ制御手段は、各制御ユニットから出力されるブレーキ制御指令値を一括して入力し、前記液圧制御アクチュエータを駆動制御することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載されたブレーキ液圧制御システムにおいて、
前記ブレーキ制御手段は、走行支援ブレーキ制御時であって、複数の制御ユニットから同時にブレーキ制御指令値を入力した場合、複数のブレーキ制御指令値のうち、各輪についてセレクトハイによりブレーキ制御指令値を選択することを特徴とするブレーキ液圧制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−38764(P2007−38764A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223548(P2005−223548)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】