説明

ブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機

【課題】 一対のブローキャビティと上げ底型とを一体としたブロー型ユニットの単位で金型交換が可能であって、さらに複数の上げ底型は、ブロー成形機本体側の昇降装置に固定する必要がないブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機を提供すること。
【解決手段】 ブロー型ユニットは、第1,第2のブローキャビティ割型及び複数の上げ底型を有するブロー型と、型締め圧力を圧受けする第1,第2の圧受け板と、第1のブローキャビティ割型及び第1の圧受け板が固定される第1の固定板と、第2のブローキャビティ割型及び第2の圧受け板が固定される第2の固定板と、第1,第2の固定板の間に配置されて、複数の上げ底型を第1面に固定する第3の固定板と、第3の固定板の第1面と対向する第2面より垂直に延びる少なくとも一つの軸部と、第1,第2の固定板の一方に固定され、軸部を昇降案内する昇降案内ブロックと、第3の固定板の第2面より垂直に延びる昇降ロッドと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローキャビティ割型と上げ底型を含むブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形機では、ブロー成形される容器に合わせて金型交換が必要である。プリフォームから容器をブロー成形するためのブロー型として、一対のブローキャビティ割型が必要である。加えて、ブロー成形された容器の底部に、内方に向けて突出する所謂シャンペン底や自立壜等の形状とするためには、ブロー型として上げ底型が必要となる。さらに、一対のブローキャビティ割型とは別個に、一対のブローキャビティ割型に型締めされる上げ底型が別個に必要となる場合がある。
【0003】
特許文献1には、一対のブローキャビティと上げ底型とを金型交換時に一体として取り扱うことができるブロー型ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−156728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブロー成形機では、複数のプリフォームから複数の容器を同時にブロー成形するので、一対のブローキャビティ割型には複数のキャビティが形成され、そのキャビティ数と同数の上げ底型が必要となる場合がある。
【0006】
特許文献1によれば、一対のブローキャビティと上げ底型とを一体としたブロー型ユニットの単位で交換できるので、金型交換の作業性は格段に向上した。ただし、複数の上げ底型は、ブロー成形機本体側の昇降装置に固定する必要があった。この固定作業は、作業空間が狭いことも相まって煩雑であり、金型交換作業のさらなる改善が望まれていた。
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、一対のブローキャビティと上げ底型とを一体としたブロー型ユニットの単位で金型交換が可能であって、さらに複数の上げ底型は、ブロー成形機本体側の昇降装置に固定する必要がないブロー型ユニット及びそれを用いたブロー成形機を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、
パーティング面同士を当接させて型締めされる第1,第2のブローキャビティ割型と、前記第1,第2のブローキャビティ割型にて規定される複数のキャビティに複数の上げ底形状を規定する複数の上げ底型と、を有するブロー型と、
パーティング面同士を当接させて型締め圧力を圧受けする第1,第2の圧受け板と、
前記第1のブローキャビティ割型及び前記第1の圧受け板が固定される第1の固定板と、
前記第2のブローキャビティ割型及び前記第2の圧受け板が固定される第2の固定板と、
前記第1,第2の固定板の間に配置されて、前記複数の上げ底型を第1面に固定する第3の固定板と、
前記第3の固定板の前記第1面と対向する第2面より垂直に延びる少なくとも一つの軸部と、
前記第1,第2の固定板の一方に固定され、前記軸部を昇降案内する昇降案内ブロックと、
前記第3の固定板の前記第2面より垂直に延びる昇降ロッドと、
を有するブロー型ユニットに関する。
【0009】
本発明の一態様によれば、複数の上げ底型を固定する第3の固定板は、少なくとも一つの軸部が昇降案内ブロックに昇降自在に保持されている。その昇降案内ブロックは、第1,第2の固定板の一方に固定されている。よって、第1,第2の固定板には、第1,第2のブローキャビティ割型、第1,第2の圧受け板に加えて、昇降案内ブロック及び第3の固定板を介して複数の上げ底型が保持されることになり、金型交換時にこれらを一体で取り扱うことができる。そして、ブロー成形機に設けられた型締め/型開装置の第1,第2の型締め板に、第1,第2の固定板を固定するだけで、ブロー型ユニットをブロー成形機に取り付ける作業が終了する。複数の上げ底型の型締め駆動は、第3の固定板から延びる昇降ロッドを、ブロー成形機の昇降装置が駆動することで実現できる。よって、昇降ロッドを昇降装置に連結しなくて済む。特に、複数の上げ底型は、少なくとも一つの軸部と昇降案内ブロックとによって、第1,第2の固定板の一方に保持されているので、金型交換時に第1,第2の固定板によって第1,第2のブローキャビティ割型を型開きしても、複数の上げ底型が落下することはない。
【0010】
また、複数の上げ底型は第1,第2の固定板の一方の型開移動に伴って横移動され、成形された複数の容器の底部と対向する位置から離脱される。従って、このブロー型ユニットを用いれば、複数の上げ底型と干渉せずに、例えば取り出し装置の取り出しアームを容器の底部と対向する位置に搬入させることができる。
【0011】
(2)本発明の一態様では、前記昇降案内ブロックに対して前記少なくとも一つの軸部を移動付勢して、前記複数の上げ底型を前記第1,第2のブローキャビティ割型から離型させる付勢部材をさらに有することができる。
【0012】
付勢部材が、複数の上げ底型を前記第1,第2のブローキャビティ割型から離型させることができるので、昇降装置の型締め駆動が終了した後に、自重等に頼らずに複数の上げ底型を離型させることができる。
【0013】
(3)本発明の一態様では、前記昇降案内ブロックは、前記複数の上げ底型が配列される配列方向の中心位置に設けられて、前記昇降ロッドを貫通させる貫通孔と、前記中心位置に対して線対称位置に設けられて、複数の軸部を昇降案内する複数のガイド孔と、を有することができる。
【0014】
このようにすると、複数の上げ底型の型締め駆動と離型駆動とを安定して実施することができる。
【0015】
(4)本発明の他の態様は、
基盤と、
前記基盤上に配置される請求項1乃至3のいずれかに記載のブロー型ユニットと、
前記基盤上に設けられ、前記ブロー型ユニットの前記第1,第2の固定板を駆動して、前記第1,第2のブローキャビティ割型を型締め/型開駆動する型締め/型開装置と、
前記ブロー型ユニットの前記昇降ロッドを昇降駆動して、前記ブロー型ユニットの前記複数の上げ底型を昇降させる昇降装置と、
を有するブロー成形機に関する。
【0016】
本発明の他の態様によれば、上述した通り、ブロー型ユニットを一体として交換することができ、金型交換が極めて簡易化される。
【0017】
(5)本発明の他の態様では、前記複数の上げ底型の離型時には、前記昇降ロッドと前記昇降装置との間に隙間を形成することができる。
【0018】
このように、昇降ロッドと昇降装置とは非連結としても、昇降装置の昇降ストロークが、昇降ロッドと昇降装置との間に隙間の長さに加えて上げ底型の移動ストロークだけ有すれば、複数の上げ底型を第1,第2のブローキャビティ割型に対して型締め/型開駆動することができる。
【0019】
(6)本発明の他の態様では、前記第1,第2のブローキャビティ割型の型開後に、前記ブロー成形機にてブロー成形された複数の容器を取り出す取り出し装置がさらに設けられ、前記取り出し装置は、前記複数の容器の底部と対向する領域に搬入される取り出しアームを有することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るブロー成形機では、上げ底型は第1,第2の固定板の一方の型開移動に伴って横移動され、成形された容器の底部と対向する位置から離脱される。従って、複数の上げ底型と干渉せずに、取り出し装置の取り出しアームを容器の底部と対向する位置に搬入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るブロー成形機の平面図である。
【図2】図1のブロー成形機の一部を破断して示す正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】ブロー成形機に取り付けられたブロー型ユニットの側面図である。
【図5】第1の固定板側に取り付けられた第1のブローキャビティ割型等を示す正面図であり、左半分は型締め状態を、右半分は型開き状態を示している。
【図6】第1の固定板側に取り付けられた上げ底型の型締め状態を示す図である。
【図7】第1の固定板側に取り付けられた上げ底型の型開き状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0023】
1.ブロー成形機
先ず、本発明が適用されるブロー成形機の一例を説明する。図1は例えば4ステーションのブロー成形機50を示している。このブロー成形機50は、図2及び図3に示すように、機台52と、下部基盤54と、上部基盤56と、牽引板58と、シリンダ固定板60とを有し、上部基盤56と、牽引板58と、シリンダ固定板60とが下部基盤54を貫通する複数、例えば4本のタイバー62(図1参照)によって連結固定されている。
【0024】
機台52は、内部空洞の箱形状とされ、その上面の一方側に射出装置64を取り付けた状態となっている。下部基盤54は、機台52の他方側の上面に固定された状態となっている。上部基盤56は、下部基盤54と所定の間隔をおいて下部基盤54の上方に配設され、下面側に回転盤66回転可能に支持している。
【0025】
また、この上部基盤56は、射出装置64側の2本のタイバー62の途中位置と、射出装置64と反対側の2本のタイバー62の上端とに連結固定された状態となっている。
【0026】
そして、機台52上の下部基盤54と上部基盤56との間の空間であって、回転盤66の複数の回転停止位置に、複数の処理ステーション1C〜4Cが配置される。図1に示すように、射出装置64側に射出成形ステーション68(1C)、その対向位置にブロー成形ステーション70(3C)、射出成形ステーション68及びブロー成形ステーション70と90度交差する位置に温調ステーション72(2C)及び取り出しステーション74(4C)が設けられている。
【0027】
射出成形ステーション68では、図2に示すように、射出装置64とノズルタッチするホットランナー型76を介して射出キャビティ型78が下部基盤54上に取り付けられている。
【0028】
ブロー成形ステーション70では、同じく図2に示すように、ブロー型締めシリンダ80を含むブロー型締め機構(型締め/型開装置)82によって型締め可能にされた割型からなるブロー型84が下部基盤54上に設けられている。なお、図2では上げ底型は示されていない。
【0029】
温調ステーション72では、図3に示すように、温調ポット86が下部基盤54上に固定されている。
【0030】
取り出しステーション74では、図3に示すように、成形品を取り出すためのシュータ88が下部基盤54上に取り付けられている。
【0031】
また、回転盤66の下面には、射出成形ステーション68、温調ステーション72、ブロー成形ステーション70、取り出しステーション74のそれぞれの位置に対応して、それぞれ複数、例えば2つのネック型90が配設されている。
【0032】
ネック型90は、割型にて構成され、これら割型がそれぞれ分割板からなるネック支持板92に取り付けられ、ネック支持板92の開閉によってネック型90が開閉可能にされている。射出延伸ブロー成形機50では、ネック型90及びこれを開閉可能に支持するネック支持板92が、回転盤66に保持される移送部材を構成する。
【0033】
また、回転盤66は、上部基盤56上に設けた電動モータ94によって90度ずつ間欠回転可能にされ、ネック型90を射出成形ステーション68、温調ステーション72、ブロー成形ステーション70、取り出しステーション74へと順次搬送し得るようにされている。
【0034】
なお、この回転盤66の回転停止位置は、位置決め機構96によって位置決めされるようになっているが、サーボモータの位置決め手段のみでもかまわない。
【0035】
また、上部基盤56上には、温調ステーション72対応位置に図示せぬ温調コアを昇降させる温調コア昇降シリンダ98、ブロー成形ステーション70対応位置にブローコア型100を昇降させるブローコア型昇降シリンダ102及び延伸ロッド104を昇降させる延伸ロッド昇降シリンダ106、そして、取り出しステーション74対応位置にネック支持板92を開くためのエジェクトカム108を昇降させるエジェクトカム昇降シリンダ110等が設けられている。
【0036】
シリンダ固定板60は、上部基盤56の上方で射出成形ステーション68側に位置する2本のタイバー62の上端に固定され、このシリンダ固定板60と上部基盤56との間には、射出コア型112を取り付けた射出コア型型締め板114が2本のタイバー62に沿って昇降可能に取り付けられている。なお、射出コア型112には冷却媒体が循環されるが、冷却媒体の循環装置については省略する。
【0037】
また、シリンダ固定板60上には、射出コア型型締めシリンダ116が取り付けられ、この射出コア型型締めシリンダ116のピストン118の先端が射出コア型型締め板114に連結されている。
【0038】
牽引板58は、機台52内で、4本のタイバー62の下端に連結固定されている。この牽引板58には、射出成形ステーション68の下方位置に竪型締め手段としてのネック型型締めシリンダ120が取り付けられ、このネック型型締めシリンダ120のピストン122が下部基盤54の下面に連結されている。なお、上部基盤56の竪型締め機構は、牽引板58、タイバー62及びシリンダ120で構成される。
【0039】
従って、図3に示すように、牽引板58が上昇した状態でネック型型締めシリンダ120を駆動させると、牽引板58の下降に伴ってタイバー62が牽引されて下降し、このタイバー62に連結固定された上部基盤56が、図2に示すように、ストロークL1分下降して、回転盤66に取り付けられたネック型90が下降し、例えば射出成形ステーション68では、射出キャビティ型78に対してネック型90が型締めされることとなる。
【0040】
なお、ブロー成形ステーション70側においては、上部基盤56の下面が、ブロー型締め機構82の上部に設けたストッパ138に当接して、上部基盤56の下限位置で位置決めされる。
【0041】
さらに、温調ステーション72及びブロー成形ステーション70においては、ネック型90に対して温調ポット86及びブロー型締め機構82によってブロー型84が型締めされる。
【0042】
この上部基盤56の下降時には、射出成形ステーション68側の2本のタイバー62上端に固定されたシリンダ固定板60も同時に上部基盤56と同じストロークL1分だけ下降した状態となっている。
【0043】
この状態で、射出成形ステーション68では、射出コア型型締めシリンダ116の駆動により射出コア型型締め板114をストロークL2分下降させることで、射出コア型112とネック型90とを型締めし、射出装置64より溶融樹脂を射出キャビティ型78内に射出してプリフォーム124を射出成形するようにしている。
【0044】
この場合、射出コア型型締めシリンダ116は、上部基盤56の下降に伴って一体に下降するため、上部基盤56との距離が常に一定に保たれる。
【0045】
そのため、射出コア型型締めシリンダ116の下降ストロークL2は、射出コア型112を回転盤66から退避した位置から型締め位置までの最小ストロークですむため、射出コア型型締めシリンダ116の長さを短くすることができる。
【0046】
しかも、射出コア型型締めシリンダ116は、射出コア型112を型締めするだけの型締め力が得られれば足りるため、射出コア型型締めシリンダ116を比較的小型のものとすることができる。
【0047】
ここで、この射出成形ステーション68の成形動作と同時に、温調ステーション72では、温調コア昇降シリンダ98によって、図示せぬ温調コアを温調ポット86内に挿入してプリフォーム124の温調を行う。
【0048】
また、ブロー成形ステーション70では、ブローコア型昇降シリンダ102によってブローコア型100を下降させ、ネック型90に対してブローコア型100を型締めするとともに、延伸ロッド昇降シリンダ106によって延伸ロッド104を下降させ、ブロー型84内にブローエアーを供給することで温調されたプリフォーム124を二軸延伸ブローしてボトル126を成形する。
【0049】
さらに、取り出しステーション74では、エジェクトカム昇降シリンダ110により、エジェクトカム108を下降させてネック支持板92を介しネック型90を開き、ボトル126を落下させて、シュータ88によりボトル126を装置外に排出するようにしている。なお、ネック支持板92を構成する一対の分割板がスプリングにより常時閉鎖状態に設定されることで、ネック型90が型締め状態とされている。また、その一対の分割板には、図示せぬクサビ孔が、その長手方向の両端部にそれぞれ設けられている。ネック型90の型開きは、エジェクトカム昇降シリンダ110により駆動されるエジェクトカム108がクサビ孔に向けて下降され、分割板を開放駆動することで実施される。
【0050】
次に、各成形工程終了後、ブロー型締め機構82によってブロー型84を型開し、ネック型型締めシリンダ120により上部基盤56を上昇させ、射出コア型型締めシリンダ116、温調コア昇降シリンダ98、ブローコア型昇降シリンダ102、延伸ロッド昇降シリンダ106及びエジェクトカム昇降シリンダ110により、射出コア型112、温調コア、ブローコア型100、延伸ロッド104及びエジェクトカム108を回転盤66位置より待避させれば、回転盤66が回転可能な状態となる。
【0051】
この状態で、電動モータ94により回転盤66を間欠回転させて順次各処理ステーションにおける処理を行うことができる。
【0052】
また、牽引板58のブロー成形ステーション70の下方位置には、補助型締めシリンダ128が設けられ、この補助型締めシリンダ128の図示せぬピストンの先端を下部基盤54に連結して、射出成形ステーション68側とブロー成形ステーション70側の上部基盤56の昇降をバランスよくして、昇降をスムーズに行うことができるようにしている。
【0053】
さらに、機台52内には、ネック型型締めシリンダ120と補助型締めシリンダ128を同期させる同期手段130が配設されている。
【0054】
この同期手段130は、下部基盤54の射出成形ステーション68側とブロー成形ステーション70側にそれぞれ垂下して配設された2つのラック132と、牽引板58の射出成形ステーション68とブロー成形ステーション70間にわたって配設された回転軸134と、この回転軸134に固定され、各ラック132と噛合する2つのピニオン136とから構成される。なお、射出成形ステーション68にも、上部基盤56の下降限を補助的に規制するためのストッパロッド140が設けられている。
【0055】
なお、以下にて説明するブロー型ユニット200は、図1〜図3を用いて説明した4ステーションのブロー成形機50に限らず、同様に回転搬送型の3ステーションのブロー成形機や、プリフォームや容器をリニア搬送するブロー成形機にも適用できる。また、このブロー型ユニット200は延伸処理を必要としない射出ブロー成形機へも適用できる。
【0056】
2.ブロー型ユニット
次に、図4〜図7を参照して、ブロー型ユニット200について説明する。図4は、ブロー成形機50に取り付けられたブロー型ユニット200の側面図である。図4では、ブロー成形機50の構成として、図2に示す下部基盤(基盤)54と、型締め/型開装置82により駆動される第1,第2の型締め板81A,81Bと、例えば油圧シリンダ等の昇降装置150が示されている。
【0057】
図4に示すブロー型ユニット200は、図2に示すブロー型84が、第1,第2のブローキャビティ割型210,211と、上げ底型212とを有する。第1,第2のブローキャビティ割型210,211は、それぞれ容器の外形に合ったキャビティ210A,211Aをそれぞれ有する。第1のブローキャビティ割型210は、図5に示すように複数例えば6個のキャビティ210Aを有する。第2のブローキャビティ割型211もまたも、複数例えば6個のキャビティ211Aを有する。図5〜図7に示すように、第1,第2のブローキャビティ割型210,211にて規定される6個のキャビティ210A,211Aに上げ底形状を規定する6個の上げ底型212が設けられている。
【0058】
図5において、第1のブローキャビティ割型210の両側には、第1の圧受け板220,220が設けられている。同様に、第2のブローキャビティ割型211の両側には、第2の圧受け板221,221が設けられているが、図4では一方の第2の圧受け板221が図示されている。第1,第2のブローキャビティ割型210,211及び第1,第2の圧受け板220,221は、パーティング面P同士を当接させて型締めされる。第1,第2の圧受け板220,221は、型締め圧力を圧受けする。なお、図6及び図7では、第1の固定板230に固定される第1の圧受け板220は、下側部分は図示が省略されている。
【0059】
ブロー型ユニット200は、第1のブローキャビティ割型210及び第1の圧受け板220が固定される第1の固定板230と、第2のブローキャビティ割型211及び第2の圧受け板221が固定される第2の固定板231とを有する。
【0060】
ブロー型ユニット200は、第1,第2の固定板230,231の間に配置されて、複数の上げ底型212を第1面232Aに固定する第3の固定板232を有する。第3の固定板232の第1面232Aと対向する第2面232Bには、第2面232Bより垂直に延びる少なくとも一つ例えば2つの軸部234が固定されている。また、第3の固定板232の第2面232Bには、第2面232Bより垂直に延びる昇降ロッド236が固定されている。
【0061】
ブロー型ユニット200は、第1,第2の固定板230,231の一方、例えば第1の固定板230に固定されて、2つの軸部234,234を昇降案内する昇降案内ブロック240をさらに有する。
【0062】
本実施形態によれば、複数の上げ底型212を固定する第3の固定板232は、少なくとも一つの軸部234が昇降案内ブロック240に昇降自在に保持されている。その昇降案内ブロック240は、第1,第2の固定板230,231の一方の第1の固定板230に固定されている。よって、第1,第2の固定板230,231には、第1,第2のブローキャビティ割型210,211、第1,第2の圧受け板220,221に加えて、昇降案内ブロック240及び第3の固定板232を介して複数の上げ底型212が保持されることになり、金型交換時にこれらを一体で取り扱うことができる。つまり、第1,第2のブローキャビティ割型210,211、第1,第2の圧受け板220,221のパーティング面P同士を合わせた状態で、ブロー型ユニット200を一体としてブロー成形機50に搬入出できる。
【0063】
そして、ブロー成形機50に設けられた型締め/型開装置82の第1,第2の型締め板81A,81Bに、第1,第2の固定板220,221を、図4に示す締結具例えばボルト250で固定するだけで、ブロー型ユニット200をブロー成形機50に取り付ける作業が終了する。複数の上げ底型212の型締め駆動は、第3の固定板232から延びる昇降ロッド236を、ブロー成形機50の昇降装置150が駆動することで実現できる。よって、昇降ロッド236を昇降装置150に連結しなくて済む。
【0064】
本実施形態では、昇降案内ブロック240に対して軸部234を移動付勢して、複数の上げ底型212を第1,第2のブローキャビティ割型210,211から離型させる付勢部材例えば圧縮コイルスプリング260をさらに有することができる。このために、軸部234の端部にはフランジ234Aが設けられ、このフランジ234Aと昇降案内ブロック240の端面(下面)との間にて、軸部234に挿通されて圧縮コイルスプリング260が設けられている。
【0065】
こうすると、付勢部材260が、複数の上げ底型212を第1,第2のブローキャビティ割型210,211から離型させることができるので、昇降装置150の型締め駆動が終了した後に、自重等に頼らずに複数の上げ底型212を離型させることができる。
【0066】
本実施形態では、昇降案内ブロック240は、図5に示すように、複数の上げ底型212が配列される配列方向の中心位置に設けられて、昇降ロッドを貫通させる貫通孔241と、中心位置に対して線対称位置に設けられて、複数の軸部234を昇降案内する複数のガイド孔242とを有することができる。このようにすると、複数の上げ底型212の型締め駆動と離型駆動とを安定して実施することができる。
【0067】
3.ブロー成形方法
ブロー型ユニット200を用いたブロー成形方法を説明すると、先ず図4がブロー成形動作の終了した型開き状態を示している。このとき、第1,第2の型締め板81A,81Bが型締め/型開装置82により開放駆動されるため、第1,第2の固定板230,231を介して、第1,第2のブローキャビティ割型210,211が型開きされる。また、複数の上げ底型212は、付勢部材260の作用により常時昇降案内ブロック240側に牽引されているため、昇降装置150が昇降ロッド236より離れる際、複数の上げ底型212の離型が自動的に行われる。さらに、第1の固定板230に固定された昇降案内ブロック240も横移動されるので、昇降案内ブロック240に支持された軸部234を有する第3の固定板232が、図4の通りに複数の上げ底型212を横移動させる。このように、複数の上げ底型212は第1の固定板230の型開移動に伴って横移動され、成形された複数の容器126の底部と対向する位置から離脱される。従って、このブロー型ユニット200を用いれば、複数の上げ底型212と干渉せず、容器126の底部を傷つけることなしに、例えば図4に示す取り出し装置の取り出しアーム300を容器126の底部と対向する位置に搬入させることができる。このような取り出し装置は、図1に示すような取り出しステーション74を有しないブロー成形機に好適に用いることができる。
【0068】
容器126が取り出されると、次のプリフォーム124がネック型90に保持されてブロー型ユニット200に搬入される。その後、第1,第2の型締め板81A,81Bが型締め/型開装置82により型閉駆動されるため、第1,第2の固定板230,231を介して、第1,第2のブローキャビティ割型210,211が型閉される。このとき、昇降装置150は図7に示すように下降している。つまり、複数の上げ底型212の離型時には、昇降ロッド236と昇降装置150との間に隙間151を形成することができる。このように、昇降ロッド236と昇降装置150とが非連結であるので、ブロー型ユニット200の金型交換作業が容易となっている。また、昇降ロッド236と昇降装置150とが非連結であるので、複数の上げ底型212は第1の固定板230の型開移動に伴って横移動することができる。
【0069】
型締め/型開装置82により第1,第2のブローキャビティ割型210,211が型締めされる前に、昇降装置150が図7に示す位置から図6に示す位置まで上昇される。昇降装置150の上昇ストロークは、図7に示すように、昇降ロッド236と昇降装置150との間の隙間151の長さS1に、上げ底型121の移動ストロークS2を加えた長さである。それにより、第1,第2のブローキャビティ割型210,211が型締めされる前に、複数の上げ底型212を型締めすることができる。その後、第1,第2のブローキャビティ割型210,211が型締めされることで、ブロー成形動作が開始される。
【0070】
ブロー成形動作が終了すると、第1,第2のブローキャビティ割型210,211と複数の上げ底型212の型開きとがほぼ同時か、上げ底型212の型開きが先に開始される。上げ底型212は第1の固定板230により横移動されるので、容器126の底部から上げ底型212が完全に離脱された後に横移動される必要がある。複数の上げ底型212の型開きは、昇降装置150を下降移動させることで、付勢部材260の付勢力により確実に実施される。
【0071】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0072】
例えば、本発明は回転搬送型ブロー成形機に限定されず、水平搬送型ブロー成形機にも同様に適用することができる。また、プリフォームを倒立搬送してブロー成形ステーションに搬入するブロー成形機にも本発明を適用することができる。このとき、付勢部材260は必須となる。
【符号の説明】
【0073】
50 ブロー成形機、54 基盤(下部基盤)、81A,81B 第1,第2の型締め板、82 型締め/型開装置(ブロー型締め機構)、84 ブロー型、150 昇降装置、151 隙間、200 ブロー型ユニット、210,211 第1,第2のブローキャビティ割型、212 上げ底型、220 第1の圧受け板、221 第2の圧受け板、230 第1の固定板、231 第2の固定板、232 第3の固定板、232A 第1面、232B 第2面、234 軸部、236 昇降ロッド、240 昇降案内ブロック、241 貫通孔、242 ガイド孔、250 ボルト、260 付勢部材、300 取り出しアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーティング面同士を当接させて型締めされる第1,第2のブローキャビティ割型と、前記第1,第2のブローキャビティ割型にて規定される複数のキャビティに複数の上げ底形状を規定する複数の上げ底型と、を有するブロー型と、
パーティング面同士を当接させて型締め圧力を圧受けする第1,第2の圧受け板と、
前記第1のブローキャビティ割型及び前記第1の圧受け板が固定される第1の固定板と、
前記第2のブローキャビティ割型及び前記第2の圧受け板が固定される第2の固定板と、
前記第1,第2の固定板の間に配置されて、前記複数の上げ底型を第1面に固定する第3の固定板と、
前記第3の固定板の前記第1面と対向する第2面より垂直に延びる少なくとも一つの軸部と、
前記第1,第2の固定板の一方に固定され、前記少なくとも一つの軸部を昇降案内する昇降案内ブロックと、
前記第3の固定板の前記第2面より垂直に延びる昇降ロッドと、
を有することを特徴とするブロー型ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記昇降案内ブロックに対して前記少なくとも一つの軸部を移動付勢して、前記複数の上げ底型を前記第1,第2のブローキャビティ割型から離型させる付勢部材をさらに有することを特徴とするブロー型ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記昇降案内ブロックは、
前記複数の上げ底型が配列される配列方向の中心位置に設けられて、前記昇降ロッドを貫通させる貫通孔と、
前記中心位置に対して線対称位置に設けられて、複数の軸部を昇降案内する複数のガイド孔と、
を有することを特徴とするブロー型ユニット。
【請求項4】
基盤と、
前記基盤上に支持される請求項1乃至3のいずれかに記載のブロー型ユニットと、
前記基盤上に設けられ、前記ブロー型ユニットの前記第1,第2の固定板を駆動して、前記第1,第2のブローキャビティ割型を型締め/型開駆動する型締め/型開装置と、
前記ブロー型ユニットの前記昇降ロッドを昇降駆動して、前記ブロー型ユニットの前記複数の上げ底型を昇降させる昇降装置と、
を有することを特徴とするブロー成形機。
【請求項5】
請求項4において、
前記複数の上げ底型の離型時には、前記昇降ロッドと前記昇降装置との間に隙間が形成されていることを特徴とするブロー成形機。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記第1,第2のブローキャビティ割型の型開後に、前記ブロー成形機にてブロー成形された複数の容器を取り出す取り出し装置がさらに設けられ、
前記取り出し装置は、前記複数の容器の底部と対向する領域に搬入される取り出しアームを有することを特徴とするブロー成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−86355(P2013−86355A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228855(P2011−228855)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000227032)日精エー・エス・ビー機械株式会社 (35)
【Fターム(参考)】