説明

ブロー成形機切換え方法、及びブロー成形機

【課題】ヒートセット作業温度まで加熱される、複数の回転式に可動な金型を備えるブロー成形機を、金型の交換のために切り換える方法を提供すること。
【解決手段】本発明による方法では、金型が空のままのブロー成形機で、少なくとも1回の模擬作業サイクルを実施し、次いで、金型をヒートセット温度に比べて冷却するように、冷却媒体を金型キャビティ全てに同時に外部から供給する。機械制御部では、このブロー成形機は、空の金型を用いた少なくとも1回の模擬作業サイクルを、冷却媒体を外部から金型中に供給しながら、低減した回転速度で実施するプログラムルーチンを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1のプリアンブルに記載の方法、及び特許請求項10のプリアンブルに記載のブロー成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲料が高温状態で充填されるペットボトル用のヒートセット・ブロー成形機では、金型が、温度制御装置によって熱搬送媒体を用いて、ヒートセット作業温度まで更に加熱される。ヒートセット・ブロー成形機を異なる種類のボトルに切り換えるには、金型を交換しなければならない。ヒートセット・ブロー成形機は、例えば、少なくとも8個、又は最大で30個以上もの金型を含む。ヒートセット作業温度は、約130℃〜180℃となることがあり、したがって、金型交換時には、まずは金型が、例えば40〜60℃の手で扱える温度に冷却するまで待たなければならない。金型は、温度制御装置の、更に搬送される、もはや加熱されていない熱搬送媒体によって冷却されるが、これらの金型が約60℃まで冷却し、交換できるには少なくとも約半時間かかり、金型が約40℃まで冷却し、交換できるには1時間を超える。したがって、金型の交換は、高い生産損失に等しくなる。ヒートセット・ブロー成形機で延伸ブロー成形を実施する場合、延伸型パージロッド又は延伸ロッドを各金型内に導入し、通常の作業サイクル中、ロッドによってプリフォームを金型内で機械的に予備延伸し、この予備延伸したプリフォームをボトル形にするように、通常の作業サイクルの規定された部分にわたってブローエアを供給する。任意選択で、ボトルを金型から除去する前に、ボトルを寸法的に安定した形で除去することが可能となるように、パージエアをやはり短期間吹き込む。しかし、一般に、各金型は、交換に備えて、温度制御装置のなおも循環している、もはや加熱されていない熱媒体によって冷却されるだけである。
【0003】
金型内の成形物をより急速に凝固させ、且つサイクル時間を短縮するために、まずガスを用いて加熱を行い、次いで冷却を行うことが、日本特許第3222714号公報から既知である。
【0004】
成形作業の間、冷却水を用いて金型を冷却することが、特開9085420号公報から既知である。
【0005】
熱交換装置を金型内部に割り当て、それによって、高温又は低温の液体熱媒体を金型の熱交換通路中に誘導し、高温熱媒体から低温熱媒体への移行中に、パージエアを用いてそれぞれの熱媒体をパージさせることが、米国特許第6991756号から既知である。
【0006】
最後に、プラスチック加工用金型を、金型キャビティとは別個のチャネル内に作業温度の液体を入れた状態で保持し、高温で導入した可塑状態プラスチックを凝固させ、金型交換前に、圧縮エアを用いてチャネル内に含まれた液体を除去することが、独国特許第4242024C2号から既知である。
【0007】
本発明の目的は、上述のタイプの方法、並びに金型交換のための切換えによって生じる生産損失を最小限に抑えるブロー成形機を示すことである。
【0008】
前記目的は、特許請求項1の特徴を備えた方法、及び特許請求項10の特徴を備えたブロー成形機によって実現される。
【0009】
ブロー成形機を停止し、金型が十分冷却するまで待つのではなく、少なくとも1回の模擬作業サイクルで、外部から供給される冷却媒体を用いて金型キャビティ表面から熱を除去することによって、強制冷却を実施することが基本的なアイデアである。
【0010】
本方法によれば、温度制御装置の熱媒体を、いかなる追加の熱供給もなく、金型中に循環させることによってだけでなく、それに加えて、少なくとも1回の模擬作業サイクル中に、外部から供給される冷却媒体によって、金型キャビティ表面を介して金型から効率的に熱を除去し、前記熱を放散させることによって、各ヒートセット金型を任意選択で冷却する。驚くべきことに、金型が手で扱うのに適した温度に達するまでの待機時間を約半分に、又はそれ以上に短縮することができ、それによって、金型交換のための切換えによって生じる生産損失が最小限に抑えられる。少なくとも1回の模擬作業サイクルは、全ての金型が均一且つ同時に冷却されるように、ここでは空の金型を用いて実施し、いかなる既存のブロー成形機の駆動及び運動制御機構も、ここでは有用に使用することができる。必要となる唯一の追加の方策は、十分な量の冷却媒体を、冷却作用を強めるように任意選択で高圧力、且つ対応する供給量で供給し導入することにある。しかし、こうした追加の労力は、生産損失の最小化が実現され得ることに比べると取るに足らないものである。冷却媒体を用いた金型キャビティ表面からの放熱は、驚くほど効率が良く、金型キャビティに至るいかなる既存の流路も、金型を大きく改変することなく使用することができ、又は、追加の冷却作業のために、更なるブロー成形機設備は必要でない。代替形態として、強制冷却専用に設けられた供給及び/又は放出経路中に、やはりこの目的のためだけに設けられた搬送装置によって冷却媒体を循環させてもよい。本方法によれば、複数回の模擬作業サイクルを連続した順序で実施し、必要であれば、金型交換に望ましい金型温度に達するまで、ブロー成形機を「空(empty)」で運転し続ける。
【0011】
任意の形で設けられる設備は別として、ブロー成形機には、切換え工程に備え、全ての金型の金型キャビティ内に、任意選択で同時に冷却媒体を搬送する、空の金型を用いた少なくとも1回の模擬作業サイクルを実施する機械制御部のプログラムルーチンしか実質的に必要でない。便宜上、空の金型を用いた少なくとも1回の模擬作業サイクルは、ここでは、通常の作業サイクルに比べて低減した金型回転速度で実施し、したがって、少ないエネルギー入力で実施する。上記以外には、ブロー成形機、特にヒートセット延伸ブロー成形機には、おそらくどのような大きな改変も必要とならない。ヒートセット・ブロー成形作業用に設けられる温度制御装置は、模擬作業サイクルでは、温度制御に使用される熱媒体を加熱せず、その理由は、こうした温度制御装置は、通常の作業サイクル、すなわち加熱のためだけに作動するため、したがって、外部から供給される冷却媒体による追加冷却によって、金型温度がヒートセット作業温度に比べて急速に低下し、金型を非常に短期間の後に早くも交換することができる。例えば、周囲空気を用いて金型キャビティ表面を冷却する。冷却効果を高めるために、周囲空気を能動的な形で、任意選択で冷却することができる。或いは、冷却水等の液体冷却媒体、又は気体及び液体の混合物、例えばエーロゾルの形の冷却媒体を用いて、金型キャビティ表面からの蒸発熱を除去することによって冷却効果を高めることもできる。
【0012】
本方法の便宜的な変形形態では、延伸ブロー成形機として構成されたブロー成形機に、冷却媒体を、空の金型内に配置された延伸型パージロッド、又は延伸ロッドによって、例えば、恒久的に、且つ高圧又は高押出量で供給し、このようにして冷却される全ての金型を、通常の作業サイクルに比べて低い回転速度で動かす。供給された冷却媒体は、例えば、金型が空の状態で、延伸ロッドと金型との間に形成される空間を介して、金型キャビティから流出する。或いは、又はそれに加えて、少なくとも1つのリリーフ弁をやはり金型に割り当てることもでき、この弁は、模擬作業サイクル中、開いているか、又は圧力応答式であり、この弁によって、できる限り高い吐出量で、任意選択で冷却作用を高めるバイアス圧力下で冷却媒体を流出させることが可能となる。模擬作業サイクル中、冷却媒体用の追加の流出経路を放出するように、少なくとも部分的に金型を開くことも可能である。任意選択で、模擬作業サイクル中、冷却媒体を高押出量で特別に意図的に制御された形で金型キャビティ内に通過させ、通常の作業サイクル中と同様に、回転運動中に各金型を開き、再び閉じる。模擬作業サイクルでは、冷却媒体を搬送し、金型キャビティ内に、且つ金型キャビティ表面に向けて散布するという追加の機能が延伸ロッドに与えられる。本方法の便宜的な変形形態では、模擬作業サイクル中、延伸ロッドを、金型キャビティ内の最適な冷却位置で実質的に静止して保持し、冷却媒体を搬送して、最適な冷却効果を実現する。したがって、模擬作業サイクル中は、延伸ロッドは、通常の作業サイクル中のように金型内で往復運動を行うことはない。
【0013】
一方、本方法の別の変形形態では、代替形態として、金型に対する延伸ロッドの運動を利用することが便宜的となり得、この延伸ロッドの運動は、通常の作業サイクルでは、容器をブロー成形するために任意の形で制御されるものであり、したがって、外部から供給される冷却媒体を金型キャビティ内に散布することができる。
【0014】
本方法の便宜的な変形形態では、各模擬作業サイクルは、通常の作業サイクル中よりも低い金型速度で実施する。回転速度はかなり低減させることができ、したがって、ほんの少量の駆動エネルギーしか消費されない。例えば、模擬作業サイクルは、360度にわたり、約50度/秒の回転速度で実施する。
【0015】
本方法によれば、冷却中、及び模擬作業サイクル中は、通常の作業サイクルに比べて角度範囲を変える、例えば、広げると更に有利であり、この範囲にわたって、すなわち模擬作業サイクル内で、機械軸周りで金型を回転運動させ、且つ全ての金型を同時に冷却しながら、冷却媒体を各金型中に搬送する。通常の作業サイクル中は、ブローエアを、例えば非常に狭い角度範囲だけで中程度の押出量で供給するが、一方、模擬作業段階では、周囲空気を、高い押出量で比較的長時間、最大には完全に回転するまで恒久的に供給する。更に、冷却中は、冷却媒体の吐出圧力を、通常の作業サイクルに比べて、例えばかなりの程度まで変えることができる。例えば、吐出圧力は約40バール〜10バールでよく、又はこの圧力範囲内で変えることができる。
【0016】
本方法の上述の変形形態はまた、冷却作用をできる限り効率的にするために互いに組み合わせることができる。
【0017】
例えばブロー成形に使用するものと同じ媒体を、冷却作業にも使用することができる。或いは、異なる媒体で、更には液体、又は気体/液体混合物も冷却に使用することができる。空の金型を用いた模擬作業サイクル中に、ブロー成形と同様に周囲空気を使用する場合、模擬作業サイクル中、液体又はエーロゾル状の冷却媒体と同様に周囲空気を冷却することができる。冷却媒体は外部から搬送供給し、また、冷却媒体は気体、又は液体、又は気体/液体混合物、例えばエーロゾルでよく、気体/液体混合物の場合には、例えば、金型キャビティの表面を介した蒸発熱の除去によって更に強力な冷却作用が生じる。
【0018】
ブロー成形機、特にヒートセット延伸ブロー成形機では、外部からの冷却媒体供給部を延伸ロッドに接続し、このロッドを金型中に導入することができ、このロッドによって、搬送された冷却媒体を金型キャビティ内に金型キャビティ表面にわたって散布し、この冷却媒体は、延伸ロッドと金型との間の所与の空間から放出される。
【0019】
或いは、ブロー成形機は、少なくとも1つの追加の搬送装置を備えることができ、この搬送装置は、少なくとも模擬作業サイクル中、それぞれの金型、及びその延伸ロッドにそれぞれ接続可能であり、外部から供給される冷却媒体を搬送するために使用し、冷却媒体は、気体、液体、又は気体及び液体でもよい。
【0020】
便宜上、ブロー成形機は、各模擬作業サイクル用のプログラムルーチンによって、通常の作業サイクルに比べて、1回転の範囲内で媒体搬送の角度範囲、及び/又は吐出圧力又は吐出量を変えるように、及び/又は、少なくとも実質的に、金型内の所定の冷却位置で、延伸ロッドが静止して止まるように設けられる。上記設定には、ブロー成形機のどのような大きな構造改変も必要なく、上記設定は制御側で都合良くプログラムすることができる。
【0021】
できる限り広い断面積を有する金型流出経路を設け、それによって少なくとも模擬作業サイクル中、冷却媒体の押出量を高めることができるように、制御側で操作可能な、又は圧力応答式のリリーフ弁を金型に割り当てることができる。
【0022】
ブロー成形機の更なる代替形態では、冷却することができる周囲空気、又は冷却することができる冷却水、又は/及びエーロゾル状の冷却媒体等の冷却媒体用の別個の効率的な搬送装置を設けることができ、また、便宜的には広い断面を備え、おそらくは冷却のためだけに接続される、金型に至る供給経路を設けることができ、それによって、模擬作業サイクル中、全ての金型を、それらの金型キャビティ表面を介して同時に恒久的且つ効率良く、高押出量及び/又は高圧で冷却する。
【0023】
次に、本発明の主題の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】複数の金型を備えたブロー成形機の概略図である。
【図2】通常の作業サイクル段階にある金型の断面図である。
【図3】金型を強制冷却する模擬作業サイクル中の金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、プリフォームからペットボトル等のプラスチック容器を製造するブロー成形機Bを示す概略図であり、容器は、ブロー成形機Bの通常の作業サイクルで連続して製造され、各作業サイクルは、例えば、ブロー成形機Bの360度回転を含む。便宜上、このブロー成形機Bは、飲料が高温状態で充填されるペットボトルを製造するためのヒートセット型延伸ブロー成形機である。すなわち、このブロー成形機は、製造開始前に、ブロー成形機Bの金型を、温度制御装置(図示せず)、及び例えば金型キャビティとは別個のチャネル中を循環して金型に搬送される熱媒体によって、例えば約130℃〜180℃のヒートセット作業温度まで加熱し、熱媒体を前記温度で保持することを意味する。延伸ブロー成形では、各プリフォームをブロー成形工程で機械的に延伸し、ブローエアを供給しながら、金型内でブロー成形する。
【0026】
ブロー成形機Bでの製造を異なる製品(異なる容器又は異なるボトル)に切り換えなければならない場合、金型を、製造終了時に冷却させた後、交換しなければならないが、温度制御装置によって、熱媒体をなおも金型中を循環させることができるが、この熱媒体はもはや加熱しなくてもよい。
【0027】
図1に示すブロー成形機Bは、かかるタイプの従来のブロー成形機に比べて、金型交換のための待機時間、及びそれに伴う生産損失を最小限に抑えるように、追加の強制冷却装置を備えている。前記強制冷却装置についてはまた、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1のブロー成形機Bは、回転駆動体12によって、矢印2の方向に回転式に駆動可能な機械軸又はシャフト1を備える。金型ホルダ4、及び交換可能な金型5を担持しているアーム3が、機械シャフト1に取り付けられている。この機械シャフト1は、例えば360度の通常の作業サイクルでの製造の間、金型5がその周りで回転する軸Xを規定し、各金型5は、プリフォーム(図2のP)を備えた開状態で送られ、次いで金型5は閉じ、容器、例えばボトル(図2のF)がプリフォームPからブロー成形され、その後金型5は再度開き、ボトルFが金型から除去される。
【0029】
各金型5は、例えば2つの折曲げ式金型半体(5a及び5b)、並びに可動底部6からなり、これらが一体となって、図2に概略的に示す金型キャビティ13を規定し、このキャビティ13は、口保持部分14を有する。ボトルFを延伸ブロー成形によって成形する場合、各金型5に中空の延伸ロッド7が割り当てられ、このロッド7は流路15を備え、アクチュエータ17によって、金型キャビティ13内で双頭矢印16の方向に直線移動が可能である。アクチュエータ17は、例えば、ブロー成形機Bのカム制御器(図示せず)を備えてもよい。
【0030】
図1は、分配器9から金型5の延伸ロッド7まで延在する接続線8を更に示し、この接続線8は、金型5とともに回転し、接続線10を介して搬送装置11、例えば、圧縮エア制御器又はコンプレッサに接続され、この搬送装置11は、プリフォームPをブロー成形するために、ブロー成形機Bの回転の特定の角度範囲内で周囲空気Lを延伸ロッド7に選択的に搬送する。
【0031】
ブロー成形機Bは、金型交換によるブロー成形機Bの切換え又は交換に備えた強制冷却装置を動作させるプログラムルーチンRを含むプログラム区画Dを備えたコンピュータ化機械制御部Cを備える。
【0032】
製造終了後、プログラムルーチンRを用いて少なくとも1回の模擬作業サイクルを実施し、このサイクルでは、空の金型5を、通常の作業サイクル中の回転速度に比べて低減した回転速度で、機械軸X周りで動かす。ここでは、金型5は、空の状態とし、すなわち、プリフォームPはもはや挿入されない。温度制御装置を更に動作させることができるが、熱媒体はもはや加熱しない。模擬作業サイクル中、搬送装置11によって、周囲空気Lを、延伸ロッド7を介して全ての金型5の金型キャビティ13内に同時に恒久的に吹き込み、それによって金型キャビティ表面から熱を吸収する(図3)。加熱した空気は、延伸ロッド7と、金型5の口保持部分14との間の空間Zを介して流出する。
【0033】
プログラムルーチンRは、延伸ロッド7が、通常の作業サイクルでも実行される双頭矢印16の方向の直線運動を実施するように、又は、模擬作業サイクル中、延伸ロッド7が、金型キャビティ13内の所定の最適冷却位置で実質的に静止して保持されるように設計することができる。
【0034】
更に、プログラムルーチンRは、合計360度の機械回転にわたって周囲空気Lを供給するように設計することができる。吐出圧力又は吐出量は、通常の作業サイクルに比べて変えることができ、便宜的には高める、及び/又は徐々に増大又は低減させることができる。
【0035】
図示の工程シーケンスでは、通常の周囲空気Lを、例えば金型5の強制冷却に使用する。周囲空気Lは、冷却効果を高めるために、模擬作業サイクル中に冷却することができる。強制冷却中、できる限り高い押出量を実現するために、各金型5は、プログラムルーチンRを介して開くか、又は圧力応答式の少なくとも1つのリリーフ弁Vを更に備えることができる。強制冷却はまた、金型5が開き、再び閉じる間も模擬作業サイクル内で継続して行うことができる。或いは、金型5は、模擬作業サイクル中閉じたままとしても、又はほんの僅かだけ開いてもよい。
【0036】
図2は、金型5が、機械軸X周りで矢印2の方向に回転し、挿入されたプリフォームPが、口保持部分14及び差し込まれた延伸ロッド7に付着して保持されている、通常の作業サイクル段階を示す。この段階では、プリフォームPは、まだ成形されていない。金型は、約130℃〜180℃のヒートセット作業温度に既に達している。通常の作業サイクルの更なる過程では(図示せず)、プリフォームPを機械的に延伸するために、延伸ロッド7(破線で輪郭を示す)をまず降下させる。それと同時に、又はそれに続いて、プリフォームPを金型キャビティ表面13に沿ってボトルFの形状とし、ボトルFが金型から除去できるほど十分に凝固するまで保持するように、ブローエアを、搬送装置11及び供給線8を介して導入する。
【0037】
図3は、空の金型5の追加の強制冷却のための、模擬作業サイクル中のシーケンスを示す。周囲空気Lを搬送装置11によって供給線8を介して恒久的に吹き込みながら、延伸ロッド7を通常の作業サイクルと同様に双頭矢印16の方向に動かすと、周囲空気Lは金型キャビティ表面13に作用し、空間Zを介して金型5から流れ出る。任意選択で、空気はまた、リリーフ弁Vを介して金型キャビティ13から放出され、その場合この弁は開いている。更に、矢印(21及び22)によって概略的に示すように、少なくとも一時的に金型5を開くことが任意選択で可能であり、この工程で強制冷却が中断されることはない。
【0038】
或いは、図3に、模擬作業サイクル中に、搬送装置11を介して金型5中に搬送される、異なる、すなわち液体冷却媒体M、例えば冷却水用の貯蔵部20を概略的に示し、ここではスイッチ弁18によって周囲空気Lの供給を遮断することができる。更なる代替形態として、模擬作業サイクル中、供給線9を介して全ての金型5の金型キャビティ13中に同時に冷却媒体(例えば冷却水M)を搬送する搬送装置19(コンプレッサ又はポンプ)を更に設けてもよい。強制冷却はまた、周囲空気と冷却水との混合物(例えばエーロゾルとして)を用いて実施することもできる。
【0039】
更なる代替形態として、別個の供給線23を破線で示し、この供給線23は、追加の搬送装置19から金型キャビティ13への入口、又は延伸ロッド7に至り、模擬作業サイクル中に前記供給線23を介して媒体を外部から空の金型5に供給することができ、例えば、リリーフ弁Vを介してその媒体を放出することができる。この形態は、延伸ロッド7なしで動作するヒートセット金型5で使用することができるが、延伸ロッド7を使用する場合にも使用することができる。
【0040】
最後に述べたケースでは、必要であれば、金型キャビティ13を供給線23及び供給線8を介して強制冷却することができ、ヒートセット動作温度に比べて、約60℃〜40℃の範囲の金型交換に許容可能な温度まで金型5を冷却し、金型交換及びブロー成形機Bの切換えまでの待機時間を可能な限り短縮するように、金型キャビティ表面13から放熱させることができる。
【0041】
標準のヒートセット延伸ブロー成形機では、金型を約60℃まで冷却する冷却期間は、温度制御装置によって送られる、もはや加熱されてない熱媒体を単に利用するだけにすぎず、少なくとも半時間かかり、約40℃まで冷却するには1時間を超える。本発明による強制冷却を用いると、この冷却期間を半分に、又はそれ以上にも短縮することが可能である。本発明ではまた、各模擬作業サイクルの間だけ、別個の供給経路を介して冷却媒体L、Mを全ての金型キャビティ内に同時に加えることも企図される。或いは、金型キャビティ表面の強制冷却の目的のためだけに、金型を供給線及び少なくとも1つの搬送装置に接続し、この冷却期間中は、ブロー成形機を停止してもよい。熱媒体は、温度制御装置によって循環させておくことができるが、必ずしもその必要はない。任意選択で、強制冷却中、熱媒体を更に冷却する。
【符号の説明】
【0042】
P プリフォーム
F プラスチック容器
B ブロー成形機
L、M 冷却媒体
V リリーフ弁
X 機械軸
C 機械制御部
R プログラムルーチン
D プログラム区画
Z 空間
1 機械シャフト
3 アーム
4 金型ホルダ
5 金型
6 可動底部
7 延伸ロッド
8、10 接続線
9 分配器
11、19 搬送装置
12 回転駆動体
13 金型キャビティ
14 口保持部分
15 流路
17 アクチュエータ
18 スイッチ弁
20 貯蔵部
23 供給線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム(P)のプラスチック容器(F)、特にペットボトル(F)用のブロー成形機(B)を、金型の交換のために切り換える方法であって、前記ブロー成形機(B)が、作業サイクル中、回転式に可動であり、ヒートセット作業温度まで加熱される複数の金型(5)を備える、方法において、
空の金型(5)を用いた少なくとも1回の模擬作業サイクルが、前記ブロー成形機(B)の前記金型の交換に備えて実施されること、及び前記少なくとも1回の模擬作業サイクル中に、冷却媒体(L、M)が、前記金型(5)の前記金型キャビティ(13)全てにわたって少なくとも実質的に同時に搬送され、前記金型(5)が、外部から供給された前記冷却媒体(L、M)によって、前記金型キャビティ表面(13)からの放熱により、前記ヒートセット作業温度に比べて冷却されることを特徴とする方法。
【請求項2】
延伸ブロー成形機として形成された前記ブロー成形機(B)に属する、空のままの閉じた前記金型(5)内に、延伸ロッド(7)が配置され、前記冷却媒体(L、M)が、前記延伸ロッド(7)を介して前記金型(5)の前記金型キャビティ(13)中に導入され、好ましくは、前記空の金型(5)の、前記延伸ロッド(7)と前記金型(5)との間に形成される空間(Z)を少なくとも介して前記金型(5)から放出されること、及び/又は、少なくとも1つのリリーフ弁(V)を更に、又は或いは介して、前記金型の外に、及び/又は少なくとも部分的に開いた前記金型(5)の外に放出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記模擬作業サイクル中、前記延伸ロッド(7)が、前記金型(5)内にプリフォーム(P)を有する通常の作業サイクルにおいて制御される延伸ロッド運動に対して、所定の冷却位置で実質的に静止して保持されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記模擬作業サイクル中、前記金型を冷却するように、前記延伸ロッド(7)が、通常の作業サイクルと同様に前記金型(5)内で動くことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記金型(5)を冷却する間の前記模擬作業サイクルが、前記ブロー成形機(B)の前記金型(5)の、通常の作業サイクルに比べてより低い回転速度で、好ましくは、360度にわたり約50度/秒以下で実施されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記金型(5)を冷却する間の前記模擬作業サイクル中、角度範囲が、通常の作業サイクルに比べて変わり、好ましくは広がり、前記角度範囲にわたって、前記模擬作業サイクル内で、機械軸(X)周りで前記金型(5)を回転運動させながら、前記冷却媒体(M、L)が前記金型(5)中に同時に搬送されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記模擬作業サイクルにおける冷却中、前記冷却媒体(M、L)の搬送圧力が、通常の作業サイクルに比べて変わり、好ましくは上昇し、好ましくは約40バール〜10バールの間の圧力範囲となることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記模擬作業サイクル中に前記金型(5)中に搬送される前記冷却媒体(M、L)が、前記通常の作業サイクルでプリフォーム(P)をブロー成形及び/又はパージするためにも使用される媒体、又は前記媒体とは異なる媒体であり、及び/又は、前記通常の作業サイクル中に搬送される前記媒体よりも低い温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却媒体(L、M)が、周囲空気、好ましくは冷却された周囲空気等の気体、又は冷却水、好ましくは冷却された冷却水等の液体、又は気体/液体混合物、例えばエーロゾルの形であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
通常の作業サイクル中、回転式に動き、交換可能に保持されたヒートセット金型(5)内で、プリフォーム(P)からプラスチック容器、特に高温充填用のペットボトル(F)をブロー成形するブロー成形機(B)、特に延伸ブロー成形機であって、プログラム可能な機械制御部(C)と、各金型(5)中に媒体(M、L)を搬送する搬送装置(11、19)とを備えるブロー成形機において、
前記機械制御部(C)が、空の金型(5)を用いた少なくとも1回の模擬作業サイクルを、冷却媒体(M、L)を外部から前記金型(5)中に供給しながら、金型キャビティ表面を強制冷却するように、低減した回転速度で実施するプログラムルーチン(R)を備えたプログラム区画(D)を有することを特徴とする、ブロー成形機。
【請求項11】
前記搬送装置(11、19)が、延伸ロッド(7)に接続されるか、又は接続可能であり、前記延伸ロッド(7)を前記金型(5)中に導入することができることを特徴とする、請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項12】
前記金型(5)及び前記延伸ロッド(7)に接続可能な少なくとも1つの追加の搬送装置(19)がそれぞれ、気体又は液体冷却媒体(M、L)を搬送する少なくとも前記模擬作業サイクル中に設けられること、及び/又は、別個の供給経路が、前記強制冷却のためだけに設けられることを特徴とする、請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項13】
模擬作業サイクル用のプログラムルーチン(R)を介した前記金型(5)の回転範囲内で、前記媒体を供給する角度範囲及び/又は搬送圧力が可変であること、及び/又は前記延伸ロッド(7)を、前記金型キャビティ(13)内の所定の冷却位置で実質的に停止することができることを特徴とする、請求項10に記載のブロー成形機。
【請求項14】
各金型(5)にリリーフ弁(V)が割り当てられ、前記リリーフ弁(V)が、模擬作業サイクル中に強制冷却を行うように動作可能であるか、又は圧力応答性であることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載のブロー成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11546(P2011−11546A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−140625(P2010−140625)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(506040652)クロネス アクティェンゲゼルシャフト (55)
【Fターム(参考)】