説明

プラズマディスプレイパネルの検査装置、プラズマディスプレイパネルの製造方法、デバイスの検査方法

【課題】 低コストで、検査効率がよく、大型のプラズマディスプレイパネルにも対応可能なプラズマディスプレイパネルの検査装置を提供する。
【解決手段】 PDPの製造ラインの搬送路11に沿って、検査装置5を設ける。検査装置5においては、搬送路11の上方及び下方に、夫々照明装置2a及び2bを設ける。また、搬送路11の上方及び下方に、夫々カメラ3a及び3bを設ける。カメラ3a及び3bは、パネル1が搬送路11の検査位置12にあるときに、パネル1を撮像して画像データを得るものである。更に、カメラ3a及び3bからパネル1の画像データが入力され、この画像データを画像処理してパネル1の欠陥を検出する画像処理装置4を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する検査装置、この検査装置を使用するプラズマディスプレイパネルの製造方法、及び2枚の基板を張り合わせたデバイスの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイパネル、液晶パネル等の平面型ディスプレイパネルは、ガラス基板上にパターンを形成して作製される。しかしながら、ガラス基板には、割れ、欠け及び傷等の欠陥が生じることがあり、このような欠陥が生じたガラス基板を使用して平面型ディスプレイパネルを製造すると、この平面型ディスプレイパネルの強度が低下したり、安全性が損なわれたりする。このため、平面型ディスプレイパネルの製造途中及び製造後において外観検査を行い、ガラス基板の割れ、欠け及び傷等の欠陥が生じているガラス基板を除くことが必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−247953号公報)には、液晶パネルの外観検査方法及び検査装置が開示されている。以下、この従来の外観検査方法について説明する。先ず、その内形が液晶パネルの外形よりも大きいリング照明灯を3つ用意する。次に、液晶パネルを透明なパネル支持台上に載置し、第1のリング照明灯を液晶パネルの上方に配置し、第2のリング照明灯を液晶パネルの外周に配置し、第3のリング照明灯を液晶パネルの下方に配置する。また、液晶パネルの上方にはカメラを設置する。そして、第1乃至第3のリング照明灯を1つずつ順次点灯しながら、カメラにより液晶パネルを撮像し、その画像データを画像処理することにより、液晶パネルのガラス基板の欠陥を検出する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−247953号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来の技術には、例えば以下に示すような問題点がある。近時、プラズマディスプレイパネルは大型化が進んでいる。そのため、特許文献1に記載の検査方法を大型のプラズマディスプレイパネルに対して適用しようとすると、極めて大きなリング照明灯が必要となる。また、カメラを固定して使用する場合には必要なカメラの台数が多くなり、少数のカメラを移動させながら検査を行う場合にはカメラ移動装置が必要となるため、検査装置のコストが増大する。また、検査対象となるプラズマディスプレイパネルを1台ずつパネル支持台上まで運搬しなくてはならず、検査効率が低い。更に、プラズマディスプレイパネルが大型化すると、この運搬自体のコストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置は、プラズマディスプレイパネルの搬送路の上方又は下方に設けられプラズマディスプレイパネルが前記搬送路における検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを照明する照明装置と、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されプラズマディスプレイパネルが前記検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを撮像するカメラと、このカメラが撮像した前記プラズマディスプレイパネルの画像データに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する画像処理装置と、を有することを特徴とする。
【0007】
本願請求項7に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、搬送路に沿ってプラズマディスプレイパネルを搬送しながら、前記搬送路の上方又は下方に設けられた照明装置により前記プラズマディスプレイパネルにおける検査位置に位置している部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されたカメラにより前記部分を撮像して画像データを取得する工程と、前記画像データに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願請求項11に係るデバイスの検査方法は、夫々パターンを形成した2枚の基板を組み合わせたデバイスを搬送路に沿って搬送しながら、前記搬送路の上方又は下方に設けられた照明装置により前記デバイスにおける検査位置に位置している部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されたカメラにより前記部分を撮像して画像データを取得する工程と、前記画像データに基づいて前記デバイスの欠陥を検出する工程と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネル(以下、単にパネルともいう)の検査装置を示す側面図である。図1に示すように、プラズマディスプレイパネルの製造ライン(図示せず)には搬送コンベア10が設けられており、この搬送コンベア10により、搬送路11が形成されている。検査対象となるプラズマディスプレイパネル1は、製造ラインにより製造される途中及び製造された後に、この搬送路11に沿って搬送されるようになっており、搬送路11の途中には、パネル1の外観検査を行うための検査位置12が設定されている。
【0010】
搬送路11の上方及び下方には、夫々照明装置2a及び2bが設けられている。照明装置2a及び2bは、搬送路11に関して相互に対称な位置に配置されている。照明装置2a及び2bは、パネル1が搬送路11における検査位置12にあるときに、パネル1を照明するものである。照明装置2a及び2bは、搬送路11の搬送方向に直交する方向に延び、その両端がパネル1の両端の外側に位置している線状の照明装置である。
【0011】
また、搬送路11の上方及び下方には、夫々カメラ3a及び3bが設けられている。カメラ3aは、搬送路11の上方、即ち搬送路11から見て照明装置2aが配置されている側に配置されており、カメラ3bは、搬送路11の下方、即ち搬送路11から見て照明装置2bが配置されている側に配置されている。カメラ3a及び3bは、搬送路11に関して相互に対称な位置に配置されている。カメラ3a及び3bは、パネル1が搬送路11の検査位置12にあるときに、パネル1を撮像して画像データを得るものである。
【0012】
カメラ3aは、パネル1が検査位置12にないときに、照明装置2a及び2bから出射した光が入射されず、且つ、パネル1が検査位置12にあるときに、照明装置2aから出射されパネル1の非欠陥部分により反射された光が直接入射されないような位置に配置されている。また、カメラ3bは、パネル1が検査位置12にないときに、照明装置2a及び2bから出射した光が入射されず、且つ、パネル1が検査位置12にあるときに、照明装置2bから出射されパネル1の非欠陥部分により反射された光が直接入射されないような位置に配置されている。
【0013】
更に、カメラ3a及び3bからパネル1の画像データが入力され、この画像データに基づいてパネル1の欠陥を検出する画像処理装置4が設けられている。また、画像処理装置4は、カメラ3a及び3bから入力された画像データの幅方向の輝度分布に基づいて、パネル1のサイズを判別し、且つ、画像データの時間的な輝度変化に基づいて、パネル1の検査開始時点及び検査終了時点を決定するものである。照明装置2a及び2b、カメラ3a及び3b、並びに画像処理装置4により、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置が構成されている。
【0014】
次に、上述の如く構成された本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置の動作、即ち、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの検査方法について説明する。本実施形態の検査は、プラズマディスプレイパネルの製造工程の一部として行われるものであり、従って、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの検査方法は、本実施形態のプラズマディスプレイパネルの製造方法の一部である。
【0015】
図1に示すように、予め、照明装置2a及び2bを点灯させ、カメラ3a及び3b並びに画像処理装置4を作動させておく。この状態で、搬送コンベア10により、製造途中又は製造後のパネル1を搬送路11に沿って検査位置12に向かって搬送する。これにより、パネル1が照明装置2a及び2b並びにカメラ3a及び3bに対して相対的に移動する。パネル1は、ガラス基板からなる前面基板と、他のガラス基板からなる背面基板を重ね合わせて形成したものである。
【0016】
パネル1の搬送方向前方側の先端部が検査位置12に到達すると、照明装置2aから出射した光がパネル1の先端部に照射されて反射され、この反射光がカメラ3aに入射するため、カメラ3aが撮像する画像の輝度が増加する。これにより、画像処理装置4が、検査位置12にパネル1の先端部が到達したことを検知する。また、画像処理装置4は、搬送路11の搬送方向に直交する方向(幅方向)における画像データの輝度分布によりパネル1のサイズを判別し、検査範囲を決定する。
【0017】
そして、画像処理装置4は、パネル1の先端部が検査位置12に到達し、パネル1の検査範囲を決定した後、パネル1の検査を開始する。このとき、照明装置2aから出射した光は、パネル1の上面を照射し、上側に配置されたガラス基板により反射されて、カメラ3aに入射する。一方、照明装置2bから出射した光は、パネル1の下面を照射し、下側に配置されたガラス基板により反射されて、カメラ3bに入射する。カメラ3a及び3bは夫々パネル1を上面側及び下面側から撮像し、画像データを取得する。その画像データを画像処理装置4に対して出力し、画像処理装置4は、この画像データに対して2値化処理を施す。
【0018】
このとき、カメラ3aは、照明装置2aから出射されパネル1により反射された光が直接入射されないような位置に配置されており、カメラ3bは、照明装置2bから出射されパネル1により反射された光が直接入射されないような位置に配置されているため、パネル1に割れ、欠け及び傷等の欠陥がなければ、画像処理装置4が2値化した画像データは全面が黒色の黒画像となる。これに対して、パネル1における上側に配置されたガラス基板に割れ等の欠陥が存在する場合は、照明装置2aから出射した光がこの欠陥により散乱され、カメラ3aに直接入射するため、2値化後の画像データにおいて、この欠陥に相当する部分のみが白色部分となる。これにより、上側に配置されたガラス基板の欠陥を検出することができる。同様に、パネル1における下側に配置されたガラス基板に割れ等の欠陥が存在する場合は、照明装置2bから出射した光がこの欠陥により散乱され、カメラ3bに直接入射するため、2値化後の画像データにおいて、この欠陥に相当する部分のみが白色部分となる。これにより、下側に配置されたガラス基板の欠陥を検出することができる。
【0019】
そして、パネル1の搬送方向後端部が検査位置12から離脱すると、照明装置2aから出射した光がパネル1により反射されなくなり、カメラ3aが撮像する画像の輝度が減少する。これにより、画像処理装置4が、パネル1の後端部が検査位置12を通過したことを検知し、検査を終了する。
【0020】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態においては、パネル1の搬送路11に沿って検査装置を設けることにより、パネル1を搬送路11に沿って搬送しながら、検査を行うことができる。これにより、パネル1を照明装置及びカメラに対して相対的に移動させることにより、固定された少数のカメラを使用して、パネル1の全体を検査することができる。このため、検査装置のコストが低い。
【0021】
また、本実施形態においては、パネル1を、パネル1の製造ラインの搬送路に沿って移動させながら検査を行うため、パネル1をわざわざ検査位置まで運搬する必要がない。このため、検査を効率的に行うことができる。このように、本実施形態によれば、極めて低コストで、検査効率がよく、大型のプラズマディスプレイパネルにも対応可能なプラズマディスプレイパネルの検査装置を得ることができる。
【0022】
また、本実施形態においては、搬送路11の上方及び下方の双方に照明装置及びカメラを配置しているため、パネル1を上方側及び下方側の双方から検査することができる。これにより、パネル1の上側に配置されたガラス基板及び下側に配置されたガラス基板を独立して検査することができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、プラズマディスプレイパネルを検査する例を示したが、本発明はこれに限定されず、夫々パターンを形成した2枚の基板を組み合わせたデバイスであれば、プラズマディスプレイパネルと同様に検査を行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照して具体的に説明する。図2は、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置を示す斜視図であり、図3はその側面図である。図2及び図3に示す本実施例に係る検査装置において、前述の本発明の実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0025】
図2に示すように、本実施例に係る検査装置5は、PDPの製造ライン(図示せず)における各加工設備間又は最後段の加工設備の後方に、搬送路11に沿って設けられている。搬送路11には、搬送コンベア10(図1参照)が設けられている。搬送コンベア10は、パネル1に複数の加工設備を経由させるための搬送方法として一般的に用いられているものである。搬送路11における検査装置5に相当する位置に、PDPの検査位置12が設定されている。検査装置5には、2台の照明装置2a、2台の照明装置2b、1台のカメラ3a、1台のカメラ3b、カメラ3a及び3bに接続された画像処理装置4が設けられている。
【0026】
照明装置2a及び2bは、搬送路11に関して相互に対称な位置に、相互に対向して配置されている。照明装置2a及び2bは、パネル1が搬送路11における検査位置12にあるときに、パネル1を照明するものである。即ち、少なくとも検査位置12に、光を照射できるようになっている。照明装置2a及び2bは、搬送路11の搬送方向に直交する方向(幅方向)に延びている線状の照明装置であり、その幅方向の長さは、例えば、パネル1の幅方向の長さと略等しい。照明装置2a及び2bの照度は、外部環境、カメラの性能等に応じて、検査に必要な光量が確保できるものを選定する。
【0027】
また、図3に示すように、2台のカメラ3aは、搬送路11の上方において、幅方向に沿って配列されている。また、2台のカメラ3bは、搬送路11の下方において、幅方向に沿って配列されている。カメラ3a及び3bは、夫々搬送路11の上方及び下方に、搬送路11に関して相互に対称な位置に、相互に対向して配置されている。カメラ3a及び3bは、パネル1が搬送路11の検査位置12にあるときに、パネル1を撮像して画像データを得るものである。従って、カメラ3a及び3bは、少なくとも検査位置12を視野範囲内に収めている。但し、カメラ3aは、パネル1が検査位置12にあるときに、照明装置2aから出射されパネル1の非欠陥部分により反射された光が直接入射されないような位置に配置されている。また、カメラ3bは、パネル1が検査位置12にあるときに、照明装置2bから出射されパネル1の非欠陥部分により反射された光が直接入射されないような位置に配置されている。更に、カメラ3aは、パネル1が検査位置12にないときに、照明装置2a及び2bから出射した光が入射されない位置に配置されており、カメラ3bも、パネル1が検査位置12にないときに、照明装置2a及び2bから出射した光が入射されない位置に配置されている。
【0028】
更に、画像処理装置4は、カメラ3a及び3bから入力された画像データを2値化することにより、パネル1のガラス基板における割れ、欠け及び傷等の欠陥を検出するものである。また、画像処理装置4は、幅方向における画像データの輝度分布に基づいて、パネル1のサイズを判別し、且つ、画像データの時間的な輝度変化に基づいて、パネル1の検査開始時点及び検査終了時点を決定するようにプログラムされている。
【0029】
更にまた、搬送路11における検出装置5の近傍には、欠陥が検出されたパネル1を搬送路11から取り除く搬送装置(図示せず)が設けられている。
【0030】
次に、上述の如く構成された本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの動作、即ち、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの検査方法について説明する。このプラズマディスプレイパネルの検査は、プラズマディスプレイパネルの製造工程の一部として行われるものである。図4は、本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの検査方法を示す図である。図4は、1枚のパネルが移動していく様子を示しており、図の上段から下段に向かって、時間が経過している。以下、主に図2乃至図4を参照して説明する。
【0031】
先ず、搬送路11の検査位置12にパネル1がないときに、照明装置2a及び2bを点灯させ、カメラ3a及び3b並びに画像処理装置4を作動させる。このとき、照明装置2a及び2bから出射した光は、カメラ3a及び3bには到達しないため、カメラ3a及び3bが撮像する画像は、全体的に暗い画像となる。そして、この画像の画像データを画像処理装置4により2値化処理すると、全面が黒色の黒画像となる。
【0032】
この状態で、搬送コンベア10(図1参照)により、製造途中又は製造後のパネル1を搬送路11に沿って検査位置12に向かって搬送する。パネル1は、ガラス基板からなる前面基板と、他のガラス基板からなる背面基板を重ね合わせて形成したものであり、その形状は略長方形であり、一辺の長さは500乃至1500mmである。
【0033】
そして、パネル1の搬送方向前方側の先端部が検査位置12に到達すると、照明装置2aから出射した光がパネル1の先端部に照射されて反射され、この反射光がカメラ3aに入射する。これにより、カメラ3aが撮像する画像の輝度が増加し、画像処理装置4が、検査位置12にパネル1の先端部が到達したことを検知する。また、パネル1には何種類かのサイズがあるため、画像処理装置4は、画像データにおける幅方向の輝度分布によりパネル1のサイズを判別し、予め定められたプログラムに従って検査範囲を決定する。
【0034】
そして、画像処理装置4は、パネル1の先端部が検査位置12に到達し、パネル1の検査範囲を決定した後、パネル1の検査を開始する。検査は以下のように行う。照明装置2aから出射した光は、パネル1の上面を照射し、上側に配置されたガラス基板により反射されて、カメラ3aに入射する。一方、照明装置2bから出射した光は、パネル1の下面を照射し、下側に配置されたガラス基板により反射されて、カメラ3bに入射する。カメラ3a及び3bは夫々パネル1を上面側及び下面側から撮像し、その画像データを画像処理装置4に対して出力する。画像処理装置4は、カメラ3a及び3bから入力された画像データを2値化する。
【0035】
このとき、カメラ3aは、照明装置2aから出射されパネル1により反射された光が直接入射されないような位置に配置されており、カメラ3bは、照明装置2bから出射されパネル1により反射された光が直接入射されないような位置に配置されているため、パネル1に割れ、欠け及び傷等の欠陥がなければ、画像処理装置4が2値化した画像データは全面が黒色の黒画像となる。これに対して、パネル1における上側に配置されたガラス基板に割れ等の欠陥が存在する場合は、照明装置2aから出射した光がこの欠陥により散乱され、カメラ3aに直接入射するため、2値化後の画像データにおいて、この欠陥に相当する部分のみが白色部分となる。これにより、上側に配置されたガラス基板の欠陥を検出することができる。また同様に、パネル1における下側に配置されたガラス基板に割れ等の欠陥が存在する場合は、照明装置2bから出射した光がこの欠陥により散乱され、カメラ3bに直接入射するため、2値化後の画像データにおいて、この欠陥に相当する部分のみが白色部分となる。これにより、下側に配置されたガラス基板の欠陥を検出することができる。このとき、白色部分の形状により、欠陥の種類を判別することができる。また、白色部分の大きさにより、欠陥の大きさを検出することができる。
【0036】
そして、図4に示すように、上述の欠陥の検出は、搬送コンベア10によりパネル1を移動させながら行う。即ち、パネル1を移動させることにより、パネル1における検査位置12に位置している検査領域1aを、パネル1内において相対的に搬送方向後方に移動させつつ、この検査領域1aを連続的に検査していく。例えば、パネル1の上側のガラス基板に割れCがある場合、パネル1が移動し、割れCが検査位置12に到達して検査領域1aに入ると、この割れCが画像検出装置4により白色部分として検出される。
【0037】
そして、パネル1の後端部が検査位置12から離脱すると、照明装置2aから出射した光がパネル1により反射されなくなり、カメラ3aが撮像する画像の輝度が減少する。これにより、画像処理装置4が、パネル1の後端部が検査位置12を通過したことを検知する。このとき、画像処理装置4は、予め定められたプログラムに従って、検査を終了する。
【0038】
画像検出装置4は、パネル1において割れを検出した場合には、搬送装置(図示せず)に対してアラーム報知を行い、この搬送装置がそのパネル1を搬送路11から取り除く。一方、パネル1全体に渡って欠陥を検出しなかった場合には、前述のように自動で検査を終了する。そして、検査位置12に新たなパネルが到達したら、上述の動作を繰り返し行う。一方、欠陥が検出されなかったパネル1は、その後必要に応じて残りの加工を施され、完成したプラズマディスプレイパネルとなる。
【0039】
次に、本実施例の効果について説明する。本実施例においては、パネル1の搬送路11に沿って検査装置を設けることにより、パネル1を搬送路11に沿って搬送しながら、検査を行うことができる。これにより、パネル1を照明装置及びカメラに対して相対的に移動させることにより、搬送路11に対して固定された4台のカメラを使用して、パネル1の全体を上側及び下側の双方から検査することができる。この結果、パネル1として大型のパネルを検査する場合でも、このパネルの外周を囲むような大型のリング照明を使用する必要がない。また、多数の固定されたカメラを使用したり、少数のカメラを移動させながら使用したりする必要がない。このため、本実施例の検査装置はコストが低い。
【0040】
また、本実施例においては、パネル1を、パネル1の製造ラインの搬送路に沿って移動させながら検査を行うため、パネル1をわざわざ検査位置まで運搬する必要がない。このため、検査を効率的に行うことができる。近時、プラズマディスプレイパネルの製造ラインは自動化が進んでおり、自動化された製造ラインには搬送コンベアが必要不可欠である。本実施例に係る検査装置は、このような製造ラインの搬送コンベアを利用することにより、極めて低コストで、検査効率がよく、大型のプラズマディスプレイパネルにも対応可能なプラズマディスプレイパネルの検査装置を得ることができる。
【0041】
また、本実施例においては、搬送路11の上方及び下方の双方に照明装置及びカメラを配置しているため、パネル1を上方側及び下方側の双方から検査することができる。これにより、パネル1の上側に配置されたガラス基板及び下側に配置されたガラス基板を独立して検査することができる。これに対して、例えば特許文献1に記載された従来の検査装置においては、片方の基板しか検査することができない。液晶パネルの場合は、薄膜トランジスタ等のパターンが形成されたTFT基板の割れ検出の方が、対向基板の割れ検出よりも重要であるため、片方の基板しか検査できない検査装置でもある程度有用である。しかしながら、プラズマディスプレイパネルは、前面基板及び背面基板の双方に微細なパターンを形成しているため、両方の基板を検査することが特に重要である。なお、片方の基板しか検査できない検査装置を使用して、プラズマディスプレイパネルを検査する場合には、パネルの表裏を反転させる反転装置等が必要となる。しかしながら、本実施例においては、このような反転装置を設ける必要がなく、検査装置のコストを低く抑えることができる。
【0042】
更に、本実施例においては、画像データの時間的な輝度変化に基づいて、検査の開始時点及び終了時点を決定し、また、画像データの幅方向の輝度分布に基づいて、パネルのサイズを判別している。このため、パネルの位置を検知するセンサ、パネルのサイズを検知するセンサ、外部からパネルのサイズを入力するためのデータ通信装置が不要である。このため、検査装置のコストが低い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施例に係るプラズマディスプレイパネルの検査装置を示す斜視図である。
【図3】図2に示す検査装置の側面図である。
【図4】本実施例に係るプラズマディスプレイパネルの検査方法を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1;プラズマディスプレイパネル
2a、2b;照明装置
3a、3b;カメラ
4;画像処理装置
5;検査装置
10;搬送コンベア
11;搬送路
12;検査位置
C;割れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレイパネルの搬送路の上方又は下方に設けられプラズマディスプレイパネルが前記搬送路における検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを照明する照明装置と、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されプラズマディスプレイパネルが前記検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを撮像するカメラと、このカメラが撮像した前記プラズマディスプレイパネルの画像データに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する画像処理装置と、を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項2】
前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されていない側に設けられプラズマディスプレイパネルが前記検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを照明する他の照明装置と、前記搬送路の上方及び下方のうち前記他の照明装置が配置されている側に配置されプラズマディスプレイパネルが前記検査位置にあるときに前記プラズマディスプレイパネルを撮像しその画像データを前記画像処理装置に入力する他のカメラと、を有し、前記画像処理装置は、前記カメラ及び前記他のカメラから入力された画像データに基づいて前記欠陥を検出するものであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項3】
前記カメラは、プラズマディスプレイパネルが前記検査位置にないときに、前記照明装置及び前記他の照明装置から出射した光が入射されない位置に配置されており、前記他のカメラは、プラズマディスプレイパネルが前記検査位置にないときに、前記照明装置及び前記他の照明装置から出射した光が入射されない位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項4】
前記カメラは、プラズマディスプレイパネルが前記検査位置にあるときに、前記照明装置から出射し前記プラズマディスプレイパネルの非欠陥部分により反射された光が入射されない位置に配置されており、前記画像処理装置は、前記画像データを2値化処理し、前記欠陥を白色部分として検出するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、前記画像データの時間的な輝度変化に基づいて前記プラズマディスプレイパネルの検査開始時点及び検査終了時点を決定するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、前記搬送路の搬送方向に直交する方向における前記画像データの輝度分布に基づいて前記プラズマディスプレイパネルのサイズを判別するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの検査装置。
【請求項7】
搬送路に沿ってプラズマディスプレイパネルを搬送しながら、前記搬送路の上方又は下方に設けられた照明装置により前記プラズマディスプレイパネルにおける検査位置に位置している部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されたカメラにより前記部分を撮像して画像データを取得する工程と、前記画像データに基づいて前記プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する工程と、を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項8】
前記画像データを取得する工程において、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されていない側に設けられた他の照明装置により前記部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記他の照明装置が配置されている側に配置された他のカメラにより前記部分を撮像して他の画像データを取得し、前記欠陥を検出する工程は、前記画像データ及び前記他の画像データの双方に基づいて前記プラズマディスプレイパネルの欠陥を検出する工程であることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項9】
前記画像データの時間的な輝度変化に基づいて前記画像データを取得する工程の開始時点及び終了時点を決定することを特徴とする請求項7又は8に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項10】
前記プラズマディスプレイパネルの搬送方向に直交する方向における前記画像データの輝度分布に基づいて前記プラズマディスプレイパネルのサイズを判別する工程を有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項11】
夫々パターンを形成した2枚の基板を組み合わせたデバイスを搬送路に沿って搬送しながら、前記搬送路の上方又は下方に設けられた照明装置により前記デバイスにおける検査位置に位置している部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されている側に配置されたカメラにより前記部分を撮像して画像データを取得する工程と、前記画像データに基づいて前記デバイスの欠陥を検出する工程と、を有することを特徴とするデバイスの検査方法。
【請求項12】
前記画像データを取得する工程において、前記搬送路の上方及び下方のうち前記照明装置が配置されていない側に設けられた他の照明装置により前記部分を照明し、前記搬送路の上方及び下方のうち前記他の照明装置が配置されている側に配置された他のカメラにより前記部分を撮像して他の画像データを取得し、前記欠陥を検出する工程は、前記画像データ及び前記他の画像データの双方に基づいて前記デバイスの欠陥を検出する工程であることを特徴とする請求項11に記載のデバイスの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−244869(P2006−244869A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59331(P2005−59331)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000232151)パイオニアプラズマディスプレイ株式会社 (27)
【Fターム(参考)】