説明

プラスチック部品を製造する射出成形方法

【課題】部品の異なる領域の優れた特性が保証される射出成形方法を提供する。
【解決手段】射出成形方法は、第1キャビティを有する第1金型において、露出面2と、露出面2と反対側に位置するコア面3とを有する露出部分1のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップa)と、第1金型を分割面24に沿って開放するステップb)と、第2キャビティ28内に露出部分1を有する第2金型25を閉鎖するステップc)と、露出部分1のコア面3上で機能部分10のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップd)と、第2金型25を開放してプラスチック部品を取出すステップe)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様と独立請求項1の一般的な用語によれば、本発明の主題は、熱可塑性加工用プラスチック成形材料から少なくとも1個の露出部分と少なくとも1個の機能部分を有するプラスチック部品を製造する射出成形方法であって、露出部分用のプラスチック成形材料は、効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備え、又、機能部分は、露出部分とは異なる物理的及び/又は化学的プラスチック特性を示すことができる射出成形方法である。第2の態様と独立請求項23の一般的な用語によれば、本発明の主題は、上記プラスチック成形材料から同様に製造されたプラスチック部品である。
【0002】
上記部品は、特に、但し、決して限定的ではなく、例えば、外部バックミラー用囲いとして自動車に使用される。美的理由から、上記プラスチック部品は、色及び/又は光学効果において自動車の表面と合致する表面を有することがしばしば必要である。メタリック、干渉、真珠層又は乳光効果を生じる表面の場合、その表面を決定する層について特に高い要件が課せられる。その上、上記部品は、特に耐引掻性と耐候性である表面を示すべきである。更に、上記部品は、特に良好な機械的性質、特に、高い衝撃強さを示すべきである。
【背景技術】
【0003】
上記プラスチック部品は、通常、マルチステッププロセスで製造される。第1に、部分が、非染色プラスチックから生産(例えば、射出成形)され、次に、所望の色にバーニッシュ処理される(EP076474参照)。機械的に応力付加したコア又は機能部分の機能はプラスチックにより果たされ、露出機能又は所望の光学効果はワニスにより果たされる。両材料は、それらの特定目的に合わせて適当に選択することができる。実際のバーニッシュ処理作業の前に、プラスチック部品は、塗布されたワニスが適当に付着するように定期的に前処理(例えば、清浄、脱脂、イオン化)しなければならない。このありふれた製造プロセスは、よって高コストであると共に、長い処理時間を必要とする。それにもかかわらず、そのプロセスは、偏析現象、染料凝集、フローマーク、スプレーマーク、画像の不明瞭な区別等の色分布の不規則さが全く無い光学的に申し分のない表面を作る。
【0004】
囲いが着色熱可塑性樹脂から製造される自動車用外部バックミラーは、DE29610374から公知である。追加のバーニッシュ処理の必要なしに自動車の色との合致を達成することはできるけれども、このような着色プラスチックは、殆どの場合あまりに高価であると共に、しばしば、露出面上にフローマークを示す。更に、単一材料から成る構造物は、補強リブ、止着要素等を有する機能部分の良好な表面品質と良好な機械的性質の間の妥協をユーザーに強いる。
【0005】
2要素又は3要素部品の一般的な射出成形方法は、例えば、以下のステップ:第1キャビティを有する第1金型において露出部分用のプラスチック成形材料の射出成形と凝固;分割線に沿った第1金型の開放;第1金型内で生産された露出部分を第2キャビティ内に有する第2金型の閉鎖;露出部分のコア面上での機能部分のプラスチック成形材料の射出成形と凝固;と第2金型の開放及び部品の取出しを備えるUS6,468,458から公知である。
【0006】
DE19722551A1とDE10001010A1は、いわゆる「モノサンドイッチ」プロセスによる多要素部品の製造を提案している。両要素(スキン要素とコア要素)が、可塑化ユニット内で代わる代わる層にされ、次に、一つの射出作業で金型に射出されるツール金型において、このような部品が多要素射出成形方法によって生産される。ここでも、その2個の要素は、それらの特定の目的にできるだけ合致するように、適当に選択することができる。もし効果色を、スキン又は表面要素に真珠層又はメタリック粒子を含むことによって生成すべきならば、このような部品は、しばしば、その表面上に目障りなフローマークを示しがちである。
【0007】
例えば、JP2000327835から、特に、射出成形効果層のフローマーク及び/又はニットラインが、特に露出されて、従って、特に目障りであることが公知である。ここで、効果層のフローマーク及び/又はニットラインが、例えば、金属板状物がそれを囲むマトリックス内の流れ方向のためにランダムでない方位を取る事実から発生する。もし2個のメルトフロントが一緒に流れるならば、メルトフロントは、金属板状物の異なる方位のために露出したままである。フローマークは、効果層内の流速や流れ方向を局所的に変えることによって、生成することができる。ニットラインは、効果層内の流れ障害物から発生する。とにかく、フローマーク及び/又はニットラインは、効果層の光学的影響から目障りな程度まで減少する。
【0008】
他のもの(例えば、US5,916,643参照)は、効果顔料を含有する深絞りフィルムをインモールドインジェクションすることによって、フローマーク及び/又はニットラインのこの問題を解決を試みた。部品の必要な形状と使用される効果色粒子に応じて、フィルムの弾性的形成はその効果を劣化させ得る結果、フローマークに類似した縞模様が目立つようになる。更に、特にアンダーカット構造用の射出金型内のフィルムの位置決めは、どのエッジ部も光学的印象を害し、又、除去又は隠蔽しなければ成らない点で、しばしば困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、部品の異なる領域の優れた特性が保証される別の射出成形方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の局面によれば、この目的は、冒頭に記載の射出成形方法が、
第1露出金型部分と第1コア金型部分によって限定される第1キャビティを有する第1金型において、露出面と、露出面と反対側に位置するコア面とを有する露出部分のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップa)と、
第1露出金型部分と第1コア金型部分を互いに分離することにより、第1金型を分割線又は分割面に沿って開放するステップb)と、
露出部分を有するレセプタクル金型部分と第2コア金型部分によって限定される第2キャビティ内に露出部分を有する第2金型を閉鎖するステップc)と、
露出部分と機能部分の間の成形材料付着性を発生させるために、露出部分のコア面上で機能部分のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップd)と、
第2金型を開放してプラスチック部品を取出すステップe)とを備える独立請求項1の特徴によって達成される。
【0011】
本発明が提案する射出成形方法は、各露出部分に対して、フローマーク及び/又はニットライン等の不規則部を防止するために、流れを最適化するように配置された単一の射出ノズル又はカスケード射出成形方法における少なくとも2個の射出ノズルを使用する点と、露出部分1用のプラスチック成形材料は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族モノマーから成るポリアミド;環状オレフィンコポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリメチルメタクリイミド;ポリカーボネート及びポリカーボネートコポリマーとそのブレンド;ポリスチレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレン重合体;スチレンアクリロニトリル;アクリロニトリルスチレン及び他のスチレンコポリマー及びそのブレンド;セルロースエステル;ポリイミド樹脂及びポリエーテルイミド;ポリスルホン及びポリエーテルスルホン;ポリフェニレン;とポリアクリル酸エステルを包含するポリマー群並びに上記ポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備える点とを特徴とする。
【0012】
第2の局面によれば、この目的は、熱可塑性加工用のプラスチック成形材料から成り、少なくとも1個の露出部分と少なくとも1個の機能部分を有すると共に、露出部分用のプラスチック成形材料が、効果色粒子又は効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備え、又、機能部分が、露出部分とは異なる物理的及び/又は化学的プラスチック特性を示すことができる対応するプラスチック部品を提案する独立請求項23の特徴によって達成される。本発明が提案するプラスチック部品は、露出部分が、射出成形によって製造されると共に、露出面と、露出面と反対側に位置して少なくとも1個の射出点を有するコア面とを示すことができる一方、プラスチック部品の機能部分が、先に凝固した露出部分のコア面上に射出成形されることを特徴とする。
【0013】
本発明にかかる方法又は本発明にかかるプラスチック部品の特に好ましい別の実施の形態と本発明の別の特徴は関連する従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、熱可塑性加工用プラスチック成形材料からプラスチック部品を製造する本発明にかかる射出成形方法の第1ステップを実行するための閉鎖された第1射出成形金型20の断面を示す。
【0015】
従来からそれ自身は公知の上記成形材料は、少なくとも1個の露出部分1と少なくとも1個の機能部分10とを備えるプラスチック部品に加工され、露出部分1用のプラスチック成形材料は、効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備える。効果染料粒子又は効果顔料は、例えば、カラーコンセントレートとして予備混合されると共に、マスターバッチ又は液体分散として射出成形スクリューのフィーダーに計量供給される。別のやり方として、射出成形の前に(例えば、配合によって)、適当なプラスチック粒質物が生産されて射出成形機に適用される。機能部分10は、露出部分1とは異なる物理的及び/又は化学的プラスチック特性を示すことができる。しかしながら、露出部分1と機能部分10は、又、同一のポリマーマトリックスを示してもよい。
【0016】
露出部分1の重要な特性は以下の局面を有する:紫外線、熱、光、湿気、寒さと化学薬品に対する高抵抗;高い耐引掻性;高い衝撃強さ;と高光沢。効果顔料が、もしこのようなマトリックス内に分布されていると、メタリック又は干渉効果、例えば、真珠層効果を発生する。このマトリックスがより半透明又は透明になると、色彩効果、特に、個々の効果粒子のきらめきがより顕著となる。効果顔料の浸透は、マトリックスの透明度に依存する。しかしながら、不完全に透明な又は半透明のマトリックス材料を使用してもよい。オプションとして、例えば、効果顔料に合致した透明色相を作ることができるように、他の顔料を露出部分1用プラスチック成形材料に付加することができる。
【0017】
本発明に関連して、効果顔料は、ポリマーマトリックス内に存在する不溶性粒子と定義される。このような効果顔料は、(特に、紫外線、赤外線又は近赤外線領域における露出波長領域における)入射電磁波を反射や吸収し、又は、この電磁波に何らかの形で影響する。よって、例えば、近赤外線感度添加剤をレーザー溶接又はプラスチックのレーザー刻印に使用することができる.
【0018】
金属粒子、アルミニウム/青銅粉末、干渉顔料、天然(非染色)及びカラーバーニッシュ処理したアルミニウムフレークと鉱物マイカは、例えば、特に透明プラスチック(2003年にドイツ、フランクフルト/マインのMasterbatch Verband im Verband der Mineralfarbenindustrie e.V.によって発行されたSchaefer/Kuesters著"FARB- UND ADDITIV-MASTERBATCHES IN DER PRAXIS", chaper 1.3: Rohstoffe fuer Masterbatches参照)に用いられる効果顔料として知られている。これらの著者は、又、極端に微細な真珠箔効果顔料の使用においてフローマーク及び/又はニットラインの出現を指摘している。例えば、アルミニウムと金・青銅顔料は、商品名「フェニックス」(ドイツ、FuerthのECKART GmbH & Co. KG)で市販されている。
【0019】
紫外線において色相が変わるセラミック効果色、芳香族色、昼光蛍光色、赤外線蛍光色と光反応性色と、変動温度において色相が変わる熱電子色とが、商品名「カラーライン」(ドイツ、KarstaedtのCOLORTEK Farbsysteme GmbH)で市販されていると共に、効果顔料として使用したり必要に応じて効果顔料に付加することができる。
【0020】
更に、露出部分1と同じ目的のために使用することのできる真珠箔顔料又は真珠層粒子が知られ、このような場合、機能部分10の暗色相が好ましい。メタリック顔料、特に、アルミニウムフレーク(EP0994915参照)又は真珠層粒子が特に好ましい。これらの効果粒子のいずれの混合物も可能である。好ましくは、効果粒子は、カラーコンセントレートとして予備混合されると共に、マスターバッチ又は液体分散として射出成形機(不図示)のフィーダーに計量供給される。
【0021】
好ましくは、露出部分1用のプラスチック成形材料は、PA MACM12、PA PACM12(特開平11−279289号参照)等の脂肪族、脂環式及び/又は芳香族モノマーから成るポリアミド;環状オレフィンコポリマー(COC);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリメチルメタクリイミド(PMMA);ポリカーボネート(PC)及びポリカーボネートコポリマーとそのブレンド;ポリスチレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレン重合体(ABS);スチレンアクリロニトリル(SAN);アクリロニトリルスチレン(ASA)及び他のスチレンコポリマー及びそのブレンド;CA、CP、CAB等のセルロースエステル;ポリイミド樹脂(PI)及びポリエーテルイミド(PEI);ポリスルホン及びポリエーテルスルホン(PES、PSU、PPSU);ポリフェニレン(PPO、PPE);とポリアクリル酸エステル(PAR)を包含するポリマー群並びにこれらのポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを含む。
【0022】
それ自身が公知である(と共にコポリアミドの形で存在する)透明ポリアミドは、好ましくは、本発明にかかる成形材料と本発明にかかる方法に使用され、例えば、以下の群から選択されたモノマーから生産される:
6〜14個のC原子を有する枝分れ又は枝なし脂肪族ジアミン、例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、又は1,12−ドデカメチレンジアミン;
6〜22個のC原子を有する脂環式ジアミン、例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン又は3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン;
8〜22個のC原子を有するアラリファティックジアミン、例えば、m−又はp−キシレンジアミン又はビス(4−アミノフェニル)プロパン;
6〜22個のC原子を有する枝分れ又は枝なし脂肪族ジカルボン酸、例えば、アジビン酸、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸又は1,12−ドデカン酸;
6〜22個のC原子を有する脂環式ジカルボン酸、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシルジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジカルボキシルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジカルボキシルジシクロヘキシルプロパンと1,4−ビス(カルボキシメチル)シクロヘキサン;
8〜22個のC原子を有するアラリファティックジカルボン酸、例えば、ジフェニルメタンジカルボン酸;
8〜22個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸、例えば、イソフタル酸、トリブチルイソフタル酸、テレフタル酸、1,4−、1,5−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボ酸、ジフェン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸;
6〜12個のC原子を有するラクタム又は対応するω−アミノカルボニック酸、例えば、ε−カプロラクタム、ε−アミノカプロン酸、カプリルラクタム、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノウンデカン酸、ラウリンラクタム又はω−アミノドデカン酸。
【0023】
特に好ましいのは、PA MACM12、PA PACM12等の透明ホモポリアミド、PA12/MACMI、PA MACM/PACM12等の透明コポリアミド、並びに、それらの混合物又はブレンドである。極めて特に好ましいのは、EP1369447より公知のPA MACM/PACM12である。
【0024】
本発明にかかる半透明又は透明な露出部分1も、適当なプロセスと冷却条件で及び/又は適当な層厚を生産することにより、ポリプロピレン、飽和線状ポリエステル(例えば、PET)、線状脂肪族ポリアミド(例えば、PA6、PA66、PA6とPA66の混合物、PA11、PA12)等の部分的結晶性ポリマーから製造することができる。
【0025】
可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、色素、芳香族染料又は芳香族物質、安定剤(例えば、熱及び紫外線安定剤及び/又は紫外線吸収剤)と顔料等の従来の添加剤は、露出部分1用のプラスチック成形材料と必要に応じて混合される。露出部分1の光学的印象を損なわない限り、グラスファイバー、ガラス球と鉱物添加物(特に、ナノスケール鉱物又はナノコンポジット)等の補強手段も可能である。
【0026】
図2は、露出部分1を有するレセプタクル金型部分26又は共通露出金型部分30と第2コア金型部分27によって限定される第2キャビティ28を有する閉鎖された第2射出成形金型25の断面を示す。
【0027】
機能部分10の重要な特性は以下の局面を有する:高い衝撃強さ、機械的剛性及び寸法的安定性;露出部分1のプラスチック成形材料との良好な適合性;適当な機械的強度;優れたクリープ強さ;と高い熱的安定性。電気的特性も考慮すべきであろう。
【0028】
機能部分10を製造するのに適しているのは、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、熱可塑性ポリウレタン(TPU)等の熱可塑性エラストマー、スチレンエチレンブタジエンスチレン(SEBS)等のスチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー(TEEE);後で架橋されるシリコーン;アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体(ABS)又はPVCの群からの射出成形熱可塑性樹脂である。熱可塑性エラストマーは、特に、機能部分10がシールである時に使用される。上記ポリマーのブレンドやリサイクル製品から、又は、適合する又は適合させられたそれらのブレンドから機能部分10を製造することもできる。
【0029】
必要に応じて、耐衝撃性改良剤、安定剤(例えば、紫外線及び熱安定剤)、可塑剤、色素、難燃剤、充填材、補強手段(例えば、グラスファイバー、カーボンファイバー、マイカ、ガラス球)及び/又は顔料が、機能部分10のプラスチック成形材料と混合される。
【0030】
露出部分1用の材料が一旦指定されると、良好な成形材料付着性のために、露出部分1と同じポリマークラスに属する又は露出部分1のポリマーと同一である材料を機能部分10に対して選択することが好ましい。もし、例えば、スイス、Domat/EmsのEMS-Chemie AGから商品名「グリラミドTR90」で得られるPA MACM12が露出部分1用に選択されると、機能部分10の製造における良好な成形材料付着性のために、例えば、PA MACM12GF40(グリラミドTR90に40%のグラスファイバーを混ぜた成形材料)が、好ましくは使用されると共に、スイス、Domat/EmsのEMS-Chemie AGから商品名「グリラミドTRV−4X9」で得られる。
【0031】
別のやり方として、グリラミドTR90の上記露出部分1と共に、機能部10のプラスチック成形材料として異なるポリマー、即ち、ガラス球で補強したポリアミド12、例えば、PA12GK50(ポリアミド12に50%のガラス球を混ぜた成形材料)を使用することができる。ブレンド成分の少なくとも1個が露出部分1との成形材料付着性に寄与するブレンドも、機能部分10のプラスチック成形材料として適当である。このブレンド成分は、露出部分1のポリマー成分と同一であることが好ましい。
【0032】
もし露出部分1と機能部分10が全体的に又は部分的に互いに非適合である場合、即ち、本来、不適当な成形材料付着性を示すならば、それらの適合性を、機能部分10の成形材料及び/又は露出部分1の成形材料に添加される反応性基を有するポリオレフィン等の付着性改質剤(EP0393409B1参照)によって高めることができる。
【0033】
露出部分1用プラスチック成形材料が、効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備えると共に、機能部分10が、露出部分1に対して異なる物理的及び/又は化学的性質を示すことができるようにして、少なくとも1個の露出部分1と少なくとも1個の機能部分10を有するプラスチック部品を熱可塑性加工用プラスチック成形材料から製造する本発明にかかる射出成形方法は、所定のステップa)〜e)を備えると共に、各露出部分1に対して、フローマーク及び/又はニットライン等の不規則部を防止するために、流れを最適化するように配置された単一の射出ノズル又はカスケード射出成形方法における少なくとも2個の射出ノズルを使用する点と、露出部分1用のプラスチック成形材料は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族モノマーから成るポリアミド;環状オレフィンコポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリメチルメタクリイミド;ポリカーボネート及びポリカーボネートコポリマーとそのブレンド;ポリスチレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレン重合体;スチレンアクリロニトリル;アクリロニトリルスチレン及び他のスチレンコポリマー及びそのブレンド;セルロースエステル;ポリイミド樹脂及びポリエーテルイミド;ポリスルホン及びポリエーテルスルホン;ポリフェニレン;とポリアクリル酸エステルを包含するポリマー群並びに上記ポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備える点とを特徴とする。
【0034】
第1露出金型部分22は、好ましくは、レセプタクル金型部分26と同一であると共に、ステップa)とd)にかかる両射出成形作業のために共通露出金型部分30として使用される。ステップa)にかかる第1射出成形作業の後、露出部分1はこの共通露出金型部分30内に残される。この方法を実施する多数の好ましい装置の一つがEP0895848B1(図1参照)に開示されている。その主題は、少なくとも2つのメルトから射出成形品を製造する装置である。好ましくは少なくとも2個の金型部分を有する金型装着板が、機械フレームに取付けた2個の金型部分の間に配置されて、この機械フレームのタイロッドの長手軸心に垂直に心合せされた回転軸心の回りを揺動自在である。2個のこれらの非揺動金型部分は、コア金型部分の形状を取ると共に、各々の又は少なくとも1個のスプリューチャネルに全ての必要なポートと少なくとも1個の射出成形スクリューを有する。これらの非揺動コア金型部分の一方は固定であり、他方の射出成形金型部分は、金型スタックを閉鎖するようにタイロッドに沿って移動させることができる。消滅したコア射出成形だけがEP0895848B1に開示されているけれども、この先行文献に記載されている装置は、本発明が提案する方法にも適している。即ち、EP0895848B1に開示されているように回転軸心の回りに揺動自在の金型装着板は、ステップa)とd)の間で共通露出金型部分30、30’、30”等として軸心31の回りに回転又は揺動させられる少なくとも2個の第1露出金型部分22を付設することが好ましい。この回転軸心31は、2個の金型部分22、26、30と23、27の分割線又は分割面24に対して大略平行であると共に、図1と図2の間で水平に配置される。
【0035】
露出面2と、露出面2と反対側のコア面3とを有する露出部分1は、ステップa)で射出成形されて、凝固させられることが明らかである。これは、第1露出金型部分22(実線)と第1コア金型部分23(破線)によって限定される第1キャビティ21(図1)において行われる。このステップa)のために、空間方位に応じて、2個の金型部分の以下の構成が結果として得られる。

【0036】
露出金型部分22が下方にあり、コア金型部分23が露出金型部分22の上方にある図1で選択した好ましい構成は、上にボールド体で目立たせている。勿論、金型部分22と23は、垂直又は水平と異なる他のどんな位置を占めることができる。
【0037】
露出部分1は、大略一様な層厚さで製造されることが好ましい。これを、成形される露出部分1の構造に応じて、1個だけの射出ノズル5を使用することによってすることができる。しかしながら、射出ノズル5は、露出部分1の露出面2と反対側に常に配置されなければならない。もし単一の射出ノズル5だけを使用するならば、本発明にかかる方法の重要な利点は、ゲート又は射出点6の位置を、キャビティの一様な流れと充填の見地から最適化できるので、フローマーク及び/又はニットライン等の不規則部が生じないということである。よって、このゲート又は射出点6を、それ自身不恰好で完成プラスチック部品上で明らかに露出した部分の中間部に配置することができるので、キャビティの一様に流れる充填により、効果粒子を付加したプラスチック成形材料が一様に分布する結果、このゲート又は射出点6は完成部品に痕跡を全く残さない。更に、露出部分1の大略一様な厚さは、均質な光学的印象と一様な色の濃さ及び不透明度を生じる。この不透明度は、露出部分1を支える機能材料を巻装することによって増大することができる。
【0038】
別のやり方として、不利な流路/壁厚比又は部品構造を特に伴うが、少なくとも2個の射出ノズル5をカスケード射出成形方法(不図示)に使用することができる。ここで重要なことは、全ての射出ノズル5が、露出面2と反対側に配置されることと、射出が、1個のみのノズル5より開始すると共に、メルトフロントが少なくも1個の別のゲート又は射出点6を通過するまで続けられることが確実なことである。一旦この状況が得られると、どの別のゲート6も、次に操作することができ、露出部分1の成形準備ができる。
【0039】
その後、ステップb)において、第1露出金型部分22を第1コア金型部分23から離隔する図1の矢印方向に移動させることにより、この第1金型20は分割面又は分割線24に沿って開放される。この分割線又は分割面24は、機械フレームのタイバーに対して大略直角であることが好ましい。図1において、この分割線又は分割面24は、大略水平、即ち、第1露出金型部分22の垂直運動に対して直角である。
【0040】
これに続くステップc)において、露出部分1を収容する第2キャビティ28を有する第2金型1が図2の矢印に示すように閉鎖され、この第2キャビティ28は、露出部分1を有するレセプタクル金型部分26と第2コア金型部分27によって限定される。EP0895848B1の開示に対応して、第1露出金型部分22は、水平軸心31の回りに回転(図1の矢印参照)して、レセプタクル金型部分26に対応する。よって、第1露出金型部分22とレセプタクル金型部分26は、共通露出金型部分30と呼ぶことができる。射出成形工場の生産性を高めるために、少なくとも2個の共通露出金型部分30、30’が互いに隣に及び/又は対向して使用されることが好ましい。しかし、3個、4個又はそれ以上の共通露出金型部分30、30’、30”、30'''等を設けることも可能である。その上に、中間揺動部分を、360°の増分だけ、例えば、180°、90°又は45°(ED0249703B1参照)又は60°等プロセスの次のステップのために回動又は揺動させることができる。共通露出金型部分30と30’の使用において、冷却された露出部分1は、ステップa)の後に第1露出金型部分22内に残すことができる。
【0041】
このステップの代わりとして、冷却された露出部分1を、第1露出金型部分22から取出して、同じ又は別の射出成形機のレセプタクル金型部分26内に配置することができる。これは、例えば、ロボットにより自動的に又は手動ですることができる。露出部分1の第1露出金型部分22からの取出しとレセプタクル金型部分26への挿入は、露出部分1上に残された少なくとも1個のボス4を把持することにより実行されることが好ましい。露出部分1がレセプタクル金型部分26に挿入される時、露出部分1は、露出部分1上に残された少なくとも1個のボス4により心出しされることが好ましい。レセプタクル金型部分26は、露出部分1に合致する輪郭を示すことが好ましい。もしホットランナー装置が使用されるならば、これらのボス4は形成されず、その場合、他の取出し・心出し手段が必要になる。
【0042】
ステップd)では、機能部分10が、露出部分1と機能部分10の間の成形材料付着性を生成するように、露出部分1のコア面3に射出成形されて、凝固させられる。このステップd)のために、EP0895848B1によれば、2個の共通露出金型部分30を使用して、空間方位と方法の実行モードに応じて、金型部分の以下の配置がある。

【0043】
露出部分1が第1露出金型部分22からレセプタクル金型部分26に変えた代替策によれば、対応する構成は以下の通りである。

【0044】
図1と図2で選択した構成は、ここでボールド体で目立たせている。勿論、金型部分22、23と30は、垂直や水平と異なる他の任意の位置を取り得る。
【0045】
最終的に、最後のステップe)で、第2金型2が開放されて部品が取出される。
【0046】
更に別の射出成形方法は、分割線又は分割面24に垂直な軸心の回りに共通露出金型部分30を揺動することを備える。多数の共通露出金型部分30、30’、30”等が、適当なピボットプラットフォーム(不図示)上に配置され得ると共に、次に、第2コア金型部分27、27’、27”等の前で各々が揺動して、第2射出成形金型25、25’、25”等を形成する。ここでも又、好ましくは、冷却された露出部分1は、ステップa)の後に共通露出金型部分30、30’、30”等内に残されると共に、ステップd)で機能部分10用プラスチック成形材料でインモールドインジェクションされる。部品の個数に応じて、2個、3個又はそれ以上の共通露出金型部分30、30’、30”等が、各射出成形作業の後に例えば180°、120°又は90°だけ適当に回転すべきターンテーブル上に配置され得る。機械構造に応じて、上記ターンテーブルは水平、垂直又は別の角度に設定できるが、回転軸心はどの場合でもターンテーブルに対して大略直角である。共通露出金型部分30、30’、30”等は、第1及び第2射出成形作業の間の途中で軸心31の回りで回転もしくは揺動又は軸心31に沿って移動させ得る。この移動は、線状又は線状と異なる方向、例えば、曲線状であり得る。
【0047】
一般に、効果染料粒子又は効果顔料は、カラーコンセントレートとして予備混合されると共に、マスターバッチ又は液体分散として射出成形スクリューのフィーダーに計量供給されることが好ましい。別のやり方として、適当なプラスチック粒質物が、射出成形の前に配合によって生産されると共に、この形態で射出成形機に使用されることが好ましい。本発明にかかる射出成形方法は、非常に異なるプラスチック部品を製造するのに使用することができる。本発明にかかる射出成形方法で製造された全てのプラスチック部品は、共通に、高光沢の1個以上の露出面2を示すと共に、埋封又は付加された効果顔料を有する少なくとも1個の露出部分1を備える。
【0048】
本発明にかかる方法は、高光学的特性の露出面2を示すどんなマルチコートプラスチック部品を製造するのにも等しく適している。これらは、艶消面、梨地面と光沢面を含む。
【0049】
本発明にかかる方法は、露出部分1等の効果顔料を有する効果層を備える成形品を製造するのに使用することができ、又、これらの効果顔料は、本発明の範囲内で、着色プラスチック粒質物、有色顔料、カラープラテレット、カラーストリップ、金属粉末、金属フレーク、着色ガラス球、セラミック物質、繊維状物質等の埋封装飾手段を含む。
【0050】
以下は、本発明にかかる方法で製造できる好ましい製品の決定的では決してない例示的列挙である。
・囲い、囲い部品と電気、電子、通信、セキュリティ、医用、家庭用又は個人用衛生装置の他の部品。これらの装置は、例えば、カメラ、コーヒー機械、携帯電話及びそれらのホルダー;剃刀;電力スイッチ;ラジオ、テレビ受像機及びコンピュータとそれらの付属品、キーボードとモニター;ミキサーとヘアドライヤーを含む。
・スポーツ及びレジャー装備、ファッションアクセサリ、玩具、又はそれらの部品、例えば、スキー、スキーバインディング、スノーボード、サーフボード、スキー用ヘルメット、自転車、モーターサイクル用ヘルメット、テニスラケット。
・天井板、台所カバー及び囲い、鏡枠、トリム部品、ルミナリア、装飾ストリップ及び装飾キャップ等の建物の内部又は外部に止着されるデザイン要素、交通ルート又は車両(例えば、自転車、モーターサイクル、自動車及びレール車両、船舶及び飛行機);透明板ガラス(例えば、自動車用ウインドウ)、ホイールカバー、音響及び反射シェル、スクリーン、自動車用B−コラムクラッド、ドアハンドル、ハンドル用くぼみ、スポイラ、アンテナ、フロントガラスワイパーアーム、蛍光破壊警告トライアングルと他の交通信号又は信号パネル;白光又は赤外光の蛍光を発するナンバープレート;ハンドル等の各種の家庭用品とあらゆる種類の備品、例えば、ドアと窓のハンドル、コート掛け、衣服ハンガー;水栓ハンドル、石鹸入れ、トイレ備品等の衛生備品及び装置と衛生物品。
・光反応色を有する眼鏡レンズ、光学フィルター、眼鏡フレーム、サングラスディスク等の光学補助具;目保護用のシールドとバイザー(例えば、ヘルメット上);あらゆる種類の射出成形透明板ガラス。
・家具と、テーブル、椅子、ひじかけ、テーブル板等の家具部品;(例えば、飲料又は香水用の)缶とびん、エアゾール又はチューブの蓋又はキャップ並びに缶又はチューブ自身等の包装部品。
【0051】
既述したように、本発明に従って製造されたプラスチック部品の特別な特性は、露出部分1が、射出成形によって製造されると共に、露出面2と、露出面2と反対側に位置して少なくとも1個のゲート又は射出点6を有するコア面3とを示すことにより、プラスチック部品の機能部分10が、先に凝固した露出部分1の上に射出成形されるという事実である。その結果として、本発明に従って製造された全てのプラスチック部品が、大略一様な層厚さを有する露出部分1を示すことにより、露出部分1の反対側はゲート又は射出点6を示す。このゲートは、機能部分10用の第2射出成形作業において成形し得るボス4の形状を取ることができる。共通露出金型部分30の使用において、このボス4を使用しなかったり、次の射出成形ステップの前に分離することも可能である。
【0052】
機能部分10は、例えば、ねじ、スナップオンフック、ピン等の止着要素又はノブやボス等のスペーサーで形成される機能要素11を示すことを特徴とする。機能部分10は、又、リブや格子等の補強要素及び/又はリップシール等の封止要素を備え得る。機能部分10は、又、アンダーカットとブレイクスルーを備える。殆どの場合、機能部分10と機能要素11のいずれも最終製品において露出又は可視となっていない。
【0053】
機能部分10の裏面に配置されることが好ましい特殊な機能要素11は、露出部分1と機能部分10から成る全体プラスチック部品の共振周波数を移すと共に振動の振幅が最高である点で共振周波数を減衰させる振動影響質量である。このようなプラスチック部品の振動応答は、コンピュータ上の設計段階と同じ位早くにシミュレーションでき、このようにして最適化される。これは、例えば、使用時に振動及び/又は気流により動応力を受けると共に金属等の別の材料の自動車部品に対して異なる応答をするフェンダー、エンジンフード、開閉式ルーフ、サンルーフ、トランクリッド等の自動車カウリングに適用される。
【0054】
プラスチックの機能要素11は、射出成形作業の前に第2射出成形金型25に挿入されたり、射出成形後に機能部分10に挿入されるねじ込みボルト又はばね等の金属部品を備え得る。
【0055】
根本的に、本発明にかかるプラスチック部品は、1個以上の露出部分1を示すと共に、2個以上の要素から成り得る。このような部品は、1個以上の機能部分10を備え得る。その上に、クッション、シール、絶縁マット等の別の要素が、特に機能部分10の露出部分1の反対側に止着又は配置、特に、発泡、加硫又は射出成形され得る。
【0056】
本発明にかかる射出成形方法の使用は、露出部分1が高光沢面を有するプラスチック部品が製造されることを示し、又、その高光沢面は、付加された効果顔料の結果として、メタリック、干渉、真珠層又は乳光効果を生じると共に、偏析現象、染料凝集、フローマーク、ニットライン、スプレーマーク、画像の不明瞭な区別と合せすじを免れている。
【0057】
本発明にかかる方法は、射出成形プロセスの特殊な形式であると知られているインモールドプレス成形にも適用することができる。インモールドプレス成形を使用することにより、本発明にかかるプラスチック部品の射出成形において露出部分1の表面品質と反復精度を更に改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1又は共通露出金型部分と第1コア金型部分によって限定される第1キャビティを有する閉鎖された第1射出成形金型の断面図である。
【図2】露出部分を有するレセプタクル金型部分又は共通露出金型部分と第2コア金型部分によって限定される第2キャビティを有する閉鎖された第2射出成形金型の断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 露出部分
2 露出面
3 コア面
4 ボス
5 射出ノズル
10 機能部分
11 機能要素
20 第1射出成形金型
21 第1キャビティ
22 第1露出金型部分
23 第1コア金型部分
25 第2射出成形金型
26 レセプタクル金型部分
27 第2コア金型部分
28 第2キャビティ
30 共通露出金型部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性加工用のプラスチック成形材料から少なくとも1個の露出部分と少なくとも1個の機能部分を有するプラスチック部品を製造する射出成形方法であって、露出部分用のプラスチック成形材料は、効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備え、又、機能部分は、露出部分とは異なる物理的及び/又は化学的プラスチック特性を示すことができる射出成形方法において、
第1露出金型部分と第1コア金型部分によって限定される第1キャビティを有する第1金型において、露出面と、露出面と反対側に位置するコア面とを有する露出部分のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップa)と、
第1露出金型部分を第1コア金型部分から離隔移動させることにより、第1金型を分割線に沿って開放するステップb)と、
露出部分を有するレセプタクル金型部分と第2コア金型部分によって限定される第2キャビティ内に露出部分を有する第2金型を閉鎖するステップc)と、
露出部分と機能部分の間の成形材料付着性を発生させるために、露出部分のコア面上で機能部分のプラスチック成形材料の射出成形と凝固を行うステップd)と、
第2金型を開放してプラスチック部品を取出すステップe)とを備え、
又、各露出部分に対して、フローマーク及び/又はニットライン等の不規則部を防止するために、流れを最適化するように配置された単一の射出ノズル又はカスケード射出成形方法における少なくとも2個の射出ノズルが使用され、更に、露出部分用のプラスチック成形材料は、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族モノマーから成るポリアミド;環状オレフィンコポリマー;ポリメチルメタクリレート;ポリメチルメタクリイミド;ポリカーボネート及びポリカーボネートコポリマーとそのブレンド;ポリスチレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレン重合体;スチレンアクリロニトリル;アクリロニトリルスチレン及び他のスチレンコポリマー及びそのブレンド;セルロースエステル;ポリイミド樹脂及びポリエーテルイミド;ポリスルホン及びポリエーテルスルホン;ポリフェニレン;とポリアクリル酸エステルを包含するポリマー群並びに前記ポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備える射出成形方法。
【請求項2】
第1露出金型部分が、レセプタクル金型部分と同一であると共に、ステップa)とステップd)の両方の射出成形作業において共通露出金型部分として使用され、又、露出部分が、ステップa)の第1の射出成形作業の後で該共通露出金型部分内に残る請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項3】
ステップa)とステップd)の間で、共通露出金型部分が、第1金型と第2金型の分割面に対して大略平行又は垂直である軸心の回りで回転もしくは揺動又は該軸心に沿って移動させられる請求項2に記載の射出成形方法。
【請求項4】
レセプタクル金型部分が第1露出金型部分と異なり、又、露出部分が、ステップa)の第1の射出成形作業の後に第1露出金型部分から取出されると共に、ステップd)の第2の射出成形作業用のレセプタクル金型部分に挿入される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項5】
露出部分の第1露出金型部分からの取出しとレセプタクル金型部分への挿入が、露出部分上に残された少なくとも1個のボスを把持することにより実行される請求項4に記載の射出成形方法。
【請求項6】
露出部分がレセプタクル金型部分に挿入される時、露出部分が、露出部分上に残された少なくとも1個のボスにより心出しされる請求項4に記載の射出成形方法。
【請求項7】
露出部分が、大略一様な層厚さで製造される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項8】
効果顔料が、カラーコンセントレートとして予備混合されると共に、マスターバッチ又は液体分散として射出成形スクリューのフィーダーに計量供給されるか又は、適当な粒質物が、配合によって生産されると共に、この形態で射出成形機に使用される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項9】
効果顔料が、メタリック顔料(特に、非染色又は染色アルミニウムフレーク、又は、アルミニウムもしくは金・青銅顔料)、干渉顔料、真珠箔顔料、鉱物マイカとそれらの混合物を備える群から選択される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項10】
メタリック顔料が、非染色及びカラーバーニッシュ処理したアルミニウムフレークとアルミニウム及び金・青銅顔料を備える群から選択される請求項9に記載の射出成形方法。
【請求項11】
露出部分用のプラスチック成形材料が、ポリアミドとコポリアミドを含むポリマー群並びに前記ポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備え、又、該ポリマー群が、以下の群:
6〜14個のC原子を有する枝分れ又は枝なし脂肪族ジアミン;
6〜22個のC原子を有する脂環式ジアミン;
8〜22個のC原子を有するアラリファティックジアミン;
6〜22個のC原子を有する枝分れ又は枝なし脂肪族ジカルボン酸;
6〜22個のC原子を有する脂環式ジカルボン酸;
8〜22個のC原子を有するアラリファティックジカルボン酸;
8〜22個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸;と
6〜12個のC原子を有するラクタム又は対応するω−アミノカルボニック酸
から選択されたモノマーから生産される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項12】
露出部分用のプラスチック成形材料が、PA MACM12、PA PACM12、PA12/MACMIとPA MACM/PACM12を含むポリマー群並びに前記ポリマーのブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備える請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項13】
紫外線安定剤、紫外線吸収剤とそれらの混合物の群から選択された少なくとも1個の添加剤が、露出部分用のプラスチック成形材料に付加される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項14】
インモールドプレス成形が、露出部分の射出成形に使用される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項15】
機能部分用のプラスチック成形材料が、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー、スチレンブロックコポリマー、シリコーン、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体とPVCを含むポリマー群並びに前記ポリマーのブレンド又はリサイクル製品から選択された少なくとも1個の射出成形用ポリマーを備える請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項16】
機能部分用のプラスチック成形材料が、ブレンド成分の少なくとも1個が露出部分との成形材料付着性に寄与する前記ポリマー群又は前記ブレンドから選択された少なくとも1個の射出成形用ポリマーを備える請求項15に記載の射出成形方法。
【請求項17】
機能部分用のプラスチック成形材料が、露出部分用のプラスチック成形材料に含有されるポリマーと同一のポリマーを備える請求項15に記載の射出成形方法。
【請求項18】
機能部分と露出部分の間の成形材料付着性を改善するために、付着性改質剤が、機能部分用のプラスチック成形材料及び/又は露出部分用のプラスチック成形材料に付加される請求項1に記載の射出成形方法。
【請求項19】
囲い、囲い部品及び/又は電気装置、電子装置、通信装置、セキュリティ装置、医用装置、家庭用又は個人用衛生装置の他の部品を製造するために使用する請求項1乃至18のいずれかに記載の射出成形方法。
【請求項20】
スポーツ及び/又はレジャー装備、ファッションアクセサリ、玩具又はそれらの部品を製造するために使用する請求項1乃至18のいずれかに記載の射出成形方法。
【請求項21】
建物、交通ルート又は車両用のデザイン要素及び/又はパネル要素を製造するために使用する請求項1乃至18のいずれかに記載の射出成形方法。
【請求項22】
光学補助具、透明板ガラス、家具及び/又は包装部品を製造するために使用する請求項1乃至18のいずれかに記載の射出成形方法。
【請求項23】
熱可塑性加工用のプラスチック成形材料から特に、請求項1の射出成形方法により製造されて、少なくとも1個の露出部分と少なくとも1個の機能部分を有するプラスチック部品において、
露出部分用のプラスチック成形材料が、効果顔料を付加した透明又は半透明のマトリックスを備え、又、機能部分が、露出部分とは異なる物理的及び/又は化学的プラスチック特性を示すことができ、更に、露出部分が、射出成形によって製造されると共に、露出面と、露出面と反対側に位置して少なくとも1個の射出点を有するコア面とを示すことができる一方、プラスチック部品の機能部分が、先に凝固した露出部分のコア面上に射出成形されるプラスチック部品。
【請求項24】
露出部分が、大略一様な層厚さを示す請求項23に記載のプラスチック部品。
【請求項25】
露出部分用のプラスチック成形材料が、PA MACM12、PA PACM12、PA12/MACMIとPA MACM/PACM12、COC、PMMA、PMMI、PC、PS、ABS、SAN、ASA、セルロースエステル、PI、PEI、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンとポリアクリル酸エステルを含むポリマー群並びにこれらのポリマーの混合物又はブレンドから選択された少なくとも1個の透明ポリマーを備える請求項23に記載のプラスチック部品。
【請求項26】
機能部分用のプラスチック成形材料が、露出部分用の前記ポリマー群とポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、熱可塑性エラストマー、スチレンブロックコポリマー、シリコーン、アクリロニトリルブタジエンスチレン重合体とPVCを含むポリマー群並びにこれらのポリマーのブレンド又はリサイクル製品から選択された少なくとも1個の射出成形用ポリマーを備える請求項25に記載のプラスチック部品。
【請求項27】
機能部分が、止着要素、振動に影響する質量、補強要素、封止要素とスペーサーを含む群から選択された機能要素を備える請求項23に記載のプラスチック部品。
【請求項28】
ユニット、囲い、玩具、ファッションアクセサリ、デザイン又はパネル要素、光学補助具、家具、透明板ガラス、包装材又はその部品である請求項23に記載のプラスチック部品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−88701(P2006−88701A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273279(P2005−273279)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502415180)エーエムエス−ヒェミー・アクチェンゲゼルシャフト (7)
【氏名又は名称原語表記】EMS−CHEMIE AG
【Fターム(参考)】