説明

プラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイパネルの駆動方法

【課題】画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減する。
【解決手段】電力予測部52と、動画判定部57と、電力予測部52において算出された電力予測値とにもとづき、複数の階調制限ルールの全てを満たす階調値を選択して画像表示用の階調値とし、そのうちのいずれかを入力画像信号の階調値にもとづき選択して出力する変換部59a、59b、59cと、変換部59a、59b、59cのいずれかの出力信号を動画判定部57における判定結果にもとづき選択する選択部58とを有し、階調制限ルールは、電力予測部52において算出された電力予測値が大きいときには電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように設定され、変換部59a、59b、59cは、常時点灯開始階調値以上の階調値では所定のサブフィールドが点灯する階調値のみを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁掛けテレビや大型モニターに用いられるプラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイパネルの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。背面板は、背面ガラス基板上に複数の平行なデータ電極と、それらを覆うように誘電体層と、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁とがそれぞれ形成され、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
【0003】
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行う方法が一般に用いられている。
【0004】
各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成するとともに、書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(書込み放電を発生させるための励起粒子)を発生させる。
【0005】
書込み期間では、走査電極に順次走査パルスを印加(以下、この動作を「走査」とも記す)するとともに、データ電極には表示すべき画像信号に対応した書込みパルスを印加する(以下、これらの動作を総称して「書込み」とも記す)。それにより、走査電極とデータ電極との間で選択的に書込み放電を発生させ、選択的に壁電荷を形成する。
【0006】
続く維持期間では、表示させるべき輝度に応じた所定の回数の維持パルスを走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に印加する。それにより、書込み放電による壁電荷形成が行われた放電セルで選択的に放電を起こし、その放電セルを発光させる。これにより画像表示を行う。
【0007】
また、サブフィールド法の中でも、緩やかに変化する電圧波形を用いて初期化放電を行い、さらに維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行うことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させた駆動方法が開示されている。
【0008】
具体的には、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては全ての放電セルに初期化放電を発生させる全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては直前の維持期間で維持放電を行った放電セルにのみ初期化放電を発生させる選択初期化動作を行う。このように駆動することによって、画像の表示に関係のない発光に依存して変化する黒表示領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、コントラストの高い画像表示が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
一方、近年では、パネルの大画面化、高輝度化にともない、パネルにおける消費電力が増大する傾向にある。また、大画面化、高精細化されたパネルではパネル駆動時の負荷が増大するため放電が不安定になりやすい。放電を安定に発生させるためには、電極に印加する駆動電圧を上げればよいが、これは、消費電力をさらに増大させる一因となる。
【0010】
また、電極に印加する駆動電圧を高くして、駆動回路を構成する部品の定格値を超えると、回路が誤動作する恐れも生じる。例えば、データ電極駆動回路は、書込みパルス電圧をデータ電極に印加して放電セルで書込み放電を発生させる動作を行うが、書込み時の消費電力がデータ電極駆動回路を構成するICの定格値を超えるとそのICが誤動作し、書込み放電を発生させるべき放電セルで書込み放電が発生しない、あるいは書込み放電を発生させるべきでない放電セルで書込み放電が発生するといった書込み不良が発生する恐れがある。
【0011】
そこで、書込み時の消費電力を抑えるために、画像を表示する際に用いる階調値(以下、「表示用階調」とも記す)の数を制限する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
また、書込み時の消費電力を抑えるために、表示すべき画像信号にもとづきデータ電極駆動回路の消費電力を予測して、その予測値が設定値以上になると表示用階調を制限する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−242224号公報
【特許文献2】特開2004−21166号公報
【特許文献3】特開2000−66638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
近年、パネルの大画面化、高精細化にともない、プラズマディスプレイ装置における画像表示品質のさらなる向上が望まれている。
【0014】
一方、上述した従来の技術においては、表示用階調が変化するときに、階調値数の変更が滑らかに行われず、階調値数が変化したときに生じる表示画像の変化が認識されることがあり、画像表示品質が劣化したように感じられることがあった。
【0015】
本発明は、これらの課題に鑑みなされたものであり、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減することが可能なプラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のプラズマディスプレイ装置は、データ電極を有するパネルと、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるとともに、書込み期間に書込みパルスを発生させデータ電極に印加してデータ電極を駆動するデータ電極駆動回路と、入力画像信号をパネルが有する放電セルにおけるサブフィールド毎の発光・非発光を示すサブフィールドデータに変換する画像信号処理回路とを備え、画像信号処理回路は、データ電極駆動回路における消費電力を予測する電力予測部と、入力画像信号の動画・静止画を判定する動画判定部と、各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールと電力予測部において算出された電力予測値とにもとづき、あらかじめ設定された複数の階調値の中から、各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールの全てを満たす階調値を選択して画像表示用の階調値とし、入力画像信号の階調値にもとづき画像表示用の階調値のいずれかを選択して出力する複数の変換部と、複数の変換部から出力される複数の出力信号のいずれかを、動画判定部における判定結果にもとづき選択して出力する選択部とを有し、階調制限ルールは、電力予測部において算出される電力予測値に対する常時点灯開始階調値が設定されたものであって、かつ電力予測部において算出された電力予測値が大きいときには電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように設定され、変換部は、常時点灯開始階調値以上の階調値では所定のサブフィールドが点灯する階調値のみを選択することを特徴とする。
【0017】
これにより、電力予測値にもとづき画像表示に用いる階調値の数が変更されるときに、画像表示に用いる階調値の数を緩やかに変化させることができ、また、動画か静止画かに応じて表示に使用できる階調値の数を変更することができるので、階調値の数の変化が発生したときに生じる表示画像の変化を低減することができ、表示画像品質を良好に保ちつつデータ電極駆動回路における消費電力を削減することができる。
【0018】
また、このプラズマディスプレイ装置において、変換部は、各サブフィールドのそれぞれに常時点灯開始階調値の下限値が異なる複数の階調制限ルールを設け、動画判定部における判定結果が動画のときには、動画判定部における判定結果が静止画のときよりも、常時点灯開始階調値の下限値が大きい階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする。これにより、動画を表示するときには静止画を表示するときよりも表示に使用できる階調値の数を増やすことができるので、表示画像品質を良好に保ちつつデータ電極駆動回路における消費電力を削減することができる。
【0019】
また、このプラズマディスプレイ装置において、変換部は、電力予測部において算出された電力予測値に対するヒステリシス特性を有するように階調制限ルールを設定し、動画判定部における判定結果が静止画のときには、ヒステリシス特性を解除する構成であってもよい。これにより、表示用階調に頻繁な変動が発生するのを防止して表示画像の安定化を図ることができ、画像表示品質をより向上させることができる。
【0020】
また、このプラズマディスプレイ装置において、変換部は、電力予測部において算出された電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには階調値の大きい方から先に画像表示に使用する階調値が制限されていき、電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには階調値の小さい方から先に画像表示に使用する階調値の制限が解かれるように設定された階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする。これにより、比較的変化が感じられやすい発光輝度の低い階調値ほど画像表示に使用する階調値の制限がかかりにくく、逆に比較的変化が感じられにくい発光輝度の高い階調値ほど画像表示に使用する階調値の制限がかかりやすくすることができるので、画像表示品質をさらに良好に保ちつつ消費電力を削減することができる。
【0021】
また、本発明のパネルの駆動方法は、データ電極を有するパネルを、初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるとともに、書込み期間に書込みパルスを発生させデータ電極に印加してデータ電極を駆動するパネルの駆動方法であって、データ電極を駆動する回路における消費電力の予測値を電力予測値として算出するとともに入力画像信号の動画判定を行って動画・静止画を判定し、各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールと電力予測値とにもとづき、あらかじめ設定された複数の階調値の中から、各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールの全てを満たす階調値を選択して画像表示用の階調値とし、入力画像信号の階調値にもとづき画像表示用の階調値のいずれかを選択して出力するとともに、それらの処理を平行して複数行い、それら複数の出力のいずれかを、動画判定の判定結果にもとづき選択して出力し、階調制限ルールは、電力予測値に対する常時点灯開始階調値が設定されたものであって、かつ電力予測値が大きいときには電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように設定され、常時点灯開始階調値以上の階調値では所定のサブフィールドが点灯する階調値のみを選択することを特徴とする。
【0022】
これにより、電力予測値にもとづき画像表示に用いる階調値の数が変更されるときに、画像表示に用いる階調値の数を緩やかに変化させることができ、また、動画か静止画かに応じて表示に使用できる階調値の数を変更することができるので、階調値の数の変化が発生したときに生じる表示画像の変化を低減することができ、表示画像品質を良好に保ちつつデータ電極駆動回路における消費電力を削減することができる。
【0023】
また、本発明のパネルの駆動方法においては、各サブフィールドのそれぞれに常時点灯開始階調値の下限値が異なる複数の階調制限ルールを設け、動画判定において動画と判定されたときには、動画判定において静止画と判定されたときよりも、常時点灯開始階調値の下限値が大きい階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする。これにより、動画を表示するときには静止画を表示するときよりも表示に使用できる階調値の数を増やすことができるので、表示画像品質を良好に保ちつつデータ電極駆動回路における消費電力を削減することができる。
【0024】
また、本発明のパネルの駆動方法においては、電力予測値に対するヒステリシス特性を有するように階調制限ルールを設定するとともに、動画判定における判定結果が静止画のときには、ヒステリシス特性を解除する構成であってもよい。これにより、表示用階調に頻繁な変動が発生するのを防止して表示画像の安定化を図ることができ、画像表示品質をより向上させることができる。
【0025】
また、本発明のパネルの駆動方法において、階調制限ルールは、電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには階調値の大きい方から先に画像表示に使用する階調値が制限されていき、電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには階調値の小さい方から先に画像表示に使用する階調値の制限が解かれるように設定されたことを特徴とする。これにより、比較的変化が感じられやすい発光輝度の低い階調値ほど画像表示に使用する階調値の制限がかかりにくく、逆に比較的変化が感じられにくい発光輝度の高い階調値ほど画像表示に使用する階調値の制限がかかりやすくすることができるので、画像表示品質をさらに良好に保ちつつ消費電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減することができるプラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
【0028】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。
【0029】
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料から形成されている。
【0030】
背面板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
【0031】
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
【0032】
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
【0033】
図2は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の表示領域となる。
【0034】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う。それぞれのサブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
【0035】
各サブフィールドにおいて、初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する。加えて、放電遅れを小さくし書込み放電を安定して発生させるためのプライミング粒子(放電のための起爆剤=励起粒子)を発生させるという働きを持つ。このときの初期化動作には、全ての放電セルで初期化放電を発生させる全セル初期化動作と、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルだけで選択的に初期化放電を発生させる選択初期化動作とがある。
【0036】
書込み期間では、後に続く維持期間において発光させるべき放電セルで選択的に書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、輝度重みに比例した数の維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。このときの比例定数を「輝度倍率」と呼ぶ。
【0037】
本実施の形態では、1フィールドを8のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第8SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば(1、2、4、8、16、30、57、108)の輝度重みを持つものとする。
【0038】
そして、第1SFの初期化期間では全セル初期化動作を行い、第2SF〜第8SFの初期化期間では選択初期化動作を行うものとする。これにより、画像の表示に関係のない発光は第1SFにおける全セル初期化動作の放電にともなう発光のみとなり、維持放電を発生させない黒表示領域の輝度である黒輝度は全セル初期化動作における微弱発光だけとなって、コントラストの高い画像表示が可能となる。また、各サブフィールドの維持期間においては、それぞれのサブフィールドの輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対24のそれぞれに印加する。
【0039】
しかし、本実施の形態は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
【0040】
図3は、本発明の一実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち全セル初期化動作を行うサブフィールド(以下、「全セル初期化サブフィールド」と呼称する)の第1サブフィールド(第1SF)と、選択初期化動作を行うサブフィールド(以下、「選択初期化サブフィールド」と呼称する)の第2サブフィールド(第2SF)とを示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データにもとづき選択された電極を表す。
【0041】
まず、全セル初期化サブフィールドである第1SFについて説明する。
【0042】
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧(以下、「上りランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。
【0043】
この上りランプ波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUn、データ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜データ電極Dm上部および維持電極SU1〜維持電極SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0044】
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには0(V)を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnには、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧(以下、「下りランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。この間に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUn、データ電極D1〜データ電極Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜維持電極SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜データ電極Dm上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作が終了する。
【0045】
なお、図3の第2SFの初期化期間に示したように、初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加してもよい。すなわち、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve1を、データ電極D1〜データ電極Dmに0(V)をそれぞれ印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnに放電開始電圧以下となる電圧(例えば、接地電位)から電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下りランプ波形電圧を印加する。これにより前のサブフィールドの維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、走査電極SCi上部および維持電極SUi上部の壁電圧が弱められる。また直前の維持放電によってデータ電極Dk(k=1〜m)上部に十分な正の壁電圧が蓄積されている放電セルでは、この壁電圧の過剰な部分が放電され書込み動作に適した壁電圧に調整される。一方、前のサブフィールドで維持放電を起こさなかった放電セルについては放電することはなく、前のサブフィールドの初期化期間終了時における壁電荷がそのまま保たれる。このように前半部を省略した初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持動作を行った放電セルに対して初期化放電を行う選択初期化動作となる。
【0046】
続く書込み期間では、走査電極SC1〜走査電極SCnに対しては順次走査パルス電圧を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmに対しては発光させるべき放電セルに対応するデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加して、各放電セルに選択的に書込み放電を発生させる。このとき、本実施の形態では、後述する電力予測部において算出される電力予測値にもとづき、表示用階調の階調数を変更している。この詳細については後述する。
【0047】
書込み期間では、まず維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜走査電極SCnに電圧Vcを印加する。
【0048】
そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜データ電極Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。このときデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。また、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve2を印加しているため、維持電極SU1上と走査電極SC1上との電圧差は、外部印加電圧の差である(Ve2−Va)に維持電極SU1上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。このとき、電圧Ve2を、放電開始電圧をやや下回る程度の電圧値に設定することで、維持電極SU1と走査電極SC1との間を、放電には至らないが放電が発生しやすい状態とすることができる。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電を発生させることができる。こうして、発光させるべき放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
【0049】
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜データ電極Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
【0050】
続く維持期間では、まず走査電極SC1〜走査電極SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる接地電位、すなわち0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。
【0051】
そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
【0052】
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnにはベース電位となる0(V)を、維持電極SU1〜維持電極SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに交互に輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
【0053】
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜走査電極SCnに、ベース電位となる0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧(以下、「消去ランプ波形電圧」と呼称する)を印加する。これにより、微弱な放電を持続して発生させ、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧の一部または全部を消去している。
【0054】
続くサブフィールドの動作は、維持期間の維持パルスの数を除いて上述の動作とほぼ同様であるため説明を省略する。以上が、本実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
【0055】
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図4は、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置1の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0056】
画像信号処理回路41は、入力された画像信号sigをサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。
【0057】
タイミング発生回路45は、水平同期信号Hおよび垂直同期信号Vにもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。
【0058】
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形電圧を発生するための初期化波形発生回路(図示せず)、維持期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生回路(図示せず)、複数の走査ICを備え書込み期間において走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生するための走査パルス発生回路(図示せず)を有する。そして、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜走査電極SCnをそれぞれ駆動する。
【0059】
データ電極駆動回路42は、データ電極D1〜データ電極Dmのそれぞれに書込みパルスを出力する複数のデータ電極駆動ICを有する。データ電極駆動ICは、内部に複数のスイッチング素子を備えており、それらのスイッチング素子の導通・遮断を切換えることで書込みパルスを発生させている。そして、データ電極駆動回路42は、書込み期間において、画像信号処理回路41から出力されるサブフィールドデータ(画像信号を、各データ電極D1〜データ電極Dmの、各サブフィールドにおける点灯/非点灯を表す信号に変換したデータ)、およびタイミング信号にもとづき各データ電極D1〜データ電極Dmに書込みパルスを印加して、データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。
【0060】
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路(図示せず)および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路(図示せず)を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜維持電極SUnを駆動する。
【0061】
図5は、本発明の一実施の形態における画像信号処理回路41の回路ブロック図である。なお、図5には、本実施の形態における表示用階調の制御に関係する回路ブロックを示し、それ以外の回路ブロックは省略している。
【0062】
本実施の形態において、画像信号処理回路41は、第1の階調変換部51a、第1の階調制限部55a、第1のルックアップテーブル56aを有する第1の変換部59aと、第2の階調変換部51b、第2の階調制限部55b、第2のルックアップテーブル56bを有する第2の変換部59bと、第3の階調変換部51c、第3の階調制限部55c、第3のルックアップテーブル56cを有する第3の変換部59cと、動画判定部57と、選択部58と、電力予測部52と、記憶部53と、データ読み出し部54とを備えている。
【0063】
第1の階調変換部51aは、表示用階調として第1のルックアップテーブル56aに書き込まれた複数の階調値のうち、入力された画像信号の階調値に最も近い階調値を選択し、その階調値のコーディングデータ(その階調値で放電セルを発光させるための各サブフィールドにおける点灯/非点灯を表すデータ)を読み出す。第1の階調変換部51aは、このようにしてサブフィールドデータを作成し、出力する。同様に第2の階調変換部51b、第3の階調変換部51cは、それぞれ表示用階調として第2のルックアップテーブル56b、第3のルックアップテーブル56cに書き込まれた複数の階調値のうち、入力された画像信号の階調値に最も近い階調値を選択し、その階調値のコーディングデータを読み出す。第2の階調変換部51b、第3の階調変換部51cは、このようにしてサブフィールドデータを作成し、出力する。
【0064】
電力予測部52は、選択部58から出力されるサブフィールドデータにもとづき、データ電極駆動回路42における消費電力を予測する。データ電極駆動回路42における消費電力の予測値(以下、「電力予測値」とも記す)の算出は、例えば次のようにして行うことができる。
【0065】
データ電極駆動回路42における消費電力は、書込み放電を発生させる放電セル(以下、「点灯セル」と呼称する)と書込み放電を発生させない放電セル(以下、「非点灯セル」と呼称する)とが隣り合う数が多いほど増え、点灯セル同士または非点灯セル同士が隣り合う数が多いほど少なくなる。これは、データ電極駆動回路42に備えられたデータ電極駆動ICが、内部に有する複数のスイッチング素子を切換えて書込みパルスを発生させており、点灯セルと非点灯セルとが隣り合う数が多いほどスイッチング素子の切換え回数が増加し、逆に点灯セル同士または非点灯セル同士が隣り合う数が多いほど、スイッチング素子の切換え回数が減少するためである。
【0066】
電力予測部52では、これを利用して、データ電極駆動回路42における電力予測値を算出することができる。例えば、点灯セルを「1」、非点灯セルを「0」とし、隣接する放電セル間で排他的論理和演算を行ってその結果を累積加算する。これにより、点灯セルと非点灯セルとが隣接する箇所の数を計数することができる。このようにして得られる累積加算値とデータ電極駆動回路42における消費電力との関係をあらかじめ調べておき、そのデータを電力予測部52に持たせておけば、上述の累積加算値を算出することで、電力予測値を算出することができる。しかし、本発明は、電力予測値の算出が何らこの方法に限定されるものではなく、これ以外の方法で電力予測値を算出する構成であっても何らかまわない。
【0067】
記憶部53は、例えば、一般に用いられているFlash Memory等の、電源が切れても記憶内容が消えない不揮発性型の記憶装置で構成されている。そして、記憶部53には、プラズマディスプレイ装置1に用いられるサブフィールド構成において設定された最小階調値から最大階調値までの全階調値と、各階調値のそれぞれに設定されたコーディングデータ(各サブフィールドにおける点灯/非点灯を表すデータ)とがまとめられたテーブルが記憶されている。なお、本実施の形態では、このように1つのサブフィールド構成において設定される全階調値(例えば、階調値「0」から階調値「255」までの256階調)のそれぞれに設定されたコーディングデータ(例えば、256個のコーディングデータ)が1つのテーブルにまとめられたものを、以下、「コーディングテーブル」と記す。このコーディングテーブルとは、例えば、あるサブフィールド構成において階調値「0」から階調値「255」までの256階調が設定された場合、各階調値毎に設定された256個のコーディングデータが1つのテーブルとしてまとめられたものである。
【0068】
なお、プラズマディスプレイ装置1が、1フィールド期間のサブフィールド数や各サブフィールドの輝度重み等が異なる複数のサブフィールド構成を有し、そのうちのいずれかのサブフィールド構成が、例えば画質設定等に応じて選択されるように構成されているときには、各サブフィールド構成のそれぞれに対応する複数のコーディングテーブルが、記憶部53に記憶されているものとする。
【0069】
そして、記憶部53は、データ読み出し部54からの制御にもとづき、データ読み出し部54へ内部データを出力する。このとき、記憶部53は、コーディングテーブル単位でデータ出力を行うものとする。例えば、データ読み出し部54により上述の256個のコーディングデータからなるコーディングテーブルが選択されたときには、その256個のコーディングデータを1つのコーディングテーブルとして出力するものとする。
【0070】
なお、本実施の形態では、記憶部53をFlash Memoryで構成する例を示したが、本発明は、何らこの構成に限定されるものではなく、記憶部53はどのような記憶装置で構成されてもかまわない。ただし、記憶部53は、プラズマディスプレイ装置1の電源がオフされたときに、記憶されたコーディングテーブルのデータがなくならないように、不揮発性型の記憶装置で構成される方が望ましい。
【0071】
データ読み出し部54は、プラズマディスプレイ装置1において選択されているサブフィールド構成にもとづくコーディングテーブルを記憶部53から読み出し、後段の第1の階調制限部55a、第2の階調制限部55b、第3の階調制限部55cに出力する。
【0072】
第1の階調制限部55aは、電力予測部52において算出された電力予測値にもとづき、データ読み出し部54から送られてくるコーディングテーブルの中から、複数の階調値を、画像表示に用いる表示用階調として選択する。そして、選択した表示用階調、および表示用階調の各階調値に対応するコーディングデータを第1のルックアップテーブル56aに書き込む。この表示用階調の詳細は、後述する。
【0073】
同様に、第2の階調制限部55bは、電力予測部52において算出された電力予測値にもとづき、データ読み出し部54から送られてくるコーディングテーブルの中から、複数の階調値を、画像表示に用いる表示用階調として選択する。そして、選択した表示用階調、および表示用階調の各階調値に対応するコーディングデータを第2のルックアップテーブル56bに書き込む。
【0074】
また、第3の階調制限部55cは、電力予測部52において算出された電力予測値にもとづき、データ読み出し部54から送られてくるコーディングテーブルの中から、複数の階調値を、画像表示に用いる表示用階調として選択する。そして、選択した表示用階調、および表示用階調の各階調値に対応するコーディングデータを第3のルックアップテーブル56cに書き込む。
【0075】
ルックアップテーブル56a、56b、56cはそれぞれ、高速で書込み・読み出しが可能な半導体記憶素子で構成され、階調制限部55a、55b、55cにおいて選択された表示用階調およびコーディングデータを記憶する。そして、上述したように、階調変換部51a、51b、51cはそれぞれ、ルックアップテーブル56a、56b、56cに書き込まれた表示用階調の中から、入力された画像信号に最も近い階調値を選択し、その階調値に対応するコーディングデータを読み出す。
【0076】
動画判定部57は、現在の画像信号と1フレーム前の画像信号との差分の絶対値を算出し、あらかじめ設定した静止画判定しきい値およびそれよりも数値の大きい動画判定しきい値と、算出した差分値とを比較するという一般に知られている動画判定を行い、「静止画」、「中間」、「動画」の判定を行う。例えば、算出した差分値が静止画判定しきい値未満のときには「静止画」と判定し、算出した差分値が静止画判定しきい値以上かつ動画判定しきい値未満のときには「中間」と判定し、算出した差分値が動画判定しきい値以上のときには「動画」と判定する。そして、判定した結果を選択部58に出力する。なお、動画判定は、何ら上述した方法に限定されるものではなく、フィールド間差分にもとづくものや2フレーム間差分にもとづくもの、あるいはそれらの組み合わせ等、その他の方法で動画判定を行う構成であってもかまわない。
【0077】
選択部58は、3入力1出力の切換え回路を内部に備え、各入力端子には、第1の階調変換部51aの出力信号、第2の階調変換部51bの出力信号、第3の階調変換部51cの出力信号がそれぞれ入力されている。そして、動画判定部57の判定結果が「静止画」のときには第1の階調変換部51aの出力信号を選択し、動画判定部57の判定結果が「中間」のときには第2の階調変換部51bの出力信号を選択し、動画判定部57の判定結果が「動画」のときには第3の階調変換部51cの出力信号を選択して出力する。
【0078】
ここで、本実施の形態においては、サブフィールド毎に設定した階調制限ルールにもとづき表示用階調の選択を行う構成としている。そして、第1の変換部59a、第2の変換部59b、第3の変換部59cには、それぞれ同一のサブフィールドに対して異なる階調制限ルールが設定されているものとする。これにより表示用階調の階調値数が変更されるときに表示画像に生じる変化を低減し、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減している。次に、これらの詳細を説明する。
【0079】
なお、ここでは、1フィールドを8のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第8SF)で構成し、各サブフィールドはそれぞれ(1、2、4、8、16、30、57、108)の輝度重みを持つものとして、以下の説明を行う。ただし、以下に説明する階調制限ルールは、上述したサブフィールド構成の下での一例に過ぎず、1フィールドを構成するサブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが異なる場合はそのサブフィールド構成に応じて最適に設定するものとする。
【0080】
次に、本実施の形態における階調制限ルールの一例を図面を用いて説明する。図6は、本実施の形態の第1の変換部59aにおける階調制限ルールの一例を示す概略図であり、第1SFから第7SFまでの階調制限ルールをまとめて示した図である。なお、第2の変換部59b、第3の変換部59cにおける同様の図面は省略する。
【0081】
図7は、本実施の形態における第1SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図7(a)は第1の変換部59aにおける第1SFの階調制限ルールを示す図であり、図7(b)は第2の変換部59bにおける第1SFの階調制限ルールを示す図であり、図7(c)は第3の変換部59cにおける第1SFの階調制限ルールを示す図である。
【0082】
また、図8は、本実施の形態における第2SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図8(a)は第1の変換部59aにおける第2SFの階調制限ルールを示す図であり、図8(b)は第2の変換部59bにおける第2SFの階調制限ルールを示す図であり、図8(c)は第3の変換部59cにおける第2SFの階調制限ルールを示す図である。
【0083】
また、図9は、本実施の形態における第3SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図9(a)は第1の変換部59aにおける第3SFの階調制限ルールを示す図であり、図9(b)は第2の変換部59bにおける第3SFの階調制限ルールを示す図であり、図9(c)は第3の変換部59cにおける第3SFの階調制限ルールを示す図である。
【0084】
また、図10は、本実施の形態における第4SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図10(a)は第1の変換部59aにおける第4SFの階調制限ルールを示す図であり、図10(b)は第2の変換部59bにおける第4SFの階調制限ルールを示す図であり、図10(c)は第3の変換部59cにおける第4SFの階調制限ルールを示す図である。
【0085】
また、図11は、本実施の形態における第5SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図11(a)は第1の変換部59aにおける第5SFの階調制限ルールを示す図であり、図11(b)は第2の変換部59bにおける第5SFの階調制限ルールを示す図であり、図11(c)は第3の変換部59cにおける第5SFの階調制限ルールを示す図である。
【0086】
また、図12は、本実施の形態における第6SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図12(a)は第1の変換部59aにおける第6SFの階調制限ルールを示す図であり、図12(b)は第2の変換部59bにおける第6SFの階調制限ルールを示す図であり、図12(c)は第3の変換部59cにおける第6SFの階調制限ルールを示す図である。
【0087】
また、図13は、本実施の形態における第7SFの階調制限ルールの一例を示す概略図であり、図13(a)は第1の変換部59aにおける第7SFの階調制限ルールを示す図であり、図13(b)は第2の変換部59bにおける第7SFの階調制限ルールを示す図であり、図13(c)は第3の変換部59cにおける第7SFの階調制限ルールを示す図である。
【0088】
なお、図6は図7から図13の各図における(a)をまとめて示した図である。図6から図13において、横軸は、電力予測部52において算出される電力予測値を、最大電力値を100%、最小電力値を0%として相対的に表したものである。また、縦軸は、常時点灯開始階調値を表す。この常時点灯開始階調値とは、常時点灯開始階調値として指定された階調値以上の階調では、そのサブフィールドが点灯する階調値のみを表示用階調の候補として選択する、ということを表す。例えば、第1SFにおいて常時点灯開始階調値が「24」であれば、階調値「24」未満では全ての階調値を表示用階調の候補として選択し、階調値「24」以上では第1SFが点灯となる階調値のみを表示用階調の候補として選択する、ということを表す。また、例えば第2SFにおいて常時点灯開始階調値が「42」であれば、階調値「42」未満では全ての階調値を表示用階調の候補として選択し、階調値「42」以上では第2SFが点灯となる階調値のみを表示用階調の候補として選択する、ということを表す。
【0089】
このように、本実施の形態では、第1SFから第7SFまでのそれぞれのサブフィールドに個別に階調制限ルールを設けている。そして、各サブフィールドのそれぞれにおいて表示用階調の候補となる階調値を選択し、全てのサブフィールドに共通する階調値、すなわち全てのサブフィールドの階調制限ルールを満たす階調値を表示用階調として選択するものとする。
【0090】
そして、本実施の形態では、図7から図13に示すように、階調制限ルールにおける常時点灯開始階調値の下限値を、「静止画」よりも「中間」の方が大きくなるように、「中間」よりも「動画」の方が大きくなるように、変更している。
【0091】
この、第1SFから第7SFにおける階調制限ルールの具体的な一例について説明する。
【0092】
第1SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図7(a)に示すように、電力予測部52において算出される電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「24」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「6」とする。また、電力予測値が増加しているときには、電力予測値12%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、電力予測値40%で常時点灯開始階調値を「6」とする。また、電力予測値が減少しているときには、電力予測値30%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、電力予測値2%で常時点灯開始階調値を「24」とする。
【0093】
また、第1SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの階調制限ルールの常時点灯開始階調値の下限値(以下、単に「下限値」とも記す)が「6」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも4大きい「10」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに4大きい「14」に設定されている。
【0094】
第2SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図8(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「42」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「13」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第1SFの階調制限ルールにおける電力予測値12%よりも大きい電力予測値16%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第1SFの階調制限ルールにおける電力予測値40%よりも大きい電力予測値41%で常時点灯開始階調値を「13」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第1SFの階調制限ルールにおける電力予測値30%よりも大きい電力予測値31%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第1SFの階調制限ルールにおける電力予測値2%よりも大きい電力予測値5%で常時点灯開始階調値を「42」とする。
【0095】
また、第2SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「13」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも5大きい「18」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに5大きい「23」に設定されている。
【0096】
第3SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図9(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「72」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「23」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第2SFの階調制限ルールにおける電力予測値16%よりも大きい電力予測値20%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第2SFの階調制限ルールにおける電力予測値41%よりも大きい電力予測値44%で常時点灯開始階調値を「23」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第2SFの階調制限ルールにおける電力予測値31%よりも大きい電力予測値35%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第2SFの階調制限ルールにおける電力予測値5%よりも大きい電力予測値9%で常時点灯開始階調値を「72」とする。
【0097】
また、第3SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「23」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも6大きい「29」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに6大きい「35」に設定されている。
【0098】
第4SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図10(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「116」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「41」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第3SFの階調制限ルールにおける電力予測値20%よりも大きい電力予測値24%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第3SFの階調制限ルールにおける電力予測値44%よりも大きい電力予測値48%で常時点灯開始階調値を「41」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第3SFの階調制限ルールにおける電力予測値35%よりも大きい電力予測値38%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第3SFの階調制限ルールにおける電力予測値9%よりも大きい電力予測値13%で常時点灯開始階調値を「116」とする。
【0099】
また、第4SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「41」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも7大きい「48」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに7大きい「55」に設定されている。
【0100】
第5SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図11(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「176」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「71」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第4SFの階調制限ルールにおける電力予測値24%よりも大きい電力予測値27%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第4SFの階調制限ルールにおける電力予測値48%よりも大きい電力予測値51%で常時点灯開始階調値を「71」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第4SFの階調制限ルールにおける電力予測値38%よりも大きい電力予測値41%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第4SFの階調制限ルールにおける電力予測値13%よりも大きい電力予測値17%で常時点灯開始階調値を「176」とする。
【0101】
また、第5SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「71」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも8大きい「79」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに8大きい「87」に設定されている。
【0102】
第6SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図12(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「255」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「115」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第5SFの階調制限ルールにおける電力予測値27%よりも大きい電力予測値31%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第5SFの階調制限ルールにおける電力予測値51%よりも大きい電力予測値54%で常時点灯開始階調値を「115」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第5SFの階調制限ルールにおける電力予測値41%よりも大きい電力予測値44%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第5SFの階調制限ルールにおける電力予測値17%よりも大きい電力予測値21%で常時点灯開始階調値を「255」とする。
【0103】
また、第6SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「115」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも9大きい「124」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに9大きい「133」に設定されている。
【0104】
第7SFでは、「静止画」と判定されたとき、例えば図6、図13(a)に示すように、電力予測値が0%のときの常時点灯開始階調値を「255」とし、電力予測値が100%のときの常時点灯開始階調値を「175」とする。また、電力予測値が増加しているときには、第6SFの階調制限ルールにおける電力予測値31%よりも大きい電力予測値35%から常時点灯開始階調値を徐々に下げ始め、第6SFの階調制限ルールにおける電力予測値54%よりも大きい電力予測値57%で常時点灯開始階調値を「175」とする。また、電力予測値が減少しているときには、第6SFの階調制限ルールにおける電力予測値44%よりも大きい電力予測値47%から常時点灯開始階調値を徐々に上げ始め、第6SFの階調制限ルールにおける電力予測値21%よりも大きい電力予測値25%で常時点灯開始階調値を「255」とする。
【0105】
また、第7SFの階調制限ルールでは、例えば、「静止画」と判定されたときの下限値が「175」に設定されているのに対し、「中間」と判定されたときの下限値は、それよりも10大きい「185」に設定され、「動画」と判定されたときの下限値は、それよりもさらに10大きい「195」に設定されている。
【0106】
なお、本実施の形態において最も輝度重みの大きい第8SFは所定の階調値(例えば、階調値「119」)以上で常時点灯となるので、ここでは、階調制限ルールを設けていない。すなわち、第8SFに関しては、全ての階調値を表示用階調の候補として扱うものとする。
【0107】
なお、本実施の形態では、各階調制限ルールのそれぞれに、上述したようなヒステリシス特性を持たせているが、必ずしもこの構成に限定されるものではない。しかし、階調制限ルールにヒステリシス特性を持たせることで、表示用階調に頻繁な変動が発生するのを防止して動作の安定化を図ることができ、画像表示品質をより向上させることができるので、望ましい。
【0108】
このように、本実施の形態では、輝度重みの小さいサブフィールドの常時点灯開始階調値が輝度重みの大きいサブフィールドの常時点灯開始階調値よりも大きくなることがないように、かつ、電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには輝度重みの低いサブフィールドから先に常時点灯開始階調値が変化を開始するように、また、電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには輝度重みの大きいサブフィールドから先に常時点灯開始階調値が変化を開始するように、かつ、電力予測値が大きいときには電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように階調制限ルールを設けている。
【0109】
そして、第1SFから第7SFのそれぞれにおいて、各階調制限ルールにもとづく表示用階調の候補を選定し、全てのサブフィールドの表示用階調の候補に共通して含まれる階調値のみを表示用階調とする。すなわち、全てのサブフィールドの階調制限ルールを満たす階調値を表示用階調とする。
【0110】
この階調制限ルールにもとづく表示用階調の設定についてさらに詳細に説明する。ここでは第1の変換部59aの場合について説明するが、第2の変換部59b、第3の変換部59cの場合についても同様である。
【0111】
図14は、本実施の形態におけるコーディングテーブルの一例を示した図である。なお、図14において、「1」で示したサブフィールドは、書込みを行うサブフィールド、すなわち点灯サブフィールドであることを表し、「0」で示したサブフィールドは、書込みを行わないサブフィールド、すなわち非点灯サブフィールドであることを表す。また、ここでは、階調値「0」から階調値「50」までのコーディングデータを示し、階調値「51」以上のコーディングデータは省略しているが、階調値「51」以上においても、各階調値にそれぞれコーディングデータが設定されているものとする。
【0112】
この、図14に示すようなコーディングテーブルが、記憶部53からデータ読み出し部54に読み出される。
【0113】
次に、第1の階調制限部55aでは、電力予測部52において算出された電力予測値にもとづき表示用階調を選択する。ここでは、まず、電力予測値1%のときを例にして、表示用階調がどのように選択されるかを説明する。なお、図6には、電力予測値1%をAで示している。
【0114】
上述した本実施の形態における階調制限ルールでは、電力予測値が1%のときの常時点灯開始階調値は、図6に示すように、第1SFから第7SFまで、順に「24」、「42」、「72」、「116」、「176」、「255」、「255」となる。
【0115】
したがって、第1SFにおいては、常時点灯開始階調値は「24」なので、階調値「24」未満では全ての階調値が、階調値「24」以上では第1SFが点灯となる階調値が、表示用階調の候補となる。例えば、図14に示すように、階調値「24」、階調値「26」、階調値「28」、階調値「30」、・・・は、第1SFが「0」、すなわち非点灯なので、表示用階調としては選択されない。また、階調値「25」、階調値「27」、階調値「29」、階調値「31」・・・は、第1SFが「1」、すなわち点灯となるので、表示用階調の候補となる。このようにして、第1SFにおける表示用階調の候補が選択される。
【0116】
また、第2SFにおいては、常時点灯開始階調値は「42」なので、階調値「42」未満では全ての階調値が、階調値「42」以上では第2SFが点灯となる階調値が、表示用階調の候補となる。例えば、図14に示すように、階調値「42」、階調値「43」、階調値「46」、階調値「47」、・・・は、第2SFが「0」、すなわち非点灯なので、表示用階調としては選択されない。また、階調値「44」、階調値「45」、階調値「48」、階調値「49」、・・・は、第2SFが「1」、すなわち点灯となるので、表示用階調の候補となる。このようにして、第2SFにおける表示用階調の候補を選択する。
【0117】
このようにして、階調制限部55において、各サブフィールドのそれぞれにおける表示用階調の候補が選択され、全てのサブフィールドにおいて共通に選択された階調値が、最終的な表示用階調として選択される。この表示用階調の一例を図15に示す。
【0118】
図15は、本実施の形態における表示用階調と各階調値におけるコーディングデータの一例を示した図である。なお、図15に示す表示用階調は、電力予測値が1%のときに、図14に示したコーディングテーブルの中から、上述した階調制限ルールにもとづき選択された階調値および各階調値のコーディングデータを示したものであり、上述した階調制限ルールにおいては、画像表示に使用できる階調値の数が最も多い表示用階調を示したものである。
【0119】
上述したように、電力予測値が1%のときの、第1SFから第7SFまでの常時点灯開始階調値は、順に「24」、「42」、「72」、「116」、「176」、「255」、「255」である。したがって、図15に示す表示用階調では、階調値「24」以上では第1SFが常時点灯となり、階調値「42」以上では第2SFが常時点灯となり、階調値「72」以上では第3SFが常時点灯となり、階調値「116」以上では第4SFが常時点灯となり、階調値「176」以上では第5SFが常時点灯となる。
【0120】
このように、画像表示に用いる階調値を制限することで点灯サブフィールドが連続する階調値の割合を増加させることができる。例えば、画像表示に用いる階調値を制限しない図14に示したコーディングテーブルと比較して、図15に示した表示用階調では、点灯サブフィールドが連続する階調値の割合を増加させることができる。これにより、パネル10に画像を表示するときに、点灯セル同士または非点灯セル同士が隣り合う数を、画像表示に用いる階調値を制限しないときと比較して、増加させることができる。すなわち、データ電極駆動回路42の消費電力を増加させる点灯セルと非点灯セルとが隣り合う数を減少させることができるので、データ電極駆動回路42における消費電力を低減することが可能となる。
【0121】
次に、電力予測値60%のときの表示用階調を説明する。
【0122】
図16は、本実施の形態における表示用階調と各階調値におけるコーディングデータの一例を示した図である。なお、図16に示す表示用階調は、電力予測値が60%のときに、図14に示したコーディングテーブルの中から、上述した階調制限ルールにもとづき選択された階調値および各階調値のコーディングデータを示したものであり、上述した階調制限ルールにおいては、画像表示に使用できる階調値の数が最も少ない表示用階調を示したものである。なお、図6には、電力予測値60%をCで示している。
【0123】
上述した本実施の形態における階調制限ルールでは、電力予測値が60%のときの、第1SFから第7SFまでの常時点灯開始階調値は、順に「6」、「13」、「23」、「41」、「71」、「115」、「175」である。したがって、図16に示す表示用階調では、階調値「6」以上では第1SFが常時点灯となり、階調値「13」以上では第2SFが常時点灯となり、階調値「23」以上では第3SFが常時点灯となり、階調値「41」以上では第4SFが常時点灯となり、階調値「71」以上では第5SFが常時点灯となり、階調値「115」以上では第6SFが常時点灯となる。なお、第7SFは階調値「175」以上で常時点灯となるが、図14に示したコーディングテーブルにはそのルールを満たすコーディングデータの階調値がないため、図16では、最大階調値が「169」となっている。
【0124】
このように、図16に示した表示用階調においては、図15に示した表示用階調と比較して、画像表示に用いる階調値がさらに減少している。このように、画像表示に用いる階調値をより制限することで、図16に示した表示用階調においては、図15に示した表示用階調と比較して、点灯サブフィールドが連続する階調値の割合をさらに増加させることができる。すなわち、表示用階調として選択する階調値をより制限することで、パネル10に画像を表示するときに点灯セルと非点灯セルとが隣り合う数をさらに減少させることができ、データ電極駆動回路42における消費電力をさらに低減することができる。
【0125】
なお、図15には上述したコーディングテーブルおよび階調制限ルールにおいて最も階調値数が多い表示用階調を、図16には最も階調値数が少ない表示用階調を示したが、これらの間には、例えば図6にBで示すように、電力予測値に応じて、階調値の数が異なる複数の表示用階調がある。そして、表示用階調が変化するときに、画像表示に用いる階調値の数が大きく変化すると、階調値数の変化が発生したときに生じる表示画像の変化が認識されやすく、画像表示品質が劣化したように感じられる。
【0126】
しかし、本実施の形態においては、例えば、図6から図13に示したような階調制限ルールを設け、全てのサブフィールドの階調制限ルールを満たす階調値を表示用階調とすることで、電力予測値にもとづき表示用階調が変更されるときに、表示用階調として用いる階調値の数を緩やかに変化させることができる。したがって、表示用階調として用いる階調値の数の変化を細かくすることができるので、階調値数の変化が発生したときに生じる表示画像の変化を低減することができ、表示画像の変化を認識されにくくすることができる。
【0127】
また、本実施の形態では、階調制限ルールを、電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには階調値の大きい方から先に画像表示に使用できる階調値が制限され、逆に電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには階調値の小さい方から先に画像表示に使用できる階調値の制限が解かれるように構成している。
【0128】
本発明者は、人間の視覚は発光輝度の低い領域では発光輝度の高い領域よりも輝度の変化を感じやすいということを実験的に確認した。そして、本実施の形態では、上述した構成とすることで、比較的変化が感じられやすい発光輝度の低い階調値ほど制限がかかりにくく、逆に比較的変化が感じられにくい発光輝度の高い階調値ほど制限がかかりやすくすることができる。これにより、表示用階調の階調値数が変更されるときに生じる表示画像の変化を、さらに認識されにくくすることが可能となる。これにより、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減することができる。
【0129】
以上示したように、本実施の形態によれば、データ電極駆動回路42における消費電力の予測値を電力予測値として算出し、電力予測値が大きいときには電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように各サブフィールド毎にあらかじめ設定した階調制限ルールと算出した電力予測値とにもとづき表示用階調の階調値を制限する構成とすることで、表示用階調の階調値数が変更されるときに表示画像に生じる変化を低減し、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減することが可能となる。
【0130】
なお、本実施の形態では、表示に用いる階調値を制限するため、画像信号の階調値の数(例えば、256階調)よりも、表示に用いる階調値の数の方が少なくなる。しかし、これは、画像信号の階調値と表示用に選択された階調値との間に差があるときに、その差を周囲の画素に拡散させることで表示される階調値を画像信号の階調値に近づけるといった、一般に知られた誤差拡散処理や、あるいはディザ処理を行うことで補うことができる。
【0131】
また、本発明者は、一般に用いられている、例えば、誤差拡散処理やディザ処理、あるいは動画疑似輪郭改善処理といった画像信号処理をかけた場合に、画像の表示に使用できる階調値の数を変えると、動画を表示しているときと静止画を表示しているときとで表示画像の見え方に差が生じることがあることを確認した。そして、その差は、動画のときに画像の表示に使用できる階調値の数を増やすことで低減されることを確認した。
【0132】
そこで、本実施の形態では、上述したように、各サブフィールドに、常時点灯開始階調値の下限値が異なる複数の階調制限ルールをそれぞれ設け、静止画よりも動画の方が画像の表示に使用できる階調値の数が多くなるように、動画判定部57における判定結果にもとづき、表示用階調の設定を行う構成としている。これにより、動画疑似輪郭改善処理といった画像信号処理をかけるような構成であっても、動画を表示しているときと静止画を表示しているときとで生じる表示画像の見え方の差を低減し、画像表示品質をさらに良好にして、消費電力削減を行うことができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、図17に示すように、静止画のときのみ、ヒステリシス特性を解除する構成とすることもできる。図17は、本発明の一実施の形態における静止画のときの階調制限ルールの一例を示す概略図である。本実施の形態においては、特に図示はしないが、動画判定部57の出力を各階調変換部にそれぞれ入力し、動画判定部57から出力される判定結果が「静止画」のときには、例えば、図17に示すように、ヒステリシス特性を持つ階調制限ルールのいずれか一方、例えば、電力予測値が大きくなるときに使用する方(図面に実線で示す)のルールにのみ従って画像表示に使用する階調値を選択する構成としてもよい。
【0134】
画像信号処理としてディザ処理を行うような場合、電力予測部52において算出される電力予測値が大きく変動することがある。例えば、画像信号の階調値が表示用階調に含まれていないときには、ディザ処理を行うことで、表示用階調の中から画像信号の階調値に近い複数の階調値が選ばれ、発光輝度の時間的な積分値が画像信号の階調値になるように信号処理がなされる。このとき、電力が大きく増加する。したがって、階調制限ルールにヒステリシス特性を持たせた状態で静止画を表示しているときに、(1)表示用階調が制限されて一旦電力予測値が下がり、(2)電力予測値が下がったことで表示用階調の制限が解かれ、(3)制限が解かれて表示用階調の階調値数が増えたことでディザ処理による予測電力の増加が発生し、再び表示用階調が制限される、という発振ループが生じることがある。
【0135】
しかし、図17に示すように静止画のときにヒステリシス特性を解除する構成とすることで、上述したような発振を防止することができ、画像表示品質をさらに高めることが可能となる。
【0136】
なお、本実施の形態では、動画判定部57において「静止画」、「中間」、「動画」の判定を行い、各サブフィールドにそれぞれ3つの階調制限ルールを設ける構成を説明したが、何らこの構成に限定されるものではなく、動画判定部において「静止画」、「動画」の判定を行い、それに合わせて各サブフィールドにそれぞれ2つの階調制限ルールを設ける構成や、動画判定部において4段階あるいはそれ以上の判定を行い、それに合わせて各サブフィールドにそれぞれ4つあるいはそれ以上の階調制限ルールを設ける構成としてもよい。
【0137】
なお、本発明の実施の形態では、誤差拡散処理やディザ処理、あるいは動画疑似輪郭改善処理といった画像信号処理をどの回路ブロックで行うかについては、特に限定していないが、例えば、階調変換部においてそのような画像信号処理を行う構成としてもかまわない。
【0138】
なお、本発明の実施の形態では、図5に示したように、階調変換部51a、51b、51cの後段に電力予測部52を配置し、選択部58の出力信号にもとづき電力予測値を算出する構成を説明したが、本発明は何らこの構成に限定されるものではない。図18は、本発明の一実施の形態における画像信号処理回路の他の一例を示す回路ブロック図である。例えば、図18に示す画像信号処理回路46のように、階調変換部51a、51b、51cの前段に電力予測部52を配置し、階調変換部51a、51b、51cに入力される画像信号から電力予測値を算出する構成としてもかまわない。
【0139】
なお、本発明における実施の形態は、走査電極SC1〜走査電極SCnを第1の走査電極群と第2の走査電極群とに分割し、書込み期間を、第1の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第1の書込み期間と、第2の走査電極群に属する走査電極のそれぞれに走査パルスを印加する第2の書込み期間とで構成する、いわゆる2相駆動によるパネルの駆動方法にも適用させることができ、上述と同様の効果を得ることができる。
【0140】
なお、本発明における実施の形態は、走査電極と走査電極とが隣り合い、維持電極と維持電極とが隣り合う電極構造、すなわち前面板21に設けられる電極の配列が、「・・・走査電極、走査電極、維持電極、維持電極、走査電極、走査電極、・・・」となる電極構造(「ABBA電極構造」と呼称する)のパネルにおいても、有効である。
【0141】
なお、本発明の実施の形態において示した階調制限ルールは単に一例を挙げたものに過ぎず、階調制限ルールを説明する際に挙げた具体的な各数値も単なる一例に過ぎない。これらの具体的な各数値は、50インチ、表示電極対数1080対のパネルの特性にもとづき設定したものであって、実施の形態における一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値やサブフィールド構成に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて最適に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。
【0142】
なお、本発明の実施の形態では、消去ランプ波形電圧を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する構成を説明したが、消去ランプ波形電圧を維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する構成とすることもできる。あるいは、消去ランプ波形電圧ではなく、いわゆる細幅消去パルスにより消去放電を発生させる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、大画面化、高精細化されたパネルにおいても、画像表示品質を良好に保ちつつ消費電力を削減することができるので、プラズマディスプレイ装置およびパネルの駆動方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の一実施の形態におけるパネルの構造を示す分解斜視図
【図2】同パネルの電極配列図
【図3】同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図
【図4】本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図
【図5】本発明の一実施の形態における画像信号処理回路の回路ブロック図
【図6】本発明の一実施の形態における階調制限ルールの一例を示す概略図
【図7】本発明の一実施の形態における第1SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図8】本発明の一実施の形態における第2SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図9】本発明の一実施の形態における第3SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図10】本発明の一実施の形態における第4SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図11】本発明の一実施の形態における第5SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図12】本発明の一実施の形態における第6SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図13】本発明の一実施の形態における第7SFの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図14】本発明の一実施の形態におけるコーディングテーブルの一例を示した図
【図15】本発明の一実施の形態における表示用階調と各階調値におけるコーディングデータの一例を示した図
【図16】本発明の一実施の形態における表示用階調と各階調値におけるコーディングデータの一例を示した図
【図17】本発明の一実施の形態における静止画のときの階調制限ルールの一例を示す概略図
【図18】本発明の一実施の形態における画像信号処理回路の他の一例を示す回路ブロック図
【符号の説明】
【0145】
1 プラズマディスプレイ装置
10 パネル
21 (ガラス製の)前面板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護層
31 背面板
32 データ電極
34 隔壁
35 蛍光体層
41,46 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
51a,51b,51c 階調変換部
52 電力予測部
53 記憶部
54 データ読み出し部
55a,55b,55c 階調制限部
56a,56b,56c ルックアップテーブル
57 動画判定部
58 選択部
59a,59b,59c 変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ電極を有するプラズマディスプレイパネルと、
初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるとともに、前記書込み期間に書込みパルスを発生させ前記データ電極に印加して前記データ電極を駆動するデータ電極駆動回路と、
入力画像信号を前記プラズマディスプレイパネルが有する放電セルにおけるサブフィールド毎の発光・非発光を示すサブフィールドデータに変換する画像信号処理回路とを備え、
前記画像信号処理回路は、
前記データ電極駆動回路における消費電力を予測する電力予測部と、
入力画像信号の動画・静止画を判定する動画判定部と、
各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールと前記電力予測部において算出された電力予測値とにもとづき、あらかじめ設定された複数の階調値の中から、各サブフィールドのそれぞれに設定された前記階調制限ルールの全てを満たす階調値を選択して画像表示用の階調値とし、入力画像信号の階調値にもとづき画像表示用の階調値のいずれかを選択して出力する複数の変換部と、
複数の前記変換部から出力される複数の出力信号のいずれかを、前記動画判定部における判定結果にもとづき選択して出力する選択部とを有し、
前記階調制限ルールは、前記電力予測部において算出される電力予測値に対する常時点灯開始階調値が設定されたものであって、かつ前記電力予測部において算出された電力予測値が大きいときには前記電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように設定され、
前記変換部は、前記常時点灯開始階調値以上の階調値では所定のサブフィールドが点灯する階調値のみを選択することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記変換部は、各サブフィールドのそれぞれに常時点灯開始階調値の下限値が異なる複数の前記階調制限ルールを設け、前記動画判定部における判定結果が動画のときには、前記動画判定部における判定結果が静止画のときよりも、常時点灯開始階調値の下限値が大きい前記階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記電力予測部において算出された電力予測値に対するヒステリシス特性を有するように前記階調制限ルールを設定し、前記動画判定部における判定結果が静止画のときには、前記ヒステリシス特性を解除することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
前記変換部は、前記電力予測部において算出された電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには階調値の大きい方から先に画像表示に使用する階調値が制限されていき、前記電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには階調値の小さい方から先に画像表示に使用する階調値の制限が解かれるように設定された階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
データ電極を有するプラズマディスプレイパネルを、
初期化期間と書込み期間と維持期間とを有するサブフィールドを1フィールド期間内に複数設けるとともに、前記書込み期間に書込みパルスを発生させ前記データ電極に印加して前記データ電極を駆動するプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
前記データ電極を駆動する回路における消費電力の予測値を電力予測値として算出するとともに入力画像信号の動画判定を行って動画・静止画を判定し、
各サブフィールドのそれぞれに設定された階調制限ルールと前記電力予測値とにもとづき、あらかじめ設定された複数の階調値の中から、各サブフィールドのそれぞれに設定された前記階調制限ルールの全てを満たす階調値を選択して画像表示用の階調値とし、入力画像信号の階調値にもとづき画像表示用の階調値のいずれかを選択して出力するとともに、それらの処理を平行して複数行い、それら複数の出力のいずれかを、前記動画判定の判定結果にもとづき選択して出力し、
前記階調制限ルールは、前記電力予測値に対する常時点灯開始階調値が設定されたものであって、かつ前記電力予測値が大きいときには前記電力予測値が小さいときよりも画像表示用の階調値として選択される階調値の数が少なくなるように設定され、
前記常時点灯開始階調値以上の階調値では所定のサブフィールドが点灯する階調値のみを選択することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項6】
各サブフィールドのそれぞれに常時点灯開始階調値の下限値が異なる複数の前記階調制限ルールを設け、前記動画判定において動画と判定されたときには、前記動画判定において静止画と判定されたときよりも、常時点灯開始階調値の下限値が大きい前記階調制限ルールにもとづき画像表示用の階調値を選択することを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項7】
前記電力予測値に対するヒステリシス特性を有するように前記階調制限ルールを設定するとともに、前記動画判定における判定結果が静止画のときには、前記ヒステリシス特性を解除することを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
【請求項8】
前記階調制限ルールは、前記電力予測値が小さい値から大きい値に変化するときには階調値の大きい方から先に画像表示に使用する階調値が制限されていき、前記電力予測値が大きい値から小さい値に変化するときには階調値の小さい方から先に画像表示に使用する階調値の制限が解かれるように設定されたことを特徴とする請求項6に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−192648(P2009−192648A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31357(P2008−31357)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】