説明

ブレーキ装置

【課題】誤操作や誤動作による悪影響を低減できるブレーキ装置を提供すること。
【解決手段】ブレーキ装置10に緊急ブレーキスイッチ20を設け、緊急ブレーキスイッチ20を操作してから設定時間の経過後に、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させる。これにより、緊急制動時以外の制動時に緊急ブレーキスイッチ20を操作するような誤操作をした場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両1が不必要に減速し続けることを抑制することができる。また、車両1の制動時以外に緊急ブレーキスイッチ20を誤って操作し、制動時以外に車両1を制動する、つまり、ブレーキ装置10が誤動作により制動をする場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両1が不必要に減速し続けることを抑制することができる。これらの結果、誤操作や誤動作による悪影響を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置に関するものである。特に、この発明は、車両の操舵手段に操作部が設けられたブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ装置は、足でペダルを操作することにより行なうが、近年のブレーキ装置では、車両のハンドル付近に手で操作する操作手段を設け、足のみでなく手でも操作できるブレーキ装置が提案されている。このように、手と足との両方でブレーキ操作が可能なブレーキ装置の場合、手でブレーキ操作をする場合の車両の運転状況と、足でブレーキ操作をする場合の車両の運転状況とは異なっている場合が多いので、手でのブレーキ操作をした場合のブレーキ力と、足でブレーキ操作をした場合のブレーキ力とは、異ならせるのが好ましい。
【0003】
つまり、手でブレーキ操作をするのは、高速道路で先行車に長時間追従しているような安定走行時や、渋滞の中を走行中など低速走行時などが多く、減速度が比較的小さい制動を行なう際には手でブレーキ操作をする場合が多い。これに対し、足でブレーキ操作をするのは、カーブが連続している道を比較的高速で移動している場合など非安定走行時が多く、減速度が比較的大きい制動を行なう際には足でブレーキ操作をする場合が多い。このように、手でブレーキ操作をする場合と足でブレーキ操作をする場合とでは、運転状況が異なっている場合が多いので、手での操作した場合のブレーキ力と、足で操作した場合のブレーキ力とは、異ならせるのが好ましい。このため、従来のブレーキ装置では、手での操作した場合と足で操作した場合とでブレーキ力を異ならせているものがある。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のブレーキ装置では、足で操作した場合にブレーキ液圧をホイールシリンダに供給する足動ブレーキ手段と、手で操作した場合にブレーキ液圧をホイールシリンダに供給する手動ブレーキ手段とを備えている。さらに、このブレーキ装置では、手動ブレーキ手段から供給するブレーキ液圧の最大圧を、足動ブレーキ手段から供給するブレーキ液圧の最大圧よりも低く設定している。これにより、手でブレーキ操作をした場合と、足でブレーキ操作をした場合とで、ブレーキ力を異ならせているので、操作性を向上させることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−80479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車両のハンドル付近に手でブレーキ操作をする操作手段を設けた場合には、足でブレーキ操作をする場合よりも素早くブレーキ操作を行なうことができるので、手でブレーキ操作をする操作手段を、緊急時のブレーキ操作手段として用いる場合がある。つまり、足はアクセルペダルとブレーキペダルとの双方を操作するため、足でブレーキ操作を行なう場合には、アクセルペダルからブレーキペダルに踏み替える必要がある。このため、足によるブレーキの操作時には、このペダルの踏み替え時間を必要とするため、ブレーキ操作の開始までの時間が長くなる。
【0007】
これに対し、車両の運転時には常に手で握っているハンドルに、手でブレーキ操作を行なうことのできる補助操作手段としてブレーキスイッチを設けた場合には、ブレーキをかける際に、すぐにブレーキスイッチを操作することができ、短時間でブレーキ操作を開始することができる。このため、車両の制動時における、いわゆる空走距離を短くすることができるので、ハンドルに設けるブレーキスイッチは、緊急に制動する必要がある場合のブレーキ操作手段に適している。
【0008】
ここで、このようにハンドルに設けるブレーキスイッチは、手でハンドルを握った状態において指で操作するため、ブレーキ力の制御は行なわずにONとOFFのみを切り替える電気的なスイッチであることが適している。また、このブレーキスイッチを、緊急制動時用の補助操作手段として用いる場合には、ブレーキスイッチがONに操作された際には最大のブレーキ力でブレーキが作動するように設けるのが好ましい。しかし、ハンドルに設けるブレーキスイッチを電気的なスイッチとし、さらに、このブレーキスイッチがONに操作された際には最大のブレーキ力でブレーキが作動するようにした場合には、ブレーキを作動させようとしてブレーキスイッチをONにした場合に、常に最大のブレーキ力でブレーキは作動する。
【0009】
このため、緊急制動時以外の制動時に、ブレーキペダルによる操作をせずに、緊急制動時用の補助操作手段として設けられているブレーキスイッチを操作するような誤操作をした場合でも、車両には大きな減速力が発生してしまう。また、制動時以外にブレーキスイッチを誤ってONにしてしまって誤動作をした場合でも、車両には大きな減速力が発生してしまう。このように、ONとOFFのみを切り替えるブレーキスイッチをハンドルに設け、ブレーキスイッチがONにされた場合には、最大のブレーキ力でブレーキが作動するようにした場合には、緊急時に停止距離を短くすることができる反面、誤操作や誤動作も生じ易く、車両に、不必要に大きな減速力が発生してしまう悪影響が生じる虞があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、誤操作や誤動作による悪影響を低減できるブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るブレーキ装置は、主操作手段の操作と補助操作手段の操作とのいずれの操作によってもブレーキ力を発生可能に設けられており、且つ、前記補助操作手段は車両が有する操舵手段に配設されたブレーキ装置において、前記補助操作手段の操作から設定時間経過後、前記補助操作手段によるブレーキ力を低下させることを特徴とする。
【0012】
この発明では、補助操作手段の操作から設定時間の経過後に補助操作手段によるブレーキ力を低下させているので、補助操作手段によって車両を制動する場合以外の制動時に補助操作手段を操作するような誤操作をした場合でも、補助操作手段を操作してから設定時間の経過後にブレーキ力が低下する。これにより、誤操作により補助操作手段を操作した場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両が不必要に減速し続けることを抑制することができる。また、車両の制動時以外に補助操作手段を誤って操作し、制動時以外に車両を制動する、即ち、ブレーキ装置が誤動作により制動をする場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両が不必要に減速し続けることを抑制することができる。これらの結果、誤操作や誤動作による悪影響を低減することができる。
【0013】
また、この発明に係るブレーキ装置は、さらに、経過時間を計測する経過時間計測手段と、前記経過時間計測手段が前記設定時間を経過したかを判定する設定時間経過判定手段と、を備えており、前記設定時間経過判定手段によって前記経過時間計測手段が前記設定時間を経過したと判定された場合に、前記補助操作手段によるブレーキ力を低下させることを特徴とする。
【0014】
この発明では、経過時間計測手段と設定時間経過判定手段とを設け、経過時間計測手段が設定時間を経過したと設定時間経過判定手段が判定した場合には補助操作手段によるブレーキ力を低下させているので、より正確に設定時間の経過後に補助操作手段によるブレーキ力を低下させることができる。この結果、より確実に誤操作や誤動作による悪影響を低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るブレーキ装置は、誤操作や誤動作による悪影響を低減できる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明に係るブレーキ装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例に係るブレーキ装置が設けられた車両の概略図である。同図に示す車両1には、本発明の実施例に係るブレーキ装置10が備えられており、このブレーキ装置10は、車両1が有する車輪3の近傍に設けられると共に油圧によって作動するホイールシリンダ13と、このホイールシリンダ13と組みになって設けられると共に車輪3の回転時には車輪3と一体となって回転するブレーキディスク14とを備えている。さらにブレーキ装置10は、ホイールシリンダ13と油圧経路12によって接続され、ブレーキ操作時に、ホイールシリンダ13に作用させる油圧を制御するブレーキ油圧制御装置11が設けられている。また、ブレーキ油圧制御装置11とホイールシリンダ13との間に位置する油圧経路12には、油圧経路12内の油圧を検出する油圧検出手段であるブレーキ油圧センサ27が設けられている。
【0018】
また、このブレーキ装置10は、ブレーキ操作をする際に操作する操作手段が複数設けられており、通常のブレーキ操作をする際に用いられる主操作手段であるブレーキペダル7と、緊急時のブレーキ操作をする際に用いられる補助操作手段である緊急ブレーキスイッチ20とが設けられている。この実施例に係るブレーキ装置10は、ブレーキペダル7の操作と緊急ブレーキスイッチ20の操作とのいずれの操作によっても、車両1を制動する際の力であるブレーキ力を発生可能に設けられている。
【0019】
これらのブレーキペダル7と緊急ブレーキスイッチ20とのうち、ブレーキペダル7は、車両1の運転席(図示省略)に運転者が座った状態における運転者の足元付近に設けられており、車両1が有する内燃機関(図示省略)の回転数や出力を制御するために設けられるアクセルペダル8と並んで設けられている。これらのように設けられるブレーキペダル7とアクセルペダル8との近傍には、それぞれ操作状態を検出する検出手段が設けられている。つまり、ブレーキペダル7の近傍には、ブレーキペダル7の操作状態を検出するプレーキストローク検出手段であるブレーキストロークセンサ25が設けられており、アクセルペダル8の近傍には、アクセルペダル8の操作状態を検出するアクセル開度検出手段であるアクセル開度センサ26が設けられている。
【0020】
図2は、図1の車両が有するハンドルの正面図である。また、緊急ブレーキスイッチ20は、車両1が有し、当該車両1の運転時に前輪4(図1参照)の向きを操作する操舵手段であるハンドル6に配設されており、さらに、この緊急ブレーキスイッチ20は、ハンドル6に2つ設けられている。詳しくは、この緊急ブレーキスイッチ20は、ハンドル6の向きを、車両1を直進走行させる状態、即ち直進状態にした場合における、運転者から向かってハンドル6の左半分側と右半分側との2箇所に配設されている。このうち、ハンドル6の左半分側に配設される緊急ブレーキスイッチ20は、第1ブレーキスイッチ21となっており、右半分側に配設される緊急ブレーキスイッチ20は、第2ブレーキスイッチ22となっている。
【0021】
このように配設される第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とは、ハンドル6が直進状態の場合に、ハンドル6を握る運転者の手の近傍に位置するように配設されており、第1ブレーキスイッチ21は、運転者の左手の近傍に位置するように配設され、第2ブレーキスイッチ22は、運転者の右手の近傍に位置するように配設されている。詳しくは、第1ブレーキスイッチ21は、手でハンドル6を握った状態における左手の親指の近傍に位置するように配設されており、第2ブレーキスイッチ22は、手でハンドル6を握った状態における右手の親指の近傍に位置するように配設されている。
【0022】
これらの第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とは、操作することにより電気的な切り替えを行なう、即ちONとOFFとを切り替える押しボタン式のスイッチとなっている。詳しくは、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とは、付勢力を作用させて押しボタン式のスイッチからなるこれらの緊急ブレーキスイッチ20を押した際には、電気的にONの状態になる。また、緊急ブレーキスイッチ20を押した状態から付勢力を除去した場合には、それぞれに内蔵される弾性部材であるバネ(図示省略)の作用により、付勢力を作用させる前の状態に戻り、この付勢力を除去した緊急ブレーキスイッチ20は電気的にOFFになる。
【0023】
図3は、図1に示したブレーキ装置の要部構成図である。また、これらの第1ブレーキスイッチ21、第2ブレーキスイッチ22、ブレーキストロークセンサ25、アクセル開度センサ26、ブレーキ油圧センサ27は、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)30に接続されており、ECU30によって制御可能に設けられている。
【0024】
ECU30には、処理部31、記憶部51及び入出力部52が設けられており、これらは互いに接続され、互いに信号の受け渡しが可能になっている。また、ECU30に接続されている第1ブレーキスイッチ21、第2ブレーキスイッチ22、ブレーキストロークセンサ25、アクセル開度センサ26、ブレーキ油圧センサ27は、入出力部52に接続されており、入出力部52は、これらの第1ブレーキスイッチ21等との間で信号の入出力を行なう。また、記憶部51には、本発明に係るブレーキ装置10を制御するコンピュータプログラムが格納されている。この記憶部51は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、またはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、或いはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0025】
また、処理部31は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されており、経過時間を計測する経過時間計測手段であるタイマカウンタ32と、アクセルペダル8のストローク量であるアクセル開度を取得するアクセル開度取得部33と、運転中の内燃機関の各部を制御する内燃機関制御部34とを有している。また、この処理部31は、ブレーキペダル7のストローク量を取得するブレーキストローク量取得部35と、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧を制御するブレーキ制御部36と、ブレーキ油圧センサ27による検出結果を介してブレーキ油圧制御装置11で発生させた油圧を取得するブレーキ油圧取得部37とを有している。また、この処理部31は、緊急ブレーキスイッチ20の状態、つまり、第1ブレーキスイッチ21及び第2ブレーキスイッチ22の状態を取得する補助操作手段状態取得手段であるブレーキスイッチ状態取得部38と、ブレーキスイッチ状態取得部38で取得した第1ブレーキスイッチ21及び第2ブレーキスイッチ22の状態より、第1ブレーキスイッチ21及び第2ブレーキスイッチ22は正確に操作されているか、即ち、双方は共に押されているかを判定する補助操作手段状態判定手段であるブレーキスイッチ状態判定部39とを有している。
【0026】
また、この処理部31は、アクセルペダル8が戻されているかを判定するアクセルペダル戻し判定部40と、タイマカウンタ32を作動させるタイマカウンタ作動部41と、作動中のタイマカウンタ32が、記憶部51に記憶された設定時間を経過したかを判定する設定時間経過判定手段である設定時間経過判定部42とを有している。さらに、この処理部31は、ブレーキペダル7のストローク量に応じてブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧である目標油圧を算出する目標油圧算出部43と、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させると共に、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力からブレーキペダル7によるブレーキ力に切り替える油圧調整部44と、緊急ブレーキの制御が終了したかを判定する制御終了判定部45とを有している。
【0027】
当該ブレーキ装置10が有するブレーキ油圧制御装置などの制御は、例えば、ブレーキストロークセンサ25などよる検出結果に基づいて、処理部31が前記コンピュータプログラムを当該処理部31に組み込まれたメモリに読み込んで演算し、演算の結果に応じてブレーキ油圧制御装置11などを作動させることにより制御する。その際に処理部31は、適宜記憶部51へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を実行する。なお、このようにブレーキ装置10を制御する場合には、前記コンピュータプログラムの代わりに、ECU30とは異なる専用のハードウェアによって制御してもよい。
【0028】
この実施例に係るブレーキ装置10は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行中は、アクセルペダル8を足で操作することにより、内燃機関の回転数や出力を調整し、車速を調整する。このように、アクセルペダル8を操作している場合には、アクセルペダル8のストローク量、或いはアクセル開度が、アクセルペダル8の近傍に設けられるアクセル開度センサ26によって検出される。アクセル開度センサによる検出結果は、ECU30の処理部31が有するアクセル開度取得部33に伝達されてアクセル開度取得部33で取得し、さらに、取得したアクセル開度が、ECU30の処理部31が有する内燃機関制御部34に伝達される。内燃機関制御部34は、アクセル開度取得部33で取得したアクセル開度センサ26や、その他のセンサによる検出結果に基づいて、内燃機関を制御する。
【0029】
また、車両1の走行中に、アクセルペダル8を戻すことによる速度の低下以上の低下速度で車速を低下させる場合には、アクセルペダル8を操作する足をアクセルペダル8からブレーキペダル7に踏み替え、ブレーキペダル7を踏むことによってブレーキをかける。このように、ブレーキペダル7を踏んで操作する場合には、ブレーキペダル7のストローク量が、ブレーキペダル7の近傍に設けられるブレーキストロークセンサ25によって検出される。ブレーキストロークセンサ25による検出結果は、ECU30の処理部31が有するブレーキストローク量取得部35で取得する。
【0030】
ブレーキストローク量取得部35で取得したブレーキペダル7のストローク量は、ECU30の処理部31が有するブレーキ制御部36に伝達され、ブレーキ制御部36は、ブレーキストローク量取得部35から伝達されたストローク量に応じた制御信号をブレーキ油圧制御装置11に対して送信する。これにより、ブレーキ制御部36は、ブレーキストローク量取得部35で取得したストローク量に応じた油圧を、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる。
【0031】
ブレーキ油圧制御装置11で発生させた油圧は、ブレーキ油圧制御装置11とホイールシリンダ13との間に設けられる油圧経路12を介してホイールシリンダ13に伝達される。その際に、油圧経路12に設けられるブレーキ油圧センサ27は、油圧経路12内の油圧を検出する。ブレーキ油圧センサ27で検出した検出結果は、ECU30の処理部31が有するブレーキ油圧取得部37に伝達され、ブレーキ油圧取得部37で取得する。
【0032】
ブレーキ油圧取得部37で取得した油圧は、ブレーキ制御部36に伝達され、ブレーキ制御部36では、このブレーキ油圧取得部37で取得した油圧と、ブレーキストローク量取得部35で取得したストローク量と照らし合わせることにより、ブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧をブレーキ油圧制御装置11で発生させる。
【0033】
このように、ブレーキ油圧制御装置11で発生させた油圧は油圧経路12を介してホイールシリンダ13に伝達され、ホイールシリンダ13はこの油圧によって作動する。ホイールシリンダ13が作動した場合には、ホイールシリンダ13は、当該ホイールシリンダ13と組みになって設けられ、且つ、車輪3の回転時に一体となって回転するブレーキディスク14の回転速度を低下させる。これにより、車輪3の回転速度も低下し、車両1の速度が低下する。従って、足でブレーキペダル7を操作することにより、ホイールシリンダ13にはブレーキディスク14の回転速度を低下させる力であるブレーキ力が発生し、ブレーキディスク14の回転速度の低下を介して車輪3の回転速度を低下させ、走行中の車両1を制動することができる。
【0034】
また、車両1の走行中に急制動をする場合、つまり、緊急ブレーキ操作をする場合には、ハンドル6に配設される緊急ブレーキスイッチ20を押す。具体的には、緊急ブレーキ操作をする場合には、手でハンドル6を握った状態における左手の親指で第1ブレーキスイッチ21を押し、右手の親指で第2ブレーキスイッチ22を押す。このように、ハンドル6に設けられる緊急ブレーキスイッチ20が押された場合には、緊急ブレーキスイッチ20からECU30の処理部31が有するブレーキスイッチ状態取得部38に対して、緊急ブレーキスイッチ20が押されたことを示す信号が送信される。これにより、ブレーキスイッチ状態取得部38は、緊急ブレーキスイッチ20の状態を取得する。ここで、緊急ブレーキスイッチ20は、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とが設けられているが、ブレーキスイッチ状態取得部38は、第1ブレーキスイッチ21の状態と第2ブレーキスイッチ22の状態との双方の状態を取得する。
【0035】
さらに、ブレーキスイッチ状態取得部38で取得した緊急ブレーキスイッチ20の状態は、ECU30の処理部31が有するブレーキスイッチ状態判定部39に伝達され、ブレーキスイッチ状態判定部39によって、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との双方が押されたかを判定する。また、緊急ブレーキスイッチ20の双方が共に押されている場合には、ECU30の処理部31が有するアクセルペダル戻し判定部40で、アクセルペダル8が戻されているかを判定する。
【0036】
この判定により、アクセルペダル8は戻されているとアクセルペダル戻し判定部40が判定した場合には、ブレーキ制御部36はブレーキ油圧制御装置11に最大油圧を発生させ、最大油圧のブレーキ力で車両1を制動する。また、このように緊急ブレーキスイッチ20が押されることにより制動をする場合には、ECU30の処理部31が有するタイマカウンタ作動部41によってECU30の処理部31が有するタイマカウンタ32を作動させ、ECU30の処理部31が有する設定時間経過判定部42で、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと判定するまで、最大油圧で制動する。この設定時間経過判定部42による判定に用いる設定時間は、予めECU30の記憶部51に記憶されている。
【0037】
なお、この設定時間は、車両1の走行中に足でアクセルペダル8を操作している状態からブレーキペダル7に踏み替えて、最大の踏力でブレーキペダル7を操作する場合における、アクセルペダル8の戻し始めから最大油圧のブレーキ力で車両1の制動が開始されるまでの時間に基づいて設定するのが好ましい。また、設定時間は、車両1の運転状態に応じて変化させてもよい。
【0038】
このように緊急ブレーキスイッチ20が押されることにより最大油圧で制動をする場合には、緊急ブレーキスイッチ20による制動をしている最中に、ブレーキペダル7の操作に応じた目標油圧をECU30の処理部31が有する目標油圧算出部43で算出する。そして、設定時間経過判定部42で、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと判定した場合に、ECU30の処理部31が有する油圧調整部44によって、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧を最大油圧から、目標油圧算出部43で算出した目標油圧に切り替える。即ち、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させ、ブレーキペダル7の操作によるブレーキ力による車両1の制動に切り替える。
【0039】
このように、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧が、最大油圧からブレーキペダル7の操作による油圧に切り替わった場合には、緊急ブレーキの制御は終了したとECU30の処理部31が有する制御終了判定部45で判定し、緊急ブレーキの制御を終了する。
【0040】
図4は、本発明の実施例に係るブレーキ装置の処理手順を示すフロー図である。次に、実施例に係るブレーキ装置10の制御方法、即ち、当該ブレーキ装置10の処理手順について説明する。また、以下の説明では、車両1の走行中に緊急ブレーキスイッチ20が押され、緊急ブレーキを行なう場合における処理手順について説明する。車両1の走行中に緊急ブレーキスイッチ20が押された場合には、緊急ブレーキスイッチ20が2個押されたかを判定する(ステップST101)。この判定は、ECU30の処理部31が有するブレーキスイッチ状態判定部39によって行なう。緊急ブレーキスイッチ20が押された場合には、ECU30の処理部31が有するブレーキスイッチ状態取得部38で、緊急ブレーキスイッチ20の状態を取得するので、ブレーキスイッチ状態判定部39は、ブレーキスイッチ状態取得部38で取得した緊急ブレーキスイッチ20の状態より、緊急ブレーキスイッチ20が2個押されたかを判定する。
【0041】
つまり、緊急ブレーキスイッチ20は、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とからなるため、ブレーキスイッチ状態取得部38は、第1ブレーキスイッチ21の状態と、第2ブレーキスイッチ22の状態とをそれぞれ取得し、取得した緊急ブレーキスイッチ20の状態が、ブレーキスイッチ状態判定部39に伝達される。ブレーキスイッチ状態判定部39では、ブレーキスイッチ状態取得部38から伝達された緊急ブレーキスイッチ20の状態より、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との双方が押されたかを判定する。ブレーキスイッチ状態判定部39での判定により、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との双方が押されていない場合、即ち、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22とのうち、少なくともいずれか一方が押されていないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
【0042】
ブレーキスイッチ状態判定部39での判定により、緊急ブレーキスイッチ20が2個押されたと判定された場合には、次に、アクセルペダル8が戻されたかを判定する(ステップST102)。この判定は、ECU30の処理部31が有するアクセルペダル戻し判定部40によって行なう。このように、アクセルペダル戻し判定部40によって判定するアクセルペダル8の状態は、アクセル開度センサ26で検出し、この検出結果がアクセル開度取得部33に伝達され、アクセル開度取得部33で取得する。また、アクセル開度取得部33がアクセルペダル8の状態を取得する際には、アクセル開度センサ26がアクセルペダル8の状態を検出し続け、アクセル開度取得部33は、時間ごとのアクセルペダル8の状態を取得する。
【0043】
アクセルペダル戻し判定部40には、このようにしてアクセル開度取得部33で取得したアクセルペダル8の状態が伝達され、このアクセルペダル8の状態より、アクセルペダル8が戻されたか否かを判定する。つまり、アクセル開度取得部33は、時間ごとのアクセルペダル8の状態を取得するため、アクセルペダル戻し判定部40では、時間ごとのアクセルペダル8の状態よりアクセルペダル8が操作されている方向を判断し、アクセルペダル8が戻されているかを判定する。即ち、アクセルペダル戻し判定部40は、アクセルペダル8が戻る方向に動いていれば、アクセルペダル8は戻されていると判定する。アクセルペダル戻し判定部40での判定により、アクセルペダル8が戻されていないと判定された場合には、この処理手順から抜け出る。
【0044】
アクセルペダル戻し判定部40での判定により、アクセルペダル8は戻されたと判定された場合には、最大油圧で制動する(ステップST103)。つまり、ECU30の処理部31が有するブレーキ制御部36からブレーキ油圧制御装置11に対して制御信号を送信し、ブレーキ油圧制御装置11に最大油圧を発生させる。ブレーキ油圧制御装置11で発生させた油圧は油圧経路12を介してホイールシリンダ13に伝達され、ホイールシリンダ13はブレーキ力を発生する。これにより、ブレーキディスク14の回転速度は低下し、これに伴い車輪3の回転速度が低下するため、走行中の車両1は最大油圧で制動させられる。
【0045】
次に、タイマカウンタ32を作動させる(ステップST104)。このようにタイマカウンタ32を作動させる場合には、ECU30の処理部31が有するタイマカウンタ作動部41で、ECU30の処理部31が有するタイマカウンタ32を作動させる。
【0046】
次に、ブレーキペダル7の操作に応じた目標油圧の算出をする(ステップST105)。この目標油圧の算出は、ECU30の処理部31が有する目標油圧算出部43で行なう。詳しくは、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との双方が押され、最大油圧で車両1の制動を行なっている状態でブレーキペダル7が操作された場合に、そのブレーキペダル7の操作量、即ちブレーキペダル7のストローク量に応じた目標油圧を目標油圧算出部43で算出する。
【0047】
このように、ブレーキペダル7のストローク量に応じた目標油圧を算出する場合には、ブレーキストロークセンサ25で検出したブレーキペダル7のストローク量をブレーキストローク量取得部35で取得し、このブレーキペダル7のストローク量が目標油圧算出部43に伝達される。目標油圧算出部43では、ブレーキストローク量取得部35から伝達されたストローク量より、このストローク量に応じた目標油圧を算出する。
【0048】
次に、タイマカウンタ32が設定時間を経過したかを判定する(ステップST106)。この判定は、タイマカウンタ作動部41で作動させたタイマカウンタ32が、予めECU30の記憶部51に記憶されている設定時間を経過したかを、ECU30の処理部31が有する設定時間経過判定部42で判定する。設定時間経過判定部42での判定により、タイマカウンタ32が設定時間を経過していないと判定した場合には、タイマカウンタ32が設定時間を経過するまで設定時間経過判定部42での判定を繰り返す。
【0049】
設定時間経過判定部42での判定により、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと判定した場合には、次に、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧を調整する(ステップST107)。この油圧の調整は、ECU30の処理部31が有する油圧調整部44で行なう。詳しくは、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との双方が押された場合、ブレーキ油圧制御装置11は最大油圧を発生し、ホイールシリンダ13は最大油圧で作動するが、タイマカウンタ32が設定時間を経過した場合には、ブレーキ油圧制御装置11で作動させる油圧を、ブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧に切り替える。
【0050】
つまり、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと設定時間経過判定部42で判定した場合には、油圧調整部44はブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧を、最大油圧から、ブレーキストローク量取得部35で取得したブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧に変更させる。その際に、油圧調整部44は、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧を、ブレーキ油圧制御装置11に対して除々に最大油圧からブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧に変更させる。換言すると、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと設定時間経過判定部42で判定した場合には、油圧調整部44は、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させ、ブレーキストローク量取得部35で取得したブレーキペダル7のストローク量に応じたブレーキ力に切り替える。
【0051】
次に、緊急ブレーキの制御が終了したかを判定する(ステップST108)。この判定は、ECU30の処理部31が有する制御終了判定部45で行なう。この制御終了判定部45は、油圧調整部44がブレーキ油圧制御装置11に対して油圧を変更させている状態において、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧が、最大油圧からブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧に切り替わった場合に、緊急ブレーキの制御は終了したと判定する。
【0052】
また、制御終了判定部45での判定により、ブレーキ油圧制御装置11で発生させる油圧がブレーキペダル7のストローク量に応じた油圧に切り替わっていないと判定した場合には、油圧が切り替わるまで制御終了判定部45での判定を繰り返す。
【0053】
以上のブレーキ装置10は、緊急ブレーキスイッチ20を操作してから設定時間の経過後に、緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させている。このため、緊急制動時以外の制動時に緊急ブレーキスイッチ20を操作するような誤操作をした場合でも、緊急ブレーキスイッチ20を操作してから設定時間の経過後にブレーキ力が低下する。これにより、誤操作により緊急ブレーキスイッチ20を操作した場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両1が不必要に減速し続けることを抑制することができる。また、車両1の制動時以外に緊急ブレーキスイッチ20を誤って操作し、制動時以外に車両1を制動する、つまり、ブレーキ装置10が誤動作により制動をする場合でも、設定時間の経過後にはブレーキ力は低下するので、車両1が不必要に減速し続けることを抑制することができる。これらの結果、誤操作や誤動作による悪影響を低減することができる。
【0054】
また、ECU30にタイマカウンタ32と設定時間経過判定部42とを設け、タイマカウンタ32が設定時間を経過したと設定時間経過判定部42で判定した場合には緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させている。これにより、緊急ブレーキスイッチ20を操作した後、より正確に設定時間の経過後に緊急ブレーキスイッチ20によるブレーキ力を低下させることができる。この結果、より確実に誤操作や誤動作による悪影響を低減することができる。
【0055】
なお、実施例に係るブレーキ装置10では、緊急ブレーキスイッチ20が押された場合には、ブレーキ油圧制御装置11に最大油圧を発生させ、最大油圧で制動しているが、緊急ブレーキスイッチ20が押された場合にブレーキ油圧制御装置11に発生させる油圧は最大油圧以外でもよい。緊急ブレーキスイッチ20が押された場合にブレーキ油圧制御装置11に発生させる油圧は、車両1の制動距離の短縮化を図ることのできる油圧であれば最大油圧以外でもよく、また、この油圧は、車輪3の状態や路面状況などに応じて適宜変化させてもよい。
【0056】
また、補助操作手段として設けられる緊急ブレーキスイッチ20は、第1ブレーキスイッチ21と第2ブレーキスイッチ22との2つのスイッチが設けられているが、緊急ブレーキスイッチ20の数は2つ以外でもよい。また、この緊急ブレーキスイッチ20は、手でハンドル6を握った状態における手の親指付近に位置するように配設されているが、緊急ブレーキスイッチ20は、これ以外の位置に配設されていてもよい。また、緊急ブレーキスイッチ20は、押しボタン式のスイッチとなっているが、補助操作手段は、押しボタン式以外の形態で設けられていてもよい。補助操作手段は、車両1の運転中において緊急にブレーキ操作をする際に、速やかにブレーキ操作を行なうことのできる形態で設けられていればよく、このように設けられていれば、上述した形態以外の形態で形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明に係るブレーキ装置は、ブレーキ操作を行なう操作手段を複数有しているブレーキ装置に有用であり、特に、複数の操作手段のうち、一部の操作手段は緊急ブレーキ時に操作する操作手段として設けられている場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例に係るブレーキ装置が設けられた車両の概略図である。
【図2】図1の車両が有するハンドルの正面図である。
【図3】図1に示したブレーキ装置の要部構成図である。
【図4】本発明の実施例に係るブレーキ装置の処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
3 車輪
6 ハンドル
7 ブレーキペダル
8 アクセルペダル
10 ブレーキ装置
11 ブレーキ油圧制御装置
12 油圧経路
13 ホイールシリンダ
14 ブレーキディスク
20 緊急ブレーキスイッチ
21 第1ブレーキスイッチ
22 第2ブレーキスイッチ
25 ブレーキストロークセンサ
26 アクセル開度センサ
30 ECU
31 処理部
32 タイマカウンタ
35 ブレーキストローク量取得部
36 ブレーキ制御部
37 ブレーキ油圧取得部
38 ブレーキスイッチ状態取得部
39 ブレーキスイッチ状態判定部
41 タイマカウンタ作動部
42 設定時間経過判定部
43 目標油圧算出部
44 油圧調整部
51 記憶部
52 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主操作手段の操作と補助操作手段の操作とのいずれの操作によってもブレーキ力を発生可能に設けられており、且つ、前記補助操作手段は車両が有する操舵手段に配設されたブレーキ装置において、
前記補助操作手段の操作から設定時間経過後、前記補助操作手段によるブレーキ力を低下させることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
さらに、経過時間を計測する経過時間計測手段と、前記経過時間計測手段が前記設定時間を経過したかを判定する設定時間経過判定手段と、を備えており、
前記設定時間経過判定手段によって前記経過時間計測手段が前記設定時間を経過したと判定された場合に、前記補助操作手段によるブレーキ力を低下させることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−155875(P2008−155875A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349938(P2006−349938)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】